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【発明の名称】 水耕栽培用育苗ポットとその製造方法
【発明者】 【氏名】鎌田 昌宏
【住所又は居所】大阪府大阪市西区江戸堀1丁目17番18号 東洋ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】培地容器と培地材の2種類の材料を必要とせず、培地材を育苗ポットに充填するための装置を必要とすることなく、充填作業も必要としない、育苗ポットの製造コストを低減可能で、かつ使用に当たり作業性の良い水耕栽培用育苗ポットとその製造方法を提供すること。

【解決手段】チップ状軟質ポリウレタンフォーム1から成形された、種あるいは苗挿入用凹所を備えた多孔性の本体部4bと、この本体部4bと一体化され本体部4bから外周方向に張り出すフランジ部4aとを有する水耕栽培用育苗ポット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ状軟質ポリウレタンフォームから成形された、種あるいは苗挿入用凹所を備えた多孔性の本体部と、この本体部と一体化され本体部から外周方向に張り出すフランジ部とを有する水耕栽培用育苗ポット。
【請求項2】
前記チップ状軟質ポリウレタンフォームが、100重量部の軟質ポリウレタンフォームに対して1〜40重量部のイソシアネートプレポリマー系バインダーを混合したものである請求項1の水耕栽培用育苗ポット。
【請求項3】
軟質ポリウレタンフォーム・チップを下金型内に充填し、ヒートプレス加工することにより、種あるいは苗挿入用凹所を備えた多孔性の本体部と、この本体部から外周方向に張り出すフランジ部とを一体成形する水耕栽培用育苗ポットの製造方法。
【請求項4】
前記軟質ポリウレタンフォーム・チップとして、100重量部の軟質ポリウレタンフォームに対し1〜40重量部のイソシアネートプレポリマー系バインダーを混合したものを使用する請求項3の水耕栽培用育苗ポットの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は水耕栽培用育苗ポットとその製造方法に関し、詳しくは軟質ポリウレタンフォーム製の水耕栽培用育苗ポットとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水耕栽培用培地として育苗ポットを使用する水耕栽培設備は、例えば、図3に示すように、育成する植物の根が貫通し、伸張可能な開口部10aが形成された底部10bを有する育苗ポット10を、多数の育苗ポット挿入孔11aが形成された、ポリスチレンフォーム製などの定植パネル11に挿入する。その際、育苗ポット10はフランジ部10cを有していて、定植パネルの育苗ポット挿入孔11aに挿入する際に、育苗ポット10を支持するようになっていて、ポット内部には培地材12が充填される。このような育苗ポット10は、軽量かつ安価なポリウレタン・フィルム等の樹脂が使用される(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−332391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術の育苗ポットは、その製造に当たり、培地容器と培地材の少なくとも2種類の材料を使用する必要があり、育苗ポットの製造コストの高騰をもたらすと共に、培地材を育苗ポットに充填するための装置を必要とするだけでなく、培地材を充填する面倒な作業が別に必要となっており、水耕栽培を実施する上で、よりコストの低減可能な技術の開発が要請されている。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、培地容器と培地材の2種類の材料を必要とせず、培地材を育苗ポットに充填するための装置を必要とすることなく、充填作業も必要としない、育苗ポットの製造コストを低減可能で、かつ使用に当たり作業性の良い水耕栽培用育苗ポットとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る水耕栽培用育苗ポットの特徴構成は、チップ状軟質ポリウレタンフォームから成形された、種あるいは苗挿入用凹所を備えた多孔性の本体部と、この本体部と一体化され本体部から外周方向に張り出すフランジ部とを有することにある。
【0006】
