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【発明の名称】 腹足類害虫用駆除具および腹足類害虫駆除方法
【発明者】 【氏名】横山 宜弘

【氏名】根岸 務

【氏名】堤 周作

【要約】 【課題】降雨や潅水による毒餌剤の崩壊や有効な薬剤成分の流出がなく、長期間にわたって駆除効果を維持し、有効にナメクジ等の腹足類害虫を駆除することができる安価な腹足類害虫用駆除具を提供すること。

【解決手段】腹足類害虫用駆除具1は、土壌4へ差し込むための差込部2aまたは土壌4を入れた容器に固定するための固定手段を有する支持体2と、支持体2の表面に固着された、ワックスまたは水性塗料を基剤とした腹足類害虫用毒餌剤3と、を備えている。支持体2の差込部2aを土壌4に突き刺して腹足類害虫用駆除具1を設置し、腹足類害虫用毒餌剤3に混合された誘引剤によって腹足類害虫5を誘引し、毒餌剤3を舐めさせて駆除する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌へ差し込むための差込部または前記土壌を入れた容器に固定するための固定手段を有する支持体と、
前記支持体の表面に固着された、ワックスまたは水性塗料を基剤とした腹足類害虫用毒餌剤と、
を備えていることを特徴とする腹足類害虫用駆除具。
【請求項2】
前記腹足類害虫用毒餌剤が、炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、および高級脂肪酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも1種のワックスを基剤とし、当該基剤に腹足類害虫を誘引するための誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤が混合されたものであることを特徴とする請求項1に記載した腹足類害虫用駆除具。
【請求項3】
前記腹足類害虫用毒餌剤が、アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイントまたはアクリル樹脂水性ニスを基剤とし、当該基剤に腹足類害虫を誘引するための誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤が混合されたものであることを特徴とする請求項1に記載した腹足類害虫用駆除具。
【請求項4】
前記支持体は、前記土壌と前記腹足類害虫用毒餌剤とを所定の距離だけ離間させて設置するための間隔形成手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載した腹足類害虫用駆除具。
【請求項5】
支持体にワックスまたは水性塗料を基剤とした腹足類害虫用毒餌剤が固着された腹足類害虫用駆除具を用いて腹足類害虫を駆除する腹足類害虫駆除方法であって、前記腹足類害虫用駆除具を設置したとき、前記腹足類害虫用毒餌剤と土壌とを所定の距離だけ離間させて設置し、腹足類害虫を駆除することを特徴とする腹足類害虫駆除方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、腹足類害虫用駆除具および腹足類害虫駆除方法に関し、より詳細には、長期間にわたって駆除効果を維持でき且つ有効に腹足類害虫を駆除することができる腹足類害虫用駆除具および腹足類害虫駆除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばナメクジ等といった腹足類害虫は、野菜や花卉等を食害する害虫であり、その外観からも不快害虫として、駆除の対象とされている。腹足類害虫の駆除は、米糠、ふすま、等を基剤とし、その基剤に駆除成分を含ませたものからなる顆粒状薬剤を駆除領域内に散布して行なうのが一般的である。
【0003】
また、顆粒状薬剤以外の駆除具としては、棒状支柱に深傘を付設し、深傘内にナメクジ駆除剤を装着したナメクジ等駆除具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−51911号公報(第2〜3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナメクジ等を駆除するために顆粒状薬剤が散布される畑、庭、植木鉢、等は、降雨や潅水に曝される機会が多く、また、ナメクジ等の腹足類害虫の活動域には湿気が多いため、顆粒状薬剤が吸水して形状を維持することができずに崩壊したり、薬剤成分が流出して駆除効果が低減される可能性が高い。このため、本来、顆粒状薬剤を散布したい腹足類害虫が活発に活動する降雨時に駆除効果が望めない。更に、潅水前には顆粒状薬剤の使用を控える必要がある等、ガーデニング用品としては使い勝手が悪く、改善の余地がある。
【0005】
また、特許文献1に開示されているナメクジ等駆除具は、棒状支柱に深傘を付設し、深傘内にナメクジ駆除剤を装着することによってナメクジ駆除剤が降雨や潅水で濡れるのを防止するようになっており、ナメクジ駆除剤が水で濡れることによる不具合の解消が図られている。しかし、特許文献1ではナメクジ駆除剤について詳細に記載されておらず、深傘内に単に従来のナメクジ駆除剤を配置した構造では、吸湿や乾燥等によりナメクジ駆除剤の崩壊や薬剤成分の流出が生じて駆除効果が低下する可能性が高い。このように、特許文献1に開示されているナメクジ等駆除具でも、ナメクジを有効に駆除する上で、十分とは言えない。
【0006】
その上、特許文献1に開示されているナメクジ等駆除具ではナメクジ駆除剤が深傘内に装着されているので、ナメクジ駆除剤から揮散する誘引成分が深傘内に留まり、誘引成分を広い範囲に揮散させることができず、よって効率よくナメクジを誘引できない可能性が高い。また、深傘内に装着されているナメクジ駆除剤は、ナメクジ等駆除具が土壌に差し込まれた状態では目視することができないため、ナメクジ駆除剤の残量等を目視によって確認することが難しい。即ち、ナメクジ等駆除具の交換時期を知るには、ナメクジ等駆除具を土壌から引き抜いて裏返さなければ確認できない。更に、このナメクジ等駆除具は、棒状支柱に深傘が付設された複雑な形状を有するので、安価に製作することができない。
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、降雨や潅水による毒餌剤の崩壊や有効な薬剤成分の流出がなく、長期間にわたって駆除効果を維持でき且つ有効に腹足類害虫を駆除することができる安価な腹足類害虫用駆除具および腹足類害虫駆除方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明に係る腹足類害虫用駆除具は、下記(1),(2),(3),(4)を特徴としている。
【0009】
(1)土壌へ差し込むための差込部または前記土壌を入れた容器に固定するための固定手段を有する支持体と、前記支持体の表面に固着された、ワックスまたは水性塗料を基剤とした腹足類害虫用毒餌剤と、を備えていること。
【0010】
(2)前記腹足類害虫用毒餌剤が、炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、および高級脂肪酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも1種のワックスを基剤とし、当該基剤に腹足類害虫を誘引するための誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤が混合されたものであること。
【0011】
