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【発明の名称】 陸上養殖装置
【発明者】 【氏名】中村 俊政

【要約】 【課題】水槽内の海水を清浄海水領域と汚濁海水領域とに分離し、清浄海水領域で貝類の養殖をすることで天然貝類に劣らぬ品質にできる養殖技術を提供すること。

【解決手段】陸上養殖装置Iは、養殖用の水槽1d・1u内に海水を供給する海水供給管2と、水槽に供給された海水を排出する排出口とを有する。海水供給管2は水槽底面から上に離して配置される。水槽に海水を満たした状態において海水供給管2よりも上の部分は養殖領域とされ、海水供給管2は当該養殖領域に向けて清浄な海水を排出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上に設置され、
貝類を養殖するために海水が入れられる水槽と、
この水槽内に備えられ、海水を供給する海水供給装置と、
この海水供給装置により水槽に供給された海水を排出する排出口とを有する陸上養殖装置において、
前記海水供給装置の供給口は、水槽底面から離して配置されるとともに、水槽に海水を満たした状態で水槽内における前記供給口よりも上の部分は貝類を養殖するための養殖領域とされ、
前記海水供給装置は、当該養殖領域に向けて清浄な海水を排出する構造を有することを特徴とする陸上養殖装置。
【請求項2】
前記水槽はその底面が傾斜し、当該底面の最下端部に前記排出口が設けられていることを特徴とする請求項1記載の陸上養殖装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は陸上での養殖技術に係り、特にアワビやサザエ等のようにきれいな潮流にさらされる環境で生息している貝を陸上で養殖する陸上養殖技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アワビ等の貝は天然の海域においては潮通しがよくて、きれいな環境で生息している。そのため、アワビの陸上養殖にあってもアワビにとって海中と同様な好適な環境としなければ生産性の低下を招来する。
【0003】
特許文献1は、陸上におけるアワビの養殖施設を開示する。この養殖施設は飼育水槽を多段に設け、この飼育水槽に海水を供給する給水管と余分な水を排水するためのオーバーフロー管を備え、さらに該水槽に給気管および給餌場が付設されている。そして、ポンプで海水を給水管に流入させるとともに、オーバーフロー管経由で海水を下段の水槽へ流し、海水の流動を促進させる。
【0004】
ところで、この養殖施設ではオーバーフロー管から排水することにより飼育水槽内の海水を移動させるようになっているが、その時に残餌や糞も海水と混合してしまう。また、流れの死角部分があって、槽内全体に効果的な海水流動が得られない。
【0005】
特許文献2は、貝類の陸上養殖装置を開示する。
特許文献2によれば、当該装置は水路状水槽内に複数の堰を多段に設けるとともに前記水槽の先端側を下方に傾斜されている。よって、堰を越えて越流が生じるため、流水中の溶存酸素量を高められるというものである。しかしながら、越流する時に残餌や糞も海水と混合してしまう。
【0006】
また越流のみでは水槽内に水流の死角ができてしまうため、依然として淀み部分が生じるという問題がある。
【特許文献1】実用新案登録第30563767号公報
【特許文献2】特開2003−125668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みて為されたものであり、その解決しようとする課題は、少なくとも養殖水槽内の海水を清浄な海水からなる領域と、糞等を含む汚濁海水からなる領域とに明確に分離し、清浄な海水からなる領域で貝類の養殖をすることで貝類を自然の生息環境に近い状態で生育し、養殖といえども天然貝類に劣らぬ品質にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明の陸上養殖装置は以下の手段を採用した。すなわち、陸上に設置され、貝類を養殖するために海水が入れられる水槽と、この水槽内に備えられ、海水を供給する海水供給装置と、この海水供給装置により水槽に供給された海水を排出する排出口とを有する陸上養殖装置において、前記海水供給装置の供給口は、水槽底面から離して配置されるとともに、水槽に海水を満たした状態で水槽内における前記供給口よりも上の部分は貝類を養殖するための養殖領域とされ、前記海水供給装置は、当該養殖領域に向けて清浄な海水を排出する構造を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、養殖水槽内に海水供給のための供給口を水槽底面から離して設置し、
