| 【発明の名称】 |
ミズゴケ栽培基及びこれを用いた植物の養生方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】武田 実
【氏名】星 良和
【氏名】志村 光春
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| 【要約】 |
【課題】水生植物の養生手段を提供すること。
【解決手段】「水に対して浮上することができる手段が施された器物の貫通口にはめ込まれることによって定形化されている乾燥ミズゴケの集合物に対して、まとまった状態の生長ミズゴケの茎部の1単位以上が、その乾燥ミズゴケの集合物に接触し、かつ、前記の乾燥ミズゴケの集合物が、栽培基の底部において実質的に露出しており、さらに前記の生長ミズゴケの生長点が、前記の乾燥ミズゴケの集合物から実質的に露出してなる、ミズゴケの栽培基」において、当該栽培基の生長ミズゴケ部分において、他の植物の植物体又は種子を接触した状態に保ち、当該栽培基を生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべて当該他の植物を養生することを特徴とする植物の養生方法、を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見いだした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 「水に対して浮上することができる手段が施された器物の貫通口にはめ込まれることによって定形化されている乾燥ミズゴケの集合物に対して、まとまった状態の生長ミズゴケの茎部の1単位以上が、その乾燥ミズゴケの集合物に接触し、かつ、前記の乾燥ミズゴケの集合物が、栽培基の底部において実質的に露出しており、さらに前記の生長ミズゴケの生長点が、前記の乾燥ミズゴケの集合物から実質的に露出してなる、ミズゴケの栽培基」において、当該栽培基の乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分において、他の植物の植物体、種子、球茎又は球根が接触した状態が保たれてなる、請求項1記載のミズゴケ栽培基。 【請求項2】 他の植物が、シュロガヤツリ、地性ラン、ユキノシタ科に属する植物、アヤメ科に属する植物、モウセンゴケ科に属する植物、ムシトリスミレ属に属する植物、ビブリス属に属する植物、ウツボカズラ属に属する植物、セファロータス属に属する植物、サラセニア属に属する植物、ダーリングトニア属に属する植物及びホソバノセイタカギクからなる群の植物から選ばれる1種以上の植物である、請求項1記載のミズゴケ栽培基。 【請求項3】 前記ミズゴケ栽培基が、当該栽培基を、生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべた場合の、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における水の浸潤度合いの調整機構が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2記載のミズゴケ栽培基。 【請求項4】 「水に対して浮上することができる手段が施された器物の貫通口にはめ込まれることによって定形化されている乾燥ミズゴケの集合物に対して、まとまった状態の生長ミズゴケの茎部の1単位以上が、その乾燥ミズゴケの集合物に接触し、かつ、前記の乾燥ミズゴケの集合物が、栽培基の底部において実質的に露出しており、さらに前記の生長ミズゴケの生長点が、前記の乾燥ミズゴケの集合物から実質的に露出してなる、ミズゴケの栽培基」の生長ミズゴケ部分において、他の植物の植物体、種子又は球茎を接触した状態に保ち、当該栽培基を、生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべ、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分において、水が浸潤している状態を保つことによって、当該他の植物を養生する、植物の養生方法。 【請求項5】 他の植物が、シュロガヤツリ、地性ラン、ユキノシタ科に属する植物、アヤメ科に属する植物、モウセンゴケ科に属する植物、ムシトリスミレ属に属する植物、ビブリス属に属する植物、ウツボカズラ属に属する植物、セファロータス属に属する植物、サラセニア属に属する植物、ダーリングトニア属に属する植物及びホソバノセイタカギクからなる群の植物から選ばれる1種以上の植物である、請求項4記載の植物の養生方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、植物を養生するために用いるミズゴケ栽培基、及び、当該ミズゴケ栽培基を用いた植物の養生方法に関する発明である。前記植物としては、特に、水生植物が養生の対象となる。 【背景技術】 【0002】 近年の環境破壊等により、湿原、特に高層湿原が失われつつある。高層湿原には、多くの種類の水生植物が生息しているが、これらの水生植物の中には絶滅が危ぶまれているものも少なからず認められる。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 本発明は、上記のような水生植物の養生手段を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0004】 本発明者は、特定の生長ミズゴケ栽培基を用いて生長ミズゴケを養生する過程において、生長ミズゴケと水生植物を接触させることにより、当該水生植物の養生を効果的に行うことが可能であることを見出し、本発明を完成した。その場合、乾燥ミズゴケ等を介して水生植物に接触する水分の浸潤度合いが、当該水生植物の生育に大きく影響すると考えられる。 【0005】 すなわち、本発明は、「水に対して浮上することができる手段が施された器物の貫通口にはめ込まれることによって定形化されている乾燥ミズゴケの集合物に対して、まとまった状態の生長ミズゴケの茎部の1単位以上が、その乾燥ミズゴケの集合物に接触し、かつ、前記の乾燥ミズゴケの集合物が、栽培基の底部において実質的に露出しており、さらに前記の生長ミズゴケの生長点が、前記の乾燥ミズゴケの集合物から実質的に露出してなる、ミズゴケの栽培基」(以下、単純ミズゴケ栽培基ともいう)の乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分において、他の植物の植物体、種子、球茎又は球根が接触した状態が保たれてなるミズゴケ栽培基を提供する(以下、植物付き本ミズゴケ栽培基ともいう)を提供する発明である。 【0006】 また、本発明は、単純ミズゴケ栽培基に、当該栽培基を、生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべた場合の、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における水の浸潤度合いの調整機構が設けられているミズゴケ栽培基を提供する発明である。 【0007】 さらに、本発明は、単純ミズゴケ栽培基(水の浸潤度合いの調整機構が付加されたものを含む)の生長ミズゴケ部分において、他の植物の植物体、種子、球茎又は球根を接触した状態に保ち、当該栽培基を、生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべ、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分において、水が浸潤している状態を保つことによって、当該他の植物を養生する、植物の養生方法(以下、本養生方法ともいう)を提供する発明である。 