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【発明の名称】 養魚用餌料生物の培養システム
【発明者】 【氏名】指輪 和明
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内

【氏名】伊勢村 浩司
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内

【氏名】山本 浩
【住所又は居所】大阪市北区茶屋町1番32号 ヤンマー株式会社内

【要約】 【課題】植え継ぎ培養法の不具合及び連続培養法の不具合を共に解消し、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じた最適な培養動作を行わせることが可能な養魚用餌料生物の培養システムを提供する。

【解決手段】培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を兼ね備えた4つの複合機能槽11〜14をマトリックス接続して槽ユニット1を構成する。各複合機能槽11〜14同士を接続する配管1a〜1fに電動弁を備えさせ、これら電動弁の開閉を切り換えることによって各槽同士の接続状態を任意に切り換え可能にする。繁殖力の高いワムシを培養する場合には、培養槽として機能する複合機能槽を1つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を3つとしてシステムを構築する。繁殖力の低いワムシを培養する場合には、培養槽として機能する複合機能槽を3つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を1つとしてシステムを構築する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養魚用餌料生物を培養するシステムであって、
培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を兼ね備えた3個以上の複合機能槽が互いに配管接続されており、これら配管による各複合機能槽同士の連通状態を切り換えることによって、培養槽として機能する複合機能槽の数と収穫槽として機能する複合機能槽の数とを任意に切り換え可能に構成されており、
上記培養槽として機能する複合機能槽に培養液を導入しつつ、この複合機能槽から排出された養魚用餌料生物を含む培養液を、収穫槽として機能する複合機能槽に収穫していくよう構成されていることを特徴とする養魚用餌料生物の培養システム。
【請求項2】
養魚用餌料生物を培養するシステムであって、
培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を兼ね備えた4個以上の複合機能槽が互いに配管接続されており、これら配管による各複合機能槽同士の連通状態を切り換えることによって、培養槽として機能する複合機能槽の数よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を多くする第1の複合機能槽使用形態と、培養槽として機能する複合機能槽の数よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を少なくする第2の複合機能槽使用形態とを任意に切り換え可能に構成されており、
上記培養槽として機能する複合機能槽に培養液を導入しつつ、この複合機能槽から排出された養魚用餌料生物を含む培養液を、収穫槽として機能する複合機能槽に収穫していくよう構成されていることを特徴とする養魚用餌料生物の培養システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の養魚用餌料生物の培養システムにおいて、
各複合機能槽同士を互いに接続する配管には開閉弁が備えられており、これら開閉弁の開閉を切り換えることによって各複合機能槽同士の連通状態を切り換え可能に構成されていることを特徴とする養魚用餌料生物の培養システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の養魚用餌料生物の培養システムにおいて、
収穫槽として機能する複合機能槽の数が複数に設定された場合に、これら収穫槽として機能する複合機能槽内に養魚用餌料生物への給餌を行う給餌装置が備えられていることを特徴とする養魚用餌料生物の培養システム。
【請求項5】
請求項1〜4のうち何れか一つに記載の養魚用餌料生物の培養システムにおいて、
培養液は海水と上水との混合水であって、
培養槽として機能する複合機能槽へ混合水を供給する給水装置を備えており、この給水装置は、混合水槽を備えていて、この混合水槽に対する所定量の海水の給水動作と、所定量の上水の給水動作とを個別に行うことにより、海水と上水との混合比率を任意に設定可能に構成されていることを特徴とする養魚用餌料生物の培養システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワムシや浮遊珪藻類等の養魚用餌料生物を培養するシステムに関する。特に、本発明は、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じた最適な培養動作を行わせることが可能な培養システムを構築するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水産業の種苗生産における魚類及び甲殻類等の初期餌料として、ワムシや浮遊珪藻類等の養魚用餌料生物が一般的に用いられている。このような種苗生産を行うためには養魚用餌料生物を安定的に入手することが不可欠であり、これらの養魚用餌料生物を安定的に大量に培養する技術がこれまでに提案されている。例えば下記の特許文献1には、所謂植え継ぎ培養法を利用するシステムを自動化することによって、作業者の負担を軽減しながらも安定した養魚用餌料生物の培養を可能にする技術が開示されている。
【0003】
−植え継ぎ培養法−
上記植え継ぎ培養法とは、養魚用餌料生物を培養している複数の植え継ぎ培養槽を互いに直列に接続しておき、所定の培養期間(例えば3日間)に達した植え継ぎ培養槽から大部分(例えば70%程度)の養魚用餌料生物を魚類等の餌料として魚類飼育水槽に供給する。具体的には、植え継ぎ培養槽から取り出した養魚用餌料生物に対し、濃縮、洗浄、栄養強化等の処理を行った後に魚類飼育水槽に供給する。一方、上記植え継ぎ培養槽の残りの養魚用餌料生物(例えば30%程度の養魚用餌料生物)は他の植え継ぎ培養槽(以前に所定の培養期間に達して空になった植え継ぎ培養槽)に移される。この動作を、何れか1つの植え継ぎ培養槽が所定の培養期間に達する度に繰り返していく。
【0004】
−連続培養法−
また、養魚用餌料生物の培養方法として連続培養法も知られている。この連続培養法とは、1つの連続培養槽において養魚用餌料生物を培養するものであって、この連続培養槽に対して連続的に海水を供給する。そして、この連続培養槽からオーバフローした海水(養魚用餌料生物を含んだ海水)を収穫槽に貯留していき、この収穫槽内の貯留量が所定量に達した時点で、この収穫槽から全ての養魚用餌料生物を海水と共に取り出し、所定の処理(上記濃縮、洗浄、栄養強化等の処理)を行った後に魚類飼育水槽に供給する。
【特許文献1】特開2000−23594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した如く、これまでの養魚用餌料生物の培養方法として代表的には植え継ぎ培養法や連続培養法が知られているが、これら培養法は以下に述べる不具合があり、これら不具合を解消できる培養システムは未だ構築されていない。
【0006】
−植え継ぎ培養法の不具合−
(A−1) 植え継ぎ培養法では、植え継ぎ培養槽での培養期間を一定(例えば3日間)に設定しておくことにより、ある一つの植え継ぎ培養槽が所定の培養期間に達した時点では、他の一つの植え継ぎ培養槽が空になっているといったサイクルを作り出し、各植え継ぎ培養槽に順に養魚用餌料生物を供給する(以下、この動作を植え継ぎ動作と呼ぶ)ことによってシステムの運転が継続できるようにしている。
【0007】
このため、環境の変化、例えば1つの植え継ぎ培養槽内の水温が上昇したり、養魚用餌料生物の餌料となるクロレラを1つの植え継ぎ培養槽内に多量に供給してしまったりして、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に高くなり槽内での養魚用餌料生物の密度が急上昇した場合であっても、その植え継ぎ培養槽の培養期間が所定期間に達するまでは養魚用餌料生物を培養し続けねばならない。つまり、その植え継ぎ培養槽内では養魚用餌料生物を過密度の状態のままで培養せねばならないことになる。このような状況が長時間に亘ってしまうと、養魚用餌料生物の糞(代謝物)や死骸といった多量のフロックが槽内に堆積してしまって槽内環境を悪化させてしまう。その結果、養魚用餌料生物の生存率が悪化したり、培養ピークを越えた(生きの悪い)養魚用餌料生物が多量に収穫されてしまうといった問題が発生する。
