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【発明の名称】 飲料製造残渣の貯蔵方法、それを用いる充填材、充填材の製造方法及び成形品の製造方法
【発明者】 【氏名】佐藤 崇紀
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園内

【氏名】増田 信義
【住所又は居所】静岡県榛原郡相良町女神21番地 株式会社伊藤園内

【要約】 【課題】飲料製造残渣を工業製品の製造に有効利用することを促進する。

【解決手段】植物由来の含水有機質からなる飲料製造残渣を圧搾して含水率が80質量%以下とした後に、嫌気条件下で貯蔵し、充填材として利用する。成形原料を成形して成形品を製造する際に、貯蔵後の飲料製造残渣を成形原料に配合し、成形原料に配合する以前又は後に、貯蔵後の飲料製造残渣を80℃以上に加熱する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物由来の含水有機質からなる飲料製造残渣を圧搾して含水率が80質量%以下の飲料製造残渣を用意し、嫌気条件下で貯蔵することを特徴とする飲料製造残渣の貯蔵方法。
【請求項2】
前記圧搾の圧力は0.1〜5MPaであり、前記圧搾によって前記飲料製造残渣の含水率を30〜80質量%に調節することを特徴とする請求項1記載の貯蔵方法。
【請求項3】
前記飲料製造残渣を貯蔵する温度は40℃未満であり、貯蔵期間は40日以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の貯蔵方法。
【請求項4】
前記飲料製造残渣を貯蔵する温度は、20〜30℃であり、貯蔵期間は30日以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の貯蔵方法。
【請求項5】
前記飲料製造残渣は、緑茶残渣、ウーロン茶残渣、コーヒー残渣又はニンジン葉残渣の何れかを含む請求項1〜4の何れかに記載の貯蔵方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の貯蔵方法に従って貯蔵された飲料製造残渣を含有することを特徴とする充填材。
【請求項7】
請求項1〜5の何れかに記載の貯蔵方法に従って貯蔵された飲料製造残渣を80〜150℃に加熱することを特徴とする充填材の製造方法。
【請求項8】
成形原料を成形して成形品を製造する成形品の製造方法であって、請求項1〜5のいずれかに記載の貯蔵方法による貯蔵後の飲料製造残渣を前記成形原料に配合する工程と、前記貯蔵後の飲料製造残渣を、前記成形原料に配合する以前又は後に80℃以上に加熱する工程とを有することを特徴とする成形品の製造方法。
【請求項9】
前記貯蔵後の飲料製造残渣を加熱する温度は、前記成形原料に配合する以前の場合は150℃以下であり、前記成形原料に配合した後の場合は200℃以下である請求項8記載の成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料製造において大量に発生する抽出残渣や搾汁残渣等の飲料製造残渣を、簡便且つ安価に工業製品の機能性充填材として有効利用することを可能とする飲料製造残渣の貯蔵方法、それを用いる充填材、充填材の製造方法及び成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の健康飲料志向の高まりにより茶系飲料や野菜・果実飲料の需要が伸び、飲料製造工場における飲料抽出残渣及び搾汁残渣の排出量は増加の一途をたどっている。茶殻、コーヒー粕や野菜粕等の飲料製造残渣は含水有機質であるので、これを放置すると、腐敗による悪臭や、蝿、蛆等の害虫の発生など、環境面や衛生面に悪影響を及ぼす要因となる。従って、飲料製造残渣は、排出後に早急に処理する必要がある。
【0003】
飲料製造残渣の一般的な処理方法としては、堆肥化、焼却・炭化等が挙げられるが、各々問題がある。具体的には、堆肥化では、発酵臭や蝿の発生など、衛生上の問題があり、隔離された場所と閉鎖系の大型プラントを必要とする。焼却・炭化する場合には、設備や燃料に膨大な費用が必要となり、燃料使用による二酸化炭素の発生、有用資源の枯渇等が問題となる。
【0004】
このような飲料製造残渣の再利用として、飲料製造残渣を乾燥させて家畜敷料、飼料、建材材料、包装材料等の代替品として使用することが提案されている。
【0005】
例えば、下記特許文献1では、茶殻やコーヒーの抽出残渣等を微粉砕して熱可塑性樹脂又は生分解性樹脂等のバインダ材料と混合してペレット状、シート状等の包装材料に成形することが記されている。又、下記特許文献2では、茶殻と木質材とを配合した水性スラリーから木質ボードを製造する方法が提案されており、下記特許文献3では、有機質、高吸水性樹脂、重炭酸カルシウム及び水を混練、乾燥してペット用トイレ砂を造粒する方法において、コーヒーの抽出残渣、茶殻等が有機質として利用可能であることを記載する。
【0006】
一方、下記特許文献4には、茶残渣に乳酸菌、植物繊維分解酵素又は糖質を添加し密封容器に詰め込んで茶残渣サイレージを調製貯蔵する方法が記載され、下記特許文献5には、イモ類からデンプンを抽出した残渣を糸状菌により乳酸発酵させた後、気密性のある容器で一定期間嫌気的な貯蔵をしてサイレージを調製する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2000−281917号公報
【特許文献2】特開2002−321205号公報
【特許文献3】特開平7−203793号公報
【特許文献4】特開2002−272385号公報
【特許文献5】特開2003−265118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1の包装材料の場合、抽出残渣はバインダ材料に混合する前に乾燥する必要がある(特許文献1の[0029]参照)ので、この用途に適用する場合、残渣を乾燥する設備や燃料の費用が必要となり、燃料使用による二酸化炭素の発生や有用資源の枯渇等の環境問題が生じる。しかも、飲料抽出後に排出された抽出残渣は、放置すると腐敗等を引き起こすので、これを避けるためには、排出された抽出残渣に少なくとも乾燥までの処理を施しておくことが必要となる。
【0008】
また、特許文献2及び3の方法では、水を使用するので、抽出残渣等は、乾燥することなくそのまま再利用工程に使用することができる。しかし、これらの方法でも、抽出残渣等の腐敗等を避けるためには抽出残渣等を放置することは許されず、即時処理を可能とするために再利用プラントを残渣排出場所に近接して設置するか、あるいは、輸送・貯蔵のために乾燥処理することが必要となる。
【0009】
特許文献4及び5の方法では、抽出残渣は、乾燥することなく処理され、水を含んだ抽出残渣を長期間保存可能な方法として有用であるが、サイレージは独特の臭気があるので、工業製品の製造には利用できず、その用途は飼料に限定される。
【0010】
このように、抽出残渣や搾汁残渣のような含水有機質からなる飲料製造残渣を乾燥することなく搬送・長期保存することが可能で、工業製品の製造原料として使用可能な手法は知られていない。
【0011】
本発明は、飲料製造による抽出残渣や搾汁残渣等の含水有機質からなる飲料製造残渣を、乾燥の手間や多大なエネルギー消費を要せずに、工業製品の製造原料として使用可能な状態で簡便に長期保存・搬送できる、飲料製造残渣の貯蔵方法を提供することを課題とする。
【0012】
又、本発明は、茶類やコーヒーの飲料製造残渣に残存する飲料原料由来の脱臭機能を保持し、工業製品の製造に使用することにより優れた脱臭機能を発揮する製品を提供可能な充填材及びそれを得るための飲料製造残渣の貯蔵方法、充填材の製造方法を提供することを課題とする。
【0013】
又、本発明は、工業製品製造において飲料製造残渣を成形品の充填材として流通可能とする貯蔵技術及び成形品の製造方法を開発して成形品を提供し、食品産業廃棄物である飲料製造残渣の工業資源としての利用を確立することにより、未利用資源の有効利用の促進を目指すものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によれば、飲料製造残渣の貯蔵方法は、植物由来の含水有機質からなる飲料製造残渣を圧搾して含水率が80質量%以下の飲料製造残渣を用意し、嫌気条件下で貯蔵することを要旨とする。
【0015】
また、本発明の一態様によれば、上記の貯蔵方法に従って貯蔵された飲料製造残渣を含有することを要旨とする充填材が提供される。
