| 【発明の名称】 |
防蛾灯 |
| 【発明者】 |
【氏名】内田 達清 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内
【氏名】山田 真 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内
【氏名】青木 慎一 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内
【氏名】倉光 修 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内
【氏名】西村 唯史 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内
【氏名】高嶋 彰 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】植物の花芽形成への影響を低減した防蛾灯を提供する。
【解決手段】緑色光を照射する防蛾灯である。緑色光を照射する光源として緑色蛍光ランプを用いる。防蛾灯は、紫外領域の波長を略透過しないフィルタもしくは黄色光を透過するフィルタを備えるか、またはランプバルブ自体に紫外領域の波長を略透過しない機能もしくは黄色光を透過する機能を持たせることができる。紫外領域の波長を略透過しないフィルタは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が塗布または添加された樹脂フィルタでもよい。紫外領域の波長を略透過しないフィルタまたはランプバルブとして、酸化亜鉛塗料もしくは有機金属焼結による塗装を施したガラスフィルタまたはランプバルブが可能である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 緑色光を照射することを特徴とする防蛾灯。 【請求項2】 緑色光を照射する光源を備えた請求項1記載の防蛾灯。 【請求項3】 緑色蛍光ランプを光源として用いた請求項2記載の防蛾灯。 【請求項4】 紫外領域の波長を略透過しないフィルタもしくは黄色光を透過するフィルタを備えるか、 またはランプバルブ自体に紫外領域の波長を略透過しない機能もしくは黄色光を透過する機能を持たせた請求項2または請求項3記載の防蛾灯。 【請求項5】 紫外領域の波長を略透過しないフィルタは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が塗布または添加された樹脂フィルタである請求項4記載の防蛾灯。 【請求項6】 紫外領域の波長を略透過しないフィルタまたはランプバルブは、酸化亜鉛塗料もしくは有機金属焼結による塗装を施したガラスフィルタまたはランプバルブである請求項4記載の防蛾灯。 【請求項7】 黄色光を透過するフィルタは、アゾ系、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノンの少なくとも1から選択した顔料を塗布または添加したフィルタである請求項4記載の防蛾灯。 【請求項8】 黄色光を透過するフィルタまたはランプバルブは、黄色酸化鉄、クロム酸鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、イエオローオーカー、オーレオリン、カドミウムオレンジ、クロムイエロー、ジンクイエロー、ネイプルスイエロー、ニッケルイエローの少なくとも1から選択した顔料を塗布したガラスフィルタまたはランプバルブである請求項4記載の防蛾灯。 【請求項9】 460〜580nm の波長領域を含む光を放射する白色光源と、緑色光を透過するフィルタ を備えた請求項1記載の防蛾灯。 【請求項10】 前記白色光源は白色蛍光ランプを光源として用いた請求項9記載の防蛾灯。 【請求項11】 前記白色光源は、アゾ系、フタロシアニン系の顔料が塗布または添加された樹脂フィルタを備えた請求項9または請求項10記載の防蛾灯。 【請求項12】 前記白色光源は、エメラルドグリーン、カドミウムグリーン、クロムグリーン、コバルトグリーン、酸化クロム、テールベルト、バライタグリーン、ビリジアン、マラカイトのすくなくとも1から選択された顔料を塗布したガラスフィルタまたはランプバルブを備えた請求項9または請求項10記載の防蛾灯。 