(A−2) 逆に、環境の変化によって、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に低くなって、所定の培養期間に達しても植え継ぎ培養槽内での養魚用餌料生物の密度が十分に得られていない場合であっても、上記サイクルを継続するために養魚用餌料生物の収穫及び植え継ぎ動作が行われてしまう。このため、この動作を繰り返すと、植え継ぎ培養槽内の希釈が進み、養魚用餌料生物の密度が極端に低くなってしまって培養動作を継続することができなくなってしまう可能性がある。
(A−3) 養魚用餌料生物は、その種類によって繁殖力や寿命が大きく異なる。例えばワムシの種類としては、L型及びS型があり、それぞれの型においても生息地域毎に株種があり、それぞれ繁殖力や寿命が異なっている。このため、養魚用餌料生物を培養する上で最適となる培養期間がその種類によって異なる。例えば、ある種類の(例えば繁殖力の高い)養魚用餌料生物は2日間の培養が最適であり、他の種類の(例えば繁殖力の低い)養魚用餌料生物は3日間の培養が最適であるといった現状がある。このため、前者の養魚用餌料生物を植え継ぎ培養法で培養する場合と、後者の養魚用餌料生物を植え継ぎ培養法で培養する場合とでは、使用する植え継ぎ培養槽の個数が異なることになる。これまでの植え継ぎ培養システムでは、使用する植え継ぎ培養槽の個数を変化させることを前提とするものはなく、つまり、植え継ぎ培養システムに備えられている植え継ぎ培養槽の個数によって、培養可能な養魚用餌料生物の種類も限定されたものになってしまっていた。つまり、3個の植え継ぎ培養槽を備えた植え継ぎ培養システムにあっては2日間培養の養魚用餌料生物しか培養ができず、4個の植え継ぎ培養槽を備えた植え継ぎ培養システムにあっては3日間培養の養魚用餌料生物しか培養ができなかった。つまり、1つの培養システムで多種類の養魚用餌料生物に対応することはできなかった。
(A−4) 植え継ぎ培養法では、複数の植え継ぎ培養槽を互いに直列に接続しているため、何れか一つの植え継ぎ培養槽に有毒な物質が混入してしまうと、植え継ぎ動作に伴って、その有毒物質が全ての継ぎ培養槽に混入してしまうことになり、システム内の養魚用餌料生物が全滅してしまう虞があった。また、複数の植え継ぎ培養槽のうち1つでも故障している場合には、植え継ぎ動作を連続的に行わせることが不可能になり、この故障した植え継ぎ培養槽を補修している間に、他の植え継ぎ培養槽では培養期間が長期化してしまって、槽内環境を悪化させてしまうことになり、この場合にも、結果的にシステム内の養魚用餌料生物を全滅させてしまう可能性がある。これを回避するために、複数の植え継ぎ培養槽を互いに直列に接続して成る植え継ぎ系統をそれぞれ独立して複数系統備えさせ、各系統間では植え継ぎ動作を行わないようにすることが考えられる。つまり、一つの系統で養魚用餌料生物が全滅しても他の系統では養魚用餌料生物を生存させることができるようにするものである。しかしこれでは、植え継ぎ系統を2系統にするだけでも、必要な植え継ぎ培養槽の数は従来の2倍(例えば8個必要)になってしまい、多数の植え継ぎ培養槽が必要になるため、システム構成の複雑化、制御動作の煩雑化、建設費の高騰を招いてしまい好ましくない。
【0008】
−連続培養法の不具合−
(B−1) 連続培養法において、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に高くなって連続培養槽内での養魚用餌料生物の密度が急上昇した場合の対策としては、連続培養槽内への海水の供給量を増加させて密度の適正化を図ることが考えられる。しかし、この場合、収穫槽に対しても単位時間当たりに多量の海水(養魚用餌料生物を含んだ海水)が供給されることになる。一般に、この収穫槽の容量は、培養システムの能力に応じて予め設定されている。例えば1日に10トンの海水を収穫するシステムにあっては、この収穫槽の容量も10トンの海水が貯留できる程度に設定されている。従って、上述した如く養魚用餌料生物の密度の適正化を図るために連続培養槽内への海水の供給量を増加させた場合には、収穫槽の容量が不足してしまい、場合によっては収穫槽から海水が溢れ出してしまうこともある。これを回避するために、収穫槽を予め大型に設計しておくことが考えられるが、これではシステムの大型化や建設費の高騰を招いてしまうため好ましくない。
(B−2) また、連続培養法は、連続培養槽を一つしか備えていないために、その連続培養槽に有毒な物質が混入してしまうと、直ちに養魚用餌料生物が全滅してしまう虞があった。また、収穫槽も一つしか備えていないため、連続培養槽または収穫槽の何れか一方でも故障してしまうと、システム運転が不可能になる。例えば、連続培養槽が故障した場合には、槽内の海水を全て抜き取って補修せねばならないため、養魚用餌料生物を全滅させてしまう可能性がある。一方、収穫槽が故障した場合には、連続培養槽に海水を供給することができないので、槽内での培養期間が長期化してしまって、槽内環境を悪化させてしまうことになり、フロックの大量発生に伴って、結果的にシステム内の養魚用餌料生物を全滅させてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上述した植え継ぎ培養法の不具合及び連続培養法の不具合を共に解消し、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じた最適な培養動作を行わせることが可能な養魚用餌料生物の培養システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決手段は、複数の槽によって培養システムを構成すると共に、培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を各槽に兼ね備えさせる。そして、これら槽の接続状態を任意に切り換え可能に構成しておき、培養槽として機能する槽の個数、収穫槽として機能する槽の個数、それらの接続関係を、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じて任意に設定できるようにしている。
【0011】
−解決手段−
具体的に、本発明は、養魚用餌料生物を培養するシステムを前提とする。この培養システムに対し、培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を兼ね備えた3個以上の複合機能槽を互いに配管接続し、これら配管による各複合機能槽同士の連通状態を切り換えることによって、培養槽として機能する複合機能槽の数と収穫槽として機能する複合機能槽の数とを任意に切り換え可能に構成する。そして、上記培養槽として機能する複合機能槽に培養液を導入しつつ、この複合機能槽から排出された養魚用餌料生物を含む培養液を、収穫槽として機能する複合機能槽に収穫していく構成としている。
【0012】
また、上記の目的を達成するための他の解決手段としては以下の構成が掲げられる。先ず、養魚用餌料生物を培養するシステムを前提とする。この培養システムに対し、培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を兼ね備えた4個以上の複合機能槽を互いに配管接続し、これら配管による各複合機能槽同士の連通状態を切り換えることによって、培養槽として機能する複合機能槽の数よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を多くする第1の複合機能槽使用形態と、培養槽として機能する複合機能槽の数よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を少なくする第2の複合機能槽使用形態とを任意に切り換え可能に構成する。そして、上記培養槽として機能する複合機能槽に培養液を導入しつつ、この複合機能槽から排出された養魚用餌料生物を含む培養液を、収穫槽として機能する複合機能槽に収穫していく構成としている。
【0013】
ここで言う「培養槽としての機能」を備えるための構成としては、培養液の導入が可能に構成されていること、養魚用餌料生物に餌料(例えばクロレラ等)が供給可能に構成されていること、培養に必要な空気や酸素の導入が可能に構成されていること、培養液の温度管理が可能な構成となっていること、他の槽(収穫槽)に対して養魚用餌料生物を培養液と共に排出可能な構成となっていることなどが掲げられる。一方、「収穫槽としての機能」を備えるための構成としては、他の槽(培養槽)から養魚用餌料生物を培養液と共に導入可能な構成となっていること、収穫した養魚用餌料生物を生存させるために必要な空気や酸素の導入が可能に構成されていることまた培養液の温度管理が可能な構成となっていること、収穫量が所定量に達した後、養魚用餌料生物を培養液と共に後工程(濃縮、洗浄、栄養強化等の工程)に排出可能な構成となっていることなどが掲げられる。
【0014】
