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【発明の名称】 植物の生長誘導装置
【発明者】 【氏名】村上 哲也

【要約】 【課題】簡単かつ低コスト構造で、植物の茎の生長誘導作業を簡単、確実、省力、スムーズに行える実用性の高い植物の生長誘導装置を提供する。

【解決手段】生長する植物の茎を誘導して管理、収穫が行われる作業面S部分において、所要の分布で面状に広がって固定的に設けられ生長する植物の茎Kを少なくとも横方向に誘導させるように該植物の茎Kの長手方向中途部分K1を受けて乗せ掛け状に係止する複数の係止手段12を含むことを特徴とする植物の生長誘導装置10から構成される。簡単な作業で生長する植物の茎の長手方向中間部分を係止手段に乗せ掛け状に係止させながら、該植物の茎の生長方向を確実に目的方向に誘導することができ、管理、収穫の作業性を向上させ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地から生長する植物の茎の生長方向を誘導して管理、収穫を行なう作業面部分に設けられる植物の生長誘導装置であり、
該作業面部分において、所要の分布で面状に広がって固定的に設けられ生長する植物の茎を少なくとも横方向に誘導させるように該植物の茎の長手方向中途部分を受けて乗せ掛け状に係止する複数の係止手段を含むことを特徴とする植物の生長誘導装置。
【請求項2】
係止手段は植物の茎の長手方向中途部分を載置させるだけで係止させることを特徴とする請求項1記載の植物の生長誘導装置。
【請求項3】
支持手段を介して横方向に相互に離隔し、かつ、横移動自在に設けられ縦長方向に相互に離隔する位置に前記係止手段としての複数の係止部材を固定させた複数の縦長杆装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の植物の生長誘導装置。
【請求項4】
縦長杆装置のすべての係止部材は、縦長杆に対してそれらの乗せ掛け係止開口を作業面を基準にして同じ側に向けて配置され、これらの係止部材と縦長杆とを一体的に組み付けた剛体構造としたことを特徴とする請求項3記載の植物の生長誘導装置。
【請求項5】
1つの縦長杆装置の複数個の係止部材のうち、少なくとも最下段の係止部材は、他の係止部材のものよりも大きな乗せ掛け受部を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の植物の生長誘導装置。
【請求項6】
支持手段は作業面に沿って長く張架された索条であり、
縦長杆装置の上部に該索条に乗せ掛けて全体を吊支させるフック部を設けたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の植物の生長誘導装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生長する植物の茎の生長方向を誘導する際に好適な植物の生長誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ミニトマト、トマト等の植物を栽培する際には、その茎が10m程度まで伸びるので、管理、収穫作業をしやすくする等のために、生長する茎を地面からある程度の高さ位置に保持した状態で生長方向を強制的に誘導する、いわゆる茎の誘引が行われる。図10に示すように、従来の植物の茎を誘引するために該茎を支持するものとしては、一定間隔に植物が定植されている1つの畝106上に支柱100を介して地面から1.9m程度の高さに番線101が、地面から70cm程度の高さにビニルひも102がそれぞれ水平状に張設され、その番線101とビニルひも102との間に、例えば20〜30cm程度の離隔幅で複数本の支持ひも104を番線に結び付けて固定しながら縦に張ったものが知られている。生長した植物の茎を誘導する際には、図11にも示すように、茎の生長にともなって、斜め上方に向けて茎を誘導され、茎Kを複数の支持ひも104群にジグザグ状に強制的に曲げながら茎の左右を拘束するように拘束しつつ、該茎Kを支持ひも104の任意の位置(結束位置108)で結束して支持される。さらに、茎Kが生長していくにしたがって、茎全体を移動させながら随時結束位置108を変更させていくものであった。
【0003】
従来の茎Kを支持ひも104に結束させる方法としては、例えば、図12に示すような、テープによる方法や、特開2003−33115号公報に開示された茎誘引具によるものが知られている。図12に示すような従来の茎Kの結束方法では、茎Kを支持ひも104とともに、テープ110を巻付けて固定するものであり、結束位置を変更する際には、テープ110を外して茎を移動し、同様にテープを巻きつけて固定させるものであった。