【請求項13】 青色光もしくは緑色光を透過するフィルタを備えるか、またはランプバルブ自体に青色光もしくは緑色光を透過する機能を持たせた請求項2または請求項3記載の防蛾灯。 【請求項14】 460〜580nm の波長領域を含む黄色光を放射する光源と、青色光もしくは緑色光を透過 するフィルタを備えた請求項1記載の防蛾灯。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、農業分野もしくは家屋、工場、店舗などの産業施設において、昆虫を防除するために設置する防蛾灯に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来より、果樹園や農地において、防蛾灯による夜蛾の防除が実施されている。夜蛾は、夜間に果樹園に飛来し、くちばしで果実を穿孔し、吸汁するものである。そのため、果実はその箇所を中心に腐敗し、商品価値が低下する。また、農地では夜蛾の幼虫が野菜や花卉の花芽や葉を食い荒らすために、収穫量が減少する。 【0003】 一方、夜蛾は、夜行性のため、周囲が暗くなる夜間に活動するが、周囲が明るい昼間はほとんど活動しないものである。 【0004】 そこで、防蛾灯による夜蛾防除の原理は、夜間に果樹園や農地を防蛾灯で照明し、昼間と同じ状態にして、夜蛾の複眼を明適応化させることによって、吸汁や交尾、産卵などの活動を抑制することにある。 【0005】 防蛾灯の光源には、波長580nmに分光放射エネルギーのピークをもつ黄色蛍光ランプが使用されてきた。これは、野村らの研究(非特許文献1参照) において、黄色蛍光ランプによる夜蛾の活動抑制効果が高かったことによる。図6はその一例で、光源の波長と夜蛾の明適応化所要時間の関係を示したものであり、この図6に示すように、波長460nm にピークをもつ青色光と波長580nm にピークをもつ黄色光で所要時間が短くなっている。明適応化所要時間が短いということは、短時間で夜蛾の活動を抑制できることを意味するので、効果が高いといえるものである。 【0006】 ところで、農作物の被害は夜蛾に限らない。照明の光に昆虫類が集まり、農作物に被害を与える場合がある。図7は、Bickford(非特許文献2参照)が、一部の昆虫について分光視感効率を調べた例である。横軸が波長(nm)、縦軸が感度である。 365nm に最大ピークを有し、ピークの1/10 以上の範囲で考えると、280〜520nm の波長域で分光視感効率が高い。正の走行性を示す昆虫は、この波長域の光に対して集まりやすいので、理想的にはこの波長域の放射エネルギーを小さくすることが望ましいが、このうち夜蛾の活動抑制効果が高い450nm 以上の光は極力維持することが望ましい。よって、青色光より黄色光の方が防蛾灯に適していると判断され、これまでの防蛾灯では専ら黄色光が用いられてきた。 【0007】 黄色光を用いた従来例を図9から図11に示す。また各従来例の防蛾灯が放射する光の分光特性を図12に示す。 【0008】 図9は第1の従来例であり、直管の黄色蛍光灯21を光源として用い、ポリカーボネート製の透明シリンダ23で外郭を構成した防蛾灯である。22は安定器、24は取付けフックである。図10は第2の従来例であり、特許文献1に記載されている高圧ナトリウムランプを使用した防蛾灯である。25は発光管、26は外球、27は黄色被膜、28は口金である。図11は第3の従来例であり、NBT 社が製造している環状蛍光ランプ30を用いた防蛾灯の例である。31は円錐状反射板、32は漏斗状反射板、33はファン、34は捕虫網である。このタイプの防蛾灯の中には、黄色蛍光灯とは異なり、ランプ消灯時の外観が黄緑色を呈しているものがある。しかし、このランプ点灯時に放射する光は図12に示すとおり、他の従来例と同様の分光特性を示す。 【特許文献1】特開平11-307054号 【非特許文献1】野村健一:電燈照明による吸蛾類の防除、日本応用動物昆虫学会誌別刷第9巻第3号、pp.179-186、1965 【非特許文献2】Bickford、E.D.: Average insect vision function、 National Technical Conference、IES of North America、No.2、1964 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 ところで、防蛾灯は夜蛾の防除に大きな効果を発揮する反面、光に敏感な植物に対しては、花芽形成に悪影響を与える場合がある。