| 【発明の名称】 |
ピペリトールもしくはその誘導体を有効成分とする植物抑制剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】押田 聡子 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内
【氏名】須藤 千緒 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内
【氏名】中村 健太郎 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目7番28号 住友林業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ヒノキ科の葉から抽出される植物抑制物質を提供することを目的とする。
【解決手段】ヒノキ科の葉から抽出されるピペリトールは、他の植物の生理活性に阻害的に働く物質であり、発芽抑制、成長抑制などの生理活性物質として利用できる。ピペリトールは、従来の農薬とは異なり、生物学的作用を止めることなく防除することが出来る。従来の除草剤のように毒性はなく、安全性も高く、周辺土壌を汚染することもない。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式I 【化1】
(式中、R1およびR2は、それぞれ水素原子、アルキル基、アシル基またはアルカリ金属を示す)で表わされるピペリトールもしくはその誘導体を有効成分とする植物抑制剤。 【請求項2】 有効成分が、R1がメチル、R2が水素原子である式Iで表されるピペリトールである請求項1の植物抑制剤。 【請求項3】 植物の発芽を抑制する請求項1または2の植物抑制剤。 【請求項4】 マメ科植物またはキク科植物の抑制に用いる請求項1から3のいずれかの植物抑制剤。 【請求項5】 請求項1から4のいずれかの植物抑制剤を、植物が芽を出すもしくは成育する土壌表面に散布および/または土壌に混合することにより、あるいは植物が芽を出すもしくは成育する水中に浸漬することにより、植物を抑制することを特徴とする植物抑制方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植物抑制剤およびそれを用いた植物抑制方法に関する。更に詳細には、ピペリトールもしくはその誘導体を有効成分とする植物抑制剤、および該植物抑制剤を、植物が芽を出すもしくは成育する土壌表面に散布および/または土壌に混合することにより、あるいは植物が芽を出すもしくは成育する水中に浸漬することにより、植物を抑制する植物抑制方法に関する。 【背景技術】 【0002】 農業、林業、緑化、空き地、宅地および庭園において雑草の発芽や繁茂を抑制する場合、除草剤および人力による排除が行われている。近年、除草剤の残留問題を解決するため、天然素材による雑草発芽抑制技術の開発が行われており、ヒノキの樹皮や枝葉を利用した雑草発芽抑制技術についても、特許文献1、特許文献2、非特許文献1および非特許文献2によりその効果が報告されている。また、特許文献3には、コウヤマ、ナギ、スギ、ヒノキなどの植物の葉または抽出物を植物に対する生理活性抑制剤として用いることも報告されている。 【0003】 現在、雑草抑制用として使用されている除草剤の大部分は化学製品であるため、生態系および人体への影響が問題となっており、その使用低減が望まれている。また、工場および住宅予定地(空き地)や法面では雑草管理に多大な費用と労力が必要となり、その改善方法の開発が望まれている。また、木材を採集した後に残る枝葉は廃棄物として処理され、林地に廃棄されるかあるいは焼却処分されており、有効な利用方法は未だ開発されていない状況にある。反面、ヒノキ等の枝葉には抗菌性や耐虫性といった有用な天然物質が多く含まれており、その有効利用が望まれている。これまでに、それらの有用成分を工業的に抽出し、添加物として利用する試みがなされてきたが、抽出という煩雑な行程を経るため製品の高価格化を招き、普及の妨げとなってきた。枝葉と同様に廃棄物として扱われてきた樹皮については様々な研究・開発がなされ、堆肥や雑草・病害虫抑制資材として使用されている。 【0004】 しかしながら、特許文献1、特許文献2および非特許文献1に記載されているように、ヒノキの樹皮を雑草抑制資材として用いた場合、敷設厚さを5cm以上取らないと雑草抑制効果が認められず、資材本来の抑制効果なのか、単なる光の遮断による抑制効果なのかが明確ではなく、従ってヒノキ樹皮を含む資材を用いた場合、雑草抑制効果は低いと言える。