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【発明の名称】 人工軽量土壌及びその製造方法
【発明者】 【氏名】森 雅人

【氏名】高橋 弘

【要約】 【課題】浄水汚泥を改質してビル等の屋上の緑化基盤材としてリサイクルする。

【解決手段】浄水汚泥に故紙破砕物を投入して撹拌し、水溶性高分子物質を添加して撹拌し、2価及び/又は3価の金属塩を適宜添加して混合し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕してふるい分ける。搬入時重量が軽く、保水力・保肥力が高く、透水性が高く、ビル等の屋上の緑化基盤材として優れた性質を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水汚泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質と必要に応じて選択される金属塩とを添加して混合し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕してふるい分けすることを特徴とする人工軽量土壌の製造方法。
【請求項2】
浄水汚泥に故紙破砕物を添加して混合し、
次にこれに水溶性高分子物質を添加して混合し、
次にこれに必要に応じて2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、
次にこれを乾燥させて団粒固化させ、
次にこれを解砕してふるい分けすることを特徴とする人工軽量土壌の製造方法。
【請求項3】
前記浄水汚泥の含水比が500%以上1500%以下であることを特徴とする請求項2記載の人工軽量土壌の製造方法。
【請求項4】
前記浄水汚泥の含水比(%)と、全体量1m3 に対する前記故紙破砕物の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記水溶性高分子物質の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記金属塩の添加量(kg)の組み合わせが、
含水比500(%)〜1000%に対して、故紙破砕物が120(kg)〜150(kg)、水溶性高分子物質が1.0(kg)〜2.0(kg)、前記金属塩が5.0(kg)〜10.0(kg)であり、
含水比1000(%)〜1500%に対して、故紙破砕物が150(kg)〜200(kg)、水溶性高分子物質が2.0(kg)〜4.0(kg)、前記金属塩が10.0(kg)〜15.0(kg)であることを特徴とする請求項3記載の人工軽量土壌の製造方法。
【請求項5】
前記故紙破砕物の大きさが20mm以下であることを特徴とする請求項2又は3又は4記載の人工軽量土壌の製造方法。
【請求項6】
浄水汚泥に故紙破砕物と水溶性高分子物質と必要に応じて選択される2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、これを乾燥して団粒固化させた後に解砕してふるい分けすることにより、前記浄水汚泥の固形成分と前記故紙破砕物と必要に応じて選択された前記金属とを含み、所定の粒度分布に揃えられて前記水溶性高分子物質に被覆された粒子の解砕された面が露出していることを特徴とする人工軽量土壌。
【請求項7】
pF1.5での湿潤時重量が0.5〜0.8(t/m3 )の範囲内であり、pF1.5〜3.8での有効水分量が200〜400(l/m3 )の範囲内であり、透水係数が10-1(cm/sec)オーダーの範囲内であることを特徴とする請求項6記載の人工軽量土壌。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、従来は多大な費用をかけて産業廃棄物として処理しなければならなかった浄水汚泥を改質処理し、屋上緑化用の薄層の土壌基盤材として有用な人工軽量土壌にリサイクルすることができる人工軽量土壌の製造方法と、この製造方法によって得られる保水性・透水性・保肥性・pHが安定した屋上緑化に最適な植栽用の人工軽量土壌に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土とは、主として岩石の風化作用によってできた比較的粒径の小さい粒の集合体であり、土質工学でいう「土」は、地盤を構成するあらゆる材料を含んでいるため、岩塊から粘度に至るまで、その粒子の大きさも広範囲であり、また、構成する材料も純粋な鉱物から産業廃棄物までいろいろな種類のものを含んでおり、例えば、建設汚泥、浚渫底泥、浄水汚泥等もこれに含まれる。したがって、その挙動はきわめて複雑で変化に富んでいる。
【0003】
