| 【発明の名称】 |
無投餌底生生物養殖方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大内 一之 【住所又は居所】長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉193−111 株式会社大内海洋コンサルタント内
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| 【要約】 |
【課題】餌代が高密度養殖法に比べて少なく、ヘドロが発生せず、粗放式養殖法に比べて収穫量の多い底生生物養殖方法を提供する。
【解決手段】底生生物養殖池に、底層水を連続的に汲み上げ上層部に拡散させる装置を設置し、底層水中の有機物を上層水と混合して無機化し、上層水中の無機栄養塩濃度を高めて光合成を活発化し、植物プランクトンを増殖させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底生生物養殖池に、底層水を連続的に汲み上げ上層部に拡散させる装置を設置し、底層水中の有機物を上層水と混合して無機化し、上層水中の無機栄養塩濃度を高めて光合成を活発化し、植物プランクトンを増殖させることを特徴とする無投餌底生生物養殖方法。 【請求項2】 養殖開始前に養殖池底部に有機物を施肥し、底生生物養殖開始初期の栄養塩補給を行うことを特徴とする請求項1に記載の無投餌底生生物養殖方法。 【請求項3】 養殖中に養殖池底部に有機物を施肥することを特徴とする請求項1または2に記載の無投餌底生生物養殖方法。 【請求項4】 換水ポンプにより外海との海水交換を連続的に行い、底生生物養殖池の水温と水質とを好適状態に保持することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の無投餌底生生物養殖方法。 【請求項5】 底層水を連続的に汲み上げ上層部に拡散させる装置下方の池底を掘り下げて、底層水溜を形成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の無投餌底生生物養殖方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、無投餌底生生物養殖方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 陸上に造成した池で海老を養殖する方法として、動物質のペレットを投餌して海老を育成し、毎年500g/m2程度の収穫を得る高密度養殖法が現在一般的に採用されている。当該方法においては、池の水を池の周縁に沿って循環させて、池底に堆積した海老の脱皮殻、排泄物等から成るヘドロを池中央部に集め、潜水したダイバーが池中央部を底浚いして集まったヘドロを除去している。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 高密度養殖法には、餌代が養殖コストの半分を占め生産者を圧迫する、養殖池から除去したヘドロが環境問題を引き起こす等の問題がある。他方、池に海水を出し入れするのみで無投餌で海老を養殖する粗放式養殖法では、収穫量が極端に減少し、養殖の経営が成り立ち難い。 本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、餌代が高密度養殖法に比べて少なく、ヘドロの堆積が抑制された、粗放式養殖法に比べて収穫量の多い海老養殖方法を提供することを目的とする。 本発明は更に、貝類、シャコ、ナマコ、ゴカイ等の海老以外の生物をも含む底生生物の、餌代の少ない、ヘドロの堆積が抑制された、粗放式養殖法に比べて収穫量の多い殖方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0004】 上記課題を解決するために、本発明においては、底生生物養殖池に、底層水を連続的に汲み上げ上層部に拡散させる装置を設置し、底層水中の有機物を上層水と混合して無機化し、上層水中の無機栄養塩濃度を高めて光合成を活発化し、植物プランクトンを増殖させることを特徴とする無投餌底生生物養殖方法を提供する。 底層水が連続的に上層部に拡散することにより、底層水中に浮遊する底生生物の脱皮殻、排泄物等の有機物が上層水中に拡散する。溶存酸素濃度が高い上層水中で好気性細菌が増殖して池底由来の有機物を分解し、無機栄養塩を生成する。上層水中の無機栄養塩の濃度が高まって光合成が活発化し、植物プランクトンが増殖し、植物プランクトンを餌にする動物プランクトンが増殖する。餌になる豊富な植物プランクトンと動物プランクトンとに支えられて底生生物が生育し増殖する。 本発明によれば、無投餌で底生生物を養殖できるので、餌代はゼロになる。池底のヘドロ堆積を抑制できるので、底生生物養殖池を何年にも亙って連続使用することが可能になる。