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【発明の名称】 二重フィルム被覆建造物
【発明者】 【氏名】石▲崎▼ 良明
【住所又は居所】東京都千代田区飯田橋二丁目11番10号 旭硝子グリーンテック株式会社内

【要約】 【課題】強い風が吹いたときなどのフィルムにかかる応力を軽減して、フィルムの伸びや破損を防止できるようにした二重フィルム被覆建造物を提供する。

【解決手段】建造物(ハウス)10の屋根16又は壁部17の少なくとも一部を二重フィルム28a、28bで被覆し、該二重フィルムの間隙に送風機33により空気を吹き込んで空気層30を形成する。この空気層に連通する排気孔を設け、この排気孔に前記空気層内の圧力が所定値を超えたときに開く弁体36を取付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根又は壁部の少なくとも一部が二重フィルムで被覆され、該二重フィルムの間隙に送風機により空気を吹き込んで空気層を形成した二重フィルム被覆建造物において、前記空気層に連通する排気孔を設け、この排気孔に前記空気層内の圧力が所定値を超えたときに開く弁体を取付けたことを特徴とする二重フィルム被覆建造物。
【請求項2】
前記二重フィルムは、駆動手段によって開閉可能な屋根に張設されており、前記排気孔は、前記開閉可能な屋根に張設された二重フィルムの空気層に連通するように形成されている請求項1記載の二重フィルム被覆建造物。
【請求項3】
屋根と側壁と妻面とを有する複数のハウスが側壁部分を連結させて連棟とされ、前記屋根が少なくとも二重フィルムで被覆されており、前記送風機に連結された空気供給管が一方の妻面近傍に沿って各棟に渡って配設され、この空気供給管から複数の連結管が分岐して、各棟の屋根に張設された二重フィルムの空気層に連通するように連結されており、前記排気孔は、各棟の他方の妻面に近接した位置で、該屋根に張設された二重フィルムの空気層に連通するように設けられている請求項1又は2記載の二重フィルム被覆建造物。
【請求項4】
前記弁体の開閉を制御する開閉制御手段と、前記送風機の出力を制御する送風制御手段と、建造物に降り積もる雪を検出する雪検出手段とを備え、雪検出手段により降雪が検出されたときに、前記開閉制御手段により弁体をより大きく開き、前記送風制御手段により送風機の出力を高めるように構成した請求項1〜3のいずれか1つに記載の二重フィルム被覆建造物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば農業用ハウス等に好適なフィルム被覆建造物に関し、特に、屋根又は壁部の少なくとも一部が二重フィルムで被覆され、該二重フィルムの間隙に送風機により空気を吹き込んで空気層を形成した二重フィルム被覆建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、施設園芸等の農業用ハウスとして、金属のパイプ、アングル材などを連結してフレームを作り、このフレームに樹脂フィルムを張設した建造物が知られている。このような農業用ハウスにおいて、屋根等を二重フィルムで被覆し、二重フィルムの間隙に空気を送風して、空気層を形成したものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、透光性の合成樹脂シートを2枚重ねその周縁を封止した二重シートを支柱に支持する屋根枠フレームに張り渡して屋根を形成すると共に、当該二重シートの中空部に送風機の吹き出しチューブを接続して成るビニル温室が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、棟木とこれに平行な左右の谷樋により屋根枠を構成し、前記谷樋の左右いずれか一方を前記棟木を支点に昇降自在にし、そして前記棟木を越えて透光性の合成樹脂シートを前記谷樋の一方より他方へ2枚重ねて張り渡し、これら2枚のシート周縁をシールすると共にシート間に空気を充填することを特徴とするビニルハウスが開示されている。
【0005】
更に、下記特許文献3には、温室の外郭を構成する透光性の合成樹脂シートを2枚重ね合わせそのシート周縁をシート止め材で気密にシールして成る二重シートの空気層内へ空気を強制的に吹き込み膨張させた空気層膜構造を有するエアハウスにおいて、前記二重シートの内側シートへハウス内側から小型軽量のファン型送風機が直接取り付けられ、同ファン型送風機の空気吹き出し口が前記空気層に向かって直接開口されていることを特徴とするエアハウスが開示されている。また、ファン型送風機の空気吹き出し口に、空気層内へ吹き込んだ空気の逆流を防止する逆止弁が設けられていることが記載されている。
【特許文献1】特開平7−255291号公報
【特許文献2】特開平10−28484号公報