上述した土の中でも、建設汚泥、浚渫底泥、浄水汚泥は含水比が高く、そのままでは盛土などに直接流用できず、産業廃棄物である「汚泥」として中間処理施設で脱水処理を行ない、あるいは直接最終処分場に持ち込まれている。しかし、脱水作業は水処理施設も含めて多大な設備と費用を要し、また作業には広い面積の土地が必要である。特に、浄水汚泥は、建設汚泥や浚渫底泥に比べて高い含水比状態を呈すため、上述した脱水作業に要する時間もより長くなり、さらに多大な費用が必要になってしまう。
【0004】
さらに、高含水比状態にある浄水汚泥等をこのように多大な費用をかけて産業廃棄物として改質処理し、含水比を低下させて粒子状にしたとしても、それだけで直ちに再利用が現実に可能となるものではなく、改良土として実際に再利用する場合には、社会的に需要のある用途に具体的に適合した最適な条件で改質処理を行い、再利用の用途に適合した最適な改良土の性質を実現しなければ有効なリサイクルが実現できないことは言うまでもない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本願発明者等は、高含水比状態にある産業廃棄物としての汚泥のなかで、特に高い含水比を呈する浄水汚泥を改質処理して流動性を消失させることにより改良土として再利用する技術的可能性を開くに止まらず、再利用の用途を特に近年需要の高い屋上用緑化基盤材に定め、改質処理した後に得られる改良土が特に屋上用緑化基盤材に適した軽量かつ安定した保水性及び透水性、保肥性、pHが安定した性質を備えた人工軽量土壌となるような特殊な製造方法を案出することを課題とした。
【0006】
すなわち、本発明は、浄水汚泥のような高含水比の土を改質処理して屋上用の緑化基盤材として最適な軽量性・保水性・透水性・保肥性・pHを備えた人工軽量土壌を製造する製造方法と、かかる製造方法によって製造した上記特定の機能を備えた人工軽量土壌を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された人工軽量土壌の製造方法は、浄水汚泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質と必要に応じて選択される金属塩とを添加して混合し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕してふるい分けすることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された人工軽量土壌の製造方法は、浄水汚泥に故紙破砕物を添加して混合し、次にこれに水溶性高分子物質を添加して混合し、次にこれに必要に応じて2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕してふるい分けすることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された人工軽量土壌の製造方法は、請求項2記載の人工軽量土壌の製造方法において、前記浄水汚泥の含水比が500%以上1500%以下であることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載された人工軽量土壌の製造方法は、請求項3記載の人工軽量土壌の製造方法において、前記浄水汚泥の含水比(%)と、全体量1m3 に対する前記故紙破砕物の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記水溶性高分子物質の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記金属塩の添加量(kg)の組み合わせが、
含水比500(%)〜1000%に対して、故紙破砕物が120(kg)〜150(kg)、水溶性高分子物質が1.0(kg)〜2.0(kg)、前記金属塩が5.0(kg)〜10.0(kg)であり、
含水比1000(%)〜1500%に対して、故紙破砕物が150(kg)〜200(kg)、水溶性高分子物質が2.0(kg)〜4.0(kg)、前記金属塩が10.0(kg)〜15.0(kg)であることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載された人工軽量土壌の製造方法は、請求項2又は3又は4記載の人工軽量土壌の製造方法において、前記故紙破砕物の大きさが20mm以下であることを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載された人工軽量土壌は、浄水汚泥に故紙破砕物と水溶性高分子物質と必要に応じて選択される2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、これを乾燥して団粒固化させた後に解砕してふるい分けすることにより、前記浄水汚泥の固形成分と前記故紙破砕物と必要に応じて選択された前記金属とを含み、所定の粒度分布に揃えられて前記水溶性高分子物質に被覆された粒子の解砕された面が露出していることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載された人工軽量土壌は、請求項6記載の人工軽量土壌において、pF1.5での湿潤時重量が0.5〜0.8(t/m3 )の範囲内であり、pF1.5〜3.8での有効水分量が200〜400(l/m3 )の範囲内であり、透水係数が10-1(cm/sec)オーダーの範囲内であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された人工軽量土壌の製造方法によれば、前記浄水汚泥の固形成分が前記故紙破砕物等を含んで団粒化した粒状の人工軽量土壌が得られるが、各粒子は前記水溶性高分子物質に被覆されており、製造時に行った解砕工程によって該粒子の解砕された面が露出して水分を吸い易くかつ吸った水分を内部に保持し易い構造になっていると同時に、解砕された粒子はふるい分けされているので排水性もよく、pF1.5での湿潤時重量が500〜800(kg/m3 )の範囲内と軽量であるとともに、保水性についてはpF1.5〜3.8での有効水分量が200〜400(l/m3 )の範囲内であり、透水性については透水係数が10-1(cm/sec)の範囲内である等、屋上用の緑化基盤材に最適な性質を有している。
【0015】
請求項2に記載された人工軽量土壌の製造方法によれば、各添加物の添加順序と、乾燥工程と、解砕及びふるい分け工程とを所定の順序に定めて行うので、上記効果が確実に得られる。
【0016】
請求項3に記載された人工軽量土壌の製造方法によれば、請求項2記載の人工軽量土壌の製造方法の効果を、含水比が500%以上1500%以下の前記浄水汚泥について得ることができる。
【0017】
請求項4に記載された人工軽量土壌の製造方法によれば、請求項3記載の人工軽量土壌の製造方法において、前記浄水汚泥の含水比(%)と、全体量1m3 に対する前記故紙破砕物の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記水溶性高分子物質の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記金属塩の添加量(kg)の組み合わせを最適に定めたので、請求項3記載の人工軽量土壌の製造方法の効果を確実に得ることができる。
【0018】
請求項5に記載された人工軽量土壌の製造方法によれば、請求項2又は3又は4記載の人工軽量土壌の製造方法による効果を、さらに確実に実現することができる効果がある。
【0019】
請求項6乃至7に記載された人工軽量土壌は、前記浄水汚泥の固形成分が前記故紙破砕物等を含んで団粒化した粒状の人工軽量土壌であり、各粒子は前記水溶性高分子物質に被覆されており、製造時に行った解砕工程によって当該粒子の解砕された面が露出して水分を吸い易くかつ吸った水分を内部に保持し易い構造になっていると同時に、解砕された粒子はふるい分けされているので排水性もよく、pF1.5での湿潤時重量が500〜800(kg/m3 )の範囲内にあり軽量であるとともに、保水性についてはpF1.5〜3.8での有効水分量が200〜400(l/m3 )の範囲内であり、透水性については透水係数が10-1(cm/sec)オーダーの範囲内である等、屋上用の緑化基盤材に最適な性質を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る人工軽量土壌の製造方法を説明する。本例では、以下に示すような具体的な条件で製造を行った結果、後に示すように建造物の屋上を緑化するための基盤材として顕著に優れた効果を有する人工軽量土壌を得ることができた。
【0021】
本例の製造方法により得られた人工軽量土壌は屋上用緑化基盤材に適しているが、ここではまず屋上用緑化基盤材に適した軽量な改良土の社会的需要について説明する。
近年、地球温暖化問題を始めとする地球規模での環境問題が緊急の課題としてクローズアップされている。また、都市においては住居、オフィス等の生活空間の増大が求められるとともに、その環境を人間やその他の生物にとってより良好なものとするための努力が続けられている。
【0022】
このような流れの中で、都市における緑化についても、CO2 排出抑制を視野に入れた省資源・省エネルギーの実現や動植物の生息空間としての機能など、様々な効用を視野に入れて計画し、実現することが求められるようになってきている。
【0023】