(3) 前記腹足類害虫用毒餌剤が、アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイントまたはアクリル樹脂水性ニスを基剤とし、当該基剤に腹足類害虫を誘引するための誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤が混合されたものであること。
【0012】
(4) 前記支持体は、前記土壌と前記腹足類害虫用毒餌剤とを所定の距離だけ離間させて設置するための間隔形成手段を備えていること。
【0013】
また、本発明に係る腹足類害虫駆除方法は、支持体にワックスまたは水性塗料を基剤とした腹足類害虫用毒餌剤が固着された腹足類害虫用駆除具を用いて腹足類害虫を駆除する腹足類害虫駆除方法であって、前記腹足類害虫用駆除具を設置したとき、前記腹足類害虫用毒餌剤と土壌とを所定の距離だけ離間させて設置し、腹足類害虫を駆除することを特徴とする。
【0014】
上記の特徴を有する本発明の腹足類害虫用駆除具ならびに腹足類害虫駆除方法によって、例えば、ナメクジ、ウスカワマイマイ、カタツムリ、ミヤイリ貝、等の腹足類害虫を誘引、駆除することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る腹足類害虫用駆除具によれば、腹足類害虫用毒餌剤がワックスまたは水性塗料を基剤としたものであって耐水性が高いため、降雨や潅水等によって濡れても当該毒餌剤が崩壊したり、有効な薬剤成分が流出することがなく、長期間にわたって安定して駆除効果を維持することができ且つ、土壌を汚染することもない。従って、降雨時等といった腹足類害虫が活発に活動する時期に合わせて腹足類害虫用駆除具を設置しても、腹足類害虫を効果的に駆除することができる。
【0016】
また、本発明に係る腹足類害虫用駆除具は、ワックスを基剤とした腹足類害虫用毒餌剤を備えていることから、降雨や潅水で濡れるのを防止するために深傘等といった傘部材を備える必要がなく且つ、支持体に固着された腹足類害虫用毒餌剤全体が傘部材等で覆われることなく腹足類害虫用駆除具の外部に露出されるため、構造をシンプルにでき、これにより安価に製作することができるとともに、腹足類害虫用毒餌剤からの誘引成分を広く揮散させて効率よく腹足類害虫を誘引、そして駆除することができる。
【0017】
また、本発明に係る腹足類害虫用駆除具は、アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイントまたはアクリル樹脂水性ニスなどの水性塗料を基剤とし、当該基剤に誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤が混合された腹足類害虫用毒餌剤を備えていることから、高い耐水性を有しており、降雨や潅水等によって濡れても当該毒餌剤が崩壊したり、有効な薬剤成分が流出することがなく、長期間にわたって安定して駆除効果を維持することができ且つ、土壌を汚染することもない。また、腹足類害虫用駆除具の製造時において支持体の表面に固着させた腹足類害虫駆除薬剤の乾燥時間が短く、効率よく安価に腹足類害虫用駆除具を製作することができる。
【0018】
また、本発明に係る腹足類害虫用駆除具は、腹足類害虫用駆除具を設置するとき、土壌と腹足類害虫用毒餌剤とを所定の距離だけ離間させて設置するための間隔形成手段を備えているので、腹足類害虫用毒餌剤を土壌から離間させて設置することができる。従って、表面に水が溜まった土壌への設置が可能となり、また腹足類害虫用毒餌剤が土壌から直接吸湿するのを防止して長期間、有効に作用させることができると共に、薬剤成分による土壌の汚染を防止することができる。
【0019】
また、本発明に係る腹足類害虫駆除方法によれば、腹足類害虫用毒餌剤がワックスまたは水性塗料を基剤としたものであって耐水性が高いため、降雨や潅水等によって濡れても当該毒餌剤が崩壊したり、有効な薬剤成分が流出することがなく、長期間にわたって安定して駆除効果を維持することができ且つ、土壌を汚染することもない。従って、降雨時等といった腹足類害虫が活発に活動する時期に合わせて腹足類害虫用駆除具を設置しても、腹足類害虫を効果的に駆除することができる。また、本発明に係る腹足類害虫駆除方法によれば、腹足類害虫用駆除具を設置するとき、土壌と腹足類害虫用毒餌剤とを所定の距離だけ離間させて設置するため、表面に水が溜まった土壌への設置が可能となり、また腹足類害虫用毒餌剤が土壌から直接吸湿するのを防止して長期間、有効に作用させることができると共に、薬剤成分による土壌の汚染を防止することができる。
【0020】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図、そして図2は図1におけるII−II矢視縦断面図である。
【0023】
図1および図2に示されるように、腹足類害虫用駆除具1は、支持体2と、腹足類害虫用毒餌剤(以後、『腹足類害虫用毒餌剤』または単に『毒餌剤』と記述する。)3と、を備えている。
【0024】
支持体2は、毒餌剤3を保持するためのものであって、例えば木、合成樹脂、金属、セラミック、ガラス、等のいずれか、またはそれらの組合せから形成された直径4mm〜10mm、長さ50mm〜150mmの棒状部材、或いは幅5mm〜20mm、厚み3mm〜10mm、長さ50mm〜150mmの平板棒状部材である。支持体2の一端は先細り状に形成された差込部2aである。この差込部2aを例えば畑の土、庭の土、植木鉢の土、等といった土壌4に突き刺すことにより、任意の場所に腹足類害虫用駆除具1を設置できるようになっている。
【0025】
腹足類害虫用駆除具1は、設置場所に例えば垂直に差し込んで設置できるので、狭い設置場所や作物、園芸物、等の近傍にも容易に設置することが可能である。また、駆除効果を更に向上させるために、複数本の腹足類害虫用駆除具1を密に隣接させて設置することもできる。
【0026】
毒餌剤3は、ナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、駆除するためのものであって、支持体2の差込部2aから離間した支持体2の他端側全体(即ち、他端側の外周面および端面)に塗布され且つ乾燥されて固着されている(換言すれば、支持体2の他端側全体を覆うように設けられている)。
【0027】
毒餌剤3は、例えば、ノルマルパラフィン(分子量400前後・炭素数30前後・融点60℃前後・分子量800前後・炭素数60前後・融点100℃前後;例えば炭素数26:ヘキサコサン、28:オクタコサン、30:トリアコンタン、32:ドトリアコンタン、34:テトラトリアコンタン、炭素数56:ヘキサペンタコンタン、58:オクタペンタコンタン、60:ヘキサコンタン、62:ドヘキサコンタン、64:テトラヘキサコンタン)、等の炭化水素、例えば、ベヘニン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、等の高級脂肪酸、例えば、イコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、等の高級脂肪族アルコール、および例えば、パルミチン酸、ベヘニン酸等とセリルアルコール、ミリシルアルコール等のエステル、等の高級脂肪酸エステルからなる群から選ばれた少なくとも1種のワックス、または例えば、アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイント、アクリル樹脂水性ニス、等の水性塗料を基剤とし、当該基剤に、腹足類害虫5を誘引するためのビール酵母または蛹粉を含む誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤であるメタアルデヒドが混合して練り込まれている。支持体2に固着される毒餌剤3の量は、例えば、1.5g/支持体であり、毒餌剤3の厚さは、基剤としてワックスを用いた場合には約0.5〜10mmであり、基剤として水性塗料を用いた場合には約0.1〜10mmである。尚、基剤としてワックスを用いる場合、ワックス50〜90重量%、誘引剤10〜50重量%の混合割合とするのが好ましい。毒餌剤3に用いるワックスの具体例としては、商品名「SP−0145」(融点62℃):日本精蝋株式会社製、商品名「LUVAX−1211」(融点98℃):日本精蝋株式会社製、等が挙げられる。
