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【発明の名称】 防腐殺菌剤並びに該防腐殺菌剤を配合した化粧料、医薬品及び食品
【発明者】 【氏名】岡本 裕也
【住所又は居所】大阪市中央区十二軒町5番12号 株式会社マンダム中央研究所内

【氏名】岡田 文裕
【住所又は居所】大阪市中央区十二軒町5番12号 株式会社マンダム中央研究所内

【要約】 【課題】化粧料、医薬品及び食品に安心して適用できる極めて安全性と使用性に優れた防腐殺菌剤を提供することを課題とする。

【解決手段】1,2−オクタンジオールと、アルキルジメチルアミノ酸ベタインを含有することを特徴とする防腐殺菌剤並びに該防腐殺菌剤を配合した化粧料、医薬品及び食品を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,2−オクタンジオールと、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含有することを特徴とする防腐殺菌剤。
【請求項2】
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、式(1)で表されるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインであることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤。
【化1】


(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【請求項3】
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び/又はミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタインであることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする化粧料、医薬品又は食品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は防腐殺菌剤並びに該防腐殺菌剤を配合した化粧料、医薬品及び食品に係り、その目的は、1,2−オクタンジオールが本来有する抗菌力を増強することのできる防腐殺菌剤並びに該防腐殺菌剤を配合した化粧料、医薬品及び食品を提供することにある。
【背景技術】
【0002】
従来より化粧料、医薬品又は食品には、防腐殺菌剤として、メチルパラベン、エチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸及びその塩類、サリチル酸及びその塩類、等が用いられており、特にパラベンは頻繁に用いられている。
【0003】
しかしながら、上記した従来の防腐殺菌剤は皮膚刺激性が高いなど安全性が低いため、使用濃度範囲が制限されやすいという欠点を有しており、例えば、パラベンや安息香酸塩の使用制限濃度は1%、安息香酸やサリチル酸の使用制限濃度は0.2%とされている。また、pHによる影響を受けやすいため効果の安定性が悪く、更に、界面活性剤などの他の配合成分との併用により、その抗菌力が著しく低下する問題も有している。また、近年これらの防腐殺菌剤に対しアレルギー反応を有する人が増えているため、安全性に対する指向がより高まり、これらの防腐殺菌剤を全く配合してないか、或いはその配合量を低減させた化粧料、医薬品又は食品の需要が高まっている。
【0004】
そこで、上記の防腐殺菌剤を低減又は排除する試みが種々行われている。例えば、1,2−アルカンジオールからなる防腐殺菌剤(特許文献1参照)や、1,2−オクタンジオールからなる洗浄性又は非洗浄性化粧用保湿静菌剤(特許文献2参照)、1,2−ペンタンジオール又は、ヘキサンジオールを含む外用剤組成物(特許文献3参照)などが開示されている。しかし、1,2−オクタンジオールなどの1,2−アルカンジオールを単独で防腐殺菌剤として用いた場合、非イオン性界面活性剤の存在下では高配合量を要することがあり、さらに、1,2−アルカンジオールを高配合とすると、特有の原料臭が生じ、化粧料などに配合した際の臭いの問題を有していた。
また、1,2−アルカンジオールの抗菌力を向上させるために、1,2−アルカンジオールと他の防腐殺菌剤を組み合わせた例として、1,2−ペンタンジオールと2−フェノキシエタノールからなる外用組成物(特許文献4参照)や1,2−アルカンジオールとパラベンからなる防腐殺菌剤(特許文献5参照)、1,2−アルカンジオールとヒノキチオールからなる外用組成物(特許文献6参照)等が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−322591号公報
【特許文献2】特開2001−48720号公報
【特許文献3】特開2003−81736号公報
【特許文献4】特開平10−53510号公報
【特許文献5】特開平11−310506号公報
【特許文献6】特開2001−48781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の1,2−アルカンジオールとその他の防腐剤を組み合わせた防腐殺菌剤は、パラベンや安息香酸類等の防腐殺菌剤の配合量を低減又は排除させるために、各薬剤の効果を合わせたものであって、各薬剤の効果を増強させるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に係る発明は、1,2−オクタンジオールと、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含有することを特徴とする防腐殺菌剤に関する。
請求項2に係る発明は、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、式(1)で表されるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインであることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤に関する。
【化1】


(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
請求項3に係る発明は、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及び/又はミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタインであることを特徴とする請求項1に記載の防腐殺菌剤に関する。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の防腐殺菌剤を配合したことを特徴とする化粧料、医薬品又は食品に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来より用いられているパラベン、安息香酸等の防腐殺菌剤を排除あるいは使用量を低減することができ、強力な抗菌力を有する安全性と利用性の高い防腐殺菌剤、及び該防腐殺菌剤を配合する化粧料、医薬品又は食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の防腐殺菌剤は、1,2−オクタンジオールと、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含有する。アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとしては、例えば次式2(化2)で表されるものが挙げられ、具体的にはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、カプリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、オレイルジメチルアミノ酢酸ベタイン等を例示することができる。また、ヤシ油アルキル基を有するヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインであっても良い。これらのうち、式2(化2)中のRが炭素数12〜18のアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましく、炭素数12〜14のラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタインが特に好ましい。
【0010】
【化2】