【0008】 本発明において、「生長ミズゴケ」とは、少なくとも、生命活動が維持されているミズゴケを意味するものとする。すなわち、「生長ミズゴケ」には、栽培された、または、野生のミズゴケ(水分が十分に含まれている状態)と、加熱処理等の殺菌死滅処理がおこなわれておらず、再生の可能性の残された単純乾燥ミズゴケを含むものとする[単純乾燥ミズゴケは、葉緑素が失われてしまい、変色するものの、乾燥後、相当の長時間が経過したものでなければ、水分を供給すれば、生命活動を再開する可能性があることが知られている(概ね、常温で1ヶ月程度以下の乾燥期間が、乾燥後の生命活動再開の限界であると考えられる)]が、前者の水分が十分に含まれつつ生命活動が維持されているミズゴケを用いることが好適である。「乾燥ミズゴケ」とは、上記の殺菌死滅処理を加えた乾燥ミズゴケと、単純乾燥ミズゴケの双方を意味するものとするが、経済性等を考慮すると、殺菌死滅処理を加えた乾燥ミズゴケを用いることが好適である。なお、「乾燥ミズゴケ」といっても、水分を含有することが前提となる。 【0009】 また、「乾燥ミズゴケ」、上述した「生長ミズゴケ」共、本発明が適用され得るミズゴケは、コケ植物蘚類 ミズゴケ科 ミズゴケ属(Sphagnum L.)に属する全てを意味し、例えば、日本国原産のものであれば、オオミズゴケ(Sphagnum palustre L.)、イボミズゴケ(Sphagnum papillosum Lindb.)、ムラサキミズゴケ(Sphagnum magellanicum Brid.)、キレハミズゴケ(Sphagnum aongstroemii C.Hartm)、キダチミズゴケ(Sphagnum compactum DC.)、コアナミズゴケ(Sphagnum microporum Warnst.ex Card)、コバノミズゴケ(Sphagnum calymmatophyllum Warnest.& Card.)、ユガミミズゴケ(Sphagnum subsecundum Nees ex Sturm)、ホソバミズゴケ(Sphagnum girgensohnii Russow)、チャミズゴケ(Sphagnum fuscum(Schimp.) H.Klinggr.)、ヒメミズゴケ(Sphagnum fimbriatum Wilson ex Wilson & Hook.f.)、スギハミズゴケ(Sphagnum capillifolium(Ehrh.) Hedw.)、ホソベリミズゴケ(Sphagnum junghuhnianum Dozy & Molk. Subsp. Pseudomolle(Warnest.) H.Suzuki)、ワタミズゴケ(Sphagnum tenellum Hoffm.)、ハリミズゴケ(Sphagnum cuspidatum Hoffm.)、アオモリミズゴケ(Sphagnum recurvum P. Beauv.)、ウロコミズゴケ(Sphagnum squarrosum Crome)等を挙げることができる。また、日本国以外の地域原産のミズゴケを、本発明に適用することも可能であることは勿論である。 【0010】 これらのミズゴケの中でも、オオミズゴケは、「生長ミズゴケ」としても、「乾燥ミズゴケ」としても、本発明を適用するのに好適なミズゴケの一つである。 【0011】 なお、上述した乾燥ミズゴケ等の緩衝材に、水質養生材、例えば、多孔質セラミックス、酵素やバクテリアを含んだ多孔質セラミックス、酸化鉄や三価鉄を含有して窒素化合物の吸着に優れた多孔質セラミックス、ゼオライト、モンモリロナイト、活性炭等を組み入れることも可能である。 【0012】 「他の植物」としては、いわゆる水生植物(水中〜水周辺を中心に生活する植物の総称)一般を挙げることができる。具体的には、シュロガヤツリ、地性ラン(アツモリソウ、クマガイソウ、ミズトンボ、シュンラン、トキソウ、カキラン、サギソウ、パフィオペディルム属、フラグミペディウム属、コチョウラン等)、 ユキノシタ科に属する植物、 アヤメ科に属する植物、 モウセンゴケ科に属する植物(モウセンゴケ、コモウセンゴケ、ドロセラファルコネリー、ドロセラペティオラリス、ドロセラアデラエ、アフリカナガバノモウセンゴケ、ドロセラピグミー、イトバモウセンゴケ、ナガバノモウセンゴケ、イシモチソウ、ハエトリソウ、ドロソフィラムルシタニカム、ムジナモ等)、 ムシトリスミレ属に属する植物、ビブリス属に属する植物、ウツボカズラ属に属する植物、セファロータス属に属する植物、サラセニア属に属する植物、ダーリングトニア属に属する植物、 ホソバノセイタカギク等を例示できる。 【0013】 <単純ミズゴケ栽培基について> 単純ミズゴケ栽培基は、少なくとも、1)定形化されている乾燥ミズゴケの集合物(以下、乾燥ミズゴケ定形物ともいう)と、2)生長ミズゴケ、により構成される。 【0014】 (1)乾燥ミズゴケ定形物 乾燥ミズゴケ定形物は、文字通り、乾燥ミズゴケが一定の形状に固定されてなるものである。この乾燥ミズゴケ定形物の形状は、特に限定されないが、水面よりも、生長ミズゴケの生長点を上に維持することが可能な形状であることが必要である。この条件を満たす限り、乾燥ミズゴケ定形物は、あらゆる形状をとり得る。例えば、単純ミズゴケ栽培基の主要な態様の一つとして、「定形化された乾燥ミズゴケの集合物に凹部が設けられており、この凹部において、まとまった状態の生長ミズゴケの茎部の1単位以上が圧縮された状態で嵌め込まれ、かつ、この生長ミズゴケの生長点が、前記乾燥ミズゴケの集合物の凹部において実質的に露出している」が認められるが、この態様に基づき、乾燥ミズゴケ定形物において、まとまった状態の生長ミズゴケの茎部を嵌め込むべき凹部が設けられた態様を例示することができる。この乾燥ミズゴケ定形物は、複数の乾燥ミズゴケの植物体が互いに接触して、個々の乾燥ミズゴケが縦方向(長手方向)に整列した状態で定形化していることが好適な態様の一つである(以下、この態様を「縦整列態様」ともいう)。 【0015】 乾燥ミズゴケ定形物の内容と、それらに対応する製造方法は、例えば、以下の手段が挙げられる。 【0016】 a)事後的に固化可能な成分を、繋ぎ成分として用いる方法 「事後的に固化可能な成分」としては、例えば、水等の溶媒を加えた粘土類、同紙繊維等を挙げることができるが、これらの中でも、水を加えた紙繊維を含む成分が、好適である。すなわち、乾燥ミズゴケ定形物が、少なくとも紙繊維を含有する繋ぎ成分で定形化されていることが好適である。 【0017】 紙繊維は、例えば、粉砕紙、または、紙前駆物として提供され得る。粉砕紙とは、文字通り、粉砕した紙であり、紙の種類は、特に限定されない。例えば、新聞紙、衛生用紙、雑誌類、チラシ、コピー用紙等を、紙として使用することが可能であり、また、ケナフ紙(ケナフの植物繊維により普通紙の製造工程に準じて製造され得る紙)を紙として用いることもできる。粉砕とは、基となる紙の一部または全部が紙繊維単位まで細かくなっている状態をいう。粉砕手段は、特に限定されないが、水中における剪断刃による剪断、同やすり刃による削り出し、さらには、同手もみ等により、所望の粉砕紙を調製することができる。 【0018】 紙前駆物とは、パルプから精製した、紙の直接的な原料となる水を含んだ植物繊維である。 