また、非特許文献1において、ヒノキ枝葉の雑草抑制効果が報告されているが、葉の粉砕材に効果があるという記載に止まっており、具体的な加工方法や使用方法は言及されておらず、更には葉だけでは効果が無かったことが記載されている。また、非特許文献2において、ヒノキ葉からメタノールにより抽出された物質に植物の発芽抑制効果があることが記載されており、メタノール抽出物質であったことから難水溶性物質が主成分であるという推測がなされているが、メタノール抽出物質の中にも水溶性物質が含まれている可能性があることから、発芽抑制効果の主物質を同定するには至っていない。また、特許文献3の植物に対する生理活性抑制剤もその抑制活性が十分に満足がいくものとはいえない。 他方、非特許文献3には、Chamaecyparis obtusa の植物の葉付きシュートからリグナンの一種としてピペリトールが単離されたことが報告されている。しかしながら、その植物に対する生理活性については全く何ら報告されていない。 【特許文献1】特開2001−31969号公報 【特許文献2】特開平5−15253号公報 【特許文献3】特開平5−213711号公報 【非特許文献1】埼玉県林業試験場業務成果報告No.41及びNo.42 【非特許文献2】ランドスケープ研究62(5) 【非特許文献3】The Japan Wood Research Society (2001) 47:476-482 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 現在、雑草抑制用として使用されている除草剤の大部分は化学製品であるため、生態系および人体への影響が問題となっており、その使用低減が望まれている。工場および住宅予定地(空き地)や法面では雑草管理に多大な費用と労力が必要となり、その改善方法の開発が望まれている。また木材を採集した後に残る枝葉は廃棄物として処理され、林地に廃棄されるか、焼却処分されており有効な利用方法は今だ開発されていない状況にある。反面、ヒノキ等の枝葉には抗菌性や耐虫性といった有用な天然物質が多く含まれておりその有効利用が望まれている。 従って、本発明の課題は人体に対して安全性が高く、植物抑制活性の強い植物抑制剤およびそれを利用した植物抑制方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明者は上記した課題を解決することを目的として鋭意研究した結果、ヒノキ科の葉の乾燥粉末には他の植物の発芽を抑制する作用を有することを見出した。そこで、この点に着目し、ヒノキ葉中に存在する化学物質としてピペリトールを抽出精製・単離することに成功し、この化学物質が植物抑制剤として利用できることを見出し、本発明を完成させた。 即ち、本発明は、下記式I 【化1】
(式中、R1およびR2は、それぞれ水素原子、アルキル基、アシル基またはアルカリ金属を示す)で表わされるピペリトールもしくはその誘導体を有効成分とする植物抑制剤に関する。 更に、本発明は、上記植物抑制剤を、植物が芽を出すもしくは成育する土壌表面に散布および/または土壌に混合することにより、あるいは植物が芽を出すもしくは成育する水中に浸漬することにより、植物を抑制することを特徴とする植物抑制方法に関する。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、ヒノキ科の葉から抽出されるピペリトールは、他の植物の生理活性に阻害的に働く物質であり、発芽抑制、成長抑制などの生理活性物質として利用できる。また、ピペリトールを植物に適用しその薬効が切れると通常通り植物は発芽することから、化学的に殺滅する従来の農薬とは異なり、生物学的作用を止めることなく防除することが出来る。従来の除草剤のように毒性はなく、安全性も高く、周辺土壌を汚染することもない。 従って、ピペリトールもしくはその誘導体を有効成分とする本発明の植物抑制剤は、従来の農薬と比べて取り扱い上、良好であり、特に環境保全の点では著しく優れており、また従来の農薬と併用することによって農薬の使用量を削減することが出来る。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明の植物抑制剤の有効成分である、式IにおいてR1がメチル、R2は水素原子であるピペリトールは、ヒノキの葉乾燥粉末を、80%メタノールで抽出し、得られるメタノール抽出液を濃縮し、溶媒を溜去させ水溶液とし、この水溶液をpH7に調整した後、n−ヘキサンで抽出し、次いで残りの水層を酢酸エチルで抽出し、次いで、このpH7酢酸エチル画分を、後述する実施例で詳細に説明するように、酢酸エチルとn−ヘキサンとの各種比率の溶出液にてシリカゲルクロマトグラフィーで精製を繰り返すことにより単離・精製することができる。