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【発明の名称】 プランター
【発明者】 【氏名】千葉 茂雄

【要約】 【課題】一般市販の貯水容器を利用して水耕式植栽を簡便に行うことが出来、移動過程に底部からの水漏れの心配のないプランターを得る。

【解決手段】貯水容器11の内部を通気孔12を有する有孔仕切板13によって上下深さ方向に土載部14と貯水部15に仕切り、貯水部15の上側にパイプ差込孔16を設け、そのパイプ差込孔16に貯水部の底面側へと続く排水パイプ17を接続してプランターを構成する。パイプ差込孔の周縁の下側18から貯水部の底面23までの距離(深さd)を40mm以上、パイプ差込孔の周縁の下側18から仕切板13の上面までの距離(高さt)を40mm以下、パイプ差込孔の周縁の下側18の仕切板13からの距離と底面側に続く排水パイプの先端19の仕切板13からの距離との差(e)を20mm以上、仕切板13から貯水容器の上縁20に到る土載部の深さ(h)を30mm以上にするとよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水容器(11)の内部が通気孔(12)を有する有孔仕切板(13)によって、上下深さ方向に土載部(14)と貯水部(15)に仕切られており、貯水部(15)の上側にパイプ差込孔(16)が設けられており、そのパイプ差込孔(16)に貯水部の底面側へと続く排水パイプ(17)が接続されていることを特徴とするプランター。
【請求項2】
パイプ差込孔の周縁の下側(18)から貯水部の底面(23)までの距離(深さd)が40mm以上、パイプ差込孔の周縁の下側(18)から仕切板(13)の上面までの距離(高さt)が40mm以下、パイプ差込孔の周縁の下側(18)の仕切板(13)からの距離と底面側に続く排水パイプの先端(19)の仕切板(13)からの距離との差(e)が20mm以上、仕切板(13)から貯水容器の上縁(20)に到る土載部の深さ(h)が30mm以上であることを特徴とする前掲請求項1に記載のプランター。
【請求項3】
給水パイプ(21)が土載部側から貯水部側へと仕切板(13)を貫通していることを特徴とする前掲請求項1と請求項2の何れかに記載のプランター。
【請求項4】
給水パイプ(21)の下端(22)から仕切板(13)までの距離(深さf)が40mm以上であることを特徴とする前掲請求項3に記載のプランター。
【請求項5】
排水パイプ(17)が軟質樹脂に成り、排水パイプ(17)の外径がパイプ差込孔(16)の内径よりも大きいことを特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4の何れかに記載のプランター。
【請求項6】
上縁(20)に囲まれる貯水容器(11)の開口部(24)の面積が300cm2 以上であることを特徴とする前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5の何れかに記載のプランター。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水耕栽培、底面灌水、底面給湿等の水耕式植栽に有用なプランターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、糸条を束ねた糸束を土壌に代わる植栽資材として使用する水耕式植栽法を特願平7−291705、特願平7−291706、特願平8−188093、特願平9−111907、特願平10−112766、特願平11−221274に開示している(例えば、特許文献1参照)。この水耕式植栽法は、縦長にした糸束の下側を水中に沈め、水面から突き出た糸束の上端に種を播き、或いは、苗を載せて植栽するものであり、植物は糸条に沿って根を降ろし、水中に根を張って生育する。この糸束を使用した水耕式植栽法では、土は必ずしも必要としないが、それが植物の生育を促進する微量成分を有しているためなのか、或いは、植物の生育に有効な土壌菌を有しているためなのか、その理由は定かでないとしても、水面から浮き出た糸束の上端に僅かでも土を載せると植物は勢いよく生育し、その載せた土が水中に沈むことなく糸束の上端に支持されて水に浸らない状態に維持するときは、黒疽菌その他の嫌気性菌の発生がなく、根腐れや水腐れが起きることはない。
