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【発明の名称】 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
【発明者】 【氏名】田中 康順
【住所又は居所】兵庫県宝塚市高司四丁目2番1号 住友化学株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線香基材に、式(1)


(式中、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布する工程を含むことを特徴とする殺虫線香の製造方法。
【請求項2】
式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物が、式(1)で示されるエステル化合物濃度0.01〜5.0w/v%の式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物である請求項1記載の殺虫線香の製造方法。
【請求項3】
炭化水素溶剤が、飽和炭化水素溶剤である請求項1又は請求項2記載の殺虫線香の製造方法。
【請求項4】
1が水素原子である請求項1〜3いずれか1項記載の殺虫線香の製造方法。
【請求項5】
線香基材に、式(1)


(式中、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布する工程を経て得られる殺虫線香。
【請求項6】
式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素系有機溶剤との混合物が、式(1)で示されるエステル化合物濃度0.01〜5.0w/v%の式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物である請求項5記載の殺虫線香。
【請求項7】
炭化水素系有機溶剤が、飽和炭化水素溶剤である請求項5又は請求項6記載の殺虫線香。
【請求項8】
1が水素原子である請求項5〜7いずれか1項記載の殺虫線香。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫線香の製造方法及び該製造方法により得られる殺虫線香に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)


で示されるエステル化合物と線香基材とを混練し、成型・乾燥して得られる殺虫線香が知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−335331号公報
【特許文献2】特開2000−53614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記殺虫線香は、殺虫効力が十分ではない場合があり、式(1)で示されるエステル化合物を含有する殺虫線香であって、さらに効力の高い殺虫線香が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、式(1)で示されるエステル化合物を含有する殺虫線香であって、さらに効力の高い殺虫線香を提供するべく検討を行った。その結果、線香基材に式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布することにより得られる殺虫線香が、式(1)で示されるエステル化合物と線香基材とを混練し成型・乾燥して得られる殺虫線香よりも優れた効力を発揮し、有効成分である式(1)で示されるエステル化合物の使用量を低減できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は以下の通りである。
1.線香基材に、式(1)


(式中、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布する工程を含むことを特徴とする殺虫線香の製造方法。
2.式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物が、式(1)で示されるエステル化合物濃度0.01〜5.0w/v%の式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物である1.記載の殺虫線香の製造方法。
3.炭化水素溶剤が、飽和炭化水素溶剤である1.又は2.記載の殺虫線香の製造方法。
4.R1が水素原子である1.〜3.いずれか1項記載の殺虫線香の製造方法。
5.線香基材に、式(1)


