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【発明の名称】 農業用送風装置
【発明者】 【氏名】田口 義広

【要約】 【課題】移動可能な多用途に使用できる農業用の送風装置を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に複数本の送風管を有する回転送風機と、該回転送風機の上部に吸気加温装置とを有する駆動部を駆動台上に載置し、前記駆動部を制御する装置とにより構成されている送風装置において、前記回転送風機により発生した風を前記送風管により広範囲に送風することができることを特徴とする農業用送風装置。
【請求項2】
回転送風機により粉状の物質を送風管を通して農作物全体に散布することができることを特徴とする請求項1に記載の農業用送風装置。
【請求項3】
農業用送風装置が移動可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農業用送風装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は農作物に対して防霜、換気、温度管理及び農薬の散布等の多機能性を有する農業用送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農作物に送風するための装置は、温室内の温度を均等に行き渡らせるために使用されたり、温室内での作業を快適にするための送風用として利用されたりしている。このような目的で使用される農業用の送風機は扇風機型のものが多く報告されている。例えば、特許文献1の送風機は、植物を生育させるハウス内の作業者に送風するための送風装置が開示されており、扇風機型のものである。特許文献1の送風装置はハウス内の作業者に送風するために開発されたもので、この送風装置をハウスの上から上下動可能に水平ブレスで吊り下げて使用するものである。
【0003】
特許文献2では、作付けされている農作物に対して上方から送風する送風装置を開示している。この送風装置は、送風ファンを効果的な軌跡で移動させることによって、該送風ファンによる送風範囲を可及的に拡大することができる農作物用の送風装置を提供するものである。この送風ファンもまた扇風機型で可動アームで吊り下げて使用するものである。このように農作業用の送風機から農作物用の送風機まで扇風機型のものが多用されている。
【0004】
一方、農作物にとって、送風は霜害を防ぐためのみならず、病害虫から農作物を守るためにも換気は必要なものである。しかし、従来の送風装置はいずれも目的毎に専用の送風装置が必要となっている。すなわち、上記の既存の送風装置を用いる場合、いずれも同じ場所に固定するものであり、送風を必要とする場所すべてに専用の送風機を設置しなければならない。この場合、常に同じ場所に送風装置があるため、使用しない時期は農作業の邪魔になるばかりか、用途が限られるためコスト高になっていた。そこで移動が可能な送風装置の出現が求められていた。また、従来の扇風機型は風の強さが一定ではなく、送風機の近くは風が強い等の問題点があり、農場全体に均質に風を送ることができるような送風機の出現が望まれていた。
【特許文献1】特許公開2000−350522号公報
【特許文献2】特許公開2002−45056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、送風装置を移動式として、送風が必要な場所に簡単に設置することができ、作物に適した風を提供することが可能であると同時に、送風する風の温度を調節し、併せて送風管を用いて均質な風を送ることができると共に、粉体を散布することもできる多機能の農業用送風装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、駆動台上に回転する送風装置を設置し、その上部から外套に温度調節ができる吸気加温筒からパイプを通して空気を取り入れて、送風装置の外側に空気を排出する送風管を着設した農業用送風装置とした。このような構造とすることによって、以下の特徴を有している。
【0007】
本発明の第1の特徴は、 側面に複数本の送風管を有する回転送風機と、該回転送風機の上部に吸気加温装置とを有する駆動部を駆動台上に載置し、前記駆動部を制御する装置とにより構成されている送風装置において、前記回転送風機により発生した風を前記送風管により広範囲に送風することができることを特徴とする農業用送風装置である。吸気加温装置より取り込んだ空気を、制御装置によって、送風する風の温度、風量、送風する幅、駆動台上の回転送風機の回転速度、送風時間を制御することができる。
【0008】
本発明の第2の特徴は、回転送風機により粉状の物質を送風管を通して農作物全体に散布することができることを特徴とする請求項1に記載の農業用送風装置である。回転送風機により作成した風に乗せて農薬、殺虫剤、肥料等の粉状の物質を送風管を通して農作物全体に、駆動台上の回転送風機を旋回させることで散布させることができる。
【0009】
本発明の第3の特徴は、農業用送風装置が移動可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の農業用送風装置である。送風機を必要とする圃場から圃場に簡単に移動させることができるので、少ない台数の送風装置で必要とする圃場に移動設置して風を送ったり、肥料や殺虫剤を散布したりすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の粉体散布、移動が可能な送風装置で、駆動台、回転送風機、送風管、吸気加温筒及び制御装置により構成されている。本装置により発生する風は、防霜、施設内の換気や温度管理、作物に付着した水滴や露及び農薬の散布といった多くの用途に利用することができる。すなわち、扇風機ではなく回転送風機と送風管により、送風管に開けられた吐出口から均質な風を送風することができる。また、これに旋回機能を持たせることにより、送風管が届く範囲内全体に定期的に送風することが可能となる。さらに、送風機能を利用して粉体を散布することも可能である。
【0011】
