| 【発明の名称】 |
シクラメンの塊茎の保存方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉山 正夫
【氏名】村山 俊夫
【氏名】寺川 輝彦
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| 【要約】 |
【課題】シクラメンの休眠した塊茎を発芽率を低下させない状態で保存する方法を提供すること。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シクラメンの幼植物体を、VA菌根菌感染源と共存する状態で栽培した後、給水を停止し、塊茎を休眠させ、温度0〜10℃の条件下で貯蔵することを特徴とする、シクラメンの塊茎の保存方法。 【請求項2】 シクラメンの幼植物体が、組織培養により不定胚または不定芽から再分化して得られた植物体であることを特徴とする、請求項1に記載のシクラメンの塊茎の保存方法。 【請求項3】 VA菌根菌感染源と共存する状態で栽培する時期が、シクラメン幼植物体の育苗期であることを特徴とする、請求項1に記載のシクラメンの塊茎の保存方法。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの保存方法により得られたシクラメンの塊茎。 【請求項5】 請求項4に記載のシクラメンの塊茎を用いて栽培されたシクラメン植物体。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、シクラメンの塊茎の保存方法に関する。 【背景技術】 【0002】 シクラメンは、花卉鉢物類の中でも広く親しまれ栽培される植物のひとつであるが、高温多湿に弱く、通年栽培が難しいとされている。これを可能にする方法として、高温多湿な期間においては、(1)人為的に冷涼な環境を作りながら栽培する方法と、(2)栽培中に給水を一旦停止して塊茎を休眠させ、シクラメンを高温多湿による枯死から防ぐ方法が知られている(非特許文献1参照)。 【0003】 しかしながら、前者の方法では、灌水や施肥など栽培の維持管理に労力を要する。一方、後者の方法は、塊茎を休眠させるために、前者の方法に較べて労力を要しない優れた方法であるが、休眠状態が長期に及ぶと塊茎の発芽率が低下するという問題があった。 【0004】 栽培期間が1年未満のシクラメンにおいては、同様にして、給水を停止し、塊茎を休眠させて保存する報告がなされているが、発芽率との関係については何ら示されていない(特許文献1参照)。 【0005】 VA菌根菌は、様々な植物の根に共生し、リン酸などのミネラルや水の吸収を助け、生長を促進したり、耐病性や耐乾性を高めることが知られている。このような植物としては次のものが知られている。 【0006】 イネ科、ナス科、ユリ科、バラ科、マメ科、リンドウ科、キク科、サクラソウ科、フウロソウ科、ウリ科、ゴマノハグサ科、シュウカイドウ科、インポウゲ科、キキョウ科、イソマツ科、シソ科、トウダイクサ科、アマ科、アオイ科、スギ科、ヒノキ科、ツバキ科、ブナ科、アオギリ科、ヤマモモ科、モクレン科、サルナシ科、ミカン科、カエデ科、ウルシ科、ブドウ科、ハンノキ科、ザクロ科、モクセイ科、キョウチクトウ科、ミズキ科、センダン科など(特許文献2−5参照)。 【特許文献1】特開平6−311818号公報 【特許文献2】特開平2−291213号公報 【特許文献3】特開平5−137472号公報 【特許文献4】特開平5−146225号公報 【特許文献5】特開2000−4673号公報 【非特許文献1】平城好明著「NHK趣味の園芸作業12か月シクラメン第31巻」日本放送出版協会 1987年 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 これまでのシクラメンの塊茎の保存方法によれば、保存期間、保存状況などによってその後の発芽率がまちまちであり、大きく低下することがあった。こうしたことから、本発明の課題は、シクラメンの休眠した塊茎を発芽率を低下させない状態で保存する方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その結果、シクラメンの幼植物体を、VA菌根菌感染源と共存する状態で栽培した後、給水を停止して、塊茎を休眠させ、温度0〜10℃の条件下で貯蔵することにより、その後の発芽率が低下することがないことが分り、新しいシクラメンの塊茎の保存方法を見出すに至ったものである。 【0009】 したがって、第1の本発明の要旨するところは、シクラメンの幼植物体を、VA菌根菌感染源と共存する状態で栽培した後、給水を停止して、塊茎を休眠させ、温度0〜10℃の条件下で貯蔵することを特徴とするシクラメンの塊茎の保存方法にある。 