| 【発明の名称】 |
きのこの菌床培養袋およびきのこの菌床培養方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】有馬元信
【氏名】熊谷 吉男
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| 【要約】 |
【課題】菌糸蔓延前の雑菌の侵入を効果的に防止するとともに、菌糸が蔓延し始めたときに通気量を一気に増加させて、培養期間の短縮、きのこの収率向上を図る。
【解決手段】通気口2を覆うフィルター3が、抗菌性を有する金属を含み、光が当たることによって抗菌性が高まる光触媒活性を有する。フィルター3は袋本体1に剥離容易に貼着する。放冷工程ないし接種工程でフィルター3を光に曝す。培養工程の途中でフィルター3を袋本体1から剥離する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部開口がシール可能な袋本体(1)と、 袋本体(1)の上部開口寄りに形成された通気口(2)を外側から覆うフィルター(3)とを備え、 袋本体(1)およびフィルター(3)は、蒸気滅菌可能な耐熱性を有し、 フィルター(3)が抗菌性を有する金属を含むことに特徴を有するきのこの菌床培養袋。 【請求項2】 フィルター(3)が、光が当たることによって抗菌性が高まる光触媒活性を有する不織布か らなる請求項1記載のきのこの菌床培養袋。 【請求項3】 フィルター(3)が、袋本体(1)に剥離容易に貼着してある請求項2記載のきのこの菌床培養袋。 【請求項4】 通気口(2)が一群の小孔(8)からなる請求項3記載のきのこの菌床培養袋。 【請求項5】 請求項3または4記載のきのこの菌床培養袋を用い、 培養基(6)を袋詰する充填工程と、 菌床培養袋を仮封した状態で蒸気滅菌する滅菌工程と、 菌床培養袋を放冷する放冷工程と、 培養基(6)に種菌を接種して、通気口(2)に培養器が接しないように培養基(6)の上部に換気空間(7)を残して上部開口をシールする接種工程と、 暗所で培養する培養工程とを含むきのこの菌床培養方法であって、 放冷工程ないし接種工程が、フィルター(3)を光に曝す曝光段階を含み、 培養工程が、フィルター(3)を袋本体(1)から剥離する剥離段階を含むことに特徴を有するきのこの菌床培養方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、きのこの菌床培養袋およびその菌床培養方法に関する。 【背景技術】 【0002】 蒸気滅菌可能な樹脂フィルムで袋を形成し、フィルターでシールした通気口を設けたきのこの菌床培養袋は特許文献1、2に公知である。抗菌性を有する金属を含み、光が当たると抗菌性が高まる光触媒活性を有するフィルターは特許文献3に公知である。 【特許文献1】特開平8−112033号公報 【特許文献2】特開平10−33058号公報 【特許文献3】特開2001−259012号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 特許文献1および2の菌床培養袋に使用されるフィルターは、いずれも常用されている除菌フィルターであり、繊維を重層して形成した細孔に雑菌を捕捉して、雑菌が袋内に侵入するのを防止する。したがって、捕捉された雑菌はフィルターに付着したままであり、フィルターが湿気を含んで雑菌が増殖できる環境下では、捕捉された雑菌がフィルター内で分裂、増殖して菌床培養袋内に入り込み、培養基を汚染することがある。特に蒸気滅菌後の放冷時には菌床培養袋内が陰圧になるため、引き込まれる通気量が多くてフィルターに雑菌が捕捉されやすいうえ、結露水がフィルターに付着するので雑菌が増殖し易く、培養基が汚染されやすい。 【0004】 特許文献3には、捕捉した雑菌の増殖を抑制できる抗菌性を備えたフィルターが開示されているが、エアコンや空気清浄機などへの用途を示唆するに止まり、その具体的な利用方法までは明らかにされていない。 【0005】 そこで、本発明の目的は、フィルターからの袋内への雑菌の進入を防止して、培養基の汚染を効果的に抑制できるきのこの菌床培養袋を提供することにある。