【0028】
基剤として水性塗料を用いる場合、水性塗料20〜90重量%、誘引剤10〜50重量%の混合割合とするのが好ましく、毒餌剤3を支持体2に塗布したとき、垂れ落ちない程度の粘度に調整可能であり、また、3時間程度以内の短時間で乾燥すると共に乾燥後にひび割れが発生しないものが望ましい。このような水性塗料としては、アクリル・ウレタン共重合体を基剤とする水性外壁用ペイント(粘度500〜5000mPa・s)、または、水性ニス(粘度50〜1500mPa・s)が例示される。該基剤と誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤との混合後の好ましい粘度は、アクリル・ウレタン共重合体を基剤とする水性外壁用ペイントを用いた毒餌剤3については5000〜100000mPa・s、更に望ましくは10000〜20000mPa・sであり、水性ニスを基剤とする毒餌剤3については5000〜100000mPa・s、更に望ましくは30000〜50000mPa・sである。このような水性塗料の具体例としては、商品名「スーパーヒット」:カンペハピオ株式会社製、商品名「水性ニス」:アサヒペン株式会社製、等が挙げられる。
【0029】
基剤であるワックスまたは水性塗料に混合される誘引剤としては、前述したビール酵母と蛹粉の他、酒かす、オキアミパウダー、卵黄、チキンエキスパウダー、シーズニングオイル、ストロベリーパウダー、ピーチパウダー、マッシュルームエキス、魚粉、牛(豚)肉粉、等を用いることができる。また、腹足類害虫駆除薬剤は、メタアルデヒドに代えて、塩化トリフェノール錫、酢酸トリフェノール錫、マクロテトラノイド、リン酸鉄、2−メチル−2−メチルチオ−6−ニトロフェノール、イソシアヌール酸トリアリルエステル、デヒドロ酢酸ナトリウム、硫酸銅5水和物、硫酸アルミニウム、ジクロラル尿素(1,3−ビス(2,2,2−トリクロル−1−ヒドロキシエチル)尿素)、メキサカルベート(4−ジメチルアミノ−3,5−キシリル−N−メチルカーバメート)、メチオカーブ(3,5−ジメチル−4−(メチルチオ)フェニルメチルカーバメート)、ニクロサミド(5−クロル−N−(2−クロル−4−ニトロフェニル)−2−ヒドロキシベンズアミド)、TBS(N−14−ブロムフェニル)−2−ヒドロキシ−3,5−ジブロムベンズアミド−N−トリフェニルメチルアミン)、トリフェンモルフ(N−トリチルモルフォリン)、イソピンピネリン(2,6−ジブロム−4−(4−ニトロフェニルアゾ)フェノール)、等を用いてもよい。更に必要に応じて、フェニル−β−ナフリルアミンα−ナフリルアミン N,N−ジ−第三ブチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−第三ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−第三ブチル−フェノール、2,4−ジ−メチル−6−第三ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、等の酸化防止剤、黄色2号、黄色4号、赤色2号、赤色3号、赤色102号、青色1号、青色2号、緑色201号、緑色202号、等の色素、フェニルサリチレート、モノグリコリコールサリチレート、p−第三ブチルフェニルサリチレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チヌピン)、等の光安定剤、等を用いてもよい。
【0030】
毒餌剤3は、炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸エステル、等といったワックス、またはアクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイント、アクリル樹脂水性ニス、アクリル樹脂エマルジョンペイント、スチレンマレイン酸樹脂エマルジョンペイント、等といった水性塗料が基剤とされているので耐水性が高く、水に濡れても形状が崩れることはない。また、これによって誘引剤および腹足類害虫駆除薬剤は、長期間、基剤であるワックスまたは水性塗料に安定して保持される。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0032】
腹足類害虫用駆除具1は、図2に示されるように、支持体2の差込部2aを例えば畑の土、庭の土、植木鉢の土、等といった土壌4の任意の位置に突き刺すことにより容易に設置される。このとき、土壌4を薬剤で汚染させないために、毒餌剤3が土壌4に接触しないように、適当な距離だけ離間させて設置することが好ましい。
【0033】
毒餌剤3に混合された誘引剤から誘引成分が揮散して腹足類害虫用駆除具1の周囲の空間に拡散すると、ナメクジ等の腹足類害虫5は、誘引成分に誘引されて支持体2を這い上がり、毒餌剤3を舐め、やがて死に至り、駆除される。
【0034】
毒餌剤3は、その基剤として炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸エステル、等のワックス、またはアクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイント、アクリル樹脂水性ニス、等の水性塗料が用いられ、該基剤に誘引剤および腹足類害虫駆除薬剤が混合されているので、ワックスまたは水性塗料の持つ耐水効果によって毒餌剤3が水に濡れても形状が崩れることはない。従って、腹足類害虫用駆除具1は、長期間にわたって安定した性能を維持し、有効に腹足類害虫5を駆除する。
【0035】
(第2実施形態)
次に、腹足類害虫用駆除具の第2実施形態を図3および図4を参照して説明する。図3は本発明の第2実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図、そして図4は図3におけるIV−IV矢視縦断面図である。
【0036】
図3および図4に示されるように、第2実施形態の腹足類害虫用駆除具10は、毒餌剤11の成型形状のみが第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と異なり、その他の部分は同様であるので、同一部分には同一符号または相当符号を付して説明を簡略化または省略する。
【0037】
毒餌剤11は、三角錐、四角錐、五角錐、或いは六角錐、等といった頂部が先細りしている多角錐形状を外形として有するように、支持体2に塗布され且つ乾燥されて固着されている。なお、基剤として水性塗料を用いるなどして、支持体2に毒餌剤3を厚く塗布し、乾燥させることが困難な場合には、支持体2の形状を三角錐、四角錐、五角錐、或いは六角錐、等といった多角錐形状に形成しておき、これに毒餌剤3を塗布、乾燥させるようにしてもよい。毒餌剤11の成分は、第1実施形態の毒餌剤3と同様である。
【0038】
第2実施形態の腹足類害虫用駆除具10は、多角錐形状に成形されているので、第1実施形態のように外形が円柱状のものと比較すると表面積が広く、誘引剤からより多くの誘引成分を揮散させて効率よくナメクジ等の腹足類害虫5を誘引することができる。
【0039】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0040】
