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【発明の名称】 ルアー
【発明者】 【氏名】平原 研治
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番 株式会社シマノ内

【要約】 【課題】水中で水流を受けた際に複雑な動きを演出でき、魚の興味を強く引き立て得るルアーを提供する。

【解決手段】このルアーのルアー後体2の尾部側端部に於いては、その幅方向両側が後方に延び幅方向中央付近が前方に凹入するような形状に加工されている。そして、このルアー後体2の尾部側端部の凹入した部分の間に幅方向に2本の軸11が架け渡されており、この2本の軸11のそれぞれの軸上にその軸方向に移動自在に金属板10が吊り下げられている。2本の軸はルアー後体2の上下方向及び前後方向に於いて変位した段違いに配置されている。また、2枚の金属板10は水中で水流を受けた際に相互にその一部が衝突可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尾部側端部に於いてその幅方向両側が後方(尾部側方向)に延び幅方向中央付近が前方(頭部側方向)に凹入するような形状に加工されているルアー本体と、
前記ルアー本体の尾部側端部の凹入した部分の間に幅方向に架け渡された複数本の軸と、
前記複数本の軸のそれぞれの軸上にその軸方向に移動自在に吊り下げられた複数枚の板材とを備え、
前記複数本の軸は前記ルアー本体の上下方向及び前後方向に於いて変位した段違いに配置されている、ルアー。
【請求項2】
前記複数枚の板材は水中で水流を受けた際に相互にその一部が衝突可能である、請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記複数本の軸は前記ルアー本体に対して脱着自在である、請求項1または2に記載のルアー。
【請求項4】
前記軸は2本であり、この2本の軸はそれぞれの一端側に於いて連結された一本の線材からなる、請求項3に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は魚釣りに用いるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣りに際しては様々なルアー(擬餌)が利用されている。多くのルアーは外形を魚に似せて形成されており、その水中での動きに関しても、活きた魚餌の動きに似せて動くように様々な工夫が施されている。このような工夫としては、例えば、外観を魚に似せるべく様々な魚に似せた塗装を施すことや、ルアーの素材を弾性体から形成し滑らかな行動をとり得るようにすること等がある。また、ルアーの素材を硬質プラスチックから形成するプラグ型と呼ばれるルアーにおいても、ルアー本体の後部をゴム材から形成して、ヒレのように滑らかな動きを可能とするもの等も提案されている(特許文献1参照)。さらに、ルアー本体全体を硬質プラスチックから形成するものの、例えば、生き餌のような動きをするようにヒレを形成して、このヒレを水中で動かして魚の興味を引き立てるようにしたルアーなども提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
しかし、これまでに提案されているヒレ付きのルアーは、水流を受けてそのヒレが滑らかに動くことを予定しているものであり、それ自体の動きは単調なものにならざるを得ない。例えば、上述の特許文献2のルアーは、尾ヒレをモータで動かすことを予定しているが、その動きは単調であり、魚に対するアピール度は小さい。
【特許文献1】特開平8-113452号公報
【特許文献2】特開2000-125703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水中で水流を受けた際にさらに複雑な動きを演出でき、魚の興味を強く引き立て得るルアーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このルアーは、尾部側端部に於いてその幅方向両側が後方(尾部側方向)に延び幅方向中央付近が前方(頭部側方向)に凹入するような形状に加工されているルアー本体と、ルアー本体の尾部側端部の凹入した部分の間に幅方向に架け渡された複数本の軸と、複数本の軸のそれぞれの軸上にその軸方向に移動自在に吊り下げられた複数枚の板材とを備えるものである。そして、この複数本の軸はルアー本体の上下方向及び前後方向に於いて変位した段違いに配置されている。
【0006】