本発明の目的は、抗菌性を有するフィルターを効果的に利用したきのこの菌床培養袋を提供することにある。本発明の目的は、培養基の汚染を抑制し、培養時の通気量を調整することにより、培養期間の短縮が図れ、きのこの収率を高めることができるきのこの菌床培養方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の菌床培養袋は、上部開口がシール可能な袋本体1と、袋本体1の上部開口寄りに形成された通気口2を外側から覆うフィルター3とを備える。袋本体1およびフィルター3は、いずれも蒸気滅菌可能な耐熱性を有している。フィルター3が抗菌性を有する金属を含むことを特徴とする。 【0007】 フィルター3は、光が当たることによって抗菌性が高まる光触媒活性を有する不織布からなり、袋本体1に剥離容易に貼着される。ここでの光は、太陽の光や電灯などの光を含む。 【0008】 通気口2は一群の小孔8からなるものとしてもよい。 【0009】 本発明のきのこの菌床培養方法は、抗菌性を有し、剥離容易にフィルター3を貼着した本発明のきのこの菌床培養袋を用いて、(1)培養基6を袋詰する充填工程と、(2)菌床培養袋を仮封した状態で蒸気滅菌する滅菌工程と、(3)菌床培養袋を放冷する放冷工程と、(4)培養基6に種菌を接種して、通気口2に培養器が接しないように培養基6の上部に換気空間7を残して上部開口をシールする接種工程と、(5)暗所で培養する培養工程とを含む。放冷工程ないし接種工程が、フィルター3を光に曝す曝光段階を含み、培養工程が、フィルター3を袋本体1から剥離する剥離段階を含むことを特徴とする。 【発明の効果】 【0010】 通気口2を覆うフィルター3に抗菌性を有する金属を含ませたので、フィルター3に捕捉した雑菌の増殖を抑制でき、フィルター3で増殖した雑菌が菌床培養袋内に進入して培養基6を汚染するのを効果的に防止できる。特に湿気が多い暗所で長期間、静置保管する培養時に効果を発揮する。フィルター3を袋本体1の上部開口寄りに形成した通気口2の外側から覆って貼着し、フィルター3を充填した培養基6から離して、開口の面積分だけ袋内部に臨むようにしたので、フィルター3に培養基6が直接接触するのをよく避けることができ、フィルター3の抗菌性による菌糸の生長阻害を効果的に防止できる。 【0011】 フィルター3が、光が当たることによって抗菌性が高まる光触媒活性を有していると、フィルター3に雑菌が捕捉されて増殖し、培養基の初期汚染を招き易い放冷工程と接種工程において、フィルター3を光に曝して捕捉した雑菌を効果的に殺菌できる。なお、接種直後は菌糸の生長前なので、光を当てても、きのこの収率や品質には影響しない。 【0012】 フィルター3が袋本体1に剥離容易に貼着してあると、菌糸蔓延により雑菌の混入による汚染の心配がなくなったときに、フィルター3を手作業で簡単に剥がし取ることができるので、抗菌性のあるフィルター3に菌糸が接して生長阻害することを確実に防止できるうえ、通気量を一気に増加させて菌糸の生長を促進でき、培養期間の短縮を図ることができる。 【0013】 図4に示すごとく通気口2が一群の小孔8で形成してあると、菌糸が直接フィルター3に接触し難くなるため、フィルター3を貼着した状態でも、フィルター3の抗菌性による菌糸の生長阻害をよく防止できる。 【0014】 抗菌性を有する金属を含み、光が当たると抗菌性が高まる光触媒活性を有するフィルター3を剥離容易に貼着したきのこの菌床培養袋を用いた菌床培養方法において、放冷時ないし接種時にフィルター3を光に曝すと、特に通気量が増えて多くの雑菌がフィルター3に捕捉されて汚染を招き易い放冷時ないし接種時に、フィルター3の抗菌性を効果的に高めることができ、効率よく培養基6の初期汚染を防止できる。その後の暗所培養では、金属の抗菌性によってフィルター3に捕捉された雑菌の増殖を抑制できる。培養期間中にフィルター3を袋本体1から剥離するようにしたので、フィルター3の抗菌性による菌糸の生長阻害を確実に防止できるうえ、菌糸の生長によって酸素要求量が増えた時点で通気量を一気に増加させることができ、菌糸の生長をよりいっそう促進できて、培養期間が短縮できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 本発明は、例えば、しいたけ、えのきだけ、まいたけ、しめじ、はなびらたけ、アガリクス茸など、菌床ブロック栽培で培養可能なきのこを対象とする。 