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【発明の名称】 飼育水浄化装置、これを用いた飼育水槽及び飼育水の浄化方法
【発明者】 【氏名】鈴木 正幸

【要約】 【課題】濾過槽を小型化することができるとともに、濾過性能を高めて長期間にわたって飼育水を濾過することのできる飼育水浄化装置を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材を充填した複数の濾過室を略水平方向に列状に配置するとともに、隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部を、各濾過室の上部と底部に交互に設けることにより、飼育水を上下方向に流動させながら濾過を行う濾過槽と、
飼育水を回流させる回流発生手段を備えるとともに、上記濾過槽が設置される水槽と、
上記濾過槽から流出した濾過水を循環ポンプによって上記水槽内に戻す循環回路と、
上記水槽内を回流する上記飼育水を所定の温度に設定する水温調節手段と、
上記飼育水を殺菌する殺菌手段とを備える、飼育水浄化装置。
【請求項2】
上記濾過槽を上記水槽の中央部に設置するとともに、飼育水を上記濾過槽の周りに回流させるように構成した請求項1に記載の飼育水浄化装置。
【請求項3】
上記濾過槽の取水口を、上記水槽内を回流する飼育水の流れに向けて設置するとともに、上記水槽の底部に上記循環回路の取水口を設けた、請求項2に記載の飼育水浄化装置。
【請求項4】
上部に設けた上記連通部の高さを濾過水の流動方向に順次低下させることにより、上記濾過槽内に流入した飼育水が重力によって隣接する各濾過室内へ流動するように構成した、請求項1から請求項3のいずれかに記載の飼育水浄化装置。
【請求項5】
複数の上記濾過室を、上記飼育水の回流方向に沿う略円弧状又は上記水槽の中心部に向かう略螺旋状に列状配置して上記濾過槽を構成した、請求項1から請求項4のいずれかに記載の飼育水浄化装置。
【請求項6】
互いに組み合わされる複数の渦巻き状あるいは螺旋状の濾過槽を設けた、請求項1から請求項5のいずれかに記載の飼育水浄化装置。
【請求項7】
上記各濾過室は、異なる材料で形成された濾材を上下方向に積層して構成されている、請求項1から請求項6のいずれかに記載の飼育水浄化装置。
【請求項8】
上記回流発生手段が、上記循環回路から吐出される濾過水に空気を混入させて飼育水の流動方向に噴出させる噴出ノズルを備えて構成されている、請求項1から請求項7のいずれかに記載の飼育水浄化装置。
【請求項9】
上記殺菌装置が、上記循環回路の途中に設置したオゾン発生装置である、請求項1から請求項8のいずれかに記載の飼育水浄化装置。
【請求項10】
中央部に濾過槽が設置されるとともに、飼育水を満たした水槽と、
上記濾過槽の周りに上記飼育水の回流を発生させる回流発生手段と、
上記飼育水を殺菌する殺菌手段と、
上記飼育水の温度を調節する温度調節手段と、
循環ポンプによって上記濾過槽から流出した濾過水を回流する上記飼育水に戻す循環回路とを備えて構成されており、
上記濾過槽は、濾材を充填した複数の濾過室が略水平方向に列状に配置されているとともに、隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部が各濾過室の上部と底部に交互に設けられており、飼育水を上下方向に流動させながら濾過を行うよう構成されている、飼育水槽。
【請求項11】
上記濾過槽の取水口を回流する上記飼育水の流れに向けて設置するとともに、上記循環回路の取水口を上記飼育水槽の底部に設けた、請求項10に記載の飼育水槽。
【請求項12】
上記殺菌手段がオゾン発生装置である、請求項10又は請求項11のいずれかに記載の飼育水槽。
【請求項13】
上記濾過槽の上部に釣り人を載置できる釣り台を設けた請求項10から請求項12のいずれかに記載の飼育水槽。
【請求項14】
水槽の中央部に設置した濾過槽の周りに回流させた飼育水を上記濾過槽内に流入させて濾過するとともに、上記濾過槽で濾過された濾過水を上記水槽の底部から上記回流する飼育水に戻しながら濾過を行う飼育水の浄化方法であって、