【特許文献3】特開2004−33065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3には、二重フィルム(シート)で被覆したフィルム間に、送風機によって空気を送風して空気層を形成することは記載されているが、フィルム間に送風した空気の排気構造については、ほとんど記載がなされていない。
【0007】
一般に従来の二重フィルム被覆ハウスは、フィルム間に送風機によって空気を送風し、送風された空気はフィルムどうしの隙間や排気孔から自然に流出するのに任せていた。すなわち、送風された空気により二重フィルムが膨らんで空気層が形成されるのを妨げない程度に空気を自然流出させていた。
【0008】
しかしながら、上記のような従来のハウスでは、強い風が吹いたときに、二重フィルム内の空気が急激に抜けることができないので、フィルムが伸びてしまったり、破れたりすることがあった。
【0009】
また、屋根を開閉可能としたハウスにおいては、屋根を閉じるときに、空気層によって膨らんだ二重フィルムが圧迫されて、完全に閉じることができなくなることがあり、無理に閉じようとするとフィルムを破損することがあった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、強い風が吹いたときなどのフィルムにかかる応力を軽減して、フィルムの伸びや破損を防止できるようにした二重フィルム被覆建造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、屋根又は壁部の少なくとも一部が二重フィルムで被覆され、該二重フィルムの間隙に送風機により空気を吹き込んで空気層を形成した二重フィルム被覆建造物において、前記空気層に連通する排気孔を設け、この排気孔に前記空気層内の圧力が所定値を超えたときに開く弁体を取付けたことを特徴とする二重フィルム被覆建造物を提供するものである。
【0012】
本発明によれば、二重フィルムによって形成された空気層に連通する排気孔を設け、この排気孔に前記空気層内の圧力が所定値を超えたときに開く弁体を取付けたので、強い風が吹いたときには、上記弁体が開いて空気層の空気が速やかに抜け、フィルムが伸ばされたり、破損したりすることを防ぐことができる。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、前記二重フィルムは、駆動手段によって開閉可能な屋根に張設されており、前記排気孔は、前記開閉可能な屋根に張設された二重フィルムの空気層に連通するように形成されている。
【0014】
これによれば、屋根が閉じるときに二重フィルムが圧迫されると、排気孔の弁体が開いて空気層の空気が速やかに抜けるので、フィルムに無理な応力がかかることがなく、屋根もスムーズに閉じることができる。
【0015】
また、本発明においては、屋根と側壁と妻面とを有する複数のハウスが側壁部分を連結させて連棟とされ、前記屋根が少なくとも二重フィルムで被覆されており、前記送風機に連結された空気供給管が一方の妻面近傍に沿って各棟に渡って配設され、この空気供給管から複数の連結管が分岐して、各棟の屋根に張設された二重フィルムの空気層に連通するように連結されており、前記排気孔は、各棟の他方の妻面に近接した位置で、該屋根に張設された二重フィルムの空気層に連通するように設けられていることが好ましい。
【0016】
これによれば、一方の妻面近傍に沿って配設された空気供給管から各連結管を通して、それぞれの屋根の二重フィルムの空気層に空気が供給され、他方の妻面に近接した位置に設けられた排気孔から排出されるので、屋根に張設された二重フィルムの空気層全体に送風された空気が効率よく流通し、保温効果や、雪解け効果等を高めることができる。
【0017】
更に、本発明においては、前記弁体の開閉を制御する開閉制御手段と、前記送風機の出力を制御する送風制御手段と、建造物に降り積もる雪を検出する雪検出手段とを備え、雪検出手段により降雪が検出されたときに、前記開閉制御手段により弁体をより大きく開き、前記送風制御手段により送風機の出力を高めるように構成することが好ましい。
【0018】
これによれば、雪検出手段によって雪が検出されると、開閉制御手段によって弁体をより大きく開かせ、送風制御手段によって送風機の出力を高めることにより、二重フィルムの空気層に流通する送風空気量を増やして、屋根等に降り積もった雪を効果的に溶かすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、二重フィルムによって形成された空気層に連通する排気孔を設け、この排気孔に前記空気層内の圧力が所定値を超えたときに開く弁体を取付けたことにより、例えば強い風が吹いたりしたときに、上記弁体が開いて空気層の空気を速やかに逃がすことができるので、フィルムに過度な応力がかかって伸ばされたり、破損したりすることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜7には、本発明による二重フィルム被覆建造物の一実施形態が示されている。この実施形態は、農業用のハウスに適用したものである。
【0021】
