| 【発明の名称】 |
植物病害防除用水性組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 泰弘
【氏名】松岡 和義
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| 【要約】 |
【課題】分散時の均一性や貯蔵安定性が良好であって、長期間保存しても安定してその剤型、効果を保持する植物病害防除用水性組成物を提供すること。
【解決手段】ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液と植物油及び/又は植物油ケン化物とを含有してなる植物病害防除用水性組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽出液と植物油及び/又は植物油ケン化物とを含有してなる植物病害防除用水性組成物。 【請求項2】 植物油が大豆油である請求項1記載の組成物。 【請求項3】 水溶性アルコールをさらに含有してなる請求項1又は2記載の組成物。 【請求項4】 天然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオールをさらに配合してなる請求項1〜3いずれか記載の組成物。 【請求項5】 ヒノキチオール含有率(天然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオールと抽出液との総量に対するヒノキチオール総量の割合)が1〜20重量%である請求項1〜4いずれか記載の組成物。 【請求項6】 抽出液中のヒバ抽出液の含有率が1〜20重量%である請求項1〜5いずれか記載の組成物。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、農業分野に使用することができる植物病害防除用水性組成物に関す る。 【背景技術】 【0002】 従来より、うどんこ病等の植物病の病原菌や、ダニ、スリップス等の害虫の駆 除には、ピレスロイド系殺虫剤、有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、各 種合成殺ダニ剤が用いられている。しかしながら、これらの殺虫、殺ダニ、植物 用抗菌剤には、人体に対する安全性の問題に加え、害虫や病原菌の薬剤抵抗性の 出現という大きな問題がある。 【0003】 農業分野では、様々な薬害が注目される中、減農薬栽培や有機栽培が広く普及 しつつあり、安全性の高い天然成分を利用した植物栽培が注目されている。例え ば、ヒバ油やヒノキチオールの抗菌性を利用した土壌の改質、植物の病害虫防除 、植物の育成賦活等の試みがある(例えば、特許文献1〜6参照)。 【0004】 しかしながら、ヒバ油やヒノキチオールの利用形態は、不均一な状態の懸濁液 を土壌に灌水、灌注あるいは病患部に塗布、あるいはおがくず等の担体に含浸さ せて土壌に散布するという、極めて限定的で手間のかかるものであった。 【0005】 というのは、ヒバ油やヒノキチオールは水への溶解性が低く、水に均一に分散 液にすることが困難だったからである。また、いったん均一に分散させることが できても、比較的短時間でヒバ油が分離したり、ヒノキチオールが結晶状態で析 出してくる等の現象が生じてしまう。このような、分散時の均一性や貯蔵安定性 に問題があることから、小さいノズルから溶液を散布する葉面散布や溶液の貯蔵 を必要とする自動灌水等には使用できなかった。取り分け、ヒノキチオールには 植物生長阻害活性があることから(例えば、非特許文献1参照)、ヒノキチオー ルを、濃度勾配が生じた不均一な状態で植物や土壌に散布した場合、高濃度のヒ ノキチオールが散布された植物では、その生長が阻害される等の問題が生じる。 そのため、上記利点があるにも関わらず、ヒバ油やヒノキチオールの農業分野で の利用は未だに普及していないのが実情である。 【特許文献1】特開昭50−40725号公報 【特許文献2】特開昭50−52235号公報 【特許文献3】特開昭51−22819号公報 【特許文献4】特開昭60−90102号公報 【特許文献5】特開昭64−90103号公報 【特許文献6】特開昭64−90104号公報 【特許文献7】特開平6−40831号公報 【非特許文献1】Chem. Pharm. Bull. 39(9), p.2378-2381 (1991) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 したがって、本発明の課題は、分散時の均一性や貯蔵安定性が良好であって、 長期間保存しても安定してその剤型、効果を保持する植物病害防除用水性組成物 を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 