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【発明の名称】 点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置、プログラム、及び作物生育設計方法
【発明者】 【氏名】村上 恭豊

【氏名】塩田 豊

【要約】 【課題】点滴施肥潅水栽培によって花き類及び蔬菜類を含む作物を生育するために、その生育期間中の潅水量、施肥量、及び最終的な目標収量等に関し、従来に比してより正確な計画を作成し得る作物生育設計装置、プログラム、及び作物生育設計方法の提供。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料成分を原水に溶かして得た養水を点滴状に供給し、土壌を培地として、花き類及び蔬菜類を含む作物を生育する点滴施肥潅水栽培により、前記作物を生育すべく、生育計画を策定する点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置であって、
前記作物の生育期間中の複数の生育ステージと各生育ステージに要する期間とが作型に関連付けられて与えられた生育データを記憶する手段、
前記作物の生育に係る作型の入力を受け付ける手段、
前記作物の生育に係る仕立数の入力を受け付ける手段、
記憶された前記生育データと入力された前記作型及び前記仕立数に関する情報とに基づき、点滴する養水量を示す潅水量についての前記生育ステージでの値を取得する手段、並びに
取得した情報を出力する手段
を備えることを特徴とする点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項2】
所定生育面積当たりの定植本数の入力を受け付ける手段、並びに
前記生育データと、前記作型及び仕立数に関する情報と、前記所定生育面積当たりの定植本数に関する情報とに基づき、前記各生育ステージにおける前記所定生育面積当たりの潅水量を取得する手段
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項3】
前作で用いた肥料の成分ごとの量を示す元肥成分量の入力を受け付ける手段、
本作における各生育ステージで用いる肥料の成分を示す本肥成分の入力を受け付ける手段、並びに
前記生育データと、前記作型に関する情報と、入力された前記元肥成分量に関する情報と、入力された前記本肥成分に関する情報とに基づき、本作における各生育ステージで用いる肥料の量を取得する手段
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項4】
播種日の入力を受け付ける手段、並びに
前記生育データと、前記作型に関する情報と、入力された前記播種日に関する情報とに基づき、各生育ステージの時期に関する情報を取得する手段
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項5】
生育地域に関する情報の入力を受け付ける手段を更に備え、
前記生育データは生育地域に関連付けられており、前記各生育ステージ間に要する期間として各生育地域に固有の値が与えられており、
前記各生育ステージの時期に関する情報を取得する手段は、前記生育データ、前記作型に関する情報、並びに入力された前記播種日及び生育地域に関する情報に基づき、各生育ステージの時期に関する情報を生育地域に固有の情報として取得すべく成してあることを特徴とする請求項4に記載の点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項6】
前記作物は花き類であって、
前記生育データと、前記作型及び仕立数に関する情報と、前記所定生育面積当りの定植本数に関する情報とに基づき、各生育ステージごとに収穫された前記花き類の収穫数を生育にかかる全期間にわたって累積した目標収穫数を取得する手段
を更に備えることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項7】
前記作物は蔬菜類であって、
収穫するときの前記蔬菜類の1つの重量の入力を受け付ける手段、並びに
前記生育データと、前記作型及び仕立数に関する情報と、前記所定生育面積当たりの定植本数に関する情報と、入力された前記1つの重量に関する情報とに基づき、各生育ステージごとに収穫された前記蔬菜類の重量を生育にかかる全期間にわたって累積した目標収量を取得する手段
を更に備えることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置。
【請求項8】
コンピュータを、
花き類及び蔬菜類を含む作物の生育期間中の複数の生育ステージと各生育ステージに要する期間とが作型に関連付けられて与えられた生育データを記憶する手段、
前記作物の生育に係る作型の入力を受け付ける手段、
前記作物の生育に係る仕立数の入力を受け付ける手段、
記憶された前記生育データと入力された前記作型及び前記仕立数に関する情報とに基づき、点滴する養水量を示す潅水量についての前記生育ステージでの値を取得する手段、並びに
取得した情報を出力する手段
として機能させることにより、
前記コンピュータを、肥料成分を原水に溶かして得た養水を点滴状に供給し、土壌を培地として前記作物を生育する点滴施肥潅水栽培による、前記作物の生育計画を策定する手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
花き類及び蔬菜類を含む作物の生育期間中の複数の生育ステージと各生育ステージに要する期間とが作型に関連付けられて与えられた生育データを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータを用い、養水を点滴状に供給して土壌を培地として前記作物を生育する点滴施肥潅水栽培により前記作物を生育するための計画を策定する点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計方法であって、
与えられた作型に係る情報と記憶部に記憶された生育データとに基づき、生育ステージ及び各生育ステージ間に要する期間を取得し、
与えられた仕立数に係る情報に基づき、点滴する養水量を示す潅水量についての前記各生育ステージでの値を取得することを特徴とする作物生育設計方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる点滴施肥潅水栽培によって花き類及び蔬菜類を含む作物を生育するために、その生育期間中の潅水量、施肥量、及び最終的な目標収量等の計画を作成する作物生育設計装置、コンピュータを該装置として機能させるプログラム、及び果菜類生育設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
