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【発明の名称】 スピニングリールのリール本体
【発明者】 【氏名】明上 誠治
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内

【要約】 【課題】スピニングリールのリール本体において、リール全体の軽量化を図るとともに、リール全体の強度を高く維持する。

【解決手段】リール本体2は、内部に各種の機構が装着されるリールボディ2aと、釣竿に装着されリールボディ2aから斜め上前方に一体的に延びるT字状の竿取付脚部2bとを備えている。リールボディ2aは、側部が開口する収納空間を内部に有する本体部材2cと、本体部材2cの開口を覆うように着脱自在に本体部材2cに装着された蓋部材2dとを有している。竿取付脚部2bとリールボディ2aの蓋部材2dとの連接部分より上方後部には、肉盗み部50が形成されている。肉盗み部50の少なくとも周縁部を覆うように後部から下部にかけてカバー部材70が装着されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿に装着され、前方に釣り糸を繰り出し可能なスピニングリールのリール本体であって、
内部に各種の機構が装着されるリールボディと、
前記釣竿に装着され、前記リールボディから斜め上前方に一体的に延びるT字状の竿取付脚部と、
前記竿取付脚部と前記リールボディとの連接部分より上方に形成された肉盗み部と、
前記肉盗み部の少なくとも周縁部を覆うカバー部材と、
を備えたスピニングリールのリール本体。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記肉盗み部の周囲を覆うように装着され、前記肉盗み部を臨む開口部を有している、請求項1に記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記肉盗み部の全体を覆うように装着されている、請求項1に記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項4】
前記肉盗み部は、前記竿取付脚部及び前記リールボディの一部が他の部分より凹んで形成された凹陥部である、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項5】
前記肉盗み部は、前記竿取付脚部及び前記リールボディの一部を貫通する貫通孔である、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項6】
前記肉盗み部は、前記竿取付脚部及び前記リールボディの一部を貫通する貫通孔と、前記貫通孔の周囲において前記竿取付脚部及び前記リールボディの一部が他の部分より凹んで形成された凹陥部とを有している、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記凹陥部の中央部より偏芯した位置に配置されている、請求項6に記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項8】
前記凹陥部は、前記貫通孔に向かって傾斜する傾斜面を有している、請求項6又は7に記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項9】
前記肉盗み部は、前記竿取付脚部及び前記リールボディの後部に形成されている、請求項1から8のいずれかに記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項10】
前記肉盗み部は、前記竿取付脚部及び前記リールボディの側部に形成されている、請求項1から8のいずれかに記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項11】
前記リールボディは、内部に各種の機構が装着される本体部材と、前記本体部材に装着される蓋部材とをさらに備えている、請求項1から10のいずれかに記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項12】
前記竿取付脚部は、前記本体部材と一体成形されている、請求項11に記載のスピニングリールのリール本体。
【請求項13】
前記竿取付脚部は、前記蓋部材と一体成形されている、請求項11に記載のスピニングリールのリール本体。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、リール本体、特に、釣竿に装着され前方に釣り糸を繰り出し可能なスピニングリールのリール本体に関する。
【背景技術】
【0002】
スピニングリールは、一般に、釣竿に装着されるリール本体と、リール本体に回転自在に取り付けられたハンドルと、リール本体に回転自在に装着されたロータと、ロータの前方でリール本体に前後移動自在に装着され、ロータによって案内された釣り糸が外周に巻き付けられるスプールとを有している。
【0003】
