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【発明の名称】 生簀内における魚体選別方法および魚体選別システム
【発明者】 【氏名】熊沢 泰生

【氏名】大島 捷一

【要約】 【課題】魚体の損傷を防ぎつつ選別に要する労力を軽減することができる生簀内における魚体選別方法を提供すること。

【解決手段】生簀1内の大きさの異なる複数の魚2を、所定の大きさよりも小さい魚2を通過させる可撓性の選別具7,12を用いて大小選別すること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生簀内の大きさの異なる複数の魚を、所定の大きさよりも小さい魚を通過させる可撓性の選別具を用いて大小選別することを特徴とする生簀内における魚体選別方法。
【請求項2】
生簀内または互いに連通された複数の生簀の間に、所定の大きさよりも小さい魚を通過させる可撓性の選別具を設置するとともに、前記選別具を挟んで前記所定の大きさよりも小さい魚を集める側に集魚光を、前記所定の大きさ以上の魚を留める側に忌避光をそれぞれ照射することによって選別を行うことを特徴とする請求項1に記載の生簀内における魚体選別方法。
【請求項3】
生簀内または互いに連通された複数の生簀の間に、所定の大きさよりも小さい魚を通過させる可撓性の選別具を有することを特徴とする魚体選別システム。
【請求項4】
前記選別具を挟んで前記所定の大きさよりも小さい魚を集める側に集魚光の光源を、前記所定の大きさ以上の魚を留める側に忌避光の光源をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項3に記載の魚体選別システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムにおいて、特に、生簀内の大きさの異なる複数の魚を大小選別するのに好適な生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、旋網や定置網等の漁法によって漁獲された魚は、活魚として持ち帰り、生簀内において養殖された後に出荷する場合が増えている。
【0003】
しかし、これらの漁法によって漁獲された魚は、体長や体幅あるいは体高等の大きさに偏りがでてしまうのが現状であった。
【0004】
また、漁獲した魚のみでなく、仔魚から生簀内で養殖された養殖魚であっても、成長が進むにつれて大きさが異なってしまう場合があった。
【0005】
このように大きさが異なる魚を、何らの峻別もせずにまとめて出荷する場合、魚価を下げてしまうこととなり、採算が合わなくなる。
【0006】
そこで、従来から、漁獲後に生簀内で養殖された魚あるいは当初から養殖されている魚を大小選別することが行われていた。
【0007】
図9は、このような選別の態様を示したものであり、この図9の例では、大きさの異なる魚が養殖されている生簀1内から魚2をすくい網3等を用いてすくい出した後に、剛性の格子状の篩(ふるい)4内に放出する。そして、篩4を抜け出る魚2を元の生簀1に戻し、篩4内に残留する魚2を新たな生簀1に移すことによって大小を選別するようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開平05−115230号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような方法を採る場合、魚2が篩4に接触することによって魚体が損傷していしまうことが多く、却って商品価値を下げてしまっていた。
【0010】
さらに、一定の重量を有する剛性の篩4を動かすために多大な労力を要し、効率的な選別ができなかった。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、魚体の損傷を防ぎつつ選別に要する労力を軽減することができる生簀内における魚体選別方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明の請求項1に係る生簀内における魚体選別方法の特徴は、生簀内の大きさの異なる複数の魚を、所定の大きさよりも小さい魚を通過させる可撓性の選別具を用いて大小選別する点にある。
【0013】
そして、このような方法によれば、可撓性の選別具を用いて生簀内において魚体を選別することによって、魚体の損傷を防ぐことが可能となるとともに、選別のための労力を大幅に軽減することが可能となる。
【0014】
請求項2に係る生簀内における魚体選別方法の特徴は、生簀内または互いに連通された複数の生簀の間に、所定の大きさよりも小さい魚を通過させる可撓性の選別具を設置するとともに、前記選別具を挟んで前記所定の大きさよりも小さい魚を集める側に集魚光を、前記所定の大きさ以上の魚を留める側に忌避光をそれぞれ照射することによって選別を行う点にある。
【0015】
そして、このような方法によれば、可撓性の選別具および忌避光ならびに集魚光を用いることによって、魚体を損傷させずに効率的に選別することができ、また、選別のための労力をさらに軽減することが可能となる。
【0016】
請求項3に係る魚体選別システムの特徴は、生簀内または互いに連通された複数の生簀の間に、所定の大きさよりも小さい魚を通過させる可撓性の選別具を有する点にある。
【0017】
そして、このような構成によれば、可撓性の選別具を用いて生簀内において魚体を選別することによって、魚体の損傷を防ぐことが可能となるとともに、選別のための労力を大幅に軽減することが可能となる。
【0018】
請求項4に係る魚体選別システムの特徴は、請求項3において、前記選別具を挟んで前記所定の大きさよりも小さい魚を集める側に集魚光の光源を、前記所定の大きさ以上の魚を留める側に忌避光の光源をそれぞれ設けた点にある。
