| 【発明の名称】 |
水稲栽培資材及び水稲栽培法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大森 博昭 【住所又は居所】新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内
【氏名】直川 拓司 【住所又は居所】新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内
【氏名】盛岡 実 【住所又は居所】新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内
【氏名】樋口 隆行 【住所又は居所】新潟県西頸城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内
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| 【要約】 |
【課題】、水稲へのカドミウム吸収を更に低減することができる水稲栽培資材及び水稲栽培法を提供する。
【解決手段】カルシウムシアナミド及びカルシウムシアナミドを成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種のシアナミド含有物質と、バテライト、アラゴナイト、並びにバテライト及びアラゴナイトの少なくとも一方を成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種の炭酸カルシウム含有物質とからなることを特徴とする水稲栽培資材。1ヘクタール当たり、上記シアナミド含有物質をカルシウムシアナミドとして60〜280kg、上記炭酸カルシウム含有物質をバテライト成分とアラゴナイト成分の合計量として200〜2000kg施用することを特徴とする水稲栽培法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カルシウムシアナミド及びカルシウムシアナミドを成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種のシアナミド含有物質と、バテライト、アラゴナイト、並びにバテライト及びアラゴナイトの少なくとも一方を成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種の炭酸カルシウム含有物質とからなることを特徴とする水稲栽培資材。 【請求項2】 シアナミド含有物質が石灰窒素であり、この石灰窒素のカルシウムシアナミド成分100質量部あたり、炭酸カルシウム含有物質の割合が、バテライト成分とアラゴナイト成分の合計量として83〜2900質量部であることを特徴とする請求項1記載の水稲栽培資材。 【請求項3】 平均粒径が2〜5mmであることを特徴とする請求項1又は2記載の水稲栽培資材。 【請求項4】 1ヘクタール当たり、請求項1〜3のいずれかに記載のシアナミド含有物質をカルシウムシアナミドとして60〜280kg、請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸カルシウム含有物質をバテライト成分とアラゴナイト成分の合計量として200〜2000kg施用することを特徴とする水稲栽培法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、水稲栽培資材及び水稲栽培法に関する。 【背景技術】 【0002】 水稲栽培では、カドミウムの吸収を防止する種々の方法が行われているが、一長一短がある。たとえば、汚染された表層土壌を取り除き、非汚染土壌を客土する方法(非特許文献1)では、客土に膨大な費用がかかるうえに、下層が汚染されている場合は効果が一時的であり、除去した汚染土壌の処分も問題となる。ケイカル等のアルカリ資材を投入しカドミウム吸収を抑制する方法(特許文献1)では、1ヘクタール当たり5〜10トンと多量に投入する必要があるために作業性が悪く、しかもアルカリ資材の多投によって土壌中の有機態窒素が無機化しやすくなり、水稲の倒伏に繋がる恐れがある。 【0003】 本発明者らは、窒素成分の溶出量が選ばれた石灰窒素の特定量を施用することにより、上記問題を解決し、通常の栽培管理の範囲内で、水稲のカドミウムの吸収量を減少させることを見いだしたが(特許文献2)、まだ改善の余地があった。また、炭酸カルシウムの斜方晶系であるアラゴナイトを含む物質(例えば貝化石)には、カドミウムを吸着する効果のあることが知られているが(特許文献3)、水稲へのカドミウム吸収の低減効果は十分でなかった。 