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【発明の名称】 空気膜内張りカーテンフィルム
【発明者】 【氏名】植野 耕造
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1−3−1 東罐興業株式会社内

【要約】 【課題】透光性と断熱性に優れ、かつ必要に応じて空気膜の形成と排気巻き上げ機能をもったものであって、流通過程及び収納時はコンパクトな形態となる農業用フィルムを提供する。

【解決手段】農業用空気膜フィルムは、透光率が80%以上のものであって、片面に防曇処理が施されたポリオレフィン系樹脂または塩化ビニル樹脂からなるフィルムを素材とし、防曇機能を発揮する面1が順方向に重った形状でチューブ形態に形成され、該チューブ部6には多数の空気抜き孔が分布されると共に送風口4が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂または塩化ビニル樹脂からなるフィルムを素材とし、2枚重ねてチューブ形態に形成され、該チューブ部には多数の空気抜き孔が分布されると共に送風口が設けられた農業用空気膜フィルム。
【請求項2】
フィルム材は、透光率が80%以上であって片面に防曇処理が施され、防曇機能を発揮する面が順方向に重ねられてチューブ形態に形成されている請求項1に記載の農業用空気膜フィルム。
【請求項3】
空気抜き孔は少なくともチューブのいずれかの側面に適当な長さの溶着部分と非溶着部分とが交互になって形成されたものである請求項1又は2に記載の農業用空気膜フィルム。
【請求項4】
空気抜き孔は少なくともチューブの一方の面に一様に分布された小孔である請求項1乃至3のいずれかに記載の農業用空気膜フィルム。
【請求項5】
酸化チタン、カーボンブラック、アルミニウム或いはステンレスのいずれかを混練り,蒸着,スパッタリングまたは塗布処理したフィルムを使用したものである請求項1に記載の農業用空気膜フィルム。
【請求項6】
複数のものが空気膜層を形成しないシングル構造からなる所定幅の帯状フィルム部材で結合されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の農業用空気膜フィルム。
【請求項7】
空気膜フィルム面に切り口を設け、該切り口に沿って両側に合成樹脂の磁石を取り付けた構造であって、該両側の磁石が内圧が低いときは吸引力で切り口を塞ぎ内圧が高いときは開口するように作用して過圧自動解除機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の空気膜フィルム。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載の空気膜フィルムをハウス内カーテンとして用いたことを特徴とする農業用ハウスの構造。
【請求項9】
請求項1乃至7に記載の空気膜フィルムをハウス内トンネルとして用いたことを特徴とする農業用ハウスの構造。
【請求項10】
空気膜フィルムの膨らみ幅を検出するセンサと、検出した膨らみ量に応じて送風量を調節する手段とを備えた請求項8または9に記載の農業用ハウスの構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は栽培用ハウスに用いられる空気膜内張りカーテンフィルムとその使用形態技術に関する。
【背景技術】
【0002】
栽培用のハウスには、ハウス内の夜間温度の低下を防ぐ目的や暖房費の節約を目的として、従来からいくつかの方策が採られてきた。以下にその代表的なものを列記する。
第1の方策として透光率85%以上の防曇剤を混練したポリオレフィン系樹脂或いは塩化ビニル樹脂の農業用フィルムをハウス内面に被覆使用することが知られている。更に、夜間の保温性を高める目的で地下水をその内張りカーテンフィルム上に流すことで、夜間のハウス内温度低下を防ぐ手法も開発されている。
また、第2の方策としてはアルミや酸化チタンを混練或いは蒸着したフィルムをハウス内面に被覆使用するところによって、暖房費の節約や夜間室温の低下防止方法も開発されている。