多くの植物は、日長(昼間の時間)の変化に反応して花芽を形成する光周性をもっているものである。一般に、日長が一定時間(限界日長) よりも短くなると、花芽を形成するものを短日植物、反対に長くなると花芽を形成するものを長日植物という。キクやイチゴなどの短日植物の場合、防蛾灯の終夜照明を施すことによって、花芽の形成が遅れたり、花芽が形成されなかったりして、収穫量が減少するものである。反対に、ホウレンソウなどの長日植物の場合は、花芽形成が促進され(抽苔)、菜食部である葉が堅くなって、商品価値が低下するものである。 【0010】 したがって、本発明の目的は、植物の花芽形成への影響を低減した防蛾灯を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 請求項1記載の防蛾灯は、緑色光を照射することを特徴とするものである。 【0012】 請求項2記載の防蛾灯は、請求項1において、緑色光を照射する光源を備えたものである。 【0013】 請求項3記載の防蛾灯は、請求項2において、緑色蛍光ランプを光源として用いたものである。 【0014】 請求項4記載の防蛾灯は、請求項2または請求項3において、紫外領域の波長を略透過しないフィルタもしくは黄色光を透過するフィルタを備えるか、またはランプバルブ自体に紫外領域の波長を略透過しない機能もしくは黄色光を透過する機能を持たせたものである。 【0015】 請求項5記載の防蛾灯は、請求項4において、紫外領域の波長を略透過しないフィルタは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が塗布または添加された樹脂フィルタである。 【0016】 請求項6記載の防蛾灯は、請求項4において、紫外領域の波長を略透過しないフィルタまたはランプバルブは、酸化亜鉛塗料もしくは有機金属焼結による塗装を施したガラスフィルタまたはランプバルブである。 【0017】 請求項7記載の防蛾灯は、請求項4において、黄色光を透過するフィルタは、アゾ系、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノンの少なくとも1から選択した顔料を塗布または添加したフィルタである。 【0018】 請求項8記載の防蛾灯は、請求項4において、黄色光を透過するフィルタまたはランプバルブは、黄色酸化鉄、クロム酸鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、イエオローオーカー、オーレオリン、カドミウムオレンジ、クロムイエロー、ジンクイエロー、ネイプルスイエロー、ニッケルイエローの少なくとも1から選択した顔料を塗布したガラスフィルタまたはランプバルブである。 【0019】 請求項9記載の防蛾灯は、請求項1において、460〜580nm の波長領域を含む光を放射する白色光源と、緑色光を透過するフィルタを備えたものである。 【0020】 請求項10記載の防蛾灯は、請求項9において、前記白色光源は白色蛍光ランプを光源として用いたものである。 【0021】 請求項11記載の防蛾灯は、請求項9または請求項10において、前記白色光源は、アゾ系、フタロシアニン系の顔料が塗布または添加された樹脂フィルタを備えたものである。 【0022】 請求項12記載の防蛾灯は、請求項9または請求項10において、前記白色光源は、エメラルドグリーン、カドミウムグリーン、クロムグリーン、コバルトグリーン、酸化クロム、テールベルト、バライタグリーン、ビリジアン、マラカイトのすくなくとも1から選択された顔料を塗布したガラスフィルタまたはランプバルブを備えたものである。 【0023】 請求項13記載の防蛾灯は、請求項2または請求項3において、青色光もしくは緑色光を透過するフィルタを備えるか、またはランプバルブ自体に青色光もしくは緑色光を透過する機能を持たせたものである。 【0024】 請求項14記載の防蛾灯は、請求項1において、460〜580nm の波長領域を含む黄色光を放射する光源と、青色光もしくは緑色光を透過するフィルタを備えたものである。 