| 【発明の名称】 |
土壌または培地中を下方へ移動する水分の検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】池田 英男
【氏名】岩崎 泰永
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| 【要約】 |
【課題】土壌または培地の表面に与えられた水あるいは液肥等の水分が土壌または培地中を下方へ移動して、根が主として存在する一定の深さに到達したときにこれを検出することができる装置を提供する。
【解決手段】土壌または培地の所定の深さに設置した、側面が密閉され上面が開口した箱体または筒状体(1)と;前記箱体または筒状体の上面開口部に設置したロート(2)と;前記ロートの頂部開口面を覆う、土壌または培地粒子のロート内への落入を防止するネット(3)と;前記ロートの下端細管部分に設置した一対の水分感知電極(4,4)と;前記水分感知電極から延びる電極用リード線(5,5)とからなる土壌または培地中を下方へ移動する水分の検出装置。ロートで集められた水分の貯留容器(6)と、貯留容器に溜まった水分を採取する採取管(7)をさらに設置することもできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土壌または培地の所定の深さに設置した、側面が密閉され上面が開口した箱体または筒状体と、 前記箱体または筒状体の上面開口部に設置したロートと、 前記ロートの頂部開口面を覆う、土壌または培地粒子のロート内への落入を防止するネットと、 前記ロートの下端細管部分に設置した一対の水分感知電極と、 前記水分感知電極から延びる電極用リード線と からなることを特徴とする土壌または培地中を下方へ移動する水分の検出装置。 【請求項2】 前記ロートの下端細管部分下方の箱体または筒状体底面に設置した水分貯留容器と、前記容器に貯留した水分を吸い上げて採取する採取管とをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の水分の検出装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植物を栽培するための土壌中または培地中を下方へ移動する水や液肥等の水分を検出し、さらには必要に応じてこの水分を採取することができる水分の検出装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 本発明者らは、作物の根からの無機要素吸収に着目してさまざまな研究を行った結果、根が伸びて一定時間が経過した後、あるいは、降雨ないしは潅水停止後一定時間が経過した後には、根の表面に根面境界層と呼ばれる無機要素濃度の薄い層が形成されることを発見した(非特許文献1)。かような根面境界層は、従来は仮説的あるいは理論的にその存在が考えられてきたが、本発明者らはこれを世界で初めて視覚的に確認したものである。 【0003】 根はその周囲に存在する無機要素をイオンの形で吸収しているが、根表面の水分移動がない、あるいは極めて遅い場合、根表面の無機イオンは吸収されて、根表面に無機要素濃度の低い層、すなわち根面境界層が形成される。一度根面境界層が形成されると、それ以後の根による無機要素吸収は抑制され、作物の生育も抑制される。したがって、作物の良好な生育のためには、根面境界層を可能な限り小さくする必要があり、そのためには、水分や無機要素を頻繁に根に与えることが必要となる(非特許文献2)。 【0004】 上述のような現象は、植物の葉において光合成の原料となるCO2 が葉の気孔から吸収される際にも生ずることが確認されており、これを防ぐためには風が重要な役割を果たすことが証明されている。したがって、土壌または培地中を伸長する根についても、葉に対する風と同様な効果をもたらす栽培管理方法、すなわち無機要素を根の表面に頻繁に与えるために、少量の水あるいは液肥等の水分を根の表面に多頻度で与える栽培管理方法を開発することが必要と考えられる。 【0005】 上述したごとき栽培管理方法を達成するためには、土壌あるいは培地の表面に供給した水または液肥等の水分が、土壌あるいは培地中を重力に従って下方に移動し、根が伸びている一定の深さまで到達したか否かを検出する必要がある。すなわち、根が伸びている一定深さの土壌あるいは培地中まで移動してきた水分を検出し、土壌あるいは培地の表面への水または液肥の供給や停止を制御するシステムの開発が必要となる。 【0006】 従来、土壌水分(土壌が含有する水分)を測定する方法として、水分張力を測定する「テンシオメータ」あるいは「pFメータ」と称されるものがある。