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【発明の名称】 ヘッジトリマー
【発明者】 【氏名】奥村 道男
【住所又は居所】愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 株式会社マキタ内

【氏名】高橋 聡
【住所又は居所】愛知県安城市住吉町3丁目11番8号 株式会社マキタ内

【要約】 【課題】複数種類の刈り込み作業に適用できるヘッジトリマーにおいて、偏心カムを削減する上で有効な技術を提供する。

【解決手段】ヘッジトリマーにおいて、本体部101に選択的に着脱自在とされた第1および第2の両刃駆動式ブレード装置141,151は、それぞれ、本体部への装着状態において第1、第2、第3のカム133,135,137のうちの2つと係合されて当該カムの回転動作に基づき対向状に往復動作する一対のブレードを有する。第1の両刃駆動式ブレード装置141が本体部に装着された状態では、一対のブレードは、第1および第2のカム133,135に係合される構成とし、第2の両刃駆動式ブレード装置151が本体部に装着された状態では、一対のブレードは、第2および第3のカム135,137に係合される構成とし、第2のカム135は、回転駆動装置の回転部材126に対し、第1の両刃駆動式ブレード装置駆動用として設定された第1の位置と、第2の両刃駆動式ブレード装置駆動用として設定された第2の位置とに変位可能に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動装置を収容する本体部と、
前記回転駆動装置の回転部材に装着される少なくとも第1、第2および第3のカムと、
前記本体部に選択的に着脱自在とされた少なくとも第1および第2の種類の両刃駆動式ブレード装置と、を有するヘッジトリマーであって、
前記第1および第2の両刃駆動式ブレード装置は、それぞれ、前記本体部への装着状態において前記カムのうちの2つと連結されて当該カムの回転動作に基づき対向状に往復動作することによって被切断物の切断作業を遂行する一対のブレードを有し、
前記第1の両刃駆動式ブレード装置が前記本体部に装着された状態では、当該第1の両刃駆動式ブレード装置の一対のブレードは、第1および第2のカムに連結される構成とし、
前記第2の両刃駆動式ブレード装置が前記本体部に装着された状態では、当該第2の両刃駆動式ブレード装置の一対のブレードは、第2および第3のカムに連結される構成とし、
前記第2のカムは、前記回転部材に対し、前記第1の両刃駆動式ブレード装置駆動用として設定された第1の位置と、前記第2の両刃駆動式ブレード装置駆動用として設定された第2の位置とに変位可能に構成されていることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッジトリマーであって、
前記第1および第2のカムは、当該第2のカムが前記第1の位置に装着された状態では、それら両カムの中心同士を結ぶ線分の中点が回転中心となるよう設定され、前記第2および第3のカムは、当該第2のカムが前記第2の位置に装着された状態では、それら両カムの中心同士を結ぶ線分の中点が回転中心となるよう設定されていることを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヘッジトリマーであって、
前記各両刃駆動式ブレード装置は、一対のブレードが対向状に往復移動することを許容するように当該ブレードを保持するガイドプレートを介してユニット化され、前記ガイドプレートを、前記本体部に装着したとき、前記一対のブレードが対応する2つのカムに連結されるように構成したことを特徴とするヘッジトリマー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のヘッジトリマーであって、
前記第1の両刃駆動式ブレード装置は、生垣の刈り込み作業に用いられる生垣用ブレード装置であって、一対のブレードが対向状に直線往復運動することで枝葉の切断作業を遂行する構成とされ、前記第2の両刃駆動式ブレード装置は、芝生の刈り込み作業に用いられる芝生用ブレード装置であって、一対のブレードが前記生垣用ブレード装置のブレードの移動方向と交差する方向に対向状に往復揺動運動することで芝の切断作業を遂行する構成とされていることを特徴とするヘッジトリマー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば生垣の刈り込みあるいは街路樹の剪定等の園芸作業に用いられるヘッジトリマーに関し、詳しくはブレードの交換によって複数種類の刈り込み作業に適用することが可能なヘッジトリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−117267号公報(特許文献1)には、生垣の刈り込み作業と芝生の刈り込み作業に適用することが可能なヘッジトリマーに関する技術が開示されている。