【0004】
一方、特開2003−33115号公報に開示された茎誘引具での茎の結束方法は、番線から垂下したロープと、リング体と、固定ひもと、を有している。そして、ロープの一部分をU字状に折り曲げてリング体の中に通しつつ、該ロープのU字内に茎Kを固定する固定ひもが通されており、固定ひもが挟まったロープのU字部分とリング体とを密着させて摩擦力で結束位置を固定させるものであった。結束位置を変更する際には、リング体からロープのU字部分を引出して弛めた後、リング体をロープに沿って上下させて所定の位置で、再びリング体とロープのU字部分とを密着させて固定するようになっている。
【特許文献1】特開2003−33115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような図12に示した支持ひもにテープを介して結束させる方法や、特開2003−33115号公報の茎誘引具等の従来の茎の誘引方法では、茎Kの生長とともに支持ひも104に対する結束位置108を変更する作業において、茎を手で持ちながら、結束位置を解除する作業をして茎を移動し、さらに、移動させた茎の位置を保持しながら新しい結束位置で再び結束作業を行う必要があった。したがって、従来の茎の誘導作業は、煩雑で多くの労力がかかるとともに、茎のジグザグ状に蛇行させつつ茎の移動や位置の保持及び結束作業等を1人で行うのは困難であり、人手や時間がかかるものであった。特に、数百本以上の植物が栽培されるハウス栽培等の場合には、かなりの労力が必要となるとともに、煩雑な作業で時間がかかるために誘導作業が植物の茎の生長に追い付かず、適正な誘引作業が行えない場合もあった。また、図11に示すように狭い畝上で茎の生長方向の左右を拘束するために葉や実がなった茎をジグザグ状に誘導させる必要があるので、作業の際に植物の茎が折れたり、実が傷ついたりする可能性が高い。さらに、植物の重みで茎の支持ひもとの結束位置が下に下がってしまって確実な誘導が行えず、茎、葉や実が重なってしまうことによる日光不足や通気不良による病害虫の発生や生育障害、或は、実の取り残し等を生じやすく,品質低下や収穫量の低下を招くおそれもあった。さらに、茎Kを支持する支持ひも104を縦に張るために番線101等に結び付けて固定しなければならないので、煩雑な作業であるとともに、多くの支持ひもを張る必要があることから、作業には多くの労力、時間がかかるものであった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、簡単かつ低コスト構造で、植物の茎の生長誘導作業を簡単、確実、省力、スムーズに行える実用性の高い植物の生長誘導装置を提供することにある。さらに、他の目的は、装置自体の作業面の所要位置へ、簡単かつ短時間に設置できる植物の生長誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、培地(106)から生長する植物の茎Kの生長方向を誘導して管理、収穫を行なう作業面S部分に設けられる植物の生長誘導装置であり、該作業面S部分において、所要の分布で面状に広がって固定的に設けられ生長する植物の茎Kを少なくとも横方向に誘導させるように該植物の茎の長手方向中途部分を受けて乗せ掛け状に係止する複数の係止手段12を含むことを特徴とする植物の生長誘導装置10から構成される。係止手段を所要分布で面状に設置させる固定手段としては、杆、板、ひも等の索条類、網状物、格子状物その他任意の構成でも良い。生長誘導装置は、ビニルハウス内栽培、露地栽培等いずれに適用してもよい。
【0008】
また、係止手段12は植物の茎Kの長手方向中途部分を載置させるだけで係止させることとしてもよい。
【0009】
また、支持手段14を介して横方向に相互に離隔し、かつ、横移動自在に設けられ縦長方向に相互に離隔する位置に前記係止手段12としての複数の係止部材20を固定させた複数の縦長杆装置16を備えたこととしてもよい。支持手段14は、例えば、ビニルハウス内に鋼材や、パイプ等のフレームを横に張架したものでも良い。
【0010】
また、縦長杆装置16のすべての係止部材20は、縦長杆18に対してそれらの乗せ掛け係止開口28を作業面Sを基準にして同じ側に向けて配置され、これらの係止部材20と縦長杆18とを一体的に組み付けた剛体構造としたこととしてもよい。縦長杆装置は、例えば、鉄、ステンレス等の金属、硬質合成樹脂等その他任意の材質で一体的に構成してもよい。