【0016】
また、本発明の一態様によれば、充填材の製造方法は、上記の貯蔵方法に従って貯蔵された飲料製造残渣を80〜150℃に加熱することを要旨とする。
【0017】
更に、本発明の一態様によれば、成形品の製造方法は、成形原料を成形して成形品を製造する成形品の製造方法であって、上記の貯蔵方法による貯蔵後の飲料製造残渣を前記成形原料に配合する工程と、前記貯蔵後の飲料製造残渣を、前記成形原料に配合する以前又は後に80℃以上に加熱する工程とを有することを要旨とする。
【0018】
本発明に従って貯蔵される飲料製造残渣は、工業製品の製造において充填材として利用可能であり、茶類やコーヒーにおいては飲料原料由来の脱臭機能が保持され、充填材として利用することにより製品に消臭機能が付加される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、飲料を抽出・搾汁した後の飲料製造残渣を加熱乾燥させなくても、簡便且つ安価に長期間保存可能な貯蔵技術を創出すると共に、飲料製造残渣を食品産業廃棄物から工業資源に転換させて廃棄物の減少に貢献できる。又、原料由来の機能を付加した工業製品が提供され、廃棄物の有効利用が促進される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
飲料製造残渣には、飲料原料に含まれる成分を冷水、熱水等の溶媒を用いて抽出した後の抽出残渣や、飲料原料を圧搾して搾汁を得た残りの搾液残渣などがあり、何れの残渣も、植物由来の含水有機質からなり、長期の貯蔵によって微生物が繁殖する。本発明では、このような飲料製造残渣を、工業製品原料としての利用が可能な状態で長期間貯蔵することを可能にする。
【0021】
含水有機質は、好気性条件下で貯蔵するとカビの発生や腐敗が起こり、極めて不快な臭いを発生し、嫌気性条件下で貯蔵すると発酵が進行する。乳酸発酵が進行すると、特有の臭気が飲料製造残渣に発生し、この除去が困難なために、工業製品への再利用の妨げとなる。従って、貯蔵後の飲料製造残渣を工業製品に利用するには、腐敗の防止だけでなく乳酸発酵に伴う臭気も減少させる必要がある。
【0022】
飲料製造残渣にある程度の圧力を機械的に加えて脱液した後に嫌気性条件下において貯蔵すると、カビや腐敗等が抑制され、且つ、嫌気発酵の進行が極めて低速度になる。この場合の貯蔵残渣に発生する臭気は蒸散し易く、気化による留去が容易になる。つまり、貯蔵中に発生する臭気物質が、好気条件化または乳酸菌添加による発酵では高沸点物質であるのに対し、加圧処理後の貯蔵では低沸点物質となる。このような発生臭気物質の変化は、茶類やコーヒーの飲料抽出残渣だけでなく、野菜等の飲料搾液残渣の場合にも見られ、残渣の含水率の低下に従って顕著になる。しかも、狭義の茶類(緑茶、中国茶、紅茶など、茶樹を原料とする茶)及びコーヒーの飲料抽出残渣においては、原料由来の臭気吸着性(消臭性)が残渣の貯蔵中に向上するという利点もあり、アンモニアやアルデヒド類に対する吸着性を良好に発揮する。尚、緑茶残渣は、緑茶由来(カテキン、サポニン等)の抗菌性も有し、抗菌性は、好気性条件下での貯蔵においては消失するが、嫌気性条件下での貯蔵では保持される。
【0023】
茶類及びコーヒーの残渣における消臭性の向上は、加圧による残渣の変形・構造破壊に伴う表面積の増加、残渣表面の嫌気性微生物による侵食に伴う吸着面の状態変化等に起因すると考えられる。一方、発生臭気物質の低沸点化は、残渣の加圧脱水工程において残渣表面に付着している菌が圧搾液により洗い流されて、その後の嫌気条件下の貯蔵において進行する発酵が極めて低速度になって高沸点物質の発生が抑制され、それに代わって低沸点物質が多くなるものと考えられる。茶類及びコーヒーはポリフェノールや有機酸等を含有し、野菜類等も有機酸等を含有し、それらの飲料は弱酸性(例えばコーヒー抽出液はpH4.7〜5.1程度)であるが、空気に一旦曝された飲料製造残渣の表面にこのような飲料成分が内部から押し出されることと、嫌気性環境によってカビなど好気性微生物の生育が抑制されることとにより、残渣表面における微生物の生育条件及び生育バランスが変化し、乳酸発酵の進行遅延、発生臭気物質の減少、その他の現象によって、貯蔵中に発生する臭気成分が気散し易いものに変わると思われる。また、一般に、生育環境の含水率の低下は、細菌の生育活性を低下させて酵母及びカビの生育を優位にするが、残渣の含水率の減少により臭気物質の低沸点化が顕著になることからも、このような微生物の生育バランスの変化に関連すると考えられる。
【0024】
従って、飲料を濾別した飲料製造残渣を機械加圧により圧搾した後に嫌気性条件下で貯蔵すれば、貯蔵中に発生する臭気物質は除去し易いものになり、工業製品の製造前又は製造中に飲料製造残渣から臭気物質を適宜気散させることにより、工業製品原料の一部として好適に利用できる。上記の効果は、飲料製造残渣を押圧する圧力が0.1MPa以上において顕著になるが、5MPaを越える圧力は効率的に意味が薄く、装置にかかる負担も大きいので、0.1〜5MPaの圧力が好ましい。
【0025】
貯蔵する飲料製造残渣は、抽出残渣と搾液残渣とに大別できる。抽出残渣は、飲料を抽出した後の茶殻や抽出粕等であり、抽出残渣が排出される飲料原料の具体例としては、例えば、緑茶、ウーロン茶、紅茶などの茶樹を原料とする狭義の茶;ジャスミン茶のようなフレーバーティ;玄米茶、麦茶、ハト麦茶、蕎麦茶などの穀物茶;グァバ葉茶、杜中茶、ミントティ、カモミールティ等のハーブティ、漢方飲料;コーヒーなどが挙げられる。搾液残渣は、野菜ジュース、果汁などを搾汁した後の搾り粕や、ビール、ワイン、焼酎、ウイスキー、ブランデー、バーボン、グラッパ、日本酒、シードル等のアルコール飲料の製造工程で発酵液の分離、精製などにより生じる原料粕などがあり、原料の具体例としては、トマト、人参、ほうれん草、セロリ、ケール、小松菜、キャベツ、モロヘイヤ、紫蘇、ピーマン、パセリ、ラディッシュ、クレソン、あしたば、白菜、アスパラ、カボチャ、大根等の野菜類;レモン、オレンジ、葡萄、アセロラ、りんご、いちご、グレープフルーツ、桃、ライム、ユズ、シークワーサ、夏蜜柑、梅、メロン、梨、グァバ、パイナップル、ライチなどの果実類;麦、米、粟、蕎麦、芋、トウモロコシ等の穀物類等がある。他に、アルコール飲料の蒸留残などもある。飲料製造残渣は、上記のものの混合であってもよく、ブレンド茶や混合茶の製造残渣なども好適に利用できる。上記の中でも特に、緑茶等の狭義の茶類の茶殻やコーヒー殻の場合、原料由来の臭気物質に対する吸着能が飲料製造残渣に残存し、この性質は貯蔵によって失われず、むしろ向上し得るので、脱臭剤としての有用性が高く、工業製品への利用における利点の1つとなる。
【0026】
飲料製造残渣の含水量は微生物の生育に影響を与え、含水率が高いと特に腐敗菌が繁殖し易い。また、残渣の含水率が80質量%を超えると、残渣の保水能を超える分の水が貯蔵中に残渣から漏出するので、搬送によって貯蔵中の残渣の状態が変化したり容器内部の残渣に含水率のばらつきが生じ、カビも増殖し易くなるので、これを防ぐために液溜りを分離する容器構造上の工夫等が必要となる。又、容器破損時の処理も煩雑になる。このため、貯蔵する残渣の含水率は80質量%以下に調節するのが好ましく、より好ましくは75質量%以下とする。含水率の調節は、スクリュープレス機、フィルタープレス機、攪拌脱水機等の圧縮脱液型の機械によって容易に実施できるので、この圧縮脱液による含水率の調節を兼ねて、前述した残渣の機械加圧による圧搾を実施できる。臭気物質の低沸点化に有効とするためには残渣に加える圧力は0.1〜5MPa程度が好ましく、このような圧力で残渣を押圧して圧縮すれば、含水率が80質量%程度以下になるように好適に加圧脱水できる。機械加圧による圧縮脱液の限界は含水率30質量%程度であり、これ以下に含水率を低下するには、加熱や減圧による気化乾燥が必要となる。残渣の含水率が30質量%未満になると微生物の活動が低下し、腐敗菌だけでなく他の微生物の生育も抑えられるが、本発明では、このような低含水率でなくてよく、好ましくは30〜80質量%程度、より好ましくは40〜75質量%に調整すればよい。但し、本発明は、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、真空乾燥機等の加熱又は減圧を利用する乾燥機や炭化装置などの使用を排除するものではない。
【0027】