上記公報記載のヘッジトリマーは、上下に配置される2枚のブレードの両方をそれぞれ駆動する両刃駆動式であって、回転駆動装置を備えた本体と、生垣の刈り込み作業に用いられる生垣用のブレードユニットと、芝生の刈り込み作業に用いられる芝生用のブレードユニットとから構成されている。そして本体に対し、生垣用のブレードユニットと芝生用のブレードユニットを交換することによって生垣あるいは芝生の刈り込み作業を遂行できる構成としている。このようなヘッジトリマーによれば、ブレードユニットの交換によって、生垣と芝生の刈り込み作業に適用できるため、専用機に比べて経済的であり、しかもブレードの両方を駆動する両刃駆動式であることから、ブレードの一方を駆動する片刃駆動式に比べて高速で刈り込み作業を遂行することができるといった利点を有する。
【0003】
ところで、生垣の刈り込み作業に適用されるブレードが、使用者から見て前後方向に直線状に往復動作して枝葉を切断するのに対し、芝生の刈り込み作業に適用されるブレードは、生垣用ブレードの移動方向と直交する方向である左右方向に円弧状に往復揺動動作して芝生を切断する構成である。そして上述した公報記載の従来のヘッジトリマーの場合、ブレードのみならず、当該ブレードを往復動作させるカムをも含めたユニット構造とし、このユニット構造のブレード、すなわちブレードユニットを交換することで、生垣と芝生の刈り込み作業を可能としている。しかしながら、ブレードユニットはそれぞれが専用のカムを備える構成であり、ブレードの枚数に対応する数の専用のカムが必要になる。その結果、構造が複雑化し、コストがアップし、あるいは重量が増大することとなり、この点でなお改良の余地がある。
【特許文献1】特開2003−117267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、複数種類の刈り込み作業に適用できるヘッジトリマーにおいて、カムを削減する上で有効な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、回転駆動装置を収容する本体部と、回転駆動装置の回転部材に装着される少なくとも第1、第2、第3のカムと、本体部に選択的に着脱自在とされた少なくとも第1および第2の種類の両刃駆動式ブレード装置と、を有するヘッジトリマーが構成される。ここで「回転駆動装置の回転部材」とは、例えば駆動源としての電動モータの回転出力をカム装置に伝達するために備えられる回転駆動装置において、当該回転出力をカムに直接伝達する回転部材を指し、典型的には従動歯車あるいは当該従動歯車と一体回転する回転軸を好適に包含する。また「カム」としては、典型的には偏心カム(円盤カム)を用いるが、当該偏心カムに限らず、ハートカム、接線カム、ヨークカム等を好適に用いることが可能である。要するにカムは、回転運動を従動側のブレード装置に動力を伝達できる構成であればよく、形状につき特定するものではない。また「選択的に着脱自在」とは、第1の種類の両刃駆動式ブレード装置が装着されている状態では、第2の種類の両刃駆動式ブレード装置が取り外され、第2の種類の両刃駆動式ブレード装置が装着されている状態では、第1の種類の両刃駆動式ブレード装置が取り外されている状態を指し、いわゆる交換装着が可能な構成を意味する。
【0006】
本発明におけるヘッジトリマーによれば、特徴的な構成として、第1および第2の両刃駆動式ブレード装置は、それぞれ、本体部への装着状態においてカムのうちの2つと連結されて当該カムの回転動作に基づき対向状に往復動作することによって被切断物の切断作業を遂行する一対のブレードを有し、第1の両刃駆動式ブレード装置が本体部に装着された状態では、当該第1の両刃駆動式ブレード装置の一対のブレードは、第1および第2のカムに連結される構成とし、第2の両刃駆動式ブレード装置が本体部に装着された状態では、当該第2の両刃駆動式ブレード装置の一対のブレードは、第2および第3のカムに連結される構成としている。また第2のカムは、回転部材に対し、第1の両刃駆動式ブレード装置駆動用として設定された第1の位置と、第2の両刃駆動式ブレード装置駆動用として設定された第2の位置とに変位可能に構成されている。
なお「一対のブレード」とは、互いに重なり合うように配置された2枚のブレードを指し、典型的には2枚のブレードが重なり合って直線状に往復移動する生垣用のブレード、あるいは2枚のブレードが重なり合って円弧状に往復移動される芝生用のブレードがこれに該当する。また「変位可能」の形態としては、回転部材に対し第2のカムが単独で変位する態様、あるいは第1および第3のカムと一体状に変位する態様のいずれをも好適に包含する。また回転部材に対してカムを付け替えることで変位する態様、装着したままの状態で位置を変える態様のいずれも好適に包含する。
