トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 人工漁礁
【発明者】 【氏名】奥田 良彦
【住所又は居所】高知県高知市塚ノ原113番地5 有限会社ジョイテック内

【要約】 【課題】稚貝から大きく成長するアワビが好む定住隙間を簡単に設ける。アワビ等を外敵から安全に保護しながら生育する。

【解決手段】人工漁礁は、コンクリートで成形している複数の漁礁本体1を積層している。複数の漁礁本体1は、互いに積層して連結されて、上下の漁礁本体1の間に魚介類の生息隙間2を設けている。さらに、漁礁本体1は、生息隙間2の上下間隔が水平方向に向かって変化するように、生息隙間2の対向面4の一方又は両方を傾斜面とすると共に、複数の脚部5を設けている。人工漁礁は、互いに積層される漁礁本体1の脚部5の先端を対向する漁礁本体1の対向面4に当接するように複数の漁礁本体1を積層して、上段の漁礁本体1の下面と、下段の漁礁本体1の上面とでもって、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間2を設けている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートで成形している複数の漁礁本体(1)を積層している人工漁礁であって、
複数の漁礁本体(1)は互いに積層して連結されて、上下の漁礁本体(1)の間に魚介類の生息隙間(2)を設けており、この生息隙間(2)の上下間隔が水平方向に向かって変化するように、漁礁本体(1)は生息隙間(2)の対向面(4)の一方または両方を傾斜面とすると共に、複数の脚部(5)を設けており、
互いに積層される漁礁本体(1)の脚部(5)の先端を対向する漁礁本体(1)の対向面(4)に当接するように複数の漁礁本体(1)を積層して、上段の漁礁本体の下面と、下段の漁礁本体の上面とでもって、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間(2)を設けている人工漁礁。
【請求項2】
漁礁本体(1)が下面を傾斜面としており、上段に積層される漁礁本体(1)の脚部(5)の下端を下段の漁礁本体(1)の上面に当接するように複数の漁礁本体(1)を積層して、上段の漁礁本体(1)の下面の傾斜面と、下段の漁礁本体(1)の上面とでもって、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間(2)を設けている請求項1に記載される人工漁礁。
【請求項3】
漁礁本体(1)を上下に貫通孔(6)して連結孔(7)を設けており、この連結孔(7)に連結ロッド(8)を挿通して、上下の漁礁本体(1)を水平方向にずれないように連結している請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項4】
漁礁本体(1)の外周部に複数の脚部(5)を設けている請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項5】
漁礁本体(1)の平面形状が四角形で、四角形の四隅部に脚部(5)を設けている請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項6】
漁礁本体(1)が平面形状における中央部分に貫通孔(6)を設けている請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項7】
最上段の漁礁本体(1)の上に、ポーラスコンクリートからなる海草繁殖ブロック(3)を固定している請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項8】
最上段の漁礁本体(1)の上に、直方体に成形している複数の海草繁殖ブロック(3)を固定している請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項9】
平面形状を四角形とする漁礁本体(1)の上面に縦横に並べて四角形の海草繁殖ブロック(3)を固定している請求項5と8に記載される人工漁礁。
【請求項10】
生息隙間(2)の最小の上下間隔が0〜10cmである請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項11】
生息隙間(2)の最大の上下間隔が、最小の上下間隔よりも広く、かつ7〜20cmである請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項12】
