| 【発明の名称】 |
撥水性有機資材を含む高吸水性軽量培土及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】粕谷 恵美子 【住所又は居所】東京都新宿区新宿二丁目5番5号 奥多摩工業株式会社内
【氏名】伊藤 修一 【住所又は居所】東京都新宿区新宿二丁目5番5号 奥多摩工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撥水性有機資材を含む高吸水性軽量培土の製造方法であって、前記撥水性有機資材に粘土鉱物の粉状物、加熱により不溶化する水溶性高分子材料からなるバインダー及び水を加え、混合し、水分10重量%以下となるまで品温70℃以上150℃以下の温度で加熱乾燥することを特徴とする製造方法。 【請求項2】 前記有機資材は、嵩比重が0.25以下の軽量資材であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。 【請求項3】 前記粘土鉱物は、ゼオライト、ベントナイト、カオリナイト及び火山灰土から選択される1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。 【請求項4】 前記バインダーは、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、アクリル酸樹脂及びデンプンから選択される1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の製造方法。 【請求項5】 前記加熱乾燥の前後のいずれかに、肥料を添加する工程を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の製造方法。 【請求項6】 前記加熱乾燥時に造粒を行なうことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の製造方法。 【請求項7】 請求項1ないし6の製造方法によって製造された高吸水性軽量培土。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、培土用資材として広く利用されているピートモス等の撥水性有機資材の撥水性を改善する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 農業用や園芸用の育苗培土では、保水性、通気性、保肥力を持たせるために、性質の異なる有機資材や粘土鉱物を適当な割合で配合したものが一般的に用いられており、ピートモスやココナッツダスト等の有機資材は、保水性、通気性に富むという特性があり、培土資材として多用されている。これら培土は、作業性の観点から軽量化が求められている。 【0003】 しかし従来の培土は、嵩比重の全く異なる材料を混合していたため、分散性が悪く、また培土全体の嵩比重も0.25程度が限界であった。 また従来の培土は、水分25〜30重量%で保存した場合、1ヶ月程度で変質することが明らかとなった。培土の保存性を向上させるために水分含有量を低下させると、有機資材の撥水性により播種潅水時の吸水性が低下するという問題がある。 【0004】 有機資材の撥水性の改善については、従来、種々の撥水防止方法或いは撥水抑制方法が提案されており、例えば特許文献1には、ピートモスを界面活性剤で処理する技術が開示されている。また特許文献2には、減圧下で有機資材を処理し、その内部空隙にベントナイト等の粘土質の資材や界面活性剤を入れる技術が開示されている。 【0005】 さらに特許文献3には、吸水性の粘土資材のベントナイト微粉末をピートモス表面にまぶした後、加圧してピートモス表面にベントナイト皮膜を形成する方法が開示されている。特許文献3に記載された技術では、水分含有率0%を基準にした場合のピートモスの吸水速度を0.2ml/minから4ml/min程度に改善できるとされている。 【特許文献1】特開平10−164975号公報 【特許文献2】特開平11−266694号公報 【特許文献3】特許第3389017号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし界面活性剤を用いた方法では、保存による水の蒸発や界面活性剤の撥水防止能力の低下から、経時的に撥水性が強くなり再び吸水性が低下するという問題がある。また特許文献2や特許文献3に記載された技術では、減圧下或いは加圧下の処理が必要であるため、処理装置が大掛かりになるという欠点がある。 本発明は、持続的な撥水防止効果があり、保存性に優れ、且つ超軽量の培土資材を提供することを目的とする。また本発明は、簡単に界面活性剤等を用いることなく撥水有機資材の撥水性を防止し、高吸水性があり且つ超軽量培土資材を製造する方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 上記課題を解決する本発明の高吸水性軽量培土の製造方法は、撥水性有機資材に粘土鉱物の粉状物、加熱により不溶化する水溶性高分子材料からなるバインダー及び水を加え、混合し、水分10重量%以下となるまで品温70℃以上150℃以下の温度で加熱乾燥することを特徴とする。 本発明の高吸水性軽量培土の製造方法においては、加熱乾燥の前後のいずれかに、肥料を添加する工程を含むことができ、また加熱乾燥時に造粒を行なうことも可能である。 本発明の高吸水性軽量培土は、上記製造方法によって製造されたものである。 【0008】 以下、本発明の高吸水性軽量培土の製造方法を詳述する。 