【0011】
また、1つの縦長杆装置16の複数個の係止部材のうち、少なくとも最下段の係止部材(32)は、他の係止部材20のものよりも大きな乗せ掛け受部を備えたこととしてもよい。
【0012】
また、支持手段14は作業面Sに沿って長く張架された索条22であり、縦長杆装置16の上部に該索条22に乗せ掛けて全体を吊支させるフック部24を設けたこととしてもよい。索条22は、例えば、針金、ひも、縄、鎖、その他の植物の重量に耐え得る強度の索条類であればよい。索条を張架する際には、例えば、ビニルハウスを構成するパイプフレームを利用しても良いし、一定間隔毎に立設した支柱で支持してもよく、その他任意の支持構造でもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の植物の生長誘導装置によれば、培地から生長する植物の茎の生長方向を誘導して管理、収穫を行なう作業面部分に設けられる植物の生長誘導装置であり、該作業面部分において、所要の分布で面状に広がって固定的に設けられ生長する植物の茎を少なくとも横方向に誘導させるように該植物の茎の長手方向中途部分を受けて乗せ掛け状に係止する複数の係止手段を含む構成とすることにより、簡単かつ低コストな構造であるとともに、簡単な作業で生長した植物の茎の生長方向を所要方向へ確実に誘導でき、該誘導作業を低労力、短時間で行える。植物の茎は乗せ掛け状に係止しているので植物の茎を拘束することがなく、茎の生長を阻害しない。複数本の生長する植物の茎を例えば、所要間隔で離隔させて葉や実が重なり合うことがなく、該植物の茎の係止状態を保持できることができるので、管理、収穫の作業性を向上させる。また、栽培植物に日光を確実に当てて、通気性を確保することができ病害虫の発生を防止することができるとともに、実の取り残しも防止して、収穫量の確保及び収穫物の品質を維持できる。
【0014】
また、係止手段は植物の茎の長手方向中途部分を載置させるだけで係止させる構成とすることにより、植物の茎を係止手段に係止させる作業及び、係止位置を変更する際に茎を移動させる作業を含む植物の茎の生長誘導作業を簡単に行うことができ、該誘導作業にかかる労力の省力化、作業時間の短縮等、作業効率を向上させ得る。
【0015】
また、支持手段を介して横方向に相互に離隔し、かつ、横移動自在に設けられ縦長方向に相互に離隔する位置に前記係止手段としての複数の係止部材を固定させた複数の縦長杆装置を備えた構成とすることにより、生長誘導装置全体の構成を簡単に維持しつつ、面状に分布させた複数の係止手段の固定手段を具体的に実現できる。同時に、生長する植物の茎を誘導する方向に応じて、係止手段の位置を自在に変更することができ、該植物の茎を確実に目的方向へ誘導できる。さらに、複数の係止手段のうち縦の列状部分を一体的に扱えるので、係止手段の作業面部分への設置、撤去が簡単に行え、しかも持ち運びもしやすい。
【0016】
また、縦長杆装置のすべての係止部材は、縦長杆に対してそれらの乗せ掛け係止開口を作業面を基準にして同じ側に向けて配置され、これらの係止部材と縦長杆とを一体的に組み付けた剛体構造とした構成とすることにより、作業が同一面側で行えるので、茎の係止作業を簡単かつ短時間で行える。また、剛体構造で一体的に構成されるので、複数の係止部材は、常時一定方向に向いた状態を保持し、植物の茎を係止させる際に係止部材がぐらつかず、植物の茎を乗せ掛け係止開口へスムーズに挿脱でき、作業効率を向上させ得る。
【0017】
また、1つの縦長杆装置の複数個の係止部材のうち、少なくとも最下段の係止部材は、他の係止部材のものよりも大きな乗せ掛け受部を備えた構成とすることにより、実を収穫した後の係止部材から離脱させた植物の茎を複数本まとめて乗せ掛けて収容して邪魔になることがないとともに、栽培終了後には、茎を揃えた状態でまとめて扱えるので簡単かつ短時間で撤去作業を行える。
【0018】
