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【発明の名称】 虫類捕獲用エアゾール製品
【発明者】 【氏名】高柳 泰

【氏名】加百 克好

【氏名】河本 尚一

【要約】 【課題】従来の製品と比べて虫類の捕獲性能に優れた虫類捕獲用エアゾール製品を提供する。

【解決手段】エアゾール内容物を収容したエアゾール容器と、複数の噴口を設けたアクチュエーターとを備えたことを特徴とする虫類捕獲用エアゾール製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール内容物を収容したエアゾール容器と、複数の噴口を設けたアクチュエーターとを備えたことを特徴とする虫類捕獲用エアゾール製品。
【請求項2】
噴口が、エアゾール容器の軸線に沿って縦方向に並列に配置されていることを特徴とする請求項1記載の虫類捕獲用エアゾール製品。
【請求項3】
アクチュエーターが、エアゾール内容物による目詰まりを防止する手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の虫類捕獲用エアゾール製品。
【請求項4】
目詰まりを防止する手段として、エアゾール缶に接続する垂直流路と、最上に位置する噴口に通じる水平流路との屈曲部の上部に、前記垂直流路に連続する空所が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の虫類捕獲用エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、虫類の捕獲性能に優れた虫類捕獲用エアゾール製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から虫類を防除するための手段の一つとして、虫類に対して樹脂の発泡物(被膜形成物)を噴射し、発泡物で虫類を包囲して捕獲する方法が知られている。この方法では、発泡物で虫類の動きを封じて窒息死させ、発泡物が硬化した後に発泡物ごと捨てることができるので死骸を見ないですむという利点がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特公昭63−3821号公報(第1−5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが従来の製品では、虫類に向かって発泡物を噴射した際に噴射量が少ない、噴射むらがある等によって虫類が逃げてしまい上手く捕獲できないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、従来の製品と比べて虫類の捕獲性能に優れた虫類捕獲用エアゾール製品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、複数の噴口を設けたアクチュエーターを用いて虫類に向かって樹脂の発泡物を噴射することで、前記発泡物が投網状に大量に噴射されて虫類を包囲して目的が達成されることを見出し本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の虫類捕獲用エアゾール製品からなるものである。
(1)エアゾール内容物を収容したエアゾール容器と、複数の噴口を設けたアクチュエーターとを備えたことを特徴とする虫類捕獲用エアゾール製品。
(2)噴口が、エアゾール容器の軸線に沿って縦方向に並列に配置されていることを特徴とする上記(1)記載の虫類捕獲用エアゾール製品。
(3)アクチュエーターが、エアゾール内容物による目詰まりを防止する手段を備えることを特徴とする上記(1)または(2)記載の虫類捕獲用エアゾール製品。
(4)目詰まりを防止する手段として、エアゾール缶に接続する垂直流路と、最上に位置する噴口に通じる水平流路との屈曲部の上部に、前記垂直流路に連続する空所が形成されていることを特徴とする上記(3)に記載の虫類捕獲用エアゾール製品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の虫類捕獲用エアゾール製品は、虫類に向かって樹脂の発泡物を噴射した際に、投網状に広範囲で、かつ大量に噴射できることから虫類をより確実に、かつ短時間で繭玉状に包囲することができ、虫類の捕獲性能に優れるたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の虫類捕獲用エアゾール製品(以下、「エアゾール製品」とも言う)の具体例について図面を参照して詳細に説明する。尚、図1は本発明のエアゾール製品の一例を示す斜視図であり、図2は他の例を示す斜視図である。
【0010】
図1に記載されたエアゾール製品1においては、アクチュエーターとして、エアゾール缶4の軸線に沿って縦方向に2個の金属製の噴口3A、3Bを設けたプラスチック製の噴霧ボタン2が備えられている。そして、噴霧ボタン2はバルブ5と連結されてエアゾール缶4に取り付けられている。また、エアゾール缶4の内部には、樹脂の発泡物を形成するエアゾール内容物が充填されている。
【0011】
ここで噴口3A、3Bは同一径で、その直径は約0.8〜1.0mmであり、各噴口の中心点の間隔(X)が約10〜15mmとなるように設けられている。また、噴霧ボタン2は直径15mm、縦27.5mmの円柱状を呈している。
【0012】