第3の方策としては、ハウス内に独立したポリエチレン製のチューブを横並びに並べて、このチューブに空気を送風し、チューブの膨らみで保温性と気密性を作り出す保温方法も考案されている。この方式のものは空気を放出させればチューブ間に間隙が生じ通気性を得させることができるので、ハウス内が高温多湿になり過ぎたとき等必要に応じて外気を取り入れることができる機能を備えたものである。
第4の方策としては、ポリエチレン製で断面が矩形のハーモニカ状に成型された農業用フィルムが開発され、内張りカーテンとして使用されているものがある。
第5の方策としては、ハウスの外張りを二重被覆した構造とし、その中間に空気を送風して空気膜層を作ることによって、骨材で支えられているハウス構造の補強と保温性アップの機能を持たせた空気膜ハウスが開発されている。
特許文献1には「ビニールハウスの保温方法及び保温装置」であって、ビニール支持体の上に下部ビニールを設置し、この下部ビニールの上に1つまたは複数の保温用空気マットを設置して断熱外装部を形成し、保温用空気マットの上に上部ビニールを設置して、上下両ビニールの間に断熱中間層部を形成したものが提示されている。
以上のように、多種多様の方策が提示されているところである。
【0003】
しかし、既に開発されている上記の技術には以下のような問題があった。すなわち、第1の方策である透明内張りカーテン一重使用は、簡便で、ハウス内での作業性、収納性、経済性に優れている為一般普及しているが、外張りフィルムに比較して遠赤外熱吸収性が低いフィルムを使用しているため、作物栽培に必要な最低室温を確保することが難しく又暖房費も多くかかるという欠点があった。二重もしくは三重使用では、暖房費の節約や最低室温の確保には効果を発揮するものの、冬季の少ないハウス内の光線の透過率を落としてしまうという欠点がある。又この方式はカーテンの設置費用が高くなるだけでなく、設置のためにハウス内に設けた必要機材がハウス内光線透過率を低下させ、影が増えるという欠点があるため、一般普及されていない。
また、地下水を流す方式のものにおいては地下水が使用されることにより、保温性は良好だが、ハウス内の湿度が高くなって病原菌の温床になり易い環境を作るという問題を伴う。また、地下水に含まれる鉄錆等で、カーテンが赤茶色に着色し、透光性が悪くなりハウス内への光線透過が低下するといった問題があった。
【0004】
また、第2の方策であるアルミや酸化チタンを用いたフィルムを使用した場合は、嵩張ることなく高保温性を容易に確保でき、透明内張りカーテン使用と比較して40%程度の暖房費節約になるのであるが、光線を透過させない材質であるため日中には開け、日没時に閉ることが必要なことと、曇雨天の日には開放により室温の保温性が低下してしまうという問題があった。又降雪時には、ハウス天面位置の室温が上昇しないため、雪が解け難くハウスに雪が積もり易い。この種の保温性資材を使用したために降雪の重みでハウスが倒壊した等の被害が過去に起っている。
【0005】
また、第3の方策である独立したポリエチレンチューブを横並びに設置した内張りカーテン方式のものは空気の断熱性で保温性が高く、光透過性もあり、暖房費の節約率も内張りカーテン一重使用に比較して30%減と高効果であるが、一枚もののカーテン用フィルムと異なりチューブを一本一本取り付ける為設置作業に時間と労力を要した上に設備費用が高くついてしまう。また、不使用時、空気の抜けたチューブがハウス内にぶら下り、光線透過を妨げると共に見栄えが悪い等の欠点があり普及には至っていない。
【0006】
第4の方策であるポリエチレン製で断面が矩形形状のハーモニカ状に成型した内張りカーテン方式のものは、流通段階でかさばりすぎて、輸送及び保管経費が高くなり過ぎる欠点があり、使用現場では、ハーモニカ上の内面に結露が生じ易く、光線透過を損ない、カーテン使用のために、ハウス内に影が大きくなり過ぎる欠点があり普及していない。
第5の方策であるハウスの外張りを二重被覆し、その中間に空気を送風して空気膜層を作る方式のものは、夜間保温性は一重被覆と比較して、無加温で夜間最低室温が2℃程度高くなって夜間保温性の点では高性能だが、昼間の最高室温が5℃程度高くなって昼の温度が高くなりすぎる欠点がある。又設置上、春先や秋口のこまめな温度管理を必要とする場合、ハウス側面の換気操作だけでは、気候の変動に対応しきれないという問題があった。又、フィルムを二枚固定被覆するので、光線の透過エネルギーが減少し、光を多く必要とする作物の栽培には適していない。