図1、2に示すように、このハウス10は、3つの棟11,12,13を横方向に連設した連棟構造をなしている。各棟11,12,13は、前後の妻面14,15と、屋根16とを有し、外側の棟11、13には、側壁17が形成されている。各棟11,12,13は、互いに接する側壁部で連結されており、屋根16どうしの間は、谷部をなしている。妻面14,15の中央には、出入口18が形成されている。
【0022】
図3を併せて参照すると、屋根16は、棟木19を中心として、片側には、第1固定部16aが設けられ、それと反対側には、可動部16bと、第2固定部16cとが設けられている。可動部16bは、その上辺を棟木19近辺に設けた支軸26(図7参照)を介して回動自在に支持されている。可動部16bの下辺近傍には、ラック20の上端が枢支されている。ラック20は、ハウスフレームに設けられたピニオン21によって昇降動作し、可動部16bを図3の想像線で示す如く開閉動作させる。可動部16bが閉じた状態では、その下辺部は第2固定部16cの上部に載置される。なお、図3は、図示を簡略化するため、1つの棟として空気供給配管構造を概念的に記載している。
【0023】
図7に示すように、ピニオン21は、各棟11,12,13の長手方向に配設されて図示しない電動モータによって正逆回転する回転軸22に装着されている。また、ピニオン21の支持部には、ラック20をスライド可能に保持するホルダ23が設けられ、ホルダ23はブラケット24を介してハウスフレーム25に固定されている。ピニオン21が正逆回転すると、ラック20がスライド動作し、可動部16bを支軸26を介して回動させ、第2固定部16cに対して開閉動作する。なお、図7における27は支柱であり、28は樹脂フィルムである。
【0024】
妻面14,15、屋根16、及び側壁17を構成する各フレームには、樹脂フィルム28が張設されている。ここで、樹脂フィルム28としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、含フッ素樹脂系フィルム及びPVAc(ポリ酢酸ビニル)フィルム等であり、中でも、PVCフィルム、PETフィルム及び含フッ素樹脂系フィルムが好ましく、特に含フッ素樹脂系フィルムが好ましい。
【0025】
ここで「含フッ素樹脂」とは、フッ素を含むオレフインの重合によって得られる合成樹脂を総称するものであり、本発明では一般にフッ素含有量が45重量%以上、特に50重量%以上のものが好適に使用される。そのようなフッ素樹脂としては、例えばエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン系共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、パーフルオロアルキルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等が挙げられ、本発明では、これらのいずれでも使用可能であるが、中でも、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が好適である。
【0026】
エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体は、エチレン及びテトラフルオロエチレンを主体とし(エチレン/テトラフルオロエチレンのモル比は一般に40/60〜60/40にある)、そして必要により、これに少量(通常10モル%以下)の第3のコモノマー成分を共重合させたものであり、本発明では殊に、エチレン/テトラフルオロエチレンの含有モル比が40/60〜60/40、好ましくは45/55〜55/45の範囲内にあり、且つ式CH2=CH−Cn2n+1(ここで、nは2〜10の整数である)で示されるパーフルオロアルキルビニルモノマー単位(例えば、CH2=CH−C49またはCH2=CH−C613から誘導される単位)の含有量が0.1〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%の範囲内にあるエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体が好適に使用される。
【0027】
このエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体はそれ自体既知のものであり、例えば特公昭59−50163号公報に記載の方法で製造することができ、また、市販品として旭硝子(株)より「アフロンCOP」なる商品名で市販されているものを使用することもできる。以上に述べたフッ素樹脂からのフィルムの成形はそれ自体公知の方法に従い、例えば押出成形法、インフレーション成形法等により行なうことができる。
【0028】
樹脂フィルム28の厚さは、10〜700μmが好ましく、20〜500μmがより好ましく、40〜300μmが更に好ましい。
【0029】