【0007】
本発明のヘッジトリマーによれば、第1および第2の種類の両刃駆動式ブレード装置を適宜交換することによって異なる種類の刈り込み作業に適用することができる。この場合において、本発明では、第1、第2、および第3のカムのうちの第2のカムを、第1および第2の両刃駆動式ブレード装置の駆動用として共用できるため、カム数を従来に比べて減らすことが可能となった。その結果、ヘッジトリマーにつき構造の簡素化、コストの低減、あるいは軽量化を図ることが可能となった。
【0008】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のヘッジトリマーにおける第1および第2のカムは、当該第2のカムが第1の位置に装着された状態では、それら両カムの中心同士を結ぶ線分の中点が回転中心となるよう設定され、第2および第3のカムは、当該第2のカムが第2の位置に装着された状態では、それら両カムの中心同士を結ぶ線分の中点が回転中心となるよう設定された構成とされる。このような構成とすることにより、使用すべき両刃駆動式ブレード装置に対応した好適な偏心量のカム位置が設定されることになる。これにより両刃駆動式ブレード装置の性能を維持しつつ異なる被切断物の切断作業に適用し得るヘッジトリマーを提供することが可能となる。
【0009】
(請求項3に記載の発明)
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載のヘッジトリマーにおける各両刃駆動式ブレード装置は、一対のブレードが対向状に往復移動することを許容するように当該ブレードを保持するガイドプレートを介してユニット化されている。そしてガイドプレートを、本体部に装着したとき、一対のブレードが対応する2つのカムに連結されるように構成されている。請求項3の発明によれば、各両刃駆動式ブレード装置がユニット構造とされており、これにより本体部に対する交換作業を簡単に行うことができる。
【0010】
(請求項4に記載の発明)
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載のヘッジトリマーにおいて、第1の両刃駆動式ブレード装置は、生垣の刈り込み作業に用いられる生垣用ブレードであって、一対のブレードが対向状に直線往復運動することで枝葉の切断作業を遂行する構成とされ、第2の両刃駆動式ブレード装置は、芝生の刈り込み作業に用いられる芝生用ブレード装置であって、一対のブレードが生垣用ブレード装置のブレードの移動方向と交差する方向に対向状に往復揺動運動することで芝の切断作業を遂行する構成とされている。かかる構成によれば、一台のヘッジトリマーを用いて生垣の刈り込み作業と芝生の刈り込み作業を適宜選択的に遂行することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数種類の異なる刈り込み作業に適用できるヘッジトリマーにおいて、カムを削減する上で有効な技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本実施の形態に係るヘッジトリマー100の全体構成が図1、図2および図5に側断面図として示され、またヘッジトリマー100の底面(下面)側の構成が図3および図6に示される。図1、図2および図3は、ヘッジトリマー100に生垣用ブレード装置141が装着された場合を示し、図5および図6はヘッジトリマー100に芝生用ブレード装置151が装着された場合を示している。また図2は偏心カム131を図1に示す状態から概ね90度回転させたときの状態を示している。図4はカム装置131を生垣の刈り込み作業に用いる場合の取付位置を説明する図であり、図7はカム装置131を芝生の刈り込み作業に用いる場合の取付位置を説明する図である。また図8はカム装置131を説明するための底面側から見た図である。
【0013】
本実施の形態に係るヘッジトリマー100の全体構成につき図1、図2および図5を参照して説明する。ヘッジトリマー100の本体部101は、ハウジング103と、当該ハウジング103の後側(図1および図2の左側)に配置されるハンドル(ハンドグリップ)105を主体に構成される。ハウジング103内には、電動モータ111および当該電動モータ111の回転出力を適宜減速してカム装置131に伝達する回転駆動装置121が収容配置されている。回転駆動装置121の下方には、カム装置131が配置され、このカム装置131に対して、両刃駆動式の生垣用ブレード装置141(図1〜図3参照)あるいは芝生用ブレード装置151(図5および図6参照)が選択的に係合される構成とされる。カム装置131に係合された生垣用ブレード装置141あるいは芝生用ブレード装置151は、当該カム装置131の回転駆動に基づき2枚のブレード142,143,152,153が対向状に往復移動されて生垣あるいは芝生の刈り込み作業を遂行する構成とされる。上記の生垣用ブレード装置141および芝生用ブレード装置151が本発明における「両刃駆動式ブレード装置」に対応する。また上記の2枚のブレード142,143,152,153が本発明における「一対のブレード」に対応する。