海草繁殖ブロック(3)の表面に海草を植え付けている紐材(10)を配置している請求項1または2に記載される人工漁礁。
【請求項13】
海草繁殖ブロック(3)の表面に配置する紐材(10)を、海草繁殖ブロック(3)に固定している押圧具(11)で固定している請求項12に記載される人工漁礁。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてアワビやサザエ等の貝類の繁殖と捕獲に最適な人工漁礁に関する。
【背景技術】
【0002】
アワビやサザエ等の魚介類は、稚貝を岩場に放流し、1年半から3年経過して捕獲している。放流される稚貝は、好ましい環境において、約10%が捕獲される。たとえば、20万個のアワビの稚貝を海中に放流して、約2万個が捕獲される。しかしながら、同じ海域に、40万個の稚貝を放流して4万個を捕獲できるわけではない。放流した稚貝を生育できる環境が生育させるアワビの個数を制限するからである。アワビやサザエは、アラメやカジメ等の海草を餌として生育する。このため、海草の繁殖状態が生育できるアワビやサザエの個数を制限する。
【0003】
さらに、放流した稚貝を生育させる人工漁礁は、アワビ等が好んで生息する環境を実現することが大切である。アワビは、自分の殻高の隙間を住処として定住することが知られている。狭い隙間に好んで定住するアワビは、夜間に隙間から出てきて海草を食べて生育する。さらに、人工漁礁は、隙間に生育するアワビを外敵から保護することも大切である。このことを実現する人工漁礁は、アワビの殻高に相当する隙間を設ける必要がある。隙間を設ける人工漁礁として、多段に積層する人工漁礁が開発されている(特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開2000−342101号公報
【特許文献2】特開2000−197426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これ等の公報に記載される人工漁礁は、多段に積層して上下の漁礁の間にアワビ等の魚介類を生育させる隙間を設けている。とくに、漁礁の四隅部に下面に突出する脚部を設け、この脚部の間に隙間を設けている。この構造の漁礁は、脚部を突出させる高さで隙間の上下間隔を調整できる。このため、広くて狭い隙間のある漁礁を簡単かつ容易に、しかも安価にコンクリートで製造できる。従来の漁礁は、型枠を使用して、表面に隙間を成形しているが、この構造の漁礁は、型枠で狭い隙間を設けるので、成形に手間がかかる。これに対して、脚部を突出させて、多段に積層する漁礁の間に隙間を設ける構造は、型枠で隙間を成形するのではなくて、突出する脚部を成形して狭い隙間を設けることができるので、簡単に能率よく製造できる特徴がある。
【0005】
しかしながら、以上の特許文献に記載される漁礁は、四隅の脚部で上下の漁礁の間に隙間を設けるので、隙間全体の上下間隔が同じ間隔となる。このため、隙間の上下間隔を稚貝から大きく成長した全てのアワビが好んで定住する間隔にできない欠点がある。また、上下の漁礁の間の隙間に生息するアワビ等を外敵から安全に保護できない欠点もある。
【0006】
本発明は、さらにこのような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、稚貝から大きく成長するアワビが好む定住隙間を簡単に設けることができると共に、アワビ等を外敵から安全に保護しながら生育できる人工漁礁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の人工漁礁は、コンクリートで成形している複数の漁礁本体1を積層している。複数の漁礁本体1は、互いに積層して連結されて、上下の漁礁本体1の間に魚介類の生息隙間2を設けている。さらに、漁礁本体1は、生息隙間2の上下間隔が水平方向に向かって変化するように、生息隙間2の対向面4の一方又は両方を傾斜面とすると共に、複数の脚部5を設けている。人工漁礁は、互いに積層される漁礁本体1の脚部5の先端を対向する漁礁本体1の対向面4に当接するように複数の漁礁本体1を積層して、上段の漁礁本体1の下面と、下段の漁礁本体1の上面とでもって、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間2を設けている。
【0008】
