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【発明の名称】 魚釣用電動リール
【発明者】 【氏名】天野 誠之
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内

【要約】 【課題】本発明は魚釣用電動リールに係り、糸長計測装置の基礎データを入力するに当たり、無理な張力をかけての釣糸巻取り操作を防止した魚釣用電動リールを提供することを目的とする。

【解決手段】実釣に先立ち、基礎データ入力モード状態で釣糸に所定の張力を付与し乍らスプールに巻回して、回転検出手段で検出したスプールの回転数から糸長計測装置の基礎データを求める電動リールに於て、基礎データ入力モード時に、上記スプールに巻回される釣糸の巻取り張力を計測する糸張力計測手段と、所定の巻取り張力許容条件を記憶した記憶手段と、前記糸張力計測手段の計測値と上記巻取り張力許容条件を比較する制御手段と、報知手段とを備え、上記制御手段は、糸張力計測手段の計測値が巻取り張力許容条件を超えたときに当該報知手段を報知させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実釣に先立ち、基礎データ入力モード状態で釣糸に所定の張力を付与し乍らスプールに巻回して、回転検出手段で検出したスプールの回転数から糸長計測装置の基礎データを求める魚釣用電動リールに於て、
基礎データ入力モード時に、上記スプールに巻回される釣糸の巻取り張力を計測する糸張力計測手段と、
所定の巻取り張力許容条件を記憶した記憶手段と、
前記糸張力計測手段の計測値と上記巻取り張力許容条件を比較する制御手段と、
報知手段とを備え、
上記制御手段は、糸張力計測手段の計測値が巻取り張力許容条件を超えたときに当該報知手段を報知させることを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】
糸張力計測手段は、スプール駆動モータのモータ負荷電流値を計測する電流計測手段で、記憶手段に、釣糸巻回時の張力目安となる指標がモータ負荷電流値に応じて記憶され、
制御手段は、上記電流計測手段の計測値を記憶手段に記憶した指標に置き換えて、当該指標をリール本体に装着した表示器に表示させることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸の繰出し量や巻取り量を計測する糸長計測装置を備えた魚釣用電動リールに関する。
【背景技術】
【0002】
釣果の向上を図るため、近年、多くの魚釣用電動リール(以下、「電動リール」という)には、回転検出手段で検出したスプールの回動方向と回転数を基に釣糸の繰出し量や巻取り量(糸長)を計測して、この計測値を操作パネル上の表示器に表示する糸長計測装置が装着されている。
そして、昨今では、斯かる計測値を基にアクチュエータでクラッチ機構を作動させて仕掛けの繰出しを所定の棚位置で停止させる棚停止装置や、釣糸の巻上げに伴う竿先保護を考慮して、仕掛けが船べり停止位置まで巻き上げられた処で自動的にスプール駆動モータ(以下、「スプールモータ」という)を停止して釣糸の巻上げを停止させる船べり停止装置等、電動リールの操作性の向上を図る様々な機能が組み込まれて多機能化,電子化が進んでいるのが現状である。
【0003】
而して、従来、この種の糸長計測装置として、特許文献1に開示されるように実釣に先立ちスプールに釣糸を実際に巻回する際に、電動リールに装着したマイクロコンピュータ(制御手段)を基礎データ入力モードに切り換えて、スプールに設定した規定巻径レベルまで釣糸を巻回した際のスプール回転数と、釣糸を総て巻回した際のスプール総回転数を回転検出手段で検出して、これらの回転数と規定巻径レベルまでの糸巻径等の基礎データで糸長計算式を決定した後、実釣時のスプールの実回転数を基に糸長計算式を演算実行して糸長を計測する糸長計測装置が広く知られており、このようにこの糸長計測装置では、糸長計測に要する基礎データを実釣に先立ち入力している。
【0004】
ところで、上述の如くスプールに釣糸を巻回する場合、通常、釣人は自分の指で釣糸を摘んで釣糸に張力を付与している。
しかし、この張力付与は感覚的なものであるため、巻取り張力にばらつきが生じ、この結果、上述した基礎データの入力に当たって巻取り張力が安定せず、スプールの回転数にばらつきが生じて基礎データの精度に支障を来し、精度の高い糸長計測が行えない問題があった。