花き類、蔬菜類などの作物を生育する方法の一つに、肥料成分を必要な量だけ原水に溶かして得た養水を少量ずつ供給し、土壌を培地として上記作物を生育する、いわゆる点滴施肥潅水栽培がある。この栽培方法は、施肥量及び給水量が少なくて済み、病気の発生が抑制される、などといった様々の利点を有するため、近年、上記作物の生育に採用されてきている。
【0003】
この点滴施肥潅水栽培を行う際に養水の供給を機械的に行う装置として、公知の農作物栽培装置がある(特許文献1参照)。この装置は、肥料を溶かす原水を肥料混合機まで移送するためのポンプと、この原水及び肥料を予め設定した割合で混合する混合機と、この混合機に接続されて培地に配設された送水管と、予め設定した時間および量だけ前記送水管を通じて養水を培地へ供給する送水制御装置とを備えている。この装置を用いることにより、各種の設定に基づいて培地へ養水が供給され、点滴施肥潅水栽培を自動的に行うことができる。
【0004】
そして、この農作物栽培装置を用い、作業者は自らの経験及び勘に基づいて独自の生育計画を策定し、この生育計画に基づいて上記農作物栽培装置の設定を行っている。
【特許文献1】特許第2964121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作物を生育するにあたっては、原水に溶かす肥料の量、培地へ供給する養水の量(潅水量)などを適切に管理する必要があるが、これらは作業者の経験と勘とに頼らざるを得ず、特に栽培経験の乏しい作業者においては、適切な分量を供給できずに作物の生育を阻害してしまう場合がある。従って、均一な品質を確保して、目標通りの収量を正確に得ることは困難である。しかしながら近年では、消費者の要望もあって、均一な品質を有する作物を大量に生産する必要があり、作物の生育設計をより厳密かつ正確に行うことが望まれている。
【0006】
また、作物の生育計画を策定する設計者と、上記農作物栽培装置を用いて作物の生育に従事する者とが異なる場合があり、この場合には、実際の生育環境を十分に考慮した生育計画が策定できない可能性がある。更に、移転により新たな場所で生育する場合や、使用経験のない肥料を用いて生育するときなどには、過去の経験が生かせない場合があり、適切な生育計画を策定できない場合もある。
【0007】
そこで本発明は、点滴施肥潅水栽培によって作物を生育するために、その生育期間中の潅水量、施肥量、及び最終的な目標収量等に関し、従来に比してより正確な計画を策定し得る作物生育設計装置を提供することを目的とする。また、コンピュータを上記装置として機能させるプログラム、及び作物生育設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述したような事情を鑑みてなされたものであり、本発明に係る点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置は、次のような構成をしている。即ち、肥料成分を原水に溶かして得た養水を点滴状に供給し、土壌を培地として、花き類又は蔬菜類を含む作物を生育する点滴施肥潅水栽培により、前記作物を生育すべく、生育計画を策定する点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置であって、前記作物の生育期間中の複数の生育ステージと各生育ステージに要する期間とが作型に関連付けられて与えられた生育データを記憶する手段、前記作物の生育に係る作型の入力を受け付ける手段、前記作物の生育に係る仕立数の入力を受け付ける手段、記憶された前記生育データと入力された前記作型及び前記仕立数に関する情報とに基づき、点滴する養水量を示す潅水量についての前記生育ステージでの値を取得する手段、並びに取得した情報を出力する手段を備える。
【0009】
また、上記作物生育設計装置は、本発明に係るプログラムをコンピュータにて実行することによっても実現することができる。即ち、このプログラムは、コンピュータを、花き類及び蔬菜類を含む作物の生育期間中の複数の生育ステージと各生育ステージに要する期間とが作型に関連付けられて与えられた生育データを記憶する手段、前記作物の生育に係る作型の入力を受け付ける手段、前記作物の生育に係る仕立数の入力を受け付ける手段、記憶された前記生育データと入力された前記作型及び前記仕立数に関する情報とに基づき、点滴する養水量を示す潅水量についての前記生育ステージでの値を取得する手段、並びに取得した情報を出力する手段として機能させることにより、前記コンピュータを、肥料成分を原水に溶かして得た養水を点滴状に供給し、土壌を培地として前記作物を生育する点滴施肥潅水栽培による、前記作物の生育計画を策定する手段として機能させる。
【0010】
更に、上記作物生育設計装置によって実現しようとする目的は、本発明に係る方法によっても実現することができる。即ち、この方法は、花き類及び蔬菜類を含む作物の生育期間中の複数の生育ステージと各生育ステージに要する期間とが作型に関連付けられて与えられた生育データを記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータを用い、養水を点滴状に供給して土壌を培地として作物を生育する点滴施肥潅水栽培により前記作物を生育するための計画を策定する点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計方法であって、与えられた作型に係る情報と記憶部に記憶された生育データとに基づき、生育ステージ及び各生育ステージ間に要する期間を取得し、与えられた仕立数に係る情報に基づき、点滴する養水量を示す潅水量についての前記各生育ステージでの値を取得する。
【0011】
上述したような作物生育設計装置及び方法によれば、作型及び仕立数の入力という簡単な作業だけで、各生育ステージでの潅水量についてより現実的な値を、実際に生育をはじめる前に得ることができる。また、生育ステージに要する期間は、作型(促成栽培、抑制栽培、半促成栽培等)により異なるため、上記生育データでは、各作型に対応した生育ステージに要する期間が与えられている。そして、このような生育データを用いることにより、上記潅水量は、より現実的な値として取得することができる。なお、上述した生育データ、作型、及び仕立数は、上記潅水量を取得するために必要な最小限の情報であり、必要に応じて他の情報も参照してよい。例えば、蔬菜類に含まれる果菜類のトマトを生育する場合には、上記3つの情報に加えて段数(花房の数)、播種日等に基づいて潅水量を取得すればよく、茄子を生育する場合には、上記3つの情報に加えて生育予定期間、播種日等に基づいて潅水量を取得することができる。なお、本願特許出願において上記「仕立数」とは、蔬菜類については通常の意味で用いており、他方、花き類について用いる場合は、「収穫可能な花又は蕾の数」を意味するものとする。