以上の特定事項により、本解決手段によれば、培養槽の個数(培養槽として機能する槽の個数)、収穫槽の個数(収穫槽として機能する槽の個数)、それらの接続関係を、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じて任意に設定可能になる。言い換えると、システム全体としての培養槽の容量と収穫槽の容量とを任意に設定することができる。本システムの使用形態としては、上述した第1の複合機能槽使用形態(培養槽として機能する複合機能槽の数よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を多くする形態)、第2の複合機能槽使用形態(培養槽として機能する複合機能槽の数よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を少なくする形態)、その他、第3の複合機能槽使用形態として、培養槽として機能する複合機能槽の数と収穫槽として機能する複合機能槽の数を一致させる形態を適用することが可能である。
【0015】
上記第1の複合機能槽使用形態は、例えば、養魚用餌料生物の繁殖速度が高くなる環境条件である場合や繁殖力の高い養魚用餌料生物を培養する場合などに使用することになる。つまり、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に高くなり培養槽内での養魚用餌料生物の密度が急上昇し、その密度の適正化を図るべく培養液の供給量を多く設定した場合であっても、収穫槽の数を多くしてその全体としての容量を大きく確保しておくことにより、収穫槽から混合水が溢れ出してしまうといった状況を回避することができる。
【0016】
また、上記第2の複合機能槽使用形態は、例えば、養魚用餌料生物の繁殖速度が低くなる環境条件である場合や繁殖力の低い養魚用餌料生物を培養する場合などに使用することになる。つまり、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に低くなり、培養槽内での養魚用餌料生物の密度を維持するためには供給水量を低く抑えねばならない状況であっても、この培養槽の個数を多くすることで収穫量を高く維持することが可能になり、システムの生産性を高く維持することができる。
【0017】
また、本解決手段によれば、上記第3の複合機能槽使用形態(培養槽として機能する複合機能槽の数と収穫槽として機能する複合機能槽の数を一致させる形態)で培養・収穫動作を行っている場合に、複合機能槽の故障や有毒物質の混入があった場合にも迅速に対応できる。つまり、例えば収穫槽として使用している一つの複合機能槽が故障した場合にはその槽を収穫槽として使用することができなくなる。このような状況では、それまで、この収穫槽(収穫槽として機能していた複合機能槽)に連通していた培養槽(培養槽として機能している複合機能槽)を他の複合機能槽(収穫槽として機能している複合機能槽または、それまで機能していなかった複合機能槽)に連通させる。これにより、一つの収穫槽が故障した後であっても培養槽での培養動作及びその収穫動作を継続して行うことが可能になる。従来では、このような故障が発生した場合、故障した槽を補修している間に、培養槽での培養期間が長期化してしまって、槽内環境を悪化させてしまい、養魚用餌料生物を全滅させてしまう可能性があった。本解決手段によれば、故障した槽を他の槽で迅速に代用することが可能であり、収穫効率の維持を図ることができる。尚、この動作は、収穫槽として使用していた複合機能槽に有毒な物質が混入してしまった場合にも同様に適用できる。更には、培養槽として使用していた複合機能槽に故障が発生したり有毒物質が混入した場合についても対応可能である。
【0018】
配管による各複合機能槽同士の連通状態を切り換える構成として具体的には以下のものが掲げられる。つまり、各複合機能槽同士を互いに接続する配管に開閉弁を備えさせ、これら開閉弁の開閉を切り換えることによって各複合機能槽同士の連通状態を切り換え可能な構成としている。
【0019】
この特定事項によれば、開閉弁の切り換え動作のみで、各複合機能槽同士の連通状態が切り換わり、上記各複合機能槽使用形態の切り換え動作の自動化を容易に実現することができる。例えば、養魚用餌料生物の種類や環境条件(温度等)をシステムの制御系に入力することで、これら条件に最適な各槽の数(培養槽の数と収穫槽の数)や各槽の連通状態を自動的に設定することが可能になり、作業者の作業負担の軽減を図ることができる。
【0020】
また、本発明は収穫槽として機能している複合機能槽内においても養魚用餌料生物の培養を促進できるようにしている。つまり、収穫槽として機能する複合機能槽の数が複数に設定された場合に、これら収穫槽として機能する複合機能槽内に養魚用餌料生物への給餌を行う給餌装置を備えさせている。例えば、培養槽を1つとし、収穫槽を2つとして培養・収穫動作を行っている場合には、培養槽から排出される養魚用餌料生物を各収穫槽へ2分割することになるので、各収穫槽では養魚用餌料生物の密度が十分に得られず収穫量不足を招く可能性がある。これを回避するべく、本解決手段では、給餌装置によって収穫槽内に給餌を行い、この収穫槽内での養魚用餌料生物の繁殖を促進させ、個々の収穫槽での養魚用餌料生物の密度を十分に得て必要収穫量を確保できるようにしている。
【0021】
また、培養槽として機能する複合機能槽へ供給する培養液を生成するための構成としては以下のものが掲げられる。つまり、培養液を海水と上水との混合水とし、培養槽として機能する複合機能槽へ混合水を供給する給水装置を備えさせ、この給水装置に混合水槽を備えさせる。そして、この混合水槽に対する所定量の海水の給水動作と、所定量の上水の給水動作とを個別に行うことにより、海水と上水との混合比率が任意に設定可能な構成としている。
【0022】
このように、海水供給動作と上水供給動作とを個別に行い、各動作の水位を管理することで所望の濃度(塩分濃度)の混合水(培養液)を得ることができ、簡単な構成及び混合動作で正確に所望の濃度の混合水を得ることができ、養魚用餌料生物の培養に適した混合水の生成が簡易になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、複数の槽によって培養システムを構成すると共に、培養槽としての機能及び収穫槽としての機能を各槽に兼ね備えさせる。そして、これら槽の接続状態を任意に切り換え可能に構成しておき、培養槽として機能する槽の個数、収穫槽として機能する槽の個数、それらの接続関係を、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じて任意に設定できるようにしている。つまり、培養槽の個数と収穫槽の個数とを、1対1、複数対1、1対複数、複数対複数といったように任意の組み合わせを可能にしている。このため、培養槽の個数(培養槽として機能する槽の個数)、収穫槽の個数(収穫槽として機能する槽の個数)、それらの接続関係を、養魚用餌料生物の種類や環境条件の変化等に応じて設定可能になり、従来の植え継ぎ培養法や連続培養法では実現できなかった培養法を実現することができ、従来の培養法の不具合を解消可能となる新たな培養システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、養魚用餌料生物としてのワムシを培養するシステムに本発明を適用した場合について説明する。
【0025】
図1は、本形態に係る培養システムの配管系統図である。図2は、1つの複合機能槽11の内部構成を示す概略図であり、図3は、1つの濃縮洗浄槽2の内部構成を示す概略図であり、図4は、1つの栄養強化槽3の内部構成を示す概略図である。
【0026】
図1に示すように、本培養システムは、4個の槽11,12,13,14(本発明でいう複合機能槽)で成る槽ユニット1、2個の濃縮洗浄槽2,2、2個の栄養強化槽3,3、回収器4、4個の魚類飼育水槽5,5,…、混合水槽6、洗浄水槽7を備えている。また、海水供給系統A、上水供給系統B、圧縮空気供給系統C、濃縮酸素供給系Dを備えている。以下、各部について説明する。
【0027】
−ワムシ移送回路系−
上記槽ユニット1は、本システムの特徴とする部分であって、第1〜第4の4個の複合機能槽11〜14が互いに配管接続されて構成されている。
【0028】
この配管接続構造として具体的には、第1複合機能槽11と第2複合機能槽12とを接続する1−2配管1a、第3複合機能槽13と第4複合機能槽14とを接続する3−4配管1b、第1複合機能槽11と第3複合機能槽13とを接続する1−3配管1c、第2複合機能槽12と第4複合機能槽14とを接続する2−4配管1d、第1複合機能槽11と第4複合機能槽14とを接続する1−4配管1e、第2複合機能槽12と第3複合機能槽13とを接続する2−3配管1fを備えている。つまり、各複合機能槽11,12,13,14がマトリックス接続されて槽ユニット1が構成されている。また、各配管1a〜1fにはそれぞれ2個の開閉弁としての電動弁が備えられており、これら電動弁の開閉状態を切り換えることによって、任意の複合機能槽同士を連通させることができるようになっている。