この構成によれば、培地容器に相当する部分と培地材とを同質の軟質ポリウレタンフォームから一体成形されているため、2種類の材料を使用する必要がなく、製造コストを低減できるのみならず、培地材を育苗ポットに充填するための装置は不要であり、培地材を充填する作業も不要であるため作業性が高くでき、それでいてチップ状軟質ポリウレタンフォームを使用しているので、根はポリウレタンフォームに形成されている連通孔だけでなくチップ間隙に形成された隙間からも伸張できて、根の成長に支障がない。
【0007】
特に、チップ状軟質ポリウレタンフォームとして、軟質ポリウレタンフォームの製造工程から発生する各種廃材を利用すると、更に、原料コストを低減できて好ましい。
【0008】
その結果、培地容器と培地材の2種類の材料を必要とせず、培地材を育苗ポットに充填するための装置を必要とすることなく、充填作業も必要としない、育苗ポットの製造コストを低減可能で、かつ使用に当たり作業性の良い育苗ポットを提供することができた。
【0009】
前記チップ状軟質ポリウレタンフォームが、100重量部の軟質ポリウレタンフォームに対して1〜40重量部のイソシアネートプレポリマー系バインダーを混合したものであることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、チップ状軟質ポリウレタンフォームどうしが適度に間隙を形成した状態で、強固に固着されるので、取り扱いが容易となり、定植パネルへの装着作業が楽となる。バインダーの比率が1重量部未満であると結合力が弱くなり、40重量部を越えるとチップ間の結合が強過ぎてチップどうしの隙間が少なくなり、水耕栽培された植物の根が成長し難くなる。
【0011】
また、本発明に係る水耕栽培用育苗ポットの製造方法の特徴構成は、軟質ポリウレタンフォーム・チップを下金型内に充填し、ヒートプレス加工することにより、種あるいは苗挿入用凹所を備えた多孔性の本体部と、この本体部から外周方向に張り出すフランジ部とを一体成形することにある。
【0012】
この構成によれば、培地容器と培地材の2種類の材料を必要とせず、培地材を育苗ポットに充填するための装置を必要とすることなく、充填作業も必要としない、育苗ポットの製造コストを低減可能で、かつ使用に当たり作業性の良い水耕栽培用育苗ポットの製造方法を提供することができる。
【0013】
前記軟質ポリウレタンフォーム・チップとして、100重量部の軟質ポリウレタンフォームに対し1〜40重量部のイソシアネートプレポリマー系バインダーを混合したものを使用することが好ましい。
【0014】
取り扱いが容易で、定植パネルへの装着作業が一層楽となる水耕栽培用育苗ポットの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1,2は、本実施形態に係る育苗ポットの製造方法を示す。
【0016】
本実施形態では、図1に示すように、育苗ポットを製造するために原材料として、軟質ポリウレタンフォームの廃材から得られたチップ状の軟質ポリウレタンフォーム1を下金型2に、フランジ部が形成する位置にまで充填する。
【0017】
軟質ポリウレタンフォームの成形品を製造する製造現場においては、その製造工程中、長さ方向の前後端部や幅方向端部の寸法外部分を切断する等により、少なくない廃材が発生するが、これらの廃材を回収して利用する。これら廃材は、発生当初の形状が不揃いであるため、所定の大きさとなるようにチップ化することが望ましい。このチップ化は、公知の設備を使用して作成することができる。もっとも、廃材を利用することにより製造コストを顕著に低減できて好ましいが、必ずしも廃材のみを使用する必要はない。廃材の使用量が多いほど、コストの低減は大きくなるが、廃材を使用しなくても、培地容器と培地材の2種類の材料を必要としないため、従来技術により製造された育苗ポットに比べてコストを低減できる。
【0018】
軟質ポリウレタンフォーム製チップ1の大きさ(チップの長辺を意味する)としては、平均サイズ1〜10mm程度、好ましくは1〜5mm程度である。1mm未満であると、後述する成形作業において扱い難く、10mmを越えると全体に不均質性が増して好ましくない。
【0019】