【0012】
また、所定生育面積当たりの定植本数の入力を受け付ける手段、並びに前記生育データと、前記作型及び仕立数に関する情報と、前記所定生育面積当たりの定植本数に関する情報とに基づき、前記各生育ステージにおける前記所定生育面積当たりの潅水量を取得する手段を更に備えていてもよい。この場合、作業者が実際に作物を生育するフィールドの全体で必要とされる潅水量を、簡単な入力作業をするだけで、予めより正確に取得することができる。
【0013】
また、前作で用いた肥料の成分ごとの量を示す元肥成分量の入力を受け付ける手段、本作における各生育ステージで用いる肥料の成分を示す本肥成分の入力を受け付ける手段、並びに前記生育データと、前記作型に関する情報と、入力された前記元肥成分量に関する情報と、入力された前記本肥成分に関する情報とに基づき、本作における各生育ステージで用いる肥料の量を取得する手段を更に備えていてもよい。この場合、生育データ、作型、元肥成分量、及び本肥成分に関する情報に基づき、本作の各生育ステージで用いる肥料の量を、簡単な入力作業をするだけで、予めより正確に取得することができる。
【0014】
また、播種日の入力を受け付ける手段、並びに前記生育データと、前記作型に関する情報と、入力された前記播種日に関する情報とに基づき、各生育ステージの時期に関する情報を取得する手段を更に備えていてもよい。この場合、作業者が実際に作物を生育する際、各生育ステージの時期(例えば、各生育ステージの初日の年月日)を予め知ることができるため、利便性がよい。
【0015】
また、生育地域に関する情報の入力を受け付ける手段を更に備え、前記生育データは生育地域に関連付けられており、前記各生育ステージ間に要する期間として各生育地域に固有の値が与えられており、前記各生育ステージの時期に関する情報を取得する手段は、前記生育データ、前記作型に関する情報、並びに入力された前記播種日及び生育地域に関する情報に基づき、各生育ステージの時期に関する情報を生育地域に固有の情報として取得すべく成してあってもよい。この場合、上述した潅水量、目標収量、肥料の量、及び生育ステージの時期に関し、生育地域に適合した正確かつ現実的な情報を得ることができる。
【0016】
また、前記作物は花き類であって、前記生育データと、前記作型及び仕立数に関する情報と、前記所定生育面積当りの定植本数に関する情報とに基づき、各生育ステージごとに収穫された前記花き類の収穫数を生育にかかる全期間にわたって累積した目標収穫数を取得する手段を更に備えていてもよい。これにより、花き類を生育するにあたり、生育にかかる全期間にわたって累積した最終的な収穫数を、簡単な入力作業をするだけで、予め正確に取得することができる。なお、本願特許出願における花き類の「目標収穫数」とは、生育にかかる全期間にわたって累積した収穫可能な花又は蕾の総数を意味し、現実的には商品化(出荷)可能な花又は蕾の総数を意味する。
【0017】
また、前記作物は蔬菜類であって、収穫するときの前記蔬菜類の1つの重量の入力を受け付ける手段、並びに前記生育データと、前記作型及び仕立数に関する情報と、前記所定生育面積当たりの定植本数に関する情報と、入力された前記1つの重量に関する情報とに基づき、各生育ステージごとに収穫された前記蔬菜類の重量を生育にかかる全期間にわたって累積した目標収量を取得する手段を更に備えていてもよい。これにより、蔬菜類を生育するにあたり、生育にかかる全期間にわたって累積した最終的な目標収量を、簡単な入力作業をするだけで、予めより正確に取得することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、点滴施肥潅水栽培によって花き類又は蔬菜類を生育するために、その生育期間中の潅水量、施肥量、及び最終的な目標収量等に関し、従来に比してより正確な計画を作成し得る作物生育設計装置を提供することができる。また、コンピュータを上記装置として機能させるプログラム、及び作物生育設計方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。本実施の形態では、作物として、蔬菜類に含まれる果菜類(特に、トマト)を例にとって説明するが、他の蔬菜類又は花き類にも適用し得るものである。初めに、この果菜類を栽培し得る果菜類栽培設備1の構成について、図1を用いて説明する。この果菜類栽培設備1は、本発明に係る後述の作物生育設計装置20(図2参照)を用いて策定した生育計画に基づき、果菜類を生育することができるものである。
【0020】
[果菜類栽培設備]
果菜類栽培設備1は、点滴施肥潅水栽培用として公知の設備を用いることができ、例えば、図1に示すように、井戸又は貯水槽など原水が蓄えられた取水源2、該取水源2から原水を汲み上げて送出する電動ポンプ3、並びに、該電動ポンプ3によって送出された原水に肥料を混合すべく、混合器4A及び肥料タンク4Bから成る混合器ユニット4を備えている。
【0021】
上記取水源2と電動ポンプ3との間には取水管11aが敷設され、電動ポンプ3と混合器4Aとの間には、途中に異物除去用のフィルタ5を介して輸送管11bが敷設されている。更に、混合器4Aと肥料タンク4Bとの間には、肥料タンク4B側の端部にストレーナを具備する取肥管11cが設けられている。
【0022】
また、果菜類栽培設備1はパイプハウス6を備え、該パイプハウス6内には、果菜類の株が定植される培地7が2列設けられており、この培地7には複数の潅水チューブ(点滴チューブ)8,8,…が敷設されている。該潅水チューブ8は、その長手方向に沿って所定間隔ごとに小径のノズル(図示せず)が設けられている。この潅水チューブ8と上記混合器4Aとは、パイプハウス6内に備えられた2つの電磁弁9を途中に介し、配送管11dにより接続されている。本実施の形態では、図1に示すように上記パイプハウス6内に2組に分けられて合計6本の潅水チューブ8が並設されている。
【0023】
パイプハウス6外には、上述した取水源2、電動ポンプ3、混合器ユニット4の他、コントローラ10Aとポンプリレー10Bとから成る制御ユニット10が設置されている。このコントローラ10Aは、電動ポンプ3、電磁弁9、及びポンプリレー10Bとの間でそれぞれ電気的に結線されており、電磁弁9を制御し、また、ポンプリレー10Bを制御して電動ポンプ3を駆動する。
【0024】