噴口3A、3Bは、図示される縦方向に2個並列に配置する他に、横方向に2個並列に配置することができる。しかし、噴口3A、3Bを横方向に並設した場合、エアゾール内容物を噴口に導くための流路が、エアゾール缶4に接続する垂直流路から、この垂直流路と直交する2方向に分岐し、更にそれぞれ直角方向に屈曲して噴口3A、3Bに接続する構造となり、縦方向に並設した場合の垂直流路に上下2つの水平流路を設ける構造に比べて複雑で、屈曲部も多くなる。本発明のエアゾール製品では、後述するように、エアゾール内容物が樹脂の発泡物であり、使用後に長時間放置すると流路内でエアゾール内容物が硬化して目詰まりを起こすことがあるため、噴口3A、3Bを横方向に並設した場合、目詰まりがより起こりやすくなる。また、一般的なエアゾール製品の使用形態では左右方向に噴霧することが多いことから、噴口3A、3Bを縦方向に並設した方がエアゾール内容物を広範囲に噴霧することができる。これらの理由により、噴口3A、3Bを縦方向に並設することが好ましい。
【0013】
また、図2に記載されたエアゾール製品1においては、3つの噴口3A〜3Cが正三角形状に配置された噴射ポタン2を備える。噴射ボタン2は、上記と同様の円柱状の基部2aと、基部2aの略中央部から突出して設けられる噴射部2bとからなり、噴射部2bに噴口3A〜3Cが設けられている。また、噴口3A〜3Cの直径は同様に約0.8〜1.2mmであり、間隔(X)は同様に約3〜15mmである。
【0014】
アクチュエーターとしては、図1及び図2に記載したようなツーピースボタンに替えて、ボタンと噴口とが一体成形されたワンピースボタンとしてもよく、さらにはボタンに替えて、レバー、トリガー等とすることもできる。また噴口は、ストレート、テーパー、逆テーパー、メカニカルブレークアップ等を用いることができる。
【0015】
本発明のエアゾール製品は、前記の構成に限定されるものではなく、噴口の直径は約0.6〜1.2mm、各噴口の中心点の間隔(X)は約3〜20mm、噴口の数は2〜10として、噴霧ボタンに縦、横、斜め等に設けることができる。また噴口の形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、多角形等とすることができる。さらに各噴口を傾斜を持たせて備えることで、発泡物の噴射パターンを調整することもできる。
【0016】
またアクチュエーターにおいて、バルブと噴口とを繋ぐ流路の直径は約1〜3mm、長さは約20〜30mmとするのがよい。流路の直径が狭すぎたり、長すぎたりすると、エアゾール内容物による詰りが生じることがある。
【0017】
さらに本発明のエアゾール製品では、ステム径約1.0〜1.2mm、アンダータップ径約1.0〜2.2mmのバルブを用いることがよい。また、ベーパータップはあってもなくてもよい。
【0018】
そして本発明のエアゾール製品は、エアゾール内容物の噴射量が約30〜70g/10秒となるように噴口の寸法や形状、配置、アクチュエーターの構造を前記範内で調整することがよい。
【0019】
また、上記したように、本発明のエアゾール製品ではエアゾール内容物が硬化して目詰まりを起こすことがある。そこで、アクチュエーターに目詰まり防止手段を付加することが好ましい。
【0020】
具体的には、図3に断面図で示すように、アクチュエーター2の内部には、エアゾール缶(図示略)に接続する垂直流路10aと、垂直流路10aから噴口3A、3Bに通じる2本の水平流路10bとからなる流路10が形成されており、更に目詰まり防止手段として、垂直流路10aと、最上に位置する噴口3Aに通じる水平流路10bとの屈曲部に、垂直流路10aに連続する空所11(図中、ハッチング部分)を形成する。これにより、噴射時に、エアゾール内容物は垂直流路10aを通じて空所11まで至り、仮に流路内でエアゾール内容物が硬化しても、空所11があるので垂直流路10a内で硬化したエアゾール内容物の一部が一端空所11へ押出されることで、エアゾール内容物が水平流路10b、最上の噴口3Aに一度に集中しなくなり、目詰まりが防止される。尚、空所11の高さには制限がないが、低すぎると早期にエアゾール内容物の硬化物で充満して目詰まりを防止する効果が無くなり、高すぎるとアクチュエーター2が全体として大型になる。従って、これらを考慮して空所11の設計を行うことが望ましく、例えば約10〜15mmとするのがよい。
【0021】
また、目詰まり防止手段として、図4〜図6に示すように、アクチュエーター2を分解可能な構造とし、分解して流路10を清掃する構成としてもよい。図4に示すアクチュエーター2は、上面6を取り外し可能とし、ねじ6aをアクチュエーター2の垂直流路10aの上部に形成したねじ溝2aに螺合して一体化する構成となっている。図5に示すアクチュエーター2は、側面7を取り外し可能とし、ねじ7aをアクチュエーター2の垂直流路10aに至るねじ溝2bに螺合して一体化する構成となっている。図6に示すアクチュエーター2は、上面の一部8を取り外し可能とし、アクチュエーター2に設けた溝2cに係合させて一体化する構成となっている。何れのアクチュエーター2でも、分解して垂直流路10aを露出し、エアゾール内容物の硬化物があれば除去する。尚、この分解・清掃は噴射後に行い、次の噴射に備える。
【0022】