即ち、本発明は、 〔1〕 ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液から なる群より選ばれる一種以上の抽出液と植物油及び/又は植物油ケン化物とを含 有してなる植物病害防除用水性組成物、 〔2〕 植物油が大豆油である前記〔1〕記載の組成物、 〔3〕 水溶性アルコールをさらに含有してなる前記〔1〕又は〔2〕記載の組 成物、 〔4〕 天然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオールをさらに配合してな る前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の組成物、 〔5〕 ヒノキチオール含有率(天然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオ ールと抽出液との総量に対するヒノキチオール総量の割合)が1〜20重量%で ある前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の組成物、並びに 〔6〕 抽出液中のヒバ抽出液の含有率が1〜20重量%である前記〔1〕〜〔 5〕いずれか記載の組成物、 に関する。 【発明の効果】 【0008】 本発明により、植物病害防除効果に優れ、しかも天然由来の成分を含有してな るため、残留毒性、人体や環境等への悪影響が著しく少なく、さらには長期間保 存しても安定してその剤型、効果を保持するという優れた性質を有する植物病害 防除用水性組成物が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明の植物病害防除用水性組成物における「水性」とは、該組成物に水が含 まれることを必須とすることを意味するのではなく、該組成物が水と併用可能で あることを意味するものである。 【0010】 ヒバ油は、青森県に広く分布するヒバ(ヒノキ科アスナロ属ヒノキアスナロ) から抽出される樹木成分であり、抗菌性や防虫効果がある。ヒバ油の成分は大き く中性油と酸性油とに分けることができる。中性油の主成分はツヨプセン、セド ロール、ウィドロール、その他多くのテルペン類等から成り、害虫忌避等の効果 がある。酸性油の主成分はカルバクロール、1−ロジン酸、ヒノキチオール、β −ドラブリン、その他トロポロン誘導体やフェノール誘導体等から成り、抗菌効 果がある。特に酸性油を精製して得られるヒノキチオールは高い安全性、広い抗 菌スペクトル、強い抗菌性および耐性菌を出現させない等の特徴を有しており、 天然の抗菌剤として有用な化合物で、医療、化粧品、食品、農業等の分野におい て応用が可能である。 【0011】 本発明に用いられる抽出液は、ヒバ、台湾ヒノキ(ヒノキ科ヒノキ属タイワン ヒノキ)、及びウエスタンレッドシダー(ヒノキ科クロベ属ウエスタンレッドシ ダー)から抽出される抽出液からなる群より選ばれる少なくも1つの抽出液であ る。 【0012】 前記いずれのの抽出液にもヒノキチオールが含まれていることが知られている 。かかる抽出液は単独で用いても良く、複数成分を併用しても良い。抽出液はそ の樹木のオガクズやチップを原料とした溶剤抽出や水蒸気蒸留等の方法により得 ることができる。取り分け、ヒバの抽出液はヒバ油として市販されているため、 入手が容易である。溶剤抽出法とは、エタノール、メタノール、アセトン、エー テル、その他炭化水素などの有機溶媒により樹木成分を抽出したのち、有機溶媒 を除去する方法である。水蒸気蒸留法とは、オガクズやチップに水蒸気を吹き込 み、水蒸気とともに樹木成分を留去し、後に水と樹木成分を分離する方法である 。 【0013】 一般にヒバ油の場合は水蒸気蒸留により抽出されている。例えば、ヒバのオガ クズ約1トンから約10kgのヒバ油を得ることができる。ヒバ油には抗菌成分 としてヒノキチオール、β−ドラブリンが含まれている。本発明の抽出液として は、植物病原菌に対して優れた抗菌性を発揮させる観点から、使用される全抽出 液中のヒバ抽出液の含有率が1〜100重量%であるものが好ましく、2〜80 重量%であるものがより好ましい。なお、後述するように抽出液には天然及び/ 又は合成ヒノキチオールを添加することができるが、ヒノキチオールを抽出液に 添加する場合、本発明において使用される抽出液とは、ヒバ抽出液、台湾ヒノキ 抽出液及びウエスタンレッドシダー抽出液からなる群より選ばれる一種以上の抽 出液と添加したヒノキチオールとからなる。 【0014】 抽出液中のヒノキチオールの含有量は特に限定されない。例えば、抽出液に天 然ヒノキチオール及び/又は合成ヒノキチオールを添加し、任意の含有量に調整 してもよい。