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【発明の名称】 昇華を抑制された除草剤組成物
【発明者】 【氏名】来住野 敦
【住所又は居所】茨城県つくば市御幸が丘45番地 保土谷化学工業株式会社筑波研究所内

【氏名】安斎 達雄
【住所又は居所】茨城県つくば市御幸が丘45番地 保土谷化学工業株式会社筑波研究所内

【氏名】斉藤 裕
【住所又は居所】茨城県つくば市御幸が丘45番地 保土谷化学工業株式会社筑波研究所内

【要約】 【課題】昇華性の除草性化合物、特にDBNの昇華性を抑制して、保存安定性を付与し、さらにその効果の持続性を達成すること。

【解決手段】昇華性の除草性化合物、特にDBNとウレア化合物を混合することによって得られる化学的相互作用により、昇華性の除草性化合物の昇華を抑制した除草剤組成物とすること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇華性の除草性化合物とウレア化合物を混合することによって得られる化学的相互作用により、昇華性の除草性化合物の昇華を抑制することを特徴とする除草剤組成物。
【請求項2】
昇華性の除草性化合物が2,6−ジクロロベンゾニトリルである請求項1記載の除草剤組成物。
【請求項3】
ウレア化合物の構造として、(1)式に示す構造が分子構造中に含まれることを特徴とする請求項1または請求項2記載の除草剤組成物。
【化1】