第2実施形態の腹足類害虫用駆除具10は、図4に示されるように、支持体2の差込部2aを土壌4の任意の位置に突き刺すことにより設置され、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に作用して、ナメクジ等の腹足類害虫5を駆除する。尚、表面積の広い多角錐形状の毒餌剤11からは、多くの誘引成分が周囲に揮散されるので、ナメクジ等の腹足類害虫5は、広い範囲から効率よく誘引されて駆除される。また、支持体2に固着される毒餌剤3の量を多くできることから、より長期間の使用が可能となる。
【0041】
尚、図4中、点線で示されるように、毒餌剤11の外周にリング状の把持部11aを取り付けてもよい。使用者(不図示)は、この把持部11aを指で把持しながら差込部2aを土壌4に突き刺すことによって、毒餌剤11に触れることなく腹足類害虫用駆除具10を任意の位置に設置することができる。或いは、使用者(不図示)は、把持部11aを把持しながら腹足類害虫用駆除具10を土壌4から引き抜いて毒餌剤11に触れることなく設置場所から移動させることもできる。このように、毒餌剤11に触れることなく腹足類害虫用駆除具10を設置或いは移動できるので、安全性がより向上する。
【0042】
このようなリング状の把持部11aに代えて、シュリンクフィルム(不図示)で毒餌剤11全体を包んでもよい。使用者(不図示)は、このシュリンクフィルム(不図示)に包まれた毒餌剤11を指で把持しながら差込部2aを土壌4に突き刺すことによって、毒餌剤11に触れることなく腹足類害虫用駆除具10を任意の位置に設置することができ、そして腹足類害虫用駆除具10の設置後、シュリンクフィルム(不図示)を取り外せばよい。このように、毒餌剤11に触れることなく腹足類害虫用駆除具10を設置できるので、安全性が向上する。
【0043】
(第3実施形態)
次に、本発明の腹足類害虫用駆除具の第3実施形態を説明する。図5は本発明の第3実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図、そして図6は図5におけるVI−VI矢視縦断面図である。
【0044】
図5および図6に示されるように、第3実施形態の腹足類害虫用駆除具20は、支持体21の形状のみが第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と異なり、その他の部分は同様であるので、同一部分には同一符号または相当符号を付して説明を簡略化または省略する。
【0045】
支持体21は、毒餌剤3を保持するためのものであって、例えば木、合成樹脂、金属、セラミック、ガラス、等のいずれか、またはそれらの組合せから形成された棒状部材である。支持体21の一端は先細り状に形成された差込部2aであり、そして支持体21の他端は貫通孔を有するリング状に形成された把持部21bである。
【0046】
差込部21aと把持部21bとの間(即ち、支持体21の一端から見て、把持部21bを除く他端側の外周面)には、毒餌剤3が全体に塗布され且つ乾燥されて固着されている(換言すれば、支持体2の差込部21aと把持部21bとの間の外周面を覆うように設けられている)。この毒餌剤3の成分も、第1実施形態の毒餌剤と同様である。
【0047】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
第3実施形態の腹足類害虫用駆除具20は、図6に示されるように、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に、毒餌剤3に含まれる誘引剤から誘引成分を揮散させて広い範囲からナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、腹足類害虫駆除薬剤を舐めさせて駆除する。
【0049】
また、使用者(不図示)は、把持部21bを指で摘みながら差込部21aを土壌4に突き刺すことによって、毒餌剤3に触れることなく腹足類害虫用駆除具20を任意の位置に設置することができる。或いは、使用者(不図示)は、把持部21bを把持しながら腹足類害虫用駆除具20を土壌4から引き抜いて毒餌剤3に触れることなく設置場所から移動させることもできる。
【0050】
尚、本実施形態によれば、毒餌剤3に触れることなく設置或いは移動できるので、安全性がより向上する。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明の腹足類害虫用駆除具の第4実施形態を説明する。図7は本発明の第4実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図、そして図8は図7におけるVIII−VIII矢視縦断面図である。
【0052】
図7および図8に示されるように、第4実施形態の腹足類害虫用駆除具30は、支持体32の形状のみが第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と異なり、その他の部分は同様であるので、同一部分には同一符号または相当符号を付して説明を簡略化または省略する。
【0053】
支持体32は、毒餌剤3を保持するためのものであって、例えば木、合成樹脂、金属、セラミック、ガラス、等のいずれか、またはそれらの組合せから形成された棒状部材である。支持体32の一端は先細り状に形成された差込部32aであり、差込部32aと毒餌剤3との間には、毒餌剤3の下端から所定の距離X(例えば、10mm〜30mm)だけ離間して、間隔形成手段の一例である突起32bが設けられている。また、毒餌剤3の成分は、第1実施形態の毒餌剤と同様である。
【0054】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0055】
第4実施形態の腹足類害虫用駆除具30は、図8に示されるように、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に、毒餌剤3に含まれる誘引剤から誘引成分を揮散させて広い範囲からナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、腹足類害虫駆除薬剤を舐めさせて駆除する。
【0056】
また、腹足類害虫用駆除具30の設置は、突起32bが土壌4に接触するまで差込部32aを土壌4に突き刺して設置される。これによって、腹足類害虫用駆除具30は、腹足類害虫用駆除具30を起立させた状態で維持するのに必要な十分な長さで土壌4に突き刺される。また、土壌4と毒餌剤3との間に所定の距離Xが確保され、毒餌剤3が土壌4に直接接触することがないので、毒餌剤3が土壌4から吸湿したり、薬剤成分によって土壌4を汚染することが防止される。また、突起32bはツバ形状等を有しているので、突起32bの下面と土壌4の表面との大きな面接触により、腹足類害虫用駆除具30の起立性が良い。
【0057】
尚、間隔形成手段としては、図8に示される突起32bに限定する必要はなく、例えば、支持体32に圧入等の手段によって固定されるリング状部材、或いは印刷、彫込み等により支持体32に記された目印、或いは凹部、等とすることもできる。
【0058】
(第5実施形態)
次に、本発明の腹足類害虫用駆除具の第5実施形態を説明する。図9は本発明の第5実施形態である腹足類害虫用駆除具の縦断面図である。
【0059】
図9に示されるように、第5実施形態の腹足類害虫用駆除具40は、支持体42の形状のみが第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と異なり、その他の部分は同様であるので、同一部分には同一符号または相当符号を付して説明を簡略化または省略する。
【0060】