更に、特許文献1のものは断熱効果は大きいが2枚の農POフィルム(東罐興産(株)他4社の登録商標)間に空気マットを介在させるという構成を採るため、透光性が悪く、温度が高くなりすぎたときの調整機能がない。
【特許文献1】特開2002−58355号公報 「ビニールハウスの保温方法及び保温装置」 平成14年2月26日公開
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、透光性と断熱性に優れ、かつ必要に応じて空気膜の形成と排気巻き上げ機能をもったものであって、流通過程及び収納時はコンパクトな形態となる農業用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の農業用空気膜フィルムは、ポリオレフィン系樹脂または塩化ビニル樹脂からなるフィルムを素材とし、2枚重ねてチューブ形態に形成され、該チューブ部には多数の空気抜き孔が分布されると共に送風口が設けられる。
また本発明の農業用空気膜フィルムは、透光率が80%以上のものであって、片面に防曇処理が施され、防曇機能を発揮する面が順方向に重った形状でチューブ形態に形成するようにした。
本発明の農業用空気膜フィルムの空気抜き孔は少なくともチューブのいずれかの側部に適当な長さの溶着部分と非溶着部分とが交互になって形成されるか、少なくともチューブのいずれかの面に一様に小孔が分布するようにした。
また本発明の農業用空気膜フィルムは、酸化チタン、カーボンブラック、アルミニウム或いはステンレスのいずれかを混練りまたは蒸着またはスパッタリング処理したフィルムを使用するようにした。
また本発明の農業用空気膜フィルムは、複数のものが空気膜層を形成しない所定幅のフィルム部材で結合されるようにした。
本発明の空気膜フィルムは、面に切り口を設け、該切り口に沿って両側に合成樹脂の磁石を取り付けた構造とした。
本発明の農業用ハウスの構造は、上記の構成をもった空気膜フィルムをハウス内カーテンとして用いるようにした。
本発明の内張りカーテン装置は、上記の構成をもった空気膜フィルムの膨らみ幅を検出するセンサを備え、検出した膨らみ量に応じて送風量を調節する手段を備えるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の農業用空気膜フィルムは、ポリオレフィン系樹脂または塩化ビニル樹脂からなるフィルムを素材として用い、2枚重ねてチューブ形態に形成され、空気膜層を形成するようにしたので、ハウス外への放出する熱を少なくして、しかもハウス内ハウスの形態で保温空間が小さくなるので、高効率の保温性が確保され、暖房費を節約できる構造のハウスを作ることができる。そして、重なったフィルムの少なくとも一方の面に分布された多数の空気抜き孔を設けるようにしたり、少なくともチューブのいずれかの側部に適当な長さの溶着部分と非溶着部分とが交互になって形成されるようにしたので、空気抜き機能が備わっており栽培作物の条件に応じて、容易に温度管理ができる。また、巻き上げの際には容易に空気が排出され、コンパクトに納めることが出来、ハウス内の採光を妨げることがない。
【0010】
また透光率が80%以上のものを用いる本発明の農業用空気膜フィルムは、朝日が昇ると同時に栽培作物の光合成が開始され、冬の少ない日射時問を損なわず栽培できる。また、片面に防曇処理が施され、防曇機能を発揮する面が順方向に重った形状でチューブ形態に形成するようにしたので、防曇処理された面を下側にしてカーテンとして張れば結露は水滴となって膜面を伝って流れ落ち、フィルム面の光透過を妨げることがない。さらに、孔を設けているので溜まった水がその孔より排出される。
本発明の農業用空気膜フィルムは、構造的に2枚のフィルムを重ねただけのものであるから、梱包及び流通経費が最小で、必要な時には供給口から空気を送風すれば空気膜化がはかれて高い保温性が確保でき、不要時には空気抜き孔から容易に排気が出来て小さく収納できる。
【0011】
また酸化チタン、カーボンブラック、アルミニウム或いはステンレスのいずれかを混練りまたは蒸着またはスパッタリング処理したフィルムを使用するようにした本発明の農業用空気膜フィルムは、雪室やトンネル栽培など太陽光を必要としない保温効果のみが求められる使用に最適である。