【0019】 紙繊維と水の混合割合は、特に限定されないが、質量比で、紙繊維(乾燥質量):水=1:4000〜1:10程度、好適には、同1:3000〜1:500程度の範囲である。 【0020】 また、必要に応じて、上記の紙繊維と水以外の成分を添加することができる。例えば、砂利、砂、土、陶器粉、ガラス粉、灰類、軽量骨材、粘土、ピートモス、パーライト等の土質細物(形態が土に似た細かい物)、各種のデンプン等の透水性粘結成分等を挙げることができる。また、例えば、植物繊維(紙繊維は除く)、乾燥ミズゴケ、植物の種子等を含有させることができる。 【0021】 なお、事後的に固化可能な成分を、別個に調製して、これを、乾燥ミズゴケの集合物を定形化する際に、乾燥ミズゴケに対して塗布を行う等、用時に組み合わせることも可能である。また、前もって、事後的に固化可能な成分中に、乾燥ミズゴケを含有させた、乾燥ミズゴケの含有組成物として、これを単純ミズゴケ栽培基の製造に用いることも好適である。 【0022】 例えば、事後的に固化可能な成分を、上述の紙繊維等を含有する含水組成物とする場合、質量比で、紙繊維等:乾燥ミズゴケ(乾燥質量)=1:100〜1:20程度として、これと水を混合して、紙繊維等と乾燥ミズゴケの含有量が、組成物に対して1〜20質量%程度となるように水を加えた含水組成物とすることが好適である。 【0023】 b) 水に対して浮上することができる手段が施された器物の凹部を利用する方法 「器物」とは、静置状態で一定の形状を有する物体(ただし、電力等による駆動力による形状の変化を伴う物体も、器物の範疇に入るものとする)のことを意味するものである。形状は、乾燥ミズゴケを一定形状に固定することが可能な凹部を設けることができる限り、全く限定されない。また、素材も限定されるものではなく、木、石、プラスチック、発泡スチロール、ゴム、金属、素焼き物、陶器、磁器、粘土、炭素繊維、ガラス、軽石、木炭等を用いることができる。ただし、少なくとも、生長ミズゴケが直接接触する部分、例えば、後述する、「乾燥ミズゴケの集合物の凹部、または、器物の凹部の生長ミズゴケ側の開口部と実質的に連続した平面および/または曲面の表面」は、生物の栄養源を実質的に含まない素材で構成されていることが好適である。具体的には、上に列挙した素材は、この生物の栄養源を実質的に含まない素材として例示できるが、例えば、木材、紙粘土、腐葉土等は、生物、特に、細菌類、菌類、藻類、ミズゴケ以外のコケ植物等の、ミズゴケの生育と競合し得る微生物が資化可能な炭素源が無視できない程度に含有されており、少なくとも、生長ミズゴケが直接接触する部分の素材としては、好適とはいえない。 【0024】 「水に対して浮上することができる手段」としては、器物自体を水よりも比重が小さい素材、例えば、発泡スチロール、木、軽量プラスチック等を用いることが挙げられる。また、浮き球、浮き輪等の、空気等のガスを大量に含む器具を器物に取り付けることも好適な手段の一つである。 【0025】 b-1)器物の凹部が、この器物を貫通する貫通口である場合には、生長ミズゴケと接触している「定形化された乾燥ミズゴケの集合物」が、栽培基の底部において実質的に露出している。この実質的に露出した乾燥ミズゴケの集合物と水が接触し、この水が乾燥ミズゴケに浸潤した状態で、生長ミズゴケとの接触部分へと移行することにより、生長ミズゴケに水が供給されて、生長ミズゴケの養生が行われる。生長ミズゴケが、乾燥ミズゴケと共に、水と直接に接触する態様とすることも可能であるが、この場合、浸潤水中の不純物を濾過する乾燥ミズゴケの水の濾過作用を、生長ミズゴケに対して活かしきれないこととなる。言い換えれば、水に対しては、上記の定形化された乾燥ミズゴケの集合物のみを直接に接触させて、生長ミズゴケには、乾燥ミズゴケを介した浸潤水のみを供給する態様とすることが、生長ミズゴケに、乾燥ミズゴケにより濾過された水を供給されることとなり、好適である。 【0026】 特に、水の供給源となる水が、微生物を豊富に含み得る水、例えば、富栄養化した湖沼や、汚れた河川の水、下水の単純浄化水等である場合には、水と共に、これらの微生物を生長ミズゴケに接触させてしまう可能性が強い。よって、水を、上記のような微生物を豊富に含み得る水源とする場合は、器物の素材を水不透性の素材、例えば、石、プラスチック、発泡スチロール、ゴム、金属、陶器、磁器、粘土、炭素繊維、ガラス等、とすることが好適である。このような場合に、あえて器物の素材として透水性の素材、例えば、素焼き物、紙粘土、砂礫、軽石、透水組成物(後述する)等を用いる場合には、生長ミズゴケと上記の透水性が認められる素材との間に水不透性の素材(例えば、水不透性のビニールシート等)を介在させて、透水性の組成物と生長ミズゴケとの間の水の流通を遮断することが好適である。 【0027】 b-2)上記の素材のうち、発泡スチロールは、水不透性で、かつ、生物の栄養源を実質的に含有しないだけではなく、所望の形状への加工が容易であり、かつ、軽量であり、取り扱い易いという長所がある。また、上述したように水に浮くので、本発明においては特に好適な素材である。ただし、その反面、発泡スチロールにおいて自然な風合いを出すことは非常に困難であり、例えば、発泡スチロールの表面にそのまま着色処理を施しても、人工的な雰囲気を抑えることは簡単ではない。 【0028】 このような場合、以下のα)〜δ)の工程で、発泡スチロール等の素材の表面を自然な風合いとすることが可能である(この工程を行うことが可能な対象は、発泡スチロールに限らず、単純ミズゴケ栽培基における器物となり得るあらゆる素材を選択することが可能である)。 【0029】 α)発泡スチロール等の表面に、事後的に硬化し、かつ、固化前は粘調な液体素材を塗布する。かかる事後的な硬化素材としては、接着剤又は水性塗料、例えば、シリコーン系接着剤、水性樹脂塗料(水性アクリル樹脂塗料等)、ウレタン系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、セルロース系接着剤、合成ゴム系接着剤、紫外線硬化系接着剤、嫌気性接着剤、紫外線嫌気性接着剤等を挙げることができるが、水性樹脂塗料(水性アクリル樹脂塗料等)又はシリコーン系接着剤が好適である。なお、水性樹脂塗料を用いる場合には、所望する色彩を選択することも可能である。 【0030】 この塗布の方法は、特に限定されず、例えば、上記液体素材を入れた射出用容器(射出用チューブ等)から、当該液体素材を対象物の表面に射出し、これを小手等で均すことも可能であり、薄く塗りたい場合は、刷毛等に当該液体素材を付着させて、これを対象物表面に塗布することも可能である。 【0031】 β)次に、対象物の表面に塗布された上記液体素材を毛羽立たせることが好適である。この工程を行う方法は、特に限定されないが、例えば、対象物表面の液体素材の表面に剛性を有する起毛性部材(例えば、針金の刷毛)でたたくことにより、上記液体素材を対象物表面上において毛羽立たせることができる。 【0032】 γ)次に、対象物表面に塗布した液体素材の上から、粒子(砂利、砂、土、陶器粉、ガラス粉、灰類、軽量骨材、粘土、ピートモス、乾燥ミズゴケの粉砕物、パーライト等)、顔料、色素、コケ植物、緑藻類等をふりかけた後、好適には、対象物表面に、通常の上水道口にシャワーノズルを付加して生成させた程度の水流を接触させて、余分なふりかけ物を洗い流す。