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【発明の名称】 灌漑システム及びこれに用いる給水器具
【発明者】 【氏名】谷川 寅彦

【氏名】矢部 勝彦

【要約】 【課題】材料選択の余地が大きく、低コストで構成できる灌漑システム及びこれに用いる給水器具を提供する。

【解決手段】本発明は、吸水対象となる土壌に接触するように配置される給水器具1であって、多数の孔隙を有する壁体11で囲まれ、水が供給される内部空間Sを有しており、壁体11の少なくとも一部の孔隙の壁面が親水性になっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水対象となる媒質に接触するように配置される給水器具であって、
多数の孔隙を有する壁体で囲まれ、液体が供給される内部空間を有しており、
前記壁体の少なくとも一部の孔隙の壁面が親水性になっている給水器具。
【請求項2】
前記壁体の内面の少なくとも一部が親水性になっている、請求項1に記載の給水器具。
【請求項3】
前記壁体の少なくとも一部の孔隙の壁面が撥水性になっている、請求項1または2に記載の給水器具。
【請求項4】
前記壁体は可撓性材料によって形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の給水器具。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の給水器具と、
当該給水器具における内部空間の圧力を負圧又は低正圧に設定するように液体を供給する液体供給手段と
を備えている、灌漑システム。
【請求項6】
前記給水器具は、液体が供給される供給口及び液体を排出する排出口を有しており、
前記液体供給手段は、前記供給口及び排出口を介して前記内部空間の液体を循環させる、請求項5に記載の灌漑システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧または低正圧で使用される灌漑システム及びこれに用いる給水器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農作物などに対する種々の灌漑方法が提案されており、一般的なものとしては、例えばスプリンクラーを用いて散水する方法がある。この方法は、所定時間おき或いは土壌の水分が蒸発したときに散水を行うものであるが、土壌中の水分状態を常時監視する必要があるため、労力が大きくまたコストが高くなるという問題があった。そこで、特許文献1では、次のような灌漑システムを提案している。このシステムでは、土壌中に多孔質管を埋設し、この多孔質管内の水圧が負圧になるように設定している。この構成により、土壌が湿潤状態でないときは、多孔質管の外部がその内部よりも負圧になるため水分を絶えず供給することができる一方、土壌が湿潤状態になり多孔質管内部の負圧に達すれば自動的に水分の供給を停止させることができる。したがって、特殊な装置を用いることなく、低コストで水分供給を自動化することが可能となる。
【特許文献1】特公平3−56689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載の灌漑システムでは、長期に亘って使用すると、多孔質管の壁面に目詰まりが生じ、給水性能が低下するという問題があった。ここで、定期的に多孔質管を洗浄することも考えられるが、多大な労力を必要とし、実用的ではなかった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、長期に亘って使用しても、給水器具の目詰まりの発生を防止することができる灌漑システム及びこれに用いる給水器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る給水器具は、給水対象となる媒体に接触するように配置される給水器具であって、上記問題を解決するためになされたものであり、多数の孔隙を有する壁体で囲まれ、液体が供給される内部空間を有しており、前記壁体の少なくとも一部の孔隙の壁面が親水性になっている。
【0006】
この構成によれば、孔隙の壁面を親水性としているため、ぬめり等の汚れの付着を防止することができ、孔隙の目詰まりを防ぐことができる。その結果、本発明の給水器具を負圧灌漑、低正圧灌漑のいずれで使用したとしても、高い給水性能を長期に亘って維持することができる。ここで、壁体の内面の少なくとも一部を親水性にすると、内部空間における汚れの付着を防止することができるため、孔隙の目詰まりをさらに効果的に防止することができる。また、壁体の外面を親水性にすることもできる。
