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【発明の名称】 微小節足動物の活動観察方法
【発明者】 【氏名】鈴木 政宏
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】伴 武
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】永井 智
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【氏名】横須賀 道夫
【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】熟練を要する技術や高価な試薬を必要とせず、住居内に棲息する、ダニ等の微小節足動物または微小節足動物由来の物質を簡便に活動観察または検出できる方法を提供する。

【解決手段】蛍光物質および/または蓄光物質を含有する餌(例えば乾燥ビール酵母)を微小節足動物に摂食させた後、例えば紫外線を照射して、微小節足動物の活動の観察または微小節足動物もしくは微小節足動物に由来する物質の検出を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光物質および/または蓄光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させる工程を含む、微小節足動物の活動観察方法。
【請求項2】
蛍光物質および/または蓄光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させる工程を含む、微小節足動物または微小節足動物に由来する物質の検出方法。
【請求項3】
前記餌が蛍光物質を含有するものであり、紫外線の照射下に、微小節足動物の活動の観察または微小節足動物もしくは微小節足動物に由来する物質の検出を行う、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
蛍光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させる工程、摂食後の微小節足動物に紫外線を照射する工程、を含む、微小節足動物の活動観察方法。
【請求項5】
蓄光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させる工程を含む、微小節足動物の活動観察方法。
【請求項6】
前記餌が、蛍光物質および/または蓄光物質を0.01〜10重量%含有する請求項1〜5の何れか記載の方法。
【請求項7】
蛍光物質が蛍光増白剤である請求項1〜4、6何れか記載の方法。
【請求項8】
微小節足動物がダニ目に属する動物である請求項1〜7何れか記載の方法。
【請求項9】
蛍光物質および/または蓄光物質を0.01〜10重量%含有する請求項1〜8いずれか記載の方法に供される微小節足動物用餌。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は微小節足動物の活動観察方法および微小節足動物または微小節足動物に由来する物質の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高気密性住宅や冷暖房の普及から我々は一年中快適な住生活環境を得ることが可能となった。しかしながらこの環境は室内に棲息している生物にとっても非常に増殖しやすい環境といえる。室内に棲息する生物およびその生物に由来する物質の増加は人間の健康に悪影響を与える可能性があり、中でも微小節足動物または微小節足動物に由来する物質はアレルギーの原因物質(アレルゲン)となりうることが知られている。これら微小節足動物はもともと小さい上、その微小節足動物に由来する物質はさらに小さくなるため事実上目視で確認することは不可能である。一方、住居内の微小節足動物や微小節足動物に由来する物質の数/量の把握はアレルギーの発症や症状を緩和するための観点から非常に有用な情報であると考えられる。これらの背景から住居内に棲息する微小節足動物の数やその微小節足動物由来の物質の量を容易に確認可能となる方法が望まれており、今までにも数々の方法が提案されている。
【0003】
住居内の微小節足動物を確認する方法としては、住居内のダスト毎微小節足動物を採集し、その中に含まれる微小節足動物を光学顕微鏡やマイクロスコープなどで活動観察する方法が挙げられる。この方法はたくさんの夾雑物を含むサンプルの中から目的の微小節足動物を見分ける熟練した技術が必要であり簡便性に欠ける。
【0004】
また住居内の微小節足動物由来の物質を確認する方法としては、掃除機等で住居内のダストを採集し、その中に含まれる物質を溶媒抽出した上で酵素免疫測定法、放射免疫測定法を用い測定する方法が挙げられるが、これらの方法は非常に高価な試薬が必要であり、かつ熟練した技術を要する煩雑な操作が伴うことからやはり簡便な方法とは言い難い。また特許文献1で提案されている簡易検査キットを用いた方法も挙げられるが、数段階のレベルでしか検出ができないなどの課題が残されている。