残渣の貯蔵は、カビの発生や好気的代謝を防止するために、嫌気性条件下で行われる。具体的には、圧搾後の飲料製造残渣を速やかに容器に収容し、脱気して密封し、酸素が供給されない嫌気性条件下で貯蔵する。圧搾後の残渣を貯蔵前に長時間空気に曝すと、気中微生物の再付着・侵食により圧搾の効果が消失して貯蔵中の嫌気発酵が抑制されないため、高沸点臭気物質が増加する。従って、圧搾後の残渣は、搾液により洗浄された残渣表面をできる限り維持するために、加熱乾燥などの滅菌状態にする場合を除いては、できる限り速やかに嫌気性条件下の貯蔵に供する。貯蔵時の温度は40℃未満、好ましくは15〜35℃の範囲であり、常温において好適に貯蔵できる。貯蔵温度が40℃を超えると、貯蔵後の残渣から臭気を除去し難くなり、充填材として工業製品に使用した際に問題となるので好ましくない。貯蔵期間が40日を越えると、除去し難い臭気物質が増加するので、貯蔵期間は40日以下であることが望ましく、好ましくは20〜30日程度とする。緑茶、ウーロン茶及びコーヒーの残渣に備わるアンモニアやアルデヒド類に対する高い臭気吸着性は、貯蔵中に明らかに向上する。
【0028】
飲料製造残渣を貯蔵する容器は、残渣を密封保存可能で、外部衝撃に耐え得る容器であれば特に制限はなく、脱気工程、輸送工程等において破損したり外部の空気の浸入を許すことの無いものが状況に応じて適宜使用され、例えば、金属製ドラム缶、プラスチック製ドラム缶、樹脂製フレキシブルバックなどが挙げられ、フレキシブルバックを内袋とするフレコンバック又は段ボール箱等でもよい。
【0029】
含水率が上記の好適な範囲にある残渣を上記のような容器に収容して吸引機等で脱気した後、シーラー、結束バンド、紐などを用いて封止し、前述の条件で貯蔵する。
【0030】
貯蔵後の飲料製造残渣は、充填材として成形品等の工業製品の製造に用いられる。繊維、粉末、粒材、プラスチック等の成形加工原料に飲料製造残渣を配合し、常法に従って加圧、加熱等を施して成形加工することによって、臭気吸着性等の機能や原料由来の好ましい香りが製品に付加される。充填材として従来用いられている材料を飲料製造残渣と組み合わせて用いてもよい。但し、貯蔵直後の飲料製造残渣は臭気を有し、そのまま使用すると製品が臭気を発するので、残渣を製品製造に使用する以前又は製品製造中に加熱処理により臭気を気散させる必要がある。加熱処理の温度は、貯蔵状況によって60℃程度で十分な場合もあるが、80℃程度以上であれば30日程度の貯蔵後の臭気には十分対応できる。但し、150℃を越えると残渣の焦げ付きが生じるので、好ましくは80〜150℃、より好ましくは100〜120℃程度に加熱するとよい。特開2002−321205号公報の木質ボードの製造のように製品の製造中に加熱工程がある場合には、これを利用して残渣の臭気を除去できるので、貯蔵直後の飲料製造残渣をそのまま充填材として使用することができる。製品原料に配合した残渣を加熱する場合は180〜200℃程度に加熱しても焦げ付きは生じないので、残渣単独で加熱する場合より高い温度を採用できる。残渣を製品製造に使用する上で予め残渣の乾燥が必要な場合には、残渣の乾燥と兼ねて臭気除去の加熱を行うとよい。
【0031】
残渣を配合して製造する成形製品の例としては、前述の木質ボードのような建築材料、家具用材料、ダンボール等の板紙、梱包用パッキン等の包装・梱包材料、織布、不織布、フィルター材、ござ、ペット関連用具材料、農園芸用フィルム・シート等が挙げられる。
【0032】
以下、実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は以下の実施例によって何等制限されるものではない。
【実施例1】
【0033】
下記のように準備した飲料製造残渣S1〜S9,L1〜L4を用いて、貯蔵条件C1〜C3,D1〜D3のうちの表1に示す条件で25℃に保持して0〜40日間貯蔵することにより貯蔵残渣A1〜A8,Z1〜Z11を調製した。尚、残渣の含水率は、残渣約5gを105℃で3時間乾燥した後に質量を測定し、その減少量に基づいて下記式により算出した。
【0034】
含水率(質量%)=100×質量減少量/乾燥前質量
貯蔵後の残渣の状態を観察し、カビの発生の有無及び残渣からの水洩れの有無を調べた。その結果を表1に示す。尚、表1のカビの発生において、○は「カビの発生は確認されない」を、△は「容器の封止部分付近にカビを確認した」を、×は「残渣全体にカビの発生を確認した」を表し、水洩れの有無において、○は「水洩れは確認されない」を、△は「取り扱い時に水が染み出た」を、×は「容器の底部に漏水の溜りを確認した」を表す。
【0035】
表1から明らかなように、開封状態での貯蔵では、他の条件に関わらずカビが発生する。カビ臭は工業製品への利用を妨げる。密封状態での貯蔵においては、貯蔵前に残渣に機械的圧力が加えられたA1〜A8と、加えられないZ9〜Z11とでは微生物の生育条件に差が生じていることが明らかである。又、貯蔵日数が40日以上になると残渣の含水率が高い場合にカビが発生し易くなるが、含水率を低めに調節することで対応できる。尚、飲料製造残渣の含水率が80質量%を超えると残渣からの水洩れが起こり、含水率が高いほど水洩れが早く始まる。
【0036】
[飲料製造残渣]
S1:粉砕して篩い分けしたコーヒー豆(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過して3MPaで圧搾したコーヒー残渣(含水率60.9%)。
【0037】
S2:粉砕して篩い分けした緑茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過して3MPaで圧搾し、更に105℃に加熱して含水率を52.1%に低下させた緑茶残渣。
【0038】
S3:粉砕して篩い分けした緑茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過して3MPaで圧搾した緑茶残渣(含水率:72.3%)。
【0039】
S4:粉砕して篩い分けした緑茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過して3MPaで圧搾し、更に105℃に加熱して含水率を31.0%に下げた緑茶残渣。
【0040】
S5:粉砕して篩い分けしたウーロン茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過して3MPaで圧搾したウーロン茶残渣(含水率:75.9%)。
【0041】
S6:約1cmに刻んだ人参葉10gを3MPaで圧搾した人参残渣(含水率:80.5%)。
【0042】
S7:実工場から排出された緑茶殻(3MPaの圧力で機械脱水されたもの、含水率:75.6質量%、温度:42℃)。
【0043】
S8:粉砕して篩い分けした緑茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過して3MPaで圧搾し、更に105℃で加熱して含水率を25.3%に減少させた緑茶残渣。
【0044】
L1:粉砕して篩い分けした緑茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過した緑茶残渣(含水率:85.4%)。
【0045】
L2:粉砕して篩い分けした緑茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過し、105℃に加熱して含水率を71.8%に低下させた緑茶残渣。
【0046】
L3:粉砕して篩い分けしたコーヒー豆(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過し、105℃に加熱して含水率を58.8%に低下させたコーヒー残渣。
【0047】
L4:粉砕して篩い分けしたウーロン茶(710μm〜1mm)10gを80℃の熱水1L中に投入し、5分間攪拌した後濾過し、105℃に加熱して含水率を76.6%に低下させたウーロン茶残渣。
【0048】
[貯蔵条件]
C1:ポリエチレン製チャック袋に収容し脱気して密封保存。
【0049】
C2:残渣700kgをフレコンバックのポリエチレン製内袋に収容し脱気して密封保存。
【0050】
C3:残渣20kgを段ボール箱内に保持したポリエチレン製内袋に収容し脱気して密封保存。
【0051】
D1:ポリエチレン製チャック袋に収容して開封状態で保存。
【0052】
D2:残渣700kgをフレコンバックのポリエチレン製内袋に収容して開封状態で保存。
【0053】
D3:残渣20kgを段ボール箱内に保持したポリエチレン製内袋に収容して開封状態で保存。
【0054】