従って、本明細書において、「抽出液中のヒノキチオールの含有量 」と言う場合、抽出液中に元々含まれているヒノキチオールのみならず別途ヒノ キチオールが添加される場合には添加された天然ヒノキチオール及び/又は合成 ヒノキチオールをも意味しており、従って、抽出液中のヒノキチオールの含有量 とは抽出液中に元々含まれているヒノキチオールと添加された天然ヒノキチオー ル及び/又は合成ヒノキチオールとの総量を意味することになる。抽出液中のヒ ノキチオールの含有量の下限値は、添加前の抽出液に元々含まれているヒノキチ オールの含有量に依存するが、ヒノキチオール含有率(天然ヒノキチオール及び /又は合成ヒノキチオールと抽出液との総量に対するヒノキチオール総量の割合 )が、1重量%以上が好ましく、4重量%以上がより好ましく、6重量%以上が さらに好ましい。また、その上限値は50重量%以下が好ましく、さらに好まし くは40重量%以下であり、20重量%以下がより好ましく、15重量%以下が 特に好ましい。なかでも、十分な植物防除効果を発揮させる観点からは1〜20 重量%が好ましい。 【0015】 本発明においては、前記抽出液と共に植物油及び/又は植物油ケン化物が用い られるが、植物油及び/又は植物油ケン化物は、本発明の組成物において、特に ヒバ抽出液(ヒバ油)及び/又はヒノキチオールを安定に分散又は乳化させると いう効果を発揮する。なお、植物油ケン化物とは、植物油を公知の方法に従って ケン化したものである。植物油のケン化は、公知の方法〔例えば、化学大辞典3 、420〜421頁(共立出版株式会社)参照〕に従って行うことができる。 【0016】 植物油及び植物油ケン化物としては、特に限定されるものではないが、例えば 、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、綿実油、ヒマシ油、パーム油、アマ ニ油、エノ油、キリ油等の植物油、及びそれらの植物油のケン化物を挙げること ができる。これらは各々単独で若しくは2種以上を混合して用いることができる 。なかでも、食用としてやセッケン成分に用いられ、人体への安全性が高く、環 境等への悪影響が著しく少ないことから、大豆油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ 油からなる群より選ばれる少なくとも1種の植物油及び当該植物油のケン化物が 好適に使用される。特に、植物油及び植物油ケン化物としては、大豆油及びその ケン化物が好適に使用される。 【0017】 前記植物油は、それぞれの原料より公知の方法〔例えば、化学大辞典4、83 8頁(共立出版株式会社)参照〕に従って抽出することにより得られる。市販の ものが多く存在するので、通常、それらを使用するのが好適である。 【0018】 本発明の組成物は、さらに水溶性アルコールを含有しても良い。かかるアルコ ールを含有させることにより、組成物の粘度を所望の程度に調整することができ 、組成物の安定性が向上するという効果が奏される。 【0019】 水溶性アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリ コール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー ル、ポリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらは各々単独で 若しくは2種以上を混合して用いることができる。なかでも、エタノールとグリ セリンが好適である。 【0020】 また、本発明の組成物には、水を含有させてもよい。水は特に限定されるもの ではなく、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水、地下水、水道水、精製水等 が用いられる。なお、水を含む場合、均一な溶液とする観点から、かかる溶液の pHとしては6〜8が好ましい。 【0021】 本発明の組成物における抽出液と植物油及び/又は植物油ケン化物、及び所望 により用いられる水溶性アルコールの含有量としては、抽出液1〜20重量%、 植物油及び/又は植物油ケン化物1〜30重量%、及び水溶性アルコール0〜6 0重量%が好ましく、抽出液2〜15重量%、植物油及び/又は植物油ケン化物 5〜25重量%、及び水溶性アルコール5〜50重量%がより好ましく、抽出液 5〜10重量%、植物油及び/又は植物油ケン化物10〜20重量%、及び水溶 性アルコール10〜40重量%が特に好ましい。製剤の安定性及び所定の効果を 発揮させる観点から、かかる範囲が好ましい。 