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【発明の名称】 白蟻忌避剤とコンクリート捨て型枠材
【発明者】 【氏名】有馬 元信

【氏名】高麗 寛紀

【要約】 【課題】白蟻忌避効果の経時的な漸減が少なく、長期にわたって良好な忌避効果を維持できる白蟻忌避剤を提供する。

【解決手段】この白蟻忌避剤は、アルミナ、シリカ、ジルコニル、ジルコンから選択される1種または2種以上のセラミックと放射性鉱物とをブレンド焼結してなるセラミック微粉末を有効成分として含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ、シリカ、ジルコニル、ジルコンから選択される1種または2種以上のセラミックと放射性鉱物とをブレンド焼結してなるセラミック微粉末を有効成分として含むことを特徴とする白蟻忌避剤。
【請求項2】
コンクリート打設に先立って組み立てられ、コンクリート硬化後もそのまま放置されるコンクリート捨て型枠材であって、
捨て型枠材1の基材2の表面の一部および/または全部に、白蟻忌避剤を含む塗膜形成剤からなる塗膜層3が形成されており、
白蟻忌避剤が、アルミナ、シリカ、ジルコニル、ジルコンから選択される1種または2種以上のセラミックと放射性鉱物とをブレンド焼結してなるセラミック微粉末を有効成分として含むものであることを特徴とするコンクリート捨て型枠材。
【請求項3】
前記基材2が、発泡樹脂製の板材である請求項2記載のコンクリート捨て型枠材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、白蟻の防除に適した白蟻忌避剤、およびこれを適用してなるコンクリート捨て型枠材に関する。
【背景技術】
【0002】
白蟻の駆除・予防を目的として、建築材料に白蟻駆除剤を塗布することは広く知られた手法である。但し、現在使用されている白蟻駆除剤の多くは、有機リン系殺虫剤や有機塩素系殺虫剤等の毒物・劇物であるため、人体や環境に多大な悪影響を与える不利がある。
【0003】
有機リン化合物等の合成毒物・劇物を含まない白蟻駆除剤は、例えば特許文献1ないし4に公知である。特許文献1の白蟻駆除剤は、ベチバー油やバウチョウリ油などの植物性油を有効成分とする。特許文献2の白蟻駆除剤は、ニートの有機溶媒または含水有機溶媒による抽出物を有効成分とする。特許文献3には、木酢液の有機溶媒可溶性成分を有効成分とする白蟻駆除剤が記載されている。特許文献4の白蟻駆除剤は、ショウガ科植物の種子の抽出物を有効成分とする。
【0004】
【特許文献1】特開平6−16517号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平3−41011号公報(請求項1)
【特許文献3】特開平2−304010号公報(請求項1)
【特許文献4】特開平9−194318号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ないし4のごとく、植物由来の化学薬剤を有効成分とする白蟻駆除剤によれば、有機リン化合物などの一切の合成毒物・劇物を廃することができるので、人体や環境に対する悪影響の少ない、安全性に優れた駆除剤を得ることができる。但し、この主の化学薬剤の効能は、薬剤の変質や脱落により経時的に漸減しやすく、長期にわたって良好な白蟻駆除効果を得ることは難しい。
【0006】
本発明の目的は、有機リン系化合物のような合成毒物・劇物を一切含まず、人体や環境に無害な白蟻忌避剤を得るにある。そのうえで本発明の目的は、忌避効果の経時的な漸減が少なく、長期にわたって良好な白蟻忌避効果を維持できる、実用性に優れた白蟻忌避剤を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、住宅基礎などのコンクリート構造物を形成する際に、コンクリート打設に先立って組み立てられ、コンクリートの硬化後もそのまま放置されるコンクリート捨て型枠材であって、当該捨て型枠材に良好な白蟻忌避効果を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る白蟻忌避剤は、図1に示すごとく、アルミナ、シリカ、ジルコニル、ジルコンから選択される1種または2種以上のセラミック(B)と、放射性鉱物(A)とをブレンド焼結してなるセラミック微粉末を有効成分として含むものである。本発明の対象となる白蟻は特に制限はなくイエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)等を挙げることができる。