【0005】
また、斯かる実情に鑑み、特許文献2には、釣糸に張力を付与し乍ら糸長計測の基礎データを入力する際に、釣糸の巻取り張力のばらつきをなくして糸長計測精度の向上を図った電動リールが開示されている。
この電動リールは、釣糸巻回時のスプールモータのモータ負荷値を計測し、この計測値を予め記憶された釣糸巻回時の張力指針となる指標に置き換えて、これを表示器に表示することで巻取り張力の目安としたものである。
【特許文献1】特許第2580087号公報
【特許文献2】特許第2885356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし乍ら、斯様に張力目安を単に表示器に表示するだけでは意味がなく、例えば張力レベルの目安として「4〜5(4号−230m)」と取扱説明書に書いてあっても、多くの釣人は取扱説明書を読んでいないのが実情である。
また、実際の釣場での状況変化やアクシデント等を考慮して、少しでも多くの釣糸を巻きたいという釣人の心理が働き、巻取り張力を過剰に上げてより多くの釣糸を巻く(4号−250〜300m)ことがある。
【0007】
しかし、従来、この種の釣糸の巻取りは室内(常温)で行われるため、斯様に巻取り張力を過剰に上げてしまうと、屋外の実釣時とは違い風や海水による冷却効果が得られず、スプールモータの発熱で釣糸が焼損したり品質低下を起こしてしまう虞があった。
また、多くの釣糸を巻回することで巻取り時間が長くなり、更にまた、斯様に張力超過状態で釣糸を巻回することで糸長計測の基礎データに影響が生じて、計測値に誤差が生ずる原因となってしまう。
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、糸長計測装置の基礎データを入力するに当たり、無理な張力をかけての釣糸巻取り操作を防止して、既述した従来の不具合を解決した電動リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、実釣に先立ち、基礎データ入力モード状態で釣糸に所定の張力を付与し乍らスプールに巻回して、回転検出手段で検出したスプールの回転数から糸長計測装置の基礎データを求める電動リールに於て、基礎データ入力モード時に、上記スプールに巻回される釣糸の巻取り張力を計測する糸張力計測手段と、所定の巻取り張力許容条件を記憶した記憶手段と、前記糸張力計測手段の計測値と上記巻取り張力許容条件を比較する制御手段と、報知手段とを備え、上記制御手段は、糸張力計測手段の計測値が巻取り張力許容条件を超えたときに当該報知手段を報知させることを特徴とする。
【0010】
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電動リールに於て、糸張力計測手段は、スプール駆動モータのモータ負荷電流値を計測する電流計測手段で、記憶手段に、釣糸巻回時の張力目安となる指標がモータ負荷電流値に応じて記憶され、制御手段は、上記電流計測手段の計測値を記憶手段に記憶した指標に置き換えて、当該指標をリール本体に装着した表示器に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
各請求項に係る発明によれば、実釣に先立つ基礎データの入力時に、釣人が過剰な巻取り張力を釣糸に付与したことで巻取り張力許容条件を超えた場合に、報知手段で釣人にその旨を報知するように構成したので、釣人による不要で無理な張力をかけての釣糸の巻取り操作が防止でき、この結果、スプール駆動モータの発熱による釣糸の焼損や品質低下を未然に回避できると共に、過剰な巻取り張力による基礎データの影響もなくなることから、釣糸の糸長計測を精度良く行える利点を有する。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、巻取り張力の指標が目安として表示器に表示されることで、釣糸に付与している張力の程度を把握できる利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は請求項1及び請求項2に係る電動リールの一実施形態を示し、図に於て、1はリール本体3のフレーム、5,7は当該フレーム1の左右に取り付く側板で、両側板5,7間にスプール軸を介してスプール9が回転可能に支持されている。
スプール9は、スプールモータ11の駆動やハンドル13の巻取り操作で回転して釣糸が巻回されるようになっており、スプールモータ11はスプール9前方のフレーム1に一体成形された筒状のモータケース内に収容されている。