【0029】
例えば、1−2配管1a及び3−4配管1bにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放すれば、第1複合機能槽11と第2複合機能槽12とが連通すると共に、第3複合機能槽13と第4複合機能槽14とが連通することになる。また、1−2配管1a、1−3配管1c、1−4配管1eにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放すれば、第1複合機能槽11に対して、第2複合機能槽12、第3複合機能槽13、第4複合機能槽14が連通することになる。つまり、一つの複合機能槽11に対して3つの複合機能槽12,13,14が連通することになる。
【0030】
尚、同一配管上に備えられた電動弁のうち一方は二方弁であり他方は三方弁である。この三方弁の一つの開口はドレン管が接続されている。
【0031】
また、各複合機能槽11,12,13,14の内部には、この槽内を2つの空間に仕切る仕切部材15が設けられており、この仕切部材15によって複合機能槽の内部は、槽内空間の大部分を占めるメイン空間1Aと小空間で成るオーバフロー空間1Bとに仕切られている。上記各配管1a〜1fは、この仕切部材15によって仕切られたオーバフロー空間1Bに連通している。
【0032】
また、図2にも示すように、各複合機能槽11〜14には、クロレラ貯留槽8が隣接して設置されており、このクロレラ貯留槽8内のクロレラがクロレラ給餌ポンプ81によってクロレラ給餌管82を通じて複合機能槽11〜14内に給餌されるようになっている。これらクロレラ貯留槽8、クロレラ給餌ポンプ81及びクロレラ給餌管82によって本発明知でいう給餌装置が構成されている。
【0033】
更に、複合機能槽11〜14内には温度センサ17及びヒータ18が設けられており、複合機能槽11〜14内の培養液(海水と上水との混合水)の温度を、培養に適した温度で一定に保持するように構成している。更に、複合機能槽11〜14の上部には超音波水位計19が設けられており、これによって複合機能槽11〜14内の培養液の水位を検出できるようになっている。
【0034】
また、各複合機能槽11〜14には養魚用餌料生物(ワムシ)の密度を計測する図示しない密度計測装置が配設されている。本システムには、システム全体を統括的に制御するための制御盤10が備えられており、この制御盤10には演算装置が具備されている。この演算装置により、上記超音波水位計19で検出した水位から槽内水量を算定し、上記密度計測装置、又は、顕微鏡で計測した培養液の密度で乗することにより、複合機能槽11〜14内に貯留されている培養餌料生物の固体数を算出できる構成となっている。尚、槽内水量を算出するための手段として、槽内底部に圧力計を取り付けてもよい。
【0035】
そして、算出されたワムシ量のデータに基づいて、ワムシの餌料となるクロレラ(必要に応じてパン酵母が併用される)の複合機能槽11〜14内への供給量を決定したり、複合機能槽11〜14内のワムシを濃縮洗浄水槽2へ移送する際の培養液の移送タイミングを決定したりして、これらの作業を自動実行するように構成している。
【0036】
尚、培養状況や給餌条件等に応じて、圧縮空気供給系Cから複合機能槽11〜14内への圧縮空気の供給動作、濃縮酸素供給系Dから複合機能槽11〜14内への濃縮酸素の供給動作、培養液の液温を調整する各ヒータのON/OFF動作、海水供給系Aから複合機能槽11〜14への加温海水の供給動作、上水供給系Bから複合機能槽11〜14への加温上水の供給動作、洗浄水槽7へ洗浄用水を供給する洗浄用水供給動作、及び、複合機能槽11〜14内に貯留された水の排水タイミング等の各種制御動作が適宜作動するよう制御盤10により自動制御される。また、この複合機能槽11〜14における培養工程の自動制御は、栄養強化槽3等の各水槽においても同様に適用することができる。
【0037】
従来の培養工程においては、作業者自らが、各槽の水位を目視にて確認して培養液の容積を算出し、培養液密度の計測結果に基づいて槽内のワムシ量を試算していたため、これらの算出や試算に長時間を要し、算出データに誤差が発生することも多かった。従って、クロレラの槽内への供給量やワムシの濃縮洗浄槽への移送量を適切に決定することが困難であった。また、このように算出・決定した培養状況等に基づいて、培養液の水温調節や槽への給水や槽の洗浄等の作業を作業者自身が行っていたので、これらの周辺機器を誤操作する恐れがあった。
【0038】
本実施形態に係るシステムでは、クロレラの複合機能槽11〜14内への供給量やワムシの濃縮洗浄槽2への移送タイミングを適切に決定することができ、また、複合機能槽11〜14内のワムシ量の算出や、クロレラの供給量及びワムシの移送タイミングの決定を行う際に生じる、作業の待ち時間を大幅に短縮することが可能となる。また、培養状況等に基づいて行う、培養液の水温調節や複合機能槽11〜14への給水や複合機能槽11〜14の洗浄等の作業は制御盤10により自動制御されているので、人手がかからず、且つ、ばらつきが少なくて誤操作なく正確に実行することができる。例えば、従来の作業者自らが算出・決定を行うとともに、周辺機器の操作を行っていた場合に要していた待ち時間や作業時間は、計数作業を除いて五時間程度であったのが、本例のように自動化した場合には待ち時間及び作業時間を殆どゼロとすることが可能となる。
【0039】
一方、各複合機能槽11,12,13,14の底部には収穫管1g,1h,1i,1jがそれぞれ接続されている。この収穫管1g〜1jは、槽内空間のメイン空間1Aに連通している。また、各収穫管1g〜1jには二方弁で成る電動弁が設けられており、この電動弁を開放することによって、その複合機能槽11〜14から培養液と共にワムシを回収できるようになっている。
【0040】
そして、図1に示すように、上記各収穫管1g〜1jの下流端は1本の合流管16に接続されており、この合流管16がワムシ移送ポンプP1及び第1供給管21を介して各濃縮洗浄槽2,2に接続されている。合流管16及び第1供給管21の下流側の各分岐管には電動弁がそれぞれ設けられており、これら各電動弁が開放され且つワムシ移送ポンプP1が駆動することにより、何れかの収穫管1g〜1j、合流管16、第1供給管21を経たワムシが培養液と共に各濃縮洗浄槽2,2に供給されるようになっている。
【0041】
上記合流管16と各栄養強化槽3,3とは第2供給管31により接続されている。第2供給管31及びその下流側の各分岐管には電動弁がそれぞれ設けられており、上記第1供給管21の各電動弁及び第2供給管31の各電動弁が開放され且つワムシ移送ポンプP1が逆回転駆動することにより、各濃縮洗浄槽2,2で濃縮洗浄されたワムシが第1供給管21及び第2供給管31を経て各栄養強化槽3,3に供給されるようになっている。
【0042】
各栄養強化槽3,3と回収器4とはワムシ給餌ポンプP2を備えた第3供給管41により接続されている。第3供給管41の上流側の各分岐管には電動弁が設けられており、この第3供給管41の各電動弁が開放され且つワムシ給餌ポンプP2が駆動することにより、各栄養強化槽3,3で栄養強化されたワムシが回収器4に回収されるようになっている。
【0043】
そして、回収器4に回収されたワムシは、作業者の手作業等によって給餌容器42に一旦移された後、各魚類飼育水槽5,5,…に供給され、このワムシが養魚用餌料として提供される。
【0044】
このように、槽ユニット1の特定の複合機能槽から培養液と共に抜き取られたワムシが(この槽ユニット1におけるワムシの培養動作及び収穫動作については後述する)、濃縮洗浄槽2,2内で濃縮及び洗浄され、栄養強化水槽3,3において濃縮クロレラや栄養が与えられて栄養強化(更なる培養)された後、回収器4及び給餌容器42を経て各魚類飼育水槽5,5,…内の魚類へ給餌されるようになっている。
【0045】
上記濃縮洗浄槽2について以下に詳述する。図3に示すように、濃縮洗浄槽2の内部には、養魚用餌料生物であるワムシは通過せず培養液(海水と上水との混合水)や汚物等は通過可能に構成した濃縮ネット22を配設して二重構造としており、この濃縮ネット22内へ、複合機能槽11〜14で培養されたワムシが培養液とともに第1供給管21を通じて供給されると、同時に濃縮ネット22内のワムシを洗浄するための、精密濾過を行った混合水が混合水供給管63から供給され、上水供給系Bの上水供給配管B2から上水が供給される。濃縮ネット22内へワムシ、混合水及び上水が供給されると、濃縮ネット22に備えられた図示しない揺動機構によって濃縮ネット22の揺動動作が行われる。これにより、濃縮ネット22内に供給された培養液等は濃縮ネット22を通過して、濃縮洗浄槽2のオーバフロー管23から外部へ流出する。一方、ワムシは濃縮ネット22を通過しないので、濃縮ネット22内にとどまり貯留されていき、濃縮ネット22内での密度が上昇して濃縮される。また、濃縮ネット22内に供給された培養液等が外部へ流出していく過程で濃縮ネット22に貯留されているワムシが洗浄される。更に、濃縮ネット22が揺動されることによりワムシの洗浄効果が向上されている。また、濃縮・洗浄作業中に、濃縮ネット22内へ混合水や上水を供給することにより、これらに溶存している酸素や大気中の空気が培養液中に供給されることとなるので、濃縮ネット22内のワムシが濃縮されて高密度になっても培養液が酸素不足に陥ることはない。