【発明の効果】 【0025】 まず、花芽形成に影響を与える波長域、昆虫行動抑制効果のある波長域、昆虫に対して誘引効果の高い波長域について検討した。 (花芽形成に影響を与える波長域) 農作物に対する夜間照明影響研究調査委員会報告書(照明学会、1985)によると、植物の光周性には、フィトクロムという色素が関係していることが知られている。フィトクロムには、Pr(赤色光吸収型) とPfr(遠赤色光吸収型) という二つの型があり、Prに赤色光を照射するとPfr に転換し、逆にPfr に遠赤色光を照射するとPr に転換する。また、光の照射を遮断すると徐々にPfr からPr へ転換する特性がある(暗転換)。日中、太陽光の照射がある時はPr とPfr の吸収特性の差により、PrからPfrへの転換が行なわれるが、夜間、太陽光の照射がなくなると、暗転換によってPfrからPrへの転換が行なわれる。そして、全フィトクロム中のPfrの量が日長によって変化し、このPfrの量が植物の開花時期を制御するとしている。 【0026】 つまり、本来ならフィトクロムが暗転換されなければならない夜間に、照明光に含まれる赤色光がフィトクロムに作用し、フィトクロムが暗転換されないことが、植物の花芽形成に影響を及ぼす原因であると考えられる。 【0027】 図8は、Butlerら(Butler、W.L.:Photochem.Photobiol.3、 pp.521-528、1964) が明らかにしたフィトクロムの吸収スペクトルである。Prの吸収スペクトルは、660nm 付近にピークを有し、ピークの1/10 以上の範囲で考えると、黄色光から赤色光の波長域560〜700nm の吸収率が高い。つまり、この波長域の光が、植物の花芽形成に強く影響していると考えられる。 【0028】 香川農業試験場が実施した電照ギクの実験(照明学会:光バイオインダストリー、 p.284、1992) によると、白熱電球(主波長660nm) や昼光色蛍光ランプ(同480〜650nm) に比べ、青色蛍光ランプ(同450nm)、緑色蛍光ランプ(同540nm) では、ほとんど花芽抑制効果は認められなかったとの報告がある。図12は、従来の黄色防蛾灯の分光放射特性であるが、上記の波長域を多く含んでおり、このことが花芽形成に影響していると考えられる。 (昆虫行動抑制効果のある波長域) 一方、図6に示した光源の波長と夜蛾の明適応化所要時間の関係を見ると、波長580nm にピークをもつ黄色光と波長460nm にピークをもつ青色光で所要時間が短く、それより長波長側でも短波長側でも所要時間が長くなる傾向がある。つまり、高い夜蛾の活動抑制効果を得るには、460〜580nmの波長域に分光放射エネルギーのピークをもつ光源を使用することが望ましいものである。 【0029】 また、オオタバコガ、ハスモンヨトウといった夜蛾の、複眼網膜における分光感度は、 図13のようになっており、540nm の近辺で最も高く、従来の防蛾灯の主波長580nm 付近と比較して、約1.6倍の感度を持つものである。そして、網膜感度が従来の主波長580nm より高い波長域は、475nm〜575nm にわたっているものである。よって、従来の防蛾灯より効率良く夜蛾複眼を明適応して、より一層高い防除効果を得るためには、この波長域の光の割合を増した防蛾灯を用いれば良いものである。 (昆虫に対して誘引効果の高い波長域) ところで、多くの昆虫は光に誘引される性質を持つ。このため防蛾灯を点灯することで夜蛾以外の昆虫が集まり、農作物に被害を与える可能性がある。よって防蛾灯の放つ光としては、可能な限り昆虫が集まりにくい特性を持つことが望ましい。 【0030】 図14は、白色蛍光ランプを用いた照明器具に誘引される虫の数に対し、同じ種類のランプに各種短波長カットフィルタをかぶせた照明器具に誘引される虫の数の割合を示したものである。図15は、この実験で用いられた白色蛍光ランプと、それに各種短波長カットフィルタで覆った場合の分光特性である。図14に示すように、短波長側の光を低減するにつれ、誘引される虫の数は減少していくことから、可能な限り長波長側まで光を低減することが望ましいが、このうち夜蛾の活動抑制効果が高い460nm 以上の光は極力維持することが望ましい。 