(式中、Rは炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜18、さらに好ましくは炭素数12〜14のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0011】
本発明に係る防腐殺菌剤において、第一の成分である1,2−オクタンジオールと、第二の成分であるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインの含有量は特に限定されないが、重量比で0.1:1〜10:1、好ましくは0.2:1〜5:1となるように配合する。1,2−オクタンジオールをアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインの10重量倍を超えて配合すると、また、0.1重量倍未満の場合、抗菌力の増強効果が期待できないために好ましくない。
【0012】
本発明に係る防腐殺菌剤において、第一の成分である1,2−オクタンジオールと、第二の成分であるアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインを含有することにより、後述の試験に示されるように、第一の成分と第二の成分との相乗効果によって、抗金力の優れた増強作用が発揮される。したがって、パラベン、安息香酸、サリチル酸のような従来から用いられている防腐殺菌剤を低配合又は配合する必要がなく、極めて安全性の高い防腐殺菌剤を得ることができる。
【0013】
上述した本発明に係る防腐殺菌剤は、化粧料、医薬品又は食品に配合して使用する。
具体的には、例えば、化粧料としては洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ファンデーション、マスカラ、ネールエナメル、口紅などの皮膚用化粧料、シャンプー、ヘアトリートメント、養毛・育毛料、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアフォーム、パーマネントウェーブ剤などの頭髪化粧料や、しみやそばかすなどの特定の使用目的を有した薬用化粧料(医薬部外品)などを、医薬品としてはにきび治療薬、うがい薬、トローチなどを、さらに食品としてはチューインガム、キャンディー、飲料などを挙げることができる。
【0014】
本発明に係る防腐殺菌剤を化粧料、医薬品又は食品に配合する場合、本発明の効果が損なわれない程度に化粧料、医薬品又は食品で通常用いられる成分を適宜任意に配合することができる。例えば、化粧料や医薬品(医薬部外品を含む)の場合、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、低級アルコール、高級アルコール、ステロール、脂肪酸エステル、保湿類、界面活性剤、高分子化合物、無機顔料、色素、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ビタミン類、収斂剤、美白剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤、精製水などが挙げられる。
また、食品の場合には、動植物油、多糖類、甘味料、着色料、ガムベースなどを例示することができる。
本発明に係る防腐殺菌剤において、化粧料、医薬品又は食品に配合する場合、本発明に係る防腐殺菌剤の配合量は特に限定されないが、組成物中、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜5重量%配合する。0.01重量%未満の場合は、抗菌効果に劣るために好ましくなく、また、20重量%を超えて配合しても、それ以上の効果が望めないからである。
【実施例】
【0015】
実施例1
(供試菌)
供試菌として、大腸菌(Escherichia coli IF03972)、酵母として口腔カンジタ症菌(Candida albicans IFO1594)、カビとしてクロカビ(Aspergillus niger)を用いた。
【0016】
(接種用菌液の調製)
接種用菌液としては、大腸菌の場合、寒天培地で35℃で培養後、更にブイヨン培地に移植して35℃で培養した。得られた培養液をブイヨン培地で約10個/mLに希釈したものを接種用菌液とした。
また、酵母の場合、30℃で同様に培養して約10個/mLに希釈したものを、カビの場合は、25℃で培養後にTween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)0.2%加生理食塩水に胞子を懸濁させ約10個/mLに調整したものを接種用菌液とした。
【0017】
(被験物質の希釈系列の調製)
20w/w%エチルセルソルブを希釈溶媒とし、5,4,3,2.5,2.25,2,1.75,1.5,1.25,1w/v%の1,2−オクタンジオール液を調製した。
また、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液(商品名 NIKKOL AM−301、純分35%、日光ケミカルズ社製)及び、1,2−オクタンジオールとラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液の等量混合物については、5w/v%の液を倍倍希釈して希釈系列を調製した。
【0018】
[最少発育阻止濃度(MIC)の測定]
上記被験物質を含む希釈系列1mLに対して各寒天培地9mLをシャーレに入れ、それぞれについて、上記接種用菌液を約1cmの長さに画線した。培養は、大腸菌については、35℃で行い、2日後の菌の生育の有無を判定した。また、酵母及びカビについては、25℃で培養を行い、3日後の菌の生育の有無を判定した。このとき、生育が認められなかった最小の濃度をMICとして求めた。
結果を表1に示す。
【0019】
【表1】