次いで、好ましくは、対象物表面を軽くなでつけてならし、次いで、この液体素材を固化(乾燥、紫外線照射、嫌気等の事後的硬化素材の種類に応じた固化方法による)させることにより、土壁にも似た、自然な風合い表面を、対象物上に形成することができる。また、後述する透水組成物の前駆組成物を、上記の土質細物として用いることも可能である。 【0033】 δ) 上記γ)の対象物の表面に、塗膜を設けることが、対象物の表面における微生物の栄養源が表面に露出するのを防ぐために好適である。ただし、対象物の表面上にふりかけた物が、ミズゴケ以外のコケ植物や緑藻のような生物である場合は、この塗膜を設ける工程を行うことは、当該生物が生命活動を行う上での障害になるため、好適ではない。塗膜は、対象物の表面上に所望するコーティング素材の塗布を行い、これを乾燥・固化させることで設けることができる。このコーティング素材としては、特に限定されず、現在、上薬として提供されている製品を用いることが可能であるが、可能な限り、透明性が保たれ、かつ、安全性の高いものを用いることが好適である。例えば、水性の下地安定剤として販売されているアクリル樹脂の水性剤(アトミクス株式会社製等)を、このコーティング素材として転用することが非常に好適である。さらに、必要に応じて、このコーティング素材の上面に防水処理、例えば、シリコーンコーティング剤の塗布処理を行うことにより、防水を行うことができる。 【0034】 上記α)〜δ)の工程に従うことにより、発泡スチロール等の表面を、自然な風合いの表面とすることが可能である。 【0035】 b-3)透水性の素材として好適なものとして、「粉砕紙及び/又は紙前駆物(以下、粉砕紙等ともいう)、並びに、土質細物を含有する組成物」(透水組成物ともいう)を挙げることができる。 【0036】 透水組成物は、製品への加工の過程で、加熱処理を行わずに済む、省エネルギー型の天然素材である。 【0037】 「粉砕紙」、「紙前駆物」及び「土質細物」は、前記の定義と同一である。 【0038】 製品製造に際して、透水組成物には、水を含有させることが必要である。 【0039】 すなわち、透水組成物は、それらの前駆組成物を経て形成される。すなわち、まず、粉砕紙等、土質細物および水を含有する前駆組成物を調製して、これらの前駆組成物が、透水組成物の基礎として用いられる。 【0040】 透水組成物またはその前駆組成物における、粉砕紙等および土質細物の比率は、特に限定されないが、概ね、質量比で、粉砕紙等:土質細物=4:1〜1:4程度が好ましい。粉砕紙等の比率が多くなりすぎると、透水組成物自体が脆くなり、色合いにおいても、紙の色が全面に出てしまい、色彩意匠的にも適切性を欠く場合がある。また、土質細物の比率が多くなり過ぎると、透水組成物の基礎組成物における固着性が低下し、乾燥しても安定して定形化することが困難となるばかりか、両組成物の単位体積当りのコストが上昇する傾向が強くなる。 【0041】 なお、透水組成物において用いる土質細物として、粘土を含有させることが好適である。かかる粘土の含有量は、特に限定されず、これらの組成物の土質細物全部を、粘土とすることも可能であるが、一般的には、質量比で、粘土:粘土以外の土質細物=1:10〜10:1程度が好ましい。 【0042】 また、透水組成物の前駆組成物における粉砕紙等、土質細物と、水の比率は、特に限定されず、自由に選択し得るが、一般的には、前駆組成物全量に対して1〜90質量%、同30〜90質量%程度が好ましい。水の含有量が少なすぎると、粉砕紙を用いる場合の紙の粉砕作業が難しくなり、粉砕紙と土質細物との十分な混練も困難となる。水の含有量が多過ぎると、前駆組成物の重量が重くなりすぎ、組成物の調製作業に過度の負担を与えるばかりか、水資源の浪費となってしまう可能性がある。 【0043】 なお、透水組成物には、上記の必須の要素の他に、必要に応じて他の要素、例えば、植物繊維(例えば、根張り面を形成した根部、剪断した根部等の植物の根部等)、わら、生ゴミ粉砕物、炭片、鉱石類、植物の種子、乾燥ミズゴケ等、を含有させることができる。 【0044】 さらに、透水組成物にコケ植物(乾燥ミズゴケを除く)を含有させて、透水組成物の表面にコケ植物を露出させることも可能である。 【0045】 具体的には、透水組成物の前駆組成物に、コケ植物を含有させることで、最終的に、所望のコケ植物を含有する透水組成物を得ることができる。 【0046】 コケ植物は、自然界に自生しているコケ植物をそのまま用いることも可能であり、栽培法で得たコケ植物を用いることも可能である。また、いわゆる培養法〔例えば、「植物バイオテクノロジーII」,東京化学同人:現代化学・増刊20の第39頁「蘚苔類の培養」(小野著)等参照のこと〕を用いた「培養ゴケ」を用いることも可能であるが、通常は、栽培法で得たコケ植物を用いることが好ましい。 【0047】 透水組成物に含有させ得るコケ植物の種類は特に限定されない。 【0048】 例えば、Atrichum undulatum(Hedw.)P.Beauv(Namigata-Tachigoke)等のAtrichum P.Beauv.(Tachigoke-zoku) ;Pogonatum inflexum(Lindb.)Lac.(Ko-sugigoke) 等のPogonatum P.Beauv(Niwa-sugigoke-zoku);Polytrichastrum formosum(Hedw.)G.L.Smith等のPolytrichastrum G.L.Smith(Miyama-sugigoke-zoku);Polytrichum commune Hedw.(Uma-sugigoke) 等のPolytrichum Hedw.(Sugigoke-zoku);Ceratodon purpureus (Hedw.) Bird.(Yanoueno-akagoke)等のCeratodon Bird.(Yanouenoaka-goke-zoku);Dicranum japonicum Mitt.(Shippogoke) 、Dicranum nipponense Besch(O-shippogoke) 、Dicranum scoparium Hedw.(Kamojigoke)、Dicranum polysetum Sw.(Nami-shippogke)等のDicranum Hedw.(Shippogoke-zoku);Leucobryum scabrum Lac.(O-shiragagoke)、Leucobryum juniperoideum(Brid.) C.Mull.(Hosoba-okinagoke) 等のLeucobryum Hampe(Shiragagoke-zoku);Bryum argenteum Hedw.(Gingoke) 等のBryum Hedw.(Hariganegoke-zoku);Rhodobryum giganteum(schwaegr.)Par.(O-kasagoke)等のRhodobryum(Schimp.)Hampe(Kasagoke-zoku) 、Plagiomnium acutum(Lindb.)T.Kop.(Kotsubogoke) 等のPlagiomnium T.Kop.(Tsuru-chochingoke-zoku);Trachycystis microphylla(Dozy et Molk.)Lindb.(Kobano-chochingoke)等のTrachycystis Lindb.(Kobano-chochingoke-zoku);Pyrrhobryum dozyanum(Lac.) Manuel(Hinokigoke)等のPyrrhobryum Mitt.