【0031】 請求項1記載の防蛾灯によれば、従来の黄色光を照射する防蛾灯に対して、緑色光を照射することを特徴とするため、夜蛾類に対する防除効果を維持しながら、かつ花芽形成への影響を抑えることができる。さらに他の昆虫が集りにくい防蛾灯を提供するには、その発する光が460〜580nm の波長域を中心とする緑色光であるのが望ましい。 【0032】 請求項2記載の防蛾灯によれば、光源として緑色光を照射する光源(以下緑色光源) を用いることで、直接緑色光を得ることができる。ここでいう緑色光源とは、たとえば緑色蛍光ランプ、カラーHID ランプ、無電極ランプ、緑色LED、緑色レーザ光源などであリ、ランプ消灯時のランプの外観によらない。これらの光源はその放射エネルギーの大半を460〜580nm の波長域に放射する。よって花芽形成に影響を与える放射は少なく、かつ明適応に必要な波長領域の光は十分に放射している。これにより、防蛾効果を発揮させながら、植物の花芽形成への影響を低減することができるものである。また、光源だけで緑色光を実現するため、カラーフィルタが必要なく、照明器具の機構を簡便にできる。 【0033】 請求項3記載の防蛾灯によれば、光源に緑色蛍光ランプを用いた防蛾灯である。緑色光源の中でも、緑色蛍光灯は比較的廉価である。またランプ交換などの取り扱いも容易である。 【0034】 請求項4記載の防蛾灯によれば、つぎの効果がある。緑色光源の中には、460nm 以下の波長域にも放射を持つ光源がある。紫外領域をはじめとする短波長側の放射は、先に述べたように夜蛾以外の昆虫の誘引源となるため、低減させることが望ましい。 【0035】 そこで、緑色光源を紫外線カットフィルタもしくは黄色光を透過するフィルタ(以下黄色フィルタ) で覆うか、光源のランプバルブ自体に紫外線カットもしくは黄色光透過の機能を持たせる。ここでいう黄色フィルタとは、紫外領域と可視領域を含む短波長領域を透過しないフィルタである。これにより、請求項2の効果に加え、より誘虫性の低い防蛾灯を実現できるものである。 【0036】 黄色フィルタを用いた場合は、紫外線カットフィルタを用いた場合よりも長波長の放射も吸収するため、誘虫性低減効果は優れている。しかし防蛾効果はやや落ちる。このため、 農場の状況により、誘引される昆虫類が多い場合は黄色フィルタを用いた方がよく、 比較的少ない場合は紫外線カットフィルタを用いた方がよい。 【0037】 なお、紫外線カットフィルタの実現方法については、後述の請求項5および請求項6以外にもガラスにセリウム、チタン、鉄を添加する方法や、ガラスや樹脂に光学多層膜形成する方法などがある。また、黄色フィルタの実現方法について、後述の請求項7および請求項8以外にもガラスにバナジウム、硫化鉄、硫化ソーダ、硫化カドミウムを添加する方法や、ガラスや樹脂に光学多層膜を形成する方法などがある。本発明では、紫外線カットフィルタや黄色フィルタをこれらの方法によって実現してもよい。 【0038】 請求項5記載の防蛾灯によれば、緑色光源が放射する紫外線を低減させるため、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を塗布または添加した樹脂フィルタを用いたものである。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は紫外領域を選択的に吸収し無害な熱エネルギーに変換するため、有用な波長域の低減が少ない。また樹脂フィルタをかぶせるだけですみ、一般用途の緑色光源をそのまま使用できるためランプ供給が容易である。以上のように、耐熱性が要求されない器具では、両者の組合せによる緑色光を透過するフィルタを用いることで、器具効率が高く取り扱い易い防蛾灯を得ることができる。 【0039】 請求項6記載の防蛾灯によれば、緑色光源が放射する紫外線を低減させるため、酸化亜鉛塗料乃至は有機金属焼結による塗装をランプバルブまたはガラスフィルタに施したものである。これらの顔料は耐熱性が高く、ガラスフィルタと組合せて使用することで、高出力ランプを使用して光源近傍が摂氏200 度程度の高熱になる場合でも特性の劣化が少なく、長年にわたって誘虫性の高い紫外領域の放射を低減させることができる。