この種のリール本体は、釣竿に装着されるT字状の竿取付脚部と、竿取付脚部と一体成形され、内部に各種の機構が収納されるリールボディとを備えている。リールボディは、側部が開口する収納空間を内部に有する本体部材と、本体部材の開口を覆うように着脱自在に本体部材に装着された蓋部材とを有している。
【0004】
このようなリール本体では、釣竿を把持するとき竿取付脚部を指で挟みやすくするために、竿取付脚部の前後方向長さを短くすることが望ましい。また、リールボディは内部に各種の機構を収納するために、前後方向長さを長くすることが要請されている。これら両方を実現させようとすると、竿取付脚部とリールボディとの連接部分では、前後方向長さが急激に変化するため、この部分の強度が著しく低下してしまうおそれがあった。そこで、竿取付脚部とリールボディとの連接部分の前後方向長さが徐変するように形成すると、強度を高く維持することができるが、肉厚に形成した分だけ重量化を招くといった問題を引き起こしていた。
【0005】
このような問題を解消するため、竿取付脚部とリールボディとの連接部分より上方に後方から貫通孔を形成したものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。このような貫通孔を形成することにより、全体の軽量化を図ることができるとともに、意匠性を向上させることができる。
【特許文献1】意匠登録第712318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来のスピニングリールのリール本体では、竿取付脚部とリールボディとの連接部分より上方に後方から貫通孔が形成されているので、リール全体の軽量化を図ることができる。しかし、このような貫通孔を形成すると、リールを落下させたり、岩場に接触させたりしたとき、特に、貫通孔の周縁部が傷付いてしまうおそれがある。貫通孔の周縁部が傷付くと、リール全体の強度が低下するおそれが生じる。
【0007】
本発明の課題は、スピニングリールのリール本体において、リール全体の軽量化を図るとともに、リール全体の強度を高く維持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係るリール本体では、釣竿に装着され前方に釣り糸を繰り出し可能なスピニングリールのリール本体であって、内部に各種の機構が装着されるリールボディと、釣竿に装着されリールボディから斜め上前方に一体的に延びるT字状の竿取付脚部と、竿取付脚部とリールボディとの連接部分より上方に形成された肉盗み部と、肉盗み部の少なくとも周縁部を覆うカバー部材とを備えている。
【0009】
このリール本体では、竿取付脚部とリールボディとの連接部分より上方に貫通孔や凹陥部からなる肉盗み部が形成されているので、リール全体の軽量化を図ることができる。さらに、肉盗み部の少なくとも周縁部にはカバー部材が覆われているので、リール全体の強度を高く維持できる。また、このようなカバー部材を装着することにより、意匠性を向上できる。
【0010】
発明2に係るリール本体は、発明1のリール本体において、カバー部材は、肉盗み部の周囲を覆うように装着され、肉盗み部を臨む開口部を有している。この場合、カバー部材は開口部を有しているので、さらに軽量化を図ることができる。
【0011】
発明3に係るリール本体は、発明1のリール本体において、カバー部材は、肉盗み部の全体を覆うように装着されている。この場合、カバー部材は肉盗み部全体を覆っているので、さらに強度を高く維持できる。
【0012】
発明4に係るリール本体は、発明1から3のいずれかのリール本体において、肉盗み部は、竿取付脚部及びリールボディの一部が他の部分より凹んで形成された凹陥部である。この場合、肉盗み部として凹陥部を設けることにより、凹陥部の凹み量を適宜調節することで軽量化と強度維持とのバランスを取ることができる。
【0013】
発明5に係るリール本体は、発明1から3のいずれかのリール本体において、肉盗み部は、竿取付脚部及びリールボディの一部を貫通する貫通孔である。この場合、肉盗み部として貫通孔を設けることにより、肉盗み部の形成が容易になる。
【0014】
発明6に係るリール本体は、発明1から3のいずれかのリール本体において、肉盗み部は、竿取付脚部及びリールボディの一部を貫通する貫通孔と、貫通孔の周囲において竿取付脚部及びリールボディの一部が他の部分より凹んで形成された凹陥部とを有している。この場合、肉盗み部として貫通孔と凹陥部とを合わせ設けることにより、意匠性を向上できる。
【0015】
発明7に係るリール本体は、発明6のリール本体において、貫通孔は、凹陥部の中央部より偏芯した位置に配置されている。この場合、貫通孔の形成が容易になるとともに、凹陥部の配置面積を広くすることができるので、さらに軽量化できる。
【0016】
発明8に係るリール本体は、発明6又は7のリール本体において、凹陥部は、貫通孔に向かって傾斜する傾斜面を有している。この場合、たとえば凹陥部と貫通孔とが滑らかに連接するように凹陥部を傾斜させることにより、さらに意匠性を向上できる。
【0017】