水槽に海水を満たした状態で水槽内における供給口よりも上の部分を養殖領域とし、この養殖領域に向けて海水供給装置から清浄な海水を排出するようにした。よって養殖領域にはきれいな海水が積極的に供給されるようになる。
【0010】
一方、貝類への残餌やその糞は水槽内に沈殿する。そして沈殿しているこれら汚物に対して供給口は水槽底面から離されており、かつ供給口よりも上方に位置する養殖領域に向けて海水を排出するので、当該排出された海水によって沈殿物の糞等が水槽内で舞い上がることが抑制される。このため、水槽内の海水は、きれいな海水からなる養殖領域と汚濁海水からなる汚濁海水領域とに明確に分離できる。また、貝類が出した糞等はやがて水槽底面に到るが、水槽の底面を傾斜した構造にし、当該底面の最下端部に排出口を設けておけば、糞は傾斜面に沿って下方へ移動した後、排出口から水槽の外へ排出することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の養殖装置は、貝の養殖部分に適したきれいな海水からなる養殖領域と糞等を含む汚濁海水からなる領域(汚濁海水領域)とに実質的に分離されるので、貝の養殖を養殖領域で行えば、貝類は常に清浄な海水の中にあり、自然の生息環境に近い状態で生育し、養殖といえども天然貝類に劣らぬ品質となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態(以下、実施形態)を添付した図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明に係る陸上養殖装置Iの正面概要図を示す。また図2は図1の一部省略拡大図である。
【0014】
陸上養殖装置Iは、アワビその他の貝類を養殖する装置であり、平地に設置され、上下二段式の養殖水槽を有する。上段及び下段の水槽をそれぞれ符号1u・1dで示す。
【0015】
上・下段の各水槽1u・1dは、外観が直方体形状をしており、角材11(図2参照)による枠組みで一体化され、上段水槽1uには図示しない板張り歩道が形成されている。作業者は、この歩道を利用して上段水槽1uの点検をしたり養殖作業を行ったりする。
【0016】
また各水槽1u・1dは、耐海水性の材料、例えばプラスチック、特にFRPあるいは塩化ビニール樹脂でできており、それらの底面6は山形に0.5〜5/100°傾斜されている。詳しくは、底面6はその長辺の中央部が最上位であり、短辺全体が最下端となるように徐々に中央部から両端部へ向けて下降する形態となっている。そして、底面6の両端部には、排水口5がそれぞれ設けられている。なお、水槽が大型化する場合は、水槽中央部を境に左右一対の小型漕を接続するようにし、もって水槽の搬送や組み立てを比較的容易にすることができる。
【0017】
水槽1u・1dの各排水口5には、それぞれ下方に延びる排水管4uおよび4dが連結されており、当該排水管4u・4dを経由して、不要な海水を漕外へ排出する。
【0018】
上段水槽1uの排水管4uはクランク形状をしている。また下段水槽1dの排水管4dは通常J字形をしているが、必要に応じてその形態が変えられる。詳しくは後述する。
【0019】
また両水槽1u・1dは、外部から清浄な海水を給水するために海水供給装置としての海水供給管2を有する(図2,3参照)。
【0020】
海水供給管2は、漕外に位置する主管2aと、漕内に位置する枝管2bと、枝管2b同
士を連結する連結管2cとからなる。
【0021】