【0009】
ここで、アルミナとは酸化アルミニウムをいう。シリカとは二酸化珪素をいう。ジルコニルとはZrOで表される+2価の原子団の俗称である。ジルコンとは理想化学式ZrSiO4 で表されるジルコニウムの鉱石である。
【0010】
放射性鉱物とは、例えばセリウム、ルビジウム、ネオジウム、ランタン、トリウムなどの自然放射性元素を含む鉱石をいう。ネプツニウム系列に代表される人工放射性元素を含むものであってもよい。放射性鉱物の放射能濃度は、1gの試料中、370ベクレルの放射線濃度を超えないものとする。これは、「核原料物質、核燃料物質および原子炉の規則に関する法律」において、原料および材料として届けなしに使用できる放射線濃度が、370ベクレル/g以下に規定されていることによる。
【0011】
本発明に係る白蟻忌避剤は、以上のようなセラミックと放射性鉱物とをブレンド焼結することによって得られたセラミック微粉末を有効成分とする。詳しくは、両者を混合し、粉砕、焼成後、適宜に多孔質珪酸塩鉱物などの補助材を添加混合した後、微粉砕、分級して得られた、粒径3〜10μmのセラミック微粉末を有効成分とする。より具体的には、放射性鉱物(A)5〜25重量%と、セラミック(B)55〜65重量%と、多孔質珪酸塩鉱物(C)15〜30重量% ((A)+(B)+(C)= 100)をブレンド焼結することにより、本発明の有効成分であるセラミック微粉末を得た。放射性鉱物の配合割合が5重量%を下回ると、放射線放出量が低下し、その結果白蟻忌避能が低下する。放射性鉱物(A)の配合割合が25重量%を超えると、放射線濃度を370ベクレル/g以下に抑えることが困難となる。セラミック(B)の配合割合が55重量%を下回る場合、あるいは65重量%を超えると、得られたセラミック微粉末の平均粒子径が一定となり難く、以後の取扱に不具合が生じる。
【0012】
このセラミック微粉末からは、放射性鉱石に由来する放射線(β線)が放射され、このβ線がセラミック(B)、水および二酸化炭素と反応してマイナスイオンを生成し、このマイナスイオンとβ線が相乗的に作用し、白蟻に対する良好な忌避効果を発揮する。
【0013】
すなわち、本発明の白蟻忌避剤の忌避効果は、薬剤の備える化学的作用により発揮されるものではなく、生成するマイナスイオンとβ線の相乗的な放射化学的作用に基づいて発揮されるものである。したがって、化学薬剤を有効成分とする駆除剤に不可避の当該薬剤の経時的変質や、効能の低下といった不具合が少なく、長期にわたって良好な白蟻忌避効果を得ることができる。特に、放射性鉱物の種別によっては、半減期が数百年から数十年と長いものもあり、極めて長期にわたって良好な白蟻忌避効果を維持できる。この白蟻忌避剤が、有機リン系化合物のような合成毒物・劇物を一切含まず、人体や環境に無害である点も有利である。
【0014】
この白蟻忌避剤は、粉剤の形態のままで使用することもできるし、通常用いられる塗膜形成剤、乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、安定剤、噴射剤等の添加剤を配合することにより、塗料形態、接着剤形態、乳剤、水和剤、懸濁剤、ローション、クリーム、エアゾール等の形態として用いることができる。これらには、公知の殺虫剤、酸化防止剤、殺菌剤、着色料等を配合することができる。
【0015】