図3に示すように、屋根16及び側壁17に張設された樹脂フィルム28は、室外側のフィルム28aと、室内側のフィルム28bとで構成されている。そして、この二重フィルム28a、28bの間隙に空気層30が設けられている。特に室外側のフィルム28aは、上記含フッ素樹脂系フィルムで形成されていることが好ましい。
【0030】
なお、屋根16の第1固定部16aと可動部16bとを覆う二重フィルム28a、28bは、連続したフィルムで形成されており、それらの間隙に形成された空気層30も連通した状態となっている。これに対して、第2固定部16cと、側壁17とを覆う二重フィルム28a、28bは、それぞれ独立した空気層30を形成している。
【0031】
再び図1,2を参照すると、ハウス10の一方の妻面14近傍に沿って各棟11,12,13に渡って、空気供給管31が配設されている。そして、空気供給管31から分岐した複数の連結管32が、第1固定部16a及び可動部16bと、第2固定部16cと、側壁17とを覆うそれぞれの二重フィルム28a、28bの空気層30に連通されている。
【0032】
図4はハウス10内から見た空気供給管31及び連結管32の配設状態を示している。連結管32は、空気供給管31から分岐して、二重フィルム28の内側のフィルム28bに連結され、二重フィルム28a、28b内の空気層30に連通されている。また、空気供給管31の略中央の上部に送風機33が設置され、送風機33は、送風管34を介して空気供給管31に連結されている。
【0033】
一方、ハウス10の他方の妻面15に近接した位置には、排気管35を介して排気弁36が取付けられている。排気管35、排気弁36は、各棟11,12,13の屋根16毎に設けられている。図5に示すように、排気管35は、屋根16を覆う二重フィルム28の内側のフィルム28bに連結され、その先端に排気弁36が取付けられている。
【0034】
図6に示すように、排気弁36は、排気管35に連結された円筒ケース37と、この円筒ケース37の先端部に取付けられた弁体38とで構成されている。弁体38は、支軸39を介して開閉可能に取付けられた2枚の半円状の弁板40,41を有し、支軸39にはねじりコイルバネ42が取付けられていて、各弁板40,41を常時は閉じる方向に付勢している。
【0035】
したがって、二重フィルム28a、28b内の空気層30の圧力が高まると、ねじりコイルバネ42の付勢力に抗して、弁板40,41が図6(a)の想像線で示す如く開き、内部の空気が矢印で示すように排出される。排気弁36の円筒ケース37の先端部が本発明における排気孔をなしている。
【0036】
このハウス10によれば、送風機33がハウス10内の空気を吸引して、送風管34を介して空気供給管31に空気を送入する。この空気は、空気供給管31から連結管32を通り、第1固定部16a及び可動部16bと、第2固定部16cと、側壁17とを覆うそれぞれの二重フィルム28a、28bの空気層30に送入される。その結果、二重フィルム28a、28bは、緊張状態に保たれて、空気層30を内部に有する屋根16や側壁17として機能する。このため、ハウス10の保温効果が高められ、フィルム28のたるみを防止して、雨等を速やかに流下させることができる。
【0037】
排気弁36は、空気層30内の圧力が高くないときには、弁板40,41をねじりコイルバネ42の付勢力で閉じた状態に維持し、空気層30内の空気が抜けにくくする。しかし、送風機33による空気送入により内部圧力が高くなったときや、強い風が吹いてフィルム28に押し潰すような圧力がかかったときには、空気層30内の圧力が高まることによって、弁板40,41がねじりコイルバネ42の付勢力に抗して開き、空気層30内の空気をハウス10内に排気させる。このため、フィルム28に過度な引っ張り応力等がかかるのを防止し、フィルム28の伸びや破裂を防止することができる。
【0038】
また、ハウス10内の換気のため、ピニオン21を回転させて、ラック20を上方にスライドさせ、屋根16の可動部16bを回動させて開かせた状態では、第1固定部16aと可動部16bとを覆う二重フィルム28a、28bが連続し、空気層30が連通しているので、屋根16が開いた状態で二重フィルム28a、28bが緊張状態となる。その後に、再びピニオン21を回転させてラック20を下方にスライドさせ、屋根16の可動部16bを閉じるように回動させると、上記緊張した二重フィルム28a、28bに引っ張り応力がかかり、可動部16bが完全に閉じなかったり、フィルム28が伸びたり破れたりすることがあったが、本発明では、上記のような場合に、排気弁36の弁板40,41がねじりコイルバネ42の付勢力に抗して開き、空気層30内の空気をハウス10内に速やかに排気させるので、フィルム28の伸びを防止することができる。
【0039】
このように、本発明によれば、フィルム28に無理な引っ張り応力がかかるのを防止して、フィルム28の伸びを弾性限界内に抑えることができ、フィルム物性を長期に亘って維持することができる。したがって、特に伸びにくい物性を有する含フッ素樹脂系フィルムに好適である。
【0040】