本発明の人工漁礁は、漁礁本体1の下面を傾斜面として、上段に積層される漁礁本体1の脚部5の下端を下段の漁礁本体1の上面に当接するように複数の漁礁本体1を積層して、上段の漁礁本体1の下面の傾斜面と、下段の漁礁本体1の上面とでもって、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間2を設けることができる。
【0009】
本発明の人工漁礁は、漁礁本体1を上下に貫通して連結孔7を設けて、この連結孔7に連結ロッド8を挿通して、上下の漁礁本体1を水平方向にずれないように連結することができる。
【0010】
本発明の人工漁礁は、漁礁本体1の外周部に複数の脚部5を設けることができる。さらに、本発明の人工漁礁は、漁礁本体1の平面形状を四角形として、四角形の四隅部に脚部5を設けることができる。さらにまた、本発明の人工漁礁は、漁礁本体1の平面形状における中央部分に貫通孔6を設けることができる。
【0011】
本発明の人工漁礁は、最上段の漁礁本体1の上に、ポーラスコンクリートからなる海草繁殖ブロック3を固定することができる。さらに、本発明の人工漁礁は、最上段の漁礁本体1の上に、直方体に成形している複数の海草繁殖ブロック3を固定することができる。さらにまた、本発明の人工漁礁は、平面形状を四角形とする漁礁本体1の上面に縦横に並べて四角形の海草繁殖ブロック3を固定することができる。
【0012】
本発明の人工漁礁は、生息隙間2の最小の上下間隔を0〜10cmとすることができる。さらに、本発明の人工漁礁は、生息隙間2の最大の上下間隔を、最小の上下間隔よりも広く、かつ7〜20cmとすることができる。
【0013】
本発明の人工漁礁は、海草繁殖ブロック3の表面に海草を植え付けている紐材10を配置することができる。さらに、本発明の人工漁礁は、海草繁殖ブロック3の表面に配置する紐材10を、海草繁殖ブロック3に固定している押圧具11で固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1の漁礁本体は、稚貝から大きく成長するアワビまで、大きさが異なるアワビ等の貝類が好んで定住する隙間を設けることができる特長がある。それは、本発明の人工漁礁が、複数の漁礁本体を互いに積層して上下の間に生息隙間を設け、さらに、この生息隙間の上下間隔が水平方向に向かって変化するように、漁礁本体の生息隙間の対向面の一方又は両方を傾斜面とし、さらに複数の脚部を設けているからである。この構造の人工漁礁は、漁礁本体を積層して、上段の漁礁本体の下面と、下段の漁礁本体の上面とでもって、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間を設けることができる。この構造によると、漁礁本体を成形する型枠で生息隙間を成形して設ける必要がなく、コンクリートで成形するときに突出させる脚部の高さと傾斜面とで、生息隙間の上下間隔を自由に調整できる。
【0015】
また、本発明の請求項1の人工漁礁は、アワビ等の貝類を外敵から安全に保護して生育できる特長も実現できる。それは、生息隙間を貝類が好んで定住するように狭くし、また深くできるからである。狭くて深い生息隙間は、貝類の外敵が侵入し難く、貝類を効果的に外敵から保護できる。
【0016】
また、本発明の請求項3の人工漁礁は、積層している漁礁本体を貫通して連結孔を設け、この連結孔に連結ロッドを連結しているので、積層している漁礁本体を横ずれしないようにしっかりと連結できる。このように、複数の漁礁本体を積層してなる人工漁礁は、海底に設置されて、潮流や海流等で積層位置がずれるのを確実に阻止できる。
【0017】
さらにまた、本発明の請求項7の人工漁礁は、最上段の漁礁本体の上に、ポーラスコンクリートからなる海草繁殖ブロックを固定しているので、速やかに海草を繁殖させて、漁礁本体の生息隙間に定住するアワビ等の貝類の餌場を上に設けることができる。このため、海草のない海底に設置して、アワビ等の貝類を理想的な環境で生育できる特長が実現できる。とくに、本発明の請求項12に記載するように、海草繁殖ブロックに海草を植え付けしている紐材を連結している人工漁礁は、極めて短期間に海草を繁殖できる特長がある。また、本発明の請求項13の人工漁礁は、紐材を押圧具で固定することにより、紐材を潮流等で動かないように固定して、紐材の海草を海草繁殖ブロックに速やかに移植できる特長を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための人工漁礁を例示するものであって、本発明は人工漁礁を以下のものに特定しない。