また複数のものを空気膜層を形成しない所定幅の一重のフィルム部材で結合されるようにした本発明の農業用空気膜フィルムは、その空気膜層を形成しない所定幅のフィルム部材部分をハウス構造物に取り付けることができ、カーテンとして張る作業上も容易である上、構造上も堅固に取り付けることができる。
また、面に切り口を設け、該切り口に沿って両側に合成樹脂の磁石を取り付けた構造とした本発明の空気膜フィルムは、空気膜の内圧が低いときには磁気力によって切り口が閉塞され、カーテンの巻き上げに際して内圧が高くなると開口して空気を放出するので、巻き上げ負荷を小さくすることが出来る。
ガス供給と空気抜き孔とを備えた空気膜フィルムの膨らみ幅を検出するセンサを備え、検出した膨らみ量に応じて送風量を調節する手段を備えるようにした本発明の内張りカーテン装置は、その膨らみ具合に応じて空気供給量を調整できるので、膨らましすぎたり空気膜厚が薄すぎたりすることが無く、最適空気膜厚を維持することが出来る。
又、本発明の空気膜カーテンフィルムは、風のないハウス内で使用し、小さな送風機を使用するので、フィルムにかかる負荷は小さくなり、薄くて、透光性良好なフィルムを使用することができ、軽くて安価な空気膜が使用できるメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に本発明に係る空気膜内張カーテン用のフィルムの種類を示す。Aに示したフィルムは素材としてポリオレフィン系樹脂または塩化ビニル樹脂を用い、2枚重ねた形状でチューブ形態6に形成してある。フィルムの片面1は防曇処理がなされており重なったフィルムは防曇処理のなされていない面となされた面1とが接する形態で重ねられる。この様に順方向で重ねたものはカーテンとして張る際に防曇処理面が共に下に来るように張ることができ、フィルム内面およびハウス内面の結露は薄い水膜となってフィルム表面を流れるためフィルム表面が曇ることがない。すなわち、防曇処理面を順方向に重ねることの意義は、被覆フィルムの透光性が損なわれることがなく、作物に直接水滴が落ちないためである。防曇処理面は防曇剤をフィルム表面に塗布したもの或いはフィルム素材内に混練りしたものを多層構造で用いたもののいずれでも良い。重ねられる2枚のフィルムは辺部で溶着一体化されチューブ形態にされるが、少なくとも部分的には非溶着部2を残すようにしてこの部分が空気抜け穴を形成するようにしてある。即ち図示の例では所定間隔で溶着部3と非溶着部2とが交互に繰り返された構造となっていて、非溶着部2が空気抜け穴となる。また図中4は空気供給口であって、空気が逆流しないように送風弁となっている。該空気供給口4より送風機で送風して、フィルムを膨らませるので空気層の断熱性で、大気に熱が放射するのを防ぐので薄いフィルムで高い保温性が確保できる。
図1のBに示すものは、所定間隔で溶着部3と非溶着部2とが交互に繰り返された側辺部に、チューブ形態を採らないフィルムのシングル部5を延在させたものである。このシングル部5はハウス等の構造物に本発明のフィルムを取り付ける際の取り付け部として用いられる。空気膜フィルム側辺部の一辺に設けた非空気膜部分のシングル部5をハウス内面側面位置に固定すると、空気を排出させる領域とフィルムを固定する領域が分離でき、空気膜化による固定位置への負荷が必要以上にかからない。
【0013】
次に示す形態のものは、チューブ部6の少なくとも一方の面に所定間隔で小孔の空気抜き孔7を分布配置するようにしたもので、図2のAに示したものは図1のBに示したものの防曇処理された面が外側となっている面に所定間隔で空気抜き孔7を分布配置するようにしてある。因みに本発明者等は2.3mmφの孔を10cm間隔で設けてこれを実施した。このフィルムをハウスに張る際には防曇処理された面がハウス内側となるので、この空気抜き孔7からパージされる空気はハウス内側に流れる。したがって、送風源をハウス内とすれば空気はハウスカーテン内側を循環することとなり、保温効率がよい。この形態は適当な非溶着部2や空気抜き孔7を有しているので、送風した空気が適当に抜けて、適度な膨らみを有した空気膜を形成する。因みに非溶着部2のみから空気が抜ける図1に示した形態では適度な膨らみを有した空気膜を形成するためのフィルム内の圧力は外に比べて水銀柱で約10mmであったが、非溶着部2と空気抜き孔7を有するこの例においては約5mm程度が適当であった。空気膜内の内外圧差は一般に水銀柱10mm以下が望ましく、大きな送風容量は必要でなく、送風機は30ワット以下の小型のもので十分足りる。小さな送風機を使用するので、設置費用も安価で、ランニングコストも安くて済む。