【特許文献1】特開2001−305134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の課題は、熟練を要する技術や高価な試薬を必要とせず、住居内に棲息する微小節足動物または微小節足動物由来の物質を簡便に活動観察または検出できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蛍光物質および/または蓄光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させる工程を含む、微小節足動物の活動観察方法に関する。
【0007】
また、本発明は、蛍光物質および/または蓄光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させる工程を含む、微小節足動物または微小節足動物に由来する物質の検出方法に関する。
【0008】
また、本発明は、蛍光物質および/または蓄光物質を0.01〜10重量%含有する上記本発明の方法に供される微小節足動物用餌に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、蛍光物質および/または蓄光物質を含有する餌を微小節足動物に摂食させることにより、通常活動観察/検出することが困難な微小節足動物および微小節足動物由来の物質を容易に活動観察/検出することが可能となった。また高度な技術を必要とする誘引試験等にも応用できることが明らかとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に用いられる蛍光物質は、紫外線などの照射により蛍光発光するものを指し、また、蓄光物質は、光を遮るなどにより蓄光発光するものを指す。蓄光物質は、太陽光や蛍光灯などの光の刺激を受けてエネルギーを吸収し、それを可視光に変換して、刺激停止後も光を徐々に放出しながら、ある時間発光し続ける物質である。一般に、エネルギー変換して光を放出する時、その刺激を受けている間だけ発光する物質が蛍光物質、刺激を停止した後も比較的長時間発光が持続する物質が蓄光物質と認識される。蛍光発光、蓄光発光ともに発光時の色調は青色、緑色、ピンク色、黄色、白色など特に制限されない。
【0011】
本発明の活動観察/検出の対象となる微小節足動物は、「岩波生物学辞典第4版」(1996年3月21日、株式会社岩波書店発行)巻末の動物分類表において節足動物に属し、最も成長した時点での全長が1mm以下の節足動物を指し、蜘蛛綱に属する動物、特にコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニなどダニ目に属する動物の活動観察/検出に適している。
【0012】
餌の成分としては活動観察の対象となる微小節足動物に応じて用いるものを選んでよく、炭水化物、タンパク質、脂肪など特に制限されない。さらに餌には微小節足動物に悪影響を与えない範囲で種々の物質を添加してもよく、そのものの例としては香料、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、色素、誘引剤などが挙げられる。
【0013】
蛍光物質および/または蓄光物質の餌への配合方法としては餌成分と蛍光物質および/または蓄光物質とを乳鉢で均一になるまですりつぶす方法や、蛍光物質および/または蓄光物質を各種有機溶剤や水などに分散させ、餌成分に対してトリガー式噴霧器を利用して散布後、乾燥させる方法などが挙げられるが、特に限定されない。
【0014】
蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌の形態としては、粉末状、ペレット状、ゲル状、液状、錠剤など対象となる微小節足動物に適した形態で使用すればよく、特に限定されるものではない。またこれらの餌はそのままの形態で使用してもよいが、プラスチック製の皿や収納容器等に入れて使用してもよい。
【0015】
蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌を、対象となる微小節足動物に摂食させる方法は特に制限されないが、あらかじめ容器の中で飼育しておく方が好ましい。飼育時の温湿度条件は微小節足動物が十分に活動している必要があることから、温度10℃〜30℃、湿度60%RH〜90%RH、より好ましくは温度20℃〜30℃、湿度60%RH〜80%RHである。観察時に十分な発光強度を得るために、ある一定期間以上蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌を微小節足動物に摂食させる工程が必要となる。蛍光物質および/または蓄光物質を十分な発光強度が得られるまで微小節足動物内に蓄積させるためには、餌中の蛍光物質および/または蓄光物質の濃度にもよるが7日以上、より好ましくは14日以上摂食させることが望ましい。また微小節足動物の観察時には、観察直前にできる限り餌と微小節足動物とを分離しておくことで、観察時に餌由来の発光を防ぐことができ、微小節足動物自体の活動をより観察しやすくなる。