(Hinokigoke-zoku);Bartramia pomiformis Hedw.(O-tamagoke) 等のBartramia Hedw.(tamagoke-zoku);Climacium dendroides(Hedw.)Web.et Mohr(Furoso) 、Climacium japonicium Lindb.(Koyano-mannengusa)等のClimacium Web.et Mohr(Koyano-mannengusa-zoku);Racomitrium ericoides(Web.et Brid) Brid(Hai-sunagoke) 、Racomitrium japonicium Dozy et Molk.(Ezo-sunagoke)、Racomitrium canescens(Hedw.) Brid.ssp.latifolium(Sunagoke)、Racomitrium barbuloides Card.(Kobanosunagoke) 等のRacomitrium Brid.(Shimofurigoke-zoku) ;Hypnum plumaeforme Wils.(Haigoke) 等のHypnum Hedw.,nom.cons.(Haigoke-zoku);Thuidium Kanedae Sak.(Toyama-shinobugoke)等のThuidium Bruch et Schimp.in B.S.G.(Shinobugoke-zoku)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではないが、ミズゴケとこれらのコケ植物の好適な生育環境が異なる場合が多いので、様々な要素、例えば、生育pH等を考慮して、用いるコケ植物を選択することが好適である。 【0049】 これらのコケ植物は、単独種類のコケ植物を用いることは勿論のこと、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。 【0050】 コケ植物を含有する透水組成物を、単純ミズゴケ栽培基の乾燥ミズゴケ定形物として用いる場合には、少なくとも、製品完成時点においては、コケ植物が、透水組成物の表面において露出していることが、コケ植物の光合成の機会の確保の観点からも、意匠上の観点からも、好適である。 【0051】 このコケ植物の露出手段として、まず、透水組成物中のコケ植物の含有比率を高く設定することが挙げられる。具体的には、コケ植物を、透水組成物のコケ植物以外の含有物の2倍量〜15倍量(質量比)程度となるように含有させることが挙げられる。コケ植物の含有量が、透水組成物のコケ植物以外の含有物の2倍量未満であると、コケ植物以外の要素(紙繊維、土質細物及び乾燥ミズゴケ)が、透水組成物の表面を覆ってしまう割合が多くなり、コケ植物が十分に光合成を行うことが難しくなる。また、同コケ植物の含有量が15倍量を超えると、透水組成物におけるコケ植物の固定力が弱くなり過ぎる傾向が認められる。 【0052】 他の露出手段として、透水組成物におけるコケ植物の含有量を2倍量(質量比)未満、好適には、0.1〜1倍量としつつ、成形した透水組成物の表面近傍のコケ植物を、様々な露出手段により、露出させる態様が挙げられる。 【0053】 例えば、1)電動のやすり付き工具等で、成形して乾燥させた透水組成物の表面を薄く削り出し処理をする態様や、最も好適な態様として、2)成形した透水組成物の前駆組成物の水分が失われる前に、その表面を、水流と接触させること、等を挙げることができる。 【0054】 露出手段2)は、効率的にコケ植物の露出を行うことが可能であること、および、露出工程において、削り出しのような埃が発生しないという点において、極めて有利である。 【0055】 水流を用いた露出工程2)において、水流を接触させる前駆組成物は、水分が含まれている「固化前の状態」であるから、通常であれば、水流によって組成物は崩れてしまうはずである。しかしながら、当該前駆組成物の水流を接触させる面の表面近傍に存在するコケ植物が、水流をトラップすることにより、組成物全体が崩れてしまうことを防御することとなる。このために、ごく表面の前駆組成物の土質細物や粉砕紙等のみが水流との接触によって洗い流される結果、所望するコケ植物の露出状態を非常に簡便に実現することができる。なお、この水流の強さの程度は、日本国において、通常の状態(給水制限時のように、極端に水圧が下がっている場合は、水圧が不足する可能性がある)で用いる家庭用の上水道から連結したノズル付きホースで実現される程度の水流で十分である。 【0056】 また、成形する透水組成物の形状が球状に近似した形状である場合には、透水組成物の前駆組成物で形成された所望の成形物を、完全乾燥前に、複数個、電気洗濯機のような、水流発生機構が設けられている水槽に入れ、この水槽において水流を発生させることにより、水流と透水組成物の成形物同士の接触による摩擦力により、コケ植物の露出工程を行うことができる。なお、この水槽における処理は、通常の家庭用の洗濯機程度の水流中で、2〜10分間程度、透水組成物の成形物同士を接触させることで行うことができる。 【0057】 以上述べた内容の透水組成物の前駆組成物を所望の形状として、これを乾燥させることにより、当該形状の透水組成物を素材とする器物が提供される。 【0058】 b-4)器物の凹部が、この器物を貫通する貫通口ではなく、底が閉じた凹部であり、かつ、この底が閉じた凹部に通ずる吸水口が設けられていない場合には、器物自体を介して凹部内の乾燥ミズゴケに、水を供給するために、器物の素材として、上述した透水性が認められる素材を選択することが必要となる、このような透水性の素材としては、素焼き物、紙粘土、砂礫、軽石等を例示することができる。ただし、この態様は、水が微生物を豊富に含み得る水、例えば、富栄養化した湖沼や、汚れた河川の水、下水の単純浄化水等である場合には、水と共に、これらの微生物を生長ミズゴケに接触させてしまう可能性が強い。 【0059】 c) その他の定形化方法 上述したa)、b)の方法の他に、例えば、綿糸、絹糸、針金等の線状部材や、フィルム状の部材、網状の部材を、所望の形状に調えた乾燥ミズゴケに巻き付けて、乾燥ミズゴケを定形化することが可能である。また、例えば、地面やコンクリート面等に穴を設けて、この穴に乾燥ミズゴケを充填することも、「定形化」に含まれるものとする。 【0060】 (2)生長ミズゴケ 生長ミズゴケは、第1図に示したような外観のミズゴケ植物体10の、茎部11、枝部および葉部12のうち、少なくとも、生長点を有する茎部が残った状態のものを用いるのが好適である。 【0061】 ここで、ミズゴケの茎部が「生長点を有する」とは、仮に、ミズゴケの茎部を切断した場合に、その切断した部分から、ミズゴケの植物体が伸長し得る「生長点」であり得ることを意味するものとする。具体的には、単純ミズゴケ栽培基に用いるミズゴケ植物体は、茎部が、2cm程度以上、確保されていることが好適である。葉部(葉状体の部分)と枝部(枝分かれしている部分)は、意匠的には確保されていることが好適であるが、確保されていなくてもよい。生長点を含む茎部さえ確保されていれば、単純ミズゴケ栽培基におけるミズゴケ栽培を行うことが可能である(葉部と枝部自身も生長可能である。なお、茎部等に生長点が存在するか否かの判断は、茎部等の切断面近傍において、目視で緑色がかった彩色が認められるか否かによって行うことができる。