特に、建築物の屋上などの人工地盤や壁面などを緑化することにより、様々な環境に対する効果が得られることが注目され、官・民を含めた多くの機関によってこれらの分野の技術開発が進められているところであり、建築物屋上などのように積載荷重の条件が厳しい人工地盤上に「環境共生を目的とした薄層の土壌基盤で、軽量かつ低管理の緑化」を実現することが求められるようになってきている。
【0024】
そこで、本願発明者等は、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる基本的な性能について種々検討した結果、次のような項目が重要であるとの知見を得るに至った。
1)薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる基本的な性能
・保水性、透水性が安定していること。
・軽量なこと。
・劣化しにくいこと。
・なるべく再利用が可能なこと。
【0025】
そして、本願発明者等は、薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる基本的な性能を満足する条件、すなわち薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる性能の目安として、実験等に基づいて概ね次のような数値を得るに至った。
2)薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌の性能の目安
・有効水分量の目安は、pF1.5〜pF3.8の範囲において200l/m3 を超えるものを大とし、100〜200l/m3 を標準とする。
・透水係数の目安は10-3cm/sec(=10-5m/sec)以上を標準とする。
・人工地盤用土壌のpH(H2 O)は、5.0〜7.5を標準とする。
【0026】
そこで、本願発明者等は、上述した薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる性能を、高い含水比を有する浄水汚泥の改質・改良によって得るべくさらに実験を重ね、次のような実験結果を得るに至った。
以下に、本願の実施の形態として、浄水汚泥を原料とした人工軽量土壌の製造方法の例を説明する。
【0027】
1.本発明の人工軽量土壌の製造工程について
まず浄水汚泥を貯泥槽に投入する。貯泥槽内に繊維質物質として故紙破砕物を投入して撹拌・混合する。故紙破砕物は汚泥中の自由水を吸水する。貯泥槽内に水溶性高分子物質を添加して撹拌する。次に、必要に応じて2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合する。水溶性高分子物質が泥土の粒子表面の吸着水と反応するとともに架橋作用により粒子が結合する。この際、前記金属塩は、微細な土粒子の荷電中和−フロック化(団粒化促進)の作用を及ぼす。前記金属塩を添加する方が好ましいのは、浄水汚泥のpHが7以上の場合である。次にこれを乾燥させて団粒固化させ、さらにこれに機械的せん断応力を加えて解砕する。土の各粒子は解砕された破断面が露出して水分を吸い易くかつ吸った水分を内部に保持し易い構造になる。解砕された土をふるい分けして粒度を6〜12mmの範囲に揃える。ふるい分けの手段としては振動ふるいを用いることができる。
【0028】
本例において使用する浄水汚泥は、含水比が500%以上1500%以下のものを対象とする。
【0029】
また、故紙破砕物としては、前述した新聞紙の故紙等の他、天然又は合成の各種の故紙が使用できる。これら故紙破砕物については、その形状は細片状、小片状、糸状、布状等の各種の形状であってよく、例えば20mm以下の大きさであると好適な結果が得られる。
【0030】
本発明に用いる水溶性高分子物質とは天然高分子、半合成高分子、合成高分子物質であるが、前述した例において使用した水溶性高分子物質としては、例えば、主成分をポリアクリル系ポリマーとする合成水溶性ポリマー粉末(pH7〜8、水分10±2%、嵩比重0.6〜0.7、真比重1.4〜1.5)などが使用できる。
【0031】
前述した例において使用した2価及び/又は3価の金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などが使用できる。
【0032】
前記浄水汚泥の含水比(%)と、全体量1m3 に対する前記故紙破砕物の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記水溶性高分子物質の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記金属塩の添加量(kg)の組み合わせは、図1に示す表図に示すようなものであることが好ましい。
【0033】