【0016】 (実施例1) 図1において本発明のきのこの菌床培養袋は、内面にシール層を備えて上部開口がヒートシール可能な袋本体1と、袋本体1の上部開口寄りの一側面に形成された1個の通気口2を外側から覆って貼着された一枚のフィルター3とを備える。袋本体1は、ポリプロピレンやポリエステルなどの蒸気滅菌可能なプラスチック製フィルムからなる。その寸法は、およそ幅20cm、縦45cmであり、袋の両端にマチが形成され、底面にシール部を有するいわゆるガゼット型の袋に形成されている。 【0017】 フィルター3は、特許文献3に記載のフィルター3を使用した。したがって、フィルター3は抗菌性を有する金属を含む。詳しくは、未延伸ポリエステル繊維と、銀を含有するアクリロニトリル系繊維とを素材にフィルター3が形成されていて、蒸気滅菌可能となっている。なお、捕捉した雑菌は、フィルター3自体の抗菌性によって殺菌できるので、フィルター3の孔径は、雑菌の通過を抑制できるものであればよく、それだけ空気や水蒸気を通過させ易くできる点でも有利である。 【0018】 フィルター3は、さらに光が当たることで抗菌性が高まる光触媒活性を有する。詳しくは、先の抗菌性を付与したアクリロニトリル系繊維の二トリル基の一部を酸処理し、銀イオンを担持させることにより光触媒活性が付与されている。 【0019】 通気口2は、約5〜6cm角の四角形状に袋本体1を打ち抜き形成されており、上部開口から約5cm下側に位置している。この通気口2を覆って一枚のフィルター3が剥離容易に貼着されている。 【0020】 具体的には、図2および3に示すように、フィルター3は、縦横約8〜9cmの四角形状に形成されていて、通気口2の縦横寸法よりも一回り大きくなっており、フィルター3の全周縁部にシールしろ4が形成されている。シールしろ4の少なくとも片面には、全周にわたって蒸気滅菌可能なシーラント樹脂が塗布されてシール層5が形成されており、袋本体1にヒートシール可能になっている。フィルター3は、シール層5を袋本体1側に向けた状態でプレートヒーターなどで熱圧着して通気口2の全周を線シールする。線シールの外側にシールしろ4のへりがはみ出ており、剥離時に摘み易くなっている。シール強度は、剥がし易さの観点から0.1〜1.5N/15mmに設定するのが好ましい。 【0021】 かかる菌床培養袋を用いたきのこの菌床培養は、次の(1)〜(5)の工程からなる方法によって行われる。なお、培養工程以降は常法に従い、1週間程度の抑制期間、原基形成を経た後、きのこを発生させて収穫する。 【0022】 (1) 充填工程 おがくずや米糠などに加水混合した培養基6の袋詰を行う。培養基6は、密封時に袋内上部に換気空間7が残る程度に袋詰する。1袋当たりおよそ2kg程度の量が充填できる。 【0023】 (2) 滅菌工程 培養基6に含まれる雑菌を死滅させるために、菌床培養袋ごと滅菌する。菌床培養袋の上部開口を折り曲げてクリップ止めするなどして仮封し、滅菌釜にて高圧下で蒸気滅菌する。滅菌条件は、培養基6の最遅温度昇温部位で121℃達温後30分が目安となる。 【0024】 (3) 放冷工程 滅菌後の培養基6は、高温状態にある。そこで、種菌が接種できるまで菌床培養袋を清浄な雰囲気下に静置して常温まで放冷させる。このとき、フィルター3を光によく曝して光触媒活性によりその抗菌性を高め、フィルター3に付着した雑菌がよく死滅するようにする。 【0025】 (4) 接種工程 培養基6の温度が充分に下がった後、無菌的に培養基6の上面に種菌を接種する。接種後は、直ちに菌床培養袋の上部開口をシールして密封する。このとき、図1に示すように袋内上部に換気空間7を形成して通気口2が培養基6に接しないようにしておく。シール後の菌床滅菌袋は、通気口2を覆うフィルター3を介してのみ袋内外の空気および水蒸気の交換を行うことができる。 【0026】 (5) 培養工程 種菌を接種した培養基6入りの菌床培養袋は、その後は暗所に静置保管して菌糸を生長させる。