主管2aは、上・下水槽1u・1dに共通であり、図2および図3で示す限りにおいて鉛直方向に延びており、枝管2bは各漕毎に配管され、本装置Iの設置面に対して平行に配置されている。枝管2bへの主管2aからの海水量の調節は制御バルブ22によって行う。連結管2cは枝管同士を連結するだけでなく連結管同士の間で海水を流通させる。
【0022】
図3(a)及び(b)は、それぞれ上段水槽1u及び下段水槽1dの平面図であり、3本の枝管2bが各漕内において並列に配置されていることがわかる。
【0023】
また、枝管2bは、水槽底面最上部である底面中央部からの距離dが3〜10センチの箇所に配置されている。また、枝管2bは清浄な海水を上向きに排出し、漕内に海水を供給する供給口である多数の開孔21を有する(図3,図6,図7参照)。開孔21から排水するためには、海水を加圧することが必要であり、そのために水槽外に図示しない加圧ポンプが設けられている。
【0024】
また開孔21の大きさは、排出圧力の高い個所では小さくし、排出圧力の低い個所では大きくして排出速度のバランスをとる。さらに、全ての開孔21から一様に海水が排出されるよう圧力バランスをとる必要があり、そのために水槽周囲に、具体的には図3に示すように各水槽1u・1dの両端部及び中央部に主管2aを配置する。
【0025】
このようにすることで枝管2bの開孔21から放出される海水によって養殖水槽1内に清浄な海水を淀みなく流動させられる。
【0026】
装置の大きさにもよるが、放出水の速度への影響も考慮して、開孔21の孔径は通常1〜5ミリメートルとする。また放出速度が1〜5/秒センチメートル程になるように、交換海水量、開孔数および開孔面積を定める。そして、1平方メートルに凡そ20〜50個となるように枝管2bの長手方向において10〜30センチメートル毎に開孔21を設ける。開孔21の数は、漕内にきれいな海水を十分に流動させるに必要な数である。
【0027】
海水は、槽内の水量の5〜20倍量が24時間で使用されるようにその量が設定される。
【0028】
なお、漕内に複数の枝管2bを配するのは、漕内で水流が淀まないようにするためであり、水槽の大きさに応じてその本数は調整される。
【0029】
図1や図2に示すように、水槽内は枝管2bを境に上下に二分され、枝管2bよりも上の領域で貝類を養殖する。便宜上、当該領域のことを養殖領域ということにする。当該養殖領域に図4に示すような養殖用の篭(以下、養殖篭)7が配置される。また、枝管2bよりも下の領域は汚濁海水領域ということにする。これはアワビ等の糞が沈殿して行き海水が汚れるからである。
【0030】
養殖篭7は、塩ビパイプ7aで骨組みされ、そこにネトロン網7bを被服することで上方に開口する立方体形状となっている。そして、アワビの年齢、大きさ等に応じてネトロン網の網目を違える。また養殖篭7は、その上部が水槽内の水面より適宜はみだした状態で各水槽1u・1dに固定される。固定するに当たり、塩ビパイプを水槽1の枠に係止する。
【0031】
また養殖篭7の中には、図5〜図7に示すようなシェルター8が設けられる。シェルター8はその横断面でコ字形状をしており、下方に開口し、側方および上方で閉塞する中空
直方体形状をしている(図5参照)。シェルター8を設けるのは、アワビが夜行性だからであり、シェルター8内は日中でも陽が当たり難く生育が良くなるからである。図6中に陽が当たり難い領域を編み目模様で示す。当該部分にはアワビが多く付着する。
【0032】
また、海水がシェルター8内を流れ易くなるように、シェルター8の上面には、複数の適当な穴8aを設ける。シェルター8を下方に開口したのは、枝管2bの開孔21からのきれいな海水がシェルター8内に流入し易くするためと糞をシェルター内に貯めておかないようにするためである。
【0033】
開孔21は、図7から理解されるように、海水供給管2の輪切り断面において鉛直方向に延びる中心線lから左右に一つずつ10〜30度の範囲内で合計2個設けられている。当該角度に設定することで、海水の流れに淀みを生じにくくすることに有効であることが、発明者の実験により判明している。しかし、本発明では、開孔の角度は前記角度に限定されない。
【0034】
図6中の矢印は、枝管2bの開口21から吹き出した海水のシェルター8内における流路を示す。アワビが多く付着する陰線部分に満遍なく海水が行き渡っているのがわかる。