【0014】
次に各機構部の詳細につき説明する。電動モータ111は、出力軸113を下側にして回転軸線が上下方向(縦向き)となるように配置され、出力軸113の先端部(下端部)にはピニオン115が形成されている。ハンドル105には、電動モータ111の通電駆動用の電源スイッチ107を操作するトリガ109が備えられている。
【0015】
回転駆動装置121は、出力軸113のピニオン115に噛み合い係合するとともに、第1支軸122を回転中心として水平面内にて回転する中間大ギア123、当該中間大ギア123に一体に形成された中間小ギア124、中間小ギア124に噛み合い係合するとともに、第2支軸125を回転中心として水平面内にて回転される従動ギア126を主体に構成される。なお第1支軸122および第2支軸125は、出力軸113と平行(軸線が鉛直方向)に配置される。また第2支軸125の下部側は、従動ギア126の下面から所定長さで突出されており、この突出部分が後述するカム装置131の取付軸部127とされている。上記の従動ギア126は、本発明における「回転部材」に対応する。
【0016】
カム装置131は、図4、図7および図8に示すように、上下方向に互いに重なり合うように配置された3枚の偏心カム(円盤カム)133,135,137によって構成されている。各偏心カム133,135,137は、2本の接合ピン139によって相互に接合されて一体化されている。上側(モータ側)に位置する上部偏心カム133(図8中の最も奥側に示される)と、中間に位置する中間偏心カム135が、生垣用ブレード装置141の駆動用として備えられ、中間偏心カム135と下側(底側)に位置する下部偏心カム137(図8中の最も手前側に最小径の円で示される)が、芝生用ブレード装置151の駆動用として備えられている。
すなわち、本実施の形態では、両刃駆動式ヘッジトリマーにおけるツインカムの上下いずれか一方に三番目のカムを追加することでトリプルカムとしたものであり、中間偏心カム135が生垣用ブレード装置141と芝生用ブレード装置151に共用される構成とされる。また本実施の形態では、上部偏心カム133と中間偏心カム135は、概ね外径が等しい円板で形成されており、これに対し下部偏心カム137は、後述の生垣用ブレード装置141に形成される長円孔142b,143bが通り抜けることが可能な小径の円板で形成されている。上記の上部偏心カム133が本発明における「第1の偏心カム」に対応し、中間偏心カム135が本発明における「第2の偏心カム」に対応し、下部偏心カム137が本発明における「第3の偏心カム」に対応する。
【0017】
図8に示すように、各偏心カム133,135,137には、生垣刈り込み作業時用の第1取付孔134と、芝生刈り込み作業時用の第2取付孔136が設けられている。第1取付孔134は、上部偏心カム133の中心P1と中間偏心カム135の中心P2とを結ぶ直線A上の中間位置、すなわち中心間距離の中点Q1に設けられている。また第2取付孔136は、中間偏心カム135の中心P2と下部偏心カム137の中心P3とを結ぶ直線A上の中間位置、すなわち中心間距離の中点Q2に設けられている。両取付孔134,136は、同一径に設定された円形の孔であり、前述した回転駆動装置121における第2支軸125の取付軸部127に対して着脱自在に嵌合される。すなわち、各偏心カム133,135,137は、第2支軸125の取付軸部127に対し、第1取付孔134と第2取付孔136とのいずれかを嵌め変えることにより、取付位置が変位可能に構成されており、取付軸部127に第1取付孔134を嵌合したときの位置が本発明における「第1の位置」に対応し、第2取付孔134を嵌合したときの位置が本発明における「第2の位置」に対応する。
【0018】
第1取付孔134を第2支軸125の取付軸部127に嵌合したときは(図4参照)、当該第1取付孔134の中心である中点Q1が各偏心カム133,135,137の回転中心となり、この中点Q1から上部偏心カム133の中心P1までの距離と、中点Q1から中間偏心カム135の中心P2までの距離が、互いに等しい偏心量E1となる。一方、第2取付孔136を第2支軸125の取付軸部127に嵌合したときは(図7参照)、当該第2取付孔136の中心である中点Q2が各偏心カム133,135,137の回転中心となり、この中点Q2から中間偏心カム135の中心P2までの距離と、中点Q2から下部偏心カム137の中心P3までの距離が、互いに等しい偏心量E2となる。なお芝生用として設定される偏心量E2は、生垣用として設定される偏心量E1よりも小さい値に設定されている。