【非特許文献1】農用地の土壌の汚染防止等に関する法律(昭和四十五年十二月二十五日法律第百三十九号) 【特許文献1】特開平10−98955号公報 【特許文献2】特願2002−201325号明細書 【特許文献3】特開昭56−70086号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の目的は、水稲へのカドミウム吸収を更に低減することができる水稲栽培資材及び水稲栽培法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0005】 本発明は、カルシウムシアナミド及びカルシウムシアナミドを成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種のシアナミド含有物質と、バテライト、アラゴナイト、並びにバテライト及びアラゴナイトの少なくとも一方を成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種の炭酸カルシウム含有物質とからなることを特徴とする水稲栽培資材である。この場合において、アナミド含有物質が石灰窒素であり、この石灰窒素のカルシウムシアナミド成分100質量部あたり、炭酸カルシウム含有物質の割合がバテライト成分とアラゴナイト成分の合計量として83〜2900質量部であること、及び水稲栽培資材の平均粒径が2〜5mmであることの少なくとも一方であることが好ましい。 【0006】 また、本発明は、1ヘクタール当たり、上記いずれかのシアナミド含有物質をカルシウムシアナミドとして60〜280kg、上記いずれかの炭酸カルシウム含有物質をバテライト成分とアラゴナイト成分の合計量として200〜2000kg施用することを特徴とする水稲栽培法である。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、カルシウムシアナミド及びカルシウムシアナミドを成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種のシアナミド含有物質(以下、単に「シアナミド含有物質」ともいう。)と、バテライト、アラゴナイト、並びにバテライト及びアラゴナイトの少なくとも一方を成分として含有する物質から選ばれた少なくとも一種の炭酸カルシウム含有物質(以下、「バテライト等」ともいう。)との相乗効果によって、水稲へのカドミウム吸収を一段と低減できる水稲栽培資材と水稲栽培法が提供される。また、このような効果は、水稲の生育に大きな悪影響を与えないで発現することは驚きである。本発明の効果が発現する理由は定かでないが、シアナミドがカドミウムと結びつき難溶性の塩となることで、バテライト及びアラゴナイトの持つカドミウム吸着作用を助長していると推定している。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 本発明で使用されるシアナミド含有物質としては、カルシウムシアナミド単味の他に、カルシウムシアナミドを成分として含有する物質、例えばカルシウムシアナミドを40質量%以上、特に60質量%以上を含み、残部が生石灰、消石灰等の石灰質物質、カーボン等の炭素質物質、更にはアルミナ、シリカ等の無機酸化物などの一種又は二種以上の無機物で構成された混合物をあげることができる。中でも、カルシウムシアナミドを60〜70質量%、生石灰及び消石灰の少なくとも一方を22〜26質量%、カーボンを8〜14質量%を含む石灰窒素であることが好ましい。 【0009】 本発明で使用されるバテライト等としては、バテライト、アラゴナイトの合成物の他に、これらの少なくとも一方を成分として含有する物質である。これらの合成物は、例えば塩化カルシウム又は水酸化カルシウムと炭酸成分とを反応させることによって合成することができる。(「塩化カルシウム−炭酸ナトリウム系反応生成物のX線回折」日本化学雑誌 第83巻 第7号 (1962) p777−782)。 【0010】 バテライ及びアラゴナイトの少なくとも一方を成分として含有する物質としては、例えばバテライト及びアラゴナイトの少なくとも一方を例えば30質量%以上、特に50質量%以上を含み、残部が生石灰、消石灰、石灰石(カルサイト)等の石灰質物質、アルミナ、シリカ等の無機酸化物、マグネシウム、鉄、ナトリウム等の無機塩類、フミン酸等の有機物などの一種又は二種以上から構成された混合物などを使用することができる。これらは、合成物、天然物のいずれでも使用可能である。天然物の具体例をあげれば、例えば貝化石、サンゴ化石、蛎殻石灰等であり、これらは、バテライ及びアラゴナイトの少なくとも一方を60〜85質量%含み、残部がケイ酸、フミン酸、マグネシウム等の無機塩類などから構成されている。 【0011】 シアナミド含有物質とバテライト等との混合比率は、シアナミド含有物質100質量部あたり、バテライト等が83〜2900質量部、特に250〜700質量部であることが好ましい。なお、シアナミド含有物質として石灰窒素を用いたときの上記比率は、石灰窒素100質量部あたり、50〜2000質量部、特に150〜500質量部となる。 【0012】 本発明の水稲栽培資材は、散布のしやすさから、平均粒径が2〜5mmの粒状物であることが好ましい。粒度調整は、粒度をそろえた水稲栽培資材の各構成成分を混合する方法、各構成成分を粉状にして混合してから、パン型造粒機や押出造粒機等により造粒する方法によって行うことができる。 【0013】 本発明の水稲栽培法において、シアナミド含有物質の施用量が、1ヘクタール当たり、カルシウムシアナミドとして60kg(石灰窒素として100kg)よりも著しく少ないと、カドミウム吸収低減効果が不十分となる。