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【発明の名称】 グラウンドカバーグラスユニットおよびグラス定着法
【発明者】 【氏名】柵瀬 信夫
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】中村 華子
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】猪原 英明
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】城所 敏郎
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】内川 隆夫
【住所又は居所】東京都文京区西片一丁目17番8号 ジオスター株式会社内

【氏名】唐木 裕志
【住所又は居所】東京都文京区西片一丁目17番8号 ジオスター株式会社内

【要約】 【課題】校庭や構造物等を芝生化や緑化するさいに工事の短期化を図り,且つ芝等のグ

【解決手段】グラス植え付け部13と,このグラス植え付け部13を支持する支持基盤14とからなるグラウンドカバーグラスユニット11において,植物繊維を配合したモルタルまたはコンクリートの線状体1からなり,その線状体1同士が部分的に結着し且つ該線状体1同士の間に間隙が形成されている立体形状のブロック2によって前記の支持基盤14を構成し,この支持基盤14の上部または該線状体1の間隙に土壌物質8を装填することによって前記のグラス植え付け部13を構成したことを特徴とするグラウンドカバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラス植え付け部と,このグラス植え付け部を支持する支持基盤とからなるグラウンドカバーグラスユニットにおいて,植物繊維を配合したモルタルまたはコンクリートの線状体からなり,その線状体同士が部分的に結着し且つ該線状体同士の間に間隙が形成されている立体形状のブロックによって前記の支持基盤を構成し,この支持基盤の上部または該線状体の間隙に土壌物質を装填することによって前記のグラス植え付け部を構成したこと
を特徴とするグラウンドカバーグラスユニット。
【請求項2】
モルタルまたはコンクリート中への植物繊維の配合量が10Kg/m3以上で,線状体
の径が3〜30mmである請求項1に記載のグラウンドカバーグラスユニット。
【請求項3】
植物繊維を配合したモルタルまたはコンクリートはMgOおよびP25を主成分とする低pHセメントを結合材としたものである請求項1または2に記載のグラウンドカバー
グラスユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のユニットのグラス植え付け部にグラウンドカバーグラスの種苗を植え付け,支持基盤中の前記間隙に根が伸長した状態にまで生育させ,次いで,これをユニット設置場所の基盤の上に敷き並べることからなるグラウンドカバーグラスの定着法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は,芝もしくはこれに類する草本類や苔類等の植物(以下,これらをまとめてグランドカバーグラスという)で校庭(グラウンド)や緑地等を施工性よく覆うことができ
るグラウンドカバーグラスユニットおよびグラス定着法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近,土,アスフアルトまたはコンクリートなどで構成されている校庭のグラウンドを芝などのグラウンドカバーグラスで置き換えるのがよいという報告が文部科学省の中教審からなされた。芝生では転んでも衝撃が和らげられることから,子供が怪我を恐れず思い切って体を動かすことができ,スポーツや屋外での遊びが活発になる効果に加えて,芝生の植えられた校庭は地域住民の交流の場となったり,学校周辺の砂埃防止や緑化による微
気象緩和にも役立つと期待されている。
【0003】
校庭の芝生化を図る場合の最も一般的な手法としては,校庭の基盤土壌を堀りおこし,そこに芝に適した土壌を入れ,この土壌に種子から発芽させて育成させる方法,或いは校庭基盤の上に芝マットを敷きつけて養生する方法がある。だが,これらの方法では基盤を堀りおこす工程,芝を根付かす工程,養生する工程など,短くても3カ月,長い場合には1年間の期間が必要であり,利用する側も不自由な面が多い。また,長期化による天候の変動や,植物に対する病気などのリスクも大きくなる。したがって,これを避ける方法が
模索されている。
【0004】