吸気加温筒は、空気を暖め、暖かい空気を作物に送風するために用いられる。従来の送風機は暖房ダクトを除き、このような機能を持たせたものはなかった。暖房機は施設内の空気を暖めるために用いられるが、本発明装置は、暖めた空気を農作物に送風し凍結や降霜を抑制することもできるものである。このため、上記の送風機能と合わせて作物に送風すれば農作物の生育を促進することができる。また、制御機能装置を付加したことによって温度を管理し動作することにより防霜用送風機としても利用できる。このように1台の送風機で、多目的な利用が可能となる。
【0012】
本発明の粉体散布機能、及び移動可能な送風装置は、吸気加温筒で暖められた空気が回転送風機により送風管へ送られ、吐出口から出た風は作物体に吹き付けられる。これに駆動台の旋回が加わることにより、農作物全体に均一な外気より暖かい風を定期的に送風でき、作物表面の凍結や結霜の形成を抑制することができる。すなわち、凍害や霜害などの気象災害による作物の被害を軽減することができる。
【0013】
また、粉体散布機能付き、移動可能な送風装置によれば、回転送風機を旋回させながら送風機により得られた風に乗せて粉状の物質を送風管を通して、吐出口から農作物全体に散布させることが可能となる。
【0014】
さらに、粉体散布機能と移動可能な送風装置によれば、自動運転制御装置により、風の温度、風速、風量、送風する幅、回転送風機の旋回速度、送風時間を制御することで、農作物に応じた風速の風を必要な時間に、所定の面積に送風することが可能となる。
【0015】
さらに、粉体散布機能、及び移動可能な送風装置は、駆動台、回転送風機、送風管4本、吸気加温筒、制御装置、支柱、支線から構成されるため、各々の構成部品に簡単に分解して運搬し、他の場所で再び組み立てて使用することが可能である。これは例えば3〜4月は防霜機、6〜9月は作物の病害虫防除、10〜11月は暖房、冬期間は施設内の送風機として利用でき、1台で多用途に利用することを可能とする。すなわち本開発品は設備1台にて、多数の目的に対応することが可能となり、設備投資の軽減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、要旨を超えない範囲において、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0017】
図1は本実施形態に係る粉体散布機能付き移動可能な農業用送風装置の1例を示した。本発明の農業用送風装置100は駆動台11、回転送風機12、吸気加温筒13、送風管14、吐出口15、制御装置16、コード17、支線18及び支柱19から構成される。回転送風機12は駆動台11上にセットされている。回転送風機12からの風を送る送風管14は少なくとも4本がセットされ、長さは圃場の大きさにより取り替えることができるねじ込み構造になっている。4本の送風管14を設置するのは、風を均質に送風すること、無送風地点の発生を抑制するためである。送風管14には吐出口15をあけ、均質な風が遠方まで送風できるようにする。吐出口15の大きさを変えることによって、送る風の強さを代えることができる。吸気加温筒13は筒のまわりにヒーターを取り付けて加温機能を持たせている。この吸気加温筒13は上位方向に出しているが、これは高い位置から暖かい空気を取り込み、さらに加温によって送風する空気を暖めるためである。ここから空気を送風回転翼12に取り込み送風管14を通じて作物体に送風する。送風管14が長くなると安定性が低くなるので、支線18によって支える構造とする。粉体投入口20は農薬などの粉体を入れる所である。この回転送風機12を作物栽培圃場に設置するときに安定させるため、支柱19で支える。風速、駆動台11の旋回、加温は制御装置16を用いて行う。
【0018】
上記農業送風装置は直径が55cmの駆動台にモーター40cm、200ボルト(110m3/min 3000r.p.m.),約35kgで、送風管の径10cmで最大長さ20mを取り付けた送風装置と、径が30cm、100ボルト(70m3/min 3000r.p.m.),約17kgの送風装置とし、杭を打ってその杭に支柱を固定した。固定方法は前記方法に限定されるものではなく、この他、パイプを打ち込んでそのパイプに支柱を挿入する方法等が例示できる。
【0019】
図2は農業用送風装置100の上面図で、回転送風機12の中心部が吸気加温筒13であり、ここから空気を取り入れながらパイプのまわりに設けたヒーターで、必要に応じて空気を暖めながら吸い込んでいく。回転送風機12の中には羽根が設けられており、羽根の回転によって上から取り入れた空気を送風管14に送り込んで吐出口15から空気を排出する。
【0020】
送風管14は図3に示すように、送風管14の一端にネジを設けて、回転送風機12に脱着可能な構造として、送風管14の太さを変えたり、吐出口15の穴を各種の大きさに変更可能として、送風する距離、噴霧する薬剤の粒子の大きさ等に応じて、送風管14を代えられるようにすると良い。
【0021】
本発明の農業用送風装置は、上記形態に限定されることなく、要旨に含まれる範囲で様々な形態に変更しうる。試験例、比較例を以下に記載する。
[試験例1]
【0022】
送風装置による防霜効果について
3月15日に茶畑に長さ15mの送風管を取り付けて本装置を設置し、4月30日まで茶面に送風した。送風は、3〜4m/sの風速とし、送風は茶面の温度が4℃になったときに開始し、6℃になったときに停止するようにした。送風管は茶面から1m高い位置とし、送風管からは5〜8℃の風が送風されるように吸気加温筒の温度を高くした。茶面への送風は約1分間隔で数秒行った。この結果、0℃以下の日があったにもかかわらず晩霜による茶芽の被害の発生は抑制された。
[試験例2]
【0023】
送風装置による病害虫の防除効果について
茶畑で防霜用に用いた本装置を水田内の中心部に移動して設置した。5月12日移植した水稲に、6月20日から毎日、午後11時と午前4時に60分間ずつ風速4m/sの風を送風した。駆動台の回転は1箇所約30秒となるように設定した。この結果、葉いもち及び穂いもちの発生は送風した水田では著しく少なかった。また、カメムシ類による斑点米の被害、ツマグロヨコバイの発生量も無処理区より少なかった。
【0024】
病害虫の防除効果