【0007】
また、負圧灌漑で使用する場合には、次のような効果を得ることができる。すなわち、従来の負圧灌漑では、給水器具として透水性能の高い材料しか用いることができず、材料選択の余地が少なかった。これに対して、本発明では、透水性能の低い材料であっても、その孔隙を親水性にすることで空気侵入圧を向上することができるため、負圧灌漑に使用することができる。そのため、従来は使用することができなかった織布、不織布、孔隙を有するプラスチック等の可撓性のある材料を用いて壁体を形成することができ、これによって給水器具の作製が大幅に容易になる。
【0008】
一方、低正圧でこの給水器具を用いた場合には、親水性処理がなされているため、水との接触性が大きくなり、給水の感度を向上することができる。
【0009】
また、上記のように可撓性材料を用いることで、農作物の配置等に合わせて給水器具を曲げる等の加工が可能になるとともに、次のような利点がある。すなわち、内部空間の設定圧力が負圧になると、給水器具における内部空間の容積が低下し、これに伴って壁体にシワを生じさせることができる。このようにシワが生ずると孔隙構造が部分的に拡大したり縮小するため、水理学的条件から給水器具全体の給水機能の低下を抑制することができる。
【0010】
また、上記給水器具において、壁体の少なくとも一部の孔隙の壁面を撥水性にすると、空気侵入圧が低下するため、給水器具の内部空間に生じる気泡を器具外部へ排出することができる。これにより、給水性能の低下をより確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る灌漑システムは、上記給水器具と、当該給水器具における内部空間の水圧を負圧又は低正圧に設定するように液体を供給する液体供給手段とを備えている。
【0012】
ここで、給水器具に、液体が供給される供給口及び液体を排出する排出口を形成し、液体供給手段により、供給口及び排出口を介して内部空間の液体を循環させると、汚れの付着をより確実に防止することかできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、灌漑システム及びこれに用いる給水器具によれば、長期に亘って使用しても、給水器具の目詰まりの発生を防止することができ、これによって高い給水性能を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る灌漑システムの一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る灌漑システムの概略構成を示す側面図である。
【0015】
図1に示すように、この灌漑システムは、土壌G中に埋設されて水分を土壌に補給する給水器具1と、この給水器具1に水を供給する給水ユニット(液体供給手段)2とを備えており、給水器具1と給水ユニット2とは、導水管3によって連結されている。
【0016】
給水器具1は、内部空間Sを有する筒状に形成されており、その壁面を構成する壁体11が多数の孔隙を有する材料で形成されている。また、この給水器具1の壁体11には、軸方向に沿って所定間隔をおいて並ぶ環状の領域、つまり第1領域111と、それ以外の第2領域112とが形成されている。本実施形態では、3つの第1領域111が形成されており、これらは撥水性となるように形成されている。各第1領域111では、壁体11の内外面、及びその内部、つまり孔隙の壁面が撥水性を有するようになっている。一方、第2領域112は、親水性を示すようになっている。この第2領域112も第1領域111と同様に、壁体の内外面及びその内部が親水性を有するように形成されている。また、給水器具1の軸方向の一端部には導水管3からの水が流入する供給口12が形成されている。
【0017】
給水ユニット2は、給水器具1内の水圧を設定するための水位調整タンク21と、これに水を供給する給水タンク22とを備えており、これらは管部材23によって接続されている。水位調整タンク21は、導水管3を介して給水器具1に供給するための水が収容されており、その水面が給水器具1から下方の所定の高さに設定されるようになっている。具体的には、センサ211により水面の高さが検知され、その高さを維持するように、給水タンク22から水が供給されるように構成されている。このように水位調整タンク21の水面が給水器具1よりも下方に位置することで、給水器具1における内部空間Sの圧力は負圧となっている。ここで、本実施形態では、内部空間Sの圧力が例えば0〜−3.0kPaとなるように水位調整タンク21の水位を調整することが好ましい。
【0018】