列状に配置されるとともに各々に濾材が充填された複数の濾過室から上記濾過槽を構成するとともに、隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部を各濾過室の上部と底部に交互に設けることにより、飼育水を濾過槽内で上下方向に交互に流動させながら濾過を行う、飼育水の浄化方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、飼育水浄化装置、これを用いた飼育水槽及び飼育水の浄化方法に関する。詳しくは、魚介類を飼育する飼育水を浄化できるとともに、飼育水槽として用いることのできる飼育水浄化装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類等の食用の水性生物を飼育する場合、飼育水槽に貯溜する飼育水を連続的に浄化することが要求される。また、自然界の水性生物のほとんどは、流動する水流中で生存している。このため、飼育水が流動しない水槽内では、生物を長期間飼育することはできない。上記条件を満たすため、種々の装置が開発されている。
【特許文献1】特開2002−34835号
【特許文献2】特開2002−119169号
【0003】
上記特許文献1に記載された飼育水循環型陸上養殖装置は、飼育水槽と、生物処理装置とオゾン浄化装置とを順次配管で接続して循環経路を形成し、飼育水槽内の飼育水を連続的に浄化処理するように構成されている。
【0004】
上記特許文献2に記載された魚介類の養殖システムは、水槽と複数の濾過タンクとを配管系でつなぎ、その配管系に循環ポンプと水温調整器とを設け、上記配管系の一端に設けた吸い込み口を水槽の底部に接続するとともに、他端を上記水槽の上部に設けた散水管に接続して構成されている。また、上記水槽の底部には、水中ポンプに接続された底部ノズルが設けられており、上記散水管と上記底部ノズルによって、水槽内に回流が生じるように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の飼育水の浄化装置は、飼育水槽の容積に比べて非常に大きな濾過槽を必要とした。このため、装置が大掛かりになって、濾過槽を設置するための大きな空間を上記飼育水槽と別途に必要とした。
【0006】
一方、飼育水を充分に清浄化するため、複数の濾過室あるいは濾過装置を設けて繰り返し濾過できるように構成する必要がある。ところが、従来の浄化装置では、複数の濾過室又は濾過装置を配管を介して接続しているため、装置がさらに大掛かりになる。しかも、長い配管系を採用しているため、出力の大きな循環ポンプ等を必要とした。
【0007】
また、水槽内で飼育水を強制的に回流させているが、円形状あるいは小判状の水槽内の飼育水を単に流動させているだけであるため、水槽内での流速が場所によって大きく異なる。このため、回遊する魚類を飼育するのに適しているとはいえない。
【0008】
本願発明は、上述の事情の下で考え出されたものであって、上記従来の問題を解決し、濾過槽を小型化することができるとともに、濾過性能を高めて長期間にわたって飼育水を濾過することのできる飼育水浄化装置、これを用いた飼育水槽及び飼育水の浄化方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に記載した発明に係る飼育水浄化装置は、濾材を充填した複数の濾過室を略水平方向に列状に配置するとともに、隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部を、各濾過室の上部と底部に交互に設けることにより、飼育水を上下方向に流動させながら濾過を行う濾過槽と、飼育水を回流させる回流発生手段を備えるとともに、上記濾過槽が設置される水槽と、上記濾過槽から流出した濾過水を循環ポンプによって上記水槽内に戻す循環回路と、上記水槽内を回流する上記飼育水を所定の温度に設定する水温調節手段と、上記飼育水を殺菌する殺菌手段とを備えて構成される。
【0010】
本願発明に係る浄化装置で浄化する飼育水の種類は特に限定されることはなく、海水、淡水のいずれにも適用できる。従来は、海水の浄化に大きな装置を必要としたが、本願発明を適用することにより、小型化を図ることができる。また、飼育水を用いて飼育する生物の種類も特に限定されることはなく、海洋性あるいは沼沢性の魚介類のみならず、海草等の植物も飼育するとこができる。
【0011】
また、本願発明に係る浄化装置における水槽を飼育水槽として利用することもできるし、上記浄化装置を飼育水を濾過する目的のみに利用し、別途設けた飼育水槽で生物を飼育することもできる。
【0012】