【0014】
そして、側板7の上部前方には、特許第2945530号公報で開示された電動リールと同様、スプールモータ11のモータ出力を増減してスプール9の回転速度(釣糸の巻取り速度)をコントロールするレバー形状のモータ出力調節体(以下、「パワーレバー」という)15がハンドル13と同方向へ回動操作可能に取り付けられており、当該パワーレバー15は、側板7内に固着されたポテンショメータ(図2中、17)の回転軸に固定ナットを介して連結されている。そして、リール本体3上部の制御ボックス19内に装着された図2のマイクロコンピュータ21は、パワーレバー15の操作量に応じたパルス信号のデューティ比としてスプールモータ11への電流通電時間率をモータ駆動回路23で可変制御して、モータ出力をモータ停止状態から最大値(0〜100%)まで連続的に可変制御するようになっている。
【0015】
また、図1に示すようにスプール9後方の側板5,7間にはクラッチレバー25が下方向へ押圧操作可能に取り付けられており、当該クラッチレバー25の押圧操作で、これに連結した側板7内のクラッチ機構がクラッチON(釣糸巻取り状態)からクラッチOFF(釣糸繰出し状態)に切り換わり、このクラッチOFF状態でハンドル13を巻取り方向へ回転させると、図示しない周知の復帰機構を介してクラッチ機構がクラッチON状態に復帰するようになっている。
【0016】
そして、このクラッチ機構のクラッチON/OFFによって、スプール9が釣糸巻取り状態と釣糸繰出し状態とに切り換わり、スプール9へのスプールモータ11やハンドル13の動力が伝達/遮断されるように構成されている。
一方、図1中、27はスプール9の回転方向と回転数を検出する回転検出手段で、当該回転検出手段27は、反ハンドル側のフレーム1に装着された一対のリードスイッチ29と、これに対向してスプール9の一端側周縁部に固着された複数のマグネット31とで構成されており、図2に示すようにリードスイッチ29は入力インターフェース33を介してマイクロコンピュータ21のCPU(制御手段)35に接続されている。
【0017】
また、制御ボックス19上部の操作パネル37上に、後述する糸長計測値と釣糸巻回時の張力目安となる指標を表示する表示器39が装着されると共に、当該表示器39に隣接してリセットスイッチ41と棚メモスイッチ43が、リール本体3の両側板5,7間の中央よりハンドル13側に偏寄して上下方向に配設され、更に両スイッチ41,43にオフセットさせて寸動スイッチ45が表示器39の斜め後方のハンドル13側に設けられており、当該寸動スイッチ45の操作でスプールモータ11が駆動して、微妙な棚位置調整やシャクリ操作ができるようになっている。
【0018】
このように、ハンドル13の操作と、寸動スイッチ45とパワーレバー15の操作でスプール9に釣糸が巻き取られ、また、クラッチレバー25のクラッチOFF操作でスプール9が釣糸繰出し状態に切り換わってスプール9から釣糸が繰り出されるが、この釣糸の繰出しや巻取りに伴い、回転検出手段27の検出値を基に糸長が計測されて糸長計測値が表示器39に表示される。
【0019】
図2は電動リール47の制御機構を示し、図中、21は糸長演算,糸長表示及びデータの書込み制御を行うマイクロコンピュータで、当該マイクロコンピュータ21は、プログラムメモリ,データメモリ及び入出力装置を制御管理して、与えられたジョブを処理すべく必要な演算,転送処理を実行するCPU35と、演算処理プログラムや糸長計算式,後述する糸巻回時の張力目安となる指標等を格納したROM49と、CPU35での演算結果等を記憶するRAM51と、リードスイッチ29から取り込まれるスプール9の回転パルス信号をカウントするアップ・ダウンカウンタ53と、入,出力インターフェース33,55とを備え、これらはバス57を介してCPU35に接続されている。そして、入力インターフェース33に、パワーレバー15(ポテンショメータ17),リードスイッチ29,リセットスイッチ41,棚メモスイッチ43,寸動スイッチ45が夫々接続され、出力インターフェース59に、モータ駆動回路23と表示駆動回路59を介してスプールモータ11と表示器39が接続され、更にリール本体3に装着したアラーム(報知手段)61が出力インターフェース55に接続されている。
【0020】
そして、ROM49には、特許文献1に開示された糸長計測装置と同様、