【0046】
このように、濃縮洗浄槽2においてはワムシの濃縮・洗浄作業を行っているが、濃縮ネット22内のワムシが濃縮ネット22の目に詰まって培養液等が濃縮ネット22を通過しなくなる場合がある。この場合には、連続的に供給されている培養液等は、濃縮ネット22内のワムシとともに濃縮ネット22の上端から溢れ出ることとなるので、濃縮ネット22に目詰まりが発生した場合には培養液等の供給を一時的に停止する必要がある。そこで、濃縮ネット22の上方に超音波水位計24を配置して濃縮ネット22内の水位を検出し、水位が上昇してきた場合には濃縮ネット22に目詰まりが発生したと判断して培養液等の供給を停止するように構成している。そして、その後、水位が低下すると、第1供給管21からのワムシの供給及び混合水や上水の供給が再開され、濃縮・洗浄作業を継続する。この場合、水位計24は、超音波を水面へ発して水面までの距離を計測することで水位を検出する超音波式水位計で構成しているため、水面とは非接触であり、また、濃縮ネット22の上方に設置しているので、水面に泡が発生した場合でも感度を調節することで正確な水位を検出することが可能となっている。これにより、フロート式の水位計や棒状の水位計を用いて水位を検出した場合のように水位計に泡が付着して水位を誤検出したり濃縮洗浄槽2を洗浄する際に邪魔になったりするといったことを防止できる。
【0047】
そして、濃縮洗浄槽2での濃縮・洗浄作業が終了すると、濃縮ネット22内に混合水を供給し、濃縮ネット22内の高密度のワムシを希釈して流動性を高めながらワムシ移送ポンプP1を逆回転駆動させて、濃縮ネット22内のワムシを吸引して、第2供給管31により栄養強化槽3へ移送し、次工程の作業を行うように構成されている。
【0048】
以上の如く、濃縮洗浄槽2で濃縮作業を行う際に、精密濾過を行った混合水を濃縮洗浄槽2内へ供給することにより、濃縮作業と同時にワムシを充分に洗浄することができ、次工程である栄養強化槽3での汚染や栄養強化不足を解消することができる。また、混合水を連続的に供給することで、濃縮中の培養液には常に新鮮な酸素が供給されることとなり、濃縮されて高密度化したワムシが酸素不足に陥ることを防止できる。さらに、濃縮洗浄したワムシの次工程への移送も、混合水を供給して濃度を希釈しながら行うため、移送中のワムシの酸素不足を解消すると共に、移送時にワムシが受ける物理的ダメージを減少させることができる。これにより、移送中に死亡するワムシの数が大幅に減少するため、収穫効率の向上を図ることができる。
【0049】
次に、上記栄養強化槽3について詳述する。図4に示すように、栄養強化槽3は、海水供給配管A2により加温海水を供給可能とし、洗浄水槽7から洗浄用水を供給可能となっており、クロレラ給餌管82を通じてクロレラ貯留槽8からクロレラを給餌し、栄養強化管32により栄養物を供給するように構成されている。また、濃縮酸素供給系Dの濃縮酸素供給配管D2により濃縮酸素を供給するとともに、圧縮空気供給系Cの圧縮空気供給配管C2により圧縮空気を供給して、栄養強化を行いながら培養するワムシが高密度化しても酸素不足とならないようにしている。さらに、この栄養強化槽3内にも温度センサ33及びヒータ34が設けられており、栄養強化槽3内の培養液の温度を、栄養強化に適した温度で一定に保持するように構成している。また、超音波水位計により水面高さを検出して水位の管理が行われている。
【0050】
−海水・上水供給系−
次に、海水供給系統Aについて説明する。この海水供給系統Aは、海水貯留槽A1に貯留された海水を、混合水槽6や各複合機能槽11〜14や栄養強化槽3,3に供給するものである。ここで各複合機能槽11〜14や栄養強化槽3,3への海水の供給は必要に応じて行われる。
【0051】
海水供給系統Aは、上流端が海水貯留槽A1に接続され且つ海水供給ポンプP3を備えた海水供給配管A2を有している。図1では、海水の流路を「HSH」で示している。この海水供給配管A2には、図示しない熱源からの熱を受ける熱交換器A3が備えられており、この熱交換器A3によって海水を加温するようになっている。また、この海水供給配管A2の下流端は分岐され、その一つは精密濾過フィルタ61を介して混合水槽6に接続されており、その他は、各複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3の上部で開放されている。各複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3に向かって延びる各分岐管には電動弁が備えられており、この電動弁が開放され且つ海水供給ポンプP3が駆動することにより、海水貯留槽A1から取り出されて加温された海水が各複合機能槽11〜14や栄養強化槽3,3に供給可能となっている。
【0052】
上水供給系統Bは、上水(水道水)貯留槽B1に貯留された上水を、混合水槽6や各複合機能槽11〜14に供給するものである。ここで各複合機能槽11〜14への上水の供給は必要に応じて行われる。
【0053】
上水供給系統Bは、上流端が上水貯留槽B1に接続され且つ上水供給ポンプP4を備えた上水供給配管B2を有している。図1では、上水の流路を「HW」で示している。この上水供給配管B2にも、図示しない熱源からの熱を受ける熱交換器B3が備えられており、この熱交換器B3によって上水を加温するようになっている。また、この上水供給配管B2の下流端は分岐され、その一つは混合水槽6に接続されており、その他は、各複合機能槽11〜14の上部で開放されている。各複合機能槽11〜14に向かって延びる各分岐管には電動弁が備えられており、この電動弁が開放され且つ上水供給ポンプP4が駆動することにより、上水貯留槽B1から取り出されて加温された上水が各複合機能槽11〜14に供給可能となっている。
【0054】
上記混合水槽6は、上述した如く海水供給配管A2からの海水及び上水供給配管B2からの上水を共に受け、これらを混合した後に各複合機能槽11〜14に供給するものである。
【0055】
この混合水槽6における海水及び上水の混合動作としては、先ず、海水供給配管A2において各複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3に向かって延びる各分岐管に備えられた電動弁の全てを閉鎖した状態で海水供給ポンプP3を所定時間駆動し、混合水槽6内のある水位まで海水を供給する。その後、上水供給配管B2において各複合機能槽11〜14に向かって延びる各分岐管に備えられた電動弁の全てを閉鎖した状態で上水供給ポンプP4を所定時間駆動し、混合水槽6内のある水位まで上水を供給する。例えば、海水の供給水位と上水の供給水位(海水供給停止後の上昇水位)とを一致させれば、海水が50%に希釈された混合水を得ることができる。このように、海水供給動作と上水供給動作とを個別に行い、各動作の水位を管理することで所望の濃度の混合水を得ることができる。この水位を検知するための手段としては、超音波水位計やフロートスイッチ等が掲げられる。また、混合水槽6には図示しない温度センサ及びヒータが備えられており、混合水の温度を調整できるようになっている。
【0056】
このようにして濃度調整された混合水を各複合機能槽11〜14に供給するための構成について以下に述べる。上記混合水槽6には一対の給水ポンプP5,P5が備えられており、これら給水ポンプP5,P5により汲み上げられた混合水が合流ヘッダ62で合流されるようになっている。この合流ヘッダ62と各複合機能槽11〜14とは混合水供給管63,63,…によって接続され、これら混合水供給管63,63,…の下流端は複合機能槽11〜14の上部で開放されている。更に、各混合水供給管63,63,…には流量制御弁64,64,…及び流量計65,65,…が備えられており、この流量計65,65,…によって個々の混合水供給管63,63,…における混合水供給量を検出しながら流量制御弁64,64,…を制御して、各複合機能槽11〜14に対する混合水の供給量を個別に制御できるようになっている。これにより、本発明でいう給水装置が構成されている。
【0057】
−圧縮空気供給系統C−
次に、圧縮空気供給系統Cについて説明する。この圧縮空気供給系統Cは、コンプレッサC1及び圧縮空気供給配管C2を有している。図1では、圧縮空気の供給経路を「AEL」で示している。この圧縮空気供給配管C2の下流端は分岐され、各複合機能槽11〜14、濃度洗浄槽2,2及び栄養強化槽3,3の内部に備えられた散気管に接続されている。また、これら各複合機能槽11〜14、濃度洗浄槽2,2及び栄養強化槽3,3に向かって延びる各分岐管には電動弁が備えられており、この電動弁が開放され且つコンプレッサC1が駆動することにより、各複合機能槽11〜14、濃度洗浄槽2,2及び栄養強化槽3,3に圧縮空気が供給されるようになっている。