(表1) 貯蔵残渣のカビ及び水洩れ
貯蔵残渣 A1 A2 A3 A4 A5 A6 A7 A8
原料残渣 S1 S2 S3 S4 S5 S6 S7 S7
含水率 60.9 52.1 72.3 31.0 75.9 80.5 75.6 75.6
貯蔵条件 C1 C1 C1 C1 C1 C1 C2 C3
カビの発生/水洩れの有無
貯蔵日数
0日 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
10日 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
20日 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
30日 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
40日 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ △/× △/○ △/○
貯蔵残渣 Z1 Z2 Z3 Z4 Z5 Z6 Z7 Z8
原料残渣 S1 L1 S3 S8 S5 S6 S7 S7
含水率 60.9 85.4 72.3 25.3 75.9 80.5 75.6 75.6
貯蔵条件 D1 D1 D1 D1 D1 D1 D2 D3
カビの発生/水洩れの有無
貯蔵日数
0日 ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○ ○/○
10日 ×/○ ×/× ×/○ ×/○ ×/○ ×/○ ×/○ ×/○
20日 ×/○ ×/× ×/○ ×/○ ×/○ ×/○ ×/○ ×/○
30日 ×/○ ×/× ×/○ ×/○ ×/○ ×/○ ×/○ ×/○
40日 ×/○ ×/× ×/○ ×/○ ×/○ ×/× ×/△ ×/△
貯蔵残渣 Z9 Z10 Z11
原料残渣 L2 L3 L4
含水率 71.8 58.8 76.6
貯蔵条件 C1 C1 C1
カビの発生/水洩れの有無
貯蔵日数
0日 ○/○ ○/○ ○/○
10日 ×/○ ×/○ ×/○
20日 ×/○ ×/○ ×/○
30日 ×/○ ×/○ ×/○
40日 ×/○ ×/○ ×/○

