| 【発明の名称】 |
蟻の粉末や抽出エキスを添加した冬虫夏草の培養基 |
| 【発明者】 |
【氏名】川浪 雅
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| 【要約】 |
【課題】健康増進に良いとされる天然ものの冬虫夏草が、環境悪化などの影響で入手困難になっていることから、漢方市場では価格高騰や不良品が増えるなどの事態を迎えており、これを解決するために人工栽培の技術が開発されているが、現時点では事業家の段階に至っていない。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 擬黒多刺蟻の巣から人工的に冬虫夏草の菌株を確保する方法。 【請求項2】 擬黒多刺蟻の粉末や抽出エキスを添加した冬虫夏草培養基を製造する方法。 【請求項3】 家畜が食用可能な冬虫夏草の培養基を製造する方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、冬虫夏草と呼ばれるキノコの培養基の製造に関する。 【発明の詳細な説明】 【背景技術】 【0002】 冬虫夏草とは、秋に土中に潜った昆虫の成虫、若しくは幼虫(特にコウモリガ・セミ)に、子嚢菌類バッカクキン科ノムシタケ属の活物寄生菌類が侵入して、生体の養分を吸収して菌糸を育て、夏になるとこれを栄養分にして地上に姿を現してくるキノコ類である。 【0003】 チベットや中国南西部の山岳地で、ごく少量の天然ものが収穫されている。 【0004】 これを習慣的に食すると、生活習慣病と呼ばれる癌(がん)や糖尿病の予防になるといわれている。 【0005】 この冬虫夏草が注目されたのは、1993年にドイツで行われた陸上競技世界選手権で驚異的な記録をあげた中国選手団(馬軍団)が、常食していたと発表してからである。 【0006】 最近では、収穫地の環境悪化が原因からか、良品質な冬虫夏草の採取が困難になっている。 【0007】 人工栽培の技術が開発されているが、菌の強度を持続させる培養方法や、高い収量を得られる培養基の製造方法、並びに栽培方法についても、未知数の分野が多くて満足する結果を得てはいない。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 従来の人工栽培には、次のような欠点があった。 【0009】 培養基の主材料が穀物の場合には菌の力が乏しくて、弱々しい子実体しか発生しないことから、収穫性が乏しく、求められる健康増進の面でも良い評価が得られていない。 【0010】 養蚕の蛹(さなぎ)やイモムシなど、昆虫類に注射器で菌を注入して培養基にする方法が開発されたが、発芽しにくいことやカビの発生などのトラブルが多くて実用化には至っていない。 【0011】 穀類をベースに、養蚕の蛹(さなぎ)を乾燥粉砕して培養基に加える方法は、菌が培地の材料を分解する能力が上がらなくて、収穫性が乏しい。 【0012】 過去に数例の技術開発があるものの、何れも本格化していないことから、市場への供給はチベットなど外国からの輸入に依存せねばならない状況である。 【0013】 収穫地が不作の時に市場では、価格が高騰したりニセ物が出回るなど、好ましくない事態を迎えているが、本発明によって、これらの諸問題はことごとく解決されることになる。 【課題を解決するための手段】 【0014】 冬虫夏草の菌株を長期安定的に得る手段として、冬虫夏草の菌体を接種した培養基を別途に製造し、擬黒多刺蟻の巣に人工的に挿入し、発芽させて採取する方法を開発した。これによって優秀な菌株の大量確保が可能になった。 【0015】 上記の方法で確保した冬虫夏草の菌株を、安定的・経済的に栽培できるようにする手段として、菌株の採取から培養基に至るまでの培地環境に、栄養豊富な擬黒多刺蟻の粉末や抽出エキスを活用することとした。 【0016】 上記の方法によって、菌の活力を栽培時にまで維持させることができた。 【発明の効果】 【0017】 本発明によって製造した培養基200000個を平成15年3月〜5月、実地に栽培してみたところ、発芽率80%を記録したことで、今まで指摘されていた栽培の安定性は改良された。 【0018】 本発明によって製造した培養基40000個を平成15年11月〜12月、実地に栽培してみたところ、発芽率95%を記録したことで、今まで指摘されていた栽培上の問題点は解消された。 【0019】 平成16年1月16日に実施した公的機関の成分分析では、下記の結果が確認されている。 