すなわち、浄水汚泥の含水比が500(%)〜1000%である場合には、故紙破砕物が120(kg)〜150(kg)、水溶性高分子物質が1.0(kg)〜2.0(kg)、前記金属塩が5.0(kg)〜10.0(kg)であるのが好ましい。
【0034】
また、浄水汚泥の含水比が1000(%)〜1500%である場合には、故紙破砕物が150(kg)〜200(kg)、水溶性高分子物質が2.0(kg)〜4.0(kg)、前記金属塩が10.0(kg)〜15.0(kg)であるのが好ましい。
【0035】
前記工程では、浄水汚泥に故紙破砕物を加えて混合した後にさらに水溶性高分子物質を添加して混合し、次にこれに必要に応じて2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、そしてこれを乾燥させて団粒固化しているので、適度な圧縮強度と大きな破壊ひずみを有する団粒固化した改良土が得られるが、機械的剪断応力により解砕された断面において、各成分を含んで水溶性高分子物質で被覆された土の粒子の断面が露出するので、水分等を吸収し易くかつ内部に保持し易くなり、優れた保水性が得られた。また、解砕された粒子はふるい分けされて所定の粒度に揃えられているので排水性にも優れている。
【0036】
2.本発明の人工軽量土壌の性質について
本例の製造方法により得られた人工軽量土壌は屋上用緑化基盤材に適しており、薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる基本的な性能を有しているが、図2に示す表図によりその性能を比較例の性能とともにさらに具体的に説明する。
【0037】
(1)搬入時重量(t/m3
建築物屋上等の人工地盤緑化では、搬入に困難な場合が多く、その際の重量が問題となる。
比較例1〜5の土壌が100〜800kg/m3 の範囲であるのに対し、本例の人工軽量土壌は160kg/m3 と非常に軽量であり、建築物屋上等の人工地盤緑化に適している。
【0038】
(2)湿潤時重量(pF1.5での重量(kg/m3 ))
土壌は湿潤時には重量が重くなることから、荷重条件の厳しい建築物屋上等の人工地盤に利用する際には、計画・設計時に考慮すべき項目として重要である。
比較例1〜5の土壌が570〜820kg/m3 の範囲であるのに対し、本例の人工軽量土壌は680kg/m3 と非常に軽量であり、荷重条件の厳しい建築物屋上等の人工地盤緑化にも適している。
【0039】
(3)pH(H2 O)
pHは土壌中の水素イオン(H+ )の濃度を示す指標であり、土壌の酸性、アルカリ性の度合いを示すものである。ここでは、一般的な純水抽出であるpH(H2 O)を表示した。pHの高低により、直接的な生育阻害だけではなく、各栄養分の吸収力の変化による欠乏症、過剰症、さらに酸性側では植物に有害なアルミニウムイオンの溶出が起こる。弱酸性、弱アルカリ性の土壌では、施肥等の管理面で対処することができ、pHはその目安となる。
【0040】
比較例の土壌では、例えば比較例4又は5のように6.0〜7.4とばらつきが見られるものもあるが、本例の人工軽量土壌は6.2〜6.7であり、ほぼ中性でありかつ数値が安定しているので、施肥管理に適しており、建築物屋上等の人工地盤緑化に適している。
【0041】
(4)陽イオン交換容量(CEC(me/100g))
陽イオン交換容量は土壌の塩基類の保持能力(保肥力)を示すものであり、表示方法はme/100gあるいはcmol(+)/kgとし、1リットル又は100ml当たりに体積換算した数値を併記する。保肥力とは土の養分保持力を言い、保水力と同じく粘土の多い土や腐植の多い土は保肥力が大きい。しかし、これらの量よりも粘土や腐植の質によって支配される傾向がある。陽イオン交換容量(CEC)の値が大きいほど塩基類(肥料分)の保持能力(保肥力)が高くなる。保肥力が高いと肥料分が植物に有効に利用される。保肥力が低いと肥料分の流出による無駄が多くなるため、1回の施肥量を少なくして施肥回数を多くするか、緩効性の肥料を使用する必要がある。本発明が対象とする薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化においては、植物の成長を見込むというよりは、如何に健全な育成を永続的に維持するかが重要であるから、陽イオン交換容量(CEC値)はそのための管理手法を決めるために重要である。
【0042】
比較例6の一般に良い土に比べ、本例の人工軽量土壌は陽イオン交換容量(CEC値)が大きいので、塩基類(肥料分)の保持能力(保肥力)が高く、保肥力が高いと肥料分が植物に有効に利用され、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化においても、植物の健全な育成を永続的に維持することが一層容易である。
【0043】