なお、最少発育阻止濃度(MIC)によって、抗菌力を評価することができる。被験物質の濃度が低いときは微生物への影響がないが、濃度を増していくと発育抑制が起こる。この程度は、濃度に依存して発育抑制が進み、ついには発育が停止する。そのときの濃度がMICとして表される。従って、MIC以上の濃度になると、微生物は死滅していくことになる。
【0020】
(二元最小発育阻止濃度)
得られた1,2−オクタンジオール、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液、及び1,2オクタンジオールとラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液の等量混合物の各MICを、1,2−オクタンジオール及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液の配合量に対してプロットし、二元最小発育阻止濃度図を求めた。
尚、二元最小発育阻止濃度により、抗菌性を有する二種類の物質を配合した場合の作用効果を判定することができる。具体的には、抗菌性を有する二種類の物質を配合した場合、それにより生ずる作用は、相乗作用、相加作用、拮抗作用に大別される。
相乗作用とは、二薬剤が相乗的に作用し、本来有する抗菌力が更に増強される作用である。相加作用とは、各薬剤の抗菌力が合わさった作用である。拮抗作用とは、一薬剤が他剤の拮抗力を打ち消す場合の作用である。そして、二元最小発育阻止濃度図による方法は、例えば、図1に示すように、A物質とB物質について、それぞれの割合を変えてMICを測定し、グラフから判定する方法である。これによると、A物質のみにおけるMIC(A点)とB物質のみにおけるMIC(B点)とをプロットした点を結び、両物質を併用したときのMICが、この線上より内側にある場合(点C)は、併用により抗菌力が増強された相乗作用であると、線上(点D)にある場合は相加作用であると、線上より外側にある場合(点E)は、一方又は双方の抗菌力を打ち消し抗菌力を減少させる拮抗作用であると判定することができる。
図2〜4にラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液に関する二元最小発育阻止濃度図を示す。
【0021】
実施例2
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液に替え、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン液(商品名 リカビオンA−200、純分30%、新日本理化社製)を用いて実施例1と同様に操作して、表2の各MIC及び図5〜7の二元最小発育阻止濃度図を求めた(表2)。
【表2】


【0022】
(抗菌効果の評価)
図2〜7の結果から、1,2−オクタンジオールとアルキルジメチルアミノ酢酸ベタインとを併用すると、種々の菌種に対して1,2−オクタンジオールが本来有する抗菌活性を増強することが分かる。
【0023】
以下、本発明の防腐殺菌剤を配合した化粧料、医薬品及び食品の配合例を示す。尚、配合量は重量%である。
(配合例1:保湿クリーム)
モノラウリン酸デカグリセル 1.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセル 1.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
ステアリン酸 4.0
セタノール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
パラフィン 3.0
スクワラン 12.0
ホホバ油 4.0
メチルポリシロキサン 0.2
1,3−ブチレングリコール 3.0
L−アルギニン 0.1
キサンタンガム 0.001
1,2−オクタンジオール 0.25
ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン液 0.3
精製水 残分
合計 100.0
【0024】
(配合例2:親水性軟膏)
アスコルビン酸 0.5
ポリオキシエチレンセチルエーテル 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
ステアリン酸 4.0
グリセリンモノステアレート 10.0
流動パラフィン 10.0
ワセリン 4.0
セタノール 5.0
プロピレングリコール 5.0
1,2−オクタンジオール 0.5
ラルリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液 0.2
精製水 残分
合計 100.0
【0025】
(配合例3:飲料)
アスコルビン酸 0.5
ブドウ糖液糖 33.0
グレープフルーツ果汁 64.0
1,2−オクタンジオール 0.5
ラルリルジメチルアミノ酢酸ベタイン液 0.1
酸味料 適量
合計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の防腐殺菌剤は、1,2−アルカンジオールが本来有する抗菌力を増強して優れた抗菌活性を有するとともに、高い安全性を有しているので、化粧料、医薬品及び食品などの防腐殺菌剤として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】二元最小発育阻止濃度から抗菌性を有する2種類の物質を配合した場合により生じる作用効果を判定する方法の一例を示す図である。
【図2】実施例1における大腸菌の二元最小発育阻止濃度図である。
【図3】実施例1における酵母の二元最小発育阻止濃度図である。
【図4】実施例1におけるカビの二元最小発育阻止濃度図である。
【図5】実施例2における大腸菌の二元最小発育阻止濃度図である。
【図6】実施例2における酵母の二元最小発育阻止濃度図である。
【図7】実施例2におけるカビの二元最小発育阻止濃度図である。
【出願人】 【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区十二軒町5番12号
【出願日】 平成16年1月28日(2004.1.28)
【代理人】 【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博

【公開番号】 特開2005−213164(P2005−213164A)
【公開日】 平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願番号】 特願2004−19306(P2004−19306)