他方,工事が完了しても枯れることもある。植物が受ける病気に関しては,根腐れなどの原因になる水分の適正管理が大切である。このために,簡易且つ低廉な構造で排水がで
き,しかも適正な保水機能が備わった基盤を構成することが必要となる。
【0005】
このようなことから,例えば特許文献1には,空隙をもつ芝マットに保水性の粒状物を充填することによって排水性と保水性をもたせた芝生育成資材が記載されている。特許文献2には上面側の空隙が大きく下面側の空隙が小さいポーラスコンクリート製の多孔版に植栽用土を充填し,これに植物を植栽する屋上植栽基盤が記載されている。特許文献3には,多数の水抜き孔を底面に突設したパレットに繊維状マットと育成用土とを入れて芝を
植え,これをグランドに並べる天然芝グランドの施工方法が記載されている。
【0006】
特許文献4には植物繊維入りセメント系硬化体からなる動植物着生用ブロック基材および
これを用いた動植物着生法が記載されている。
【特許文献1】特開平11−46581号公報
【特許文献2】特開平10−136772号公報
【特許文献3】特開平8−80号公報
【特許文献4】特開2003−265039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の特許文献に記載されているものはそれなりに特徴があるが,校庭や構造物等の芝生化や緑化を図る場合の工事の迅速性,基盤の排水性や保水性,費用の低廉性等の要求を必ずしも同時に満足できるものではなかった。したがって,本発明はこのような要求を満
たすことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば,グラス植え付け部と,このグラス植え付け部を支持する支持基盤とからなるグラウンドカバーグラスユニットにおいて,植物繊維を配合したモルタルまたはコンクリートの線状体からなり,その線状体同士が部分的に結着し且つ該線状体同士の間に間隙が形成されている立体形状のブロックによって前記の支持基盤を構成し,この支持基盤の上部または該線状体の間隙に土壌物質を装填することによって前記のグラス植え付け部を構成したことを特徴とするグラウンドカバーグラスユニットを提供する。このブロックを形成するモルタルまたはコンクリート中への植物繊維の配合量は10Kg/m3以上で,線状体の径が3〜30mmであるのがよく,植物繊維を配合したモルタルまたはコンクリートはMgOおよびP25を主成分とする低pH(低アルカリ)セメントを結合材
としたものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従うグラウンドカバーグラスユニットを用いると,このユニットのグラス植え付け部に芝もしくはこれに類する植物(グラウンドカバーグラス)の種苗を植え付けたあと,支持基盤中の間隙に根が伸長した状態にまで育苗施設等で生育させてから,これをユニット設置場所,例えば校庭(グラウンド),緑地,或いは構造物(人工地盤,屋上,護岸天端部ほか)などの上に敷き並べるという方法によって,簡単にグラウンドカバーグラスを校庭等に定着させることができる。したがって,例えば校庭を芝生化するさいに,極めて短期間でその工事を終えることができ,その工事も歩道にパネル(平板)を敷き並べると同様の原理で本発明に従うグラウンドカバーグラスユニットを敷き並べるだけでよく,施工が簡易且つ正確に行える。そして,本発明のユニットは保水性を有した間隙をもつセメント系硬化体ブロックからなるので,保水機能と透水機能とをあわせもち,芝等のグラウンドカバーグラスの生育にとって好ましい環境を創り出すことができる。このため,
本発明は校庭や構造物等の芝生化や緑化に大きく貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
例えば,校庭の芝生化を図る場合に,モルタルまたはコンクリートのブロックに芝やこれに類する植物(グラウンドカバーグラス)を予め根付かせたユニットを準備し,このユニットを,歩道平板と同じ要領で敷き並べて施工できるようにすれば,工期は極めて短くできる。この場合,モルタルまたはコンクリートブロックであっても,グラウンドカバーグラスの生育に欠かせない保水性と透水性とを有し且つ根付きに必要な土壌保持構造を有することが必要であり,また,植物の生育に支障とはならない低pH(低アルカリ)を有
することも必要である。
【0011】
このような要求を満たすグラウンドカバーグラスユニットとして,本発明は,植物繊維を配合した保水性のモルタルまたはコンクリートの線状体からなるブロックであって,該線状体同士が部分的に結着し且つ該線状体同士の間に間隙が形成されている立体形状のブロックを該ユニットの基本材料とした点に特徴がある。このブロックを構成するセメント(結合材)として,MgOおよびP25を主成分とする低pH(低アルカリ)セメント