またランプバルブに直接塗装を施した場合、フィルタが必要ないため、照明器具の機構を簡便にできる。 【0040】 請求項7記載の防蛾灯によれば、可視領域を含む短波長領域を低減するため、アゾ系、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、 アントラキノンのいずれかまたはこれらを組合せた顔料を塗布または添加した樹脂フィルタを用いたものである。これらの顔料を使用することで、必要な波長域での透過率が高く、耐久性の高い黄色樹脂フィルタを得ることができる。また樹脂フィルタは形状の自由度が高く軽量であるため、請求項4の効果を持ちながら、設置する農地に適した形状の防蛾灯を実現できる。以上のように、耐熱性が要求されない器具では、両者の組合せによる緑色光を透過するフィルタを用いることで、器具効率が高く取り扱い易い防蛾灯を得ることができる。 【0041】 請求項8記載の防蛾灯によれば、可視領域を含む短波長領域を低減するため、黄色酸化鉄、クロム酸鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、イエオローオーカー、オーレオリン、カドミウムオレンジ、クロムイエロー、ジンクイエロー、ネイプルスイエロー、ニッケルイエローのいずれかまたはこれらを組合せた顔料による塗装をランプバルブまたはガラスフィルタに施したものである。これらの顔料は耐熱性が高く、ガラスフィルタと組合せて使用することで、高出力ランプを使用して光源近傍が摂氏200 度程度の高熱になる場合でも特性の劣化が少なく、長年にわたって可視領域を含む短波長領域を低減させることができる。またランプバルブに直接塗装を施した場合、フィルタが必要ないため、照明器具の機構を簡便にできる。 【0042】 請求項9記載の防蛾灯によれば、光源には幅広い波長域の光を照射する白色光源を用い、その光の不必要な部分をフィルタまたはランプバルブで吸収し、必要な緑色光のみを放射する方法である。ここでいう白色光源とは、たとえば白色蛍光ランプ、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、白色無電極ランプ、白色LED、白色ELである。 【0043】 白色光を発する光源は、LED などの一部の例外を除き、緑色光源より廉価で寿命が長い。たとえば40W白色蛍光ランプは、光束が70%に減退するまでの寿命が12000 時間であるのに対し、カラー蛍光灯は5000〜7500 時間である。よって、ランプ交換間隔を延ばすことができ、かつランプ自体も廉価なので、ランニングコストを削減できる。 【0044】 なお、緑色光を透過するフィルタの実現方法としては、後述の請求項11および請求項12 の方法以外にもガラスにクロムを添加する方法や、ガラスや樹脂に光学多層膜を形成する方法などがある。本発明ではこれらの方法によって実現された緑色光を透過するフィルタを用いてもよい。 【0045】 請求項10記載の防蛾灯によれば、光源に白色蛍光ランプを用い、緑色光を透過するフィルタと組み合わせた防蛾灯である。白色光源の中でも、白色蛍光灯は比較的廉価である。またランプ交換などの取り扱いも容易である。 【0046】 請求項11記載の防蛾灯によれば、白色光源の不要な波長域を低減するため、フタロシアニン系、アゾ系のいずれかまたはこれらを組合せた顔料を塗布または添加した樹脂フィルタを用いたものである。これらの顔料は耐久性に優れる上、溶解性がよく高い透過率を得やすい。また樹脂フィルタもガラスと比較すると軽量であり、形状の自由度が高い。耐熱性が要求されない器具では、両者の組合せによる緑色光を透過するフィルタを用いることで、器具効率が高く取り扱い易い防蛾灯を得ることができる。 【0047】 請求項12記載の防蛾灯によれば、白色光源の不要な波長域を低減するため、エメラルドグリーン、カドミウムグリーン、クロムグリーン、コバルトグリーン、酸化クロム、テールベルト、バライタグリーン、ビリジアン、マラカイトのいずれかまたはこれらを組合せた顔料による塗装をランプバルブまたはガラスフィルタに施したものである。これらの顔料は耐熱性が高く、ガラスフィルタと組合せて使用することで、高出力ランプを使用して光源近傍が摂氏200 度程度の高熱になる場合でも、特性の劣化が少なく、長年にわたって白色光の不要な波長域を低減させることができる。