【0010】 また、第2の本発明の要旨とするところは、シクラメンの幼植物体が、組織培養により不定胚または不定芽から再分化して得られた植物体を用いて、上記した方法により貯蔵する、シクラメンの塊茎の保存方法にある。 【0011】 また、第3の本発明の要旨とするところは、VA菌根菌感染源と共存する状態で栽培する時期が、育苗期とした後に上記の方法により貯蔵するシクラメンの塊茎の保存方法にある。 【発明の効果】 【0012】 本発明の方法を用いれば、シクラメンの休眠した塊茎を発芽率を低下させない状態で保存することが可能になる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0013】 次に本発明の方法について具体的に説明する。 【0014】 本発明に用いるシクラメンとしては、次のものが挙げられる。 (1)シクラメン パーシカム(Cyclamen persicum)、 (2)シクラメン ヘデリホリウム(Cyclamen hederifolium)、 (3)シクラメン グラエカム(Cyclamen graecum)、 (4)シクラメン プルプラセンス(Cyclamen purpurascens)、 (5)シクラメン コウム(Cyclamen coum) 【0015】 VA菌根菌感染源と共存する状態で栽培するシクラメンの幼植物体は、実生由来または組織培養由来であってもよいが、好ましくは、組織培養によって形成された不定胚または不定芽を再分化させて得られた幼植物体が適している。 【0016】 本発明は、こうしたシクラメンの幼植物体をVA菌根菌感染源と共存した状態で一定期間、栽培することによって、目的を達成することができる。 【0017】 シクラメンの幼植物体と共存させ感染させるVA菌根菌としては次のものが挙げられる。 ジャイガスポーラ(Gigaspora)属、 スクテロスポーラ(Scutellospora)属、 グロマス(Glomus)属、 アカウロスポラ(Acaulospora)属、 スクレロシスチツ(Sclerocystis)属、 エンテロフォスポーラ(Entrophospora)属。 好ましくは、次のものが挙げられる。 ジャイガスポーラ・マルガリータ(Gigaspora margarita)、 ジャイガスポーラ・アルビダ(Gigaspora albida)、 スクテロスポーラ・グレガリア(Scutellospora gregaria)、 グロマス・ファシキュラツム(Glomus fasciculatum)、 グロマス・エツニカツム(Glomus etunicatum)、 グロマス・モセアエ(Glomus mosseae)、 グロマス・クララム(Glomus clarum)、 グロマス・オカルタム(Glomus occultum)、 グロマス・イントララディックス(Glomus intraradix)、 グロマス・アグリゲイツム(Glomus aggregatum)、 アカウロスポラ・ラビエス(Acaulospora laevis)、 スクレロシスチツ・ダッシ(Sclerocystis dussii)、 エンテロフォスポーラ・インフレクエンス(Entrophospora infrequens)、など。 【0018】 本発明はこれらの例示のみに限定されるものではなく、同様な働きをするものなら使用することができる。 【0019】 また、本発明でVA菌根菌感染源とは、上記したVA菌根菌を含んだ土壌または製剤化したものなどいずれでもよく、VA菌根菌の機能を果たす形態のものならいずれでもよい。 【0020】 また、シクラメンの幼植物体とVA菌根菌感染源と共存する状態で栽培する時期は、育苗期、すなわち、葉枚数が1〜8枚で球根の直径が0.2〜4cm、好ましくは葉枚数が1〜4枚で球根の直径が0.5〜2cm程度である時期、がよい。 【0021】 栽培に用いられる培土は、黒土、赤玉土、鹿沼土、山土、まさ土、などの天然土壌もしくはピートモス、バーク、パーライト、ゼオライト、バーミキュライト、焼成藻土、ベントナイト、ドロマイトなどの土壌改良材、およびそれらの混合物などが挙げられるが、シクラメンおよびVA菌根菌が生育できる培土であればよく、これらに限定されるものではない。 【0022】 培土に配合するVA菌根菌感染源の量は、VA菌根菌の種類により異なり、限定されるものではないが、胞子として例えば5〜100000個/l(リットル)培土、好ましくは50〜10000個/l(リットル)培土程度含まれる量である。 