【特許文献1】特開平9−107791号公報(特許請求の範囲と図面)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この水耕式植栽法では、プランターを水槽とし、その水槽に糸束を装填し、水位を糸束の上端より下方に維持するために、プランターの底部に穿設されている排水孔にパイプを取り付け、そのパイプの上端の位置を糸束の上端よりも下方に固定し、水槽への給水が過剰になったときは、そのパイプの上端から溢水(オーバーフロー)するようにしている。しかし、そのように構成された低部パイプ排水形プランターでは、その排水孔とパイプの間の僅かな隙間からの漏水が問題になる。
【0004】
水位を糸束の上端よりも下方に維持する他の方法として、プランターを形の確りした内容器(上容器)と外容器(下容器)との内外(乃至は上下)二重構造にし、外容器の深さを内容器の深さと糸束の長さよりも浅くし、内容器の底部に透水孔を穿設し、内容器に糸束を装填し、外容器を水槽としてその中に内容器を装填し、過剰給水時に外容器の上縁から溢水して水位が糸束の上端より上に上昇しないようにする方法がある。しかし、そのように構成された内外二段式プランターでは、容器が内容器と外容器との二種類になるのでコスト高になり、それを移動するとき水面が揺れ動いて水が外容器の上縁から溢れ易く、又、往々にして外容器を忘れて内容器だけを持ち上げ、外容器が分離して取り残され、その持ち上げた内容器から滴が落ちて周囲を汚すなど、その移動時の取り扱い難い点が問題になる。
【0005】
近時、プランター内部を有孔板で上下に仕切り、下側に給水孔を穿設し、その給水孔から下側の部分を水槽とし、有孔板の上側に土を装填して使用する底面灌水ないし底面給水式プランターが市販されている。しかし、この種のプランターでは、その移動時に給水孔から溢れ落ちる危険がある。そして、この種の底面乾燥式プランターでは、給水孔を介して土壌層の底面が外気に触れることになるので、水槽から土壌層へと湿気が伝わり難く、底面灌水ないし底面給水としては不十分である。
【0006】
そして、水耕式植栽に使用される低部パイプ排水形プランター、内外二段式プランター(内容器)、および、底面乾燥式プランターの何れのプランターにおいても、土を装填し、地表に散水して植栽する在来の一般プランターと同様に排水孔や給水孔が底部に設けられているので水漏れの危険があり、それに植栽された植物を購入した顧客が車内に持ち込んでホームセンター等から帰る途中で揺れ動き、車内の座席や床カーペットを汚す等のトラブルが発生し易い。そして、その何れの底面乾燥式プランターも、在来の一般プランターとは構造が全く異なり、汎用性を欠くので製造コストが高くつき、水耕式植栽法が普及していない現在では、その在庫負担も大きく、その販売に伴うリスクも大きく、そのリスクを販売価格に上乗せすれば益々販売し難くなる等、実用上多くの点で問題をはらんでいる。
【0007】
そこで本発明は、プラスチック製の漬物樽や洗面器、タライ、水槽、バケツ等の水を貯えて使用される容器や、プラスチック製の屑物入れやゴミ箱のように水を貯えることが出来てタライや水槽に転用することが出来る容器等の一般に市販されている貯水容器を利用して水耕式植栽を簡便に行うことが出来、植栽植物の物流過程やホームセンターからの帰路等の移動過程において底部からの水漏れの心配のないプランターを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプランターは、貯水容器11の内部が通気孔12を有する有孔仕切板13によって、上下深さ方向に土載部14と貯水部15に仕切られており、貯水部15の上側にパイプ差込孔16が設けられており、そのパイプ差込孔16に貯水部の底面側へと続く排水パイプ17が接続されていることを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係るプランターの第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、パイプ差込孔の周縁の下側18から貯水部の底面23までの距離(深さd)を40mm以上、パイプ差込孔の周縁の下側18から仕切板13の上面までの距離(高さt)を40mm以下、パイプ差込孔の周縁の下側18の仕切板13からの距離と底面側に続く排水パイプの先端19の仕切板13からの距離との差(e)を20mm以上、仕切板13から貯水容器の上縁20に到る土載部の深さ(h)を30mm以上にした点にある。
【0010】
本発明に係るプランターの第3の特徴は、上記第1と第2の何れかの特徴に加えて、給水パイプ21が土載部側から貯水部側へと仕切板13を貫通している点にある。
【0011】
本発明に係るプランターの第4の特徴は、上記第3の特徴に加えて、給水パイプ21の下端(貯水部側)22から仕切板13までの距離(深さf)を40mm以上にした点にある。
【0012】