【0058】
−濃縮酸素供給系D−
次に、濃縮酸素供給系Dについて説明する。この濃縮酸素供給系Dは、上流端が濃縮酸素供給機D1に接続された濃縮酸素供給配管D2を有している。図1では、濃縮酸素の供給経路を「O2」で示している。この濃縮酸素供給配管D2は、供給ヘッダD3を備えており、この供給ヘッダD3から各複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3に向かって複数本の分岐管が延びている。また、これら分岐管には電動弁が備えられており、この電動弁が開放されることにより、各複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3に濃縮酸素が供給されるようになっている。これにより、培養するワムシが高密度化しても複合機能槽11〜14や栄養強化槽3,3の内部が酸素不足にならないようにしている。
【0059】
−洗浄水槽7−
上記洗浄水槽7には、後述するフロック除去マット71や複合機能槽11〜14や栄養強化槽3を洗浄する際に使用する洗浄液が貯留されている。
【0060】
各複合機能槽11〜14では、培養液中に、ワムシの死骸や排泄物等のゴミや汚れで構成されたフロックが浮遊するため、複合機能槽11〜14内に綿等の繊維質の素材で弾性体に構成したフロック除去マット71を浸漬して、フロックをこのフロック除去マット71に吸着させて除去するようになっている。そして、複合機能槽11〜14内のフロックを吸着して汚れたフロック除去マット71は、フロック除去マット洗浄機72で洗浄されることになるが、この際、洗浄水槽7からフロック除去マット洗浄機72に洗浄水配管73を経て供給される洗浄液によってフロック除去マット71が洗浄されることになる。尚、この洗浄水配管73には洗浄水ポンプ74が備えられている。
【0061】
また、複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3には図示しない洗浄装置が付設されており、ワムシの培養終了後に槽内が空になった状態で、洗浄装置によって槽内洗浄が行われる。この際、洗浄水槽7から洗浄装置に供給される洗浄液によって槽内が洗浄されることになる。
【0062】
本形態では、以上のフロック除去マット71の洗浄作業や複合機能槽11〜14及び栄養強化槽3,3の洗浄作業も自動実行するように制御している。このため、作業者が行う手作業に要する作業時間を大幅に削減することができる。例えば、従来であれば、手作業であった複合機能槽11〜14の洗浄作業に14時間の作業時間を要していたが、本システムでは2.5時間に短縮することが可能となる。また、手作業を自動化することにより、各作業のばらつきを低減して均一化することが可能となり、ワムシを安定して培養・給餌することが可能となる。
【0063】
−複合機能槽11〜14の水位設定構造−
上記複合機能槽11〜14には、メイン空間1Aからオーバフロー空間1Bへ混合水がオーバフローする際の水位を調整するための機構が備えられている。以下、この機構について説明する。
【0064】
図5は、複合機能槽11を示す図である。図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)におけるB−B線に沿った断面図、図5(c)は図5(a)におけるC−C線に沿った断面図、図5(d)は図5(a)におけるD部分の拡大図である。これら図に示すように、オーバフロー空間1Bは、複合機能槽11の内壁の一部に断面が略U字形状の仕切部材15が取り付けられ、この仕切部材15と複合機能槽11の内壁との間で上記オーバフロー空間1Bを形成している。そして、複合機能槽11〜14同士を連通可能とする上記各配管は、このオーバフロー空間1Bに臨むように複合機能槽11の側壁に接続されている。
【0065】
そして、この仕切部材15の幅方向の中央部は上下方向に亘って長方形状の開口15aが形成されており、この開口15aの開口縁はコ字状に形成されており、このコ字状部分の内側が仕切堰係止部15b,15bとして構成されている。この仕切堰係止部15b,15bの間に上記開口15aの幅寸法に略一致する幅寸法を有する仕切堰15cが差し込まれ、これによって開口15aが閉鎖されるようになっている。そして、この仕切堰15cとしては長さの異なる複数種類が予め用意されており、長さ寸法の長い仕切堰15cが適用された場合(図5(c)の実線参照)には、堰高さが比較的高い位置に設定されるため、メイン空間1Aからオーバフロー空間1Bへ混合水がオーバフローを開始する際の水位は高く設定される。つまり、メイン空間1Aにおける貯留量が多く設定されることになる。逆に、長さ寸法の短い仕切堰15cが適用された場合(図5(c)の破線参照)には、堰高さが比較的低い位置に設定されるため、メイン空間1Aからオーバフロー空間1Bへ混合水がオーバフローを開始する際の水位は低く設定される。つまり、メイン空間1Aにおける貯留量が少なく設定されることになる。このように、適用する仕切堰15cを差し替えるのみでメイン空間1Aにおける貯留量を任意に設定することが可能である。この仕切堰15cの差し替え動作は作業者の手作業により行われる。
【0066】
−槽ユニット1におけるワムシの培養動作及び収穫動作−
次に、上述の如く構成された培養システムにおいて特徴とする動作である上記槽ユニット1でのワムシ培養動作及びワムシ収穫動作について説明する。この槽ユニット1でのワムシ培養動作及びワムシ収穫動作は、以下に述べるように複数のパターンがある。例えば、培養槽として機能する複合機能槽と収穫槽として機能する複合機能槽との数を一致させる第1パターン、培養槽として機能する複合機能槽よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を多く設定する第2パターン、培養槽として機能する複合機能槽よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を少なく設定する第3パターン等がある。以下に具体的に説明する。尚、以下の説明では、10トンの培養液を貯留可能な容量として各複合機能槽11〜14が構成されている場合について説明する。
【0067】
(第1パターン)
本パターンは、上述した如く、培養槽として機能する複合機能槽と収穫槽として機能する複合機能槽との数を一致させてワムシの培養及び収穫を行うものである。
【0068】
先ず、1−2配管1a及び3−4配管1bにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放する。これにより、第1複合機能槽11と第2複合機能槽12とが連通すると共に、第3複合機能槽13と第4複合機能槽14とが連通することになる。この場合、上記第1複合機能槽11及び第3複合機能槽13が培養槽として機能する一方、第2複合機能槽12及び第4複合機能槽14が収穫槽として機能することになる。このため、この培養動作の開始前には、第2複合機能槽12及び第4複合機能槽14は空の状態となっている。
【0069】
培養動作が開始されると、予め所定比率で混合された海水と上水との混合水が混合水槽6から混合水供給管63を経て第1複合機能槽11及び第3複合機能槽13(共に培養槽)のメイン空間1Aに単位時間当たりの供給量が一定(各槽11,13それぞれ1日当たり10トンの供給量)とされて供給されていく。
【0070】
この動作に伴ってメイン空間1Aの水位が上昇していき仕切部材15を越えてオーバフローした混合水(所定密度の養魚用餌料生物を含んだ混合水)は各複合機能槽11,13のオーバフロー空間1Bに流入していく。そして、第1複合機能槽11のオーバフロー空間1Bに流入した混合水は1−2配管1aを経て第2複合機能槽12のオーバフロー空間1Bに流入していくことになる。このオーバフロー空間1Bの水位が上昇し、仕切部材15を越えてオーバフローした混合水は第2複合機能槽12のメイン空間1Aに流入していく。このようにして、第1複合機能槽11で培養されたワムシが第2複合機能槽12に収穫されていく。同様に、第3複合機能槽13で培養されたワムシも第4複合機能槽14に収穫されていく。
【0071】
そして、第2複合機能槽12及び第4複合機能槽14に貯留される混合水が所定の水位に達すると、これら複合機能槽12,14の底部に接続されている収穫管1h,1jの電動弁が開放され且つワムシ移送ポンプP1が駆動することにより、第2複合機能槽12及び第4複合機能槽14から混合水が一気に引き抜かれて各濃縮洗浄槽2,2に供給される。
【0072】
その後、この濃縮洗浄槽2,2での濃縮動作及び洗浄動作が行われ、栄養強化水槽3,3において濃縮クロレラや栄養が与えられて栄養強化(更なる培養)された後、回収器4及び給餌容器42を経て各魚類飼育水槽5,5,…内の魚類へ給餌される。
【0073】