L=dNa2 +eNa ・・・[1]
d=−πH/N ・・・[2]
e=π(D0 +2HNe/N)・・・[3]
の計算式が記憶されており、本実施形態の糸長計測も特許文献1の糸長計測と同様、図2に示すようにスプール9の最大巻径より小径な位置に規定巻径レベル63を設定し、当該規定巻径レベル63まで釣糸65を巻回した際のスプール9の回転数と、釣糸65を総て巻回した際のスプール9の総回転数を前記回転数検出手段27で検出して、これらの回転数と規定巻径レベル63までの糸巻径等の基礎データとで計算式[1]を決定した後、実釣時のスプール9の実回転数を基に糸長計算式[1]を演算実行するものである。
【0021】
これを図2を用いて説明すると、図中、D0,D1,D2,Hは、
D0 :スプール9の底径
D1 :釣糸65をスプール9に総て巻回した際の全糸巻径
D2 :釣糸65を規定巻径レベル63まで巻回した際の糸巻径
H :規定巻径レベル63までのスプール9の溝深さ
を示している。
【0022】
そして、CPU35は、回転数検出手段27で計測された巻径レベル63までのスプール9の回転数Nと全糸巻径D1までのスプール9の総回転数Neを基に、ROM49に格納された計算式
L=dNa2 +eNa ・・・[1]
但し、
Na :実釣時のスプール9の実回転数
d=−πH/N:定数 ・・・[2]
e=π(D0 +2HNe/N):定数 ・・・[3]
Ne :全糸巻径D1 までのスプール9の総回転数
N :巻径レベル63までのスプール9の回転数
の定数d,eを計算式[2],[3]で決定した後、実釣時に於けるスプール9の実回転数Naを基に計算式[1]を演算実行して糸長Lを求めて、この糸長Lを表示器39に表示させるもので、全糸巻径D1までのスプール9の総回転数Neと巻径レベル63までのスプール9の回転数Nの基礎データは、実釣に先立ち釣糸65をスプール9に巻回する際に計測されてマイクロコンピュータ21に入力される。
【0023】
即ち、マイクロコンピュータ21は、前記棚メモスイッチ43と寸動スイッチ45を同時に操作することで、図3に示すように「糸長計測表示モード(実釣モード)」と「基礎データ入力モード」に順次切り換わり、また、これに応じて表示器39の所定箇所に、「実釣」,「データ入力」の文字が交互に表示されるようになっている。
ここで、既述した基礎データの入力方法を説明すると、先ず、棚メモスイッチ43と寸動スイッチ45を同時に操作して、マイクロコンピュータ21を「糸長計測表示モード」から「基礎データ入力モード」に切り換える。
【0024】
この後、パワーレバー15の操作でスプールモータ11を駆動して、ボビンに巻回されている釣糸69をスプール9に巻回していくと、既述したようにリードスイッチ29から取り込まれるスプール9の回転パルス信号をアップ・ダウンカウンタ53がカウントする。
そして、巻径レベル63まで巻回した処で釣人がリセットスイッチ41を操作すると、CPU35は巻径レベル63までのスプール9の回転数NをRAM51に保存する。
【0025】
更に、パワーレバー15を操作して釣糸65をスプール9に巻回していき、釣糸65を全て巻き取った処でリセットスイッチ41を再び操作すると、CPU35はスプール9の総回転数NeをRAM51に保存して、前記計算式[1]の定数d,eを計算式[2],[3]で求めて計算式[1]を決定する。
ところで、従来、このように実釣に先立ち釣糸65をスプール9に巻回して基礎データを求めていく場合、既述したように釣人は指で釣糸65を摘んで感覚的に釣糸65に張力を付与しているのが実情であるが、基礎データの入力に当たって巻取り張力が安定しないと、スプール9の回転数にばらつきが生じて基礎データの精度に支障を来し、また、巻取り張力を過剰に上げてしまうと、スプールモータ11の発熱で釣糸65が焼損してしまう虞がある。
【0026】
そこで、本実施形態は斯かる不具合を解決するため、更に以下の如き特徴を有する。
即ち、釣糸65に付与する張力を大きくするに従い、スプールモータ11のモータ負荷電流値は増加し、釣糸65に付与する張力を小さくするとモータ負荷電流は減少する。
そこで、図2に示すように、モータ駆動回路23中にスプールモータ11のモータ負荷電流値(A)を計測する電流計測器67が装着されており、釣糸65に張力を付与し乍ら釣糸65をスプール9に巻回して糸長計測の基礎データを求める際に、電流計測器67がスプールモータ11のモータ負荷電流値を計測して、その計測値が入力インターフェース33を介してCPU35に入力されるようになっている。