を用いることができ,これによって植物の生育環境に与える影響も少なくなる。
【0012】
セメント系モルタルまたはコンクリートに適量の植物繊維を配合すると,硬化した状態では保水機能と強度とを具備した硬化体が得られ,未だ固まらない状態では,ノズル口から押し出した場合に,その連続した線状体は線状形状を保持しながら変形できる性質が得られる。すなわち,植物繊維を配合することによってセメントマトリックス中に水が含浸できる硬化体組織が得られると共に,フレッシュ状態では線状体に押し出し成形ができるような粘った混練物を得ることが可能となり,ノズル口から押し出された線状体は変形が自在でありながらその線状の形状を硬化するまで保持し得るので,この線状体を未だ固まらないうちに曲げ絡み合わせると,あたかも即席乾燥麺に見られるような,線状体が捲縮して絡み合った接合組織が得られる。このものは,線状体同士が部分的に結着して硬化し
ているために適当な間隙をもつ任意形状の立体ブロックとなり得る。
【0013】
図1は,本発明に従う立体形状のブロックの一つの形状例を示したもので,図2は,図1のX−Y矢視断面を示している。図示のように,植物繊維を配合したセメント系硬化体(モルタルまたはコンクリート)からなる線状体1が曲げ絡み合って立体形状のブロック2を形成している。このブロック2は,硬化した線状体1が部分的に結着し,線状体同士の間に間隙を形成した構造を有しており,一見したところ,即席乾燥麺(インスタントラ
ーメン)のような麺の捲縮固化物を拡大したような立体形状を有している。
【0014】
このようなセメント系硬化体のブロック2を作製するには,例えば図3に示したように,植物繊維配合の未だ固まらないモルタルまたはコンクリート3(以下これを略して“植物繊維入り生モルタル”と呼ぶ)の混練物をグラウトポンプ4でノズル5に圧送することにより,ノズル5から植物繊維入り生モルタル3の連続した線状体として押し出し,これを型枠6内に曲げ絡み合わせながら打設する。そのさい,植物繊維を適量配合し且つ水セメント比および単位水量を調節すると,ノズル5から押し出された生モルタル3の線状体は直角はもとより180o近く曲げても破断することなく,くねくねと自在に曲がる。植物繊維を配合しない場合には,そのような性質を具備させることは困難で,形状保持力を
もつような硬練として線状体に押し出した場合には,曲げるとすぐに折れてしまう。
【0015】
前記の図例では,型枠6内に打設するさいに,作業員がノズル5を前後・左右に移動させることによって,網目状のものが積層した立体形状とする例を示したが,これを機械化して行なうことも勿論可能である。また,立体形状は,この例に限らず,線状体が部分的に結着し且つ線状体の間には所定の間隙が形成されているのであれば,あらゆる形状のものが可能である。例えば側面が3面体,4面体,5面体,6面体その他の多面体からなる多角形状の平板形の立体ブロック,或いは側面が円筒や楕円筒からなる円筒形状等の様々
な形状の平板形の立体ブロックを作り出すことができる。
【0016】
ノズル5から押し出す生モルタル3の線状体の径については,直径が3〜30mm,好ましくは5〜20mm,さらに好ましくは5〜15mmのものが取り扱いやすい。植物繊維入り生モルタル3の配合については後述するが,使用する植物繊維としては,長さが2〜12mm,径が0.1〜1.0mm程度のものが好適であり,配合量としては,植物繊維の種類によってその適正な範囲は異なるが,10〜80Kg/m3,好ましくは20〜60Kg/m3の範囲とするのがよく,植物繊維の配合量が多いほど硬化した線状体1の湿潤性能(保水性能)および生モルタル3の線状体の変形性能が高まる。しかし,あまり多いと,骨材表面が植物繊維で覆われるところが増え,骨材・セメント間の接合強度を低下させることにもなるので,80Kg/m3以下,好ましくは60Kg/m3以下とするのがよい。練り混ぜに際しては,セメントペーストに植物繊維を先練りし,この植物繊維
入りセメントペーストを骨材と混り混ぜる方法が好ましい。
【0017】
植物繊維の使用にあたっては,その乾燥体をよくほぐした状態で使用するのがよい。植物繊維の性質上,その繊維一本一本の径や長さ,さらには表面状態や形状(針状か板状かなど)はランダムであるが,要するところ,その植物繊維の性質に応じてモルタル中またはコンクリート中によく分散できるような寸法形状とすればよい。綿や麻を用いる場合には,長さがほぼ2〜12mmで,径がほぼ0.2〜0.7mm程度のものを練り混ぜ中の材料に少しづつ投入して分散させればよい。そのさい,水を混入する前の空練りを60秒