本パターンでは、培養槽と収穫槽とで成る系統をそれぞれ独立した2系統に構成することができる。このため、何れか一つの槽に有毒な物質が混入してしまった場合であっても、その槽とは別の系統では養魚用餌料生物を生存させることができる。このため、システム内の養魚用餌料生物が全滅してしまうことが回避でき、養魚用餌料生物の生産能力をある程度まで維持することができる。
【0074】
尚、本第1パターンでは、培養槽と収穫槽とで成る系統を2系統使用した場合について説明した。これに限らず、培養槽と収穫槽とで成る系統を1系統のみ使用する場合もある。例えば、1−2配管1aに備えられている各電動弁のみを開放して第1複合機能槽11と第2複合機能槽12とを連通させた状態で上記の培養動作及び収穫動作を行わせる場合である。また、本パターンの場合、培養槽として機能する複合機能槽及び収穫槽として機能する複合機能槽は任意に選択することが可能である。例えば、一つの系統においては第2複合機能槽12を培養槽として機能させると共に第1複合機能槽11を収穫槽として機能させる一方、他の系統においては第4複合機能槽14を培養槽として機能させると共に第3複合機能槽13を収穫槽として機能させる等といった構成である。
【0075】
(第2パターン)
本パターンは、本発明でいう「第1の複合機能槽使用形態」であって、上述した如く、培養槽として機能する複合機能槽よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を多く設定してワムシの培養及び収穫を行うものである。ここでは、培養槽として機能する複合機能槽を1つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を3つとした場合について説明する。
【0076】
先ず、1−2配管1a、1−3配管1c、1−4配管1eにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放する。これにより、第1複合機能槽11に対して、第2複合機能槽12、第3複合機能槽13、第4複合機能槽14が連通することになる。つまり、一つの複合機能槽11に対して3つの複合機能槽12,13,14が連通することになる。この場合、上記第1複合機能槽11が培養槽として機能する一方、第2複合機能槽12と第3複合機能槽13と第4複合機能槽14とが収穫槽として機能することになる。このため、この培養動作の開始前には、第2複合機能槽12と第3複合機能槽13と第4複合機能槽14とは空の状態となっている。
【0077】
培養動作が開始されると、予め所定比率で混合された海水と上水との混合水が混合水槽6から混合水供給管63を経て第1複合機能槽11(培養槽)のメイン空間1Aに単位時間当たりの供給量が一定(1日当たり30トンの供給量)とされて供給されていく。
【0078】
この動作に伴ってメイン空間1Aの水位が上昇していき仕切部材15を越えてオーバフローした混合水(所定密度の養魚用餌料生物を含んだ混合水)は第1複合機能槽11のオーバフロー空間1Bに流入していく。そして、第1複合機能槽11のオーバフロー空間1Bに流入した混合水は、1−2配管1aを経て第2複合機能槽12のオーバフロー空間1Bに、1−3配管1cを経て第3複合機能槽13のオーバフロー空間1Bに、1−4配管1eを経て第4複合機能槽14のオーバフロー空間1Bにそれぞれ流入していくことになる。これら各複合機能槽12,13,14のオーバフロー空間1Bの水位が上昇し、仕切部材15を越えてオーバフローした混合水は各複合機能槽12,13,14のメイン空間1Aに流入していく。このようにして、第1複合機能槽11で培養されたワムシが第2複合機能槽12、第3複合機能槽13、第4複合機能槽14に収穫されていく。
【0079】
そして、これら第2複合機能槽12、第3複合機能槽13、第4複合機能槽14に貯留される混合水が所定の水位に達すると、これら複合機能槽12,13,14の底部に接続されている収穫管1h,1i,1jの電動弁が開放され且つワムシ移送ポンプP1が駆動することにより、第2複合機能槽12、第3複合機能槽13、第4複合機能槽14から混合水が一気に引き抜かれて各濃縮洗浄槽2,2に供給される。
【0080】
その後、この濃縮洗浄槽2,2での濃縮動作及び洗浄動作が行われ、栄養強化水槽3,3において濃縮クロレラや栄養が与えられて栄養強化(更なる培養)された後、回収器4及び給餌容器42を経て各魚類飼育水槽5,5,…内の魚類へ給餌される。
【0081】
本パターンでは、第1複合機能槽11に対する混合水の単位時間当たりの給水量を多く設定してもこれらを3つの複合機能槽12,13,14で吸収することができる(第1複合機能槽11に1日当たり30トンの培養液を供給しても、3つの複合機能槽12,13,14のそれぞれには1日当たり10トンの培養液しか貯留しない)。このため、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に高くなり第1複合機能槽11内での養魚用餌料生物の密度が急上昇した場合に、その密度の適正化を図るべく混合水の給水量を多く設定した場合であっても、収穫槽から混合水が溢れ出してしまうといった状況を回避することができ、システムの信頼性の向上を図ることができる。
【0082】
また、繁殖力の高いワムシを培養する際に、密度の適正化を図るべく混合水の給水量を多く設定した場合にも、収穫槽から混合水が溢れ出してしまうといった状況を回避することができる。
【0083】
尚、本第2パターンでは、培養槽として機能する複合機能槽を1つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を3つとした場合について説明した。これに限らず、培養槽として機能する複合機能槽を1つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を2つとしてシステムを構成することも可能である。例えば、1−2配管1a、1−3配管1cにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放する。これにより、第1複合機能槽11に対して、第2複合機能槽12、第3複合機能槽13のみが連通することになり、一つの複合機能槽11に対して2つの複合機能槽12,13が連通したシステム構成を実現できる。
【0084】
また、本パターンにおいても、培養槽として機能する複合機能槽及び収穫槽として機能する複合機能槽は任意に選択することが可能である。例えば、上記第2複合機能槽12を培養槽として機能させる一方、第1複合機能槽11と第3複合機能槽13と第4複合機能槽14とを収穫槽として機能させる等といった構成である。
【0085】
尚、この第2パターンは、上記第1パターンから切り換えることも可能である。つまり、第1複合機能槽11を培養槽とし、第2複合機能槽12を収穫槽として運転している状況で、第1複合機能槽11での養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に高くなった場合に、第1複合機能槽11への培養液の供給量を増大させ(例えば2倍として)、第3複合機能槽12をも収穫槽として機能させるように1−3配管1cに備えられている各電動弁を開放するといった動作である。
【0086】
(第3パターン)
本パターンは、本発明でいう「第2の複合機能槽使用形態」であって、上述した如く、培養槽として機能する複合機能槽よりも収穫槽として機能する複合機能槽の数を少なく設定してワムシの培養及び収穫を行うものである。ここでは、培養槽として機能する複合機能槽を3つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を1つとした場合について説明する。
【0087】
先ず、1−4配管1e、2−4配管1d、3−4配管1bにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放する。これにより、第4複合機能槽14に対して、第1複合機能槽11、第2複合機能槽12、第3複合機能槽13が連通することになる。つまり、一つの複合機能槽14に対して3つの複合機能槽11,12,13が連通することになる。この場合、上記第1複合機能槽11と第2複合機能槽12と第3複合機能槽13とが培養槽として機能する一方、第4複合機能槽14が培養槽として機能することになる。このため、この培養動作の開始前には、第4複合機能槽14は空の状態となっている。
【0088】
培養動作が開始されると、予め所定比率で混合された海水と上水との混合水が混合水槽6から混合水供給管63を経て第1複合機能槽11、第2複合機能槽12、第3複合機能槽13(共に培養槽)のメイン空間1Aに単位時間当たりの供給量が一定(各槽11,12,13それぞれ1日当たり3トンの供給量)とされて供給されていく。
【0089】