【0027】
一方、マイクロコンピュータ21のROM49には、基礎データ入力時の釣糸65の張力目安となる指標がモータ負荷電流値に応じて以下の如きデータとして設定,記憶されている。

張力目安表示値 計測値(電流値) 巻取り張力
1 3A 0.6Kgf
2 4A 0.7〜1.0Kgf
3 5A 1.1〜1.5Kgf
4 6A 1.6〜2.0Kgf
5 7A 2.1以上

そして、CPU35は、電流計測器67で計測されたモータ負荷電流値を上記データから指標に置換して、この指標を表示器39に表示させるようになっている。
【0028】
従って、釣糸巻回時に釣人が釣糸65を強く摘んで大きな張力を釣糸65に付与すると、スプールモータ11のモータ負荷電流値は上昇するため、この計測結果に対応した値の大きな指標が選択されて表示部39に表示され、一方、釣人が釣糸65を摘む力を弱めると、表示部39に表示される指標は減少していくこととなる。
更にROM49には、例えば「張力目安表示値5以上で、累積5秒」の巻取り張力許容条件が設定,記憶されており、CPU35は、図示しないタイマの計時値を基に張力目安表示値「5」が累積5秒以上表示されると、前記アラーム61を鳴らし、且つ張力目安表示値「5」を点滅させて、釣人に過剰な張力がかかっていることを警告するようになっている。
【0029】
そして、この警告の後、パワーレバー15がOFFに戻されたとき、或いは張力目安表示値「4」以下が連続5秒以上続くと、CPU35は警告を解除させるようになっている。
尚、上述の如き警告状態で、更に張力目安表示値「5」が5秒累積(総累積10秒)したとき、スプールモータ11の駆動を停止させるように構成してもよい。
【0030】
従って、上述の如くアラーム61に気が付いて釣人が釣糸65を摘む力を弱めることで巻取り張力が低下するため、表示部39に表示される指標は減少していくこととなる。
その他、図1に於て、69は寸動スイッチ45に隣接して表示器39後方の操作パネル37上に設けられた凹状の指載置スペースで、指載置スペース69の側板5側は大きく平面視円形状に広がり、指載置スペース69の底部は、親指の指先に合わせて操作パネル37の前後方向へ略弧状に窪んだ形状とされている。そして、指載置スペース69の側板7側に前記寸動スイッチ45が隣接して配設されており、このように表示器39後方の操作パネル37上に親指の指載置スペース69を設けたことで、実釣時に電動リール47の確実な握持が可能となっている。
【0031】
更に、上述の如く指載置スペース69の側板7側に寸動スイッチ45を隣接して配設した構造上、指載置スペース69に載置した親指による寸動スイッチ45の誤操作の虞がある。
そこで、図1に示すように寸動スイッチ45を囲繞する環状の隆起部71が操作パネル37上に突設されており、指載置スペース69に載置した親指が側板7側にズレたときに、親指が隆起部71の外周に接触して釣人にその旨を気付かせると同時に、親指による寸動スイッチ45の誤操作を当該隆起部71が積極的に防止するようになっている。
【0032】
また、寸動スイッチ45やパワーレバー15,ハンドル13の操作でスプール9に釣糸65が巻き取られ、また、クラッチレバー25のクラッチOFF操作でスプール9が釣糸繰出し状態に切り換わってスプール9から釣糸65が繰り出され、この釣糸65の繰出しや巻取りに伴い、既述した「糸長計測表示モード」で、CPU35がリードスイッチ29から取り込むスプール9の回転パルス信号を基に糸長を求めて表示器39に表示させるが、図4に示すように表示器39には、水面からの仕掛けの繰出し量(水深)を表示する上カラ表示部73と、棚からの仕掛けの距離を表示する棚カラ表示部75が上下2段に並設されている。そして、釣糸65が竿先から水面まで繰り出された処で釣人が既述したリセットスイッチ41を操作すると、CPU35は上カラ表示部73の表示値を「0.0」にリセットさせるようになっている。
【0033】
この後、釣人が釣糸65を繰り出していくと、糸長計測された計測値が上カラ表示部73に表示され、そして、釣糸65が例えば95.5m繰り出された処で釣人が棚メモスイッチ43を操作すると、棚カラ表示部75に「0.0」が表示されて棚位置が設定され、以後、図4に示すように棚位置から例えば15mの釣糸65の巻取りに伴う仕掛けの距離と水面からの繰出し量が、棚カラ表示部73と上カラ表示部75に夫々表示されるようになっている。
【0034】