また、支持手段は作業面に沿って長く張架された索条であり、縦長杆装置の上部に該索条に乗せ掛けて全体を吊支させるフック部を設けた構成とすることにより、簡単、低コスト構造で、縦長杆装置を支持手段に設置または離脱させることができるとともに縦長杆装置の横移動自在な構成を実現でき、複数本の縦長杆装置を簡単かつ短時間の作業で作業面部分の所要位置に設置をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の植物の生長誘導装置について説明する。本発明の植物の生長誘導装置は、例えば、ビニルハウス内で、ミニトマト、トマト、ナス、キュウリ、スイカ、メロン等の茎が長く生長する植物を栽培する際に用いられ、培地から生長する茎の生長方向を管理、収穫が行われる作業面部分に誘導する植物の生長誘導装置である。図1ないし図4は、本発明の植物の生長誘導装置の一実施形態を示している。本実施形態において、図1、図2に示すように、植物の生長誘導装置10が適用されるミニトマト等の植物は、畝106にその長手方向に沿って略一定間隔で定植されている。図2において、植物が定植された畝106は、2列分を隣接させて形成されており、2列の畝の横に長手方向に沿って谷部107が設けられている。本実施形態では、植物の生長誘導装置10は、畝106に定植された植物の各々の茎の生長方向を、平面視では畝106の長手方向に沿って、かつ正面視では斜め上(図1上、右斜め上)方向に向けて誘導するようになっている。すなわち、図2において、例えば、わき芽摘み、下葉かぎ等を含む管理、収穫等の作業が行われる1つの作業面Sとしては、畝106上にその長手方向に広がる略鉛直状の面であり、畝の谷部107に立った作業者と正対するように形成されて、作業者が該植物に対して容易に作業できるようになっている。
【0020】
本実施形態において、図1、図2、図3に示すように、植物の生長誘導装置10は作業面S部分に設けられており、所要の分布で作業面Sと略平行に面状に広がって固定的に設けられた複数の係止手段12を含む。係止手段12は、それぞれ生長する植物の茎Kを少なくとも横方向に誘導させるように該植物の茎Kの長手方向中途部分を受けて乗せ掛け状に係止する係止手段である。係止手段12は、横ずれ位置の他の複数の係止手段12と互いに協働しながら1本の植物の茎Kの長手方向に対して複数の中途部分K1を受けて係止し、斜め上方向に向けて生長方向を誘導した状態を保持する。本実施形態では、係止手段12は、支持手段14を介して横方向に相互に離隔して配置される複数の縦長杆装置16に固定されて作業面S部分に配置されるようになっている。すなわち、本実施形態において、植物の生長誘導装置10は、複数の係止手段12を縦長方向に相互に離隔して固定させた複数の縦長杆装置16を備えている。
【0021】
図1、図4に示すように、縦長杆装置16は、それぞれが横移動自在に設けられており、長手方向を作業面Sに沿って鉛直方向に向けて配置される縦長杆部材18と、縦長杆部材の縦長方向に相互に離隔する位置に固定させた係止手段12としての複数の係止部材20と、を有している。本実施形態において、縦長杆装置16を支持する支持手段14は、直線状に定植された植物の上方側であって、作業面Sに沿って張架された索条22からなる。縦長杆装置16は、縦長杆部材18の上部側に設けられたフック部24を介して索条22に吊支状に支持される。索条22は、例えば、畝の長手方向に一定間隔離隔しながら立設された支柱26を介して、地面から1.8〜2m程度の高さ位置に張架された針金からなる。なお、索条22は、ひも、縄、鎖、その他の重みに耐え得る強度を有する索条類でもよい。なお、支持手段14は、索条に限らず例えば、パイプ材や、鋼材を地上から2m程度の高さ位置に渡架したものでもよい。
【0022】
本実施形態において、縦長杆装置16の縦長杆部材18は、例えば、丸鋼等の金属製直棒部材からなり、その長さが1.2m程度に設定されている。縦長杆部材18の中間位置及び下端側には、複数個の係止部材20が長手方向に沿って相互に離隔しながら固定されている。縦長杆部材18の上部には、索条22に乗せ掛けて縦長杆装置16全体を吊支させるフック部24が設けられている。図5にも示すように、フック部24は、縦長杆部材18の上端側を下向きに開口24aが形成されるように逆U字状に延長して形成されており、下向きの開口24aから索条22をU字凹部内に係脱自在に係止される。なお、フック部24は、L字状、U字状やコ字状等のフック部材を後付けで縦長管部材に溶接固定して形成しても良い。縦長杆部材18は、フック部24のU字凹部分に索条22を挿通させた状態で吊支されて、索条22の張架方向に沿って移動できるようになっており、該縦長杆装置16全体が作業面S部分で横方向に自在に移動できるようになっている。フック部24を索条22に乗せ掛けるだけで、縦長杆装置16を作業面S部分に低労力、短時間で設置することができる。さらに、縦長杆装置16は索条22に沿って横移動自在に設けられているので、必要に応じて互いの離隔幅を変更させて、1本の生長した植物の茎を受ける複数の係止部材の横方向離隔位置を該茎の誘導方向に応じて簡単に設定することができる。
【0023】