【0019】
図2に示すように、上記の3枚の偏心カム133,135,137は、当該偏心カム133,135,137を貫通して、例えば蝋付けによって接合された2本の接合ピン139によって周方向に位置決めされた状態で接合されている。2本の接合ピン139は、上部偏心カム133の上面から所定長さで突出されており、第2支軸125の取付軸部127に各偏心カム133,135,137を嵌合する際、突出部分が従動ギア126に形成された位置決め孔に遊嵌状に挿入され、これにより、当該偏心カム133,135,137が従動ギア126に対して回り止め状態にセットされる。かくして、3枚の偏心カム133,135,137は、第2支軸125を回動支点にして従動ギア126とともに水平回転される構成とされる。
【0020】
次に生垣の刈り込み作業に用いられる生垣用ブレード装置141の構成および当該生垣用ブレード装置141のヘッジトリマー100に対する装着構造につき図1〜図3を参照して説明する。この場合、偏心カム133,135,137は、生垣用ブレード装置141の使用に対応するべく、図4に示すように、第1取付孔134を回転駆動装置121における第2支軸125の取付軸部127に嵌合した状態で従動ギア126にセットされる。
【0021】
生垣用ブレード装置141は、平面視で略帯板状に形成されるとともに、互いに重なり合う状態で同一水平軸線上に配置される上下2枚のブレード142,143と、当該2枚のブレード142,143が対向状に直線往復移動することを許容するように当該ブレード142,143を両側から挟着保持する上下2枚のガイドプレート144,145とからなるユニット構造とされている。なお上下のブレード142,143は、図3に示すように、基部側(図示左側)を除いた領域には、櫛刃状の切刃142a,143aを有する。上下のガイドプレート144,145は、当該ガイドプレート144,145間に介在されるスリーブ146、ガイドプレート144,145および当該スリーブ146を貫通するネジ(ボルト)147、当該ネジ147に締結されるナット148から構成される接合手段によって接合され、スリーブ146がブレード142,143に形成された移動方向に延びる長孔142c、143cに対し相対的に摺動自在に貫通される。これにより上下のガイドプレート144,145は、ブレード142,143の移動を許容する形態で互いに接合される。
【0022】
生垣用ブレード装置141は、ハウジング103の下面側(底面側)に形成された装着部103a(図3参照)に対し、下側のガイドプレート145の基部を取付ネジ149によって適数箇所を着脱自在に止着することで装着される。この装着状態では、切刃側がハウジング103の前方(図1〜3における右側)に水平状に延出される。上下のブレード142,143の基部(図1および図2の左側)には、それぞれ左右方向(ブレード142,143の移動方向と交差する方向)を長軸方向とする長円孔142b,143b(図3参照)が形成されており、生垣用ブレード装置141をハウジング103に装着した状態で、上側の長円孔142bが上部偏心カム133に係合され、下側の長円孔143bが中間偏心カム135に係合される構成とされる。係る構成により、いわゆるクランク機構が構成され、上部および中間の偏心カム133,135が回転されることで上下のブレード142,143が対向状(逆位相で)に水平直線往復運動を行う構成とされる。
【0023】
上記のように生垣用ブレード装置141を装着したときは、トリガ109の引き操作によって電源スイッチ107が投入(オン)され、これにより電動モータ111が通電駆動されると、ピニオン115から中間大ギア123および中間小ギア124を介して従動ギア123が水平面内にて回転され、これに伴いカム装置131の各偏心カム133,135,137が共に水平面内を回転運動される。従って、上部偏心カム133および中間偏心カム135に係合する上下のブレード142,143は、互いに逆方向(逆位相で)に水平直線往復運動を行い、上側のブレード142の切刃142aと、下側のブレード143の切刃143a間に被切断物としての枝葉を挟んで切断する。このとき、上下のブレード142,143は、前述したように、上部偏心カム133および中間偏心カム135の偏心量E1の2倍の移動量で移動する。
【0024】