本願発明に係る上記濾過槽は複数の濾過室を略水平方向に列状に配列して構成される。上記各濾過室の形態や大きさは特に限定されることはない。隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部を各濾過室の上部と底部に交互に設けることにより、飼育水を各濾過槽へ流動させる上下配管を設ける必要がなくなる。また、各濾過室を仕切る壁部に設けた開口部を連通部とすると、配管自体が不要となる。このため、各濾過室の間のスペースを小さく設定することが可能となる。また、装置の小型化を図ることができる。
【0013】
たとえば、断面矩形の長尺状の水路を、上方と下方に連通部が交互に形成されるようにして複数の仕切板を所定間隔で設けることにより、複数の濾過室を連続的に構成することができる。上記連通部を各濾過室の上部と底部に交互に設けることにより、飼育水は上記濾過槽内で上下方向に流動しながら濾過される。これにより、多段濾過槽を小さなスペースに設置することが可能となる。
【0014】
上記水槽の形態も特に限定されることはないが、回流を発生させた場合に飼育水の滞留がなく、槽内の飼育水がスムーズに回流できる形態の水槽を採用するのが好ましい。たとえば、円形、楕円形、ドーナツ形等の形態の水槽を採用することができる。
【0015】
上記循環回路は、濾過槽から流出した濾過水を水槽に戻すための回路であり、循環ポンプ等によって濾過水を飼育水槽に戻すように構成される。上記循環回路の取水口は、上記濾過槽の末端に設けられる。一方、上記循環回路の吐出口は、上記水槽の内壁部等に設けることができる。上記循環回路は、水槽内に設置することもできるし、水槽の外側に設置することもできる。
【0016】
また、請求項8に記載した発明のように、上記循環回路から吐出される濾過水に空気を混入させて飼育水の流動方向に噴出させる噴出ノズルを設けて、上記回流発生手段を構成することができる。
【0017】
噴出ノズルから噴出される濾過水によって上記回流を発生させることにより、ゴミや魚介類の排泄物等を飼育水中に分散して浮遊させることができる。これにより、魚介類の排泄物等が特定部位に堆積するのを防止できる。また、上記回流を利用して、上記排泄物等を上記濾過槽にスムーズに流入させて飼育水を効率よく濾過することが可能となる。
【0018】
上記水温調節手段として種々の装置を採用できる。また、水温調節手段を設ける部位も特に限定されることはない。ヒータ等を上記水槽内に設置して飼育水を直接温度調節することもできるし、上記循環回路内に設置して濾過水の温度を調節することにより、飼育水の温度を調節するように構成することもできる。
【0019】
上記殺菌手段も特に限定されることはなく、種々の装置を採用できる。たとえば、請求項9に記載したオゾン発生装置を採用するのが好ましい。上記殺菌装置を設ける部位も限定されることはないが、上記循環回路内において濾過水にオゾンを添加して、水槽に戻すように構成するのが好ましい。
【0020】
本願の請求項2に記載した発明は、上記濾過槽を上記水槽の中央部に設置するとともに、飼育水を上記濾過槽の周りに回流させるように構成したものである。
【0021】
濾過槽を水槽の中央部に設置することにより、濾過槽を設置するスペースを別途設定する必要がなくなり、浄化装置の設置スペースを大幅に小さくすることが可能となる。しかも、上記濾過槽の周囲に飼育水を回流させる連続した環状の流路を形成できるため、流速の変化の少ない円滑な回流を発生させることもできる。
【0022】
また、上記濾過槽を水槽中に設ける場合、請求項3に記載した発明のように、上記濾過槽の取水口を、上記水槽内を回流する飼育水の流れに向けて設置するとともに、上記水槽の底部に上記循環回路の取水口を設けるのが好ましい。
【0023】
濾過槽を水槽の中央部に設置してこの濾過槽の周りに飼育水を回流させると、濾過槽近傍の流速が最も小さくなる。このため、飼育水中のゴミ等の浮遊物が上記濾過槽の周囲に集積される。上記濾過槽の取水口を飼育水の流れに向かうように設定すると、集積した上記浮遊物等を上記濾過槽内に容易に流入させることができる。上記濾過槽内に流入した浮遊物等は、上記フィルタで濾過され、あるいはフィルタ内で分解される。なお、上記取水口を設ける位置は特に限定されることはない。水槽内の飼育水をオーバーフローさせるようにして、上記濾過槽内に取水することもできるし、水槽の底面近傍から濾過槽内に流入させることもできる。また、水槽の深さ方向全域から濾過水を流入させるように構成することもできる。
【0024】
上記構成を採用することにより、飼育水を濾過槽に円滑に流入させることができるばかりでなく、飼育水中の浮遊物等をきわめて効率よく濾過することが可能となる。
【0025】