(式中、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
【請求項4】
除草剤組成物が粒剤、粉剤、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの項に記載の除草剤組成物。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華性化合物、特に2,6−ジクロロベンゾニトリル(以下DBNと略記する)をウレア化合物と混合し、得られた混合物を粒剤、粉剤、水和剤、フロアブル剤、エマルション剤として調製した除草剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DBNは一年生のイネ科植物および広葉雑草に卓効を示し、休耕田、麦畑、果樹園、牧草地などの農耕地および公園、運動場、鉄道などの非農耕地に、多くの場合水和剤の形態で、広く使用されている。しかし、DBNは蒸気圧が高く昇華し易くガス体で土壌中を移動すると言われ(例えば、非特許文献1参照)、土壌の種類、有機質分および水分などによりその除草効果の発現が影響され、また薬害を引き起こすと言った問題点があった。さらにDBNは昇華し易く効果の持続性に欠けると言う問題もある。このため水和剤から粒剤に剤型を変更して昇華防止を図ることも行われているが、粒剤でも昇華防止が十分とは言い難く、また他の薬剤との現地混用が困難である。従って、保存中の昇華を完全に防止し、散布時には昇華が抑制された除草剤組成物を含む農薬製剤が望まれている。
【0003】
例えば、DBNを含む顆粒上にシラン処理した二酸化ケイ素を直接被着させることを特徴とした顆粒状農薬およびその製造方法(例えば、特許文献1参照)、環状デキストリンによるDBNの包接化合物を含有することを特徴とした除草剤(例えば、特許文献2参照)、DBNとフェノールとを反応させ熱硬化成形体として調整することを特徴とする熱硬化成形体の製造方法(例えば、特許文献3参照)、DBNをマイクロカプセル化してなる低発性除草剤とした方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0004】
【非特許文献1】農薬ハンドブック94年版、419頁
【特許文献1】特開昭63−61284号公報
【特許文献2】特開平1−30801号公報
【特許文献3】特開平3−21635号公報
【特許文献4】特開平9−52805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のように除草効果には優れているがその蒸気圧の高さが故、保存安定性および施用時の効果の持続性に欠ける昇華性の除草性化合物、特にDBNの昇華性を抑制して、保存安定性を付与し、さらにその効果の持続性を達成した、粒剤、粉剤、水和剤、フロアブル剤、エマルション剤等の除草剤組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、DBNの昇華性を抑制する手段として、ウレア化合物と混合することにより、保存安定性を実現し、さらに、その卓越した効果を維持したまま効果の持続性を達成することに成功したものである。すなわち本発明は、昇華性の除草性化合物、特にDBNとウレア化合物を混合することによって得られる化学的相互作用により、昇華性の除草性化合物の昇華を抑制することを特徴とする除草剤組成物である。
【0007】
本発明の代表的な有効成分であるDBNは常温で高い昇華性の固体であり、これがウレア化合物と化学的相互作用を形成するためには、何ら特別な機器は必要なく、ライカイ機など簡単な攪拌装置があればよい。このときのウレア化合物の物性値は、特に限定されるものではないが、好ましくは常温にて固体が良い。また、DBNとウレア化合物の配合比は特に限定されるものではないが、好ましくは1:1が良い。DBNとウレア化合物との化学的相互作用により、昇華抑制を達成するので、保存安定性および長期にわたり除草効果が持続する昇華性の除草性化合物の農薬製剤を得ることができる。
【0008】
本発明のウレア化合物としては、尿素、メチルウレア、ジメチルウレア、エチルウレア、ジエチルウレア、DCMU(3−(3,4−Dichlorophenyl)−1,1−Dimethyl−Urea)、Isouron(3−(5−tert−Butyl−isoxazol−3−yl)−1,1−Dimethylurea)、Tebuthiuron(3−(5−tert−Butyl−1,3,4−thiadiazol−2−yl)−1,3−Dimethylurea)、Karbutilate(3−[3−(N−tert−butylcarbamoyloxy)−phenyl]−1,1−Dimethylurea)などが使用できる。
【0009】
さらに本発明の安定化された除草剤組成物に、広葉雑草に対し除草効果の高い除草剤を混合することにより、広葉雑草に対する除草効果の安定性を得ることもできる。
【0010】
広葉雑草に対する除草効果の高い除草剤としては、例えば、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イル−pトルエンスルホネート、2−{4−(2,4ジクロロベンゾイル)−1,3ジメチルピラゾール−5−イル}アセトフェノン、2−{4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ}−4−メチルアセトフェノン、N−2−ビフェニルスルフェニルN’−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)ウレア、エチル5−{3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレイドスルフォニル}−1−メチルピラゾール−4−カルボキシレート、メチル2−{3−(4,6−ジメトキシピリミジンー2−イル)ウレイドスルフォニルメチル}ベンゾエート、3−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−1−{2−(2−メトキシエトキシ)−フェニルスルフォニル}ウレア、N−(2−クロロイミダゾール{1,2−a}ピリジン−3−イル−スルフォニル)−N’−(4,6−ジメトキシ−2−ピリミジル)ウレア、N’−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)N’’−(4−メチルフェニルスルフォニルアミノ)−N’’’−(4−エトキシカルボニル−1−メチルピラゾール−5−イル−スルフォニル)−グアニジン、N−(2−シクロプロピルカルボニルフェニルスルファモイル)−N’−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)ウレア、2,4−ビス(エチルアミノ)−6−メチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、2−エチルアミノ−4−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−6−メチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−(β−ナフチルオキシ)プロピオンアニリド、N−(ホスフォノメチル)グリシン、(RS)−2−(2,4−ジクロロ−m−トリルオキシ)プロピオンアニリド、2,4,6−トリクロロフェニル−4’−ニトロフェニルエーテル、メチル2−{(4,6−ジメトキシ−ピリミジニル)オキシ}−6−{1−(メトキシイミノ)エチル}ベンゾエート、4−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)ブチリックアシッド、S−エチル−4−クロロ−2−メチルフェノキシチオアセテート、アンモニウム(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)−メチルホスフィネート、2,4−ジクロロフェニル−3’−メトキシ−4’−ニトロフェニルエーテル等が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、昇華性の除草性化合物、特にDBNの昇華性を抑制して、保存安定性を付与し、さらにその効果の持続性を付与した、粒剤、粉剤、水和剤、フロアブル剤、エマルション剤等の除草剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記の方法によって、本発明が目的とする安定化された除草剤組成物は、粉体として得られる。この粉体を利用したDBNの粒剤化および水和剤化について、以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