【0019】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
図1ないし図3に示す人工漁礁は、コンクリートで成形している複数の漁礁本体1を積層している。図の人工漁礁は、漁礁本体1の上に、ポーラスコンクリートからなる海草繁殖ブロック3を固定している。この構造の人工漁礁は、海草繁殖ブロック3を固定しているので、上面に海草を繁殖できる。ただ、海草が繁殖している海底に接地する人工漁礁は、必ずしも漁礁本体の上に海草繁殖ブロックを固定する必要はない。
【0021】
図1と図2に示す人工漁礁は、複数の漁礁本体1を互いに積層して連結している。上下に積層している漁礁本体1の間に、アワビ等の魚介類を生息させる隙間である生息隙間2を設けている。生息隙間2は、上下間隔が水平方向に向かって変化するように、生息隙間2の対向面4を傾斜面として、複数の脚部5を設けている。この人工漁礁は、互いに積層される漁礁本体1の脚部5の先端を対向する漁礁本体1の対向面4に当接するように複数の漁礁本体1を積層して、上段の漁礁本体1の下面と、下段の漁礁本体1の上面との間に、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間2を設けている。図に示す漁礁本体1は、一方の対向面4である漁礁本体1の下面を傾斜面とし、他方の対向面4である漁礁本体1の上面を水平面としている。この人工漁礁は、上段に積層される漁礁本体1の脚部5の下端を下段の漁礁本体1の上面に当接するように複数の漁礁本体1を積層して、上段の漁礁本体1の下面の傾斜面と、下段の漁礁本体1の上面との間に、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間2を設けている。ただ、漁礁本体は、生息隙間の対向面の一方である漁礁本体の上面のみを傾斜面とし、あるいは、生息隙間の対向面の両方を、すなわち互いに対向する漁礁本体の上面と下面を傾斜面として、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間を設けることもできる。
【0022】
漁礁本体1は、生コンクリートを型枠に入れ、コンクリートを硬化して製造される。漁礁本体1は、生コンクリートに人工ゼオライトを混合し、あるいは表面に人工ゼオライトを混合するモルタルを塗布して、表面に海草を繁殖しやくできる。図の漁礁本体1は、平面形状を四角形として、四角形の四隅部に脚部5を設けている。ただ、本発明の人工漁礁は、平面形状を四角形に特定しない。人工漁礁は平面形状を四角形でない多角形とし、あるいは円形とし、あるいはまた楕円形とすることもできる。
【0023】
漁礁本体1は、上下に積層されて脚部5で生息隙間2を設けている。したがって、漁礁本体1は、脚部5を対向する漁礁本体1の対向面4に当接させて、安定して支持できるように、複数の脚部5を設けている。図に示す漁礁本体1は、脚部5を下段の漁礁本体1の上に載せて、安定して自立できるように、下面に複数の脚部5を設けている。図の人工漁礁は、四隅に脚部5を設けているが、両側に連続する脚部を設け、あるいは周囲に複数の脚部を設けて、自立できるように積層することができる。さらに、図3に示すように、漁礁本体1を上下に貫通する貫通孔6を設ける構造は、周囲に連続するひとつの脚部を設けて、下段の漁礁本体に自立する構造とすることもできる。
【0024】
さらに、複数の漁礁本体1は、図4に示す構造で積層することもできる。この図に示す人工漁礁は、複数の漁礁本体1を、図2を反転した状態、すなわち、複数の脚部を上方に突出させる状態で積層している。この人工漁礁は、下段の漁礁本体1の脚部5の上端を、上段に積層されるの漁礁本体1の下面に当接するように複数の漁礁本体1を積層して、下段の漁礁本体1の上面の傾斜面と、上段の漁礁本体1の下面との間に、水平方向に上下間隔が変化する生息隙間2を設けている。この人工漁礁は、最下段の漁礁本体1の下面である水平面を、海底面に接する状態で設置できるので、海底面との接地圧を小さくしながら安定した姿勢で設置できる特長がある。とくに、海底面が砂地等である海底に安定して設置できる特長がある。さらに、この人工漁礁は、図示しないが、最上段の漁礁本体の上面に、直接に海草繁殖ブロックを固定することも、図の鎖線で示すように、最上段の漁礁本体1の脚部5の上端に支持プレート14を配設し、この支持プレート14の上面に海草繁殖ブロック3を固定することもできる。
【0025】