この果菜類栽培設備1によれば、コントローラ10Aは、予め入力されたプログラムに従ってポンプリレー10Bを制御し、所定の時期に所定の時間だけ電動ポンプ3を駆動する。その結果、取水源2内の原水は、その所定量が取水管11aを通じて汲み上げられ、続いて輸送管11bを通じ、途中のフィルタ5により異物を除去されて混合器4A内へ溜められる。また、肥料タンク4Bから混合器4Aへは、肥料タンク4B内に設けられた図示しないポンプにより、取肥管11cを通じて所定量の肥料(液肥)が吸い上げられ、この混合器4A内で原水と肥料とが混合されて養水が生成される。他方、コントローラ10Aにより電磁弁9の開閉が制御され、電磁弁9が開放されると、混合器4A内の養水は、配送管11dを通じて各潅水チューブ8へ送られ、多数のノズルから培地7へ点滴状に供給される。
【0025】
このように、生育過程で必要な肥料を、適切な分量だけ原水に溶かして養水を生成し、この養水を各生育ステージごとに適切なタイミングで、所定量だけ点滴状に培地7へ供給することにより、均一な品質を有する果菜類作物を長期間にわたって収穫することができる。
【0026】
[作物生育設計装置]
図2は、本発明に係る点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。この作物生育設計装置20は、上述したような果菜類栽培設備1を用いて点滴施肥潅水栽培を行うにあたり、事前に生育計画を策定するためのものである。そして、この作物生育設計装置20によれば、作型及び生育地域に応じた各生育ステージに要する期間を、より正確に割り出すことが可能であり、加えて、原水と混合する肥料の分量、供給すべき養水の量などに関する適切な値を、各生育ステージごとに得ることができる。以下、この作物生育設計装置20の構成、及びその動作について説明する。
【0027】
図2のブロック図に示すように、作物生育設計装置20は、CPU21と、該CPU21に対してバス21aを介して接続されたROM22、RAM23、記憶部24、外部記憶読取部25、表示駆動回路26、入力I/F27、及び通信I/F28とを備えている。
【0028】
CPU21は、ROM22に記憶されたプログラムに従ってハードウェア各部を制御する一方で、入力I/F27を介してキーボード又はマウス等から成る入力部27Aにより入力された信号、あるいは、通信I/F28を介して電話回線により接続される他の通信機器から送信された信号に基づいて各部を制御する。
【0029】
ROM22は、PROM、EPROM、マスクROMなどから構成され、CPU21の動作に必要な各種のプログラムを記憶している。RAM23は、DRAMなどから構成され、CPU21にてプログラムが実行される際に生じる一時的なデータを記憶する。記憶部24は、読み書き可能な磁気ディスクなどから構成され、本発明に係る後述のプログラムなど様々のデータを記憶している。
【0030】
外部記憶読取部25は、例えばCD−ROMドライブ装置、DVD−ROMドライブ装置などであって、CD−ROM又はDVD−ROM等の記録媒体Mの挿入トレイを備える。そして、この挿入トレイに載せられて挿入された記録媒体Mから、プログラム及び各種のデータを読み取り、RAM23又は記憶部24に格納する。
【0031】
表示駆動回路26は、CPU21から与えられる信号を、LCDなどから成る表示部26Aにて表示可能なように変換し、変換結果を表示駆動回路26に接続された表示部26Aへ与える。表示部26Aは、表示駆動回路26での変換結果に基づいて画像を表示する。なお、表示部26Aが感圧シート等を備えたタッチパネル式LCDである場合は、これを入力部27Aとするよう構成してもよい。
【0032】
[表示画面]
図3は、表示部26Aの表示画面の一例を示す模式図であり、果菜類の生育設計に際して必要な入力項目と、入力後に得られる設計内容とが表示される画面(「トマト生育設計」画面)を示す。このトマト生育設計画面30には、トマトを生育するにあたっての基本的な生育条件を入力し、目標収量等のデータが表示される「基本条件入力欄」A、プルダウンメニューから生育地域を選択する「生育地域選択欄」B、潅水チューブ8の設置距離を入力する「潅水チューブ欄」C、設置する潅水チューブ8の基本仕様が予め表示された「潅水チューブ基本設定欄」D、及び、トマトの生育にあたって好適な気温・地質・時期等に関する条件が表示された「環境条件参照欄」Eが設けられている。
【0033】
また、前作にて使用した肥料に関するデータを入力するための「元肥施肥量一覧」F、トマトの生育に用いる様々の肥料に関するデータが表示された「肥料参照欄」G、上記各欄への入力等によって得られる生育スケジュールが表示される「施肥設計欄」Hが設けられている。以下、図4〜図11を用いて、上記各欄A〜Hについて詳述する。
【0034】
図4は、図3に示した基本条件入力欄A、生育地域選択欄B、潅水チューブ欄C、潅水チューブ基本設定欄D、環境条件参照欄Eの拡大図である。図示するように基本条件入力欄Aには、“都道府県”表示セルA1、“作型”入力セルA2、生育面積を示す“面積(a)”入力セルA3、生育本数を示す“本数(本)”入力セルA4、“播種日”入力セルA5、“定植日”表示セルA6、“段数”入力セルA7、“仕立数”入力セルA8、“1果の重量”入力セルA9、“1房の数”入力セルA10、及び、“目標収量(t)”表示セルA11が設けられている。
【0035】
上記都道府県表示セルA1は、生育地域選択欄Bと関連付けられており、該生育地域選択欄Bにて選択された都道府県(例えば、“兵庫”)が表示される。この生育地域選択欄Bには、各地方(例えば、“北海道”、“東北”、“関東”など)ごとに、図示しないプルダウンメニューが用意され、このメニュー内から各地方に含まれる都道府県を選択し得るようになっている。
【0036】
作型入力セルA2にはプルダウンメニューが用意され、このメニュー内の様々の作型から1つの作型(例えば、“促成栽培”)を選択できる。面積入力セルA3にはプルダウンメニューが用意され、このメニュー内から所定の生育面積(例えば、“12a(アール)”)を選択できる。本数入力セルA4にはプルダウンメニューが用意され、このメニュー内から所定の定植本数(例えば、“2000本”)を選択できる。上記面積入力セルA3及び本数入力セルA4への入力があると、単位面積当りの本数(本/10a)が算出され、本数入力セルA4の右隣に設けられた表示セルに表示される。
【0037】
播種日入力セルA5は、キーボード等の入力部27A(図3参照)を用いて自由な入力が可能であり、播種年月日(例えば、“H16.8.25”)を入力できる。なお、播種日を入力するに際しては、環境条件参照欄Eに予め表示されたトマトに適した播種期間(例えば、“8月下〜9月下”)を参考にすることができる。この環境条件参照欄Eには、播種期間の他、トマトの生育環境に関する昼夜の気温、地温、地質特性(pH)なども表示され、設計者あるいは生育者はこれを参照することができる。
【0038】