またランプバルブに直接塗装を施した場合、フィルタが必要ないため、照明器具の機構を簡便にできる。 【0048】 請求項13記載の防蛾灯によれば、光源に緑色光を放射する光源を用い、青色光または緑色光を透過するフィルタと組み合わせた防蛾灯である。ここでいう緑色光を放射する光源とは請求項2 の詳細で述べた光源と同じである。また青色光を透過するフィルタ(以下青色フィルタ) とは、少なくとも600〜700nm の波長を低減させ、300〜600nm の波長域の一部もしくは全部の波長域を透過するフィルタを言う。緑色光を透過するフィルタとは、請求項9、請求項11、および請求項12で延べた緑色フィルタと同じである。 【0049】 緑色光源の中には、600nm 以上の波長域にも放射を持つ光源がある。図3に示すように、600nm〜700nm を中心とする波長域は赤色光吸収型のフィトクロムの吸収波長域であり、花芽形成への影響を低減させるには、この波長域の放射を低減させることが望ましい。 【0050】 そこで、請求項13では緑色フィルタを用いることで、請求項2の効果に加えて、より花芽形成への影響を低減させるものである。 【0051】 また、フィトクロムは550nm 付近の光も一部吸収するため、花芽形成への影響を極限まで低減させるには、550nm 以上600nm 以下の波長域も低減した方がよく、これは青色フィルタを使用することで実現できるものである。 【0052】 青色光を透過するフィルタの実現方法としては、フタロシアニンブルー、インダンドロンのいずれかまたはこれらを組合せた顔料を樹脂フィルタを塗布または添加する方法、ウルトラマリン、コバルトブルー、セルリアンブルー、ターコイズブルー、マンガニーズブルーをのいずれかまたはこれらを組合せた顔料による塗装をランプバルブまたはガラスフィルタに施す方法、ガラスにコバルト、ニッケル、銅を添加する方法、光学多層膜を樹脂またはガラスに塗布する方法などがあるが、本発明ではこれらいずれの方法によって実現された青色フィルタを用いてもよい。 【0053】 請求項14記載の防蛾灯によれば、光源に黄色光源を用い、青色光を透過するフィルタもしくは緑色光を透過するフィルタと組み合わせた防蛾灯である。ここでいう黄色光源とは、黄色蛍光ランプ、低誘虫性蛍光ランプ、高圧ナトリウムランプである。これらの光源の分光特性は、誘虫性の高い短波長領域の放射を含まず、なおかつ460〜580nm の防蛾効果の高い波長領域の放射を含む。そこで、請求項9、請求項11および請求項12で述べた緑色光を透過するフィルタまたは請求項13で述べた青色光を透過するフィルタと組み合わせることで、花芽形成への影響を低減し、かつ防蛾効果を得ることができる照明器具を提供できる。 【0054】 請求項14の発明は、すでに設置済みの従来の黄色蛍光灯を用いた防蛾灯において、その花芽形成に対する影響力を低減させるために用いてもよい。 【発明を実施するための最良の形態】 【0055】 (実施形態1) 本発明の第1の実施の形態を図1に示す。図1は、蛍光ランプ1をポリカーボネート製シリンダ3で覆った防蛾灯の例である。2は安定器、4は取付けフック、5はフィルタであり、蛍光ランプ1の種類とフィルタ5すなわちポリカーボネート製シリンダに添加する顔料の組合せにより、表1のような実施形態が考えられる。表1に示す各ランプ・シリンダの分光特性と、それぞれを組合せた防蛾灯の分光特性を図2に示す。 【0056】 これらの蛍光ランプ1とシリンダ3の組合せは、いずれもピーク波長が540nm 付近にあり、高い防蛾効果が得られる。また、600nm 以上の波長域にはそれほど光を放射せず、花芽形成に対する影響が少ない。特に緑色光を透過するフィルタを用いた組合せでは、防蛾効果が若干低下する代わり、花芽形成に影響する波長域の光はほぼ完全に遮断することができる。また、白色蛍光ランプは寿命が長いため、ランプ交換に関わるコストを低減できる。 【0057】 また、図1のような形状の防蛾灯は、ポリカーボネート製シリンダ3の外郭を持つ上に、 ポリカーボネート性フィルタ5で蛍光ランプ1を覆っているため、万が一器具が落下した際でも蛍光ランプ1が破損しにくく、破損した場合でもランプ破片が散乱しないので農場を汚染することがない。 【0058】 【表1】