【0019】
そして、このような構成によれば、可撓性の選別具および忌避光ならびに集魚光を用いることによって、魚体を損傷させずに効率的に選別することができ、また、選別のための労力をさらに軽減することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第1実施形態について、図1を用いて説明する。
【0021】
第1実施形態における魚体選別システムは、生簀網6で魚群の周囲を囲繞された生簀1内に、所定の大きさよりも小さい魚2を通過させる可撓性の選別具7を有している。なお、選別具7は、例えば、所定の大きさの網目を有する可撓性の選別網であってもよい。
【0022】
このようなシステムを用いて魚の選別を行う場合は、まず、前記選別具7を、図示しない引き綱等を介して船舶等の動力源に連結し、この動力源の動力を用いて前記選別具7を例えば図1の矢印に示す方向に移動させる。
【0023】
この選別具7の移動にともなって、生簀1内における選別具7の移動方向前方側の領域は、容積が次第に狭くなっていくが、この領域内にいる魚2は、狭まりゆく領域から逃れようとする。
【0024】
その際に、選別具7を通過することができる大きさの魚2のみが選別具7を通過して生簀1内における選別具7の移動方向後方側の領域に移動することができる。一方、選別具7を通過することができない大きさの魚は、元の領域(選別具7の移動方向前方側の領域)内に残留することとなる。
【0025】
これによって、生簀1内において大きさの異なる複数の魚2を図1に示すように大小選別することができる。
【0026】
このとき、可撓性の選別具7を用いるため、選別具7を通過する魚2の魚体が損傷することを防ぐことができる。
【0027】
また、生簀1内において魚体2を選別することができるため、魚2に対して過度な負担をかけることがなく、さらに、そのような生簀1内における魚体2の選別を、選別具7を移動することによって簡便に行うことができ、労力を軽減することができる。
【0028】
次に、本発明に係る生簀内における魚体選別方法の第2実施形態について、図2を参照して説明する。
【0029】
なお、第1実施形態と基本的構成の同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
【0030】
第2実施形態においては、選別具7を用いて魚体の大小を選別することについては第1実施形態と同様である。
【0031】
ただし、第2実施形態においては、選別具7は移動させずに生簀1内の所定位置に止めておく。
【0032】
その代りに、図2に示すように、生簀網6を、例えば、漁船に搭載したウインチ等の生簀網6の巻上げ手段を用いて図2の矢印の方向に向かって絞ることによって、生簀1内の容積を次第に狭めるようにする。
【0033】
これによって、生簀1内における選別具7を挟んで絞り方向後方側の領域にいる魚2は、前記選別具7を通って絞り方向前方側の領域へ逃げようとする。
【0034】
その際に、選別具7を通過することができる大きさの魚のみが選別具7を通過して絞り方向前方側の領域に移動することができる。一方、選別具7を通過することができない大きさの魚は、元の領域(絞り方向後方側の領域)内に残留することとなる。
【0035】
これによって、第1実施形態と同様に、生簀1内において大きさの異なる複数の魚2を魚体を損傷させずに簡便に選別することができる。
【0036】
次に、図3は、本発明の第3実施形態を示したものである。
【0037】
第3実施形態においては、生簀1の底部に敷設した選別具7を、選別具7に連結された引き綱等の図示しない移動手段を用いて図3の矢印に示す方向に一端辺7aから先に起こす。
【0038】
このとき、生簀1内における選別具7を挟んで前記一端辺7aの移動方向前方側の領域にいる魚のうち、選別具7を通過することができる大きさの魚2のみが選別具を通過して前記一端辺7aの移動方向後方側の領域に移動することができ、一方、選別具7を通過することができない大きさの魚は、元の領域(一端辺7aの移動方向前方側の領域)内に残留することとなる。
【0039】
これによって、第1実施形態と同様に、生簀1内において大きさの異なる複数の魚2を魚体を損傷させずに簡便に選別することができる。
【0040】
次に、図4は、本発明の第4実施形態を示したものである。
【0041】
第4実施形態においては、生簀1内に入れた選別具7を生簀1内で移動させる点において、第1実施形態と同様である。
【0042】
ただし、第4実施形態においては、第1実施形態と異なり、通過させることができる魚2の大きさが互いに異なるように形成された複数の選別具7を、所定の間隔を設けて生簀1内に整列させ、各選別具7を図4の矢印に示すように別個にあるいは同一の移動方向・速度で移動させることによって魚体2の選別を行う。
【0043】
このような方法を採る場合、魚体2を損傷させずに複数の段階の大きさに簡便に選別することができる。例えば、図4に示すように、網目の大きさが異なる二種類の選別網を選別具7として用いる場合、魚体2を、大・中・小の三段階の大きさに選別することができる。
【0044】
次に、図5は、本発明の第5実施形態を示したものである。
【0045】
第5実施形態においては、複数の生簀1をトンネル型の連通路10を介して連通させ、各連通路10の途中に小型の選別具12を設置する。
【0046】
この状態で生簀1を放置することによって、連通路10に設置された選別具12を通ることができる魚2のみが元の生簀1から新たな生簀1へ移動することによって、魚体2が自然に選別される。
【0047】