また、隅の一辺及び上下いずれかの面に適当な空気抜きの孔が設けてあるので、送風を停止すれば大きさにもよるが数分間でエアー抜きが実行でき、適当に折り畳んでも梱包が嵩張らず小さくでき、保管及び輸送時の場所を最小にすることができる。
【0014】
図2のBに示したものは、空気膜層を形成しないシングル構造からなる所定幅の帯状フィルム部材5を中間にして両側に空気膜フィルムチューブ部を結合した形態のものである。この形態のフィルム材は中央の帯状フィルム部材5を内張カーテンの支え枠パイプ10の棟部材に固定し、所定間隔のパイプ上に広げれば図3に写真で示すようにハウス内ハウス形態が形成される。図4に写真で示すように小型ブロアー12をカーテン内部に配置し給気口をフィルムの空気供給口4に繋ぐように配管すればカーテン内の空気が小型ブロアー12から空気膜フィルム内に給気され、チューブ部6を適当に膨らませて空気膜を形成すると共に非溶着部2や空気抜き孔7からパージされてカーテン内部に換気される。
【0015】
また、この空気膜フィルムの帯状フィルム部材5と対向する辺には空気膜巻き上げ用のパイプが両側の空気膜フィルムに取り付けられ、該巻き上げパイプが空気膜巻き上げ機構によって回転駆動されることでこの空気膜フィルムがカーテンとして張られたり巻き上げ状態となったりする。日中の太陽光を十分に作物に当てたいときなどにはこのフィルムを巻き上げ状態とするのであるが、このフィルムは張られた状態では空気膜を形成しているので巻き上げパイプを巻き上げていくとチューブ6の容積が小さくされ、内圧が上がって巻き上げ負荷を増すことになる。非溶着部2や空気抜き孔7から内部の空気は非出されるのであるが、それだけでは追いつかず従来の一重のフィルムを巻き上げる場合と比較して約3倍ほどの負荷がかかってしまう。そこで、本発明では空気膜フィルム面に切り口15を設け、該切り口15に沿って両側にプラスチック磁石14を取り付けた構造であって、該両側の磁石14は内圧が低いときは吸引力で切り口を塞ぎ内圧が高いときは磁力に抗して開口して大量の空気を排出できるようにした。すなわち、通常は閉じられているスリット状の切り口15を、異常圧となったときにはチューブ6が膨らみ該切り口15が開くように作用する磁力弁を備えることにより、過圧自動解除機能を備えるものとした。プラスチック磁石の着磁力はあまり強いものを使用すると巻き上げ換気時空気膜の内圧で外ずれなくなるので、100ガウス以下が望ましい。
【0016】
以上の説明では、本発明の空気膜カーテンフィルムを透光性が求められる作物栽培用のハウスに用いるものとして説明してきたが、これに限らず、太陽光を必要とせず専ら保温性だけが求められる雪室、ウドやアスパラ栽培等に適用しても有効である。この場合には透光性は求められないので、全反射率が50%以上で、遮光率が90%以上のフィルムを使用して空気膜フィルムを形成することが好ましい。このようなフィルムを使用して空気膜を形成した場合、受光面側フィルムで吸収された熱が内側面のフィルムに伝達され難く、一枚のフィルム形態で使用したものより遙かに高い断熱性を示し、夏季の高温抑制、冬季や夜間の保温に高い効果を発揮する。
なお、この種の使用に際しては日々の巻き上げ作業は必要のないものである。
【0017】
次に、本発明の空気膜フィルムによって所望厚さの空気膜を形成するために送風量を自動調整する手法について説明する。本発明に係る空気膜カーテンフィルムは構造物である支え枠パイプ10上に広げて載置しブロアー12から空気を送風するとチューブ6が膨らみ一部空気は空気抜き孔からパージされつつ一様な空気膜を形成する。但し、排出される空気より送風量が多ければチューブ6は膨れあがるし、送風量よりも排出される空気量が多ければ反対にチューブ6は萎んでしまう。そこで、本発明では2枚のフィルムで構成されるチューブ6の両フィルム間距離すなわち空気膜フィルムの膨らみ幅を検出するセンサを配置し、その量に応じてブロアー12の送風量を調整する方法を採用するようにした。