上記各濾過室に充填される濾材も特に限定されることはない。各濾過室ごとに異なる濾材を充填することもできるし、請求項7に記載した発明のように、上記各濾過室に、異なる材料で形成された濾材を上下方向に積層して充填することもできる。
【0026】
本願の請求項4に記載した発明は、上部に設けた上記連通部の高さを飼育水の流動方向に順次低下させることにより、上記濾過槽内に流入した飼育水が重力によって上記各濾過室内を流動するように構成したものである。
【0027】
すなわち、上記各濾過室の水位を、水槽内を回遊する飼育水の水位から循環回路の取水口に向けて段階的に低下するように、上部の連通部の高さを設定する。これにより、上記濾過槽内の飼育水は重力によって濾過槽内を流動して濾過され、上記循環回路の取水口に流入させられる。
【0028】
上部の連通部の形態や機能も特に限定されることはない。たとえば、連通部を隣接する濾過室に向けて開口する堰のように構成して、飼育水を上記連通部からオーバーフローさせるようにして隣接する濾過室に流動させることができる。一方、底部の連通部に透水マット等を介して飼育水が容易に流動するように構成するのが好ましい。
【0029】
上記構成を採用することにより、濾材を濾過水に効率よく作用させることが可能となる。また、重力による流動を利用しているため、濾材に大きな力が作用しない。したがって、濾材が圧力等で傷む恐れもなく、種々の濾材を採用することができる。
【0030】
請求項5に記載した発明のように、複数の上記濾過室を、上記飼育水の回流方向に沿う略円弧状又は上記水槽の中心部に向かう略螺旋状に列状配置して上記濾過槽を構成することができる。
【0031】
本願発明に係る濾過槽は、複数の濾過室を列状に形成して構成される。このため、上記濾過槽を飼育水の回流方向に沿う略円弧状又は略螺旋状に形成することができる。上記形態の濾過槽を水槽中に設置しても、飼育水の回流を阻害することがなく、安定した回流を保持することができる。
【0032】
また、請求項6に記載した発明のように、互いに組み合わされる複数の渦巻き状あるいは螺旋状の濾過槽を設けることができる。
【0033】
たとえば、2つの螺旋状濾過槽を二重螺旋状に組み合わせて配置することにより、小さなスペースに、飼育水を大量に、かつ精度高く処理できる濾過槽を設置することが可能となる。
【0034】
本願の請求項10に記載した発明は、中央部に濾過槽が設置されるとともに、飼育水を満たした水槽と、上記濾過槽の周りに上記飼育水の回流を発生させる回流発生手段と、上記飼育水を殺菌する殺菌手段と、上記飼育水の温度を調節する温度調節手段と、循環ポンプによって上記濾過槽から流出した濾過水を回流する上記飼育水に戻す循環回路とを備えて構成された飼育水槽に係るものである。上記濾過槽は、濾材を充填した複数の濾過室が略水平方向に列状に配置されているとともに、隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部が各濾過室の上部と底部に交互に設けられており、飼育水を上下方向に流動させながら濾過を行うよう構成されている。
【0035】
本願発明では、飼育水槽の容積に比べて濾過槽を小さく設定できるため、上記濾過槽の周囲の飼育水の回流領域を飼育水槽として利用することができる。
【0036】
本願の請求項11に記載した発明は、上記濾過槽の取水口を、回流する上記飼育水の流れに向けて設置するとともに、上記循環回路の取水口を上記飼育水槽の底部に設けたものである。
【0037】
本願の請求項12に記載した発明は、上記殺菌手段としてオゾン発生装置を採用したものである。オゾン発生装置の出力、方式等は特に限定されることはなく、従来の種々の装置を採用できる。
【0038】
本願の請求項13に記載した発明は、上記濾過槽の上部に釣り人を載置できる釣り台を設けたものである。本願発明に係る飼育水槽を釣堀として利用する場合に好適である。
【0039】
また、本願発明では、上記濾過槽を水槽の中央部に設置するため、上記濾過槽の周りの飼育水の回流領域を、回流を損なうことなく金網等によって内外の飼育領域に区分することができる。そして、これら区分した領域おいて異なる種類の魚介類を飼育し、上記釣り台から内側に設けた飼育領域の魚介類を捕獲できるように構成することにより、これまでにない釣堀を提供できる。
【0040】
