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【発明の名称】 吊戸用戸車の取付け具及び吊戸用戸車セット
【発明者】 【氏名】佐藤 隆寛

【氏名】直木 武之介

【要約】 【課題】吊戸の揺動及びガタの発生を抑制し、取付け作業が簡単な吊戸用戸車の取付け具及び吊戸用戸車セットを提供する。

【解決手段】戸車3の段差部32,32間の寸法より僅かに狭い幅寸法の金属製帯板を倒立U字形状に屈曲させた本体20を備えている。本体20には凸条部26,26が設けてあり、両凸条部26,26の間の寸法は戸車3の回転軸部31の直径より僅かに小さくしてある。一方の脚部20aの端は外側へ直角に屈曲させて第1フランジ部21にしてあり、該第1フランジ部21には引掛け部27が立設してある。他方の脚部20bの端も外側へ直角に屈曲させて第2フランジ部22にしてあり、ボルト41の頭部の回転を防止する回転防止壁部23が立設してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、一方の当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔が開設してあることを特徴とする吊戸用戸車の取付け具。
【請求項2】
前記一方の当接部に係る一方の脚部は、他方の脚部より所定寸法だけ短くしてある請求項1記載の吊戸用戸車の取付け具。
【請求項3】
他方の脚部に係る当接部の上面端縁部に、吊戸に設けた開口に引掛けるための引掛け部が突設してある請求項2記載の吊戸用戸車の取付け具。
【請求項4】
円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、両当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔がそれぞれ開設してあることを特徴とする吊戸用戸車の取付け具。
【請求項5】
前記貫通孔が開設してある当接部の上面に、前記螺子部材の頭部の回転を防止する回転防止壁部が、当該当接部に対応する脚部から前記頭部の寸法に応じた距離を隔てて前記脚部と平行に立設してある請求項1から4のいずれかに記載の吊戸用戸車の取付け具。
【請求項6】
前記回転防止壁部の前記脚部に対向する面及び当該脚部の前記回転防止壁部に対向する面に、前記螺子部材の頭部の抜けを防止するための第1抜け防止用凸部がそれぞれ突設してある請求項5記載の吊戸用戸車の取付け具。
【請求項7】
両脚部の互いに対向する面にそれぞれ、前記吊戸用戸車の回転軸部の抜けを防止するための第2抜け防止用凸部が設けてある請求項1から6のいずれかに記載の吊戸用戸車の取付け具。
【請求項8】
円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、請求項6記載の吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、前記吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材が組み付けてあることを特徴とする吊戸用戸車セット。
【請求項9】
円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、請求項7記載の吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、前記吊戸用戸車の取付け具の本体に前記吊戸用戸車が組み付けてあり、又は、前記本体に前記吊戸用戸車が、前記吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材がそれぞれ組み付けてあることを特徴とする吊戸用戸車セット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栽培に使用するハウス等に設けるスライド式の吊戸に戸車を取り付ける取付け具、並びに該取付け具及び戸車を備える吊戸用戸車セットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の骨材で構築した骨組みの周囲をビニールシートで覆ったビニールハウスがある。かかるビニールハウスでは、その妻面に出入口が設けてあり、出入口の上部には、上レールが配設してある。この上レールには、複数の枠部材を例えば「目」字状に接続してなるドア枠をビニールシートで覆ったドアが、上縁のドア枠に取付け具によって回転自在に固定した戸車を介して、上レールの長手方向へスライド自在に吊下してある。このような吊戸に戸車を取り付ける取付け具として、後述する特許文献1には次のようなものが開示されている。