このような方法を採る場合、選別速度は遅いものの、魚2を最も自然な状態で泳がせることができるため、魚体への負担はほとんどなく、また、選別具12を移動させることや生簀網6を絞ること等の人為をともなうことも少ないため、労力を最も軽減することができる。
【0048】
なお、連通させる生簀1の個数を増やすことによって、魚体をさらに多段階の大きさに選別することが可能である。例えば、図5に示すように、3個の生簀1を2個の連通路10を介して連通させ、各連通路10内に、選別具12としてそれぞれ大きさの異なる網目を有する選別網を設置すれば、魚体を、大・中・小の三段階の大きさに選別することができる。
【0049】
次に、図6は、本発明の第6実施形態を示したものである。
【0050】
第6実施形態は、第5実施形態の構成に加えて、さらに、生簀1内に選別具7を入れ、この選別具7を例えば一方の連通路10側に移動させるようにしたものである。
【0051】
このようにすれば、第5実施形態よりも魚体の選別を迅速に行うことができる。
【0052】
次に、図7、図8は、本発明の第7実施形態を示したものである。
【0053】
図7は、生簀1内の選別具7を挟んで、前記所定の大きさよりも小さい魚を集める側に集魚光の光源14を、前記所定の大きさ以上の魚を留める側に忌避光の光源15を設けたものである。
【0054】
好ましくは、集魚光は、白熱光とされ、忌避光は、ストロボ光とされている。
【0055】
図8は、生簀1間の選別具12を挟んで、前記所定の大きさよりも小さい魚を集める生簀1側に集魚光の光源14を、前記所定の大きさ以上の魚を留める生簀1側に忌避光の光源15を設けたものである。
【0056】
このようにした場合、忌避光と集魚光とによって、魚を集魚側に効果的に移動させることができるため、魚体の選別をさらに迅速に行うことができる。このような方法は、人為の作業が困難な夜間において特に有効なものになる。
【0057】
なお、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0058】
例えば、選別具として、特開平10−313732号公報に係る網を援用するようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の請求項1に係る生簀内における魚体選別方法によれば、魚体の損傷を防いで高品位の魚を出荷することができ、さらに、選別の際の労力の軽減およびコストの削減を図ることができる。
【0060】
請求項2に係る生簀内における魚体選別方法によれば、請求項1に係る生簀内における魚体選別方法の効果に加えて、さらに有効に魚体を選別する際の省力化を図ることができる。
【0061】
請求項3に係る魚体選別システムによれば、魚体の損傷を防いで高品位の魚を出荷することができ、さらに、選別の際の労力の軽減およびコストの削減を図ることができるシステムを実現することができる。
【0062】
請求項4に係る魚体選別システムによれば、請求項3に係る魚体選別システムの効果に加えて、さらに有効に魚体を選別する際の省力化を図ることができるシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第1実施形態を示す模式図
【図2】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第2実施形態を示す模式図
【図3】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第3実施形態を示す模式図
【図4】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第4実施形態を示す模式図
【図5】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第5実施形態を示す模式図
【図6】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第6実施形態を示す模式図
【図7】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第7実施形態を示す模式図
【図8】本発明に係る生簀内における魚体選別方法および魚体選別システムの第7実施形態を示す模式図
【図9】従来から採用されていた魚体選別方法の一例を示す模式図
【符号の説明】
1 生簀
2 魚
6 生簀網
7 選別具
12 小型の選別具
14 集魚光の光源
15 忌避光の光源
【出願人】 【識別番号】000110882
【氏名又は名称】ニチモウ株式会社
【識別番号】596027047
【氏名又は名称】株式会社フレッシュテクノ
【出願日】 平成15年7月7日(2003.7.7)
【代理人】 【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔

【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英

【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子

【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 房枝

【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之

【識別番号】100123858
【弁理士】
【氏名又は名称】磯田 志郎

【公開番号】 特開2005−27510(P2005−27510A)
【公開日】 平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願番号】 特願2003−193098(P2003−193098)