本発明のエアゾール内容物としては、虫類を捕獲するための樹脂の発泡物(皮膜形成物)を形成するために、例えば、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フタル酸樹脂、ウレタン樹脂、アミノ樹脂、エポキシエステル樹脂、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の樹脂、水、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、ケロシン等の炭化水素類、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。またグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型非イオン界面活性剤を用いることで、発泡物の虫類に対する付着力が高まり捕獲性能がよくなるので好ましい。
【0023】
噴射剤として、例えば、窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス等の圧縮ガス、HFC−152a、HFC−134a等のハイドロフルオロカーボン、ジメチルエーテル等の液化ガス、プロパン、ブタン、イソブタン等の液化石油ガス、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン等のペンタン等の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記噴射剤の中でもハイドロフルオロカーボン等の不燃性ガスを用いると、発泡物及びその中が不燃性となり火気に対する安全性を向上することができる。一方、前記噴射剤の中で常温で液体のものは、虫類に対して冷却作用を奏することから、虫類を捕獲すると共にノックダウンさせたり、致死させたりするのに都合がよい。前記噴射剤を虫類に対して液滴で付着させたり、ゲル化剤を併用することは冷却作用を高めるうえではよい。
【0024】
また必要に応じて、例えば、チタン、ケイ酸、無水ケイ酸、タルク、アルミニウム塩、酸化亜鉛、酸化鉄、二硫化モリブデン、窒化珪素、樹脂粉末等の粉体、ブタンとプロパンとの混合物等の剥離剤、色素、香料を用いることもできる。色素を用いて噴射された発泡物が着色された状態とすると、噴射面での状態や剥離の状態が容易に把握できるのでよい。
さらに虫類に対するノックダウンや殺虫効果を高めるために、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン等の飽和炭化水素、2,3−ジハイドロデカフロロペンタン等の冷却剤、天然ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、トランスフルトリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、d,d−T99−シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルスリン、デルタメスリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フェンプロパスリン、シラフルオフェン、(S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)−シクロペント−2−エニル (1R)−トランス−3−(2、2−ジクロロビニル)−2、2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、メトフルスリン、プロフルスリン、S−1864(住友化学工業社製)等のピレスロイド系化合物、ジクロルボス等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物、アミドフルメット等のスルホンアミド系化合物、ジノテフラン等のニコチノイド系化合物、クロルフェナピル、フィプロニル等のピラゾール系化合物、ハッカオイル、ベンジルアルコール等の殺虫性精油、イソプロピルメチルフェノール、S−1991(住友化学工業社製)等の殺虫剤の1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
冷却剤や殺虫剤を用いることで、虫類に対して噴射された発泡物内を瞬時に冷温状態としたり、殺虫剤との強制接触によって効果的に虫類を捕獲、駆除することができる。なお殺虫剤はマイクロカプセルやサイクロデキストリンの包接物としてもよい。
【0026】
本発明の虫類捕獲用エアゾール剤は、ゴキブリ、カメムシ、サシガメ、ゴミムシ、アリ、シロアリ、ハエ、ハチ、ワラジムシ、ムカデ、ゲジゲジ、クモ、ヤスデ、カマドウ、ケムシ等の虫類を捕獲、駆除するのに適したものである。とくにカメムシ、サシガメ、ゴミムシ等の臭いを出す虫類においては、不快な臭いを遮断して捕獲、駆除することも可能となる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
(試験例1)
表1に記載したエアゾール内容物を、図1に記載した2つの噴口(口径0.8mm、各噴口の中心点の間隔1.5mm)を有するアクチュエーターを備えたエアゾール容器に充填して本発明のエアゾール製品とした。また、比較例として、噴霧ボタンに噴口径0.8mmの噴口1つを備えたエアゾール製品を用いた。
【0029】
【表1】