【0003】
図9及び図10は、特許文献1に開示された取付け具の使用様態を示す斜視図及び側断面図であり、図中、61は、出入口の上端部に横架された上レール、51は、該上レール61に吊下されたドア枠である。上レール61は、帯板を端面視が矩形C字状に曲加工することによって一面に開口62を設けてなり、この開口62が下に向くように配設されている。上レール61の内部には略鼓形の2つの戸車63,63が前記開口62を跨ぐように挿入してあり、両戸車63,63の括れ部分の周囲には、戸車63,63をドア枠51に取り付けるための取付け具64,64が遊嵌してある。
【0004】
一方、ドア枠51は、距離を隔てて互いに平行に配した縦枠部材52a,52aの間に、縦枠部材52aと同じ端部形状・端部寸法の複数の横枠部材52b,52b,…を、例えば目字状に横架させ、縦枠部材52a,52aと複数の横枠部材52b,52b,…とを螺子止めして形成してある。そして、ドア枠51の少なくとも一面側を後述する如くビニールシート50で覆うことによってドアが形成してある。
【0005】
前述した縦枠部材52a及び横枠部材52bは、帯板の長手方向の全領域に亘って、その幅方向の中央より少し一側縁側の部分を、端面視が縦断フラスコ底形状に曲加工して、シート止用のスプリングSを嵌入させる溝状凹部53を設けてなり、該溝状凹部53の一側から延出した部分は、溝状凹部53の深さ方向へ、溝状凹部53の底部から所定長だけ突出するように屈曲させて側面部54になすと共に、その先縁部を内巻き円筒状に巻回させてある。また、縦枠部材52a及び横枠部材52bの前記溝状凹部53の他側から延出した部分は、溝状凹部53の深さ方向へ、溝状凹部53の底部位置まで屈曲させた後、その位置で、溝状凹部53の深さ方向と直交し、溝状凹部53から離隔する方向へ屈曲させてある。
【0006】
横枠部材52bの両端部にはそれぞれ、前述した側面部54を所定長だけ切削した切り欠きを設けて連結部(側面部54以外の部分)が形成してある。そして、縦枠部材52a,52aを、各側面部54,54を外側にして、所定距離を隔てて互いに平行に配置し、その間に横枠部材52bを、横枠部材52bの両連結部が対応する縦枠部材52aに外嵌するように横架させ、横枠部材52bの両連結部と縦枠部材52a,52aとを螺子止めしてドア枠51が形成してある。かかるドア枠に長方形のビニールシート50を被覆させ、このビニールシート50の外側からその各縁部又は中間部分を面内台形交互波形の複数のスプリングSでそれぞれ押さえ、各スプリングSを、対応する縦枠部材52a,52a及び横枠部材52b,52b,…の溝状凹部54,54,…内に嵌入させてドアを形成する。
【0007】
前述した取付け具64は、丸棒を倒立J字状に屈曲させることによって短寸脚部64a及び長寸脚部64bを設けてなり、長寸脚部64bの外周面には螺子山が切削してある。一方、前記ドア枠51の最上段に位置する横枠部材52bの側面部54の前記取付け具64,64に対向する部分には、それぞれ2つずつ貫通孔54a,54a、54a,54aが開設してある。
【0008】
そして、長寸脚部64b,64bに設けた螺子山の基端部にナット71,71を予め螺着させておいた取付け具64,64を戸車63,63の括れ部に外嵌させ、両取付け具64,64の各脚部64a,64a、64b,64bを、横枠部材52bの対応する貫通孔54a,54a、54a,54aにそれぞれ挿通させた後、各長寸脚部64b,64bに別のナット72(72)を螺合締着させることによって、戸車63,63を回転自在に横枠部材52bに固定してある。