次に、上記給水器具1を構成する材料について説明する。まず、壁体11は上述したように多数の孔隙を有する多孔体、多孔質体等の材料で形成されていればよく、素焼磁器等の保形性を有する材料で形成することができるほか、可撓性のあるプラスチックフィルム、不織布、スポンジなどで形成することができる。なお、ここでいう孔隙とは、微少な間隙、溝の他、網目等も含む。この観点からすると、布などの織物も給水器具を形成する材料として使用することができる。但し、この場合には、フレーム等の支持部材によって壁体を支持することで、壁体が萎むのを防止し、内部空間をある程度確保するようにすることが好ましい。また、孔隙の最大径は、後述する空気侵入圧を考慮すると、円断面換算で、半径約0.1mm以下であることが好ましい。
【0019】
また、壁体11に親水性の第2領域112を形成する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、酸化チタンを壁体11の内外面、及び孔隙内にコーティングしたり、練り混んだりする公知の方法で形成することができる。このようにして、親水性化された壁体11の空気侵入圧(負圧通気耐圧)は、設定された内部空間Sの負圧よりも(絶対値が)大きいことが必要であり、例えば空気侵入圧(負圧通気耐圧)は−0.5kPaより大きいことが好ましく、−3.0kPaより大きいことがさらに好ましく、−5.0kPaより大きいことが特に好ましい。一方、撥水性の第1領域111を形成するには、例えば、フッ素コーティング等の公知の方法を使用することができる。なお、上記空気侵入圧は、地盤工学会基準(JGS0151−2000)の土の保水性試験方法に準拠した方法等で計測することができる。
【0020】
続いて、上記のように構成された灌漑システムの動作について説明する。このシステムで内部空間Sの圧力を負圧に設定すると、給水器具1の内部空間Sが負圧となっているため、給水器具1の外部、つまり土壌Gとの間で圧力差が生じる。これにより、給水器具1内の圧力が土壌G内の圧力よりも大きい場合には、内部空間Sの水が孔隙を介して土壌G中へ滲出し、給水されることとなる。こうして土壌中の湿潤状態が向上していき圧力平衡状態に近づくと、給水器具1内部と土壌内との圧力差が小さくなり、孔隙を通過する水分量も低下する。以上のメカニズムにより、給水の自動化が可能となる。
【0021】
ここで、本実施形態に係る給水器具1では、孔隙をはじめ、壁体11の外面に親水性の第2領域を設けているため、土壌Gとの水分連続性が向上するとともに接触性能が向上する。したがって、給水器具1内外の水分移動が容易になるので、給水性能が大幅に向上する。さらに、壁体11の内面に親水性の領域を形成することで、ぬめり等の汚れが付着しにくくなる。その結果、長期間使用しても孔隙の目詰まりを起こしにくく給水性の低下を防止することができる。
【0022】
さらに、内部空間の圧力を低正圧に設定すると、次のような利点もある。上記給水器具1では、壁体11の一部の領域を撥水性としているため、この領域における空気侵入圧が低下する。そのため、この領域からは、内部空間Sに生ずる気泡を給水器具1の外部へ排除することが可能となる。その結果、内部空間Sに気泡が溜まるのを防止することができるため、給水性能の低下を確実に防止することができる。さらに、例えば立ち上がり管、逆止弁等の気泡排出用の部材が不要になるため、コストの低減も可能となる。
【0023】
また、従来の負圧差を利用した灌漑システムでは、給水器具を構成する材料を空気侵入圧のある程度高いものにする必要があったが、本実施形態に係るシステムでは、空気侵入圧の低い材料であっても、その壁体11を親水性にすることで空気侵入圧を向上することができる。そのため、材料選択の自由度を大きくすることができ、従来使用することができなかった種々の材料を用いて給水器具1を構成することができる。例えば、不織布や多孔性フィルム等の変形可能な可撓性のある材料を用いることもできる。これにより、農作物等の配置に合わせて給水器具1を曲げる等の加工が可能になるとともに、次のような利点がある。内部空間Sの設定圧力が負圧になると、給水器具における内部空間の容積が低下するため、これに伴って壁体にシワが生じる。このようにシワが生ずると孔隙構造が部分的に拡大したり縮小するため、水理学的条件から給水器具全体の給水機能の低下を抑制することができる。
【0024】
より詳細に説明すると、壁体に、孔隙断面積 Saをもつ孔隙が分布しているとし、その1つの孔隙断面積をSaとする。これを円断面であると近似すると、それぞれの半径raはSa=πra2とおくことができるので、
【0025】
【数1】