定植日表示セルA6は、上記作型入力セルA2に入力された作型と、播種日入力セルA5に入力された播種日と、作物生育設計装置20が備える記憶部24に記憶された生育データ(図5参照)とに基づいて得られた年月日(例えば、“H16.10.9”)が表示される。
【0039】
図5に生育データの内容を表形式で表した生育データ表K示す。トマトの生育期間中には、“播種”、“第1花房”、“第2花房”などの複数の生育ステージがある。そして上記生育データ表Kには、この各生育ステージに要する期間、即ち、定植後であれば各ステージでの花房の開花間隔日数に関するデータ(生育データ)が具備されている。
【0040】
より具体的には、図5に示す生育データ表Kには列項目K1として、“播種”、“第1花房”、“活着期間”、及び“第2花房”〜“第16花房”なる生育ステージが列挙されている。また、行項目K2としては、“促成栽培”項目K3、“抑制栽培”項目K4、“半促成栽培”項目K5、“抑制長期栽培”項目K6、“夏秋栽培”項目K7、及び各生育ステージに要する期間に関する“差”項目K8が列挙されている。そして、生育データは、列項目K1としての生育ステージと、行項目K2としての作型に関する各栽培項目K3〜K7及び差項目K8とに関連付けられた、播種日から各生育ステージまでの所要期間(播種日から各生育ステージの初日までの所要期間)及び各生育ステージに要する期間として与えられている。
【0041】
生育データの一例を挙げれば、促成栽培項目K3と列項目K1に挙げられた“第2花房”の項目とに関連付けられた、促成栽培において播種日から第2花房の開花日までに要する期間“57(日)”が与えられている。また、促成栽培に対応する差項目K8と、列項目K1に挙げられた“第2花房”の項目とに関連付けられた、促成栽培における第2花房の開花日から第3花房の開花日までに要する期間“16(日)”が与えられている。また、本実施の形態における生育データ表Kには、各作型に適した播種期間、定植期間、及び収穫時期等に関するデータも有している。
【0042】
これらの生育データとして、過去数年あるいは十数年にわたるトマトの生育実態から得られた定量的なデータを用いることにより、作物生育設計装置20を用いてより現実的な生育計画を策定することができる。また、環境条件によって区分けした各地域ごとに生育データを用意し、この生育データを用いて生育計画を策定してもよい。即ち、各作型において各生育ステージに要する期間は、生育地域の環境によって若干異なるため、地域ごと(例えば、都道府県ごと)に用意された生育データを用いることにより、更に現実的な生育計画を策定することができる。
【0043】
なお、図3の生育データ表Kでは、生育データを表形式により表現しているが、これに限られない。図3に示す生育データ表Kの内容と実質的に同じ内容を含むものであれば、例えば、グラフ形式あるいは他の形式を用いて表現してもよい。
【0044】
一方、図4に示す作型入力セルA2に作型が入力され、播種日入力セルA5に播種日が入力されると、作物生育設計装置20は、これら作型及び播種日をもとに図5の生育データ表Kに与えられた生育データを参照する。そして、第1花房の開花日、即ち、定植日を取得し、上述した定植日表示セルA6にて表示する。
【0045】
段数入力セルA7にはプルダウンメニューが用意され、このメニュー内から所定の段数(例えば、“10”)を選択できる。仕立数入力セルA8にはプルダウンメニューが用意され、このメニュー内から所定の仕立数(例えば、“1”)を選択できる。1果の重量入力セルA9と1房の数入力セルA10とには、それぞれ収穫時のトマトの1つ分の重量(例えば、“150g”)、及び1房に実らせるトマトの数(例えば、“4個”)を、プルダウンメニュー内から選択的に入力できるようになっている。
【0046】
ところで、上述した各入力セルのうち、作型入力セルA2、本数入力セルA4、段数入力セルA7、仕立数入力セルA8、1果の重量入力セルA9、及び1房の数入力セルA10の各セルへの入力を全て終えると、これらの入力データ及び生育データに基づいて、全生育ステージが終了した時点で得られるトマトの累積収穫量、即ち目標収量(例えば、“14.40(t)”)が算出される。そして、算出された目標収量は、目標収量表示セルA11に表示され、同時に単位面積当りの目標収量(t/10a)が目標収量表示セルA11の右隣に設けられた表示セルに表示される。
【0047】
一方、潅水チューブ欄Cには、“設置メートル数(m)”入力セルC1が設けられている。この設置メートル数入力セルC1にはプルダウンメニューが用意され、このメニュー内から、培地7に設置する潅水チューブ8として所定の寸法(例えば、“1800m”)を選択できる。潅水チューブ8の寸法が入力されると、単位生育面積当りの設置メートル(m)、トマト1株に対して潅水チューブ8に設けられた穴の数、及びトマト1株に対して供給される養水量(ml/分)がそれぞれ算出され、設置メートル数入力セルC1の近傍に設けられた表示セルに表示される。
【0048】
また、潅水チューブ基本設定欄Dには、本作物生育設計装置20を適用する果菜類栽培設備1での使用が前提となっている潅水チューブ8の基本仕様が表示されている。具体的には、1m当りの穴の数、10a当りの穴の数、1穴につき1分当りの供給量、及び10a当りの供給量が表示されている。
【0049】
なお、上述した各入力セルのうち、プルダウンメニューが用意されているものは、キーボード等の入力部27Aを用いて自由入力できるようにしてもよい。また、切換用のアイコンを、トマト生育設計画面30内に設け、このアイコンをクリックすることによってプルダウンメニューからの選択による入力と自由入力とを切替えることができるようにしてもよい。
【0050】
図6は、図3に示す元肥施肥量一覧Fの拡大図である。この元肥施肥量一覧Fは、行項目F1として、前作にて使用した肥料の商品名、この肥料の施用量、及び肥料に含まれる成分が列挙されている。設計者は、上記商品名に対応する入力項目F2に用意されたプルダウンメニュー内から何れかの商品名を選択することができ、施用量に対応する入力項目F3に用意されたプルダウンメニュー内から何れかの施用量を選択することができる。その結果、各商品名により特定される肥料の成分が表示され、各成分ごとに単位面積当りの施用量が算出されて表示される。また、この元肥施肥料一覧Fには、定植前に予め土壌分析して得られた残存成分を、設計者が自ら入力することも可能である。
【0051】
図7は、図3に示す肥料参照欄Gの拡大図である。この肥料参照欄Gは、行項目G1として、トマトの生育に用いる肥料の“商品名”項目G2、この肥料に含まれる成分に関する“肥料成分”項目G3、微量要素の有無に関する“微量要素”項目G4、生育にて用いる量に関して“重量”項目G5及び“袋数”項目G6を含む“使用量”項目G7、及び各肥料の価格に関する“価格”項目G8が列挙されている。