【特許文献1】特開平8−266166号公報(図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の取付け具64にあっては、前述した如く、短寸脚部64aと横枠部材52bの側面部54とは固定されておらず、長寸脚部64bに螺着させた一対のナット71,72にて前記側面部54を挟持することによって横枠部材52bに固定されているだけであるため、横枠部材52bの長手方向と直交する方向へ加えられる力に対する対抗力が弱く、ドア枠51に前記力が加えられた場合、ドア枠51が揺動し易いという問題があった。また、取付け具64の短寸脚部64aは、横枠部材52bの側面部54に開設した貫通孔54aに挿通させてあるだけであるので、ドア枠51を開閉する際,取付け具64にガタが発生し易いという問題もあった。一方、取付け具64は戸車63の括れ部の周囲に遊嵌させてあるため、横枠部材52bに取付け具64及び戸車63を取り付ける際、取付け具64から戸車63が外れ易く、取付け作業が煩雑であった。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、吊戸の揺動及びガタの発生を抑制し、取付け作業が簡単な吊戸用戸車の取付け具及び吊戸用戸車セットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、一方の当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔が開設してあることを特徴とする吊戸用戸車の取付け具。
【0012】
請求項2記載の本発明は、前記一方の当接部に係る一方の脚部は、他方の脚部より所定寸法だけ短くしてあることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の本発明は、他方の脚部に係る当接部の上面端縁部に、吊戸に設けた開口に引掛けるための引掛け部が突設してあることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の本発明は、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、両当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔がそれぞれ開設してあることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の本発明は、前記貫通孔が開設してある当接部の上面に、前記螺子部材の頭部の回転を防止する回転防止壁部が、当該当接部に対応する脚部から前記頭部の寸法に応じた距離を隔てて前記脚部と平行に立設してあることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の本発明は、前記回転防止壁部の前記脚部に対向する面及び当該脚部の前記回転防止壁部に対向する面に、前記螺子部材の頭部の抜けを防止するための第1抜け防止用凸部がそれぞれ突設してあることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の本発明は、両脚部の互いに対向する面にそれぞれ、前記吊戸用戸車の回転軸部の抜けを防止するための第2抜け防止用凸部が設けてあることを特徴とする。
【0018】
請求項8記載の本発明は、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、請求項6記載の吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、前記吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材が組み付けてあることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載の本発明は、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、請求項7記載の吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、前記吊戸用戸車の取付け具の本体に前記吊戸用戸車が組み付けてあり、又は、前記本体に前記吊戸用戸車が、前記吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材がそれぞれ組み付けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の本発明では、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、一方の当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔が開設してあるため、両当接部と吊戸との接触面積が広く、吊戸の揺動及びガタの発生が抑制される。
【0021】