支持体42は、毒餌剤3を保持するためのものであって、例えば木、合成樹脂、金属、セラミック、ガラス、等のいずれか、またはそれらの組合せにより直線部の長さの異なる略逆U字形に形成された棒状部材である。支持体42の長直線部42cの一端は、先細り状に形成された差込部42aである。短直線部42dには、毒餌剤3が塗布され且つ乾燥されて固着されている。この毒餌剤3の成分も、第1実施形態の毒餌剤と同様である。
【0061】
尚、支持体42の長直線部42cには、毒餌剤3から距離X(例えば、10mm〜30mm)だけ離間させて突起42eを設けるようにしてもよい。これによって、差込部42aを土壌4に突き刺して腹足類害虫用駆除具40を設置したとき、毒餌剤3を土壌4から所定の距離Xだけ離間させて設置することができる。尚、突起42eは距離Xを調節できるように支持体42に摺動および固定できるものでもよい。
【0062】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0063】
第5実施形態の腹足類害虫用駆除具40は、図9に示されるように、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に、毒餌剤3に含まれる誘引剤から誘引成分を揮散させて広い範囲からナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、腹足類害虫駆除薬剤を舐めさせて駆除する。
【0064】
腹足類害虫用駆除具40によると、毒餌剤3が上方から垂下された状態で配置されるので、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に、土壌4にいるナメクジ等の腹足類害虫5を誘引して駆除することができると共に、ナメクジ等の腹足類害虫5がいる植物に毒餌剤3を近接或いは接触させて設置し、当該植物にいるナメクジ等の腹足類害虫5を効率よく誘引、そして駆除することが可能となる。
【0065】
(第6実施形態)
次に、本発明の腹足類害虫用駆除具の第6実施形態を説明する。図10は本発明の第6実施形態である腹足類害虫用駆除具の縦断面図である。
【0066】
図10に示されるように、第6実施形態の腹足類害虫用駆除具50は、支持体52の形状のみが第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と異なり、その他の部分は同様であるので、同一部分には同一符号または相当符号を付して説明を簡略化または省略する。
【0067】
支持体52は、毒餌剤3を保持するためのものであって、例えば木、合成樹脂、金属、セラミック、ガラス、等のいずれか、またはそれらの組合せを略逆U字形に形成した固定手段の一例であるクリップ部52aと、クリップ部52aから上方に延設された直線部52bとが一体的に形成されている。クリップ部52aは、逆U字形の開口幅が拡縮自在となっており、植木鉢53の周縁部53a等を狭持して固定するようになっている。直線部52bには、毒餌剤3が塗布され且つ乾燥されて固着されている。この毒餌剤3の成分も、第1実施形態の毒餌剤と同様である。
【0068】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0069】
第6実施形態の腹足類害虫用駆除具50は、図10に示されるように、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に、毒餌剤3に含まれる誘引剤から誘引成分を揮散させて広い範囲からナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、腹足類害虫駆除薬剤を舐めさせて駆除する。
【0070】
腹足類害虫用駆除具50は、鉢53の周縁部53a、庭等に配置された柵(不図示)、ナメクジ等の腹足類害虫5の駆除対象とされた木の枝(不図示)、等を固定手段であるクリップ部52aで狭持して、任意の場所に容易に設置することができる。尚、腹足類害虫用駆除具50は、適宜の固定対象物をクリップ部52aで狭持して設置されるので、腹足類害虫用駆除具50が効率よく作用するように、毒餌剤3を土壌4に対して任意の姿勢、例えば、土壌4に垂直方向、水平方向、或いは任意の角度で傾斜させて設置することができる。
【0071】
(第7実施形態)
次に、本発明の腹足類害虫用駆除具の第7実施形態を説明する。図11は本発明の第7実施形態である腹足類害虫用駆除具の縦断面図である。
【0072】
図11に示されるように、第7実施形態の腹足類害虫用駆除具60は、支持体62の形状のみが第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と異なり、その他の部分は同様であるので、同一部分には同一符号または相当符号を付して説明を簡略化または省略する。
【0073】
支持体62は、毒餌剤3を保持するためのものであって、例えば木、合成樹脂、金属、セラミック、ガラス、等のいずれか、またはそれらの組合せにより略コの字形に形成された部材であり、中間部62aと2本の脚部62bとが一体に形成されている。支持体62の中間部62aには、毒餌剤3が塗布され且つ乾燥されて固着されている。この毒餌剤3の成分も、第1実施形態の毒餌剤と同様である。
【0074】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0075】
第7実施形態の腹足類害虫用駆除具60は、図11に示されるように、第1実施形態の腹足類害虫用駆除具1と同様に、毒餌剤3に含まれる誘引剤から誘引成分を揮散させて広い範囲からナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、腹足類害虫駆除薬剤を舐めさせて駆除する。
【0076】
腹足類害虫用駆除具60は、2本の脚部62bを土壌4に突き刺し、毒餌剤3を略水平に配置して設置される。これによって、毒餌剤3を土壌4から距離X(例えば、10mm〜30mm)だけ離間させ、且つ毒餌剤3を広い面積で土壌4に対向させて設置することができる。従って、多くの誘引成分を土壌4の表面に拡散させて、広い範囲から効率よくナメクジ等の腹足類害虫5を誘引し、そして駆除する。
【0077】
尚、支持体62の2本の脚部62bには、毒餌剤3が土壌4から距離Xだけ離間するように突起62eを設けてもよい。これによって、突起62eが土壌4に接触するまで、脚部62bを土壌4に突き刺して腹足類害虫用駆除具60を設置して、毒餌剤3を土壌4から所定の距離Xだけ確実且つ容易に離間させて設置することができる。
【0078】
第1実施形態〜第7実施形態に係る腹足類害虫用駆除具によれば、腹足類害虫用毒餌剤がワックス、または水性塗料を基剤としたものであって耐水性が高いため、降雨や潅水等によって濡れても当該毒餌剤が崩壊したり、有効な薬剤成分が流出することがなく、長期間にわたって安定して駆除効果を維持することができ且つ、土壌を汚染することもない。従って、降雨時等といった腹足類害虫が活発に活動する時期に合わせて腹足類害虫用駆除具を設置しても、腹足類害虫を効果的に駆除することができる。
【0079】
また、第1実施形態〜第7実施形態に係る腹足類害虫用駆除具は、ワックス、または水性塗料を基剤とした腹足類害虫用毒餌剤を備えていることから、降雨や潅水で濡れるのを防止するために深傘等といった傘部材を備える必要がなく且つ、支持体に固着された腹足類害虫用毒餌剤全体が傘部材等で覆われることなく腹足類害虫用駆除具の外部に露出されるため、構造をシンプルにでき、これにより安価に製作することができるとともに、腹足類害虫用毒餌剤からの誘引成分を広く揮散させて効率よく腹足類害虫を誘引することができる。
【0080】