また、280kg(石灰窒素として400kg)よりも著しく多くすると、水稲に対し窒素過多となるうえ、カルシウムシアナミドによる薬害が生じる可能性がある。特に好ましい施用量は、カルシウムシアナミドとして、1ヘクタール当たり120〜210kg(石灰窒素として200〜300kg)である。また、バテライト等の施用量が、1ヘクタール当たり、バテライト成分及びアラゴナイト成分の合計として、200kgよりも著しく少ないと、カドミウム吸収低減効果が不十分となり、また2000kgよりも著しく多くすると、土壌pHの上昇を招き、生育不良を起こす恐れがある。特に好ましい施用量は、バテライト成分及びアラゴナイト成分の合計として、1ヘクタール当たり500〜1000kgである。 【0014】 本発明の水稲栽培資材の施用時期は、例えば水稲収穫後、水稲移植前等のいずれでもよいが、水稲移植前が好ましく、カルシウムシアナミドによる薬害を考慮すると、水稲移植1〜2週間前が最適となる。 【0015】 本発明の水稲栽培資材には、尿素、硫安、塩安、リン安、過リン酸石灰、熔燐、重焼燐、塩化カリ、硫酸カリ、ケイ酸カリ等、通常使用される肥料と一緒に使用することができる。 【実施例】 【0016】 実施例1 1/5000aワグネルポットに、水田土壌(細粒グライ台地土、全カドミウム含量0.29mg/kg)を入れ、石灰窒素(カルシウムシアナミド63質量%、生石灰25質量%、カーボン12質量%、平均粒度2.5mm)、リン酸として過リン酸石灰、カリとして硫酸カリを、1ヘクタール当り窒素60kg(カルシウムシアナミドとして189kg)、リン酸150kg、カリ90kgとなるように、また、サンゴ化石(ブレーン比表面積値で4000cm2/g、アラゴナイト含有量90%、残部は酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ナトリウム、カリウム、リン等を主体とする。)を1ヘクタール当り1000kgとなるように施用し、1週間後に水稲を移植した。その後、慣行の栽培管理(1ヶ月半湛水−1ヶ月中干し−1ヶ月半湛水−以降落水)によって栽培した。その結果、玄米中のカドミウム含量を、硝酸分解−原子吸光法で測定したところ、0.14mg/kgであった。 【0017】 実施例2 実施例1の各資材を、前作水稲栽培後(水稲移植7ヶ月前)に施用したこと以外は、実施例1と同様に栽培したところ、玄米中のカドミウム含量は0.16mg/kgであった。 【0018】 実施例3 3mol/Lの塩化カルシウム水溶液50mLと1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液450mLを20℃にて混合し、10分間反応させてバテライトを合成した(密度2.52g/cm3、BET比表面積15m2/g)。このバテライトをサンゴ化石の代わりに用いたこと以外は、実施例1と同様に栽培したところ、玄米中のカドミウム含量は0.11mg/kgであった。 【0019】 実施例4 質量基準で、上記の石灰窒素12部、過リン酸石灰34部、硫酸カリ7部、合成バテライト40部(石灰窒素100部に対し333部)、バインダー(廃糖蜜)7部、及び造粒に必要な水を混合し、パン型造粒機で造粒し、2〜4mmの粒子を分級した。これを水稲栽培資材として施用したこと以外は、実施例1と同様に栽培したところ、玄米中のカドミウム含量は0.12mg/kgであった。 【0020】 比較例1 サンゴ化石を施用しなかったこと以外は、実施例1と同様に栽培したところ、玄米中のカドミウム含量は0.25mg/kgであった。 【0021】 比較例2 サンゴ化石の代わりに試薬の炭酸カルシウム(カルサイト)を用いたこと以外は、実施例1と同様に栽培したところ、玄米中のカドミウム含量は0.22mg/kgであった。 【0022】 比較例3 石灰窒素の代わりに窒素分で等量の硫安を用いたこと以外は、実施例1と同様に栽培したところ、玄米中のカドミウム含量は0.20mg/kgであった。 【0023】 なお、すべての実施例、比較例においては水稲の生育障害は見られなかった。 【産業上の利用可能性】 【0024】 本発明は、カドミウムの吸収低減を目的とした水稲栽培に利用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003296 【氏名又は名称】電気化学工業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区有楽町1丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成16年4月6日(2004.4.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−295807(P2005−295807A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月27日(2005.10.27) |
| 【出願番号】 |
特願2004−111829(P2004−111829) |
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