本発明に係るプランターの第5の特徴は、上記第1、第2、第3、第4の何れかの特徴に加えて、排水パイプ17が軟質合成樹脂やゴム等の弾性を有する軟質樹脂に成り、排水パイプ17の外径がパイプ差込孔16の内径よりも大きい点にある。
【0013】
本発明に係るプランターの第6の特徴は、上記第1、第2、第3、第4、第5の何れかの特徴に加えて、上縁20に囲まれる貯水容器11の開口部24の面積を300cm2 以上にした点にある。
【発明の効果】
【0014】
本発明(第1の特徴)のプランターの貯水部15に貯えられている水25は排水パイプ17を介してパイプ差込孔16から排出されるが、そのパイプ差込孔16が貯水部の底部ではなく上側に設けられているので、排水パイプ17が外れてもパイプ差込孔16から水25が自然に流出することなく、プランターの移動の際に水漏れの心配がない。特に、本発明のプランターは、水を貯えたバケツ等の一般市販の貯水容器とは異なり、貯水部の水25が流出するためには細い排水パイプ17を通らなければならず、而も、開口部24が土壌層26で塞がれているので、車内に持ち込んでもバケツ等の一般市販の貯水容器の場合のように振動によって水が波打って溢れ出ることはなく、その外側に突き出た排水パイプの先端を施栓することによって水漏れを完全に防止することも出来る。そして、その施栓箇所が水面28よりも高所の排水パイプ17の先端なので、そこに貯水部15から水圧が作用することがなく、その施した栓が排水パイプ17の先端が水圧を受けて外れ、水漏れが起きると言うこともない。
【0015】
本発明(第2の特徴)によると、パイプ差込孔の周縁の下側18から貯水部の底面23までの距離(深さd)を40mm以上、パイプ差込孔の周縁の下側18から仕切板13の上面までの距離(高さt)を40mm以下、パイプ差込孔の周縁の下側18の仕切板13からの距離と底面側に続く排水パイプの先端19の仕切板13からの距離との差(e)を20mm以上、仕切板13から貯水容器の上縁20に到る土載部の深さ(h)を30mm以上としたので、植物の根元を支えるための土壌層26を土載部14に積層することが出来、その土壌層26が水に漬かって嫌気性菌が発生したり根腐れを起こすこともなく、炎天下に必要とされる給水量を貯水部15に確保することが出来る。そして、土壌層26や植物27を介して貯水部の水25が発散され、貯水部の水位(28)が変動するとしても、貯水部の水面28と土壌層26の間に外気に直接触れない気密室29が確保され、そこに降ろした根33が加湿状態に保たれるので、植物の生育に極めて良いプランターが得られる。
【0016】
本発明(第3の特徴)によると、排水パイプ17から流出するまで給水パイプ21から直接貯水部15に給水することが出来て水遺りを瞬時に行うことが出来、その給水パイプの上端30が貯水容器の上縁20に囲まれた土壌層26の内側に突き出るので、給水パイプの上端30が人手や異物に触れ難く格別邪魔にならない。
【0017】
本発明(第4の特徴)によると、給水パイプの下端22が排水パイプの先端19と同様に貯水部15に深く差し込まれ、給水パイプ21を介して貯水部の水25が外気に触れる面積が給水パイプの内径によって限られ、貯水部の水25が給水パイプ21を介して直接外部に蒸発する蒸発量が極めて少なく、貯水部の水面28から蒸発する水分によって気密室29に降ろした根33が加湿状態に保たれる。
【0018】
本発明(第5の特徴)によると、排水パイプ17を差込孔16に無理に差し込むことが出来、その無理に差し込んだ排水パイプ17の外周面が差込孔16の周縁に弾性的に密着するので、排水パイプ17と差込孔16の間の隙間からの水漏れの心配はない。
【0019】
これは本発明の完成に到る過程で知り得たことであるが、根をとりまく土壌は、そこから蒸発する水が生じる気化熱によって根元を冷却し、真夏の炎天下でも根元の過剰昇温を抑え、植物の生育に好ましい所要の温度に保つ恒温効果を発揮する。この点、本発明(第6の特徴)では、上縁20に囲まれる貯水容器11の開口部24の面積が300cm2 以上としたので、茄子等の比較的大型の植物でも植栽可能なプランターが得られる。因に、慣用される清涼飲料水用の容量2000ccのペットボトルを利用して試作した開口部24の面積が100cm2 程度のプランターに植えた茄子は、数本に枝分かれをして背丈50cm前後に成長して2〜3個結実したが、真夏になると成長が止まり、その後、食用し得る結実を見ることが出来なかったが、その開口部24の面積を300cm2 前後にした土載部14の深さが70mm前後、貯水部14の深さが80mm前後で全体の深さが150mm前後のプランターに厚みが50mm前後の土壌層26を積層したものでは、真夏の炎天下でも枝葉が萎れることなく成長し続け、枝払い(枝切り)によって秋茄子を収穫することが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