高密度養殖法に比べて収穫量は減るが、粗放式養殖法に比べて多い収穫量を得ることができる。天然の底生生物が餌としてきた植物プランクトンと動物プランクトンとを餌にするので、健康で味の良い底生生物を生産できる。 【0005】 本発明の好ましい態様においては、養殖開始前に底生生物養殖池底部に有機物を施肥し、底生生物養殖開始初期の栄養塩補給を行う。 養殖開始初期には、底層水中の有機物濃度が低い。養殖開始前に底生生物養殖池底部に鶏糞等の有機物を施肥しておけば、養殖開始初期にも、上層水中の無機栄養塩濃度を高めて、植物プランクトンと動物プランクトンとを増殖させることができる。通常の場合、施肥は養殖開始前に一回行えば良いので、施肥によるコスト上昇は微小である。 本発明の好ましい態様においては、養殖中に底生生物養殖池底部に有機物を施肥する。 植物プランクトンと動物プランクトンの増殖が不十分な場合には、養殖中に底生生物養殖池底部に有機物を施肥しても良い。 【0006】 本発明の好ましい態様においては、換水ポンプにより外海との海水交換を連続的に行い、底生生物養殖池の水温と水質とを好適状態に保持する。 換水ポンプにより外海との海水交換を連続的に行うことにより、養殖池の水質が経時的に悪化するのを防止し、養殖池の水温が経時的に上昇するのを防止することができる。 【0007】 本発明の好ましい態様においては、底層水を連続的に汲み上げ上層部に拡散させる装置下方の池底を掘り下げて、底層水溜を形成する。 池底近傍の有機物を底層水溜に集め、効果的に汲み上げることができる。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、無投餌で底生生物を養殖できるので、餌代はゼロになる。池底のヘドロ堆積を抑制できるので、底生生物養殖池を何年にも亙って連続使用することが可能になる。高密度養殖法に比べて収穫量は減るが、粗放式養殖法に比べて多い収穫量を得ることができる。天然の底生生物が餌としてきた植物プランクトンと動物プランクトンとを餌にするので、健康で味の良い底生生物を生産できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 本発明を底生生物の一種である海老の無投餌養殖に利用した実施例を説明する。 【実施例1】 【0010】 図1に示すように、海岸線Lに沿って形成された海老養殖池1の中央部に、密度流拡散装置2が設置されている。海岸線L近傍の海底に設置された換水用ポンプ3から延びる換水用取水管4が、海岸の土手を越えて海老養殖池1に達している。換水用取水管4から離隔して海老養殖池1から延びる換水用放水管5が、僅かな下り勾配を有しつつ海岸の土手を貫通して、海岸線L近傍まで達している。 【0011】 図2に示すように、密度流拡散装置2は、水中に没水している浮体構造物21を備えている。浮体構造物21は、上部区画21aと、中部区画21bと、下部区画21cとを有している。 底層水取水管22が、平面視で下部区画21cの中心部を貫通して鉛直下方へ伸びている。底層水取水管22の上端は中部区画21bに連通し、下端は海老養殖池1の底面近傍に在る。底層水取水管22の下部区画21c内で延在する部位に、ポンプ23が配設されている。 上層水取水管24が、平面視で上部区画21aの中心部を貫通し、海老養殖池1の水面WLを超えて鉛直上方へ延在している。上層水取水管24の上端は閉鎖されている。上層水取水管24の水面下で且つ水面に近接する部位に、複数の取水口24aが形成されている。上層水取水管24の下端は中部区画21bに連通している。上層水取水管24の上部区画21a内で延在する部位に、ポンプ25配設されている。 中部区画21bの周壁から、周方向に互いに間隔を隔てて複数の放水路26が水平に且つ放射状に延びている。放水路26は海老養殖池1の海水の上層下部に位置決めされている。 密度流拡散装置2は海老養殖池1の海水中に浮遊すると共に、アンカーを備えた係留索27によって、海老養殖池1の中央部に係留されている。 ポンプ23、25に電力を供給する図示しないケーブルが、海老養殖池1の近傍に配設された電源まで延びている。 【0012】 本実施例に係る無投餌海老養殖方法は上記装置を用いて以下のように実施される。 密度流拡散装置2のポンプ23が作動し、底層水取水管22を介して海老養殖池1の底層水を連続的に汲み上げ、浮体構造物21の中部区画21bに吐出する。ポンプ25が作動し、上層水取水管24を介して海老養殖池1の上層水を連続的に吸い込み、浮体構造物21の中部区画21bに吐出する。 中部区画21b内で底層水と上層水とが攪拌混合される。混合水は、放水路26を介して、混合水と同一温度の、海老養殖池1の海水の上層下部中に、放出される。混合水は、密度に応じて成層した上層中の、自己と同一密度の層に入り込み、同一密度の海水の流れである密度流を形成しつつ、水平に遠方まで拡散する。 