すなわち、緑色がかった彩色が認められる場合には、生長点が確保されているものと判断し、緑色が失われている場合には、生長点が実質的に失われてしまっていると判断することが可能である。 【0062】 生長ミズゴケの茎部が、「まとまった状態」である、とは、何らかの態様で、複数本の生長ミズゴケの茎部が集約している状態を意味するもので、代表的には、束ねられた状態の茎部を挙げることができる。この場合、茎部同士が絡まっていても、絡まっていなくても構わない。また、生長ミズゴケが、たとえ1本であっても、その茎部を折り込むことにより、1本の茎部を、「まとまった状態」とすることができる。また、単純ミズゴケ栽培基等に用いる「まとまった状態の茎部」は、茎部同士で圧縮された状態とすることが、後述するブルト形態を生長ミズゴケにおいて形成させる上で好適である。 【0063】 また、この「まとまった状態の茎部」は、単純ミズゴケ栽培基において、1カ所以上に、1個以上を配置することが可能であり、配置部位も、乾燥ミズゴケの固定物の内部または外側とすることができる。この「まとまった状態の茎部」は、乾燥ミズゴケ定形物に接触していることが、乾燥ミズゴケ定形物に吸収された水分(浸潤水)を、生長ミズゴケが、その生長に利用するために必要である。 【0064】 さらに、生長ミズゴケの生長点を含む部分が、乾燥ミズゴケ定形物から、実質的に露出していることが必要である。これは、生長ミズゴケの生長点が、単純ミズゴケ栽培基において、「水没しない状態」であることが必要であり、この状態は、生長ミズゴケの生長点が、乾燥ミズゴケ定形物から実質的に露出していることで、容易に維持が可能だからである。 【0065】 ここで、「実質的に露出している」とは、生長ミズゴケが、乾燥ミズゴケ定形物から、凸状に露出している状態は勿論のこと、例えば、乾燥ミズゴケ定形物に設けられた凹部の深さよりも、生長ミズゴケ部分が短く、結果として生長ミズゴケの先端部分が、この凹部の中に止まっている状態も、生長ミズゴケの生長により、生長ミズゴケの伸長部分が、乾燥ミズゴケ定形物の外部に露出する空間が確保されているような場合も含まれる。 【0066】 また、単純ミズゴケ栽培基の、上記の生長ミズゴケの露出部分と異なる部分の一部または全部において、乾燥ミズゴケの集合物が露出しており、この露出部分の乾燥ミズゴケの集合物が、単純ミズゴケ栽培基の生長ミズゴケとの接触部分まで、連なっていることが必要である。この乾燥ミズゴケの露出部分が水と接触することにより、そこの水を吸収し、この吸収した水を、生長ミズゴケとの接触部分まで浸潤させ、生長ミズゴケに水を供給し、その結果、単純ミズゴケ栽培基における生長ミズゴケの養生を行うことができるからである。 【0067】 このように、単純ミズゴケ栽培基の使用時において、上記の生長ミズゴケの露出部分と異なる、乾燥ミズゴケで構成される部分が、水と接触可能になっていることが必要である。上述したように、水を、乾燥ミズゴケを介して、生長ミズゴケに向けて供給することは、当該水において存在する不要な成分(汚れ等)を、乾燥ミズゴケの段階でろ過して、生長ミズゴケに供給し得る、という意義が認められる。このろ過の効果は、全長(1単位の乾燥ミズゴケの長手方向の長さのみならず、複数単位の乾燥ミズゴケを、長手方向に連結させた長さを含む)が長い乾燥ミズゴケを用いることで向上させることができる。 【0068】 なお、乾燥ミズゴケ定形物が、縦整列態様である場合には、当該縦整列ミズゴケ定形物の横断面の一端が器物の凹部の開口部に向くように配置し、当該横断面の乾燥ミズゴケ同士の隙間に、生長ミズゴケの植物体を挿入して植えつけることで、単純ミズゴケ栽培基を製造することができる。この植え付け密度は、生長ミズゴケの植物体1個又は2〜5個程度を束ねて、前記乾燥ミズゴケ定形物の横断面0.2〜2平方センチ、好適には0.5〜1.5平方センチに1単位程度である。 【発明の効果】 【0069】 本発明により、水生植物の養生手段が提供される。 【発明を実施するための最良の形態】 【0070】 <ミズゴケ栽培基について> 上述したように、本養生方法は、単純ミズゴケ栽培基の生長ミズゴケ部分に、他の植物を接触させた状態(載置又は植え込み等による)で、乾燥ミズゴケ→生長ミズゴケを経て水分を供給することにより行うことができるが、後述するように、「水位の調整機構」を設けたミズゴケ栽培基により水位の厳密な管理を行うことが可能であることが好適であると考えられる。 【0071】 この態様のミズゴケ栽培基では、「単純ミズゴケ栽培基」において、当該栽培基を、生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべた場合の、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における水の浸潤度合いの調整機構が設けられている。 【0072】 栽培基を、生長ミズゴケを、上に向けて水に浮かべた場合の、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における水の浸潤度合いの調整機構(以下、浸潤度調整機構ともいう)は、単純ミズゴケ栽培基を水に浮かべた場合において、当該ミズゴケ栽培基に組み入れられている、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分に対する水位を調整することにより、この乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分に接触した状態で組み入れられる「他の植物」の生育に適した水の浸潤度合いを提供するための機構である。 【0073】 浸潤度調整機構は、1)本ミズゴケ栽培基内の乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分全体に対する水位を調整する機構(以下、機構1ともいう)と、2)本ミズゴケ栽培基全体に対する水位を調整する機構(以下、機構2ともいう)に大別される(ただし、これらの2通りの機構を組み合わせることも可能である)。 【0074】 機構1又は2により、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分の乾燥ミズゴケ部分に接触している水の圧力を調整することにより、当該乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における水の浸潤度合いを調整することができる。すなわち、当該乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における任意の箇所に着目すると、上記乾燥ミズゴケ部分に接触している水の圧力が減少することにより、前記の任意の箇所の水の浸潤度合いは減少し、逆に、上記乾燥ミズゴケ部分に接触している水の圧力が増加すると、前記の任意の箇所における水の浸潤度合いは増加する。植物の生育において適した種子、球根、球茎、根近傍の水の浸潤度合いは、植物の種類によっても異なると考えられ、「浸潤度調整機構」により、養生を行う植物の種類に応じた、前記浸潤度合いの調節を行うことができる。 【0075】 第2図[(1)(2)]は、機構1が設けられたミズゴケ栽培基の一態様について示した図面(縦断面図)である。容器21には、水22が入っており、そこにミズゴケ栽培基23が、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ25の生長ミズゴケ側を上に向けて浮かべられている。 