また、第1実施形態〜第7実施形態に係る腹足類害虫用駆除具は、アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイントまたはアクリル樹脂水性ニスなどの水性塗料を基剤とし、当該基剤に誘引剤、および腹足類害虫駆除薬剤が混合された腹足類害虫用毒餌剤を備えていることから、高い耐水性を有しており、降雨や潅水等によって濡れても当該毒餌剤が崩壊したり、有効な薬剤成分が流出することがなく、長期間にわたって安定して駆除効果を維持することができ且つ、土壌を汚染することもない。また、腹足類害虫用駆除具の製造時において支持体の表面に固着させた腹足類害虫駆除薬剤の乾燥時間が短く、効率よく安価に腹足類害虫用駆除具を製作することができる。
【0081】
また、第4実施形態〜第7実施形態に係る腹足類害虫用駆除具によれば、毒餌剤を土壌から所定の距離Xだけ確実且つ容易に離間させて設置できるので、表面に水が溜まった土壌への設置も可能となり、また腹足類害虫用毒餌剤が土壌から直接吸湿するのを防止して長期間、有効に作用させることができると共に、薬剤成分による土壌の汚染を防止することができる。
【0082】
ここで、本発明の効果を確認するため、本発明の腹足類害虫用駆除具に係る実施例および該実施例と比較するための比較例について説明する。
【0083】
(実施例1)
以下の実施例において用いた腹足類害虫用駆除具は、図1および図2に示されるように、直径4mm、長さ70mmの棒状支持体にワックスを基剤とした1gの毒餌剤の層を厚さ1mmで円筒状に塗布し、乾燥して固着した腹足類害虫用駆除具とした。用いた毒餌剤の成分は、図12の表中のサンプル5の欄に示される。また、比較例において用いた腹足類害虫用駆除具は、市販されているナメクジ駆除用の顆粒状製剤を用いた。
【0084】
本発明の腹足類害虫用駆除具に対する各試験内容は次の通りである。
【0085】
1.耐水性試験
試験条件:
略25℃において、腹足類害虫用駆除具を水に濡れた腐葉土上に1〜3日放置した後、支持体を土壌に差し込んで略垂直に設置し、シャワーから24時間または4時間、連続して水をかけた。
評価方法:
シャワーによる水かけ開始後、腹足類害虫用駆除具が共に溶けるかどうか、或いは1mm程度の大きさに崩壊するかどうか、評価した。
その結果を図13の表に示す。
【0086】
2.降水後の有効性試験
試験条件:
略25℃において、水に濡れた腐葉土上に1日放置した後、略垂直に設置し、シャワーから24時間、連続して水をかけた腹足類害虫用駆除具を検体とした。該腹足類害虫用駆除具を空気孔が明けられた密閉容器内に設置して一晩絶食させたナメクジ5頭を放した。試験は、2回実施した。
評価方法:
1日毎にナメクジの死亡個体数を計数して評価した。
2回の試験の死亡個体数を図14の表に示す。
【0087】
3.駆除効果試験
試験条件:
略20℃において、周囲が開放されている地面上に配置された植木鉢のそばに、腹足類害虫用駆除具を略垂直に立てて設置し、1日間放置した。試験は、3回実施した。
評価方法:
腹足類害虫用駆除具を設置2時間後に苦悶しているナメクジの個体数、および24時間後の死亡個体数を計数して評価した。
その結果を図15の表に示す。
【0088】
比較例に対する各試験内容は次の通りである。
【0089】
1.耐水性試験
試験条件:
略25℃において、ナメクジ駆除用の顆粒状製剤を水に濡れた腐葉土上に1〜3日放置した後、篩に置き、シャワーから24時間または4時間、連続して水をかけた。
評価方法:
シャワーによる水かけ開始後、ナメクジ駆除用の顆粒状製剤が溶けるか、或いは1mm程度の大きさに崩壊するまでの時間を測定して評価した。
その結果を図13の表に示す。
【0090】
2.降水後の有効性試験
試験条件:
略25℃において、水に濡れた腐葉土上に1日放置した後、シャワーから24時間、連続して水をかけたナメクジ駆除用顆粒状製剤を検体とした。該ナメクジ駆除用顆粒状製剤を空気孔が明けられた密閉容器内に収容して一晩絶食させたナメクジ5頭を放した。試験は、2回実施した。
尚、検体として用いたナメクジ駆除用顆粒状製剤は、耐水性試験において比較的優れた性能を示した1種類のナメクジ駆除用顆粒状製剤とした。
評価方法:
1日毎にナメクジの死亡個体数を計数して評価した。
2回の試験の死亡個体数を図14の表に示す。
【0091】
試験結果は次の通りである。
【0092】
1.耐水性試験
図13に示されるように、腐葉土上への放置日数、1日のものは、本発明の腹足類害虫用駆除具、市販の4種類のナメクジ駆除用顆粒状製剤、共に24時間の水かけによる形状崩壊は見られなかった。しかし、放置日数、2日および3日のものは、本発明の腹足類害虫用駆除具は、4時間の水かけによる形状崩壊は見られなかったのに対して、市販の4種類のナメクジ駆除用顆粒状製剤は、何れも1分乃至4時間で形状が崩れ、1mm以下の大きさにまで崩壊した。
以上の結果から、本発明の腹足類害虫用駆除具は、市販のナメクジ駆除用顆粒状製剤と比較して耐水性が大幅に優れていることが分かる。
【0093】
2.降水後の有効性試験
図14に示されるように、本発明の腹足類害虫用駆除具は、2日後に10頭中9頭死亡(2回の試験の合計死亡個体数)したのに対して、市販のナメクジ駆除用顆粒状製剤(製剤D)は、10頭中2頭の死亡であった。これにより、本発明の腹足類害虫用駆除具は、市販のナメクジ駆除用顆粒状製剤と比較して降水によっても効力が失われていないことが分かる。
【0094】
3.駆除効果試験
図15に示されるように、腹足類害虫用駆除具を設置した2時間後に4〜9頭のナメクジが苦悶しており、1日後には、3〜7頭が地面上で死亡していた。死亡に至る経緯は、植木鉢の下に潜んでいたナメクジが誘引剤から揮散する誘引成分に誘引されて腹足類害虫用駆除具に這い上がり、メタアルデヒドを含む毒餌剤を舐めて運動不能に陥り、再び植木鉢の下に隠れることができないまま、死に至ったものと推測される。
【0095】
以上の結果から、本発明の腹足類害虫用駆除具は、植木鉢等のナメクジの食害から守りたい植物の近傍に設置することにより、周囲にいるナメクジを誘引し、効率よく駆除できることが分かった。
【0096】
(実施例2)
次に、棒状支持体に水性塗料を基剤とした毒餌剤1gを塗布し、乾燥して固着した腹足類害虫用駆除具を用いた実施例について説明する。
【0097】
本発明の腹足類害虫用駆除具に対する各試験内容は次の通りである。
【0098】
1.乾燥試験
試験条件:
アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイント、およびアクリル樹脂水性ニスを基剤とし、夫々の基剤に水、ビール酵母を5:3:2の割合で混合して2種類の毒餌剤を調整する。該毒餌剤を木製の棒状支持体に塗布し、室温で乾燥させる。
評価方法:
毒餌剤が乾燥するまでの時間を測定する。また、乾燥後に毒餌剤に発生するひび割れの有無を目視で確認して評価した。
その結果を図16の表に示す。図16の表に示されるように、アクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイントを基剤とした毒餌剤の乾燥時間は2時間であるのに対して、アクリル樹脂水性ニスを基剤とした毒餌剤の乾燥時間は4時間であった。また、いずれの毒餌剤も乾燥後のひび割れは確認されず、良好であった。以上の結果、短い乾燥時間、品質、生産の容易さ、などを考慮すると基剤としてはアクリル・ウレタン共重合樹脂エマルジョンペイントを用いるのが望ましい。
【0099】
2.耐水性試験
試験条件:
図17の表に示す成分の毒餌剤1gを木製の棒状支持体に塗布し、室温で2時間乾燥させて腹足類害虫用駆除具とする。該腹足類害虫用駆除具を24時間水中に浸漬する。
評価方法:
毒餌剤が崩壊するまでの時間を測定して評価した。
耐水性試験の結果は、24時間後でも毒餌剤の崩壊は見られず、初期の形状を良好に維持していた。
【0100】