【0035】
シェルター8を設けることにより、槽内に日陰部分を確保できるだけでなく、アワビが付着できる領域を拡大できる。すなわちシェルター8がなければアワビは養殖篭7のネトロン網7bに付着するが、シェルター8にもアワビが付着するようになるので、それだけアワビの生活領域を拡大できる。よってアワビの生産性を高められる。なお、シェルター8は、養殖篭7に入れられているので、シェルター8は海水供給管2の枝管2bよりも上部に位置するといえる。
【0036】
なお、日陰ができれば、シェルター8の形に拘るものではない。
【0037】
また上・下水槽1u・1dの各排水口5には、排水管4uや4d以外に水槽内において着脱自在に取り付けられ、排水口5に対し外すと海水を一気に排し、着けると排水を停止させる排水制御管13(図2参照)が設けられている。排水制御管13は、その上端開口が、漕内水位よりも上位に位置する中空管である。よってその中に海水は入っていない。
【0038】
そして当該上端開口からホース15の一端部がU字状に曲げられて入れられており、排水制御管13内で固定される。この時、ホース15の一端開口15aが漕内水位よりもわずかに下位に位置するようにされている(図2参照)。ホース15の他端開口15bは、漕内かつ排水制御管13の外にあって排水口5の周囲に位置するようにされている。
【0039】
したがって、ホース15は、図2に示すように全体としてS字を横倒しにしたごとき形態となる。ホース15の配管作業をするにあたり、ホース15を水槽内に沈めホースに海水を充満し一端開口15aを栓(図示せず)で閉塞する。そして、その状態でホース15の一端開口15a側を既述のように排水制御管13内に取り付ける。
【0040】
さらに、上段水槽1uには、余分な水を下段水槽1dに向けて供給するための溢流管3を有する(図2参照)。溢流管3は、この実施形態ではL字形をしており、その一端が海水供給管2の主管2aと接続され、他端は水面とほぼ同位にされている。なお、下段水槽1dには溢流管はない。
【0041】
下段水槽1dには、その排水口5に前記排水管4dを有する。排水管4dは、通常は既述のようにJ字形をしているが、漕内清掃時にはその形状がクランク状になるように排水管4dは二分割構造が採用されている。すなわち、排水管4dは、排出口5に接続されて
垂下される本管4d1と本管4d1に対して抜き差し可能な従管4d2とからなる。
【0042】
従管4d2には、上向きエルボ4d21と下向きエルボ4d22とがあり、上向きエルボ4d21は下向きエルボよりも長寸である。そして上向きエルボ4d21を本管4d1に接続することで、図2に実線で示すようにJ字形をした排水管4dを形成する。
【0043】
また下向きエルボ4d22を本管4d1に接続することで、図2に二点鎖線で示すようにクランク形状をした排水管4dを形成する。そして、上向きエルボ4d21を用いる場合は下段水槽1dの排水制御管13は外され、下向きエルボ4d22を用いる場合は排水制御管13は取り付けられる。上向きエルボ4d21の上端開口は、下段水槽1dの水位よりも下にある。
【0044】
また、海水には海洋深層水を用いる。海洋深層水は雑菌が少ないので、貝、特にアワビの養殖に好適である。しかしながら、汲み上げた深層海水は溶存酸素が少ないので、養殖水槽内に滞留する時間、溶存酸素が貝の養殖に必要な酸素を満たすよう供給前に酸素を供給しておく。溶存酸素を高めるにはスパージャー等溶存酸素を海水中に保持させる装置を水槽外に設けておき、当該装置を介して空気または酸素を供給する。
【0045】
陸上養殖装置Iによれば、海水供給管2の枝管2bを上段及び下段の各水槽1u・1d内にその底面6から離して設けるようにし、枝管2bよりも上の部分を養殖領域とし、この養殖領域に向けて枝管2bの開孔21から清浄な海水を排出するようにした。よって養殖領域にはきれいな海水が積極的に供給されるようになる。
【0046】