(5)有効水分量(pF1.5〜3.0での水分量(l/m3 ))
有効水分量は土壌の保水性を示す値である。土壌水分は植物が正常に生育するために欠かせないものであり、土壌中に存在する水には、1)降水又は灌水後速やかに下方に移動するもの、2)植物が吸収できる程度に土壌中に保持されているもの、3)吸収できないほど土壌に吸着されているものがある。このうち、上記2)の植物が吸収できる程度に土壌中に保持されている水分量が有効水分量と呼ばれる。有効水分量が少ない場合には、それを補うために灌水間隔を短くするか、土壌の厚さを増す必要がある。
【0044】
比較例1〜5の土壌が100〜256l/m3 の範囲であるのに対し、本例の人工軽量土壌の有効水分量は288l/m3 と非常に高く、植物が適当な量の水分を吸収でき、植物の根は十分に呼吸できる。また、灌水間隔を短くしたり、土壌の厚さを増す必要がなく、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化に適しており、植物の管理も容易である。
【0045】
また、本例の人工軽量土壌によれば、上述した高い保水力が時間の経過に従って衰えることがなく、常に比較的多量の保水量を維持することができる。
【0046】
(6)透水係数(cm/sec)
透水係数は土壌の透水性を示す値であり、土壌を移動する水の速さを表すものである。土壌の透水性は土壌の孔隙組成と関係し、通気性とも連動する。透水性が不良の場合は湿害となり、過良の場合は乾燥害を受け易くなる。また孔隙組成によっては保水性、透水性共によい土壌がありうる。
【0047】
比較例1〜5の土壌の透水係数は1.0×10-2cm/sec〜5.2×10-2cm/secの範囲であり、人工土壌の性能の目安である10-3cm/secを満足している。これに対し、本例の人工軽量土壌は透水係数が4.7×10-1cm/secと非常に高く、通気性がよく、植物の根は十分に呼吸できる。また、本例の人工軽量土壌は透水性が良いだけでなく、孔隙組成のため前述したように保水性もよいので、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化に適している。
【0048】
(7)単価(円/m3
特に都心部のビル建設事業等において、環境共生を目的として建造物屋上のような人工地盤を薄層基盤の土壌により緑化する事業が制度的に義務化される例があり、かかる場合には建設費を高騰させないために薄層基盤を構成する人工軽量土壌の単価が問題となる。
【0049】
比較例の土壌の単価は22000円/m3 から45000円/m3 の範囲であるが、本例の人工軽量土壌は18000円/m3 と安価であり、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化に適している。
【0050】
以上説明した本例の人工軽量土壌は、水分を内部に閉じ込めた状態で団粒化しているため、外部の水に接触しても溶けだしにくく、人工地盤緑化のための人工軽量土壌として使用しても、降雨時などに土が溶け出して環境を汚染するといった不都合が生じるおそれはない。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態である人工軽量土壌の製造方法及びその製造方法によって製造した人工軽量土壌によれば、特に保水性・保肥性・透水性・軽量性等に優れているので、従来産業廃棄物として高コストで処理しなければならなかった浄水汚泥を低いコストで薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化用の人工軽量土壌としてリサイクルできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態の人工軽量土壌における浄水汚泥の含水比(%)と故紙破砕物の添加量(kg/ m3 )の対応関係と、水溶性高分子物質と金属塩の添加量を示す表図である。
【図2】本発明の実施の形態の人工軽量土壌と比較例の土壌について、性能を比較するための表図である。
【出願人】 【識別番号】500074707
【氏名又は名称】森 雅人
【識別番号】504115253
【氏名又は名称】高橋 弘
【出願日】 平成16年3月24日(2004.3.24)
【代理人】 【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光

【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行

【公開番号】 特開2005−269970(P2005−269970A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−87065(P2004−87065)