以上行うことが好ましい。
【0018】
コンクリート用分散剤を使用して植物繊維の分散を促進させることも好ましい。使用できる分散剤には各種のものがあるが,例えば高性能減水剤(商品名レオビルド8000ESなど)が挙げられる。また,必要に応じて水溶性高分子等の増粘剤を使用することがで
きる。
【0019】
使用するセメントとしては普通セメントが使用できるが,低pHセメントを使用すると,低pH(低アルカリ)の植物繊維入り生モルタル3が得られ,低pHの本発明に従うグラス植栽用ブロック基材(グラウンドカバーグラスユニット)を作ることができる。低pHセメントとしては,MgOおよびP25を主成分とする低pHセメントを使用できる。このような低pHセメントとしては,例えば特開2001−200252号公報に記載された軽焼マグネシアを主成分とする土壌硬化剤組成物が挙げられる。またこれに相当する低pHセメントは商品名マグホワイトとして市場で入手できる。さらに,セメントの一部を,必要に応じて高炉スラグ微粉末,フライアッシュ,シリカヒュームなどで置換する
こともできる。
【0020】
骨材成分としては通常の細骨材および粗骨材を使用できるが,粗骨材を使用する場合には最大寸法がノズル5の口径より小さいものを使用する必要があり,最大寸法5mm以下とするのがよい。細骨材としては通常の川砂のほか,土質成分のもの例えば火山灰土,黒土等を使用可能である。また,石灰石粉等の微粉末を配合することもできる。さらに軽量
細骨材を使用することもできる。
【0021】
植物繊維を15Kg/m3以上,好ましくは20Kg/m3以上配合し,水セメント比を従来のポーラスコンクリートの場合と同等もしくはこれよりも高くして(例えばポーラスコンクリートでは水セメントが25〜35%程度である)練り混ぜると,スランプ値は高くても1.0cmまでの混練物が得られ,その硬化体は,透水係数が 1.0〜3.0 cm/secで,単位吸水率が10〜40%の保水性コンクリート(モルタル)を得ることができる。したがって,該混練物をノズル5から押し出し,曲げ絡み合わせて立体形状となし,これを硬化してなる本発明のブロック2は,単位吸水率が10〜40%の保水性を示す硬化した線状体1からなる。このため,線状体1そのものが保水性を示すので,生物生息用基材
として非常に好適な材料である。
【0022】
さらに,本発明に従うブロック2は,圧縮強度250〜330kgf/cm2 ,曲げ強度40〜50kgf/cm2 を示す硬化体製品となり得る。すなわち,普通コンクリートまたはモルタルと同等の強度特性を得ることか可能である。そして,図1に示したように,硬化した線状体1は曲げ絡み合って部分的に結着した構造の立体形状を有するので,線状体1の間には多くの間隙を有している。この間隙の容積を間隙率として表すと,この間隙率は線状体1の曲げ絡み合いの程度を調節することによって自由に制御ができ,例えば間隙率20〜80%のブロック2,好ましくはは間隙率30〜60%のブロック2とすることができる

【0023】
図1の例では,ブロック2の間隙は上面側ではやや大きくし,下面側では小さくなるように意図的に間隙率を変えてある。すなわち,図2の断面に見られるように,上面側では,線状体1同士の間隔を広くとって,その間の空隙を下方のものより大きくしてあり,こ
の比較的大きな上面側の間隙を種苗植え付け用の空間に利用することができる。
またブロック2は,その最下面に相当する線体状1の間隙に,保水機能と透水機能とをあわせもつフィルター部材17を装填することもできる。例えば図2に示したように,最下面に相当する線状体1とその直上に位置する線状体1との間に,そのようなフィルター
部材17を介在させる。
このようなブロック2を作製するには,図3と同様に,型枠6内に植物繊維入り生モルタル3を打設するさい,最初の生モルタル3(ブロック2の最下面に該当する部分)を打設したあと,フィルター部材17として,例えば2〜3cm程度のチップ状のヤシマットを生モルタル3同士の間隙に装填されるように配置してから,続けて生モルタル3を曲げ
絡み合わせながら打設する。
フィルター部材17には,ヤシマット等の有機繊維質材料だけでなく,シガラ等の樹脂メッシュや,不織布等の化学繊維質材料も使用することができる。また,これらの材料を
単一でまたは複合して使用してもよい。
フィルター部材17の装填にさいして,生モルタル3の積層を阻害しない(線状体1が部分的に結着する)ように量や配置を調整することが望ましい。フィルター部材17の形