(式中、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、又はメトキシメチル基を表す。)
で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布する工程を経て得られる殺虫線香。
6.式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素系有機溶剤との混合物が、式(1)で示されるエステル化合物濃度0.01〜5.0w/v%の式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物である5.記載の殺虫線香。
7.炭化水素系有機溶剤が、飽和炭化水素溶剤である5.又は6.記載の殺虫線香。
8.R1が水素原子である請求項5.〜7.いずれか1項記載の殺虫線香。
【発明の効果】
【0007】
本発明の殺虫線香の製造方法により製造された殺虫線香は、効力が優れたものであり、有効成分である式(1)で示されるエステル化合物の使用量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の殺虫線香の製造方法は、線香基材に、式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布する工程を含むことを特徴とするものである。
【0009】
本発明に用いられる線香基材は通常、主として支燃剤と結合剤とからなるものである。支燃剤としては、例えば木粉、粕粉(除虫菊抽出粉末)、柑橘類の表皮粉、パームオイル粉末、ココナッツシェル粉末、ウォルナットシェル粉末等の植物乾燥粉末、及び木炭粉、活性炭粉、石炭粉等の炭素粉末が挙げられ、これらを単独で又は二種以上を混合して用いられる。結合剤としては、例えばタブ粉、澱粉(タピオカ澱粉、トウモロコシ澱粉、小麦粉澱粉等)、カゼイン、シャム糊、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の高分子化合物が挙げられ、これらを単独で又は二種以上を混合して用いられる。支燃剤と結合剤との重量比は通常8:2〜6:4の範囲である。
【0010】
本発明に用いられる線香基材は通常、支燃剤と結合剤とを必要に応じて水を加えて混練し、成型、乾燥することにより製造される。
該線香基材の形状は特に限定されるものではないが、例えば通常の殺虫線香に用いられている渦巻き型が挙げられ、その大きさは通常2本一組で直径12cm、厚さ3〜5mm程度である。
【0011】
本発明に用いられる式(1)で示されるエステル化合物は、例えば特許文献1、特許文献2に記載された化合物であり、該特許文献に記載された方法で製造することができる。
式(1)で示されるエステル化合物には、不斉炭素に基づく光学異性体が存在するが、本発明には活性な異性体のいずれをも使用することができる。
【0012】
本発明における炭化水素系溶剤としては通常、沸点が150〜350℃の炭化水素系溶剤が用いられる。
本発明に用いられる炭化水素系溶剤としては、例えば飽和炭化水素系溶剤が挙げられる。
飽和炭化水素系溶剤としては例えば、鎖式(直鎖式、分岐鎖式)飽和炭化水素系溶剤、及び脂環式飽和炭化水素系溶剤が挙げられ、具体的には例えば、直鎖式飽和炭化水素系溶剤としてノルパー13(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、沸点 222〜243℃)、ノルパー15(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、沸点 255〜279℃);分岐鎖式飽和炭化水素系溶剤としてアイソパーG(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、炭素数9〜12、沸点 160〜176℃)、アイソパーH(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、炭素数10〜13、沸点 178〜188℃)、アイソパーM(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、炭素数11〜16、沸点 223〜254℃)、アイソパーV(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、炭素数13〜20、沸点 273〜312℃)、及び脂環式飽和炭化水素系溶剤としてエクソールD40(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、沸点 159〜204℃)、エクソールD80(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、沸点 207〜234℃)、エクソールD110(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、沸点 251〜269℃)、エクソールD130(商品名、エクソンモービル化学有限会社製、沸点 281〜315℃)が挙げられる。また、灯油を用いることもできる。
【0013】
本発明に用いられる式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物における式(1)で示されるエステル化合物の濃度は、本発明の殺虫線香の効力が早く発揮される(速効性に優れる)点から好ましくは0.01〜5.0w/v%、さらに好ましくは0.01〜1.0w/v%、特に好ましくは0.25〜0.75w/v%である。
【0014】
本発明の殺虫線香の製造方法に用いられる式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物には、必要に応じて界面活性剤その他の製剤用補助剤を含有させることもできる。
かかる界面活性剤としては例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等があげられる。
その他の製剤用補助剤としては例えば、香料、色素、及び防黴剤が挙げられる。
【0015】