3.駆除効果試験
試験条件:
図17の表に示す成分の毒餌剤を木製の棒状支持体の上半分に1g塗布し、室温で2時間乾燥させた腹足類害虫用駆除具を検体とした。該腹足類害虫用駆除具2つを容器(高さ5cm×縦30cm×横20cm)内に設置して一晩絶食させたナメクジ5頭を放し、30分後に観察した。試験は、2回実施した。
評価方法:
ナメクジの死亡個体数を計数して評価した。
2回の試験の死亡個体数を図18の表に示す。図18の表に示されるように、1回目の駆除効果試験では5頭中3頭が、2回目の駆除効果試験では5頭中4頭が苦悶且つ死亡していた。
以上の結果から、水性塗料を基剤とした毒餌剤は、周囲にいるナメクジを誘引し、効率よく駆除できることが分かった。
【0101】
このように、本発明の腹足類害虫用駆除具の有効性が実証された。
【0102】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形,改良,等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0103】
例えば、本発明の腹足類害虫用駆除具は、前述した実施形態の形状に限らず、様々な形状を採りうる。ここで、図19〜図38を参照して、本発明の腹足類害虫用駆除具の形状に係る変形例(第1変形例〜第10変形例)を説明する。尚、以下に説明する腹足類害虫用駆除具の第1変形例〜第10変形例における支持体および毒餌剤の機能、材料、等については上記実施形態の説明にて述べたものと同様である。
【0104】
(第1変形例)
図19および図20は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第1変形例101を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部102aを有する円柱状の支持体102の他端側全体を覆うように円柱状の毒餌剤103が固着されている。尚、正面図、背面図、左側面図、および右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0105】
(第2変形例)
図21および図22は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第2変形例111を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部112aを有し且つ他端に把持部112bを有する円柱状の支持体102の差込部112aと把持部112bとの間の外周面を覆うように円柱状の毒餌剤113が固着されている。尚、正面図、背面図、左側面図、および右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0106】
(第3変形例)
図23および図24は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第3変形例121を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部122aを有する円柱状の支持体122の他端側全体を覆うように多角錐形状の毒餌剤123が固着されている。尚、正面図と背面図、左側面図と右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0107】
(第4変形例)
図25および図26は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第4変形例131を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部132aを有し且つ他端に把持部132bを有する円柱状の支持体132の差込部132aと把持部132bとの間の外周面を覆うように多角錐形状の毒餌剤133が固着されている。尚、正面図と背面図、左側面図と右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0108】
(第5変形例)
図27および図28は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第5変形例141を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部142aを有する平板状の支持体142の他端側全体を覆うように矩形状の毒餌剤143が固着されている。尚、正面図と背面図、左側面図と右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0109】
(第6変形例)
図29および図30は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第6変形例151を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部152aを有し且つ他端に把持部152bを有する平板状の支持体152の差込部152aと把持部152bとの間の外周面を覆うように矩形状の毒餌剤153が固着されている。尚、正面図と背面図、左側面図と右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0110】
(第7変形例)
図31および図32は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第7変形例161を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部162aを有する円柱状の支持体162の他端側全体を覆うように球状の毒餌剤163が固着されている。尚、正面図、背面図、左側面図、および右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0111】
(第8変形例)
図33および図34は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第8変形例171を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部172aを有し且つ他端に把持部172bを有する円柱状の支持体172の差込部172aと把持部172bとの間の外周面を覆うように球状の毒餌剤173が固着されている。尚、正面図、背面図、左側面図、および右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0112】
(第9変形例)
図35および図36は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第9変形例181を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部182aを有する円柱状の支持体182の他端側全体を覆うように輪切円柱状の毒餌剤183が固着されている。尚、正面図と背面図、左側面図と右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0113】
(第10変形例)
図37および図38は、本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第10変形例191を示す斜視図であり、一端に先細り状に形成された差込部192aを有し且つ他端に把持部192bを有する円柱状の支持体192の差込部192aと把持部192bとの間の外周面を覆うように輪切円柱状の毒餌剤193が固着されている。尚、正面図と背面図、左側面図と右側面図は、それぞれ同一に表われるため省略する。
【0114】