となる。この条件によるSaを流れる流量Qaは、ポアージュの法則から
【0026】
【数2】


である。
【0027】
さらに、ここで、断面積Saの2つの孔隙を流れる合計流量Qaaを考えるとき、
【0028】
【数3】


となる。ここで、図2に示すように、2つの孔隙の断面積が、管壁周辺を構成する材質の変形により、Sb=1.5Sa、Sc=0.5Saのように断面積合計に差異を生じない変形を生じた場合、それぞれの管の内半径は、
【0029】
【数4】


この場合、SbとScを流れる合計の流量Qbc
【0030】
【数5】


となり、Qbc=1.25Qaaの関係が成立する。
【0031】
一般にこの偏りが大きいほど合計となる合計流量の上昇は大きくなり、給水器具の断面では、無数に同様の現象が生じていると考えられる。したがって、給水器具が折り曲げられたり、収縮したりすることで、壁体にシワが生じると、上記のような現象が生じ、孔隙を通過する液体の流量が大きくなるという効果を得ることができる。
【0032】
但し、弾力性のある材料で、合計となる孔隙断面積に変化を伴う素材の場合、理論的に上記は成立せず、一般に、断面が、引き伸ばされ、分布する孔隙の半径が拡張することにより通水速度は上昇(通気耐圧は低下)し、逆に圧縮することにより通水速度は低下(通気耐圧は上昇)することは多孔性、多孔質性材質の透水性に関する理論から明らかである。なお、弾力性のある素材の場合の特性は、材質壁面(断面)上での孔隙の容積の増減により生じていると換言することもできる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を負圧灌漑に対して適用したが、低正圧を利用したものに適用することも可能である。この場合の壁体の材料は、負圧灌漑に用いるものよりも、透水性能が低いもの、例えば透水係数が10-5〜10-7cm/sのものを用いることが可能となる。そして、負圧灌漑の場合と同様にこの壁体に親水性及び撥水性の処理を行うと、負圧灌漑と同様の自動給水が可能となる。また、負圧灌漑の場合と同様に、孔隙に汚れが付着するのを防止できるのは勿論である。このときの低正圧の範囲は、例えば0〜10kPaとすることが好ましい。なお、上記透水係数は、例えば、JIS A1218:1998の土の透水試験方法に準拠した方法で計測することができる。
【0034】
ところで、従来より、低正圧を利用した給水は、負圧を利用したものよりも感度が低いと言われている。すなわち、給水の自動制御性において、土壌の水分の増減に対する給水の追従性が低いものであった。しかしながら、給水器具の壁体を親水性にすることで、水との接触性が増大することから、給水の感度を向上することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、筒状の給水器具を用いているが、これ以外の形状を用いることもできる。すなわち、多数の孔隙が形成された壁体によって内部空間が形成されているものであれば、例えば箱形や袋形のものであっても構わない。このとき、給水器具を袋形に形成し、予め水をパックしたものを準備しておくこともできる。また、上記説明では、壁体の一部に撥水性の第1領域を形成しているが、この第1領域は必ずしも設ける必要はなく、その代わりに立ち上がり管や逆止弁等を設けて、内部空間に生ずる気泡を排出するようにしてもよい。
【0036】
また、図3に示すように、給水器具1に排出口13を形成し、この排出口13と水位調整タンク2とをさらに別の導水管4で連結すると、給水器具1と水位調整タンク21との間で水を循環させることができる。こうすることで、給水器具1の内部空間Sに汚れが生ずるのをより確実に防止することができる。なお、水を循環させる手段はこれに限定されず、要するに給水器具1内の水が滞留せずに移動できるようにするものであればよい。
【0037】
上記各実施形態では、給水器具1に水を供給しているが、これに限定されるものではなく、液肥や、農薬等の薬剤を含んだ液体を供給することもできる。
【0038】
上記説明では、給水器具1を土壌中に埋設しているが、土壌に接触している限りは給水器具1内外の圧力差に基づいて給水可能であるため、土壌表面に配置することもできる。また、水分を供給する媒質は、上記のように土壌に限られず、例えば、ロックウール等の吸水性のある多孔質材料や保水材であっても構わない。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
(実験1)
まず、給水器具を以下のような織布で形成する場合を想定し、これらを親水処理をしたときと、しないときの空気侵入圧を測定した。この実験では、面積20cm2の円形のサンプルを用い、表面に酸化チタンを含有するワックスを塗布することによって親水処理を行った。また、面積20のサンプルに加え、面積28cmのサンプルを面積20cmの円孔に取り付け、サンプルを絞り込んだ。すなわち、意図的に屈曲させたサンプルも使用した。なお、空気侵入圧の試験方法は、地盤工学会基準(JGS0151−2000)の土の保水性試験方法に準拠した方法とした。結果は、図4の通りである。