また本発明は、コンクリートの打設に先だって枠状に組み立てられ、コンクリート硬化後もそのまま放置される所謂コンクリート捨て型枠材を対象とする(請求項2)。そこでは、図1に示すごとく、捨て型枠材1の基材2の表面の一部および/または全部に、白蟻忌避剤を含む塗膜形成剤からなる塗膜層3を形成してある。白蟻忌避剤は、先の請求項1と同等である。すなわち、この白蟻忌避剤は、アルミナ、シリカ、ジルコニル、シルコンから選択される1種または2種以上のセラミックと、放射性鉱物とをブレンド焼結してなるセラミック微粉末を有効成分として含むものである。捨て型枠材の形状、大きさは本発明においては問わない。
【0016】
塗膜形成材は、公知のビヒクル、溶剤、浸透剤、分散剤、ゲル化剤などからなる塗料組成物に白蟻忌避剤を配合したものであり、その種別は問わない。顔料、顔料分散剤などを添加してもよい。市販の防火難燃剤に、浸透剤、分散剤、ゲル化剤、ビヒクルとともに白蟻忌避剤をくわえたものであってもよく、それによれば白蟻の忌避効果に加えて、耐火効果を与えることができる。タンニンなどの天然系塗料に白蟻忌避剤を配合してもよい。
【0017】
上記塗膜形成剤を塗布してなる塗膜層3は、基材2の外表面側に限らず、コンクリートとの接触面となる内面側に形成されていてもよい。これは本発明に係る白蟻忌避剤の忌避効果が、化学薬剤に由来するものでなく、セラミック微粉末から放射される放射線(β線)がセラミック(B)、水および二酸化炭素と反応してマイナスイオンを生成し、このマイナスイオンとβ線が相乗的に作用することに基づいて発揮されるものであり、したがって白蟻と忌避剤とが直接に接触せずとも、その効果が得られることに拠る。
【0018】
このコンクリート捨て型枠材は、住宅基礎の施工時に使用されるコンクリート型枠材として好適に使用できる。特に、布基礎の施工に好適である。このように予め白蟻忌避剤を捨て型枠材に塗布しておけば、別途白蟻忌避剤を塗布する形態に比べて施工コストが少なくて済み、施工主の経済的負担が少なくて済む。とくに、コンクリートと接触する基材2の内面側に塗膜層3が形成されていると、雨水や生活用水等による塗膜層3の溶脱や分解といった不具合が一切なく、長期にわたって安定した忌避効果が期待される。
【0019】
基材2は、発泡樹脂製の板材とすることが好ましい(請求項3)。これによれば、コンクリート捨て型枠材1を軽量化できるので、施工の容易化、運搬費用の低コスト化に寄与できる。発泡樹脂の有する微細孔に由来する断熱効果も期待でき、その点でも住宅基礎形成用の捨て型枠材として好適なものとなる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係る白蟻忌避剤よれば、アルミナ、シリカ、ジルコニル、ジルコンから選択される1種または2種以上のセラミックと放射性鉱物とをブレンド焼結してなるセラミック微粉末を有効成分とするものとしたので、有機リン系化合物のような合成毒物・劇物を一切含まず、人体や環境に無害で安全性の高く、その点で非常に有益である。加えて、本発明の白蟻忌避剤の忌避効果は、薬剤の備える化学的作用により発揮されるものではなく、セラミック微粉末から放射される放射線に基づいて発揮されるものであるので、化学薬剤を用いた場合に不可避の当該薬剤の変質や、効能の低下といった不具合が少なく、長期にわたって良好な白蟻忌避効果が維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施例1)
イオン交換水に、ゲル化剤として三晶社製のKELZAN(xanthan gum)と、浸透剤として第1工業製薬社製のノイゲンLP−70と、分散剤としてサンノプコ社製のSNディスパーサント5020と、有効成分であるセラミック微粉末としてサンギ社製のサンギパウダーと、接着分散剤として信越シリコーン社製のKM−2002Tを混合し、充分に攪拌して、実施例1に係る白蟻忌避剤(塗膜形成剤の形態)を調製した。
【0022】
各成分の配合割合(重量%)は、以下のとおりとした。
・イオン交換水 73.5%
・KELZAN(xanthan gum) 0.5%
・ノイゲンLP−70 1.0%
・SNディスパーサント5020 0.5%
・サンギパウダー 12.0%
・KM−2002T 12.5%