【0052】
このうち、肥料項目G2に対応する表示セルには予め所定の商品が列挙されており、肥料成分項目G3、微量要素項目G4及び価格項目G8対応する表示セルには、上記肥料項目G2に対応する表示セルに表示された商品ごとに、その肥料成分と微量要素の有無と価格とが予め表示されている。また、使用量項目G7に含まれる重量項目G5及び袋数項目G6に対応する表示セルは、後述する施肥設計欄Hへ所定のデータを入力することにより、本作にて用いる肥料量が、各商品ごとの重量及び袋数として表示され、更に、栽培終了に至るまでに必要とされる肥料の総重量及び価格が表示される。
【0053】
図8〜図10は、図3に示す施肥設計欄Hの拡大図であり、図8は、3分割された施肥設計欄Hのうち左側の欄HLを示し、図9は中央の欄HCを示し、図10は右側の欄HRを示をす。
【0054】
図8に示す施肥設計欄HLは、行項目HL1として、各生育ステージの時期に関する“年月”項目HL2、各生育ステージに関する“生育ステージ”項目HL3、生育期間中の経過日数に関する“経過日数”項目HL4、各生育ステージに要する期間に関する“期間中の日数”項目HL5、及び各生育ステージにおいて養水を供給すべき1日当りの量に関する“1日の潅水量”項目HL6を有する。これらの各項目HL2〜HL6には、上述した基本条件入力欄Aへ所定のデータを入力することにより、本作において各項目に関するデータが表示されるようになっている。
【0055】
より詳述すると、基本条件入力欄A中の作型入力セルA2へ所定の作型(“促成栽培”)を入力すると、図5に示した生育データ表Kに与えられた生育データが参照され、“播種”から“活着期間”に至る各生育ステージが、施肥設計欄HLの生育ステージ項目HL3に対応して下方に設けられた複数の表示セルに表示される。また、表示された各生育ステージに要する期間(“0”,“44”,…)が、期間中の日数項目HL5に対応して下方に設けられた表示セルに表示され、播種日から各生育ステージまでの所要期間(“44”,“1”,…)が、経過日数項目HL4に対応して下方に設けられた表示セルに表示される。更に、“定植前”の生育ステージに対し、1日の潅水量項目HL6に対応して下方に設けられた表示セルに、1株当りの潅水量(“2.0(L)”)が表示される。
【0056】
また、基本条件入力欄A中の播種日入力セルA5へ年月日に関するデータ(“H16.8.25”)を入力すると、上述したように施肥設計欄HL中に表示された各生育ステージの時期(“H16.8.25”,“H16.10.8”,…)が、年月項目HL2に対応して下方に設けられた表示セルに表示される。続いて、基本条件入力欄A中の面積入力セルA3及び本数入力セルA4へそれぞれ生育面積(“12(a)”),定植本数(“2000(本)”)を入力すると、定植前の1日の潅水量が、所定面積当りの量(“3333(L/10a)”)として表示される。
【0057】
また、基本条件入力欄A中の段数項目A7に所定の段数(“10”)を入力すると、栽培終了までの全ての生育ステージが決定され、これが施肥設計欄HL中の生育ステージ項目HL3に対応する表示セルに表示される。そして同時に、各生育ステージの期日が年月項目HL2に対応する表示セルに、各生育ステージに要する期間が期間中の日数項目HL5に対応する表示セルに、播種日から各生育ステージまでの所要期間が経過日数項目HL4に対応する表示セルに、それぞれ表示される。
【0058】
更に、基本条件入力欄A中の仕立数項目A8に所定の仕立数(“1”)を入力すると、上記各生育ステージでの1日の潅水量が、1日の潅水量項目HL6に対応する表示セルに、1株当りの供給量と単位面積当りの供給量とに分けて表示される。
【0059】
図9に示す施肥設計欄HCは、行項目HC1として、本作にて使用する肥料の名称に関する“肥料名”項目HC2、培地7(図1参照)へ供給する窒素の量(kg/10a)に関する“窒素量入力”項目HC3、1日当りの供給窒素量に関する“窒素量”項目HC4、及び“窒素濃度”項目(図9では“N”で示す)HC5を有し、他にも、“希釈倍率”項目HC6、“原液倍率”項目HC7、希釈器の目盛りに関する“設定値”項目HC8、及び“参考値”項目HC9を有している。
【0060】
また、図10に示す施肥設計欄HRは、行項目HR1として、図1に示す果菜類生育設備1が備えるコントローラ10Aの動作設定に関する“コントローラ設定”項目HR2、使用する肥料の量に関する“使用肥料量”項目HR3、及び生育期間中に供給する肥料の単位面積当りの重量に関する“期間中の施肥量”項目HR4を有する。
【0061】
図9及び図10に示した項目のうち、肥料名項目HC2及び窒素量入力項目HC3のそれぞれに対応し、且つ、図8に示す生育ステージ項目HL3の下方に列挙された各生育ステージに対応する入力セルには、プルダウンメニューが容易され、このメニュー内から本作で使用する肥料と供給する窒素量とを選択できる。そして、肥料及び窒素量を各入力セルに入力した場合、残りの項目HC4〜HC9,HR2〜HR4の夫々に対応して下方に設けられた表示セルには対応するデータが表示される。また、図10に示すように、期間中の施肥量項目HR4の列の最下段には、生育期間を通して使用される肥料の成分量(kg/面積)が、各成分毎に表示される。
【0062】
なお、本実施の形態に係るトマト生育設計画面30は、上述した各欄A〜Hが図3に示すように配置されて成るが、これに限定されるものではない。即ち、各欄A〜Hに含まれる上述したような内容と実質的に同じ内容を含むものであれば、異なる配置をもって異なる表現手法により表示するように構成してあってもよい。
【0063】
[フローチャート]
次に、作物生育設計装置20を用いてトマトの生育計画を策定する手順、即ち、トマトを生育するにあたって有益なデータを、上記作物生育設計装置20を用いて表示部26Aに出力する手順について説明する。以下に説明する作物生育設計装置20の処理動作は、入力部27A又は電話回線を通じて入力された指示を受け、ROM22、記憶部24又は記録媒体Mにて記憶された本発明に係るプログラム及びその他のデータに基づいてCPU21が動作することによって実現される。
【0064】
トマトの生育において有益であり重要視されるデータとしては、少なくとも、各生育ステージの時期、目標収量、潅水量、及び肥料の量に関するものがある。図11は、これらのデータのうち、生育ステージの時期を取得する際の作物生育設計装置20が備えるCPU21の動作を示すフローチャートである。
【0065】