単純なセンサーとしては空気膜抑えベルトに圧力センサを配置して圧力が閾値を越えたならブロアー12をONさせ、所定圧以下になったならOFFにしたりする手法、或いは両フィルム間に所定長さの糸を張り一端にはマイクロスイッチを配置してブロアー12をON−OFF駆動させる手法など適宜の手法が採用できる。
【実施例1】
【0018】
間口5.4m奥行き20mの苺パイプハウス内にハウス外形と相似形状の内枠パイプ10を設け、フィルム厚75μm、遠赤外線熱吸収率70%の農業用ポリオレフィン系のフィルムを素材として用い、中央のシングル部5は20cm幅一重のフィルム層にし、その一重フィルムの両側に空気膜をつくるハウス側面の長さの二重構造のチューブ部6を設け、二重空気膜フィルムの重ね位置を長さ方向に幅2cm長さ50cm間隔で溶着して溶着部3となし、その溶着部3と隣接する溶着部3の間10cmを非溶着部分2となす要領で連続加工した空気膜フィルムを設けた。その空気膜フィルムをハウス内に設けた内枠パイプ10の上に一重フィルム層5が中央の棟構造物に位置する要領で被覆し、中央部でこのフィルムを固定した。被覆したフィルムの両端には巻き上げ用パイプを従来のフィルム巻き上げ機構の要領で取り付けた。巻き上げの際にチューブ部6が膨れあがり巻き上げ動作が難しくなるため、空気膜フィルムを乗せた1m間隔の内枠パイプ10の上に10センチ程度のゆとりを持たせて幅6cmの空気膜抑えベルトを配置した。図4に示される形態で、送風は空気膜被覆天面位置において塩ビパイプでチューブ部6となる空気膜フィルムの間に差し込み50Wの送風機12を用いて送風し、タイマーを用いて送風量を調整した。晴天時は巻き上げパイプを巻いて、空気膜フィルムを巻き上げて、太陽光がハウス内に十分入るように換気を行った。曇天時は、空気膜フィルムを被覆したままの状態で管理した。
【0019】
空気膜フィルムを巻き上げると幅6cmの空気膜抑えベルトと空気膜フィルムを支えるパイプ10によって挟まれて空気膜フィルム内の空気は絞られる。この際、チューブ部6内の空気は10cm幅の非溶着部2より排出されるが、巻上げパイプが中央の棟構造物に近づくにつれ、空気膜の内圧が高まり巻き上げへの負荷が通常の一重フィルムと比較して3倍以上になった。この対策として過圧自動解除機能をもつ磁力弁を備えるようにするが、この実施例では中央のシングル部5近傍のチューブ部6に二箇所磁力弁を備えるようにした。この磁力弁の具体的構成は図5に示すように長さ20cmのスリット状の切り口15を空気膜の一方のフィルムに施し、そのスリットに沿って両側に柔軟性のある合成樹脂製の磁石14を配置すると共に他方のフィルムの前記スリットと対峙する位置にも合成樹脂製の磁石14を配置した。フィルムを介して対峙する両磁石14,14は互いに吸引力が働くように取り付けられているため、チューブ部5の内圧が比較的低いときは図中Aに示すように磁気力によりフィルムは挟持され、スリット状の切り口15は閉塞状態となっているが、チューブ部5の内圧が高くなると図のBに示すように磁石14の吸着状態は解除され、スリット状の切り口15は開口状態となる。この過圧自動解除機能により、空気膜内の空気が大量に吐き出され、巻き上げによる負荷が減少し、従来の一重フィルム巻き上げの1.5倍程度にまで減少した。更に、換気後、巻き戻すと磁石14,14が互いの吸引力によって図のAに示す元の位置に戻り、スリット状の切り口15を塞ぐことが確認できた。
【0020】
2003年12月20日から29日にかけてこの実施例のハウスと、同じ大きさの一重カーテンフィルム被覆ハウスと比較した結果、暖房機を使用した状態下で、空気膜フィルムの最低温度は、平均0.6〜0.7℃高く推移する事が確認できた。図6に示すグラフ参照。この実験では暖房機は2棟共用で、センサーを2重カーテンハウスの方に設置し、設定温度9℃で加温した。10日間の平均最低温度差は0.5℃であるが、1重カーテン区域の温度が低い日には差が大きくなっている。したがって、無加温の場合には更に差が大きくなるものと予測される。
また、この実施例のハウスでの効果確認は以下の通りであった。
イ、苺栽培では、夜間保温性が高くなり、苺の生育が進んだ。
ロ、夜間温度が高くなり、苺の収穫が早くなった。
ハ、暖房費が節約できた。
ニ、フルオープンハウスの外張りに利用出来る。