計100.0%
【0023】
サンギパウダーの定量分析結果は、以下の表1のとおりであった。
【0024】
【表1】


【0025】
(実施例2)
以下の配合割合で各成分を混合して、実施例2に係る白蟻忌避剤(塗膜形成剤の形態)を調製した。
・イオン交換水 73.5%
・KELZAN(xanthan gum) 0.5%
・ノイゲンLP−70 1.0%
・SNディスパーサント5020 0.5%
・サンギパウダー 4.0%
・KM−2002T 12.5%
・グリセリン 8.0%
計100.0%
【0026】
これら実施例1ないし2を木材片(スギ辺材)に塗布して処理材を得た。図2に示すごとく、処理材10と無処理材11(スギ辺材)とを並べて載置し、それらの上にプラスチック製の円筒13を置いたうえで、該円筒13内に100頭のイエシロアリを投入した。そして、30分間、10分毎にそれぞれの材10・11の面上に存している白蟻の頭数を計測した。その結果を以下の表2および図3に示す。なお、処理材10と無処理材11の境界14に跨って白蟻が存在している場合において、白蟻の体がいずれかの領域に偏寄している場合には、その材面側の頭数に含めた。白蟻の体が略中間に存在している場合は0.5頭としてカウントした。
【0027】
【表2】


【0028】
表2および図3より、実施例1および2に係る本発明の白蟻忌避剤である塗膜形成剤では、30分後には75%以上の白蟻が処理材10の面上から無処理材11の面上へ逃げており、本実施例に係る白蟻忌避剤が、優れた白蟻忌避効果を有していることがわかる。
【0029】
(コンクリート捨て型枠材)
図1は、本発明に係るコンクリート捨て型枠材を示す。このコンクリート捨て型枠材1は、住宅のベタ基礎上に設置される布基礎を形成する際に使用されるものである。より詳しくは、コンクリートの打設に先立ってベタ基礎上に枠状に組み立てられ、コンクリートの硬化後も布基礎に接した状態で、そのまま床下に放置されるものである。この捨て枠材は、発泡樹脂製の板材を基材2として、その基材2の表面に、先の実施例1に係る塗膜形成剤を塗布して塗膜層3を形成している。ここでは、コンクリートと接触する内面側だけでなく、外表面側にも塗膜形成剤を塗布して、塗膜層3を形成している。
【0030】
このように、コンクリート捨て型枠材に白蟻忌避剤を含む塗膜層を形成してあると、別途白蟻忌避剤を塗布する形態に比べて施工コストが少なくて済み、安価に白蟻忌避効果が得られる。とくに、コンクリートとの接触面となる内面側に塗膜層3が形成されていると、雨水や生活用水等による塗膜層の溶脱や分解がなく、長期にわたって安定した忌避効果が維持できる。
【0031】
上記実施例においては、本発明に係る白蟻忌避剤を塗料形態として、捨て型枠材等の表面に塗布していたが、本発明はこれに限られるものでなく、粉剤の形態のままで使用することもできるし、接着剤形態などとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るコンクリート捨て型枠材である。
【図2】白蟻忌避効果を確かめるための白蟻忌避試験の試験方法を説明するための図である。
【図3】白蟻忌避試験において、処理材面上における白蟻の頭数の経時的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0033】
1 コンクリート捨て型枠材
2 発泡樹脂製の基材
3 塗膜層
【出願人】 【識別番号】598082064
【氏名又は名称】株式会社アサヒケミカ
【識別番号】501046958
【氏名又は名称】高麗 寛紀
【出願日】 平成15年10月14日(2003.10.14)
【代理人】 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士

【公開番号】 特開2005−119981(P2005−119981A)
【公開日】 平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願番号】 特願2003−353634(P2003−353634)