底層水が連続的に上層部に拡散することにより、底層水中に浮遊する海老の脱皮殻、排泄物等の有機物が上層水中に拡散する。溶存酸素濃度が高い上層水中で好気性細菌が増殖して池底由来の有機物を分解し、無機栄養塩を生成する。上層水中の無機栄養塩の濃度が高まって光合成が活発化し、植物プランクトンが増殖し、植物プランクトンを餌にする動物プランクトンが増殖する。餌になる豊富な植物プランクトンと動物プランクトンとに支えられて、海老が生育し増殖する。底層水中の有機物が上層へ搬送されて分解されることにより、池底のヘドロ堆積が抑制される。 本実施例によれば、無投餌で海老を養殖できるので、餌代はゼロになる。池底のヘドロ堆積を抑制できるので、海老養殖池1を何年にも亙って連続使用することが可能になる。高密度養殖法に比べて収穫量は減るが、粗放式養殖法に比べて多い収穫量を得ることができる。天然の海老が餌としてきた植物プランクトンと動物プランクトンとを餌にするので、健康で味の良い海老を生産できる。 【0013】 養殖開始前に海老養殖池1の底部に鶏糞などの有機物を施肥し、海老養殖開始初期の栄養塩補給を行う。 養殖開始初期には、底層水中に浮遊する海老の脱皮殻、排泄物等の量が少ないので、底層水中の有機物濃度が低い。養殖開始前に海老養殖池1底部に有機物を施肥しておけば、養殖開始初期にも底層水中の有機物濃度を高め、上層水中の無機栄養塩濃度を高めて、植物プランクトンと動物プランクトンとを増殖させることができる。通常の場合、施肥は養殖開始前に一回行えば良いので、施肥によるコスト上昇は微小である。 植物プランクトンと動物プランクトンの増殖が不十分な場合には、養殖中に海老養殖池1底部に有機物を施肥しても良い。 【0014】 換水用ポンプ3が作動し、換水用取水管4を介して、外海の海水が海老養殖池1に連続的に供給される。換水用放水管5を介して、海老養殖池1の表層水が外海へ連続的に自然放出される。 外海との海水交換を連続的に行うことにより、海老養殖池1内の水質が経時的に悪化するのを防止し、海老養殖池1内の水温が経時的に上昇するのを防止することができる。 【0015】 海老養殖池1の海水を外海の海水と連続的に交換するのに代えて、海水の干満に同期させて水門を開閉することにより、海老養殖池の海水を外海の海水と定期的に交換しても良い。 図1に一点鎖線で示すように、密度流拡散装置2下方の池底を掘り下げて、底層水溜6を形成しても良い。池底近傍の有機物を底層水溜6に集め、効果的に汲み上げることができる。養殖開始前の施肥を底層水溜6に行えば、施肥された有機物を効果的に上層水中に拡散させることができる。 【0016】 本発明を、貝類、シャコ、ナマコ、ゴカイ等の海老以外の底生生物の養殖に利用しても良い。餌代を抑制しつつ、ヘドロの堆積を抑制しつつ、粗放式養殖法に比べて多い収穫量を実現することができる。 【産業上の利用可能性】 【0017】 本発明は、海老、貝類、シャコ、ナマコ、ゴカイ等の底生生物の養殖に広く利用可能である。 【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】本発明の実施例に係る無投餌海老養殖方法を実施するための装置の構成図である。(a)は平面図であり、(b)は断面図である。 【図2】本発明の実施例に係る無投餌海老養殖方法を実施するための密度流拡散装置の断面図である。 【符号の説明】 【0019】 1 海老養殖池 2 密度流拡散装置 3 換水用ポンプ 4 換水用取水管 5 換水用放水管 6 底層水溜
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| 【出願人】 |
【識別番号】501237084 【氏名又は名称】株式会社大内海洋コンサルタント 【住所又は居所】長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉193−111
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| 【出願日】 |
平成16年3月31日(2004.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095245 【弁理士】 【氏名又は名称】坂口 嘉彦
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| 【公開番号】 |
特開2005−237366(P2005−237366A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月8日(2005.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−108326(P2004−108326) |
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