請求項2記載の本発明では、前記一方の当接部に係る一方の脚部は他方の脚部より所定寸法だけ短くしてあるため、他方の脚部を挿入させるための開口を吊戸の所要位置に予め設けておくことによって、他方の当接部を前記開口内へ挿入させて吊戸の内面に当接させ、一方の当接部を吊戸の外面に当接させることができ、一方の当接部に開設した貫通孔を貫通させた螺子部材によって、本体を吊戸に容易に固定することができる。
【0022】
請求項3記載の本発明では、他方の脚部に係る当接部の上面端縁部に、吊戸に設けた開口に引掛けるための引掛け部が突設してあるため、取付け具の吊戸への仮止作業を容易に行うことができる。
【0023】
請求項4記載の本発明では、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、両当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔がそれぞれ開設してあるため、両当接部と吊戸との接触面積が広く、吊戸の揺動及びガタの発生が抑制される。また、かかる取付け具によって吊戸用戸車を無垢の吊戸に取り付ける場合、当該吊戸の前記取付け具の両当接部に開設した両貫通孔に対向する部分に、両貫通孔を貫通させた両螺子部材を挿通させる丸孔をそれぞれ開設するだけでよく、このような開設作業は吊戸のユーザでも容易に行うことができるため、無垢の吊戸であっても、前記取付け具によって吊戸用戸車を容易に取り付けることができる。
【0024】
請求項5記載の本発明では、貫通孔が開設してある当接部の上面に、前記螺子部材の頭部の回転を防止する回転防止壁部が、当該当接部に対応する脚部から前記頭部の寸法に応じた距離を隔てて前記脚部と平行に立設してあるため、吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定する作業中、螺子部材の頭部の回転が防止され、前記作業を短時間で容易に行うことができる。
【0025】
請求項6記載の本発明では、前記回転防止壁部の前記脚部に対向する面及び当該脚部の前記回転防止壁部に対向する面に、前記螺子部材の頭部の抜けを防止するための第1抜け防止用凸部がそれぞれ突設してあるため、取付け具の吊戸への固定作業中、取付け具に予め組み付けた螺子部材が落下することが防止され、前記固定作業を容易に行うことができる。
【0026】
請求項7記載の本発明では、両脚部の互いに対向する面にそれぞれ、前記吊戸用戸車の回転軸部の抜けを防止するための第2抜け防止用凸部が設けてあるため、取付け具の吊戸への固定作業中、取付け具に予め組み付けた吊戸用戸車が落下することが防止され、前記固定作業を容易に行うことができる。
【0027】
請求項8記載の本発明では、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、請求項5記載の吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、前記吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材が組み付けてあるため、取付け具の吊戸への固定作業中、当接部に組み付けた螺子部材が落下することが防止され、前記固定作業を容易に行うことができる。
【0028】
請求項9記載の本発明では、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、請求項6記載の吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、前記吊戸用戸車の取付け具の本体に前記吊戸用戸車が組み付けてあり、又は、前記本体に前記吊戸用戸車が、前記吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材がそれぞれ組み付けてあるため、取付け具の吊戸への固定作業中、本体に組み付けた吊戸用戸車が落下すること、又は、本体に組み付けた吊戸用戸車及び当接部に組み付けた螺子部材が落下することが防止され、前記固定作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明に係る吊戸用戸車の取付け具は、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車の前記回転軸部の周囲に遊嵌させるべく、帯状材をU字状に屈曲させて対向する両脚部を設けた本体と、両脚部の端部を両脚部間の外側へそれぞれ屈曲させて、取付け対象の吊戸に当接させる平板状の当接部とを備え、全体として略縦長Ω形状になしてある。そして、一方の当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔が開設してある。