また、非特許文献3である The Japan Wood Research Society (2001) 47:476-482 に記載されているように、Chamaecyparis obtusa cv. Breviramea の葉付きシュートの粉砕物をメタノールにて数回抽出し、抽出物を水に懸濁し、ジエチルエーテルで抽出し、得られる抽出物を、溶出液としてメタノール/ジクロロメタン、酢酸エチル/n−へキサン、アセトン/ジクロロメタンなどの混合溶媒を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、次いでTLC、更に逆相高速液体クロマトグラフィーに付すことにより単離・精製することができる。 【0009】 ピペリトールの誘導体としては、例えば、式Iにおいて、R1がメチルでR2が水素原子であるピペリトール以外の化合物であって、R1およびR2は、それぞれ水素原子、アルキル基、アシル基またはアルカリ金属である化合物が挙げられる。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピルなどの炭素数1から6の低級アルキル基;アシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイルなどの炭素数2から6のアシル基;アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。これらの誘導体のうち、R1が水素原子でR2は水素原子である誘導体は、例えば、ピペリトールを適当な処理剤で処理して、R1のメチルを水素原子に変換することにより得ることができる。また、ピペリトールまたはこの誘導体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどと水溶液中で処理することにより、R1および/またはR2がアルカリ金属である誘導体が得られる。ピペリトールまたはこの誘導体をアセチルクロライド、プロパノイルクロライド、ブタノイルクロライドなどの塩化物と処理することにより、R1および/またはR2がアシル基である誘導体が得られる。これらの変換反応は自体はいずれも当業者に周知の化学反応であり、従って当業者にとって容易に実施可能である。 【0010】 ピペリトールおよびその誘導体は、植物に対して、発芽抑制作用あるいは成長抑制作用を有し、従って、植物抑制剤として用いることができる。ピペリトールおよびその誘導体は、そのまま植物抑制剤として使用してもよいが、例えば、固体担体と混合あるいはそれに吸着させ、あるいは適宜液体担体で希釈し、必要に応じて界面活性剤、溶剤およびその他の製剤用補助剤を添加して、粉剤、粒剤、乳剤、水和剤、懸濁剤などに製剤化して用いることができる。これらの製剤には、通常、そのまま使用するものと、水などに希釈して使用するものとがあるが、希釈する場合、ピペリトールまたはその誘導体の濃度は500ppm以上になるように希釈することが望ましい。製剤に使用する固体担体としてはクレー、タルク炭酸カルシウム、珪藻土、ベントナイトなど、液体担体としては、脂肪族溶剤、芳香族溶剤、灯油などの炭化水素溶剤がある。そのほかの溶剤としてはアルコール類、多価アルコール類、多価アルコール誘導体類、ケトン類、エステル類、油脂類などがある。例えば、これらの溶剤と界面活性剤を組み合わせることにより様々な製剤化が可能である。 ピペリトールまたはその誘導体は、例えば、マイクロカプセル化などによって包埋し、水田、湿地など、製剤が拡散しやすい場所に使用することも出来る。 本発明の植物抑制剤は、他の除草剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、その他の植物成長調整剤、肥料、土壌改良剤などと混合して使用することも出来る。 【0011】 ピペリトールまたはその誘導体を有効成分とする本発明の植物抑制剤は、植物が芽を出すもしくは成育する土壌表面に散布および/または土壌に混合することにより、あるいは植物が芽を出すもしくは成育する水中に浸漬することにより、植物を抑制することができる。 植物抑制剤を、土壌表面に散布する場合には、該有効成分の散布量は、剤形、使用状況、使用場所、使用方法、対象作物によって異なり、必要に応じて増減することは可能である。通常、有効成分の散布量は、0.1g/m2以上、好ましくは1.0g/m2以上であり、また、土壌に混合する場合は、有効成分の濃度が、通常0.1g/L以上、好ましくは0.5g/L以上となる量を混合する。 水に浸漬して用いる場合の有効成分の量は、対象とする水田や池などの面積等に応じて適当に決定することができる。 