脚部5の高さは、生息隙間2の上下間隔を決定する。図の人工漁礁は、生息隙間2の最小の上下間隔を5cmとし、最大の上下間隔を10cmとして、図2において右側から左側に下り勾配に傾斜する形状としている。ただし、人工漁礁の生息隙間は、最小の上下間隔を0〜10cmとし、最大の上下間隔は最小の上下間隔よりも広く、かつ7〜20cmとすることができる。
【0026】
図2の漁礁本体1は、上面を水平面として、下面を傾斜面としている。したがって、漁礁本体1は、厚さが異なる形状に成形されて、下面に傾斜面を設けている。図の漁礁本体1は、1辺を1000〜1500mmとする四角形で、全体の高さを150〜400mm、最も厚い部分の厚さを100〜400mm、最も薄い部分の厚さを50〜300mmとする。
【0027】
ただし、漁礁本体1は、図5に示すように、全体を同じ厚さに成形して、生息隙間2の対向面4に傾斜面を設けることもできる。同じ厚さとする漁礁本体1は、生息隙間2の上下間隔が変化する方向が互いに反対方向となるように積層される。すなわち、この漁礁本体1は、図に示すように、上下に並んで形成される生息隙間2の一方が右側から左側に向かって間隔が狭くなり、他方が右側から左側に向かって間隔が広くなるように積層される。この漁礁本体1は、全体の厚さを50〜400mmとする。
【0028】
図に示す漁礁本体1は、外形を同じ形状で同じ大きさとして、多段に積層している。ただし、漁礁本体は、上段に積層するものの外形を下段のものよりも小さくすることもできる。また、上下に積層される漁礁本体の外形を異なる形状とすることもできる。
【0029】
図の人工漁礁は、漁礁本体1の中央に、上下に貫通する貫通孔6を設けている。この人工漁礁は、漁礁本体1の外形を大きくして、生息隙間2の内部に定住するアワビ等を簡単に捕獲できる特徴がある。漁礁本体には、複数の貫通孔を設けることもできる。また、細長い貫通孔を設けることもできる。
【0030】
さらに、図1ないし図3の人工漁礁は、漁礁本体1を上下に貫通して連結孔7を設けており、この連結孔7に連結ロッド8を挿通して、上下の漁礁本体1を水平方向にずれないように連結している。図の人工漁礁は、漁礁本体1の脚部5を上下に貫通するように上下に貫通して連結孔7を設けている。この構造の人工漁礁は、脚部5の下端面を下段の漁礁本体1の上面に当接させて、上下の漁礁本体1をしっかりと強靭な構造で連結できる。ただし、本発明の人工漁礁は、図示しないが、漁礁本体の脚部のない部分に連結孔を設け、この連結孔に連結ロッドを挿通して連結することもできる。
【0031】
上下に積層される漁礁本体1は、連結孔7が上下方向に直線状に並ぶ位置に連結孔7を設けている。連結ロッド8は、海水に腐食しない金属ロッド、あるいは硬質のプラスチックロッドである。連結ロッド8は、一端に連結孔7を通過しない鍔8Aを有し、他端にはナット9をねじこんで、漁礁本体1を連結している。連結ロッド8は、下端に鍔8Aを設け、上端に雄ネジを設けて、ここにナット9をねじ込んで、積層する漁礁本体1をしっかりと連結できる。また、連結ロッド8は、漁礁本体1に挿通した状態で、上端を折曲して、抜けないようにすることもできる。ただし、連結ロッドは、必ずしも上端にナットをネジ込む必要はなく、たとえば、図6に示すように、連結孔7に金属ロッドである連結ロッド8を挿通して、連結孔7と連結ロッド8との隙間にモルタル16を充填して硬化させて、上下の漁礁本体1を横ずれしないように連結することもできる。コンクリートと金属ロッドが、モルタル16の付着力により強固に連結されるからである。この連結ロッド8は、上下に積層される漁礁本体全体の高さよりも全長を短くして、連結ロッド8の上下の端を積層された漁礁本体1の上面や下面から突出させることなく連結孔7に埋設できる。
【0032】
漁礁本体は、上段の漁礁本体を定位置に積層するために、上段の漁礁本体の脚部の下端を入れる凹部を上面に設け、凹部に脚部を案内して、上下の漁礁本体を定位置に積層できる。ただ、上下の漁礁本体1は、連結孔7に連結ロッド8を挿通して定位置に連結されるので、必ずしも脚部5を入れる凹部を設ける必要はない。
【0033】
図1ないし図3に示す人工漁礁は、最上段の漁礁本体1の上面に、直方体に成形している複数の海草繁殖ブロック3を固定している。図の人工漁礁は、最上段の漁礁本体1の上面に4個の海草繁殖ブロック3を固定している。海草繁殖ブロック3は1辺を30cmとする立方体である。ただし、海草繁殖ブロック3は、1辺をたとえば5〜100cm、好ましくは10〜70cm、さらに好ましくは20〜50cmとする直方体とすることもできる。また、海草繁殖ブロック3は、漁礁本体1に固定する下面を平面とし、上面を球形、楕円球形、天然石のランダムな形状とすることもできる。