【0030】
そして、一方の当接部に係る一方の脚部は、他方の脚部より所定寸法だけ短くしてある。この両脚部の長さ寸法の差分は、吊戸の取付け部の板厚の寸法に対応させてある。
【0031】
また、他方の脚部に係る当接部の上面端縁部に、吊戸に設けた開口に引掛けるための引掛け部が突設してある。
【0032】
一方、本発明に係る他の吊戸用戸車の取付け具は、前述した両当接部に、吊戸に固定するための螺子部材を貫通させる貫通孔がそれぞれ開設してある。
【0033】
ところで、貫通孔が開設してある当接部の上面に、当該貫通孔にその脚部分を貫通させた螺子部材の頭部の回転を防止する回転防止壁部が、当接部に対応する本体の脚部から螺子部材の頭部の寸法に応じた距離を隔てて本体の脚部と平行に立設してある。
【0034】
また、回転防止壁部の本体の脚部に対向する面及び当該脚部の前記回転防止壁部に対向する面に、前記螺子部材の頭部の抜けを防止するための第1抜け防止用凸部がそれぞれ突設してある。両第1抜け防止用凸部は、螺子部材の頭部の厚さ寸法より大きい高さ寸法の位置に対向して配設してあり、両第1抜け防止用凸部間の距離は、螺子部材の頭部の直径より僅かに小さい寸法にしてある。
【0035】
更に、両脚部の互いに対向する面にそれぞれ、前記吊戸用戸車の回転軸部の抜けを防止するための第2抜け防止用凸部が設けてある。両第2抜け防止用凸部は、本体の天井部から前記回転軸部の直径より大きい寸法だけ隔てた位置に、互いに対向して配設してあり、両第2抜け防止用凸部間の距離は、前記回転軸部の直径より僅かに小さい寸法にしてある。
【0036】
一方、本発明に係る吊戸用戸車セットは、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、本体の当接部に設けた回転防止壁部の本体の脚部に対向する面及び前記脚部の前記回転防止壁部に対向する面に、螺子部材の頭部の抜けを防止するための第1抜け防止用凸部がそれぞれ突設してある吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備え、吊戸用戸車の取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材が組み付けてある。
【0037】
また、本発明に係る他の吊戸用戸車セットは、円柱状の回転軸部の両端に車輪部を設けてなる吊戸用戸車と、後述する吊戸用戸車の取付け具と、この吊戸用戸車の取付け具を吊戸に固定するための螺子部材とを備えており、前記取付け具は、本体の両脚部の互いに対向する面にそれぞれ、吊戸用戸車の回転軸部の抜けを防止するための第2抜け防止用凸部が設けてある場合と、本体の両脚部の互いに対向する面にそれぞれ第2抜け防止用凸部が設けてあり、当接部に設けた回転防止壁部の本体の脚部に対向する面及び前記脚部の前記回転防止壁部に対向する面に、螺子部材の頭部の抜けを防止するための第1抜け防止用凸部がそれぞれ設けてある場合とがある。そして、前者の取付け具にあっては、当該取付け具の本体に前記吊戸用戸車が組み付けてあり、後者の取付け具にあっては、当該取付け具の本体に前記吊戸用戸車が、また、取付け具の貫通孔が開設してある当接部に螺子部材がそれぞれ組み付けてある。
【0038】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
【実施例1】
【0039】
図1は、本発明に係り、吊戸用戸車を吊戸に取り付けるための取付け具を示す斜視図、図2は、図1に示した取付け具を備える吊戸用戸車セットの斜視図、図3は、図2に示した吊戸用戸車セットの分解斜視図である。本発明に係る吊戸用戸車セット1は、側面視が略縦長Ω形の取付け具2に、後述する戸車3及び前記取付け具2を吊戸に固定するための螺子部材たるボルト40が組み付けてある。
【0040】
図2及び図3に示した如く、外観が略鼓形の樹脂製の戸車3は、円柱状の回転軸部31の両端部にそれぞれ厚い円盤状の車輪部33,33が、両車輪部33,33の中心軸が回転軸部31の中心軸と同軸上になるように設けてある。この回転軸部31の両端近傍にはそれぞれ、回転軸部31の直径より大きい直径になした段差部32,32が設けてあり、両段差部32,32間の回転軸部31に取付け具2が外嵌してある。