イ)本発明による冬虫夏草子実体(乾燥品)成分分析データ マンニトール 1.73 g/100g β−グルカン 4.8 g/100g SOD消去活性 1700 単位/g カルシウム 10.3 mg/100g カリウム 145 mg/100g マグネシウム 25.2 mg/100g 亜鉛 2.45 mg/100g マンガン 1.23 mg/100g セレン 7 μg/100g ロ)本発明による冬虫夏草子実体(乾燥品)に含まれる遊離アミノ酸値 遊離アルギニン 299 mg/100g 遊離リジン 133 mg/100g 遊離ヒスチジン 71 mg/100g 遊離フェニルアラニン 33 mg/100g 遊離チロシン 359 mg/100g 遊離ロイシン 33 mg/100g 遊離イソロイシン 19 mg/100g 遊離メチオニン 検出せず 遊離バリン 60 mg/100g 遊離アラニン 128 mg/100g 遊離グリシン 18 mg/100g 遊離プロリン 166 mg/100g 遊離グルタミン酸 302 mg/100g 遊離セリン 92 mg/100g 遊離スレオニン 91 mg/100g 遊離アスパラギン酸 89 mg/100g 遊離トリプトファン 16 mg/100g 遊離シスチン 10 mg/100g 遊離グルタミン 0.07 g/100g 遊離アスパラギン 0.02 g/100g 分析データから見て、本発明における冬虫夏草には、培地や培養基に添加した擬黒多刺蟻などの栄養成分が、分解されて子実体に移行していると判断される。 【0020】 分析データから見ると、食品からでは摂取しにくい栄養成分を広範囲に含有していることから、健康増進に関しても良好な評価を得られると考えられる。 【0021】 培地、並びに培養基が食用可能な材料を使って製造しているので、収穫した子実体は健康食品として、菌糸塊は家畜飼料に活用することができる。過去には産業廃棄物として支出があった収穫済み培養基が収入となるのだから、栽培関係者には経済面のメリットを与えることができた。 【発明の実施するための最良の形態】 【0022】 自然界において、冬虫夏草の多くは植物が堆積した土中に潜んだ昆虫(さなぎ又は幼虫)から発生している。これをよく観察すると、周囲の堆積(たいせき)物の中にも菌糸が確認できることから、昆虫と植物そして土壌を含んだ三方の栄養分を吸収して子実体を発生させていることがわかる。こうした自然環境を培養基の中に組成することが、栽培の段階まで強い菌の活力を持続させる要因となるので、その方法と手段を説明する。 【0023】 擬黒多刺蟻の環境で冬虫夏草を発生させて、安定的に菌株を採取する方法を次の1〜3で説明する。 1.養蚕の過程で得られる蛹(さなぎ)に注射器で冬虫夏草菌体(学名;Co−rdyceps militaris Links.)を注入して、昆虫培養基をつくる。 2.上記の培養基を、自然界に生息する擬黒多刺蟻の巣の内部や周辺に挿入してこれに枯れた樹皮と腐植土を被せておく。 3.培養基を挿入した翌年の初夏を迎える頃に、同種の冬虫夏草の発芽が見られるので、これを採取する。 これは、自然界を利用した菌株の保存方法である。挿入した培養基は、冬季の備蓄食糧として蟻の巣の中に保存されるが、菌糸が蚕の蛹(さなぎ)や蟻の体内や卵の内部にまで寄生して蔓延(まんえん)することとなり、暖かくなるとこれらの栄養分を吸収した冬虫夏草の子実体が、地上に現れることとなる。 【0024】 擬黒多刺蟻を、冬虫夏草の成長に必要な昆虫成分として組成に組み入れた理由を下記に説明する。 【0025】 冬虫夏草はいろんな種類の昆虫から発生するが、子実体が立派に成長し健康増進に効果があるとされるのは、コウモリガと蝉の培地から発生するものである。 【0026】 擬黒多刺蟻は、28種類の遊離アミノ酸や、亜鉛、カリウム、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含有しているとして、中国では健康食材として重宝されており、これを食すると健康増進に良い効果があることから、中国政府は食用として認可している。このことから、冬虫夏草を人工栽培するにあたって擬黒多刺蟻を培養材料に使えば、コウモリガより蝉より以上に、素晴らしい成果を出せるものと判断した。 【0027】 冬虫夏草が、環境中の栄養成分を貪欲(どんよく)に吸収する性質を持ったキノコであることから、擬黒多刺蟻が含有するミネラルや栄養成分も十分に分解吸収するとした判断で、昆虫成分として培地に添加することとした。 