【0076】 ミズゴケ栽培基23は、発泡スチロール等の水より比重が小さい素材からなる貫通口232が設けられた円柱状部材231の当該貫通口には、一方が開放され他方に蓋部材が設けられた筒型部材241(ただし、当該蓋部材には、好適には多数の小孔が設けられており、水の流通が可能である)が、開放口を上にして嵌め込まれており、この筒型部材241は、貫通口232を摺動することが可能となっている。そして、筒型部材241の開放側に、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ25(生長ミズゴケは茎部が圧縮されて束ねられた状態である)が乾燥ミズゴケ側から嵌め込まれており、生長ミズゴケ側はブルト状に円筒部材241の貫通口232から突出している。また、円柱状部材231の貫通口232の生長ミズゴケ側と反対側の一端(底部)には、貫通したボルト穴付き部材242が固定されており(ただし、当該ボルト穴付き部材242はボルト穴以外の部分に貫通口等が形成されており、当該貫通口等を介して水が流通可能な状態となっている)、当該貫通ボルト穴には、ボルト状部材243がねじ込まれており、このボルト状部材243の先端部分は、筒型部材241の蓋部材に接して固定されている。つまり、ボルト状部材243をボルト穴を通じて螺旋入れることにより、筒型部材241が、貫通口232を螺旋状に摺動してせり上がり、これに伴い、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ25も当該貫通口232からせり上がる。逆に、ボルト状部材243をボルト穴から外側に螺旋出すことにより、筒型部材241は、貫通口232を螺旋状に摺動して後退し、これに伴い、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ25も当該貫通口232から後退する。 【0077】 ミズゴケ栽培基が、使用時に他の植物26を生長ミズゴケに組み入れて接触させるタイプであれば、組み入れた他の植物26の種子、球根、球茎又は根の部分261における水の浸潤度合いを、植物付きミズゴケ栽培基であれば、予め組み入れられている他の植物26の種子、球根、球茎又は根の部分261における水の浸潤度合いを、共に筒型部材241をせり上げることで、当該部分を水22の水面との比較において相対的に高くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ25の乾燥ミズゴケ部分において接する水22の水圧が弱くなり、上記他の植物26の種子、球根、球茎又は根の部分261における水の浸潤度合いは弱められることになる[第2図(1)]。逆に、筒型部材241を貫通口232の中に下げることで、上記他の植物26の種子、球根、球茎又は根の部分261における水の浸潤度合いが強められることになる[第2図(2)]。 【0078】 このようにして、他の植物26は、その植物に適した水の浸潤度合いを享受することが可能となり、接触している生長ミズゴケからの滲出成分により雑菌等から保護されて、経時的に養生をすることができる。 【0079】 第3図[(1)〜(3)]は、機構2が設けられたミズゴケ栽培基の一態様について示した図面(縦断面図)である。 【0080】 第3図(1)において、容器31には、水32が入っており、そこにミズゴケ栽培基33が、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ35の生長ミズゴケ側を上に向けて浮かべられている。 【0081】 ミズゴケ栽培基33は、発泡スチロール等の水より比重が小さい素材からなる貫通口332が設けられた円柱状部材331の当該貫通口に、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ35(生長ミズゴケは茎部が圧縮されて束ねられた状態である)が乾燥ミズゴケ側から嵌め込まれており、生長ミズゴケ側はブルト状に円筒部材341の貫通口332から突出している。機構2としては、円柱状部材331の底部に、脱着可能なドーナツ状の重し(少なくとも水よりも比重の大きな部材でできている。)が、0個あるいは1個以上(本図では、333A〜Cの3個)取り付けられており、水32は、これらの重畳的に取り付けられた重し333A〜Cにより形成される穴を通じて、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ35の乾燥ミズゴケ側(底部側)に接触することが可能である。これらの重し333A〜Cの個数を加減することで、水32のミズゴケ栽培基33全体に対する相対的水位を調整することができる。 【0082】 ミズゴケ栽培基33が、使用時に他の植物36を生長ミズゴケに組み入れて接触させるタイプであれば、組み入れた他の植物36の種子、球根、球茎又は根の部分361における水の浸潤度合いを、植物付きミズゴケ栽培基であれば、予め組み入れられている他の植物36の種子、球根、球茎又は根の部分361における水の浸潤度合いを、重し333の個数を減らすことで、栽培基33全体の水32に対する浮力が増加し、当該部分361を32の水面との比較において相対的に高くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ35の乾燥ミズゴケ部分において接する水32の水圧が弱くなり、上記他の植物36の種子、球根、球茎又は根の部分361における水の浸潤度合いは弱められることになる。逆に、重し333の個数を増やすことで、栽培基33全体の水32に対する浮力が減少し、当該部分361を32の水面との比較において相対的に低くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ35の乾燥ミズゴケ部分において接する水32の水圧が強くなり、上記他の植物36の種子、球根、球茎又は根の部分361における水の浸潤度合いは強められることになる。 【0083】 このようにして、他の植物36は、その植物に適した水の浸潤度合いを享受することが可能となり、接触している生長ミズゴケからの滲出成分により雑菌等から保護されて、経時的に養生をすることができる。 【0084】 第3図(2)は、第3図(1)のミズゴケ栽培基33における重し333に代えて、液体を注入可能な、ドーナツ形状のタンク容器433を脱着可能な状態で、円柱状部材431の底部に設けた態様である。水42は、タンク容器433の中央穴を通じて、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ45の乾燥ミズゴケ側(底部側)に接触することが可能である。タンク容器433は、液体注入口4331が設けられており、当該液体注入口から水等の液体4332を注入して、タンク容器全体の重さを調整して、ミズゴケ栽培基43全体の水42に対する浮力を調整することができる。なお、タンク容器433には、必要に応じて液体4332を廃棄できる液体廃棄口を設けることが好適である。 【0085】 ミズゴケ栽培基43が、使用時に他の植物46を生長ミズゴケに組み入れて接触させるタイプであれば、組み入れた他の植物46の種子、球根、球茎又は根の部分461における水の浸潤度合いを、植物付きミズゴケ栽培基であれば、予め組み入れられている他の植物46の種子、球根、球茎又は根の部分461における水の浸潤度合いを、タンク容器433中の液体4332を減らすことで、栽培基43全体の水42に対する浮力が増加し、当該部分461を42の水面との比較において相対的に高くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴ45の乾燥ミズゴケ部分において接する水42の水圧が弱くなり、上記他の植物46の種子、球根、球茎又は根の部分461における水の浸潤度合いは弱められることになる。