【0023】 このようなVA菌根菌感染源の量とするには、例えば市販のVA菌根菌製剤の商品名「キンコンキングA」(登録商標)によれば、培土1リットルあたり当該製剤を0.1〜500g、好ましくは10〜50g程度を混合すればよい。また、市販の商品名「ドクターキンコン」(登録商標)も同様に使用することができる。 【0024】 シクラメンの幼植物体へのVA菌根菌の感染は、幼植物体を培土へ移植する際に根圏にVA菌根菌を施すか、培土とVA菌根菌の混合物に幼植物体を移植することによって行う。このようにすれば、シクラメン幼植物体とVA菌根菌感染源とを共存させることができる。 【0025】 また、シクラメンの幼植物体をVA菌根菌感染源と共存する状態で栽培するには、通常の水管理、温度管理をすればよい。また栽培する期間は、VA菌根菌がシクラメンに感染することができる期間であればよく、VA菌根菌の種類により異なり、限定されるものではないが、1週間〜2か月、好ましくは2週間〜1か月である。 【0026】 上記の期間栽培してVA菌根菌に感染させた後、給水を停止することにより、シクラメンの幼植物体の茎葉が枯れて、塊茎を休眠させることができる。 【0027】 なお、本発明において、「休眠」とは、塊茎が、塊茎内の植物ホルモンなどの発芽抑制因子によって、あるいは、温度条件、光条件、湿度条件などの環境条件が生長に適さないことに起因して、一時的に生長を休止するこという。 【0028】 休眠した塊茎は、通常シクラメンが栽培される温度で、培土中にもしくは一度掘り起こして保存すればよい。保存温度は好ましくは0〜40℃、さらに好ましくは、0〜10℃の条件下である。 【0029】 以下に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。 【実施例1】 【0030】 ピートモスを主成分としてパーライト、バーミキュライト、ドロマイトなどを含む培土(商品名:「PRO‐MIX BX」、Premier HORTICULTURE社製)に市販のVA菌根菌感染源(商品名:キンコンキングA、北興化学工業株式会社製)を培土の1リットルあたり20gずつ培土に混合し、栽培用培土を調製した。 【0031】 この栽培用培土を用いて、セルトレイ(穴の大きさ:2.5cm×2.5 cm×4cm)に、公知の不定胚培養法によって作成したシクラメン(品種:ホクコーミニ1号)の幼植物体(葉数3枚)を定植し、ガラス温室内で最低温度が15℃以下、最高温度が40℃以上にならないように管理し、6か月間栽培を行った。 【0032】 給水は1日1回程度、培土の表面が乾いたときに、水がセルトレイの底から流れ出すまでに十分量行った。 【0033】 その後、給水を停止して、1か月間で茎葉を枯死させ、塊茎を休眠させた。そしてこの給水停止の1か月後に休眠させた塊茎を培土中から掘り起こし、塊茎に付着した培土ならびに枯死した茎葉部及び根を除去した後、表1に示す温度条件において9か月間保存(湿度44〜99%、暗黒下)した。 【0034】 保存した塊茎を、VA菌根菌感染源を添加していない培土(商品名:「PRO‐MIX BX」、Premier HORTICULTURE社製)を用いて、セルトレイ(穴の大きさ:2.5cm×2.5cm×4cm)に定植し、ガラス温室内で最低温度が15℃以下、最高温度が40℃以上にならないように通常のシクラメン栽培における管理をして3ヶ月間栽培を行った。その後、発芽が認められた塊茎数を調査した。結果を表1に示す。 【0035】 比較例1 VA菌根菌感染源を用いないこと以外は、実施例1に準じた。結果を表1に示す。 【0036】 比較例2 保存する温度が20℃であること以外は、実施例1に準じた。結果を表1に示す。 【0037】 【表1】
【産業上の利用可能性】 【0038】 本発明の方法を用いれば、発芽率が高いシクラメンの塊茎の保存が可能であり、年間を通して安定した効率的なシクラメンの生産を行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000242002 【氏名又は名称】北興化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成15年10月24日(2003.10.24) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−126373(P2005−126373A) |
| 【公開日】 |
平成17年5月19日(2005.5.19) |
| 【出願番号】 |
特願2003−363942(P2003−363942) |
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