本発明の植物抑制剤は、いずれの植物にも適用可能であるが、特に、白クローバー、アカツメクサ、カラスノエンドウ、ゲンゲ、クズなどのマメ科植物、レタス、アゲラタム、ブタクサ、オオアレチノギク、セイタカアワダチソウ、ハルジオン、ヒメジョオン、ハハコグサなどのキク科植物に適している。 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【実施例1】 【0012】 ピペリトールの単離・精製 1.極性溶媒による抽出と発芽抑制試験 1−1.極性溶媒による抽出 ヒノキ葉粉末を 60℃ で通風乾燥し、絶乾状態にした後、ミルを用いて粉末状に加工した。この粉末 50g に 80% メタノールを粉末重量の 5 倍量の 250 ml 加え、よく攪拌し、さらに超音波処理を施した。処理後、吸引ろ過を行い、メタノール抽出液を得た。次いで、メタノールを減圧濃縮し、水溶液としたものをpH7 に調整し、n-ヘキサン、酢酸エチル、n-ブタノールで液々分配し、次いで水溶液を pH2 に調整し、n-ヘキサン、酢酸エチル、n-ブタノールで液々分配し、最終の水溶液を加えて 7 画分を得た。 【0013】 1−2.発芽抑制試験 ヒノキ葉乾燥粉末から抽出した7画分を用いて発芽試験を行った。7 画分を乾固した後、それぞれの重量を測定した。重量測定をし、各画分を 30ml のメタノールに溶解後、各抽出液を植物に対する影響を考えて、EC、pHの調整を行った。EC が 1m/s 以下になるように蒸留水で希釈した。各サンプルの pH を測定し、4.5〜6.5 の間に調整した。調整後、各抽出液 300μl を 100% メタノール 6mlにそれぞれ溶解し、それをガラスシャーレに入れた脱脂綿(2.5cm×2.5cm) 1 枚あたり 1.5ml 添加した。メタノールの影響がでないようにシャーレに蓋をし、デシケーターに入れ 3 時間の減圧乾固をして完全にメタノールを飛ばした。脱脂綿に蒸留水を 2ml 添加後、脱脂綿上に白クローバーの種を 9 粒播種し、シャーレに蓋をして、25℃ 暗黒下で培養した。168 時間後、発芽率、幼根長、胚軸長、根端褐変率を測定した。 その結果を表1に示した。表1の結果から分かるように、pH7酢酸エチル画分に発芽抑制効果が確認された。実際の施用量に基づいて調整すると、pH7 酢酸エチル画分は 2415ppm の濃度に調整されたことになるので、以後 2415ppm以上を調整濃度として 2500ppm で活性を測ることとした。 【0014】
【表1】
【0015】 2.pH7 酢酸エチル画分の発芽抑制物質の精製 2−1.シリカゲルクロマトグラフィーによる精製−1 分離したい Crude サンプルの重さの 5倍量(ヒノキの場合葉油成分が多いため分離するのには 5 倍量のシリカゲルが必要)のシリカゲル(Silica gel 60:70-230mesh)を先端に綿をつめたクロマト管に充填し、後から等量のシリカゲルに Crude サンプルであるpH7酢酸エチル画分を添着させ、減圧乾固させたものを重層させた。全体として、カラムの長さが、添着、分離層合わせて 15〜20cm の長さになるようなクロマト管を選択した。 カラム上層から以下の組成の溶媒を展開として流した。溶媒量は全シリカゲル体積の 10 倍量の溶媒を用いた。 Fraction 1. へキサン 100% 2. ヘキサン:酢酸エチル=80:20 3. ヘキサン:酢酸エチル=50:50 4. ヘキサン:酢酸エチル=20:80 5. 酢酸エチル 100% 6. ジクロロメタン 100% 7. ジクロロメタン:メタノール=95:5 8. ジクロロメタン:メタノール=90:10 9. ジクロロメタン:メタノール=50:50 それぞれ組成ごとに分け取り、以下に記載する濃度による発芽試験を行い、発芽抑制効果のあるヘキサン:酢酸エチル=80:20とヘキサン:酢酸エチル=50:50のフラクションをあわせて(フラクション2とする)、再びシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけた。 【0016】 2−2.濃度による発芽試験 各抽出物をアッセイに使用したい濃度になるように、メタノールにより濃度を調整し、24 穴シャーレに入れた 1.25cm 角に切った綿に 375μl 添加した。シャーレの蓋をして、デシケーターにいれ 3 時間の減圧乾固した。メタノールがとんだら 475μl の蒸留水を添加し、白クローバーの種 9 粒を播種し、イチゴパックで蓋をして 25℃暗黒下で培養する。168 時間後、発芽率、幼根長、胚軸長、根端褐変率を測定した。 【0017】 2−3.シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製−2 ヘキサン:酢酸エチル=80:20とヘキサン:酢酸エチル=50:50をあわせてフラクション 2 とし、再びシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけた。分離したい Crude サンプルの重さの 5 倍量のシリカゲル(Silica gel 60:70-230mesh)を先端に綿をつめたクロマト管に充填し、後から等量のシリカゲルに Crude サンプルを添着させ、減圧乾固させたものを重層させた。全体として、カラムの長さが、添着、分離層合わせて 15〜20cm の長さになるようなクロマト管を選択した。 カラム上層から以下の組成の溶媒を展開液として流した。溶媒量はシリカゲル体積の 10 倍量の溶媒を用いた。 Fraction 2-1. ヘキサン 100% 2-2. ヘキサン:酢酸エチル=95: 5 2-3. ヘキサン:酢酸エチル=90:10 2-4. ヘキサン:酢酸エチル=80:20 2-5. ヘキサン:酢酸エチル=70:30 2-6. ヘキサン:酢酸エチル=60:40 2-7. ヘキサン:酢酸エチル=50:50 2-8. ヘキサン:酢酸エチル=20:80 2-9. 酢酸エチル 100% それぞれ組成ごとに分けて取り、上記したと同様に濃度による発芽試験を行った。発芽抑制効果のある一番活性の高い Fraction 2-4 と、2番目以降の活性の Fraction 2-5、2-6 および 2-7 をそれぞれ、再びシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけた。 【0018】 2−4.シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製−3 それぞれのフラクションをカラムクロマトグラフィーにかけた。分離したい Crude サンプルの重さの 5 倍量のシリカゲル(Silica gel 60:70-230mesh)を先端に綿をつめたクロマト管に充填し、後から等量のシリカゲルに Crude サンプルを添着させ、減圧乾固させたものを重層させ、カラム上層から以下の組成の溶媒を展開として流した。全体として、カラムの長さが、添着、分離層合わせて 15〜20cm の長さになるようなクロマト管を選択した。 また別の方法として、サンプルの重さが 1g 以下の少量の場合は精製度合いによって、理論段数をあげるため、あらかじめ、ヘキサンに懸濁しておいたシリカゲルをクロマト管にそそぎ、上から少量の溶媒にとかしたサンプルをのせ、溶媒を注ぎ、溶出させる方法をとる。フラクションはカラムから落ちる溶出液の色(自然光、目視)で分けた。 Fraction 2-4-1. ヘキサン 100% 2-4-2. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-4-3. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-4-4. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-4-5. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-4-6. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-4-7. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-4-8. ヘキサン:酢酸エチル=1:1 2-4-9. ヘキサン:酢酸エチル=1:1 2-4-10. ヘキサン:酢酸エチル=1:1 2-4-11. 酢酸エチル 100% 2-4-12. 酢酸エチル 100% 上記と同様にして発芽抑制試験を行ったところ、フラクション 2-4-5、2-4-6、2-4-7 に発芽抑制物質が含まれていた。 【0019】 2−5.シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製−4 フラクション2-5、2-6 および 2-7 をまとめてフラクション 2-5 とし、展開溶媒としては以下の溶媒を用いた。 Fraction 2-5-1. ヘキサン 100% 2-5-2. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-5-3. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-5-4. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-5-5. ヘキサン:酢酸エチル=7:3 2-5-6. ヘキサン:酢酸エチル=6:4 2-5-7. ヘキサン:酢酸エチル=6:4 2-5-8. 酢酸エチル 100% 上記と同様の発芽抑制試験を行ったところ、フラクション2-5-2、2-5-3、2-5-4 および 2-5-6 に発芽抑制物質が含まれていた。 【0020】 2−6.TLC による精製 カラムにより精製したフラクション2-4-5、2-4-6、2-4-7、2-5-2、2-5-3、2-5-4 および 2-5-6のそれぞれを TLC(TLCplate Silicagel60 F254)でヘキサン:酢酸エチル=1:1+0.1%CH3COOH の展開溶媒で展開すると、Rf 0.00〜0.92、366nm下で青色蛍光物質から赤色に蛍光する物質までの間に数種の発芽抑制物質が含まれていることを確認した。その中で、一番精製しやすい物質Aを精製した。 物質Aの TLC パターンは、蛍光剤ありの TLC(Silica Gel 60 F254 MERCK)にチャージし、展開液にヘキサン:酢酸エチル=1:1+0.1%CH3COOHで展開すると、254nm 下で Rf 0.57 に吸収を持つものであった。 よって活性物質A活性区を TLC により精製し、酢酸エチルで溶出した。その後、HPLC で分析、分取することにした。 【0021】 2−7.HPLCによる分析・分取 使用カラムは島津社製 PREP-ODS(H)・KITの分析カラム(4.6×25)、分取カラム(20×250)を用いた。 物質Aは、溶離液にはアセトニトリル:水=50:50 流速8ml/minで分取した場合、17.508 分に検出され、アセトニトリル:水=50:50 流速 1ml/minで分析した場合、7.688 分に検出され、PDA 検出器では 231nm で 202.4、233.0、283.8 に吸収を持つピークであった。 【0022】 3.構造解析 物質Aについて、HPLC によって分取後、これを減圧乾固して純粋な透明、棒状の結晶まで精製し、2.6mg の結晶を得た。これを MS、NMR により構造解析を行った。 3−1.LCTOFMS 測定 測定条件 イオン化方式:ESI 測定イオン:正イオン、負イオン スプレー電圧:3000V コーン電圧:30V(正イオン)、40V(負イオン) イオン源温度:150℃ デソルベーション部温度:250℃ 測定結果 ESI-MS 測定は、正イオン、負イオン両方行い、正イオンでは m/z 379(M+Na)+が強く観測された。負イオンではm/z 355(M-H)-が強く観測された。よってこの物質は分子量 356 と推定された。 【0023】 3−2.一次元 NMR スペクトル(1HNMR、13CNMR、DEPT) 1HNMR スペクトルを図1に示した。図1から分かるように、1HNMR スペクトルではプロトン 19 個が観測された。13CNMR スペクトルを図2に示した。図2から分かるように、13CNMR スペクトルからは炭素ピーク 20 本が観測され、炭素が 20 個であることが推定された。DEPT スペクトル を図3に示した。図3から分かるように、DEPT スペクトルでは、56.92ppm は CH3、73.11、73.18ppm は CH2、134.24、137.05、147.89、149.10、149.65、149.91ppmは四級炭素、その他は CH であった。この結果、分子量 356 から推定した組成式は C20H20O6 となった。 【0024】 3−3.HSQC、COSY スペクトル解析 HSQC スペクトルを図4に示した。図4の HSQC スペクトルを解析し、次いで図5に示した COSYスペクトルの解析を行い結果を合わせると下記に示す部分構造が得られた。なお構造式に記載された記号は、13CNMR で得られたピークを高磁場側から順に A,B,C…S,T と付した記号に対応する。 【化2】
【0025】 3−4.HMBC、NOSYスペクトル解析 HMBC スペクトルを図6に示した。図6の HMBC スペクトルから以下に示す構造が確認された。
【化3】
NOESYスペクトルを図7に示した。図7の NOESY スペクトルを解析した結果は以下のとおりである。以下に主な相関シグナルを示す。 【化4】
物質Aについて、MS 測定、NMR 測定を行い解析し、推定構造を得ることが出来た。 以上の各種 NMR 分析結果より、表2に示すように、13C-1Hの化学シフトが確認された。 【0026】
【表2】