【0034】
海草繁殖ブロック3は、直方体のポーラスコンクリートで、人工ゼオライトを添加している。ただし、本発明の人工漁礁は、漁礁本体の上面に、3個以下、あいるは5個以上の海草繁殖ブロックを固定することもできる。
【0035】
さらに、海草繁殖ブロック3は、図7に示すように、表面に海草を植え付けている紐材10を配置して、速やかに海草を繁殖できる。この海草繁殖ブロック3は、表面に巻き付けて配置している紐材10を、押圧具11で海草繁殖ブロック3に固定して、より速やかに海草を繁殖できる。押圧具11を固定するために、海草繁殖ブロック3は、表面に表出するようにナット(図示せず)を埋設している。このナットに、止ネジ12をねじ込んで、押圧具11を表面に固定している。押圧具11は細長い板状で、貫通孔13に止ネジ12を挿通して、止ネジ12で海草繁殖ブロック3の表面に固定される。この海草繁殖ブロック3は、押圧具11で紐材10を、海流や潮流でふらふらと移動しないようにしっかりと固定する。このため、紐材10に植え付けした海草は、根を紐材10からポーラスコンクリートの草繁殖ブロック3の隙間に伸びて成長させて、海草繁殖ブロック3に活着する。
【0036】
海草繁殖ブロック3は、最上段の漁礁本体1に、モルタル等で接着して固定され、あるいはネジ止等の構造で固定される。最上段の漁礁本体は、海草繁殖ブロックを定位置に嵌入して固定する嵌入凹部を上面に設けて、この嵌入凹部に海草繁殖ブロックの下端部を入れて、海草繁殖ブロックを所定の位置に配置できる。
【0037】
以上の構造の人工漁礁は、以下のようにして海底に設置する。
(1) 最上段の漁礁本体1に海草繁殖ブロック3を固定する。
(2) 複数の漁礁本体1を積層し、最上段には海草繁殖ブロック3を固定している漁礁本体1を積層する。
(3) 積層している漁礁本体1の連結孔7に連結ロッド8を挿通し、この連結ロッド8で積層している漁礁本体1を連結する。
(4) 互いに積層して連結された人工漁礁を、海底に吊り下げて設置する。最上段の漁礁本体1は、吊り下げ用のフック15を上面に固定している。フック15にワイヤーを連結し、ワイヤーで吊り下げて海底に設置する。
【0038】
以上の方法は、陸上で漁礁本体1を積層して連結し、連結させた人工漁礁を海底に設置しているが、漁礁本体1は海底で積層して連結ロッド8で連結することもできる。この方法は、海草繁殖ブロック3を固定しない漁礁本体1と、海草繁殖ブロック3を固定する漁礁本体1とを海底に吊り下ろし、潜水夫が海底で漁礁本体1を積層して連結ロッド8で連結して所定の位置に設置する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例にかかる人工漁礁の斜視図である。
【図2】図1に示す人工漁礁の背面図である。
【図3】図1に示す人工漁礁の平面図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる人工漁礁の正面図である。
【図5】本発明の他の実施例にかかる人工漁礁の正面図である。
【図6】本発明の他の実施例にかかる人工漁礁の一部断面正面図である。
【図7】海草繁殖ブロックの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1…漁礁本体
2…生息隙間
3…海草繁殖ブロック
4…対向面
5…脚部
6…貫通孔
7…連結孔
8…連結ロッド 8A…鍔
9…ナット
10…紐材
11…押圧具
12…止ネジ
13…貫通孔
14…支持プレート
15…フック
16…モルタル
【出願人】 【識別番号】303026202
【氏名又は名称】株式会社中谷工業
【住所又は居所】兵庫県加古川市西神吉町大国65−1
【識別番号】500098851
【氏名又は名称】有限会社ジョイテック
【住所又は居所】高知県高知市塚の原113番地5
【出願日】 平成16年6月10日(2004.6.10)
【代理人】 【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘

【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司

【公開番号】 特開2005−348659(P2005−348659A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2004−173258(P2004−173258)