[試験例3]
【0025】
粉状形態農薬の散布による防除効果
試験例2と同じ水田で、送風回転翼内に、殺虫剤「ジノテフラン粉剤DL」を投入し、駆動台が30秒間で1週回転するようにし、風速2〜3m/sの風で散布した。
【0026】
この結果、ヒメトビウンカ、トビイロウンカの発生は減少した。
【0027】
粉体の散布効果


[試験例4]
【0028】
水田で用いた後、9月28日に播種したダイコン畑に10月13日に本装置を設置し、以後12月2日まで毎日風速1.2m/sの風を、夜間1時間毎に60秒間送風した。この結果、白さび病の発生は著しく抑制され、処理区の発病はなかったが、無処理区では85%の発病株率だった。次に、アブラムシの寄生も送風処理区で葉認められなかったが、無処理区では3%の株に寄生が認められた。また、ダイコンの葉の生育は無処理に比べ色つやがよかった。
【0029】
このように年間を通じて、移動し場所を変えて本装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は送風装置の正面図である。
【図2】図2は送風装置の上面図である。
【図3】図3は送風装置の送風管の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
100・・・農業用送風装置
11・・・駆動台、
12・・・回転送風機、
13・・・吸気加温筒、
14・・・送風管、
15・・・吐出口、
16・・・制御装置、
17・・・コード、
18・・・支線、
19・・・支柱、
20・・・粉体投入口
【出願人】 【識別番号】599144457
【氏名又は名称】田口 義広
【出願日】 平成16年5月25日(2004.5.25)
【代理人】 【識別番号】100083932
【弁理士】
【氏名又は名称】廣江 武典

【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一

【識別番号】100129698
【弁理士】
【氏名又は名称】武川 隆宣

【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一

【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元

【公開番号】 特開2005−333840(P2005−333840A)
【公開日】 平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願番号】 特願2004−154133(P2004−154133)