【0041】
取付け具2は、図1から図3に示した如く、前記戸車3の両段差部32,32間の寸法より僅かに狭い幅寸法の金属製帯板を倒立U字形状に屈曲させた本体20を備えており、本体20は、対向する両脚部20a,20bの間の寸法が拡縮する弾性を有している。この両脚部20a,20bの間の寸法は、前記戸車3の回転軸部31の直径より僅かに大きくしてあり、これによって、戸車3に外嵌させた取付け具2内で戸車3が自在に回転し得るようになしてある。
【0042】
本体20の両脚部20a,20bの内面であって、本体20の円弧状の天井部から前記回転軸部31の直径より大きい所定距離を隔てた位置には、側面視が半円形状の凸条部(第2抜け防止用凸部)26,26が脚部20a,20bの全幅に亘って設けてあり、対向する両凸条部26,26の間の寸法は、前記戸車3の回転軸部31の直径より、僅かに小さくしてある。前述した如く、本体20は、対向する両脚部20a,20bの間の寸法が拡縮する弾性を有しており、本体20の脚部20a,20b間内へ戸車3を凸条部26,26に当接するまで挿入させ、その状態で戸車3に押力を加えることによって、両脚部20a,20bの間の寸法を拡大させながら戸車3を、両脚部20a,20b間の凸条部26,26より本体20の天井部側へ進入させる。戸車3が、両脚部20a,20b間の凸条部26,26を超えて本体20の天井部側へ進入すると、本体20の弾性によって、両脚部20a,20bの間の寸法が元の寸法に復帰し、これによって、取付け具2から戸車3が脱離することが防止される。また、このようにして戸車3を取付け具2内にワンタッチで組み付けることができる。
【0043】
取付け具2の一方の脚部20aの長さ寸法は、他方の脚部20bの長さ寸法より、取付け具2を取り付ける吊戸を構成する枠部材の板厚分だけ長くしてある。この一方の脚部20aの端は、両脚部20a,20b間の外側へ直角に屈曲させて第1フランジ部(当接部)21にしてあり、該第1フランジ部21の上面であって、本体20から延出させた方向の縁部には、前記枠部材に引掛ける低壁状の引掛け部27が立設してある。
【0044】
また、他方の脚部20bの端も、両脚部20a,20b間の外側へ直角に屈曲させて第2フランジ部(当接部)22にしてある。第2フランジ部22の上面であって、他方の脚部20bからボルト41の多角形の頭部の直径より少し大きい寸法を隔てた位置には、ボルト41の頭部の厚さ寸法より大きい高さ寸法であり、弾性を有し、ボルト41の頭部の回転を防止する回転防止壁部23が立設してあり、該回転防止壁部23と他方の脚部20bとの間の略中央には、ボルト41の脚部を貫通させる貫通孔25が開設してある。また、回転防止壁部23及び他方の脚部20bの互いに対向する両面であって、ボルト41の頭部の厚さ寸法より少し大きい高さ位置にはそれぞれ、側面視が直角三角形状をなし、ボルト41の頭部の抜けを防止する返し部(第1抜け防止用凸部)24,24が突設してあり、この返し部24,24の頂点間の寸法は、ボルト41の頭部の直径より僅かに小さくしてある。
【0045】
このような取付け具2にボルト41を組み付けるには、第2フランジ部22の貫通孔25にボルト41の脚部を、該ボルト41の頭部が返し部24,24に当接するまで挿入する。この状態でボルト41の頭部に押力を加えると、前述した如く回転防止壁部23は弾性を有しているため外側に撓み、返し部24,24の頂点間の寸法が拡がり、ボルト41の頭部が返し部24,24間を超えて第2フランジ部22に当接する。そして、回転防止壁部23が元の状態に復帰すると共に、返し部24,24の頂点間の寸法が元の寸法に戻るため、両返し部24,24によってボルト41の頭部の抜けが防止される。また、このようにしてボルト41を取付け具2にワンタッチで組み付けることができる。一方、ボルト41の頭部は回転防止壁部23と他方の脚部20bとの間に嵌合されるため、ボルト41の頭部の回動が抑止される。
【0046】
次にこのような取付け具2によって戸車3を吊戸に取り付ける方法について説明する。
【0047】
図4は、吊戸の戸車を取り付ける枠部材の取付け壁部を示す部分平面図であり、図5は、枠部材に戸車を取付けた状態を示す部分側断面図である。なお、両図中、図1から図3に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してある。