このルアーは水中に投じられた後に、釣糸を巻き上げ若しくは釣竿を振る等の作業により水中を泳動する。水中で複数枚の板材は水流を受けて抵抗を受け、それ自体が運動しまたルアー本体の動きにも変化を加える。この板材はルアー本体の尾部の凹入した部分に於いて軸上を移動自在であり、水中で軸方向に大きく移動すればルアー本体の凹入した部分の内壁面にも当たり、複数枚それぞれの板材がランダムに音を発生し、また、それぞれ光を反射して複雑に光を反射し、魚の興味を引き立てる。特に、軸の配置位置が相互に変位しており、水中で板材が水流を受ける位置が変化しているので、それぞれの板材の動きは複雑化する。
【0007】
この複数枚の板材は水中で水流を受けた際に相互にその一部が衝突可能であるようにするのが好ましい。水中で水流を受けて運動する板材が相互に干渉し合うことで、さらに、それぞれの板材の水中での動きは複雑化し、ルアー自体の動きが複雑化する。また、相互に板材が衝突しあい、衝突音を発生し、魚の興味を引き立てることにもなる。
【0008】
この複数本の軸はルアー本体に対して脱着自在にするのが好ましい。板材が水中で障害物に当たって変形破損した場合に、軸を外して板材を交換可能である。また、必要な数の軸と板材とをルアー本体に装着することで、さらに、状況に応じて、ランダムなルアーの動きを演出可能である。
【0009】
なお、軸が例えば2本である場合、この軸はそれぞれの一端側に於いて連結された一本の線材から構成してもよい。このような軸を利用することで、軸のルアー本体に対する脱着作業も容易化し、ランダムなルアーの動きを自在に演出可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るルアーでは、水中で複数枚の板材がルアーの複雑な動きや光の反射等を可能とし、魚に強くアピールできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
このルアーは、図1に示すように、外形を魚の頭部乃至腹部に似せて形成したルアー前体1と、ルアー前体1の尾部側に連結された外形を魚の腹部乃至尾部に似せて形成したルアー後体2とからなる。これらのルアー前体1とルアー後体1の周面には、魚の目や鰓,鱗などの模様が描かれている。
【0012】
ルアー前体1は、左右一対の半割部材を開口面側で貼り合わせて形成される合成樹脂製部材であり、頭部側端部に設けられた釣糸を係止するための釣糸係止部3と、頭部下面に斜め下方に向けて突出したリップ部4と、腹部付近に設けられた釣針を連結するためのアイ5とを有する。この釣糸係止部3及びアイ5は半割部材の開口面の貼り合わせ部分に形成された凹状の窪み等に配置され、半割部材を接着し固定する際に共に固定されている。例えば、アイ5にはスプリットリングなどを介して釣針(図示せず)が連結される。また、リップ部4はルアー前体1の本体と一体的に形成されている。リップ部4は幅方向に広がる板状の部材であり、その先端には金属製の球状の錘6が嵌め込まれて固定されている。
【0013】
ルアー前体1の後端面は幅方向(左右方向)両側が後方に延び幅方向中央付近が前方に凹入するような形状に加工されている。後述のルアー後体2の前面の一部をこの凹入する部分に挟み込むようにして、ルアー後体2がルアー前体1の後方に連結されることになる。即ち、ルアー前体1の後端面の凹入した最も奥にはアイ(図示せず)等が装着されており、このアイを介してコネクタ7が後方に向かって連結されている。そして、このコネクタ7は後述のルアー後体2の前面に装着されるアイ等に連結される。こうして、ルアー前体1とルアー後体2とは相互に幅方向に変位可能なように連結されている。
【0014】
なお、必要に応じて、ルアー前体1の内部には錘を収納する。ルアー全体としての錘の量は、ルアー前体1及びルアー後体2とが全体として水面付近にその上半分程度を水上に露出させて漂う程度の浮力を有するように設定する。
【0015】
図1に示すように、ルアー後体2も、左右一対の半割部材を開口面側で貼り合わせて形成される合成樹脂製の部材である。腹部側に設けられた釣針を連結するためのアイ9を有しており、その構造は上述のルアー前体1と同様である。なお、ルアー後体2の後面もまた、幅方向両側が後方に延び幅方向中央付近が前方に凹入するような形状に加工されている。そして、図2及び図3に示すように、このような凹入した部分の間に幅方向に2つの軸11が掛け渡されている。また、この軸11にはそれぞれ金属板10が吊り下げられている。
【0016】
2本の軸11は、それぞれ金属線材であり、ルアー後体2の後端の凹入した部分を貫通してルアー後体2に接着剤などで固定されている。2本の軸11のうちの一方の軸11aと他方の軸11bとは、図2及び図3に示すように、ルアー後体2の凹入した部分の中で、ルアー後体2の上下方向及び前後方向に於いて変位した段違いに配置されている。詳しくは、軸11aが上方且つ前方に、軸11bが下方且つ後方に相対的に配置されている。