発明9に係るリール本体は、発明1から8のいずれかのリール本体において、肉盗み部は、竿取付脚部及びリールボディの後部に形成されている。この場合、竿取付脚部及びリールボディの後部、あるいは後部から前部にかけて肉盗み部を形成することにより、リール全体の軽量化を図れ、かつリール全体の強度を高く維持できる。
【0018】
発明10に係るリール本体は、発明1から8のいずれかのリール本体において、肉盗み部は、竿取付脚部及びリールボディの側部に形成されている。この場合、竿取付脚部及びリールボディの左側部又は右側部、あるいは両側部に肉盗み部を形成することにより、リール全体の軽量化を図れ、かつリール全体の強度を高く維持できる。
【0019】
発明11に係るリール本体は、発明1から10のいずれかのリール本体において、リールボディは、内部に各種の機構が装着される本体部材と、本体部材に装着される蓋部材とをさらに備えている。この場合、竿取付脚部と本体部材との連接部分又は竿取付脚部と蓋部材との連接部分に肉盗み部を形成することにより、リール全体の軽量化を図れ、かつリール全体の強度を高く維持できる。
【0020】
発明12に係るリール本体は、発明11のリール本体において、竿取付脚部は、本体部材と一体成形されている。この場合、竿取付脚部と本体部材とが一体成形されているので、竿取付脚部と蓋部材とが一体成形されている場合に比して、蓋部材の構成が簡素になる。
【0021】
発明13に係るリール本体は、発明11のリール本体において、竿取付脚部は、蓋部材と一体成形されている。この場合、竿取付脚部と蓋部材とが一体成形されているので、厚肉部分と薄肉部分との混在を少なくして本体部材を薄肉にして精度を高く維持し、取付脚部を厚肉にして強度を維持できるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スピニングリールのリール本体において、竿取付脚部とリールボディとの連接部分より上方に肉盗み部を形成し、肉盗み部の少なくとも周縁部にカバー部材を着することにより、リール全体の軽量化を図れ、かつリール全体の強度を高く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、図1及び図2に示すように、ハンドル1を回転自在に支持され釣竿に装着されるリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、スプール4に釣り糸を巻き付けるものであり、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、外周面に釣り糸を巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。なお、ハンドル1は、図1及び図2に示すリール本体2の左側に装着されているが、リール本体2の右側にも装着可能である。
【0024】
リール本体2は、図1及び図2に示すように、内部に各種の機構が装着されるリールボディ2aと、釣竿に装着されリールボディ2aから斜め上前方に一体的に延びるT字状の竿取付脚部2bとを備えている。
【0025】
リールボディ2aは、図2に示すように、側部が開口する収納空間を内部に有する本体部材2cと、本体部材2cの開口を覆うように着脱自在に本体部材2cに装着された蓋部材2dとを有している。竿取付脚部2bは、図1及び図2に示すように、略T字状の中実の厚肉部材である。竿取付脚部2bの先端部分は、前後両側に延びており、図示しない釣竿が装着可能である。
【0026】
本体部材2cは、たとえば金属製又は合成樹脂製の部材であって、図2に示すように、側部に開口が形成され、内部に図示しない収納空間が形成されている。図示しない収納空間には、ロータ3を回転させるための図示しないロータ駆動機構と、スプール4を前後移動させて釣り糸を均一に巻き取るための図示しないオシレーティング機構とが設けられている。蓋部材2dは、たとえば金属製又は合成樹脂製の部材であって、本体部材2cの開口を閉塞するように装着されている。蓋部材2dは、上方に延びる竿取付脚部2bと一体成形されている。
【0027】
竿取付脚部2bとリールボディ2aの蓋部材2dとの連接部分より上方後部には、図1及び図2に示すように、肉盗み部50が形成されている。肉盗み部50の少なくとも周縁部を覆うように後部から下部にかけてカバー部材70が装着されている。
【0028】
肉盗み部50は、図1及び図2に示すように、竿取付脚部2b及び蓋部材2dの一部を貫通する貫通孔51と、貫通孔51の周囲において竿取付脚部2b及び蓋部材2dの一部が他の部分より凹んで形成された凹陥部52とを有している。貫通孔51は、凹陥部52の中央部より偏芯した位置に配置されている。凹陥部52は、貫通孔51に向かって傾斜する傾斜面を有している。
【0029】
カバー部材70は、金属製又は合成樹脂製の部材であって、図1及び図2に示すように、貫通孔51の周囲を覆うように装着され、貫通孔51を臨む開口部71と、凹陥部52の傾斜面に沿って凸状に湾曲して配置される傾斜部72とを有している。カバー部材70は、図示しないねじ部材により、本体部材2c及び蓋部材2dに固定されている。
【0030】