貯蔵日数が0〜40日の上記貯蔵残渣A1〜A8、Z1〜Z11の各々について、含水率が5%以下になるように60〜120℃の温度で3〜8時間加熱乾燥し、乾燥後の残渣の臭気の有無を調べた。この結果を表2に示す。尚、表2において、○は「原料の香りがし、それ以外の臭気は確認できない」を、△は「臭気は確認できない」を、×は「原料以外の臭気がある」を表す。
【0055】
表2によれば、機械的圧力を加えて密封貯蔵した残渣の場合、貯蔵後の加熱乾燥によって原料以外の臭気が残渣から無くなり、工業製品の製造に好適に使用できることが解る。この際の加熱温度が80℃以上であれば、殆どの場合の臭気除去に有効である。これに対し、開封貯蔵したZ1〜Z8の残渣の場合には、加熱しても原料以外の臭気が残る。密封貯蔵した場合でも、機械的加圧が施されないZ9〜Z11の残渣の場合は、加熱による臭気の除去が難しい。これらのことから、貯蔵後の残渣から加熱によって除去困難な臭気は、微生物の好気的活動又は嫌気的活動によるものであり、貯蔵前の残渣の機械的加圧はこれらの活動を抑制する何等かの働きをしていると考えられる。尚、貯蔵残渣Z4の場合は、貯蔵前の加熱乾燥により水分量が30質量%未満に調整されており、水分減少によって微生物の活動自体が低下したために臭気が比較的除去し易いと考えられる。
【0056】