【0017】
2枚の金属板10はそれぞれ略三角型の金属板である。ぞれぞれの金属板10の端部には穴が形成されており、この穴に上述の軸11を挿通させて、それぞれの金属板10a,10bがそれぞれの軸11a,11b上においてその軸方向に移動自在に吊り下げられている。2枚の金属板10は、相互に上下方向に於いて略対称となるように軸11に吊り下げられており、軸11から後方に引き上げると、2枚の金属板10により魚の尾ヒレの形を描くようになっている(図4など参照)。
【0018】
さらに、2枚の金属板10はそれぞれ軸11上で相互にその一部が干渉しあうように配置されている。即ち、図4に示すように、2枚の金属板10は軸11に吊り下げられた状態で軸11上を移動すると、相互にその一部が当たるようになっている。その吊り下げられた状態如何に関わらず、相互にその一部が当たるようにするのが好ましい。もっとも、図4に示すように、水中での泳動状態に於いて2枚の金属板10が通常採り得るであろう2枚の金属板10それぞれの態様に於いて、相互に2枚の金属板10が軸11上をスライド移動すると少なくともその一部が当たるようにすれば足りる。
【0019】
なお、ルアー後体2の上側に配置されている軸11aに吊り下げられている金属板10aは、その金属板10aの軸11a上での吊り下がりの態様如何に関わらず、常にその金属板10aの少なくとも一部はルアー後体2の後端の上下方向の中央線より下方に位置するようにするのが好ましい。何故なら、上述のように、このルアーは全体として水面付近に於いて漂うように錘が取り付けられるものであるところ、金属板10のいずれも少なくともその一部が水流を受け得るように配慮する必要があるからである(図5参照)。
【0020】
このルアーは釣糸係止部3に釣糸を連結した上で水中に投じられる。そして、釣人が釣糸を巻き上げ若しくは釣竿を振る等のアクションを加えると、このルアーは水中を泳動する。特に、このルアーは水面付近に漂いながら移動することになる。ここで、このルアーのルアー後体2の後端の2枚の金属板10は、それぞれ水流を受けて尾ヒレのように振る舞う(図5参照)。そして、水の抵抗を受け、それ自体が軸11上で運動し、またルアー後体2の動きにも変化を加える。さらに、このルアーはルアー前体1とルアー後体2とを連結したものであり、それぞれの部位がそれぞれ水流を受けて柔軟な動きを示す。
【0021】
具体的には、このルアー後体2の後端の凹入した部分に於いて水流を受けた金属板10が軸11上を最も端部まで移動すれば、凹入した部分の内壁面にも当たり、それぞれの金属板10がランダムに音を発生する。また、相互に金属板10同士が衝突して音を発生する。また、これらの衝突により金属板10の軸11上での動きは変化し、水の抵抗を受ける程度も変化し、ルアー全体の動きが複雑に変化することになる。例えば、図6に示すように、金属板10bが軸11b上を一端側まで移動する際に、衝突する金属板10aをも引き連れて一端側まで移動する場合もある。このような状態で、2枚の金属板10が同一方向に水の流れを変化させることもあれば、一方の金属板10bはその後自由に軸11b上を移動し、複雑な水の流れを作り出すこともあり得る。また、例えば、それぞれの金属板は、それぞれの動きの中で光を反射して複雑に光を反射し、魚の興味を引き立てることもできる。特に、2本の軸11a,11bの配置位置が相互に変位しており、水中で金属板10が水流を受ける位置が変化しているので、それぞれの金属板10a、10bの動きはさらに複雑化している。
【0022】
[第2実施形態]
図7〜9に、本発明の変形例を示す。このルアーも、ルアー前体,ルアー後体等の構造は同様である。即ち、ルアー後体2の後端は幅方向中央が凹入している。
【0023】
このルアー後体2の後端の凹入した部分の間に幅方向にも2つの軸21が掛け渡されている。また、この軸21にはそれぞれ金属板20が吊り下げられている。もっとも、この軸21は、図7及び図8に示すように、一本の金属線材からなる。即ち、ルアー後体2の凹入した部分の幅方向左右両端の後方に延びている部分には軸21が貫通する孔がそれぞれ2カ所に形成されており、一本の金属線材を略Uの字型に折り曲げて形成した軸21を用意し、この孔にはめ込んでいる。図9に示すように、軸21を構成する一本の金属線材の両端には孔が形成されており、ここに抜け止めピン22が装着されている。抜け止めピン22は周知のものが利用可能であり、スプリットリング等も利用できる。もしくは、この実施形態に代えて、軸21を構成する一本の金属線材の端部に特に孔を形成することなくキャップ等を嵌めるようにしてもよい。いずれにせよ、このような抜け止めピン22を軸21を構成する一本の金属線材の端部に脱着することで、軸21はルアー後体2に対して脱着自在となっている。