【0048】
図4及び図5に示した如く、平面視が平帯状の取付け壁部6aの端部近傍の位置には、前述した取付け具2を取付け壁部6aに固定するボルト41を貫通させるための円形のボルト用孔6bが開設してあり、このボルト用孔6bから所定距離を隔てた位置には、取付け具2の引掛け部27を挿入させる一条の引掛け部用孔6dが、取付け壁部6aの幅方向へ、取付け具2の幅寸法より少し大きい長さ寸法になるように開設してある。この引掛け部用孔6dとボルト用孔6bとの間に、取付け具2の第1フランジ部21を取付け壁部6aの裏面側へ進入させるための矩形の進入口6cが開設してあり、該進入口6cの取付け壁部6aの幅方向の部分の寸法は、引掛け部用孔6dの対応する部分の寸法と略同じにしてある。また、進入口6cと引掛け部用孔6dとの間の寸法は、第1フランジ部21に係る脚部20aの外面から引掛け部27の内面までの間の寸法と略同じである。
【0049】
かかる取付け壁部6aに、前述した如く戸車3及びボルト41を取付け具2に組み付けた吊戸用戸車セット1を取り付けるには、図5に示した如く、取付け具2の第1フランジ部21を進入口6cから取付け壁部6aの裏面側へ進入させた後、第1フランジ部21に突設した引掛け部27と引掛け部用孔6dとを位置合わせすると共に、ボルト41とボルト用孔6bとを位置合わせし、ボルト41の脚部をボルト用孔6b内に挿入させ、引掛け部27を取付け壁部6aの裏面側から引掛け部用孔6d内に挿入させる。
【0050】
このとき、吊戸用戸車セット1の取付け具2には、前述した如く、戸車3及びボルト41がそれぞれ、凸条部26,26及び返し部24,24によって抜け止めされた状態で組み付けてあるため、吊戸用戸車セット1の取付け壁部6aへの取付け作業中、戸車3及びボルト41が取付け具2から脱落することが防止され、取付け作業をスムーズに行うことができる。また、引掛け部27と引掛け部用孔6dとの位置合わせを比較的容易に行うことができる一方、引掛け部27と引掛け部用孔6dとを位置合わせすることによって、ボルト41とボルト用孔6bとが位置合わせされる。
【0051】
そして、ボルト用孔6bから取付け壁部6aの裏面側へ突出したボルト41の脚部にワッシャー(図示せず)を外嵌させると共にナット42を螺合させ、該ナット42を締め付けることによって、取付け具2を取付け壁部6aに固定する。このとき、前述した如く、ボルト41の頭部が回転防止壁部23と他方の脚部20bとの間に嵌合されるため、ナット42の締め付け作業中、ボルト41の頭部の回動が抑止され、前記締め付け作業をスムーズに行うことができる。
【0052】
図6は、本発明に係る吊戸用戸車セットを取り付けた吊戸の使用様態を示す部分斜視図であり、図中、8は、出入口の上端部に横架された上レールである。なお、図中、図2から図5に示した部分に対応する部分には同じ符号を付してある。
【0053】
図6に示した如く、上レール8は、帯板を端面視が矩形C字状に曲加工することによって一面に開口8aを設けてなり、この開口8aが下に向くように配設されている。一方、吊戸7は、ビニールシートの一部を挿入固定させる溝部が設けてある2本の縦枠部材5,5の間に、これと同様の溝部が設けてある複数の横枠部材6,6,…を上下に適宜距離を隔てて横架し、両縦枠部材5,5の溝部及び各横枠部材6,6,…の溝部に図示しないビニールシートの対向部分を挿入固定してなり、最上段の横枠部材6及び最下段の横枠部材(図示せず)は、両縦枠部材5,5の上下端近傍に配設してある。この最上段の横枠部材6の上壁部は取付け壁部6aになっており、該取付け壁部6aの両端近傍に2組の吊戸用戸車セット1,1がそれぞれ固定してある。
【0054】
このように吊戸用戸車セット1,1が取付けられた吊戸7は、両吊戸用戸車セット1,1の戸車3,3を上レール8の内部に、上レール8の開口8aを跨ぐように挿入してあり、上レール8によってその長手方向へスライド自在に吊下されている。
【0055】
かかる吊戸用戸車セット1,1を構成する取付け具2,2の本体20,20の両脚部20a,20a、20b,20bにはそれぞれ、前述した如く平板状の第1フランジ部21,21及び第2フランジ部(22,22)が設けてあり、第1フランジ部21,21は、取付け壁部6aの表面に当接し、第2フランジ部(22,22)は取付け壁部6aの裏面に当接しているため、第1フランジ部21,21と取付け壁部6aの表面との接触面積、及び第2フランジ部(22,22)(図5参照)と取付け壁部6aの裏面との接触面積が広く、吊戸7の揺動及び取付け具2,2のガタの発生が抑制される。