本願の請求項14に記載した発明は、水槽の中央部に設置した濾過槽の周りに回流させた飼育水を上記濾過槽内に流入させて濾過するとともに、上記濾過槽で濾過された濾過水を上記水槽の底部から上記回流する飼育水に戻しながら濾過を行う飼育水の浄化方法であって、列状に配置されるとともに各々に濾材が充填された複数の濾過室から上記濾過槽を構成するとともに、隣接する濾過室に飼育水を流動させる連通部を各濾過室の上部と底部に交互に設けることにより、飼育水を濾過槽内で上下方向に交互に流動させながら濾過を行うものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0042】
図1に示すように、本実施の形態に係る飼育水浄化装置1は、四方を滑らかな円弧状に形成した平面視略矩形状の水槽2と、上記水槽2の中央部に設置された濾過槽3と、上記濾過槽3で濾過された濾過水を上記水槽2に循環させる循環回路4と、上記循環回路4の途中に設置された飼育水処理装置5とを備えて構成される。
【0043】
本実施の形態では、上記水槽2に海水を満たして海洋性の魚類を飼育するとともに、上記水槽2を釣堀として利用できるように構成している。上記水槽2の側壁内面には、上記処理装置5から吐出される濾過水を水槽側面に沿って噴出させ、上記水槽内に回流を発生させるノズル6を4箇所に設置している。
【0044】
上記濾過槽3は、図1及び図2に示すように、全体として平面視略小判状の形態を備えており、水槽2の中央部に設けた上記循環回路4の取水口7に向かって反時計回り方向に略渦巻き状に形成された二つの濾過槽3a,3bを一体的に組み合わせて構成されている。
【0045】
図2及び図4に示すように、上記各濾過槽3a,3bは、水槽内に生じる回流の向きに対向するように開口されるとともに、飼育魚等が入り込まないように網あるはパンチングボード8で覆われた取水口9と、渦巻状に列状配置された複数の濾過室10a〜10hとを備えて構成される。
【0046】
図5に上記濾過槽3a,3bを飼育水の流れに沿って切断した断面を示す。上記濾過槽3a,3bは、図4に示す略渦巻き状に延びる断面矩形状の水路を仕切板11a〜11iで所定間隔で区切ることにより、上記複数の濾過室10a〜10hが形成されている。また、2つの濾過槽3a,3bが、互いに平面視略小判型に一体的に組み合わさるように設置されている。上記仕切板11a〜11iは、隣接する濾過室と上部と底部において交互に連通する連通部12a〜12gが形成されるように設置されている。
【0047】
上記連通部のうち上部に設けられた連通部12b,12d,12f,12hは、直前の濾過室で濾過された飼育水がオーバーフローすることにより隣の濾過室に流動するように構成されている。一方、下方の連通部12a,12c,12e,12gは、各濾過室の底部を開口することにより形成されている。上部に設けられた上記連通部12b,12d,12f,12hは、飼育水の流れ方向に次第に低くなるように設定されている。これにより、各濾過槽3a,3b内において、飼育水は重力によって濾過室内を上下方向に交互に流動しながら繰り返し濾過される。なお、本実施の形態では、取水口9は、仕切板11aの上縁部を水槽内の飼育水Wの水位より低く設定して構成されており、飼育水Wは上記仕切板11aの上縁部をオーバーフローするようにして濾過槽内に流入させられる。
【0048】
上記各濾過室10a〜10hには、複数種類の濾材が上下方向に積層充填されている。本実施の形態では、各濾過室に、ウール13、サンゴ14、カキ殻15及び透水マット16の各濾材が上下方向に積層充填されている。上記各濾過室において、不純物が物理濾過されるとともに、各濾材に生息するバクテリアによって生物濾過が行われるように構成されている。
【0049】
上記濾過流路の末端部は上記濾過槽の中心部に位置しており、水槽2の中央部に設けた取水側循環回路4aの取水口7に連通している。上記濾過槽3によって濾過された濾過水は、上記取水口7から上記取水側循環管路4aに流入させられる。
【0050】
図6に示すように、上記飼育水処理装置5は、循環回路4の途中に設置されており、上記濾過槽3によって濾過された濾過水を取水口7から取水する取水ポンプ17と、上記濾過水にオゾンを添加して殺菌を行うオゾン発生装置18と、飼育水に水道水を添加して塩分濃度を調節する水道水添加回路19及び添加バルブ20と、濾過水の温度を調節する温度調節装置21と、調整した上記濾過水に圧力を加える加圧ポンプ22とを備えて構成される。
【0051】
本実施の形態では、図3に示すように、水槽2を釣堀として利用するために、上記循環回路4を上記水槽2の周囲の床部あるいは地中に埋め込み状に設置するとともに、上記水槽2から離れた場所に上記飼育水処理装置5が設置されている。
【0052】