本発明の高吸水性軽量培土の製造方法は、具体的には、ピートモス、ココナッツのハスク粉砕品(ハスクダスト、コイヤーダスト、ココチップス等と呼ばれるココナッツダスト)等の撥水性有機資材を主原料とし、特に水分含有率0%時における嵩比重が0.25以下の軽量資材を主原料とする。これら軽量資材は、一般に園芸用資材として用いられるものであるが撥水性が高く、単独では培土として用いることは少ない。本発明の製造方法は、主原料の撥水防止処理方法としても適用でき、撥水防止処理後の軽量資材は単独で培土として使用できるものとなる。 【0009】 有機資材と混合される粘土鉱物は、ゼオライト、ベントナイト、カオリナイト、火山灰土、赤玉土、鹿沼土等であり、特に陽イオン交換容量(CEC)10meq/100g以上で粒径1mm以下、好ましくは0.01〜0.3mmの粉状物を含んだ粘土鉱物が好適である。粒径1mm以下の粉状物を用いることにより、有機資材の表面に均一な粘土鉱物の皮膜が形成され、有機資材の撥水を防止し、得られる培土の吸水性を向上することができる。有機資材と粘土鉱物の配合割合は、有機資材の種類によっても異なるが1:0.2〜5、好ましくは1:0.5〜2の範囲とする。粘土鉱物の配合割合を調整することにより、得られる培土の嵩比重を調整することができる。 【0010】 バインダーは加熱により不溶化する水溶性高分子材料(自己架橋性高分子材料)からなり、具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチエルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、デンプン等の公知の結合材を1種または2種以上を混合して用いることができる。これらのうちポリビニルアルコールが好適であり、特に重合度200以上、好ましくは400〜2000、ケン化度70〜99モル%、好ましくは80〜90モル%の部分ケン化ポリビニルアルコールが好適である。またデンプンやスターチ等の天然物を使用した場合には天然素材100%の培土とすることができる。 【0011】 このような自己架橋性高分子材料は、造粒のための成型助剤として使用されているものであるが、本発明においては、上述した撥水有機資材及び粘土鉱物と混合することにより、粘土鉱物を有機資材の表面に付着させ、吸水性を向上させ、持続的に撥水を防止するという予期しない効果が得られたものである。また有機資材と粘土鉱物とを混合する際に、嵩比重の差に起因する分散性の低下を防止し、分散性を向上することができる。さらに撥水有機資材、粘土鉱物及び必要に応じて添加させる肥料を含めた培土資材全体を造粒する際の結着材としても機能し、超軽量で優れた性質の培土を製造することができる。 【0012】 自己架橋性高分子材料の添加量は、有機資材に対し1:0.005〜0.5、好ましくは1:0.01〜0.3の範囲とする。このような範囲で添加することにより、植物の生育を阻害することなく持続的な撥水防止効果を得ることができる。 【0013】 本発明の撥水防止方法は、上述した有機資材、粘土鉱物及び高分子材料を適切な配合量で配合し、水を加えて混合し、その後、品温として70〜150℃、好ましくは100〜120℃となるように加熱しながら水分量10重量%以下となるように乾燥する。資材等に添加する水の量は、資材そのものに含まれる水分量によっても異なるが、有機資材、粘土鉱物及び高分子材料の合計量を1とした場合に、その0.5〜3倍程度添加する。 水を加えて混合することにより、水溶性の高分子材料が結着材として機能し、粘土鉱物を有機資材の表面に付着させ、その後の加熱乾燥工程において、架橋し不溶化することによって、経時的な変化を生じにくい資材とするものと考えられる。 【0014】 乾燥処理の時間は特に限定されないが、水分量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下となるように乾燥する。水分量を10重量%以下とすることにより、培土保管中の雑菌の繁殖を抑制し、微生物活動による変質を防止することができる。 【0015】 本発明の培土の製造方法(撥水防止処理方法)によれば、単に有機資材を粘土鉱物、高分子材料及び水と混合し、加熱乾燥するという簡単な工程で、嵩比重が小さく吸水速度が大きい良質な培土資材を得ることができる。具体的には水分10重量%未満のときの嵩比重が0.1〜0.4、吸水速度が5ml/min以上の撥水防止効果を得ることができる。 なお本発明の培土の製造方法では、必要な材料を混合した後、所望の粒径に造粒した後、加熱乾燥してもよく、これにより粒状の培土を得ることができる。 【0016】 本発明の培土は、上記製造方法によって製造されたものであり、必要に応じて、硫安、尿素、燐安、塩化カリウム、過燐酸石灰等の肥料成分を配合することができる。肥料成分は乾燥工程に先立って配合してもよいし、乾燥後に配合しても良いが、乾燥工程或いは造粒工程に先立って配合することにより、肥料成分を培土中に均一に分散させることができる。肥料の添加量は、特に限定されないが、通常培土の0.05〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%とする。 【0017】 本発明の培土は、用途に応じてさらに、例えば、粒状ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、ロックウール等の資材を配合することも可能であり、園芸用育苗培土、緑化資材等として利用することができる。 