尚、本発明の腹足類害虫用駆除具の支持体は、前述した実施形態や変形例に示される形状に限らず、様々な形状を採りうる。例えば、物理的にも長期間にわたって腹足類害虫用駆除具の安定した性能を維持させ且つ腹足類害虫の駆除を妨げないように図39(a)〜図39(e)に示されるような形状を有する細身の支持体を採用してもよい。図39(a)〜図39(e)に示される各支持体は、細身なので、多くの量の腹足類害虫用毒餌剤を保持することができ且つ保持率も向上している。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図である。
【図2】図1におけるII−II矢視縦断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV矢視縦断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図である。
【図6】図5におけるVI−VI矢視縦断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態である腹足類害虫用駆除具の正面図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII矢視縦断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態である腹足類害虫用駆除具の縦断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態である腹足類害虫用駆除具の縦断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態である腹足類害虫用駆除具の縦断面図である。
【図12】実施例1として用いた腹足類害虫用駆除具の毒餌剤(サンプル5)を含む本発明の腹足類害虫用駆除具の毒餌剤として好適なサンプル1〜サンプル5の成分の詳細を示す表である。
【図13】実施例1および比較例に対する耐水性試験の結果を示す表である。
【図14】実施例1および比較例に対する降水後の有効性試験の結果を示す表である。
【図15】実施例1に対する駆除効果試験の結果を示す表である。
【図16】実施例2に対する乾燥試験の結果を示す表である。
【図17】実施例2に用いた腹足類害虫用駆除具の毒餌剤の成分の詳細を示す表である。
【図18】実施例2に対する駆除効果試験の結果を示す表である。
【図19】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第1変形例の上方から見た斜視図である。
【図20】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第1変形例の下方から見た斜視図である。
【図21】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第2変形例の上方から見た斜視図である。
【図22】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第2変形例の下方から見た斜視図である。
【図23】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第3変形例の上方から見た斜視図である。
【図24】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第3変形例の下方から見た斜視図である。
【図25】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第4変形例の上方から見た斜視図である。
【図26】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第4変形例の下方から見た斜視図である。
【図27】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第5変形例の上方から見た斜視図である。
【図28】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第5変形例の下方から見た斜視図である。
【図29】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第6変形例の上方から見た斜視図である。
【図30】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第6変形例の下方から見た斜視図である。
【図31】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第7変形例の上方から見た斜視図である。
【図32】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第7変形例の下方から見た斜視図である。
【図33】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第8変形例の上方から見た斜視図である。
【図34】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第8変形例の下方から見た斜視図である。
【図35】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第9変形例の上方から見た斜視図である。
【図36】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第9変形例の下方から見た斜視図である。
【図37】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第10変形例の上方から見た斜視図である。
【図38】本発明に係る腹足類害虫用駆除具の第10変形例の下方から見た斜視図である。
【図39】(a)〜(e)は本発明に係る腹足類害虫用駆除具の支持体の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0116】
1、10、20、30,40,50,60: 腹足類害虫用駆除具
2、21、32,42,52,62: 支持体
2a、21a、32a、42a: 差込部
3、11: 毒餌剤(腹足類害虫用毒餌剤)
4: 土壌
5: ナメクジ(腹足類害虫)
32b、42e、62e: 突起(間隔形成手段)
52a: クリップ部(固定手段)
【出願人】 【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
【出願日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【代理人】 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平

【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳

【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光

【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛

【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子

【識別番号】100093573
【弁理士】
【氏名又は名称】添田 全一

【公開番号】 特開2005−95133(P2005−95133A)
【公開日】 平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願番号】 特願2004−14705(P2004−14705)