上記飼育水処理装置5から吐出される飼育水は、吐出側循環回路4bを介して上記水槽2の内壁に設置した4箇所の噴出ノズル6から噴出せられる。上記噴出ノズル6は、飼育水の水面近傍に設置されており、空気を巻き込みながら濾過水を水槽内に噴出することができるように構成されている。上記噴出ノズル6を設けることにより、上記飼育水の酸素濃度を確保できるばかりでなく、噴射エネルギによって飼育水中の糞等の浮遊物を細分化することができる。このため、上記濾過槽3によって効率よく除去できる。
【0053】
本実施の形態では、上記濾過槽3は、複数の濾過室10a〜10hを水平方向に列状に配置して構成しているため、水槽中央部の小さなスペースにおいて飼育水を多段濾過することができる。また、上記各濾過室10a〜10h内においては、濾過水が重力の作用のみによって隣接する濾過室に流動するように構成されているため、濾過槽3及び各濾材に大きな力が作用することはなく、飼育水を自然の環境に近い状態で濾過することができる。これにより、飼育水を精度高く浄化することができる。
【0054】
しかも、本実施の形態に係る飼育水浄化装置1は、濾過槽3を飼育水槽2の中央部において飼育水に浸漬するように設置し、上記濾過槽3の周囲に回流を発生させるように構成している。このため、水槽2の回流の生じない水槽中央部のデッドスペースを有効に利用することが可能になる。しかも、各濾過室10a〜10h及び二つの濾過槽3a,3bを隙間なく組み合わせて形成しているため、小さなスペースに上記濾過槽3を形成できる。したがって、濾過槽3の大きさを小さく抑えることが可能となり、浄化装置の小型化を図ることができる。
【0055】
また、上記濾過槽3の周囲を回流する飼育水は、上記濾過槽3の周囲に近づくほど回流の流速が遅くなる。このため、飼育水中の浮遊物が上記濾過槽3の周囲に集積される。しかも、上記濾過槽3の取水口9を、上記飼育水の回流の方向に向けて設置しているため、浮遊物等が集積した飼育水を上記濾過槽内に円滑に導くことができる。このため、上記水槽内の飼育水を効率よく濾過することが可能となる。
【0056】
また、上記水槽3の周囲の配管を埋め込み状に設置しているため邪魔になることはなく、上記水槽2を釣堀として利用することができる。
【0057】
図7に、本願発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態は、第1の実施の形態における上記濾過槽3の上部に釣り台30を設置するとともに、上記水槽2内の回流領域を区分して、異なる魚介類を飼育できるように構成したものである。実施の形態では、上記濾過槽3の上部に略長方形状の釣り台30を設置するとともに、上記釣り台30の両側をネット31で仕切って上記釣り台30に面する半円形の飼育領域32,32を設置している。
【0058】
たとえば、鯛や鰺は流動する回流の中で飼育することにより、身が締まるとともに運動不足に陥ることがなく、また食欲も旺盛になって長期間飼育することが可能になる。一方、海老類等は海底の岩陰等に生息しており、回流の速度が小さい場所で飼育するのが好適である。また、これらの生物を同一の飼育領域で飼育すると一方の生物が他方の生物の餌になることもある。したがって、水槽2をネット等で2以上の領域に分割することにより、共存できない魚介類を一つの水槽内で飼育することができる。
【0059】
しかも、水槽の中央部に設置した上記濾過槽3を利用して釣り台30を設置することにより、周囲の回遊性のある魚類を専ら目的とする外周部の釣り位置と、内周の飼育領域32で飼育する上記海老等を目的とする釣り位置とを一つの水槽に設置することが可能となる。このため、これまでにない釣堀を提供することも可能となる。なお、上記釣り台30には、図示しない橋等を介して渡ることができるように構成するのが望ましい。
【0060】
図8に、本願発明の第3の実施の形態に係る浄化装置301の水槽302示す。この実施の形態に係る水槽302は、平面視略円形に形成されているとともに、上記水槽302の中央部に平面視略円形の濾過槽303が設置されている。
【0061】
上記濾過槽303内には、複数の濾過室310a〜310gが螺旋状に列状配置されている。また、上記濾過槽303の取水口309は、第1の実施の形態と同様の噴射ノズル306によって発生する回流の方向に向かうように設定されており、上記第1の実施の形態と同様に、飼育水を効率よく濾過することが可能となる。
【0062】
図9に、本願発明の第4の実施の形態に係る浄化装置401を示す。この実施の形態は、環状に形成された水槽402を採用して、上記水槽402に沿う回流を発生させるように構成している。