(安定化された除草剤組成物の製造1)
DBN100gとウレア100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例2】
【0014】
(安定化された除草剤組成物の製造2)
DBN100gとエチルウレア100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例3】
【0015】
(安定化された除草剤組成物の製造3)
DBN100gとジエチルウレア100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例4】
【0016】
(安定化された除草剤組成物の製造4)
DBN100gとメチルウレア100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例5】
【0017】
(安定化された除草剤組成物の製造5)
DBN100gとジメチルウレア100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例6】
【0018】
(安定化された除草剤組成物の製造6)
DBN100gとDCMU100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例7】
【0019】
(安定化された除草剤組成物の製造7)
DBN100g、Isouron100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例8】
【0020】
(安定化された除草剤組成物の製造8)
DBN100gとテブチウロン100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例9】
【0021】
(安定化された除草剤組成物の製造9)
DBN100gとカーブチレート100gをライカイ機に入れ、10分撹拌して、本発明のDBNを50%含有する化学的相互作用剤を得た。
【実施例10】
【0022】
実施例1の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例11】
【0023】
実施例2の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例12】
【0024】
実施例3の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例13】
【0025】
実施例4の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例14】
【0026】
実施例5の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例15】
【0027】
実施例6の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例16】
【0028】
実施例7の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例17】
【0029】
実施例8の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例18】
【0030】
実施例9の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ベントナイト30g、クレー61g、アエロールCT−1を1g、sorpol5060を0.5g、サンエキス−Cを3.0g(50%水溶液)と重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN粒剤を得た。
【実施例19】
【0031】
実施例6の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6g、ホワイトカーボン5g、sorpol5050を2g、sorpol5060を1g、クレー86g加え、高速撹拌装置(ニューグラマシン;セイシン企業株式会社)にて粉砕混合し、3%DBN粉剤を得た。
【実施例20】
【0032】
実施例7の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6gにホワイトカーボン5g、sorpol5115を1g、sorpol5050を1g、クレーを87g加え、ジェット粉砕器により微粉化し、3%DBN水和剤を得た。
【実施例21】
【0033】
実施例8の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6gにネオスコープCN−30SF(30%水溶液)6g、sorpol9047kを5g、ラジオライト#−900を87.2g加え、重量比20%の水を添加し、混合した。後、0.7mmφのスリットより押し出し造粒し、3%DBN顆粒水和剤を得た。
【実施例22】
【0034】
実施例9の安定化された除草剤組成物として得た50%DBN昇華抑制粉体6gにsorpol3006kを5g、sorpol7196を10g加え、水79.5gを加えて高速撹拌装置ホモジナイザーにて、懸濁分散化した。後、消泡剤プロナールEX300を加え、3%DBNフロアブル剤を得た。
【0035】
[比較例]
市販剤である「カソロン粒剤、農林水産省登録第6746号」
【実施例23】
【0036】
[試験例1](除草製剤)
実施例1〜9で得られた安定化された除草剤組成物、および比較用のDBN粒剤の昇華度を知るために、下記方法により試験した。試験方法は、実施例1〜9で得られた安定化された除草剤組成物を原料として、DBN粒剤を実施例10〜18の通りにサンプル製剤し、市販DBN粒剤とその昇華度を比較した。結果を[表1]に示す。
試験条件:恒温室54℃、4カ月。
【0037】
【表1】


【0038】
この結果から、本発明の安定化された除草剤組成物を利用した粒剤が、比較剤市販粒剤と比較して昇華性が抑制され、保存安定性が付与されていることがわかる。
【実施例24】
【0039】
[試験例2]
実施例10〜18の、本発明の安定化された除草剤組成物を利用した粒剤と、比較剤市販粒剤の除草効果および残効性を知るための試験を実施した。
【0040】
【表2】


【0041】
この結果から、本発明の安定化された除草剤組成物を利用した粒剤が、比較剤市販粒剤と比較してDBNの昇華性が抑制されて、その効果の持続性が達成(残効延長効果)されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、DBNのような昇華性の除草性化合物の昇華性を抑制して、保存安定性を付与し、さらに長期にわたりその効果の持続性を付与するものである。昇華性の除草性化合物を有効成分とする粒剤、粉剤、水和剤、フロアブル剤、エマルション剤等の除草剤組成物を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区堀川町66番地2
【出願日】 平成15年7月31日(2003.7.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2005−47878(P2005−47878A)
【公開日】 平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願番号】 特願2003−283708(P2003−283708)