【0016】
蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌を摂食させた微小節足動物の観察は紫外線の照射や光の遮断等により、蛍光物質および/または蓄光物質を発光させた状態で観察を行う。微小節足動物の活動観察を詳細に行うために光学実体顕微鏡やマイクロスコープを使用しての観察がより好ましい
【0017】
また本発明における蛍光物質および/または蓄光物質を摂食させた微小節足動物を用いることにより、該微小節足動物の忌避試験や誘引試験等にも応用することができる。これらの試験はあらかじめ試験物質、および対照物質に対して、一定数放した微小節足動物がどちらの物質に対してどの程度寄っていくかを、微小節足動物を直接数えて効果判定するものであり、非常に作業負荷が高く熟練した技術を必要とする。これに対し、本発明は、微小節足動物に摂取された蛍光物質および/または蓄光物質が、体表を通じて発光を確認できることを見出したものであり、紫外線の照射、光の遮断など、蛍光物質や蓄光物質が発光できる条件を与えて観察を行うため、観察しやすいのに加え、例えば、微小節足動物に対する薬剤の効果を、写真撮影後、画像解析を用い試験物質と対照物質との比を求めることで評価する場合など、より容易にその効果の判定が可能となる。さらに、シャッターを開放した状態で写真撮影をすれば、これら微小節足動物の動線、行動範囲も観察可能となる。
【0018】
さらに本発明は、通常、微小節足動物が深く潜ることにより、その活動を確認できないような場所における微小節足動物の活動観察にも適している。例えば、カーペット、ふとん、ソファーなどの場所では、通常これら微小節足動物は深く潜ってしまいがちであることから、これらの場所における活動を直接観察するは難しい。本発明では微小節足動物がカーペットの奥に潜った場合も、微小節足動物自体が発光しているため非常に観察しやすい。また仮に上方からの観察ができなかった場合でも、断面を切り出すことで観察は可能となり、同時に深さ方向における分布の確認も可能となる。
【0019】
本発明においては微小節足動物に蛍光物質および/または蓄光物質を直接摂食させるため、卵、糞や分泌物など微小節足動物に由来する物質においてもこれら蛍光物質および/または蓄光物質が蓄積する。このことから本発明は微小節足動物自体の活動観察だけでなく、微小節足動物や微小節足動物の死骸、微小節足動物に由来する物質の検出にも適用できる。例えば、蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌を住居内に一定期間設置し、その後餌を設置した場所の周辺を紫外線照射や光の遮断による発光条件下、発光するものの有無により微小節足動物および微小節足動物由来の物質の検出をすることができる。
【0020】
微小節足動物および微小節足動物に由来する物質の検出時に使用される餌の成分としては、微小節足動物の活動観察時と同様、検出の対象となる微小節足動物に応じて用いるものを選んでよく、炭水化物、タンパク質、脂肪など特に制限されない。また微小節足動物の活動観察時と同様、餌には微小節足動物に悪影響を与えない範囲で種々の物質を添加してもよく、その例としては香料、防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、色素、誘引剤などが挙げられる。
【0021】
微小節足動物および微小節足動物に由来する物質の検出時に使用される餌への蛍光物質および/または蓄光物質の餌への配合方法としては、微小節足動物の活動観察時と同様、餌成分と蛍光物質および/または蓄光物質とを乳鉢で均一になるまですりつぶす方法や、蛍光物質および/または蓄光物質を各種有機溶剤や水などに分散させ、餌成分に対してトリガー式噴霧器を利用して散布後、乾燥させる方法などが挙げられるが、特に限定されない。
【0022】
微小節足動物の活動観察時と同様、蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌の形態としては、粉末状、ペレット状、ゲル状、液状、錠剤など対象となる微小節足動物に適した形態で使用すればよいが、住居内への設置が必要であり、取り扱いのしやすさの点から粉末状、ペレット状、錠剤の形態が好ましい。またこれらの餌はそのままの形態で使用してもよいが、プラスチック製の皿や収納容器等に入れて使用してもよい。
【0023】
蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌は住居内の場所に設置し、微小節足動物に直接摂食させる。十分な発光強度を得るために、ある一定期間以上蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌を摂食させる工程が必要となる。蛍光物質および/または蓄光物質を十分な発光強度が得られるまで微小節足動物内に蓄積させるために、餌中の蛍光物質および/または蓄光物質の濃度にもよるが7日以上、より好ましくは14日以上摂食させることが望ましい。また特に該餌に由来する発光をできるだけ防ぐ目的から、微小節足動物および微小節足動物に由来する物質の検出を実施する前に該餌を設置場所から撤去し、簡単な清掃を行うことが望ましい。
【0024】
蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌を摂食させた微小節足動物および微小節足動物由来の物質の検出は紫外線の照射、光の遮断等により蛍光物質および/または蓄光物質を発光させた状態で行う。対象物の大きさによっては肉眼で発光を検出できる場合もあるが、光学実体顕微鏡やマイクロスコープを使用することでより検出がしやすくなる。
【0025】
微小節足動物の活動観察、微小節足動物および微小節足動物に由来する物質の検出は蛍光物質および/または蓄光物質を紫外線照射や光の遮断により発光させて行う。本発明においては蛍光発光および/または蓄光発光させる手段は何ら制限されないが、取り扱いやすさや汎用性の点から紫外線光源を使用して発光させることが望ましい。使用する紫外線光源は蛍光物質および/または蓄光物質の種類にもよるが、主波長が300nm〜400nmの紫外線の使用が好ましい。紫外線光源の形態としては乾電池の使用が可能なハンディタイプのものや交流100V電源で動作する卓上型のものなど何ら制限はないが、蛍光物質および/または蓄光物質を摂食させる期間が短くても観察しやすくなることから高紫外線強度タイプ(浜松ホトニクス(株)製 LIGHTINGCUREシリーズなど)の光源を使用することが好ましい。
【0026】
本発明における餌中の蛍光物質および/または蓄光物質濃度は該物質の種類や微小節足動物の種類にもよるが、微小節足動物自体に影響を与えることなく、かつ十分な発光強度を得るために、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。
【0027】
本発明に用いられる蛍光物質および/または蓄光物質としては、FZシリーズ、SWシリーズ(シンロイヒ化学株式会社)などの蛍光剤、ルミノーバ(根本特殊化学株式会社)などの蓄光剤、TinopalシリーズやTinosorb シリーズ(共にCiba Speciality Chemicals社)、BRY−10シリーズ(マクテシム社)、Photine CBUSシリーズ(HICKSON社)、Mikephor TMシリーズ(三井東圧社)、Shining CFシリーズ(沈陽化工)、Blankophor シリーズ(Bayer社)、Syno White CBWシリーズ(京仁社)、Opiblanc BTシリーズ(3V Sigma社)、Whitex WSシリーズ(住友化学社)などの蛍光増白剤などが使用できるが、中でも衣料用洗剤等で用いられ、汎用性のある蛍光増白剤が好ましい。
【0028】
本発明における蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌は微小節足動物の活動観察および微小節足動物に由来する物質の検出のために適しており、餌中の蛍光物質および/または蓄光物質濃度は該物質の種類や微小節足動物の種類にもよるが、微小節足動物自体に影響を与えることなく、かつ十分な発光強度を得るために好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%である。また、蛍光物質および/または蓄光物質を含む餌は紫外線照射条件下で微小節足動物の活動観察および微小節足動物に由来する物質の検出をするのに適しており、特に「岩波生物学辞典第4版」巻末の動物分類表において蜘蛛綱に属する微小節足動物、特にダニ目に属する動物の活動観察/検出に適している。
【実施例1】
【0029】
<コナヒョウヒダニの活動観察>