【0022】 なお、抽出液と植物油及び/又は植物油ケン化物との混合比としては、特に限 定されるものではないが、抽出液及び/又はヒノキチオールを水に安定に分散又 は溶解させる観点から、抽出液100重量部に対して、好ましくは植物油及び/ 又は植物油ケン化物150〜400重量部、より好ましくは植物油及び/又は植 物油ケン化物200〜300重量部である。 【0023】 本発明の組成物は、各成分を混合することにより容易に調製することができる 。 【0024】 本発明の組成物は、適宜水等で希釈して使用することができる。このときの希 釈倍率としては、ヒノキチオールの含有量をもとに設定することが好ましい。例 えば、希釈して使用する場合のヒノキチオールの含有量は、10〜10000p pmが好ましく、50〜5000ppmがより好ましく、100〜3000pp mがさらに好ましい。 【0025】 本発明の組成物は、直接又は水で希釈した溶液として、例えば、葉面散布した り、灌水により植物に与えたりすることにより用いられる。希釈して用いる場合 、病害防除効果を十分に発揮させる観点から、ヒノキチオールが100〜300 0ppm程度含まれているのが好ましい。 【0026】 本発明の組成物は、ヒバ抽出液、台湾ヒノキ抽出液及び/又はウエスタンレッ ドシダー抽出液を含有するため、植物の病害防除のために使用することができる 。 【0027】 加えて本発明の組成物は、長期間安定してその剤型、活性を保持することがで きるため、従来では困難であった葉面散布、自動灌水、くん煙や超音波による蒸 散といった利用形態に好適に適用できる。 【実施例】 【0028】 以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はその主旨を超 えない限りこれらの実施例により限定されるものではない。 【0029】 実施例1 本発明品である植物病害防除用水性組成物の各種植物病害菌に対する抗菌効果 を調べた。抗菌効果の検定の対象とした植物病害菌は、Botryotinia fuckeliana IFO-30915、Phomopsis obscurans MAFF-744018 、Fusarium solani IFO-9955、 Fusarium oxysporumの4種とした。これらの植物病害菌に対する抗菌効果の検定 は平板希釈法によって行い、2日間培養後、菌叢の生長度合いから製剤の最小発 育阻止濃度(含有量:μg/mL)を求めた。 【0030】 植物病害防除用水性組成物は次のようにして調製した。すなわち、大豆油〔日 清オイリオ(株)製、商品名:大豆白絞油〕1650g、グリセリン1650g 、エタノール1430gを混合し、60℃に加温した。30分間攪拌後、50% KOH水溶液740gを加え、さらに5時間攪拌した。冷却後、エタノール11 00g、ヒバ油(木村産業(有)製、商品名:青森ヒバ油)550g、ヒノキチ オール(大阪有機化学工業(株)製)220g及び精製水3674gを加えて均 一な水溶液として該組成物を得た。 【0031】 植物病害防除用水性組成物の各種植物病原菌に対する最小発育阻止濃度(含有 量)を表1に示す。これらの結果から該組成物は抗菌範囲が広く、比較的高い抗 菌活性を有することが分かる。 【0032】 【表1】
【0033】 実施例2 実施例1で製造した植物病害防除用水性組成物を100倍に希釈し、2ヶ月間 保存したが、ヒバ油及びヒノキチオールの分離は見られなかった。 【0034】 実施例3 実施例1で製造した植物病害防除用水性組成物を−20℃で凍結した後、解凍 する操作を5回繰り返したが、ヒバ油及びヒノキチオールの分離は生じなかった 。 【産業上の利用可能性】 【0035】 本発明により、植物病害防除効果に優れ、安全に使用でき、さらには長期間保 存しても安定してその剤型、効果を保持する優れた植物病害防除用水性組成物が 提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000205638 【氏名又は名称】大阪有機化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成15年12月4日(2003.12.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095832 【弁理士】 【氏名又は名称】細田 芳徳
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| 【公開番号】 |
特開2005−162689(P2005−162689A) |
| 【公開日】 |
平成17年6月23日(2005.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願2003−405557(P2003−405557) |
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