貯水容器11は、プラスチック製バケツ、プラスチック製ゴミ箱、プラスチック製漬物槽等の所謂“ポリ容器”と同様にプラスチック射出成形によって形成するとよい。貯水部15には、前記特許文献1に記載の糸束(植栽資材)31や軽石等の嵩高で空隙の多い資材を挿填し、それによって仕切板13を支えるようにするとよい。その場合、糸束等31を嵩高な状態に維持するために、仕切板13を支える脚材32を貯水部15に挿填するとよい。
【0021】
仕切板13の通気孔12は、植物27が仕切板13を貫通して貯水部15へと根33を降ろすようにするために設けられるが、貯水部15に糸束31や軽石、或いは、脚材32を挿填する場合、仕切板13にはネットや目粗な布帛等の柔軟可撓なシートを用いることも出来る。
【0022】
糸束31は、前記特許文献1に記載の通り土壌に代わる植栽資材として使用し得るものであり、その糸束31を使用する限り土壌26は必ずしも必要とされない。しかし土壌26は、植物27が地植えされているかの如くプランターを装う装飾材にもなり、又、前記の通り、植物の生育に必要な微量成分や土壌菌を有するが故に必要とされるものであり、その層厚(c)は5mm程度であってもよい。しかし土壌層26は、植物の根元を支える支材としても有効であり、その支材としての層厚(c)は20mm以上にするとよい。とは言え、水槽を使用しない従来のプランターで植栽する場合のように、土壌層26の層厚(c)を100mm以上にする必要はない。特に、前記特許文献1に記載の糸束31を使用する場合、それが土壌層26を支える支材となると同時に土壌に代わる植栽資材にもなるので、その糸束31を使用する場合には、土壌層26の層厚(c)を30〜50mmにすれば十分である。そして、糸束31を使用したプランターでは、ウコン等の根菜類は、糸束31を伝って水中に大きい根茎をつくるが、土壌層26と水面28の間が僅かながらも常時離れ、土壌層26が直接水に漬かることがなければ、根腐れや水腐れは起きない。土壌層26に水25が直接触れないようにすると共に、粉粒状の土壌物質が貯水部15に溢れ落ちないようにするには、枯草や腐葉土、ネット等による防砂層を土壌層26の底面に積層するとよい。
【0023】
貯水部15の深さ(d)を40mm以上とし、排水パイプ17の差込み深さ(e)を20mm以上にするのは、真夏の炎天下に植物の水揚げ量が多く、植物の種類によっては貯水部の水面28が20mm以上も降下することもあるためである。従って、水遣り(散水や給水)を2〜3日せずに済むようにするために、貯水部15の深さ(d)を70mm以上にすることが望ましい。これらの点を考慮し、プランター全体の深さを120〜300mmとし、土載部14の深さ(h)を50mm以上にし、排水パイプ17の太さ(外径)を10mm前後(15mm以下)にして仕切板13(土載部14)からパイプ差込孔16の周縁の下側18に到る気密室29の最小厚み(t)を15mm以下にし、貯水部15の深さ(d)を70mm以上(d≧70mm)にし、排水パイプ17の差込み深さ(e)を50mm以上にし、植物の水揚げ量の多い夏期の炎天下においても排水パイプの先端19が水面28の下にあり、排水パイプ17を介して外気に触れず加湿状態の気密室29が貯水部15に確保されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るプランターの一部切截組立斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
11:貯水容器
12:通気孔
13:仕切板
14:土載部
15:貯水部
16:パイプ差込孔
17:排水パイプ
18:周縁の下側
19:排水パイプの先端
20:貯水容器の上縁
21:給水パイプ
22:給水パイプの下端
23:底面
24:開口部
25:水
26:土壌層
27:植物
28:水面
29:気密室
30:給水パイプの上端
31:糸束
32:脚材
33:根
【出願人】 【識別番号】399024922
【氏名又は名称】千葉 博子
【出願日】 平成16年3月30日(2004.3.30)
【代理人】 【識別番号】100081891
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 茂雄

【公開番号】 特開2005−278556(P2005−278556A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−99827(P2004−99827)