次に芝生の刈り込み作業に用いられる芝生用ブレード装置151の構成および当該芝生用ブレード装置151のヘッジトリマー100に対する装着構造につき図5および図6を参照して説明する。この場合、偏心カム133,135,137は、芝生用ブレード装置151の使用に対応するべく、図7に示すように、第2取付孔136を回転駆動装置121における第2支軸125の取付軸部127に嵌合した状態で従動ギア126にセットされる。
【0025】
芝生用ブレード装置151は、平面視で略T字形に形成されるとともに互いに重なり合うように配置される上下2枚のブレード152,153と、下側のブレード153の下面(底面)側に配置されるガイドプレート154とからなり、それらブレード152,153およびガイドプレート154が1本の連結ピン155により水平面内にて相対的に回動自在に連結されたユニット構造とされている。上下のブレード152,153は、図6に示すように、先端側に櫛刃状の切刃152a,153aを有する。
【0026】
芝生用ブレード装置151は、ハウジング103の下面側(底面側)に形成された装着部103a(図6参照)に対し、基部側が樹脂製のアンダーカバー156を介して取付ネジ149(生垣用ブレード装置141の装着に用いられる取付ネジ149)によって着脱自在に止着することで装着される構成とされる。上下のブレード152,153の基部側には、それぞれ前後方向(ブレード152,153の移動方向と交差する方向)を長軸方向とする長円孔152b,153bが形成されている。上側のブレード152の長円孔152bは、中間偏心カム135に係合する寸法に形成され、下側のブレード153の長円孔153bは、下部偏心カム137に係合する寸法(従って、上側のブレード152の長円孔152bよりも小さい)に形成されている。すなわち、芝生用ブレード装置151を使用するときは、中間偏心カム135に上側のブレード152の長円孔152bが係合され、下部偏心カム137に下側のブレード153の長円孔153bが係合される。係る構成により、いわゆるクランク機構が構成され、中間および下部の偏心カム135,137の水平回転に伴い上下のブレード152,153が連結ピン155を中心として対向状(逆位相で)に円弧状に水平揺動往復運動を行う構成とされる。
【0027】
なお芝生用ブレード装置151を使用する場合は、下側2枚の偏心カム135,137を使用する関係で、ハウジング103の下面と芝生用ブレード装置151の上面間に間隙が生ずる。そこで本実施の形態では、ハウジング107の下面とアンダーカバー156の上面間に上記の間隙を詰めるべくスペーサ158(図5参照)を介在し、これによりハウジング107に対する防塵が図られている。
【0028】
上記のように芝生用ブレード装置151を装着したときは、トリガ109の引き操作によって電源スイッチ107が投入(オン)され、これにより電動モータ111が通電駆動されると、ピニオン115から中間大ギア123および中間小ギア124を介して従動ギア126が水平面内にて回転され、これに伴いカム装置131の各偏心カム133,135,137が共に水平面内を回転運動される。従って、中間偏心カム135および下部偏心カム137に係合する上下のブレード152,153は、連結ピン155を回動中心として互いに逆方向(逆位相で)に水平揺動往復運動を行い、上側のブレード152の切刃152aと、下側のブレード153の切刃153a間に被切断物としての芝を挟んで切断する。このとき、上下のブレード152,153の基部側は、中間偏心カム135および下部偏心カム137の偏心量E2の2倍の移動量で揺動され、切刃側は連結ピン155と偏心カム133,135,137の回転中心までの距離と、連結ピン155から切刃152a,153aまでの距離との比率で決まる移動量で移動することとなる。
【0029】
以上のように、本実施の形態では、生垣用ブレード装置141と芝生用ブレード装置151を交換することによって、生垣の刈り込み作業と芝生の刈り込み作業に供し得る両刃駆動式のヘッジトリマー100において、上、中、下の3枚の偏心カム133,135,137によってカム装置131を構成するとともに、従動ギア126に対する各偏心カム133,135,137の取付位置を変位可能とし、そして3枚の偏心カム133,135,137のうちの中間偏心カム135を、生垣用および芝生用の両ブレード141,151に対して共用する構成としたものである。これによって、偏心カムを含めてブレードユニット構造としていた従来のヘッジトリマーに比べてカム数を削減できる。その結果、構造の簡素化、コストの低減、あるいは軽量化を図る上で有効なヘッジトリマー100が提供されることとなった。
【0030】