【0027】 物質名はリグナンの一種であるピペリトールと確認された。この物質はリグナンの一種であるピノレジノールという物質の一方のフェノール性水酸基とメトキシル基の部分がメチレンジオキシになったものである。また、この物質の 1H-NMR および 13C-NMR のデータは、非特許文献3の The Japan Wood Research Society (2001) 47:476-482 に示されているデータと一致した。 【実施例2】 【0028】 単離したピペリトールの発芽抑制効果 上記したと同様にして、ピペリトールの発芽抑制試験を行い、その結果を図8に示した。 図8に示したとおり、ピペリトールは顕著な発芽抑制効果を示した。500ppm では完全な抑制効果を示し、125ppm で 50%の 発芽抑制効果を示した。各精製段階での検量線を作成し、図9に示した。図9から分かるように、ピペリトールは、700ppm 以上の濃度があれば、100%の阻害が見られることが明らかになった。同一濃度で比較すると、ピペリトールは精製元の酢酸エチル画分よりも約 1.6 倍、80%メタノール抽出の段階よりも約 2.8 倍の発芽抑制効果を示した。なお、発芽抑制の見られた種子をピペリトールの含まれない培地で培養した場合、発芽、生長した。ここで、ピペリトール 700ppm の量は、ピペリトールを 1.68g/m2 で散布した量に相当する。 【産業上の利用の可能性】 【0029】 本発明によれば、ヒノキ科の葉から抽出されるピペリトールは、他の植物の生理活性に阻害的に働く物質であり、発芽抑制、成長抑制などの生理活性物質として利用できる。また、ピペリトールを植物に適用しその薬効が切れると通常通り植物は発芽することから、化学的に殺滅する従来の農薬とは異なり、生物学的作用を止めることなく防除することが出来る。従来の除草剤のように毒性はなく、安全性も高く、周辺土壌を汚染することもない。 従って、ピペリトールもしくはその誘導体を有効成分とする本発明の植物抑制剤は、従来の農薬と比べて取り扱い上、良好であり、特に環境保全の点では著しく優れており、従来の農薬と併用をすることによって農薬の使用量を削減することが出来る。 【図面の簡単な説明】 【0030】 【図1】図1は、実施例1において精製された物質Aの HNMR スペクトルを示す。 【図2】図2は、実施例1において精製された物質Aの 13CNMR スペクトルを示す。 【図3】図3は、実施例1において精製された物質Aの DEPT スペクトルを示す。 【図4】図4は、実施例1において精製された物質Aの HSQC スペクトルを示す。 【図5】図5は、実施例1において精製された物質Aの COSYスペクトルを示す。 【図6】図6は、実施例1において精製された物質Aの HMBC スペクトルを示す。 【図7】図7は、実施例1において精製された物質Aの NOESYスペクトルを示す。 【図8】図8は、ピペリトールの発芽抑制試験の結果を示す。 【図9】図9は、各精製段階での発芽抑制試験の結果について検量線を作成し、作成した検量線を示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183428 【氏名又は名称】住友林業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目8番1号
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| 【出願日】 |
平成16年2月27日(2004.2.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓
【識別番号】100072040 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 肇
【識別番号】100088926 【弁理士】 【氏名又は名称】長沼 暉夫
【識別番号】100102897 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 幸弘
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| 【公開番号】 |
特開2005−239675(P2005−239675A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月8日(2005.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−54424(P2004−54424) |
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