(表2) 加熱後の残渣の臭気の有無
貯蔵残渣 乾燥温度(℃)
/貯蔵日数 60 70 80 90 100 110 120
A1/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A1/10 △ △ ○ ○ ○ ○ ○
A1/20 × × △ ○ ○ ○ ○
A1/30 × × △ ○ ○ ○ ○
A1/40 × × × △ △ △ △
A2/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A2/10 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A2/20 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A2/30 △ △ ○ ○ ○ ○ ○
A2/40 △ △ △ ○ ○ ○ ○
A3/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A3/10 × △ △ ○ ○ ○ ○
A3/20 × × △ △ ○ ○ ○
A3/30 × × △ △ △ ○ ○
A3/40 × × × × × △ △
A4/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A4/10 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A4/20 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A4/30 △ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A4/40 △ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A5/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A5/10 × △ △ ○ ○ ○ ○
A5/20 × × △ △ ○ ○ ○
A5/30 × × △ △ △ ○ ○
A5/40 × × × △ △ △ △
A6/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A6/10 × △ △ ○ ○ ○ ○
A6/20 × × △ △ ○ ○ ○
A6/30 × × △ △ △ ○ ○
A6/40 × × × × × △ △
A7/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A7/10 × △ △ ○ ○ ○ ○
A7/20 × × △ △ ○ ○ ○
A7/30 × × △ △ △ ○ ○
A7/40 × × × × × △ △
A8/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
A8/10 × △ △ ○ ○ ○ ○
A8/20 × × △ △ ○ ○ ○
A8/30 × × △ △ △ ○ ○
A8/40 × × × × × △ △
Z1/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z1/10 × × × × × △ △
Z1/20 × × × × × × △
Z1/30 × × × × × × ×
Z1/40 × × × × × × ×
Z2/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z2/10 × × × × × × ×
Z2/20 × × × × × × ×
Z2/30 × × × × × × ×
Z2/40 × × × × × × ×
Z3/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z3/10 × × × × × × ×
Z3/20 × × × × × × ×
Z3/30 × × × × × × ×
Z3/40 × × × × × × ×
Z4/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z4/10 × △ △ ○ ○ ○ ○
Z4/20 × × △ △ ○ ○ ○
Z4/30 × × △ △ △ ○ ○
Z4/40 × × × × × △ △
Z5/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z5/10 × × × × × △ △
Z5/20 × × × × × △ △
Z5/30 × × × × × × ×
Z5/40 × × × × × × ×
Z6/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z6/10 × × × × × × ×
Z6/20 × × × × × × ×
Z6/30 × × × × × × ×
Z6/40 × × × × × × ×
Z7/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z7/10 × × × × × × ×
Z7/20 × × × × × × ×
Z7/30 × × × × × × ×
Z7/40 × × × × × × ×
Z8/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z8/10 × × × × × × ×
Z8/20 × × × × × × ×
Z8/30 × × × × × × ×
Z8/40 × × × × × × ×
Z9/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z9/10 × × × × × × △
Z9/20 × × × × × × ×
Z9/30 × × × × × × ×
Z9/40 × × × × × × ×
Z10/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z10/10 × × × × △ △ △
Z10/20 × × × × × △ △
Z10/30 × × × × × × △
Z10/40 × × × × × × ×
Z11/0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
Z11/10 × × × × △ △ △
Z11/20 × × × × × △ △
Z11/30 × × × × × × ×
Z11/40 × × × × × × ×