(実施形態2) 本発明の第2の実施の形態を図3に示す。第1の実施の形態の外郭をなすシリンダ3に、 黄色フィルタ乃至は緑色フィルタの役割を持たせたものである。部品点数を少なくできるため、製造コストを低減できる。第2の実施の形態も第1の実施の形態と同様、各種ランプとフィルタの組合せが考えられる。 (実施形態3) 本発明の第3の実施の形態を図4に示す。図4(a)は透光器型の防蛾灯を示し、図4(b)はランプ8を示す。ランプ8は緑色カラーHID ランプのランプバルブに、微粒子の酸化亜鉛塗膜を形成したものを光源として用いている。投光器タイプはランプ光束が大きいため、1 灯で広い範囲を照射可能であるが、この実施形態ではさらに花芽形成への影響と誘虫性を大幅に低減できる。 (実施形態4) 本発明の第4の実施の形態を図4により説明する。図4で、ランプ8に白色メタルハライドランプを用い、ランプバルブにコバルトグリーンで塗膜を形成したものである。白色メタルハライドランプはカラーHID ランプに比較してランプ寿命が長いため、ランプ交換に関わるコストを低減できる。 (実施形態5) 本発明の第5の実施の形態を図5に示す。すなわち、第5の実施の形態は丸グローブ型の防蛾灯であり、ランプ9に白色メタルハライドランプを用い、フタロシアニングリーンによる塗膜を形成したポリカーボネート製グローブを備えたものである。11はポールである。丸グローブ型は万が一倒壊してランプ9が破損しても、ランプ9がグローブ10に覆われているためランプ破片による農場の汚染がない。花芽形成に対する影響や誘虫性はグローブの塗膜で低減できる。 (実施形態6) 本発明の第6の実施の形態を図5により説明する。すなわち、丸グローブ型の防蛾灯で、 ランプ9に高圧ナトリウムランプを用い、フタロシアニングリーンによる塗膜を形成したポリカーボネート製グローブ10を備えたものである。ランプ9自体が紫外領域に光放射を持たないため、誘虫性が低い。またランプ寿命が長いため、ランプ交換に要するコストを低減できる。 【図面の簡単な説明】 【0059】 【図1】この発明の第1の実施の形態の概略斜視図である。 【図2】ランプとフィルタの各種組み合わせによる分光特性図である。 【図3】第2の実施の形態の概略斜視図である。 【図4】(a)は第3および第4の実施の形態の斜視図、(b)はランプの側面図である。 【図5】第5および第6の実施の形態の部分斜視図である。 【図6】波長に対する明適応所要時間の関係図である。 【図7】Bickford の走行性曲線である。 【図8】フィトクロム吸収特性である。 【図9】第1の従来例の斜視図である。 【図10】第2の従来例の概略断面図である。 【図11】第3の従来例の正面図である。 【図12】従来例の分光特性図である。 【図13】対象昆虫の分光感度特性図である。 【図14】短波長カットによる誘虫数の変化図である。 【図15】短波長カットした白色蛍光ランプの分光特性図である。 【符号の説明】 【0060】 1 蛍光ランプ 3 透明シリンダ
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1048番地
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| 【出願日】 |
平成16年4月19日(2004.4.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076174 【弁理士】 【氏名又は名称】宮井 暎夫
【識別番号】100105979 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 誠
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| 【公開番号】 |
特開2005−304340(P2005−304340A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月4日(2005.11.4) |
| 【出願番号】 |
特願2004−123170(P2004−123170) |
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