【0041】
本実験では、サンプル1〜4の透水係数がサンプル5〜6の透水係数よりも大きくなっている。すなわち、サンプル1〜4は負圧灌漑を対象としており、サンプル5〜6は低正圧灌漑を対象としている。同図に示すように、親水処理をすることで、空気侵入圧が大きく向上しており、織布であっても十分に使用できることが分かる。特に、サンプル3に示すように、織布を絞り込んだ状態、つまり現実には給水器具が屈曲、変形等した場合には、空気侵入圧が低すぎて使用することができないが、これを親水処理すると、サンプル4に示すように、空気侵入圧が大きく向上し、負圧灌漑に使用することが可能となることが分かる。
【0042】
(実験2)
次に、サンプル1,2,5及び6を用い、これを壁体とする給水器具を作成した。この給水器具は、直径4cm,長さ20cmのチューブ形のものであり、土壌との接触面積が250cm2となるようにした。そして、これら給水器具を用い、その内部空間の圧力を変化させながら、給水性能を測定した。つまり、各給水器具からの1時間の吸水量から1日あたりの給水量を算出した。なお、ここで用いた土壌は、黒ボク土及びマサ土である。結果は図5及び図6に示す通りである。図5は負圧灌漑に関するものであり、図6は低正圧灌漑に関するものである。
【0043】
この試験の結果、負圧、低正圧のいずれでも、親水処理をした給水器具が、親水処理をしていない給水器具に比べて高い給水性能を発揮していることが分かる。
【0044】
(実験3)
続いて、各給水器具の自動給水性能について実験した。サンプル2及び6を用いて直径44mm,長さ120cmの給水器具を作成し、これを土壌中、深さ5cmの位置に埋設した。そして、図7に示すように、給水器具と供試作物とを配置した。供試作物はメロンである。また、土壌中、図8に示す位置に、土壌水分(土壌水分張力)を計測するセンサを設けた。この実験器具を用いて約2ヶ月半に亘り、設定圧力、各給水器具から土壌への給水量、土壌水分を測定した。結果は、図9及び図10に示すとおりである。図9は負圧灌漑によるものであり、サンプル2で給水器具を作成した。一方、図10は低正圧灌漑によるものであり、サンプル6を使用して給水器具を作成した。
【0045】
これらの図に示すように、本発明に係る給水器具では、土壌の水分の変化とともに、給水量も変化しており、自動給水性能が十分に発揮されていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る灌漑システムの概略構成を示す断面図である。
【図2】負圧灌漑において給水器具が屈曲したときの空気侵入圧の変動を説明する図である。
【図3】本発明に係る灌漑システムの他の示す断面図である。
【図4】親水処理による空気侵入圧の変化を示す表である。
【図5】負圧灌漑における給水性能試験の結果を示す表である。
【図6】低正圧灌漑における給水性能試験の結果を示す表である。
【図7】自動給水性能試験の給水器具の配置を示す図である。
【図8】給水性能試験における土壌水分観測位置を示す図である。
【図9】負圧灌漑における自動給水性能試験の結果を示すグラフである。
【図10】低正圧灌漑における自動給水性能試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0047】
1 給水器具
11 壁体
111 第1領域(撥水性領域)
112 第2領域(親水性領域)
2 給水ユニット(液体供給手段)
【出願人】 【識別番号】504173596
【氏名又は名称】谷川 寅彦
【識別番号】504174386
【氏名又は名称】矢部 勝彦
【出願日】 平成16年4月30日(2004.4.30)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100094101
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 泰光

【識別番号】100114616
【弁理士】
【氏名又は名称】眞下 晋一

【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄

【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治

【公開番号】 特開2005−312405(P2005−312405A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−136709(P2004−136709)