【実施例】 【0018】 以下、本発明の実施例を説明する。 【0019】 [実施例1及び比較例1〜3] ココナッツダスト(商品名:ココナッツ・ハスクダスト、フィリピン製)、ゼオライト(平均粒径1mm以下)、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度:88モル%、重合度:500)及び水を、表1に示す割合で配合、混合した後、約100℃で水分量0%となるまで乾燥した。乾燥後の資材について、嵩比重、吸水速度及び透水速度をそれぞれ測定した。吸水速度は、底部に水透過用のフィルタを設けた100mlの円筒状容器(直径約5cm×高さ約5cm)に乾燥後の資材を入れ、円筒下部を水に浸し、下部から1cmの水位を維持しながら1分間に吸水する量(ml)を測定した。また透水速度は、吸水速度を測定した後の円筒を水で飽和させ、円筒上部2.5cmの水位を維持しながら円筒下部へ通過する水の量(ml/分)を測定した。結果を表1に示す。 【0020】 [比較例4] 実施例と同じココナッツダスト及びゼオライトに、界面活性剤(商品名:アクアグロー2000L、ノニオン系)及び水を表1に示す割合で配合、混合した後、約100℃で水分量0%となるまで乾燥した。乾燥後の資材について、嵩比重、吸水速度及び透水速度をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。 【0021】 【表1】
【0022】 表1に示す結果からもわかるように、ゼオライト、ココナッツダスト、ポリビニルアルコール及び水の四成分を配合した実施例1の資材では、嵩比重が軽く、優れた吸水速度、透水速度が得られた。一方、ゼオライトとココナッツダストのみを混合、乾燥したものでは(比較例1)、嵩比重が若干重く、吸水速度、透水速度も良好な結果が得られなかった。これはココナッツダストの間に存在する粉状のゼオライトが壁を作り吸水を妨害したものと思われる。比較例1のものに水を加えた場合には(比較例2)、嵩比重、吸水速度及び透水速度がそれぞれ改善されたが、実施例1に比べ低く、特に透水速度は不十分であった。またゼオライトを含まないものでは(比較例3)、嵩比重の重いゼオライトを添加していないため嵩比重は0.1と非常に軽いが、吸水速度は悪く撥水していることがわかる。 【0023】 ポリビニルアルコールを用いることなく界面活性剤を添加した比較例4のものでは、優れた吸水速度が得られたが、嵩比重は若干重かった。 実施例1と比較例4のものについては、さらに経時的な吸水速度の変化を観察した。その結果を表2に示す。 【0024】 【表2】
【0025】 表2の結果からもわかるように、実施例1の資材では1ヶ月経過後でも吸水速度に変化がないのに対し、界面活性剤を用いた比較例4の資材では1ヵ月後には吸水速度が半分以下に低下した。 【0026】 [実施例2〜4] 有機資材の種類及び配合比を変えて、それ以外は実施例1と同様に撥水防止処理を行い、処理後の資料の嵩比重、吸水速度及び透水速度を測定した。結果を表3に示す。 [実施例5] 実施例3と同じ有機資材を同じ配合比で用い、乾燥温度のみ異ならせて、撥水防止処理を行い、処理後の資料の嵩比重、吸水速度及び透水速度を測定した。結果を表3に示す。 【0027】 【表3】
【0028】 表3に示す結果からもわかるように、有機資材の種類や配合割合を変えた場合でもバインダー及び水の量を適宜調節することにより、実施例1と同様に吸水性に優れ嵩比重の小さい培土資材が得られた。但し乾燥温度が低い場合には、十分には撥水性が改善されなかった。 【0029】 [実施例6] 実施例1と同じ有機資材を同じ配合比で用い、乾燥時の水分量を0〜40%に変えて撥水防止処理を行った。得られた培土を一ヶ月間20〜30℃の環境で保管した後、寒天培地(商品名:バイオチェッカー)で好気性細菌(Bacteria)とカビ(Fungi)数を簡易的に計測した。その結果、培地の水分量が表4に示すように10%を超えると急激なカビの繁殖が認められた。 【表4】
【産業上の利用可能性】 【0030】 本発明によれば、ピートモスやココナッツダストのような撥水性の有機資材の撥水性を簡単な工程で防止し、高吸水性で撥水防止効果が長時間持続し且つ超軽量の培土を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390020167 【氏名又は名称】奥多摩工業株式会社 【住所又は居所】東京都立川市曙町一丁目18番2号
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| 【出願日】 |
平成16年6月4日(2004.6.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099852 【弁理士】 【氏名又は名称】多田 公子
【識別番号】100099760 【弁理士】 【氏名又は名称】宮川 佳三
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| 【公開番号】 |
特開2005−341898(P2005−341898A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月15日(2005.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−167019(P2004−167019) |
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