本発明において塗布する工程は、例えば式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を刷毛で線香基材に略均一に塗りつける方法、式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素系有機溶剤との混合物を線香基材に略均一に滴下する方法、又は式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素系有機溶剤との混合物を噴霧器で線香基材に略均一に噴霧処理する方法により行われる。
【0016】
線香基材に式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布する工程の後は、必要に応じて乾燥することにより殺虫線香が得られる。
乾燥は例えば、線香基材に式(1)で示されるエステル化合物と炭化水素溶剤との混合物を塗布した後、温度5〜35℃で0.1〜10時間程度放置することにより行われる。
【0017】
本発明の殺虫線香は、製造後には例えばそのままで箱詰めされたり、1本又は複数本毎に包装されてから箱詰めされたりして保存される。本発明の殺虫線香を包装するための包装材としては、例えば紙、セロハン、布、アルミフィルム、及び樹脂フィルムが挙げられる。かかる樹脂フィルムの材質としては、例えばポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン(無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、及びポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0018】
かくして得られる本発明の殺虫線香は、殺虫線香として通常の方法で用いられる。即ち、本発明の殺虫線香は、室内等の有害生物の生息域やその近傍で点火され、線香の燃焼にしたがって有効成分である式(1)で示されるエステル化合物が揮散する。有効成分である式(1)で示されるエステル化合物の揮散により、有害生物の防除が達成される。
【0019】
本発明の殺虫線香は、例えば以下の有害生物の防除に有効である。
アカイエカ、コガタアカイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、チョウバエ、ノミバエ類等の双翅目害虫およびチャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等の網翅目害虫。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0021】
本発明の殺虫線香の製造について製造例を示す。
製造例1
タブ粉、粕粉、及び木粉の混合物(タブ粉:粕粉:木粉=4:3:3)99.99重量部に水120重量部を加え充分に練り合わせたものを、成型、乾燥して、渦巻き型の蚊取線香の形状(直径11.8cmの円形、厚さ4mm、2本一組の重さ25g)の線香基材を得た。一方、エクソールD80(脂環式飽和炭化水素系溶剤、エクソンモービル化学有限会社製)に2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(トランスフルスリン;以下、化合物Aと記す。)を0.25w/v%となるように溶解した溶液を調製した。
前記線香基材一組(2本)に前記溶液1mlをマイクロシリンジで満遍なく滴下することにより塗布し、室温で3時間放置して、化合物Aを0.01w/w%含有する本発明の殺虫線香を得た。
【0022】
製造例2
タブ粉、粕粉、及び木粉の混合物(タブ粉:粕粉:木粉=4:3:3)99.97重量部に水120重量部を加え充分に練り合わせたものを、成型、乾燥して、渦巻き型の蚊取線香の形状(直径11.8cmの円形、厚さ4mm、2本一組の重さ25g)の線香基材を得た。一方、エクソールD80(脂環式飽和炭化水素系溶剤、エクソンモービル化学有限会社製)に化合物Aを0.75w/v%となるように溶解した溶液を調製した。
前記線香基材一組(2本)に前記溶液1mlをマイクロシリンジで満遍なく滴下することにより塗布し、室温で3時間放置して、化合物Aを0.03w/w%含有する本発明の殺虫線香を得た。
【0023】
比較製造例
化合物A 0.01重量部をアセトン15.8重量部に溶解し、タブ粉、粕粉、及び木粉の混合物(タブ粉:粕粉:木粉=4:3:3)99.99重量部と均一に混合した後、水120重量部を加え、充分に練り合わせたものを成型・乾燥して、通常の渦巻き型蚊取線香の形状(直径11.8cmの円形、厚さ4mm、2本一組の重さ25g)をした化合物Aを0.01w/w%含有する比較用の殺虫線香を得た。
【0024】
次に、本発明の殺虫線香の効力を試験例に示す。
試験例
内径4cm、長さ12cmのガラス管に、アカイエカ雌成虫10頭を入れ、両端を16メッシュのナイロンネットで覆った。
一方、内径20cm、高さ80cmのステンレス製円筒の上に、内径20cm、高さ30cmのプラスチック円筒を取り付けた。その内部に前記アカイエカを入れたガラス管を、プラスチック円筒の下端とガラス管の下端とが略一致するように、設置した。次に、安定して燃焼する状態の試験用殺虫線香をステンレス製円筒の下部中央に設置した。
試験用殺虫線香を設置してから、経時的にノックダウンしたアカイエカの数を調査した。調査結果から、供試虫が50%ノックダウンするのに要する時間(KT50)及び90%ノックダウンするのに要する時間(KT90)を求めた。(試験は、各殺虫線香につき8反復ずつ行った。)
結果を表1に示す。
【0025】
【表1】


本発明の製造方法により製造した殺虫線香は、同じ有効成分濃度の比較製造例により製造した殺虫線香よりも効力が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の殺虫線香の製造方法は殺虫線香の製造方法として有用である。



【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【住所又は居所】東京都中央区新川二丁目27番1号
【出願日】 平成17年2月15日(2005.2.15)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之

【公開番号】 特開2005−298477(P2005−298477A)
【公開日】 平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願番号】 特願2005−37392(P2005−37392)