このチップ1は、予め軟質ポリウレタンフォームチップにバインダーを含ませて構成されることが好ましく、その割合は前者100重量部に対して、後者1〜40重量部程度が好適である。バインダーの比率が少なすぎると結合力が弱くなり、多すぎるとチップ間の結合が強過ぎてチップどうしの隙間が少なくなり、水耕栽培された植物の根が成長し難くなる。このようにチップどうしを繋ぎ合わせておくと、成形作業を行う上で取り扱い易く好ましい。バインダーとして、ウレタン系、アクリル系、酢酸ビニール系のいずれか1種又は2種以上の混合物などを使用できるが、特に、イソシアネートプレポリマー系バインダーであると、結合強度に優れるので好ましい。
【0020】
イソシアネートプレポリマー系バインダーとしては、平均分子量が500〜8000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とをNCO/OH当量比1.5〜2.5にて反応させたものが好ましく、とりわけポリオキシプロピレンポリオール(PPG)をポリオール化合物の主成分として使用したイソシアネートプレポリマー系バインダーの使用が、溶剤を添加しなくても必要な流動性を有するため、取り扱いが容易であり、好ましい。
【0021】
なお、本明細書においては、「チップ状」とは、本来的な細片、薄片状のみならず、小塊状、球状、角状、片状なども含める概念として用いる。
【0022】
次に、図2に示すように、下金型2に上金型3を下降させてヒートプレス加工する。ヒートプレス加工による成形は、金型を約200℃程度に約1分加熱し、加圧して圧縮成形を行う。この場合、特にフランジ部4aの圧縮率を高くして、フランジ部4aの強度を高めるようにしておくと、定植パネルに形成されている孔に装着する際、取り扱い易くなり、装着し易くなって好ましい。従って、圧縮率はフランジ部4aの相当箇所では90%程度が好ましく、種あるいは苗を挿入可能な凹所が形成される本体部4bでは70%程度が好ましい。このように構成すると、柔軟性を供えると共に、形状安定性をも併せ有することになり、使用上、取り扱い易い成形品が得られる。
【0023】
このようにして熱圧縮された成形品(育苗ポット)4を製造することにより、ポリウレタンに形成されている連通孔と併せて、チップ間に形成される間隙から水耕栽培される植物の根が伸張して、根の成長に好ましい環境が形成される。しかも、ポリウレタン自体が親水性を有することから、上記方法により製造された育苗ポットは、その全体に水が浸透易くなり植物の生育に好都合となる。
【0024】
〔別実施の形態〕
(1)水耕栽培用育苗ポットの形状は図に示した形状に限定されるものではなく、各種の形状のものが採用できるが、本体部の外周方向に張り出すフランジ部と、栽培用の種子あるいは苗を挿入可能な凹所を備えて、定植パネルに装着可能であればよい。フランジ部の形状も、本体部の上縁全周から張り出しているものに限定されるものではなく、部分的に張り出し部が形成されていてもよい。
(2)本発明に係る育苗ポットは、水耕栽培可能な各種野菜、果菜類、花卉植物などに広く適用できるものであり、培地となるチップには植物の生育に必要な肥料、セラミックス等の各種添加物を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る水耕栽培用育苗ポットの製造方法を説明する概略正面断面図
【図2】図1の水耕栽培用育苗ポットを成形した状態を示す概略正面断面図
【図3】従来技術の水耕栽培用育苗ポットを用いた水耕栽培を説明する要部断面図
【符号の説明】
【0026】
1 チップ
2 下金型
3 上金型
4 育苗ポット
【出願人】 【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市西区江戸堀1丁目17番18号
【出願日】 平成16年3月31日(2004.3.31)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生

【識別番号】100104422
【弁理士】
【氏名又は名称】梶崎 弘一

【識別番号】100105717
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 雄三

【識別番号】100104101
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 俊彦

【公開番号】 特開2005−287310(P2005−287310A)
【公開日】 平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願番号】 特願2004−102695(P2004−102695)