この間にフィルター3に捕捉された雑菌は、フィルター3に含まれる抗菌性金属によってその増殖が抑制される。ここでの培養条件は、きのこの種類にもよるが、一般に温度20℃、相対湿度70%、培養期間120日が目安となる。本発明では培養途中において、菌糸が培養基6上面から下方の半分程度にまで蔓延した時点で、フィルター3を袋本体1から剥離して取り外す。これにより、菌糸が蔓延し始めて酸素要求量が増えた時点で通気量を一気に増加させることができるため、それ以降の菌糸の生長をよりいっそう促進でき、培養期間の短縮を図ることができる。 【0027】 本発明の培養方法をしいたけの菌床培養について、従来方法と比較した実験結果を表1に示す。実験では、培養期間、しいたけの収穫量、良品率(A級品の比率)および雑菌汚染率について比較した。ここでの実施例は、上記実施例1の菌床培養袋および菌床培養方法による。比較例は、本発明のフィルター3に替えて抗菌性のない通常のフィルターを使用し、培養中にフィルター3を剥離しなかった以外は、実施例と同じ条件下で処理した。 【0028】 【表1】
【0029】 実施例では比較例に比べて培養期間の短縮効果が認められた。きのこの収穫量は、実施例が比較例に比べて約6割増量した。雑菌汚染率が0%に低下し、良品率も99%と非常に高かった。よって、本発明の菌床培養袋を用いた菌床培養方法によれば、従来法と比べて培養期間が短縮でき、しいたけの収率および品質の向上が図れることが検証できた。 【0030】 図4は、通気口2の別実施例を示す。そこでは、通気口2を格子状に配置した一群の小孔8で構成した。これによれば、菌糸が直接フィルター3に触れ難くできる。 【0031】 通気口2の個数は限定しない。通気口2の形状は円形や三角形であってもよい。通気口2の開口面積は、きのこの種類や菌床の状態に応じて設定でき、およそ総面積で10〜50cm2 の範囲で設定することができる。フィルター3にシーラント樹脂を含ませて成形し、フィルター3自体がヒートシール可能に成形してあってもよい。この場合、フィルター3の全面でヒートシール可能となるため、シール時のシールしろ4の位置決めに高度な精度が不要となるので、シール工程を自動化する場合に有利となる。袋本体1は、ガゼット袋に限らずスタンディング袋でもよく、箱型や丸型など、その形状も問わない。フィルター3と袋本体1との間に通気口2を覆う網状部材を挟んだ状態でフィルター3を袋本体1に貼着して、菌糸がフィルター3に触れ難くしてもよい。 【図面の簡単な説明】 【0032】 【図1】菌床培養袋の全体斜視図 【図2】通気口に貼着したフィルター部分を示す概念図 【図3】図2の矢印方向から見た断側面図 【図4】通気口の別実施例を示す正面図 【符号の説明】 【0033】 1 袋本体 2 通気口 3 フィルター 4 シールしろ 5 シール層 6 培養基 7 換気空間 8 小孔
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| 【出願人】 |
【識別番号】598082064 【氏名又は名称】株式会社アサヒケミカ 【識別番号】504228357 【氏名又は名称】熊谷 吉男
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| 【出願日】 |
平成16年6月14日(2004.6.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077920 【弁理士】 【氏名又は名称】折寄 武士
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| 【公開番号】 |
特開2005−348682(P2005−348682A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月22日(2005.12.22) |
| 【出願番号】 |
特願2004−174962(P2004−174962) |
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