【0024】
軸21のその他の構造は上記実施形態に準じる。即ち、ルアー後体2の後端の凹入した部分を幅方向に貫通している軸21の2つの部位は、それぞれ、ルアー後体2の凹入した部分の中で、ルアー後体2の上下方向及び前後方向に於いて変位した段違いに配置されている。そして、この2つの部位には、2枚の金属板20が吊り下げられている。
【0025】
このような構造のルアーでも上記第1実施形態と同様の動きを水中で演出できる。また、必要に応じて、抜け止めピン22を軸21から取り外し、軸21をルアー後体2から外して、金属板20を軸21から取り外すこともできる。状況に応じて、金属板20を交換することも可能である。
【0026】
[他の実施形態]
(a)上述の各実施形態においては金属板を利用しているが、金属製のものに限定されるものではなく、硬質合成樹脂などの板材を利用することもできる。また、その形状も上記実施形態では特に魚の尾ヒレに似せているが、このような形状に限定されない。
(b)上述の実施形態においては金属板の数を2枚ほど利用した場合を例示している。しかし、その利用枚数は任意に設定可能である。軸の本数を増やし、それぞれの軸に金属板を吊り下げ得る。また、1つの軸上に複数枚の金属板を吊り下げても良い。例えば、軸の本数を2本とし、それぞれの軸に2枚ずつ金属板を吊り下げても良い。また、板材の素材を異にしてもよい。
(c)なお、上述の各実施形態では、ルアー本体は2つのパーツを連結したいわゆるジョイントプラグと呼ばれるタイプのものを例示しているが、このようなタイプのルアーに限定されるものではない。
(d)さらに、上記第2実施形態において示した一本の金属線材からなる軸を以下のようなものとしても良い。
【0027】
図10及び図11に示すように、このルアー後体2の後端の凹入した部分の間に幅方向にも2つの軸31が掛け渡されている。そして、この軸31にはそれぞれ上記実施形態のように金属板が吊り下げられている。
【0028】
ルアー後体2の凹入した部分の幅方向左右両端の後方に延びている部分には軸31が貫通する孔がそれぞれ2カ所に形成されており、一本の金属線材を略Uの字型に折り曲げて形成した軸31を用意し、この孔にはめ込んでいる。一本の金属線材の両端は略直角方向に折り曲げられて抜け止めとなっており、ルアー後体2の孔はこの抜け止め部分が挿通可能な程度の大きさとする。軸31はそれ自体が一定の弾性を有し、たとえば、超弾性を有する形状記憶合金等からなる。そして、2つの略並行に並んだ部分がそれぞれ離反する方向に付勢力を有する。そして、図10に示すように、付勢力に反して2つの略並行に並んだ部分を近接させて、上述のルアー後体2の孔に挿入した後、抜け止めによりルアー後体2に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るルアーを示した図。
【図2】図1のルアーのルアー後体2の後方視図。
【図3】図1のルアーのルアー後体2の上方視図。
【図4】図1のルアーの金属板10の配置を示した図。
【図5】図1のルアーの金属板10の水中での様子を示した図。
【図6】図1のルアーの泳動状態の1つを示した参考図。
【図7】本発明の第2実施形態に係るルアーのルアー後体2の後部の側方視図。
【図8】図7のルアーのルアー後体2の上方視図。
【図9】図7のルアーの軸21を示した図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る軸31を示した図。
【図11】図10の軸31の取り付けの様子を示した図。
【符号の説明】
【0030】
1 ルアー前体
2 ルアー後体
10,20 金属板
11,21 軸
22 抜け止めピン
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地
【出願日】 平成16年2月3日(2004.2.3)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男

【識別番号】100109450
【弁理士】
【氏名又は名称】關 健一

【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠

【公開番号】 特開2005−218313(P2005−218313A)
【公開日】 平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願番号】 特願2004−26905(P2004−26905)