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【発明の名称】 屋上緑化構造
【発明者】 【氏名】西川 賢之
【住所又は居所】東京都港区新橋5−11−3 住友金属鉱山シポレックス株式会社内

【要約】 【課題】例えばビルなどの屋上緑化に使用される屋上緑化構造に係り、その緑化構造を構成する部材のアルカリ度を植物の生育に適した程度に低下させるとともに、植物の根の定着性を向上させ、さらには排水性・保水性・通気性に優れた屋上緑化構造を提供する。

【解決手段】本発明による屋上緑化構造は、炭酸化したALC破砕物からなる粒状体4を植栽土壌5の下に敷き詰めたことを特徴とする。上記のALC破砕物は、炭酸化度を30%以上にすることによりアルカリ度を低下させたものを用いるのが好ましい。また上記粒状体間に土壌と根を入り込ませて植物を定着させると共に、植栽に応じた最適な排水性・保水性・通気性を得るために、ALC破砕物の粒径と層厚を適宜調整することが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸化したALC破砕物からなる粒状体を植栽土壌の下に敷き詰めたことを特徴とする屋上緑化構造。
【請求項2】
上記ALC破砕物の炭酸化度は30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の屋上緑化構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルなどの屋上緑化に使用される屋上緑化構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大都市圏では、緑被率の増大やヒートアイランド現象の抑制、さらには屋根の断熱性を高めて省エネ効果を図ることを目的として、ビルの屋上を緑化する技術が種々提案されている。
【0003】
それらの屋上緑化技術の中で、植栽用土壌には軽量化が求められるため、天然や人工の軽量骨材が使用される。一例として、建物の新築もしくは解体時の廃材リサイクルのために、ALCパネルを破砕した物を軽量土壌として利用する技術があるが、ALC破砕物はアルカリ度が高すぎて植物の生育に適さないため、中性化やコーティングなどの処理が必要なことに加えて、土壌中にALC破砕物を分散させたものでは植物の根の定着性が悪いため、風の強い屋上では背の高い植物は植えられないという問題点があった。
【0004】
一方、根の安定化のために、ポーラスコンクリートを植栽基盤に用い隙間に土壌を充填して根を張らせるという技術もあるが、通常のポーラスコンクリートはALCよりもさらにアルカリ度が高いことと、軽量化が難しいという問題点があった。
【0005】
また、土壌中に水が溜まると根腐れを起こすため、通常は砂利・砂・軽石・パーライトなどを土壌の下に敷いて排水層を作るが、これらの材料は保水性が低いために土壌が乾燥しやすくなり、頻繁に潅水しなければならないという問題点があった。
【0006】
それらの問題点に対して、下記特許文献1においては、ALC板を植栽土壌の下に基盤として敷くことで、低アルカリ度、根の定着性、排水性と保水性に効果があることが示されている。しかしながら、PHは10程度であるので植物の生育にとってはまだアルカリが強すぎること、貫通孔と上面の条溝だけでは根掛かりが不十分なために根の定着性が悪いこと、及び貫通孔以外の根の部分の通気性が不十分であることがわかった。
【0007】
【特許文献1】特開2003−204717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、アルカリ度を植物の生育に適した程度に低下させるとともに、植物の根の定着性を向上させ、さらには排水性・保水性・通気性に優れた屋上緑化構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明による屋上緑化構造は、炭酸化したALC破砕物からなる粒状体を植栽土壌の下に敷き詰めたことを特徴とする。上記のALC破砕物は、炭酸化度を30%以上にすることによりアルカリ度を低下させたものを用いるのが好ましい。また、粒の間に土壌と根を入り込ませて植物を定着させるとともに、植栽に応じた最適な排水性・保水性・通気性を得るために、ALC破砕物の粒径と層厚を適宜調整することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アルカリ度を植物の生育に適した程度に低下させるとともに、植物の根の定着性を向上させ、さらには排水性・保水性・通気性に優れた屋上緑化構造を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は本発明による屋上緑化構造の一実施形態を示す縦断面図である。
【0012】
図において、1はビル等の屋上部分を構成するコンクリートスラブであり、そのコンクリートスラブ1の表面(上面)には、防水層2と防根層3とが順に積層されている。その防水層2としては、例えばアスファルト防水・シート防水・塗膜防水等を用いることができる。また防根層3は、屋上緑化用として一般的なものでよく、例えばポリエチレン・ポリエステル・塩化ビニル製のシートなどが使用できる。