水槽1u・1dに供給された海水は、槽内の枝管2bより上の部分をゆっくり淀みなく上昇すると共にアワビの配置されている篭7に淀みない水流を形成し、その後、溢流管3に抜ける 一方、残餌やアワビの糞は水槽内に沈殿するが、沈殿しているこれら汚物に対し、枝管2bは水槽底面6から離されており、かつ枝管2bよりも上方に位置する養殖領域に向けて海水を排出するので、養殖領域には清浄な海水が相対的に多く供給されるようになる。
【0047】
これに対し枝管2bよりも下の汚濁海水領域には枝管2bから海水は直接的に供給されない。よって汚濁海水領域では沈殿物の糞等が舞い上がり難くなる。このため、水槽内の海水は、きれいな海水からなる養殖領域と糞等を含む汚濁海水からなる汚濁海水領域とに明確に分離できる。このように、アワビの養殖部分に適したきれいな海水からなる養殖領域と糞等を含む汚濁海水からなる領域(汚濁海水領域)とに実質的に分離されるので、アワビの養殖を養殖領域で行えば、アワビは常に清浄な海水の中にあり、自然の生息環境に近い状態で生育し、養殖といえども天然物に劣らぬ品質となる。
【0048】
また、水槽底面6は傾斜しており、底面6の最下端部に排出口5を設けてあるので、アワビが糞を出し、その糞がやがて底面に到っても糞は堆積せずに傾斜面に沿って下方へ移動し、その後、排出口5周りに集められるようになる。この時、排出口5から排水制御管13を外せば、排出口5周りの糞は一気に水槽外へ排出される。よって、汚濁海水領域にあっても清浄化が簡単である。
【0049】
さらに、上段水槽1uにあっては、排水制御管13に設けられたホース15は、その内部が海水で充填され、またその一端開口15aが漕内水位よりもわずかに下位に位置され、同他端開口15bは、漕内かつ排水制御管13の外にあって排水口5の周囲に位置するようにされているので、一端開口15aの位置と水槽の水位と高低差によって、他端開口15bから排水口5の周囲に集まって来た糞の吸い込みが自動的になされ、一端開口15aから排水制御管13内に糞を吐出する。排水制御管13に吐出された糞は排水管4uを
経由して漕外に排出される。このように水槽外へ糞を自動的に排出できるため、長期間清掃を不要にできる。よってコストダウンを図れるため、経済的効果も期待できる。
【0050】
下段水槽1dにあっては糞を排出するのにホース15を用いずに上向きエルボ4d21を利用してJ字形にされた排水管4dを用いる。この場合もホースの場合と原理は同じであり、上向きエルボ4d21の上端開口が、下段水槽1dの水位よりも下にあるため水位の高低差を用いて糞を排出する。
【0051】
また、上・下の水槽ともその漕内清掃時には排水制御管13を外して海水を全て排出する。なお、下段水槽にあっては、このとき下向きエルボ4d22を排水管4dに適用する。 底面の傾斜は1面のみならず水槽の形状、大きさ等に応じて複数の傾斜面を設けてもよくまたは円錐状の傾斜としてもよい。例えば円筒形の水槽の場合は底面円の中心部を最上端とし周辺を円錐状に傾斜させて円周の最下端部に複数の汚濁排水口を設けることが考えられる。さらに水槽底面の中心部を最下端にして、そこに汚濁排水口を設けてもよい。いずれにしろ斜面の下端部に汚濁排水口があればよい。
【0052】
さらに上段水槽1uに海水供給管2の主管2a及び枝管2bを介して供給された海水は、上段水槽1u内の枝管2bより上の部分をゆっくり淀みなく上昇すると共にアワビを養殖する篭7内で淀みない水流を形成後、溢流管3から排出される。溢流管3に入った海水は下段水槽1dの海水供給管2の主管2a及び枝管2bを介して下段水槽1dに供給される。当該海水は上段水槽1uの養殖領域からのものであり、養殖領域の海水は清浄であるから上段水槽1uの余分な海水を無駄なく下段水槽1dへ供給できるので海水の無駄を防止する。よって海水の利用効率を高められる。
【0053】
一方、養殖水槽に直接空気を多量に供給すると、空気による攪拌によって槽内に糞が拡散されてしまう虞があるが、本発明の陸上養殖装置Iにおいては溶存酸素は水槽外で補給されるので、そのような問題も回避できる。
【0054】
(その他)本発明は以下のように特定することができる。
【0055】
(付記1)
海水が上向きに排出される開口を有する海水供給装置が水槽内に設けられた貝の陸上養殖装置。
【0056】
(付記2)
水槽の底面が0.5〜5/100傾斜した構造を有する(付記1)記載の陸上養殖装置。