「テンシオメータ」あるいは「pFメータ」は、直径1〜2cmのパイプの先端に素焼きのカップ状のものを取り付け、その中に水を入れて土壌中に埋設し、カップ周辺の土壌水分張力に反応して水分がカップに出入りするようにしたものである。すなわち、周辺土壌の水分が少ないとカップから水分が外に染み出し、逆に土壌水分が多いとカップ内に水が入ってくるので、パイプ内の水位の変化で土壌が含有する土壌水分の張力を測定することができる。この場合、パイプを密閉すると、パイプ内の水圧が変化するので、水圧の変化から土壌水分張力を測定する方式のものもある(非特許文献3)。 【0007】 さらに近年、土壌の誘電率が体積含水率によって異なることを利用したTDR(Time Domain Reflectometry)と呼ばれる方式も開発されている(非特許文献4)。 しかしながらこれら従来の装置は、土壌の湿り程度、すなわち土壌が含有する水分を評価するものであり、これらの装置を使用した土壌水分の調節方法も行われてはいたが、土壌または培地中を移動する水分を検出することはできなかった。 【0008】 【非特許文献1】園芸学会雑誌第71巻別冊2号,381頁「EM-EDXで見た野菜の根とその周辺の無機元素濃度」 【非特許文献2】園芸学会雑誌第72巻別冊1号,252頁「培養液の施与法が野菜の生育と葉中無機要素濃度に及ぼす影響」 【非特許文献3】テンシオメータ法(谷山一郎),土壌環境分析法,59-62頁,土壌環境分析法委員会編,博友社,1997 【非特許文献4】TDR法(波多野隆介),土壌環境分析法,62-64頁,土壌環境分析法委員会編,博友社,1997 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 上述のように、水または液肥等の水分を根の表面に頻繁に供給することで根面境界層を縮小できるが、どの程度の水あるいは液肥を供給することによってそれを実現できるかは、目で見ることのできない土壌中では判断不能である。 そのため、根が主として存在する土壌または培地の表面から一定の深さで、土壌または培地中を下方へ移動してきた水分を検出することができれば、かような移動水分を検出したときに、土壌または培地表面への水あるいは液肥の供給を停止すればよいことになる。 【0010】 そこで本発明は、土壌または培地の表面に与えられた水あるいは液肥等の水分が土壌または培地中を下方へ浸透して、根が主として存在する一定の深さに到達したときにこれを検出することができる装置を提供することを目的としてなされたものである。 【課題を解決するための手段】 【0011】 すなわち本発明の土壌または培地中を下方へ移動する水分の検出装置は、土壌または培地の所定の深さに設置した、側面が密閉され上面が開口した箱体または筒状体と;前記箱体または筒状体の上面開口部に設置したロートと;前記ロートの頂部開口面を覆う、土壌または培地粒子のロート内への落入を防止するネットと;前記ロートの下端細管部分に設置した一対の水分感知電極と;前記水分感知電極から延びる電極用リード線とからなることを特徴とするものである。 【0012】 本発明の水分検出装置においては、前記ロートの下端細管部分下方の箱体または筒状体底面に設置した水分貯留容器と、前記容器に貯留した水分を吸い上げて採取する採取管とをさらに備えるようにすることもできる。 【発明の効果】 【0013】 本発明の装置によれば、土壌または培地の表面に与えられた水あるいは液肥等の水分が土壌または培地中を下方へ浸透して、根が主として存在する一定の深さまで移動してきた水分を検出することができ、かような移動水分が検出されることで、根面境界層の形成が抑制されていることが判断できる。さらに、本発明の装置により移動水分が検出されたときに、土壌または培地表面への水あるいは液肥等の水分の供給を停止することによって、過剰な水あるいは液肥の供給を防止でき、これにより、土壌や地下水の汚染を引き起こすこともなく、また肥料や水分の効率的な利用が可能となる。 【0014】 さらに、検出された移動水分を貯留して採取する装置を備えることにより、移動水分の量や、移動水分中の肥料成分を測定することができ、これによって、より一層有効な栽培管理を行うことが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 図1は、本発明の装置の実施例を示す説明図であり、土壌または培地A(以下、これらを総称して“土壌”という)の所定の深さXに本発明の水分検出装置が埋設されている。土壌中に伸びる作物の根は、地表面A1から下方の深さXの部分に主として存在しており、この深さの土壌に伸びる根の表面に形成される根面境界層の有無をこの装置により検出することができる。 【0016】 この装置は、側面が密閉され上面が開口した箱体または筒状体1と、この箱体または筒状体1の上面開口部に設置したロート2を備えている。