貯蔵による残渣の抗菌力の変化を調べるために、貯蔵日数が0日及び40日の貯蔵残渣A3,Z3について、下記の抗菌力試験を行った。この結果を表3に示す。
【0057】
表3によれば、密閉貯蔵した残渣は抗菌性を保持しているが、開封貯蔵した残渣では、貯蔵前に有していた抗菌性を消失してることが明らかである。
【0058】
[抗菌力試験]
残渣試料をメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の混合平板培地上に密着貼付し、37℃で24時間培養した後、残渣試料周辺に生じる透明な生育阻止帯(ハロー)の幅を測定した(表中、抗菌性があるものを(+)、抗菌性がないものを(−)で表示)。
【0059】

(表3) 残渣の抗菌性
貯蔵残渣 A3 Z3
貯蔵日数 0日 40日 0日 40日
抗菌性 (+) (+) (+) (−)
生育阻止帯の幅 1mm 1mm 1mm −
【実施例2】
【0060】
実施例1と同様にして、飲料製造残渣S1,S3,S4,S5及びL2,L3,L4を貯蔵条件C1で25℃に保持して貯蔵し、貯蔵残渣A1,A3,A4,A5及びZ9,Z10,Z11(貯蔵日数:0日間、15日間又は30日間)を得た。又、実施例1の飲料製造残渣S8を貯蔵条件D1で25℃に保持して貯蔵した貯蔵残渣Z4(貯蔵日数:0日間、15日間又は30日間)を得た。これらの貯蔵残渣を、各々、105℃で180分間加熱乾燥し、得られた乾燥残渣を用いて下記の臭気吸着試験を行った。
【0061】
[臭気吸着試験]
臭気成分としてアンモニア、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドを含有するガス(アンモニア濃度:80ppm、ホルムアルデヒド濃度:100ppm、アセトアルデヒド濃度:30ppm)3Lと乾燥残渣とをテドラーバックに詰めて37℃で24時間保管した後、テドラーバック中のガス中の残存臭気成分の濃度をガス検知管(ガステック社製)を用いて測定し、下記式に基づいて臭気吸着率(%)を算出した。又、参考のため、貯蔵前の緑茶残渣(S3,S4,S8,L2)及び緑茶抽出物の成分含有量を調べ(表5参照)、これに基づいて緑茶残渣に含まれる量の約5倍に相当するカテキンを含む緑茶抽出物3.8gと上記ガスとをテドラーバックに詰めて同条件で保管し、保管後の残存臭気成分の濃度を測定して臭気吸着率を算出した。これらの結果を表4に示す。
【0062】

臭気吸着率(%)=
(初期臭気成分濃度−残存臭気成分濃度)/初期臭気成分濃度

表4の結果によれば、圧搾して密封貯蔵した貯蔵残渣A1,A3,A4,A5の場合、何れも貯蔵日数が増加するに従って臭気吸着率が増加する。これに対し、加圧搾汁せずに加熱により水分を調整して密封貯蔵した貯蔵残渣Z9,Z10,Z11では、臭気吸着率が殆ど変化しない。乾燥により微生物の活動が低下していると考えられる貯蔵残渣Z4も臭気吸着率は殆ど変化しない。
【0063】

(表4) 臭気成分の吸着率
貯蔵残渣 臭気成分吸着率(%)
/貯蔵日数 アンモニア ホルムアルデヒド アセトアルデヒド
A1/0 91.5 78.0 70.7
A1/15 92.9 83.3 73.5
A1/30 94.9 85.3 75.2
A3/0 93.3 92.7 75.7
A3/15 96.2 95.0 78.1
A3/30 98.2 97.0 80.5
A4/0 93.1 92.7 75.0
A4/15 95.1 94.7 76.7
A4/30 96.7 96.8 79.7
A5/0 91.3 89.9 75.0
A5/15 93.8 93.2 77.9
A5/30 96.3 97.1 81.3
Z4/0 93.1 92.7 76.3
Z4/15 93.3 92.3 76.0
Z4/30 92.7 92.7 75.3
Z9/0 91.5 91.0 72.3
Z9/15 91.0 91.8 71.5
Z9/30 92.1 90.3 73.1
Z10/0 90.2 75.3 69.4
Z10/15 91.5 77.2 70.3
Z10/30 92.0 76.5 71.1
Z11/0 91.6 90.2 75.4
Z11/15 92.5 91.8 76.2
Z11/30 92.0 90.8 76.3
緑茶抽出物 19.3 19.2 30.0