【0063】
上記環状水槽402の内側部には、二つの濾過槽403a、403bと、循環回路404と、飼育水処理装置405とが設置されている。上記濾過槽403a、403bは、回流が大きく流れ方向を変更する部分の内側に配置されており、水槽402の内壁部に、上記回流の方向に向かう取水口409a,409bが設けられている。上記各濾過槽403a、403bの構成は、第3の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0064】
上記水槽402における流れ方向が大きく変更する部分の内側は、回流の速度が低下する部分であり、飼育水の不純物や浮遊物が集積する部分である。したがって、上記濾過槽403a,403bの取水口409a,409bを設けることにより、飼育水を効率よく浄化することができる。
【0065】
図10に本願発明の第5の実施の形態を示す。
【0066】
この実施の形態は、濾過槽503の取水口509を水槽502の底部に設けるとともに、飼育水を最初に濾過する第1の濾過室510aに、主としてゴミ等の浮遊物を除去できるフィルター517を充填して構成したものである。なお、他の構成は第1の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
【0067】
上記水槽内で飼育する生物の種類によっては、回流の速度を小さく設定する必要のある場合がある。このような場合、糞等が大きな形態のまま浮遊していることが多く、上記濾過槽503の周囲の底部に集積しやすくなる。したがって、濾過槽503の取水口509を水槽502の底部に設けることにより、上記浮遊物等を効率よく濾過することができる。
【0068】
また、上記第1の濾過室510aにゴミ取り性能の優れたフィルター517を充填することにより、他の濾過室510b,510c……の濾材の寿命を延ばすことができる。なお、上記取水口509を設ける位置、大きさ等は、飼育する生物の種類、濾過槽の大きさ等に応じて設定すればよい。たとえば、上記取水口を水槽502の深さ方向全長に設けることもできる。
【0069】
本願発明は上述の実施の形態に限定されることはない。実施の形態では、略渦巻き状あるいは螺旋状の水路を仕切板で区切ることにより、複数の濾過室を備える濾過室を形成したが、個別に形成した各濾過室の底部と上部とを、パイプ状の連通部で交互に連通させて濾過槽を構成することもできる。
【0070】
また、実施の形態では、殺菌装置としてオゾン発生装置を採用したが、他の殺菌装置を採用することもできる。
【0071】
さらに、各濾過室に充填した濾材の種類も限定されることはなく、一つの濾過室に同一の濾材を充填することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本願発明に係る浄化装置の第1の実施の形態の概要を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す浄化装置の平面図である。
【図3】図2における IIIーIII 線に沿う断面図である。
【図4】濾過槽の内部の平面図である。
【図5】飼育水の流れに沿う濾過槽の断面を示す断面図である。
【図6】図1に示す浄化装置の装置構成を示す図である。
【図7】本願発明の第2の実施の形態を示す平面図である。
【図8】本願発明の第3の実施の形態を示す平面図である。
【図9】本願発明の第4の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本願発明の第5の実施の形態を示す図であり、図5に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 浄化装置
2 水槽
3 濾過槽
4 循環回路
6 ノズル(回流発生手段)
17 循環ポンプ(取水ポンプ)
18 殺菌手段(オゾン発生装置)
21 水温調節手段
22 循環ポンプ(加圧ポンプ)
【出願人】 【識別番号】503204163
【氏名又は名称】鈴木 正幸
【出願日】 平成15年8月28日(2003.8.28)
【代理人】 【識別番号】100101605
【弁理士】
【氏名又は名称】盛田 昌宏

【公開番号】 特開2005−73512(P2005−73512A)
【公開日】 平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願番号】 特願2003−304298(P2003−304298)