また偏心カム133,135,137の取付位置を変える方式としたことで、生垣用に適した偏心量E1、芝生用に適した偏心量E2をそれぞれ確保し、生垣用ブレード装置141、芝生用ブレード装置151のそれぞれに好適な移動量(変位量)を与えることができる。このため、専用機と同等の性能を維持しつつ生垣用と芝生用の異なる2つの刈り込み作業を効率的に遂行できる。
【0031】
また本実施の形態によれば、主にカム装置131を設計変更することで、生垣と芝生との異なる2種の刈り込み作業に適用し得るヘッジトリマー100を提供できるため、現行の生垣の刈り込み作業用として設計されたヘッジトリマーをベースにして、生垣用および芝生用の兼用タイプのヘッジトリマー100を容易に製作することができる。生垣用ブレード装置141および芝生用ブレード装置151は、共にユニット構造であり、その交換作業を簡便に行うことができる。このため、生垣の刈り込み作業から芝生の刈り込み作業への変更あるいは芝生の刈り込み作業から生垣の刈り込み作業への変更は、ブレード141,151の交換作業と、カム装置131の取付位置の変換作業によって簡単に対応でき、使用者の使い勝手が低下することもない。
【0032】
なお本実施の形態では、3枚の偏心カム133,135,137を接合ピン139によって接合して一体状となし、それら全体を第2支軸125の取付軸部127に嵌め変えることで取付位置を変位する構成としたが、3枚の偏心カム133,135,137のうち、少なくとも生垣用ブレード装置141と芝生用ブレード装置151の駆動に共用する中間偏心カム135の取付位置を変位すれば本発明は成立する。
また本実施の形態では、3枚の偏心カム133,135,137を接合ピン139によって接合したが、各偏心カム133,135,137を1つの素材を加工することで一体に形成してもよい。また従動ギア126に対する各偏心カム133,135,137の取り付けは、ネジを用いてもよい。また生垣用ブレード装置141および芝生用ブレード装置151は、ユニット構造でなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係るヘッジトリマーの全体構成を示す側断面図であり、生垣用ブレード装置を装着した場合を示す。
【図2】同じくヘッジトリマーの側断面図であり、カム装置を図1の示す状態から概ね90度回転させた状態を示している。
【図3】生垣用ブレード装置を装着した状態のヘッジトリマーの一部切断底面図である。
【図4】生垣の刈り込み作業に用いる場合のカム装置の取り付けを説明する図である。
【図5】芝生用ブレード装置を装着した状態のヘッジトリマーの側断面図である。
【図6】芝生用ブレード装置を装着した状態のヘッジトリマーの一部切断底面図である。
【図7】芝生の刈り込み作業に用いる場合のカム装置の取り付けを説明する図である。
【図8】カム装置を説明するための底面側から見た図である。
【符号の説明】
【0034】
100 ヘッジトリマー
101 本体部
103 ハウジング
105 ハンドル
107 電源スイッチ
109 トリガ
111 電動モータ
113 出力軸
115 ピニオン
121 回転駆動装置
122 第1支軸
123 中間大ギア
124 中間小ギア
125 第2支軸
126 従動ギア(回転部材)
127 取付軸部
131 カム装置
133 上部偏心カム(第1のカム)
134 第1取付孔(第1の位置)
135 中間偏心カム(第2のカム)
136 第2取付孔(第2の位置)
137 下部偏心カム(第3のカム)
139 接合ピン
141 生垣用ブレード装置(両刃駆動式ブレード装置)
142,143 上下のブレード(一対のブレード)
142a,143a 切刃
142b,143b 長円孔
144,145 ガイドプレート
146 スリーブ
147 ネジ
148 ナット
149 取付ネジ
151 芝生用ブレード装置(両刃駆動式ブレード装置)
152,153 上下のブレード(一対のブレード)
152a,153a 切刃
152b,153b 長円孔
154 ガイドプレート
155 連結ピン
156 アンダーカバー
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【住所又は居所】愛知県安城市住吉町3丁目11番8号
【出願日】 平成16年6月3日(2004.6.3)
【代理人】 【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸

【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行

【公開番号】 特開2005−341885(P2005−341885A)
【公開日】 平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願番号】 特願2004−166188(P2004−166188)