図11に示す生育ステージ時期取得処理では、CPU21は表示部26Aにトマト生育設計画面30を表示し(S_A1)、作型入力セルA2への入力待ち状態となる(S_A2)。設計者が作型入力セルA2のプルダウンメニューから何れかの作型を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_A2: YES)、選択された作型を作型入力セルA2に表示する(S_A3)。
【0066】
なお、ステップA2での入力の有無を判断する処理では、作物生育設計装置20が有する図示しないタイマの計時信号を参照し、所定時間入力(選択)がない場合は「入力なし」と判断し(S_A2: NO)、このタイマをリセットしてステップA2の処理を繰り返す。また、以下に説明するような入力の有無を判断する処理においても同様である。
【0067】
次に、面積入力セルA3への入力待ち状態となり(S_A4)、設計者が面積入力セルA3のプルダウンメニューから何れかの生育面積を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_A4: YES)、選択された面積を面積入力セルA3に表示する(S_A5)。そして、本数入力セルA4への入力待ち状態となり(S_A6)、設計者が本数入力セルA4のプルダウンメニューから何れかの定植本数を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_A6: YES)、選択された本数を本数入力セルA4に表示する(S_A7)。
【0068】
続いて、段数入力セルA7への入力待ち状態となり(S_A8)、設計者が段数入力セルA7のプルダウンメニューから何れかの段数を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_A8: YES)、選択された段数を段数入力セルA7に表示(S_A9)すると共に生育期間中の全ての生育ステージを決定する(S_A10)。そして、播種日入力セルA5への入力待ち状態となり(S_A11)、設計者がキーボード等の入力部27Aを用いて播種日入力セルA5へ播種の年月日を入力することにより「入力あり」と判断した場合には(S_A11: YES)、入力された播種日を播種日入力セルA5に表示する(S_A12)。
【0069】
その後、CPU21は記憶部24に記憶された生育データ表Kを参照し(S_A13)、上記作型及び播種日に関連付けて与えられた生育データを取得する(S_A14)。そして、取得した生育データに係る日数を、ステップA11にて入力されたと判断した播種日へ加算することにより、ステップA10にて決定した全ての生育ステージの時期、及び各生育ステージに要する期間(日数)を取得する(S_A15)。そして、取得した時期及び日数を施肥設計欄H(HL)に表示し(S_A16)、生育ステージ時期取得処理を終了する。これにより、従来は作業者の経験及び勘に頼らざるを得なかった各生育ステージの時期に関する情報を、生育に前もって比較的正確に取得することができる。
【0070】
なお、上述した各ステップの処理は図11に示す順序で実行する必要はなく、特にステップA2〜A12の処理は、その順序が変更されてもかまわない。また、生育データ表Kを参照するステップA14に至るまでの各データが全て入力され、更にトマト生育設計画面30内に設けた図示しない指示アイコンをクリックした後に、ステップA14以降の処理を実行するようにしてもよい。結局、各データの入力からステップA16に至るまでのCPU21の動作に特に制限はなく、入力された各データと生育データとに基づき、各生育ステージ時期及び各生育ステージに要する期間の取得(S_A16)が達成されればよい。
【0071】
図12は、1日の潅水量(L/10a)を取得する際のCPU21の動作を示すフローチャートである。図12に示す潅水量取得処理では、上述した生育ステージ時期取得処理におけるステップA1〜A9の処理と同様の処理をステップB1〜B9において実行する(S_B1〜S_B9)。次に、ステップB9にて段数が段数入力セルA7に表示されると、仕立数入力セルA8への入力待ち状態となる(S_B10)。設計者が仕立数入力セルA8のプルダウンメニューから何れかの仕立数を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_B10: YES)、選択された仕立数を仕立数入力セルA8に表示する(S_B11)。そして、入力された各種データと生育データとに基づき、10a当りの潅水量(L)を算出し(S_B12)、この潅水量を施肥設計欄H(HL)に表示(S_B13)して潅水量取得処理を終了する。これにより、各生育ステージでの潅水量に関する情報を、経験及び勘に頼らずとも、生育に前もって比較的正確に取得することができる。
【0072】
図13は、目標収量を取得する際のCPU21の動作を示すフローチャートである。図13に示す目標収量取得処理では、上述した潅水量取得処理におけるステップB1〜B11の処理と同様の処理をステップC1〜C11において実行する(S_C1〜S_C11)。次に、ステップC11にて仕立数が仕立数入力セルA8に表示されると、1果の重量入力セルA9への入力待ち状態となる(S_C12)。設計者が1果の重量入力セルA9のプルダウンメニューから何れかの重量を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_C12: YES)、選択された重量を1果の重量入力セルA9に表示し(S_C13)、1房の数入力セルA10への入力待ち状態となる(S_C14)。
【0073】
次に、設計者が1房の数入力セルA10のプルダウンメニューから何れかの数を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_C14: YES)、選択された数を1房の数入力セルA10に表示する(S_C15)。そして、入力された各種データと生育データとに基づいて目標収量(t)を算出し(S_C16)、この目標収量を基本条件入力欄Aに表示(S_C17)して目標収量取得処理を終了する。これにより、生育期間終了後の目標終了に関する情報を、経験及び勘に頼らずとも、生育に前もって比較的正確に取得することができる。
【0074】
図14は、生育期間中の施肥量を取得する際のCPU21の動作を示すフローチャートである。図14に示す施肥量取得処理では、上述した目標収量取得処理におけるステップC1〜C11の処理と同様の処理をステップD1〜D11において実行する(S_D1〜S_D11)。次に、元肥施肥量一覧Fの行項目F1に設けられた商品名に対応する入力項目F2への入力待ち状態となる(S_D12)。設計者がこの入力項目F2のプルダウンメニューから、前作にて用いた肥料に係る商品名を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_D12: YES)、選択された商品名をこの入力項目F2に表示し(S_D13)、この商品名の肥料を使用する施用量に対応する入力項目F3への入力待ち状態となる(S_D14)。設計者がこの入力項目F3のプルダウンメニューから何れかの施用量を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_D14: YES)、選択された施用量をこの入力項目F3に表示する(S_D15)。