図3、図4、図6に示すように、係止部材20は、上述したように、生長した植物の茎Kの長手方向中途部分K1を受けて乗せ掛け状に係止させる係止手段12であり、本実施形態では、該植物の茎Kを少なくとも横方向に遊貫状に挿通状態で受け入れる乗せ掛け係止開口28を形成している。係止部材20は、該植物の茎の長手方向中途部分K1の下面側を受けて係止するとともに、乗せ掛け係止開口28内に茎を収容して該係止状態を保持できるようになっている。さらに、本実施形態では、係止部材20は、茎の長手方向中途部分を乗せ掛け係止開口28内に上方側から挿脱させる挿脱開口30を形成している。すなわち、植物の茎Kの中途部分を上方側から乗せ掛け係止開口28に向けて載置させるだけで係止部材20に係止されるようになっている。これにより、植物の茎の係止部材へ係止させる際には、単に茎部分を持って乗せ掛けて載置させるだけの簡単作業であり、同時に、該植物の茎を離脱させる際にも茎から上方向に持ち上げるだけでよく、簡単かつスムーズに行える。本実施形態において、係止部材20は、例えば、L字状に曲成された丸鋼からなり、縦長杆部材18に上向きフック状に溶接固定されて一体的に組付けられた剛体構造を構成している。本実施形態では、係止部材20は、上方側を開口したコ字状の乗せ掛け係止開口28を形成しており、L字の水平部分に植物の茎の長手方向中途部分K1を受けて係止しつつ、L字の鉛直部分と縦長杆部材とにより該茎が作業面に交差する方向へ移動するのを規制するようになっている。本実施形態において、例えば、1個の縦長杆装置16に対して、10個の係止部材20が10cm程度の間隔で縦長杆部材の中間位置に縦長方向に配置されつつ、さらに縦長杆部材の下端側に最下段の係止部材となる大型係止部材32が固定されている。これらの複数個の係止部材20、32は、それらの乗せ掛け係止開口28を縦長杆部材18に対して作業面Sを基準として同じ側(図4上では、縦長杆部材の左側)に向けて配置されている。すなわち、図2に示すように、複数の縦長杆装置16が作業面S部分に配置された際に、全ての係止手段12である係止部材が同一の向きに配置され、畝の谷部107側に立つ作業者に向かう方向に面して配置される。これにより、畝の谷部側に立った作業者がその手前側の作業だけで、生長した植物の茎の誘導作業及び管理、収穫作業を簡単に行える。図3に示すように、横に並設された複数の縦長杆装置のそれぞれの複数の係止部材が協働して植物の茎Kを全体的に斜めに誘導させながら係止する。さらに、係止部材の植物の茎の係止状態では、同一の平面状の位置関係で乗せ掛け係止開口28内に茎を挿通させた状態で、乗せ掛け状に該茎の下部側を受けて係止しているので、従来のようなジグザグ状の誘導を必要としないとともに、茎を拘束することがなく、茎が折れたり、傷つけたり、或は植物の生長を妨げることがない。
【0024】
一方、最下段の係止部材である大型係止部材32は、図4、図7に示すように、上方側の他の係止部材20よりも大きな乗せ掛け受部を備えている。大型係止部材32は、例えば、複数本の植物の茎の長手方向中途部分をまとめた状態で乗せ掛け状に係止できるようになっている。この大型係止部材32は、実を収穫し終えた茎部分Kを係止手段から離脱させて縦長杆装置の下部側に横に寝かせた状態で係止させることができ、邪魔になることなく配置できるとともに、栽培終了後に長く生長した茎を撤去する際にも複数本の茎を横方向に揃えた状態でまとめて扱えるので簡単に撤去作業を行える。
【0025】
次に本実施形態に係る植物の生長誘導装置の作用について説明する。上記のように複数の縦長杆装置16を、フック部24を介して支持手段14である索条22に横幅間隔を調整しながら、乗せ掛けて吊支させて、作業面S部分に複数の係止手段12を縦横それぞれ離隔した位置に分布しながら面状に配置させる。面状に分布配置させる複数の係止手段12のうち縦列状に配置される係止手段を一体的に組付けて設けられているので、複数の係止手段12を作業面S部分に設置(または撤去)作業を、簡単かつスムーズに行え、かつ持ち運びもしやすい。さらに、フック部を介して支持手段に縦長杆装置16を乗せ掛け吊支する作業は、縦長杆装置の剛体構造ともあいまって、腕を高くあげるようなきつい姿勢を必要とすることなく、縦長杆部材の下部又は中間位置を持って下側から地上高さ2m程度の索条22にフック部24を乗せ掛けるだけでよい。したがって、複数の縦長杆装置16を、簡単かつ楽な操作で、スムーズに短時間で設置することができる。