ロータ3は、図1及び図2に示すように、筒状部30と、筒状部30の側方に互いに対向して設けられた第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とを有している。筒状部30と第1ロータアーム31及び第2ロータアーム32とは一体成形されている。筒状部30の前部には、図示しない貫通孔を有する壁部が形成されており、図2に示すように、ピニオンギア12及びスプール軸15が貫通している。
【0031】
第1ロータアーム31の先端の外周側には、図1及び図2に示すように、第1ベール支持部材40が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40の先端には、図1に示すように、釣り糸をスプール4に案内するためにラインローラ41が装着されている。また、第2ロータアーム32の先端の外周側には、第2ベール支持部材42が揺動自在に装着されている。第1ベール支持部材40の先端のラインローラ41と第2ベール支持部材42との間にはベール43が設けられている。これらの第1ベール支持部材40、第2ベール支持部材42、ラインローラ41及びベール43によりベールアーム44が構成される。
【0032】
スプール4は、図1及び図2に示すように、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端に図示しないドラグ機構を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻き付けられる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前部に固定された前フランジ部4cとを有している。
【0033】
このような構成のスピニングリールでは、竿取付脚部2bと蓋部材2dとの連接部分より上方に肉盗み部50を形成し、肉盗み部50の周縁部にカバー部材70を装着することにより、リール全体の軽量化を図れ、かつリール全体の強度を高く維持できる。
【0034】
〔他の実施形態〕
(a) スピニングリールの形態は前記実施形態に限定されるものではなく、ドラグ機構を有するものや、逆転防止機構に代えてブレーキレバーを有する制動機構を装着したものにも本発明を適用できる。
【0035】
(b) 前記実施形態では、肉盗み部50として貫通孔51及び凹陥部52を設け、カバー部材70として開口部71及び傾斜部72を設けたが、図3及び図4に示すように、肉盗み部50として貫通しない凹部からなる底部53及び凹陥部52を設け、カバー部材70として底部53全体を覆う閉塞部73及び傾斜部72を設けてもよい。また、図5に示すように、肉盗み部50として貫通孔51を設け、カバー部材70として貫通孔51を臨む開口部71を設けてもよい。さらに、図6に示すように、肉盗み部50として貫通しない凹部からなる底部53を設け、カバー部材70として底部53全体を覆う閉塞部73を設けてもよい。
【0036】
(c) 前記実施形態では、蓋部材2dは竿取付脚部2bと一体成形されていたが、図7に示すように、本体部材2cと竿取付脚部2bとを一体成形してもよい。なお、この場合、肉盗み部50は竿取付脚部2bと蓋部材2dとの連接部分より上方に形成され、肉盗み部50の周縁部にカバー部材70が装着される。
【0037】
(d) 前記実施形態では、肉盗み部50は竿取付脚部2b及びリールボディ2aの後部に形成されていたが、図8に示すように、竿取付脚部2b及びリールボディ2aの側部に貫通孔51からなる肉盗み部50を設け、開口部71を有するカバー部材70を装着する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態によるスピニングリールの側面図。
【図2】前記スピニングリールの背面図。
【図3】他の実施形態の図1に相当する図。
【図4】他の実施形態の図2に相当する図。
【図5】他の実施形態の図2に相当する図。
【図6】他の実施形態の図2に相当する図。
【図7】他の実施形態の図2に相当する図。
【図8】他の実施形態の図1に相当する図。
【符号の説明】
【0039】
1 ハンドル
2 リール本体
2a リールボディ
2b 竿取付脚部
2c 本体部材
2d 蓋部材
50 肉盗み部
51 貫通孔
52 凹陥部
53 底部
70 カバー部材
71 開口部
72 傾斜部
73 閉塞部
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地
【出願日】 平成15年9月10日(2003.9.10)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男

【識別番号】100109450
【弁理士】
【氏名又は名称】關 健一

【識別番号】100111187
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 秀忠

【公開番号】 特開2005−80600(P2005−80600A)
【公開日】 平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願番号】 特願2003−317778(P2003−317778)