状についてはとくに限定されるものではないが,作業効率の点でチップ状が好ましい。
ブロック2の最下面に相当する線状体1の間隙に,例えばチップ状のフィルター部材17を装填することにより,必ずしも図1,2のようにブロック2の間隙率を上面側と下面側とで意図的に変える必要はなく,線状体1同士の間隙を一定にしても,後述する土壌物質8の流出が防止される。またフイルター部材17は保水するので,ブロック2の保水性
向上にも寄与する。
【0024】
図4は,前記のようにして製造された本発明に従うブロック2を,育苗施設の苗床7に置き(図4のA),このブロック2の上に培養土等の土壌物質8を被せ,ブロック2の間隙に充填したうえで種苗として種子9をその土壌物質8に播くか(図4のB),または該ブロック2の上に種苗として芝マット10をセットして(図4のC),該施設内で水や施肥を行ってブロック2の間隙内に根を伸長させて根付けと育成とを行なう(図4のD)。育苗施設において,ブロック2に対して根付けが終えたユニット11(図4のE)は出荷待ちの製品となり,これらはグラウンドカバーグラスユニット11として校庭などへの現
場に搬送される。
【0025】
グラウンドカバーグラス(芝もしくはこれに類する植物)は,特に限定されないが例えばノシバ,バーミューダグラス,ケンタッキーブルーグラス,クリーピングレッドフェスク等の芝類,アジュガ,セダム類,シロクローバ,ローマンカモミール等をはじめとして種々選択することができ,異なる種類を混在させることもできる。また,本実施の形態ではグラウンドカバーグラスの種苗として種子9や芝マット10を植え付けているが,これに代えてシダ類やコケ類の胞子,球根,栄養体(生活体)の一部,例えば地下茎やほふく
枝(ストロン),さし木等とすることも可能である。
【0026】
図5は,本発明に従うグラウンドカバーグラスユニット11の構造を図解的に示したものであり,グラスとして芝12を用いた例を示している。ユニット11は,ブロック2と,土壌物質8と,芝12とからなる。そして,ブロック2の上面側の間隙に土壌物質8が装填されることによってグラス植え付け部13が構成されており,このグラス植え付け部13がその下方の支持基盤14によって一体的に支持されている。したがって,ブロック2の間隙に装填された土壌物質8に芝12が植栽されると共に,間隙をもったブロック2の支持基盤14がその芝12と土壌物質8との全体を支えるという関係をもってユニット11の単品が構成されている。この単品ユニット11が育苗施設で完成すると,これが製品として現場に搬送され,歩道のパネル(平板)を敷設するのと同じような原理で,校庭等
の現場に敷き並べて芝グラウンドが造成される。図6にその状態を示した。
【0027】
図6は,ユニット11の設置場所である校庭等の基盤15の上に,敷砂16を介して本発明に従うグラウンドカバーグラスユニット11を並べた状態を示している。敷砂16により基盤15の不陸や凹凸等が修正され,ユニット11を安定して並べることができる。なお,敷砂16に代えて基盤15等への排水を阻害しない用土や砕石等を敷きつめることもできる。また基盤15の種類や状態等に応じて敷砂16を省略してもよい。ユニット11を同一寸法の規格品とすることにより,敷き並べる作業は単純化する。敷き並べが終えると,実質的に校庭等の芝生が完了する。これまでの説明から明らかなように,芝12はブロック2内の間隙に存在する土壌物質8内に根が伸長して生育し,このグラス植え付け部13の下方には,同様に間隙が存在する保水性のモルタルまたはコンクリートブロック2か
らなる支持基盤14が存在するので,適度な保水と適度な排水とが良好に行われる。
【0028】
支持基盤14の部分の間隙に対しては,土壌物質8が自然な状態で装填されることになるが,あまりコンパクトに(圧密して)充填されると固化して通気性が悪くなることがある。この場合には,エアレーション作業として例えば,スパイク等を用いて所々に表面から土壌中に細径の通気孔を穿つことができる。この作業によってブロック2を形成している線状体1が部分的に欠け落ちることがあっても,それは保水性を有する粒状物として土壌物質8の一部として間隙内に取り込まれるだけであり,ユニット11が破壊されるよう
なことにはならない。
【0029】
前記の例では,ブロック2の間隙に対してグラス植え付け部13を一様に形成する(ブロック2の上面側の全面に植え付け部13を形成する)例を示したが,ブロック2の上面側全面の1/3程度の植え付け面積であっても,芝12が生長するにつれて全面を覆うことに
なるので,必ずしも植え付け部13はブロック2の上面側全面でなくてもよい。
【0030】