図1、図3に示すように、植物の茎が生長してくるのに伴って、該植物の茎Kを斜め上方に誘導する際には、作業面S部分に縦横に離隔して分布配置された係止手段12(係止部材20)に生長した植物の茎を係止部材20が形成する乗せ掛け係止開口28内に収容させながら乗せ掛け状に係止させていく。該植物の茎を係止手段12に係止させる作業は、乗せ掛け状に載置させるだけの簡単な作業でよく、作業全体の省力化、時間短縮化を図れる。係止部材20及びその乗せ掛け係止開口28は、作業面Sを基準として全て同じ向きに配置されているので、植物をジグザグに蛇行させるなどの作業が不要であるとともに、畝の谷部側(作業者側)に面して植物の茎Kが配置されるので、茎の係止、管理、収穫を含む全ての作業を作業者に対する手前側の面内だけで、しかも茎に負担をかけることなくスムーズに行える。さらに、植物の茎の生長に応じて茎全体を移動させながら、各係止位置を変更する際にも、単に茎を持って係止手段から離脱して、そのまま茎を移動させて、再び他の係止手段12に乗せ掛けるだけの操作でよい。したがって、誘導作業を1人でも簡単に行なえるとともに、茎の生長方向を誘導する作業にかかる労力を低減し、短時間で作業を行える。さらに、植物の茎の長手方向中途部分を乗せ掛け係止開口28内に配置させつつ、該茎の下面側を受けて乗せ掛け状に係止しているので、確実に係止することができるとともに、茎を拘束しないのでその生長を妨げない。また、該植物の茎の係止手段への係止状態も確実に保持されるので、植物の茎がその重みで下に下がることがなく、複数本の生長した植物の茎をそれぞれ離隔させながら確実に生長方向の誘導が行える。よって、縦方向に並ぶ斜め方向に誘導した植物の茎や葉、実等が互いに重なることなく、管理、収穫作業が行いやすい。同時に、植物への日当たり及び通気性を確保して病害虫の発生を防止できるとともに、実の傷付き、落下、実の取り残し等を防止でき、収穫物の品質の維持し、かつ収穫量を確保できる。
【0026】
なお、図8、図9には、係止部材の他の形態を示しているが、上記の係止部材の形態と同一部材には同一符号を付して詳細な説明を省略する。図8に示すように、係止部材201は、U字状に曲成されたU杆部材からなり、挿脱開口30となるU字開口を上に向けた状態で、U字一端側を縦長杆部材18に固定されて設けられている。また、図9に示す係止部材202では、茎Kの長手方向中途部分を係止する部分は上述の図8の係止部材と同じ構成であるが、挿脱開口30を開閉する開閉杆34を備えている点で異なる。開閉杆34は、U字状の係止部材202に枢支されて挿脱開口30部分に架設されており、ばね36によりを挿脱開口30を閉鎖する方向に付勢されている。植物の茎を乗せ掛け係止開口28に挿脱する際には、開閉杆34を指で自由端側から押し広げて挿脱開口30を開いて植物の茎を係止開口内に挿脱し,指を離すとばね付勢により再び閉鎖するようになっている。なお、係止部材は、上記した図6、図8、図9に示した形態に限られるものではなく、任意の構成でよい。
【0027】
以上説明した本発明の植物の生長誘導装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物の生長誘導装置の一部正面説明図である。
【図2】図1の植物の生長誘導装置の平面説明図である。
【図3】図1の植物の生長誘導装置の一部拡大説明図である。
【図4】縦長杆装置の側面説明図である。
【図5】縦長杆装置のフック部の拡大説明図である。
【図6】縦長杆装置の係止部材の拡大説明図である。
【図7】係止部材の最下段の係止部材の拡大説明図である。
【図8】係止部材の他の形態の説明図である。
【図9】係止部材の他の形態の説明図である。
【図10】従来の植物の茎の誘引手段の説明図である。
【図11】図10の茎と支持ひもとの拘束部分の拡大説明図である。
【図12】図10の平面説明図である。
【符号の説明】
【0029】
10 植物の生長誘導装置
12 係止手段
14 支持手段
16 縦長杆装置
18 縦長杆部材
20 係止部材
22 索条
24 フック部
28 乗せ掛け係止開口
K 植物の茎
S 作業面
【出願人】 【識別番号】504171950
【氏名又は名称】村上 哲也
【出願日】 平成16年4月30日(2004.4.30)
【代理人】 【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策

【公開番号】 特開2005−312391(P2005−312391A)
【公開日】 平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願番号】 特願2004−135951(P2004−135951)