【実施例2】
【0056】
図7は、実施例2に係る吊戸用戸車の取付け具を示す斜視図であり、当接部たる両フランジ部に螺子部材を貫通させるための貫通孔が開設してある。また、図8は、図7に示した取付け具を備える吊戸用戸車セット吊戸に取付けた状態を示す模式的側断面図である。なお、両図中、図1及び図5に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0057】
図7及び図8に示した如く、取付け具2aの本体20を構成する両脚部20a,20bは互いに同じ長さ寸法にしてあり、第1フランジ部21と第2フランジ部22とは同じ高さ位置になっている。前述した第2フランジ部22と同様、第1フランジ部21の上面には、前述した引掛け部27に代えて、ボルト41の頭部の回転を防止する回転防止壁部23が立設してあり、この回転防止壁部23と一方の脚部20aとの間の略中央には、ボルト41の脚部を貫通させる貫通孔25が開設してある。また、回転防止壁部23及び一方の脚部20aの互いに対向する両面であって、ボルト41の頭部の厚さ寸法より少し大きい高さ位置にはそれぞれ、前述した返し部(第1抜け防止用凸部)24,24が突設してある。
【0058】
このような取付け具2aを備える吊戸用戸車セット1aにあっては、第2フランジ部22の貫通孔25にボルト41の脚部を挿入して、ボルト41の頭部を回転防止壁部23と他方の脚部20bとの間に前述した如く嵌入させてボルト41が第2フランジ部22に組み付けてあり、また、これと同様にして、第1フラン部21に他のボルト41が組み付けてあり、更に、本体20内に戸車3が前述した如く組付けてある。
【0059】
一方、吊戸の取付け壁部6aには、取付け具2aに第1フラン部21及び第2フランジ部22にそれぞれ開設した貫通孔25,25に対向する部分にそれぞれ、ボルト用孔6b,6bが開設してある。そして、吊戸用戸車セット1aのボルト41,41の脚部を両ボルト用孔6b,6bに挿通させ、両ボルト用孔6b,6bを貫通したボルト41,41の脚部にナット42,42を締着させることによって、吊戸用戸車セット1aが取付け壁部6aに固定してある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係り、吊戸用戸車を吊戸に取り付けるための取付け具を示す斜視図である。
【図2】図1に示した取付け具を備える吊戸用戸車セットの斜視図である。
【図3】図2に示した吊戸用戸車セットの分解斜視図である。
【図4】吊戸の戸車を取り付ける枠部材の取付け壁部を示す部分平面図である。
【図5】枠部材に戸車を取付けた状態を示す部分側断面図である。
【図6】本発明に係る吊戸用戸車セットを取り付けた吊戸の使用状態を示す部分斜視図である。
【図7】実施例2に係る吊戸用戸車の取付け具を示す斜視図である。
【図8】図7に示した取付け具を備える吊戸用戸車セット吊戸に取付けた状態を示す模式的側断面図である。
【図9】従来の取付け具の使用様態を示す部分斜視図である。
【図10】従来の取付け具の使用様態を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 吊戸用戸車セット
2 取付け具
3 戸車
5 縦枠部材
6 横枠部材
6a 取付け壁部
6b ボルト用孔
6c 進入口
6d 引掛け部用孔
7 吊戸
8 上レール
8a 開口
20 本体
20a 脚部
20b 脚部
21 第1フランジ部
22 第2フランジ部
23 回転防止壁部
24 返し部
25 貫通孔
26 凸条部
27 引掛け部
31 回転軸部
32 段差部
33 車輪部
41 ボルト
42 ナット
【出願人】 【識別番号】597088591
【氏名又は名称】佐藤産業株式会社
【識別番号】503423317
【氏名又は名称】直木 武之介
【出願日】 平成16年4月19日(2004.4.19)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎

【公開番号】 特開2005−304344(P2005−304344A)
【公開日】 平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願番号】 特願2004−123304(P2004−123304)