(表5) カテキン含有量
緑茶抽出物 緑茶残渣
総ポリフェノール 38質量% 7.1質量%
カテキン総量 30質量% 2.3質量%
EGC 10質量% 0.4質量%
EGCg 14質量% 1.4質量%
EC 2質量% 0.2質量%
ECg 4質量% 0.3質量%
【実施例3】
【0064】
[乳酸発酵緑茶残渣の調製]
実工場から排出された緑茶残渣(含水率:約85質量%)をスクリュープレス(富国工業社製)を用いて3MPaで圧縮脱水したもの(含水率:75質量%)を温度が40℃以下になるように放冷した。これから100gを取り分けて、緑茶残渣1g当り乳酸菌数が10レベルになるように乳酸菌含有水(乳酸菌:Snow Lact L、雪印種苗(株)社製)を噴霧器で添加して均一になるように混合した後にポリエチレン製バックに収容し、真空包装機(BH−950、松下電気社製)を用いて脱気、密封して常温で30日間貯蔵した。
【0065】
[嫌気貯蔵緑茶残渣]
40℃以下の温度への放冷及び乳酸菌液を添加するための作業を行わなかったこと以外は、乳酸発酵緑茶残渣の調製と同じ作業を繰り返して、緑茶残渣を脱気したポリエチレン製バック内で30日間密封貯蔵した。
【0066】
[乳酸発酵コーヒー残渣]
コーヒーを抽出して3MPaで圧搾した直後のコーヒー残渣(含水率:約65質量%)を温度が40℃以下になるように放冷した。これから100gを取り分けて、コーヒー残渣1g当り乳酸菌数が10レベルになるように乳酸菌含有水(乳酸菌:Snow Lact L、雪印種苗(株)社製)を噴霧器で添加して均一になるように混合した後にポリエチレン製バックに収容し、真空包装機(BH−950、松下電気社製)を用いて脱気、密封して常温で30日間貯蔵した。
【0067】
[嫌気貯蔵コーヒー残渣]
40℃以下の温度への放冷及び乳酸菌液を添加するための作業を行わなかったこと以外は、乳酸発酵コーヒー残渣の調製と同じ作業を繰り返して、コーヒー残渣を脱気したポリエチレン製バック内で30日間密封貯蔵した。
【0068】
[残渣混合板材の臭気官能試験]
上記で調製した乳酸発酵緑茶残渣、嫌気貯蔵緑茶残渣、乳酸発酵コーヒー残渣及び嫌気貯蔵コーヒー残渣の各残渣について以下の操作を行って、残渣混合板材a〜d(a:乳酸発酵緑茶残渣混合、b:嫌気貯蔵緑茶残渣混合、c:乳酸発酵コーヒー残渣混合、d:嫌気貯蔵コーヒー残渣混合)を調製した。
【0069】
木材を解繊した木質繊維100質量部に対して残渣30質量部を添加して均一に混合し、板状に加圧成形した後、120℃で180分間加熱乾燥して残渣混合板材を得た。テドラーバックに空気3L及び5cm×5cm角に裁断した残渣混合板材を封入して35℃で1時間放置し、テドラーバック内の空気の臭気の有無について10人の被験者T1〜T10による官能試験を行った。その結果を表6に示す。尚、表6において、○は「原料(木材、緑茶又はコーヒー)の香りがし、それ以外の臭気は確認できない」を、△は「臭気は確認できない」を、×は「原料以外の臭気がある」を表す。
【0070】
表6によれば、圧搾後に乳酸菌を接種して貯蔵中の発酵を促進した残渣を用いた場合、コーヒー残渣及び緑茶残渣の何れにおいても板材から原料以外の臭気が放出されることが解る。従って、充填材等として工業製品の製造に利用するには、乳酸発酵に伴う臭気の発生を抑制するように貯蔵する必要があるが、嫌気性貯蔵前の残渣を機械加圧することは臭気の抑制に有効である。
【0071】

(表6) 残渣混合板材の臭気の有無
被験者 T1 T2 T3 T4 T5 T6 T7 T8 T9 T10
残渣混合板材a × × × × × × × × × ×
残渣混合板材b ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △
残渣混合板材c × × × × × × × × × ×
残渣混合板材d ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △
【出願人】 【識別番号】591014972
【氏名又は名称】株式会社 伊藤園
【住所又は居所】東京都渋谷区本町3−47−10
【出願日】 平成16年6月9日(2004.6.9)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和

【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦

【識別番号】100087365
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 彰

【識別番号】100100929
【弁理士】
【氏名又は名称】川又 澄雄

【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和

【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一

【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄

【公開番号】 特開2005−348642(P2005−348642A)
【公開日】 平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願番号】 特願2004−171585(P2004−171585)