逆に、タンク容器433中の液体4332を増やすことで、栽培基43全体の水42に対する浮力が減少し、当該部分461を42の水面との比較において相対的に低くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ45の乾燥ミズゴケ部分において接する水42の水圧が強くなり、上記他の植物46の種子、球根、球茎又は根の部分461における水の浸潤度合いは強められることになる。 【0086】 このようにして、他の植物46は、その植物に適した水の浸潤度合いを享受することが可能となり、接触している生長ミズゴケからの滲出成分により雑菌等から保護されて、経時的に養生をすることができる。 【0087】 第3図(3)は、円柱部材331自体をタンク容器531とした態様を示している。タンク容器531には、液体注入口5331が設けられ、ここから水等の液体5332を注入することができる。また、当該タンク容器531には、必要に応じて液体5332を廃棄できる液体廃棄口を設けることが好適である。 【0088】 ミズゴケ栽培基53が、使用時に他の植物56を生長ミズゴケに組み入れて接触させるタイプであれば、組み入れた他の植物56の種子、球根、球茎又は根の部分561における水の浸潤度合いを、植物付きミズゴケ栽培基であれば、予め組み入れられている他の植物56の種子、球根、球茎又は根の部分561における水の浸潤度合いを、タンク容器531中の液体5332を減らすことで、栽培基53全体の水52に対する浮力が増加し、当該部分561を52の水面との比較において相対的に高くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ55の乾燥ミズゴケ部分において接する水52の水圧が弱くなり、上記他の植物56の種子、球根、球茎又は根の部分561における水の浸潤度合いは弱められることになる。逆に、タンク容器531中の液体5332を増やすことで、栽培基53全体の水52に対する浮力が減少し、当該部分561を52の水面との比較において相対的に低くすることができる。すなわち、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ55の乾燥ミズゴケ部分において接する水52の水圧が強くなり、上記他の植物56の種子、球根、球茎又は根の部分561における水の浸潤度合いは強められることになる。 【0089】 このようにして、他の植物56は、その植物に適した水の浸潤度合いを享受することが可能となり、接触している生長ミズゴケからの滲出成分により雑菌等から保護されて、経時的に養生をすることができる。 【0090】 以上述べたように、本発明においては、他の植物(好適には水生植物)の植物体、種子、球根、球茎又は根を接触した状態に保ち、ミズゴケ栽培基(機構1または機構2を備えている)を、生長ミズゴケを上に向けて水に浮かべ、乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分における水の浸潤度合いを、機構1又は2を用いて、他の植物に適した前記水の浸潤度合いを調製して、当該他の植物を養生する、植物の養生方法が提供される。なお、植物体、種子、球根又は球茎は予め、前記乾燥ミズゴケ〜生長ミズゴケ部分に組み入れられていてもよく、養生開始時等、事後的に組み入れてもよい。 【実施例】 【0091】 上述した工程により作成した単純ミズゴケ栽培基〔器物は発泡スチロールの基板状部材(高さ10センチメートル:表面に土粒子が定着している)であり、その一面に対照面へ抜ける円形の断面積10平方センチメートル程度の貫通口を複数設けたものである。その底部に6センチメートル高の乾燥ミズゴケ定形物を縦配列の状態で配置し、その上側の横断面に0.5平方センチメートルに1単位の割合で、生長ミズゴケの植物体2個を束ねたものをピンセットで植えつけたもの〕の生長ミズゴケの部分に、1)サギソウの球茎20球、2)モウセンゴケ、アフリカナガバノモウセンゴケ、四つ又モウセンゴケ、ハエトリソウの種子を、それぞれ1粒ずつ、をピンセットで2センチメートル下に押し込んだ。この植物付きの単純ミズゴケ栽培基を、水槽に浮かべた状態で、日当たりのよい屋外(雨水に晒される環境)に放置して、これらの水生植物の生長の度合いを観察した。水の量は大ざっぱに点検を行った(水をつぎ足した回数は、5ヶ月で3回程度である)。 【0092】 その結果、1〜3月にかけては変化が認められなかったが、1)サギソウ20球のうち4球に芽出しが認められ、5月入ると20球すべてに芽出しが認められた(葉の先端がミズゴケ被覆部から2センチメートル高以上のものを「芽出し有り」とした)。また、2)モウセンゴケ、アフリカナガバノモウセンゴケ、四つ又モウセンゴケ、ハエトリソウの種子についても、4月に入ると全ての種子に芽出しが認められた。サギソウも、モウセンゴケも、その後も順調に生育したが、サギソウの一部は6月に虫害に遭った。 【0093】 サギソウについては図4に、モウセンゴケについては図5に、それぞれの芽出しの写真像を示す。 【0094】 サギソウと、「モウセンゴケ、アフリカナガバノモウセンゴケ、四つ又モウセンゴケ、ハエトリソウ」は、共に、高層湿原に存在する水性植物であるが、互いに種類は異なるものである。よって、本植物養生方法は、水性植物一般に適用可能であると考えられる。これは、従来の水性植物の養生の困難性からすると驚くべき現象である。 【0095】 なお、この栽培の間、水は濁り、藻も認められたが、ボウフラは全く発生しなかった(ユスリカの幼虫は発生した)。 【図面の簡単な説明】 【0096】 【図1】生長ミズゴケの外観を示した図面である。 【図2】機構1が設けられたミズゴケ栽培基の一態様について示した図面(縦断面図)である。 【図3】機構2が設けられたミズゴケ栽培基の一態様について示した図面(縦断面図)である。 【図4】サギソウの本養生方法による芽出しの様子を示した図面(写真像)である。 【図5】モウセンゴケの本養生方法による芽出しの様子を示した図面(写真像)である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596118194 【氏名又は名称】志村 光春
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| 【出願日】 |
平成16年6月25日(2004.6.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099737 【弁理士】 【氏名又は名称】原 由紀子
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| 【公開番号】 |
特開2005−304472(P2005−304472A) |
| 【公開日】 |
平成17年11月4日(2005.11.4) |
| 【出願番号】 |
特願2004−187826(P2004−187826) |
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