ホ、ハウス側面の空気膜フィルムとして使用できる。
【実施例2】
【0021】
2枚重ねてチューブ形態に形成され、チューブ部には多数の空気抜き孔が分布されると共に送風口が設けられた本発明の農業用空気膜フィルムをトンネル栽培の夜間保温資材として使用した実施例を示す。図7の左側に示された写真がそうであるが、間口2.7m、奥行10mの大きさ、外張りには厚さ0.01mmの農POフィルム(登録商標)を用いたハウス内に支柱寸法2.7mの構造に厚さ0.075mmの農POフィルム(登録商標)を用いてトンネルを作ったものである。図7の右側に示された写真は同じハウス内に1重の従来構造のトンネルを比較用に造ったものである。
3月6日には昼夜通してフィルムを被覆した状態での実験を行い、3月13日から15日にかけては朝の9時にトンネルを解放し、夕方16時から翌朝9時までの16時間はフィルムを被覆するようにして調査した。結果は表1に示すとおりであった。
【0022】
【表1】




昼夜被覆の場合、従来タイプでは最高温度が51.2度まで上がったが本発明の空気膜フィルムの場合43℃で抑えられており、顕著な違いが出た。最低温度については従来タイプのものが0.6度であったのに対し、本発明のものは2℃と高い結果であった。
内張トンネルのみ朝9時解放、夕方16時被覆した場合、3/13〜3/15の平均で最低温度が、本発明のものは従来タイプより1.5〜2℃高くなった。
なお、外張りフィルムは0.1mm厚の農POフィルム(登録商標)を用い昼夜密閉で試験を行った。この為、無加温栽培条件では夜間最低温度が高くなり、とくに、低温作物の栽培には良好な温度環境が与えられることが判った。
更に、夜間温度が高くなるので、内張カーテンに使用すると暖房費の節約も予測される。
この実施例における空気膜内圧についてはチューブ部内面に多数の空気抜き小孔が分布しているため、無換気状態での空気膜内の内圧は外気より2mmHg高とわずかであった。巻上げ時は最大13mmHgまで内圧があがったが、従来の無孔形態のものは無換気状態でも内圧16mmHgであり、巻き上げることはほとんど不可能である。本発明では小孔があるため、巻き上げ開閉にかかる負荷が少なくて済むことが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】Aは本発明の空気膜フィルムの基本形態を示す図で、Bは取り付け部となるシングル部を1側辺に連接した形態を示す図である。
【図2】Aは1側辺にシングル部連接したもののチューブ面に多数の空気抜き孔を分布は位置した形態を示す図で、Bはシングル部の両側に空気膜フィルムを配置した形態を示す図である。
【図3】ハウス内に内張カーテンとして本発明の空気膜フィルムを張った例を示す写真である。
【図4】空気膜被覆天面位置において塩ビパイプを介して送風機からチューブの空気供給口へ送風する例を示す写真である。
【図5】本発明の過圧自動解除機能を備えた磁力弁の1実施例を示す図である。
【図6】本発明の実施におけるデータを示すグラフである。
【図7】本発明の農業用空気膜フィルムをトンネル栽培の夜間保温資材として使用した実施例を示す写真である。
【符号の説明】
【0024】
1 防曇処理面 2 非溶着部
3 溶着部 4 空気供給口
5 シングル部 6 チューブ
7 空気抜き小孔 10 内張カーテン支え枠パイプ
12 ブロアー 14 磁石
15 過圧解除のための切り口
【出願人】 【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1−3−1
【出願日】 平成16年5月28日(2004.5.28)
【代理人】 【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信

【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男

【識別番号】100084607
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 文男

【公開番号】 特開2005−333932(P2005−333932A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−159751(P2004−159751)