【0075】
次に、施肥設計欄H(HC)の肥料名項目HC2に対応して設けられた入力セルへの入力待ち状態となる(S_D16)。設計者がこの入力セルのプルダウンメニューから、本作にて用いる何れかの肥料名を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_D16: YES)、選択された肥料名をこの入力項目に表示し(S_D17)、窒素量入力項目に対応して設けられた入力セルへの入力待ち状態となる(S_D18)。設計者がこの入力セルのプルダウンメニューから、本作にて用いる窒素量を選択することにより「入力あり」と判断した場合には(S_D18: YES)、選択された窒素量をこの入力セルに表示する(S_D19)。そして、入力された各種データに基づき、生育期間中の施肥量を算出し(S_D20)、これを施肥設計欄H(HR)に表示(S_D21)して施肥量取得処理を終了する。これにより、各生育ステージでの施肥量に関する情報を、経験及び勘に頼らずとも、生育に前もって比較的正確に取得することができる。
【0076】
ところで、生育データは、上述したように生育地域の環境によって若干異なる。この生育地域による差異は、主に各生育地域での気温、湿度、日照時間等の違いに起因するものである。そして、この気温、湿度、日照時間等の環境条件は、同一地域の同一季節であっても、その年その年によって異なる。そこで、定期的に現在の気象と近い将来の気象予報とを取得し、これらの気象データを用いて生育データを更新するようにしてもよい。
【0077】
より具体的には、作物生育設計装置20は、通信I/F28を介して所定のデータベースから気象予報データを日々ダウンロードする。記憶部24には予めその生育地域の日々の平均気温に関するデータを記憶しておき、ダウンロードした気象予報データ中の予想気温と予め記憶された平均気温との差分値を算出する。更に、この差分値に関し、各生育ステージに要する期間での平均値を算出し、この平均値に応じて各生育ステージに要する期間を増減させる。なお、この場合、生育地域の日々の平均気温に関するデータも気象予報データと共にダウンロードしてもよい。
【0078】
これにより、各生育地域の環境条件により適した生育データを取得することができる。従って、この更新された生育データを用い、各生育ステージの時期、生育期間中の潅水量、及び施肥量等を、生育期間中において逐次修正し、より現状に沿ったデータとして取得することができる。
【0079】
上述したような作物生育設計装置20によれば、点滴施肥潅水栽培によって果菜類を生育するために、その生育期間中の潅水量、施肥量、及び最終的な目標収量等に関し、従来に比してより正確な計画を策定することができる
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る作物生育設計装置、プログラム、及び作物生育設計方法は、いわゆる点滴施肥潅水栽培を用いた作物の生育設計の策定に用いることができる。また、作物としては花き類及び蔬菜類を含み、例えば蔬菜類として分類される果菜類のトマト、茄子、キュウリなど、さまざまの作物に関しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態に係る作物生育設計装置を用いて策定した生育計画に基づいて果菜類を生育し得る、点滴施肥潅水栽培用の果菜類栽培設備を示す模式図である。
【図2】本発明に係る点滴施肥潅水栽培用の作物生育設計装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す作物生育設計装置が備える表示部の表示画面の一例を示す模式図であり、トマト生育設計画面を示している。
【図4】図3に示した基本条件入力欄、生育地域選択欄、潅水チューブ欄、潅水チューブ基本設定欄、及び環境条件参照欄の拡大図である。
【図5】生育データの内容を表形式で表した生育データ表を示す図表である。
【図6】図3に示す元肥施肥量一覧の拡大図である。
【図7】図3に示す肥料参照欄の拡大図である。
【図8】図3に示す施肥設計欄の拡大図であり、該施肥設計欄のうち左側の欄を示している。
【図9】図3に示す施肥設計欄の拡大図であり、該施肥設計欄のうち中央の欄を示している。
【図10】図3に示す施肥設計欄の拡大図であり、該施肥設計欄のうち右側の欄を示している。
【図11】生育ステージの時期を取得する際の作物生育設計装置が備えるCPUの動作を示すフローチャートである。
【図12】1日の潅水量を取得する際のCPUの動作を示すフローチャートである。
【図13】目標終了を取得する際のCPUの動作を示すフローチャートである。
【図14】生育期間中の施肥量を取得する際のCPUの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 果菜類栽培設備
2 取水源
3 電動ポンプ
4 混合器ユニット
4A 混合器
4B 肥料タンク
5 フィルタ
6 パイプハウス
7 培地
8 潅水チューブ
9 電磁弁
10 制御ユニット
10A コントローラ
11a 取水管
11b 輸送管
11c 取肥管
11d 配送管
20 作物生育設計装置
21 CPU
21a バス
22 ROM
23 RAM
24 記憶部
25 外部記憶読取部
26 表示駆動回路
26A 表示部
27 入力I/F
27A 入力部
28 通信I/F
30 トマト生育設計画面
A 基本条件入力欄
B 生育地域選択欄
C 潅水チューブ欄
D 潅水チューブ基本設定欄
E 環境条件参照欄
F 元肥施肥量一覧
G 肥料参照欄
K 生育データ表
【出願人】 【識別番号】390011567
【氏名又は名称】株式会社ハイポネックスジャパン
【出願日】 平成16年3月30日(2004.3.30)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏

【識別番号】100106242
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 安航

【公開番号】 特開2005−278535(P2005−278535A)
【公開日】 平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願番号】 特願2004−98567(P2004−98567)