この動作に伴って各複合機能槽11,12,13のメイン空間1Aの水位が上昇していき仕切部材15を越えてオーバフローした混合水(所定密度の養魚用餌料生物を含んだ混合水)は各複合機能槽11,12,13のオーバフロー空間1Bに流入していく。そして、このオーバフロー空間1Bに流入した混合水は、各配管1e,1d,1bを経て第4複合機能槽14のオーバフロー空間1Bに流入していくことになる。この第4複合機能槽14のオーバフロー空間1Bの水位が上昇し、仕切部材15を越えてオーバフローした混合水は第4複合機能槽14のメイン空間1Aに流入していく。このようにして、第1、第2,第3の各複合機能槽11,12,13で培養されたワムシが第4複合機能槽14に収穫されていく。
【0090】
そして、この第4複合機能槽14に貯留される混合水が所定の水位に達すると、その底部に接続されている収穫管1jの電動弁が開放され且つワムシ移送ポンプP1が駆動することにより、第4複合機能槽14から混合水が一気に引き抜かれて各濃縮洗浄槽2,2に供給される。
【0091】
その後、この濃縮洗浄槽2,2での濃縮動作及び洗浄動作が行われ、栄養強化水槽3,3において濃縮クロレラや栄養が与えられて栄養強化(更なる培養)された後、回収器4及び給餌容器42を経て各魚類飼育水槽5,5,…内の魚類へ給餌される。
【0092】
本パターンでは、第1、第2、第3の各複合機能槽11,12,13に対する混合水の単位時間当たりの給水量を少なく設定しながらも収穫槽(上記の場合は第4複合機能槽14)での収穫量を高く維持することができる(第1、第2、第3の各複合機能槽11,12,13それぞれに1日当たり3トンの培養液しか供給しなくても、第4複合機能槽14には1日当たり9トンの培養液が貯留される)。例えば、養魚用餌料生物の繁殖速度が急激に低くなり、培養槽内での養魚用餌料生物の密度を維持するためには供給水量を低く抑えねばならない状況であっても、この培養槽の個数を多くすることで収穫量を高く維持することが可能になり、システムの生産性を高く維持することができる。
【0093】
また、繁殖力の低いワムシを培養する際に、密度の適正化を図るべく混合水の給水量を低く設定した場合にも、収穫量を高く維持することが可能になる。
【0094】
尚、本第3パターンでは、培養槽として機能する複合機能槽を3つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を1つとした場合について説明した。これに限らず、培養槽として機能する複合機能槽を2つとし、収穫槽として機能する複合機能槽を1つとしてシステムを構成することも可能である。例えば、1−4配管1e、2−4配管1dにそれぞれ備えられている各電動弁のみを開放する。これにより、第4複合機能槽14に対して、第1複合機能槽11、第2複合機能槽12が連通することになり、二つの複合機能槽11,12に対して1つの複合機能槽14が連通したシステム構成を実現できる。
【0095】
また、本パターンにおいても、培養槽として機能する複合機能槽及び収穫槽として機能する複合機能槽は任意に選択することが可能である。例えば、第1、第2、第4複合機能槽11,12,14を培養槽として機能させる一方、第3複合機能槽13を収穫槽として機能させる等といった構成である。
【0096】
(故障発生時対応パターン)
次に、上述の如く培養動作及び収穫動作が行われている場合に、何れか一つの複合機能槽に故障が発生した場合の対応パターンについて説明する。ここでは、上記第1パターンで培養動作及び収穫動作が行われている場合(第1複合機能槽11及び第3複合機能槽13が培養槽として機能している一方、第2複合機能槽12及び第4複合機能槽14が収穫槽として機能している場合)に、第2複合機能槽12に故障が発生した場合の対応動作について説明する。
【0097】
上記第1パターンで培養動作及び収穫動作が行われている場合に第2複合機能槽12に故障が発生すると、この第2複合機能槽12を収穫槽として使用することができなくなる。このため、第1複合機能槽11と第2複合機能槽12とを接続している1−2配管1aの電動弁を閉鎖し、それに代えて、第1複合機能槽11と第4複合機能槽14とを接続している1−4配管1eの電動弁を開放する。つまり、第1複合機能槽11と第4複合機能槽14とを1−4配管1eにより連通させる。これにより、第1複合機能槽11を培養槽とし、それに対応する収穫槽を第4複合機能槽14とすることができる。このため、第2複合機能槽12が故障した後であっても第1複合機能槽11での培養動作を継続して行うことが可能になる。従来では、このような故障が発生した場合、故障した槽を補修している間に、培養槽での培養期間が長期化してしまって、槽内環境を悪化させてしまい、養魚用餌料生物を全滅させてしまう可能性があった。本形態によれば、故障した槽を他の槽で迅速に代用することが可能であり、収穫効率の維持を図ることができる。
【0098】
尚、この動作は、収穫槽として使用していた第2複合機能槽12に有毒な物質が混入してしまった場合にも適用できる。つまり、第2複合機能槽12に有毒な物質が混入したことが検出された時点で、上記と同様の電動弁の切り換え動作を行って、この第2複合機能槽12にワムシが排出されないようにする。これにより、ワムシの死滅量を削減することができ、収穫効率の維持を図ることができる。
【0099】
また、上記動作説明では収穫槽として使用していた複合機能槽に故障が発生したり有毒物質が混入した場合について説明した。これに限らず、培養槽として使用していた複合機能槽に故障が発生したり有毒物質が混入した場合についても対応可能である。例えば、上記第1パターンで培養動作及び収穫動作が行われている場合に第1複合機能槽11に故障が発生すると、この第1複合機能槽11での培養動作が行えなくなり、第2複合機能槽12への混合水供給が遮断され、ここでの繁殖が進んで過密度になる可能性がある。この場合、第1複合機能槽11と第2複合機能槽12とを接続している1−2配管1aの電動弁を閉鎖し、それに代えて、第3複合機能槽13と第2複合機能槽12とを接続している2−3配管1fの電動弁を開放する。つまり、第3複合機能槽13と第2複合機能槽12とを2−3配管1fにより連通させる。これにより、第3複合機能槽13を培養槽とし、それに対応する収穫槽を第4複合機能槽14だけでなく第2複合機能槽12とすることができる。このため、第2複合機能槽12への混合水供給が維持され、この第2複合機能槽12の収穫動作を継続して行うことが可能になる。尚、この動作は、培養槽として使用していた第1複合機能槽11に有毒な物質が混入してしまった場合にも適用できる。
【0100】
また、収穫槽として使用していた複合機能槽に故障が発生したり有毒物質が混入した場合に、それまで培養槽として使用していた複合機能槽を収穫槽としてみなし、この収穫槽にみなされた複合機能槽から混合水を引き抜いて濃縮洗浄槽2,2に供給するといった動作も可能である。この動作は、上記第1パターンで培養・収穫動作が行われている場合に限らず、第2,第3パターンで培養・収穫動作が行われている場合にも適用できる。
【0101】
−その他の実施例−
以上説明した実施例ではワムシを培養するシステムに本発明を適用した場合について説明した。本発明は、ワムシだけでなく、浮遊珪藻類等の他の養魚用餌料生物を培養するシステムにも同様に適用することが可能である。
【0102】
また、以上説明した実施例では4個の複合機能槽11〜14によって槽ユニット1を構成していたが、3個の複合機能槽または5個以上の複合機能槽によって槽ユニットを構成してもよい。
【0103】
また、本発明に係る培養システムの利用形態として、各複合機能槽同士の連通状態や各複合機能槽間での培養液の流通状態の設定によって従来から周知の植え継ぎ培養法や連続培養法を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】実施形態に係る培養システムの配管系統図である。
【図2】複合機能槽の内部構成を示す概略図である。
【図3】濃縮洗浄槽の内部構成を示す概略図である。
【図4】栄養強化槽の内部構成を示す概略図である。
【図5】(a)は平面図、(b)は図5(a)におけるB−B線に沿った断面図、(c)は図5(a)におけるC−C線に沿った断面図、(d)は図5(a)におけるD部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0105】
11 第1複合機能槽
12 第2複合機能槽
13 第3複合機能槽
14 第4複合機能槽
1a 1−2配管
1b 3−4配管
1c 1−3配管
1d 2−4配管
1e 1−4配管
1f 2−3配管
6 混合水槽
8 クロレラ貯留槽
81 クロレラ給餌ポンプ
82 クロレラ給餌管
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区茶屋町1番32号
【出願日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗

【公開番号】 特開2005−58037(P2005−58037A)
【公開日】 平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願番号】 特願2003−289911(P2003−289911)