【0030】
そして、各エアゾール製品を用いて以下のように試験を行った。先ず、ピンセットで押さえたワモンゴキブリ雌成虫に対して、50cmの距離からエアゾール内容物を線状に噴射し、発泡物をゴキブリに付着させた。尚、噴射量は約35g/10秒でほぼ同一となるように調整した。次いで、ピンセットを放し、ゴキブリが50秒以内に発泡物から逃げ出すか調べた。試験は5回繰り返して行った。試験の結果は表2に記載したとおりであり、本発明のエアゾール製品は、虫類の捕獲性能に優れることがわかる。
【0031】
【表2】


【0032】
(試験例2)
目詰まり防止手段による効果を確認するために、表1に記載のエアゾール内容物を充填したエアゾール缶に、試験例1で用いた2つの噴口(口径0.8mm、各噴口の中心点の間隔1.5mm)を有するアクチュエーター、並びに図3に示すように更に空所11(高さ10mm)を備えるアクチュエーターを接続してエアゾール製品を作製した。尚、何れも垂直流路は直径3mmで、上側の噴口の水平流路の軸線までの高さが22mmである。
【0033】
そして、両エアゾール製品を一度噴射し、25℃で7日間放置した後、再び噴射し、目詰まりが起こるか否かを調べた。試験は2回繰り返した。結果は、空所を有するアクチューターを備えるエアゾール製品は上側の噴口からもエアゾール内容物が正常に噴射されたのに対し、空所の無いアクチューターを備えるエアゾール製品では上側の噴口が目詰まりを起こし、エアゾール内容物が正常に噴射されなかった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のエアゾール製品の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明のエアゾール製品の他の例を示す斜視図である。
【図3】目詰まり防止手段の一例を示す断面図である。
【図4】目詰まり防止手段の他の例を示す断面図である。
【図5】目詰まり防止手段の他の例を示す断面図である。
【図6】目詰まり防止手段の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 エアゾール製品
2 噴射ボタン
3 A〜3C 噴口
4 エアゾール缶
5 バルブ
10 流路
10a 垂直流路
10b 水平流路
11 空所
【出願人】 【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
【出願日】 平成16年4月23日(2004.4.23)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光

【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛

【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子

【識別番号】100093573
【弁理士】
【氏名又は名称】添田 全一

【公開番号】 特開2005−270089(P2005−270089A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−127739(P2004−127739)