【0057】
(付記3)
底面の傾斜の最下端部近傍に汚濁海水排出口が設けられ、底面最上部から3〜10センチメートルの位置に海水供給器装置が設けられた(付記1)または(付記2)記載の陸上養殖装置。
【0058】
(付記4)
水槽が上下に多段に設けられ、上段の溢流海水排出管からの海水が下段の海水供給装置を介して下段の水槽に供給される構造を有する(付記1)〜(付記3)のいずれかに記載の陸上養殖装置。
【0059】
(付記5)
見の養殖シェルターが海水供給装置より上部海水中に配置される構造を有する(付記1
)〜(付記4)のいずれかに記載の陸上養殖装置。
【0060】
(付記6)
海水供給装置の上向きに排出される開口が水槽内のきれいな海水全体を充分に流動させるに必要な数が設けられた(付記1)〜(付記5)のいずれかに記載の陸上養殖装置。
【0061】
(付記7)
供給される海水中に養殖に必要な量の海水中の溶存酸素を保持させる装置が水槽外に設けられている(付記1)〜(付記6)のいずれかに記載の陸上養殖装置。
【0062】
(付記8)
汚濁海水排出用器具が海水供給装置の下の水槽の下部に設けられた(付記1)記載の陸上養殖装置。
【0063】
(付記9)
汚濁海水排出用器具が汚淘海水を吸引する開口を有する(付記4)記載の陸上養殖装置。
【0064】
なお、本発明の実施態様を陸上養殖装置として説明したが、当該陸上養殖装置を用いた養殖方法として提案することもできる。
【0065】
(付記10)
只の養殖槽が貝を養殖する部分は常にきれいな海水が供給されて淀みなく流動し、貝が排出する糞が蓄積排出する部分が貝の養殖部分と混合することなく水槽外へ排出される構造を有する養殖槽を用いて貝類を養殖する養殖方法。
【0066】
(付記11)
(付記1)〜(付記7)のいずれかに記載の貝の陸上養殖装置を用いて養殖することを特徴とする(付記10)記載の養殖方法。
【0067】
(付記12)貝の養殖に用いる海水が海洋深層水である(付記10)または(付記11)記載の養殖方法。
【0068】
(付記13)貝がアワビである(付記10)〜(付記12)のいずれかに記載の養殖方法。
【0069】
また、本発明は上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種種変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る陸上養殖装置の正面概要図である。
【図2】図1の一部省略拡大図である。
【図3】上段水槽及び下段水槽の平面図である。
【図4】養殖用の篭の斜視図である。
【図5】シェルターの斜視図である。
【図6】シェルターに対して枝管から海水が排出されている状態を示す図である。
【図7】図6のVII−VII線断面図である。
【符号の説明】
【0071】
I 陸上養殖装置
1 養殖水槽
1u 上段水槽
1 下段水槽
2 海水供給管(海水供給器装置)
2a 主管
2b 枝管
2c 連結管
3 溢流管
4u 排水管
5 排水口
6 底面
7 養殖篭
8 シェルター
8a 穴
11 角材
13 排水制御管
15 ホース
15a 一端開口
15b 他端開口
21 開孔(海水供給口)
22 制御バルブ
l 中心線
d 枝管と水槽底面中央部との間の距離
【出願人】 【識別番号】500588363
【氏名又は名称】諸石 博
【識別番号】504227291
【氏名又は名称】成田 善一
【識別番号】504227305
【氏名又は名称】中村 俊政
【出願日】 平成16年6月11日(2004.6.11)
【代理人】 【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信

【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之

【識別番号】100106622
【弁理士】
【氏名又は名称】和久田 純一

【公開番号】 特開2005−348664(P2005−348664A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2004−173648(P2004−173648)