そして、「基礎データ入力モード」では、上カラ表示部73と棚カラ表示部75に代えて、表示器39の所定箇所に既述した指標が表示されるようになっている。
また、寸動スイッチ45とパワーレバー15は別回路となっており、「糸長計測表示モード」でパワーレバー15の操作中に寸動スイッチ45を操作すると、パワーレバー15の操作時のモータ出力と関係なく、スプールモータ11は寸動スイッチ45の操作で駆動するようになっている。
【0035】
そして、寸動スイッチ45からパワーレバー15の操作に切り換える際には、安全性を考慮して一度パワーレバー15をモータ出力「0」の位置まで戻さなければ、パワーレバー15によるスプールモータ11の駆動ができないように構成されている。
本実施形態はこのように構成されているから、実釣に先立ち、既述した基礎データを求める場合、棚メモスイッチ43と寸動スイッチ45を同時に操作して、マイクロコンピュータ21を「糸長計測表示モード」から「基礎データ入力モード」に切り換える。
【0036】
そして、パワーレバー15の操作でボビンに巻回された釣糸65をスプール9に巻回し乍ら、釣人は釣糸65を指で摘んで釣糸65に張力を付与するが、モータ駆動回路23中に装着した電流計測器67がスプールモータ11のモータ負荷電流値を計測して、その計測値が入力インターフェース33を介してCPU35に入力される。
而して、CPU35は、電流計測器67で計測されたモータ負荷電流値をROM49に記載されたデータから指標に置換して、この指標を表示器39に表示させると共に、既述した巻取り張力許容条件を超えたか否かをタイマの計時値を基に常時監視する。
【0037】
そして、CPU35は、張力目安表示値「5」が累積5秒以上表示されると、巻取り張力許容条件を超えたと判断してアラーム61を鳴らし、且つ張力目安表示値「5」を点滅させて、釣人に過剰な張力がかかっていることを警告する。そして、この警告の後、パワーレバー15がOFFに戻され、或いは張力目安表示値「4」以下が連続5秒以上続くと、CPU35は警告を解除させる。
【0038】
このように本実施形態は、実釣に先立つ基礎データの入力時に、釣人が過剰な巻取り張力を釣糸65に付与したことで巻取り張力許容条件を超えた場合に、アラーム61を鳴らして釣人にその旨を警告するように構成したので、釣人による不要で無理な張力をかけての釣糸65の巻取り操作が防止できることとなり、この結果、スプールモータ11の発熱による釣糸65の焼損や品質低下を未然に回避できると共に、過剰な巻取り張力による基礎データの影響もなくなることから、釣糸65の糸長計測を精度良く行える利点を有する。
【0039】
また、本実施形態によれば、巻取り張力の指標が目安として表示器39に表示されることで、釣糸65に付与している張力の程度を把握できる利点を有する。
尚、報知手段として既述したアラーム61に代え、光や音声を用いて釣人に警告を報知させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】請求項1及び請求項2の一実施形態に係る電動リールの正面図である。
【図2】図1の電動リールの制御ブロック図である。
【図3】モードの切換え状態を示すフローチャートである。
【図4】糸長計測表示モードでの表示器の表示状態の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 フレーム
3 リール本体
5,7は側板
9 スプール
11 スプールモータ
13 ハンドル
15 パワーレバー
19 制御ボックス
21 マイクロコンピュータ
23 モータ駆動回路
27 回転検出手段
29 リードスイッチ
31 マグネット
39 表示器
41 リセットスイッチ
43 棚メモスイッチ
45 寸動スイッチ
47 電動リール
61 アラーム
63 規定巻径レベル
65 釣糸
67 電流計測器
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
【出願日】 平成16年1月20日(2004.1.20)
【代理人】 【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺

【公開番号】 特開2005−204525(P2005−204525A)
【公開日】 平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願番号】 特願2004−12324(P2004−12324)