肝要なことは,ブロック2の上方に植物の生育に必要な水分と栄養分とを受ける土壌物質8が存在し,その下方に本発明に従う間隙をもつモルタルまたはコンクリート線状体1の集合(網目構造の支持基盤14)を有することである。土壌物質8の部分は植物の地下部(根等)を定着させる箇所となり,支持基盤14は単位吸水率10〜40%の保水能力をもつ線状体1内の水分と,間隙に存在する土壌物質8の水分と,上部からの補給水分によって水分の出入りが起こる箇所となる。すなわち,土壌物質8が乾燥したときにモルタルまたはコンクリート線状体1から水分が出て土壌物質8に水分を補給し,土壌物質8に余分な水分が存在するときには線状体1中に蓄えられることになり,しかも,間隙が多いので全体的に余った水分は下方へと移動し,ユニット11の下方から流出(排水)される
ことになる。
【0031】
このようにして,本発明によると,植物繊維配合のモルタルまたはコンクリート線状体1からなる間隙をもつブロック2を用いてグラウンドカバーグラスユニット11を形成したので,吸水・保水による水補給が自然になされると共に透水・排水も自然になされ,また敷砂16による排水と水平安定性との効果,網目構造による軽量化と土壌物質8の保持との効果によって,植物の根腐れを防止しながら安定してグラウンドカバーグラスの生育が行われ得る。またグラウンドカバーグラスの施工が簡易で,部分的な取り換えも自在に行える。そして,モルタルまたはコンクリート材料の主成分としてリン酸マグネシウム系の結合材を用いることができ,この場合には,粉砕すると不活性リン酸肥料として土に戻すことが可能であり,しかも低pH(低アルカリ)であるから,動植物の生息環境にも影
響を及ぼすことがない。
【0032】
本発明に従う立体形状のブロック2を作るための,代表的な植物繊維入り生モルタル3
の材料配合例を挙げると,例えば,
低pHセメント(商品名マグホワイト):500Kg/m3±50Kg/m3
黒土 :500Kg/m3±50Kg/m3
砂 :400Kg/m3±40Kg/m3
水 :420Kg/m3±40Kg/m3
植物繊維(綿の場合) :20Kg/m3±5Kg/m3
混和剤として,
ソイルセメント用混和剤(商品名レオソイル100A):5Kg/m3±1Kg/m3
ソイルセメント用混和剤(商品名レオソイル100B):3Kg/m3±1Kg/m3
を例示できる。これによって例えば気乾比重=1.5±0.2,湿潤比重=2.1±0.2の硬化体とすることができる。この硬化体(立体形状のブロック2を構成するための線状体1)は,例えば圧縮強度300kgf/cm2 ±50kg/m3,曲げ強度45kgf/cm2 ±10
kg/m3で,単位吸水率が30%±10%程度の保水性を示す硬化体となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に従う立体形状のブロックの一例を示す略平面図である。
【図2】図1のX−Y矢視断面図である。
【図3】本発明に従う植物繊維入り生モルタルの線状体を型枠内に打設する例を示す略図である。
【図4】本発明の立体形状のブロックの間隙を利用して芝を育成させる工程例を示す略断面図である。
【図5】本発明に従うグラウンドカバーグラスユニットの構造を示す略断面図である。
【図6】本発明に従うグラウンドカバーグラスユニットを校庭等の基盤に敷設する状態を示す略断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 植物繊維配合のセメント系硬化体(モルタルまたはコンクリート)からなる線状体
2 立体形状のブロック
3 植物繊維入り生モルタル
4 グラウトポンプ
5 ノズル
6 型枠
7 苗床
8 土壌物質(培養土等)
9 種子
10 芝マット
11 本発明に従うグラウンドカバーグラスユニット
12 芝
13 グラス植え付け部
14 支持基盤
15 校庭等の基盤
16 敷砂
17 フィルター部材
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号
【識別番号】000230010
【氏名又は名称】ジオスター株式会社
【住所又は居所】東京都文京区西片一丁目17番8号
【出願日】 平成16年3月30日(2004.3.30)
【代理人】 【識別番号】100076130
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 憲治

【公開番号】 特開2005−278576(P2005−278576A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−100589(P2004−100589)