【0028】 土壌に代わる栄養源として擬黒多刺蟻に加え、冬虫夏草の菌糸成長に欠かせないペプチド、並びにビタミンB群と亜鉛とセレン、カリウムなどミネラルを豊富に含有している酵母を配合した。 【0029】 植物に代わる栄養源として、菌糸の成長に欠かせないグルコースを加えるが、発芽収穫を目的とした培養基の組成には、主にコメなど穀類を使う。 【0030】 これらの配合と製造方法は、以下の(1)〜(5)に記載するが、その配合割合は各々の分量を増減しながら子実体の成長を観察し、その結果から経験値として得たものである。 【0031】 上記で採取した冬虫夏草の菌株を純粋分離するための培地を分離用培地、並びに菌株を増殖培養するための培地を培養液、並びに栽培施設において発芽収穫するための培地を培養基と区分し、これらを製造する手段について以下に説明する。 【0032】 (1)分離用の平板培地の組成と製造法 グルコース 20 g 寒天 15 g 酵母エキス 3 g リン酸2水素カリウム 1 g 擬黒多刺蟻抽出エキス 3 ml・・(4) 養蚕(かいこ)乾燥エキス 3 ml 蒸留水 1000 ml 上記をかき回した後にPH測定をするが、アルカリ性が過ぎればクエン酸を、酸性が過ぎれば水酸化ナトリウムを用いてPH5〜6に調整する。 【0033】 1.5気圧120℃に設定した殺菌がまで40分間、加熱殺菌した後に、これを直径90mmシャーレーに平均に5mm厚(40ml)になるよう流し込み、フタをして冷却ゲル化させて分離用の平板培地を完成させる。 【0034】 擬黒多刺蟻抽出エキスの製造方法は、下記(3)に説明する。 【0035】 蚕(かいこ)エキスは、絹糸を生産する過程で飼育している蚕(かいこ)を採取して乾燥した後に、アルコール抽出法によって得る。 【0036】 酵母エキス、グルコース、寒天、リン酸2水素カリウムは市販の物を入手する。 【0037】 (2)分離用の試管培地の組成と製造法 上記(1)の組成の培地を15mlほど、試験管に流し込んで約10°に傾けたままで冷却ゲル化させ、試管培地をつくる。 【0038】 前記 【0023】 の方法で採取した冬虫夏草子実体の頭頂部を消毒したカミソリ刃で切開して内部の組織を1〜2mm角の小片にして採取し、これを製造した平板培地の表面に等間隔に15〜20片を配列し、室温を20℃にして1週間ほどおくと、切削片から純白の菌糸が育ったコロニーが確認できる。 【0039】 純粋なコロニーを選択し、その中央部分を培地とともに採取し、前項でつくった試管培地に移植して、菌糸を培養して試管種菌(菌母)を完成させる。 【0040】 製造数の目安としては、平板培地1枚分の菌株から試管種菌40本をつくる。 【0041】 上記の試管種菌を増殖するための培養液を製造する手段を下記に説明する。 (3)培養液の配合と製造法 グルコース 20 g 乾燥酵母 10 g ブドウ糖 10 g リン酸2水素カリウム 1 g レモン果汁 3 ml 酵母エキス 5 ml 擬黒多刺蟻抽出エキス 10 ml・・(4) 蒸留水 1000 ml 【0042】 擬黒多刺蟻抽出エキスは、下記(4)において製造方法を説明する。 【0043】 外の材料は市販の物を入手する。 【0044】 上記(2)をかき回した後にPH測定をする。アルカリ性が過ぎればクエン酸を酸性が過ぎれば水酸化ナトリウムを用いてPH5〜6に調整する。 【0045】 1.5気圧120℃に設定した殺菌がまで40分間、加熱殺菌した後に培養槽に移し替え、室温まで冷却すれば培養液が完成する。 【0046】 菌糸が十分にまわって白変した試管培地を、前項(2)でつくった培養液が入った培養槽に移す。その分量は、培養液450mlに対して試管種菌1本(15ml)とする。 【0047】 温度を22℃に設定して約2週間が経過する頃に、培養液の中にクモの巣状の菌糸の広がりが確認できると、培養種菌の完成である。 【0048】 擬黒多刺蟻エキスの抽出方法について下記に説明する。 (4)擬黒多刺蟻からエキスを抽出する方法 自然界において採取した擬黒多刺蟻を選別して乾燥させ、これを洗浄して不純物を除去した後に乾燥粉砕し、これを容積比3倍の酒造用エチルアルコール(55%濃度)の中で10日間浸食し、濾過した後にアルコール分を揮発して濃縮液を得る。 【0049】 次に、子実体を発生させるための培養基について、組成と製造法を説明する。 (5)培養基の組成と製造法 精製白米(粒) 21.0 g 大豆微粉 3.0 g 落花生微粉 2.0 g ブドウ糖 1.0 g 乾燥酵母 2.0 g 擬黒多刺蟻乾燥粉末 1.0 g 擬黒多刺蟻抽出エキス 1.0 ml・・(4) 水道水 29.0 ml 上記(5)をかきまぜて、カラス製又はポリプロピレン製の広口ビン(直径10cm×高10cm)に入れる。 【0050】 擬黒多刺蟻抽出エキスと少量のレモン果汁を添加した水道水を加える。 【0051】 広口ビンに、殺菌フィルター付きのキャップを冠着して殺菌がまに入れ、1.5気圧120℃の環境で40分間、殺菌処理を行う。 【0052】 殺菌処理の後、培養基を取り出してクリーンルームに運び入れ、培養基温度が50℃に下かった段階で、ビンの口に冠着していたフイルター付きキャップを外し、代わりにセロファン製の通気ラップを被着して輪ゴムでとめれば、培養基は完成する。 【0053】 上記培養基に 【0047】 に説明した培養種菌を接種する。植菌室の温度を22℃に設定して、培養基の温度が25℃を下回ったことを確認してから被着していた通気ラップを開き、2ml単位の培養種菌を採取したスポイドを持って、培養基の培地に突き込んで接種する。 【0054】 接種を終えると、再び通気ラップを被着する。 【0055】 接種を終えた培養基を温度18〜24℃、湿度80〜90%にセットした菌糸培養室に運び込み、日光を遮断したままで菌糸培養をすると、約2週間が経過する頃に菌糸が培地全体に蔓延(まんえん)して、茶色の培地が乳白色に変わる。 【0056】 培養基の表面に米粒状の突起(原基)が確認できたら、2000ルックス以上の自然光線又は照明を24時間に亘って投射して発芽を促進させるが、培地表面の突起がオレンジ色になったことから、冬虫夏草の発芽が確認される。 【0057】 発芽した直後に、培養基を遮光可能な栽培用のハウスに持ち込んで、18〜24℃の温度管理、80〜90%の湿度管理、並びに朝は明るく午後は暗い照度管理並びに十分な通気管理を続ければ、約40日後に5〜8cmに成長した冬虫夏草を収穫することができる。 【0058】 収穫した冬虫夏草を子実体と菌糸塊部分に分けて、各々を含水分8%程度に乾燥すれば、流通可能な商品となる。 【0059】 上記の行程による培養、並びに収穫量をまとめると、次のようになる。 イ)シャーレー単位から試管種菌600ml(試験管40本)を増殖培養することができる。 ロ)試管種菌から18000mlの培養種菌を増殖培養することができる。 ハ)18000mlの培養種菌を60g重量の培養基に接種すれば、9000個の栽培用培養基ができる。 ニ)平成15年11月からの第2次実証栽培のデータによると、9000個の培養基から乾燥重量で43kgの子実体(石付き部含む)と、128kgの菌糸塊を収穫することができた。 【0060】 子実体は人間を対象とした健康食品に使い、菌糸塊は家畜を対象とした飼料の添加物に応用する。 【実施例】 【0061】 平成15年3月〜5月の間、培養基200000個を高知県南国市にある実証ファームに搬入して第1次栽培を行った。 【0062】 平成15年11月より12月の間、培養基40000個を上記ファームに搬入して第2次栽培を行った。 【0063】 上記栽培の結果は 【0017〜0018】 と 【0060】 の二項に記した。 【0064】 平成16年2月より4月の間、培養基80000個を上記ファームに搬入して第3次栽培を行っている。 【産業上の利用可能性】 【0065】 漢方薬の販売関係者、並びに健康食品製造販売の分野に利用の可能性がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】304009552 【氏名又は名称】株式会社 遼東物産
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| 【出願日】 |
平成16年4月3日(2004.4.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−287488(P2005−287488A) |
| 【公開日】 |
平成17年10月20日(2005.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願2004−136874(P2004−136874) |
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