【0013】
上記の防根層3の上にALC破砕物からなる粒状体4と植栽土壌5とが、それぞれ層状に順に設けられ、その植栽土壌5に植物Pが植設されている。その植栽土壌5としては、一般的なものでよく、天然・人工軽量骨材、堆肥、土壌、土壌改良材などを適量混合したものなどが使用できる。その植栽土壌5の一部は隣接する粒状体4・4間に入り込み、植物Pの根Paの先端も粒状体4・4間に伸びて定着化する。なお上記粒状体4の上には、必要に応じて合成繊維製の網等を敷設して上記粒状体4が植栽土壌3側に浮き上がるのを防止するようにしてもよく、上記の網等は土壌と根が入り込むだけの隙間を有するものであれば材質等は適宜である。
【0014】
上記粒状体4を構成するALC破砕物は、炭酸化度が30%以上のものが望ましい。炭酸化度が30%以上になるとALC破砕物のPHは9.3以下となり、植物が生育可能な値になるからである。なお、上記PHの測定方法は、ALC破砕物1gに25℃の蒸留水100gを加え、3分間攪拌した後にPHメーターで測定したものである。また、例えば根の部分でPHが9.3以下のアルカリ度というのは、植物にとっては必ずしも良好な生育条件とは言えないが、ALC粉砕物の間に入り込んだ根の部分は植物の定着性に役立てばよく、植物の生育のためには土壌中の根の部分が十分に機能するので、生育に対する問題はない。
【0015】
また上記の炭酸化度とは、本出願人が先に提案した特開2003−35657号公報で定義した下記(1)式に基づいたALC炭酸化進行の尺度である。すなわち、測定される全酸化カルシウム含有量(質量%)をAとし、600〜900℃における重量減少量に相当する炭酸ガス含有量(質量%)をBとすると、炭酸化度y(%)は、
y={(B×56/44)/A}×100・・・・(1)
なる式で与えられる。
【0016】
ALCを炭酸化させる方法には、密閉した室内にALCを置いて炭酸ガスを吹き込む方法やバークなどと混合して堆肥化させるときに同時に炭酸化させる方法などあるが、建築物として長年使われたALCパネルは炭酸化が進行しているので、解体工事で発生するALCパネルの廃材を粉砕して使用することも可能であり、これによりALCの再利用やリサイクルの推進にも寄与することができる。
【0017】
ALC破砕物よりなる粒状体4の粒径は、好ましくは5〜30mmの範囲内とするのが望ましい。5mm未満では目詰まりを起こし、排水性能が悪化する。また30mmを超えると緑化構造が厚くなりすぎるからである。5〜30mmの粒径の分布と粒状体4の層厚を適宜調整することにより、植栽する植物に適した排水性・保水性・通気性を任意に制御することができるとともに、粒間に土壌を入り込ませて根を張らせることができる。
【0018】
上記のように本発明による屋上緑化構造は、植栽土壌5の下に、炭酸化したALC破砕物からなる粒状体4を敷き詰めることによって、アルカリ度が植物の生育に適した程度に低下した粒状体4・4間に植栽土壌5の一部が入り込むと同時に、植物Pの根Paの先端も粒状体4・4間に伸びて根掛かりが得られ、良好に定着化することができる。また上記のALC破砕物からなる粒状体4によって、排水性・保水性・通気性に優れた屋上緑化構造が得られるものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように本発明によれば、アルカリ度を植物の生育に適した程度に低下させると共に、植物の根の定着性を向上させ、さらには排水性・保水性・通気性に優れた屋上緑化構造を提供することができる。従って、本発明による屋上緑化構造に植える植物としては、一般的なセダム類、芝、ハーブ、クローバーなどの草花だけでなく、サツキやツツジなどの低木も、上記のように根掛かりが改善されているので定着性よく植栽できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による屋上緑化構造の一実施形態を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0021】
1 屋上コンクリートスラブ
2 防水層
3 防根層
4 粒状体
5 植栽土壌
P 植物
Pa 根
【出願人】 【識別番号】399117730
【氏名又は名称】住友金属鉱山シポレックス株式会社
【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目11番3号
【出願日】 平成16年5月14日(2004.5.14)
【代理人】 【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二

【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸

【公開番号】 特開2005−323541(P2005−323541A)
【公開日】 平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願番号】 特願2004−144713(P2004−144713)