実験動物用粉末飼料(オリエンタル酵母(株) MFマウス、ラット、ハムスター用)を300umのふるい(JIS Z 8801準拠)にかけたものと乾燥酵母(アサヒビール薬品(株)、乾燥酵母エビオス)を重量比1:1で混ぜ(以下、飼育試料用酵母)、70℃で2時間加熱処理を行った培地に、蛍光増白剤 Thinopal−CBX(Ciba Speciality Chemicals社)を、濃度が1重量%になるように添加し、蛍光増白剤含有餌を調製した。この蛍光増白剤含有餌と別途約1ヶ月飼育したコナヒョウヒダニ培地(温度約20℃、飽和食塩水で調湿した条件下、飼育試料用酵母中にて約1ヶ月飼育したもの、30000匹/g餌)を重量比1:1で混合し、温度約20℃、飽和食塩水で調湿した条件下で1週間飼育した。1週間経過後、全体を均一になるように再度混ぜ、さらに1週間飼育した。2週間後、この混合した培地からコナヒョウヒダニの虫体のみ30匹を分離し、蛍光増白剤で処理されていない布上に放ち、ダニが逃げないようにした状態で1日放置した。その後、室内光(蛍光灯)下で紫外線光源 LC−5シリーズ L8333(浜松ホトニクス(株)製)を用いて布上に紫外線を照射しながら、光学実体顕微鏡(NIKON(株)製)で観察を行ったところ、コナヒョウヒダニの虫体および死骸、卵、糞が青白く光っているのが確認された。同様にこのコナヒョウヒダニをカーペットに放った場合、容易にコナヒョウヒダニ虫体の活動観察ができた。また、蛍光増白剤を含んだ餌で飼育したコナヒョウヒダニは全暗条件下でも紫外線を照射することで容易に虫体および死骸、卵、糞を確認することができた。
【0030】
一方、同様の観察条件下で蛍光増白剤を含まない餌にて飼育したコナヒョウヒダニをカーペットに放った場合、カーペットに潜ってしまうと、紫外線照射による発光がないため活動観察は難しかった。なお、全暗条件下での紫外線照射によっても同様に観察は困難である。
【実施例2】
【0031】
<ヤケヒョウヒダニの誘引試験>
<供試ダニ>
実施例1で調製した蛍光増白剤含有餌と、別途約1ヶ月飼育したヤケヒョウヒダニ培地(温度約20℃、飽和食塩水で調湿した条件下、実施例1同様の飼育試料用酵母中にて約1ヶ月飼育したもの、25000匹/g餌)を重量比1:1で混合し、温度約20℃、飽和食塩水で調湿した条件下で1週間飼育した。1週間経過後、全体を均一になるように再度混ぜ、さらに1週間飼育した。この培地中から300〜400匹のヤケヒョウヒダニを取り出し、試験に使用した。
【0032】
<誘引試験>
ヤケヒョウヒダニの誘引剤として知られている乾燥ビール酵母2mgを試験区用として5cm角の白色ろ紙上に載せた。一方、対照区には何も処理していない5cm角の白色ろ紙を使用した。22×11cmのガラス製皿の両端に、試験区のろ紙と対照区用のろ紙をそれぞれ置き、中心部に供試ダニ300〜400匹を置いた。これを飽和食塩水で相対湿度85%に調整したプラスチック製密閉容器の中に置き、全暗状態、25℃で保存した。20時間後に白色ろ紙の表裏両面および白色ろ紙の下に集まった供試ダニを、マイクロスコープVH−8000〔(株)キーエンス製〕を用い、全暗状態で、紫外線〔光源 LC−5シリーズ L8333(浜松ホトニクス(株)製)〕を照射して観察した。その結果、ダニが紫外線により発光するため、動き回る状態が十分に確認でき、明るい状態で固体の乾燥ビール酵母存在下でダニを数える必要がある従来のカウント法に比べ、容易にカウントすることができた。
【0033】
また、試験区、対照区それぞれの写真を全暗条件下にて撮影し、画像解析ソフト「WINLOOF」〔三谷商事(株)製〕にて画像をグレースケール変換、単色しきい値によるイメージ抽出後、イメージの総面積を計算し、試験区と対照区の比を算出することで誘引剤の評価を行った。その結果、従来の方法では、ろ紙の洗い出し、吸引ろ過、顕微鏡観察と約1時間の工程を要したのに対し、蛍光増白剤を含む餌で飼育したダニを使用した場合は約20分でその誘引効果の評価を行うことができた。
【0034】
更にこれら紫外線照射下、カウントおよび画像解析にて評価を行った誘引剤の試験結果は従来のカウント法と良く一致した。
【実施例3】
【0035】
<実際の家庭におけるダニおよびダニに由来する物質の検出>
事前にダニで汚染されていることがわかっているカーペットに、実施例1で調製した蛍光増白剤含有餌(ただし、蛍光増白剤Thinopal−CBX濃度は2重量%)を粉末の状態で1gそのカーペットの一部に設置し、30日間放置した。30日後、蛍光増白剤を設置しておいた場所から50cm離れた場所を紫外線〔光源 LC−5シリーズ L8333(浜松ホトニクス(株)製)〕を照射して観察したところ、ダニ虫体、死骸、糞に由来する発光が検出された。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成15年12月2日(2003.12.2)
【代理人】 【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡

【識別番号】100076680
【弁理士】
【氏名又は名称】溝部 孝彦

【識別番号】100091845
【弁理士】
【氏名又は名称】持田 信二

【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌

【公開番号】 特開2005−162656(P2005−162656A)
【公開日】 平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願番号】 特願2003−402693(P2003−402693)