ロート2の頂部開口面は、土壌Aの粒子がロート2内に落入しないように、目の細かいネット3で覆われており、ロート2の下端細管部分には、一対の水分感知電極4、4が水平方向に対向するように設置されている。また、これらの水分感知電極4、4からは電極用リード線5、5がそれぞれ地表面A1の上方へ延設されている。 【0017】 ネットとしては、例えばプラスチック製の20-30メッシュのもの等が好ましく使用できる。また、水分感知電極としては、例えば錆びにくいステンレス製のもの等が好ましく使用できる。 【0018】 かような装置の動作は以下の通りである。地表面A1に供給された水または液肥等の水分Wは、土壌A中を浸透して下方へ移動し、深さXの個所に埋設された本発明装置のロート2の頂部開口面を覆うネット3を通り抜けて、ロート2内へ浸入する。ロート2内に浸入した水分は、ロートの傾斜に沿って集められ、下端細管部分へ流れ落ち、細管部分に設置されている一対の電極4、4の間を水滴として通過する。このとき、一対の電極4、4が水滴によって導通し、この導通現象を、リード線5、5を介して地表に配置した導通検出器(図示せず)で検出する。 【0019】 水分感知電極4、4の水滴による導通現象が生じたことにより、地表面から深さXの土壌中を水分Wが移動してきたことが検出でき、その結果、土壌中に伸びる根の表面での根面境界層の形成が抑制されていることがわかる。また、導通検出器で導通現象を検出するとともに、灌水装置または給液装置(図示せず)の電磁弁を閉じるようにすれば、地表面への灌水または給液を停止することができ、過剰な灌水や給液を防止することができる。 【0020】 図示の実施例においては、ロート2の下端細管部分下方の箱体または筒状体1の底面に、ロート2の下端細管部分から流れ落ちる水滴を貯める水分貯留容器6を設置するとともに、容器6に溜まった水分を採取する採取管7が設けられており、採取管7の先端は地表面A1上方へと延びている。 【0021】 土壌中を移動してロート2により集められ水分貯留容器6に溜まった水分を、採取管7から地上へ吸い上げて、水分量や水分中の肥料成分濃度を測定することによって、その後に供給する水分量、液肥の濃度や組成を適切に調整することができる。さらには、地表面から供給した液肥の肥料成分濃度や組成と、水分貯留器6に溜まった水分の肥料成分濃度や組成との差から、土壌による肥料成分の吸着や作物による養分吸収を推測することができる。 【0022】 図示の実施例では、一対の水分感知電極4、4を水平方向に対向するように設置させているが、一対のリング状の水分感知電極をロート細管部分に上下方向に設置させるようにしてもよい。 【0023】 また、図示の実施例では、本発明の水分検出装置を、圃場等の土壌中の所定深さに埋設した状態で使用する実施形態を示しているが、土壌や培地を所定深さとなるように入れた栽培容器などに対して使用する場合には、栽培容器の底部に本発明の水分検出装置を設置して、栽培容器内の所定深さの土壌や培地中を下方に移動して栽培容器底部から浸出してきた水分を本発明装置のロートで受けるようにすることもできる。 【図面の簡単な説明】 【0024】 【図1】本発明の水分検出装置の実施例を示す説明図である。 【符号の説明】 【0025】 1:箱体または筒状体 2:ロート 3:ネット 4、4:水分感知電極 5、5:リード線 6:水分貯留容器 7:採取管 A:土壌または培地 A1:地表面 W:下方に移動する水分
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| 【出願人】 |
【識別番号】504199666 【氏名又は名称】池田 英男 【識別番号】504199703 【氏名又は名称】岩崎 泰永
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| 【出願日】 |
平成16年5月24日(2004.5.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096862 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 千春
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| 【公開番号】 |
特開2005−333810(P2005−333810A) |
| 【公開日】 |
平成17年12月8日(2005.12.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−153173(P2004−153173) |
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