コイルバネ42の付勢力は、弁板40,41が、フィルム28の伸びや破裂を防ぐのに適切な圧力で開くように調整される。この圧力は、空気層30の大きさや、フィルム28の材質、厚さ等で異なるが、一般には50〜250Pa以上、より好ましくは100〜150Pa以上の圧力で弁板40,41が開くように調整することが好ましい。
【0041】
なお、排気弁36としては、この実施形態に示される構造のものに限らず、各種の構造の弁が採用可能である。また、排気孔の開口を可変とする絞り弁のようなものを設けることもできる。更に、弁体を閉じる方向に付勢する弾性手段の付勢力を可変とし、戸外の状況に応じて調整できるようにしてもよい。
【0042】
図8,9には、上記実施形態における空気層30への空気送入量や排気量を降雪検知によって制御できるようにした他の実施形態が示されている。
【0043】
この実施形態では、図8に示すように、排気弁36の弁体38の弁板40,41にそれぞれ紐43,44が連結され、これらの紐43,44は合流されて、ガイドプーリ45を介して、ソレノイド46に連結されている。そして、ソレノイド46が作動して紐43、44を引っ張ると、弁板40,41が強制的に開かれるようになっている。なお、ソレノイド46が作動しないときには、前述したようにねじりコイルバネ42の付勢力によって弁板40,41は閉じ、空気層30内の圧力が所定値以上に高まったときに開くようになっている。この紐43,44、ガイドプーリ45及びソレノイド46が、本発明における開閉制御手段47の一例をなしている。
【0044】
そして、図9に示すように、この実施形態では、ハウス10の外部に雪検出手段48が設けられ、この雪検出手段48からの検出信号を受けて、上記開閉制御手段47と、送風機33の出力を制御する送風制御手段49とに作動信号を送る、プログラム可能なコントローラ50とを有している。
【0045】
ここで、雪検出手段48としては、公知の降雪センサーを用いることができ、例えば降雪センサー「スノーコン」(商品名、新潟電機株式会社製)などを用いることができる。
【0046】
そして、コントローラ50は、雪検出手段48から降雪信号を受けると、開閉制御手段47に作動信号を送って弁体36を強制的に開かせると共に、送風制御手段49に作動信号を送って、送風機33の出力を増大させる。
【0047】
その結果、二重フィルム28a、28bの空気層30内に送入されて排出される空気量が増大し、空気層30内を通る空気流通量が増大するため、屋根16等のフィルム28の上に体積した雪が速やかに溶け、フィルム28表面を流下するので、フィルム28上に大量の雪が積もってフィルム28がたるんだり、破れたりすることを防止できる。
【0048】
また、雪検出手段48による降雪信号が解除されると、コントローラ50から再び作動信号が送られ、開閉制御手段47及び送風制御手段49を介して、弁体36及び送風機33を通常の状態に戻すようにする。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば農業用ハウス、展示場用ハウスなどの建造物において、屋根又は壁の少なくとも一部を二重フィルムで被覆し、二重フィルムの内部に空気層を形成したものに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を農業用のハウスに適用した一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同ハウスの模式平面図である。
【図3】同ハウスの空気供給配管構造を概念的に示す模式図である。
【図4】同ハウスにおける送風機と空気供給管とを示す斜視図である。
【図5】同ハウスにおける排気弁取付け状態を示す斜視図である。
【図6】同排気弁を示し、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図7】同ハウスにおける屋根開閉機構を示す斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態における弁の開閉制御手段の一例を示す断面図である。
【図9】同実施形態における弁体及び送風機の制御機構を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
10 ハウス
11,12,13 棟
14,15 妻面
16 屋根
16a 第1固定部
16b 可動部
16c 第2固定部
17 側壁
18 出入口
19 棟木
20 ラック
21 ピニオン
22 回転軸
23 ホルダ
24 ブラケット
25 ハウスフレーム
26 支軸
28 フィルム
28a フィルム
28b フィルム
30 空気層
31 空気供給管
32 連結管
33 送風機
34 送風管
35 排気管
36 弁体
36 排気弁
37 円筒ケース
38 弁体
39 支軸
40,41 弁板
42 コイルバネ
43,44 紐
45 ガイドプーリ
46 ソレノイド
47 開閉制御手段
48 雪検出手段
49 送風制御手段
50 コントローラ
【出願人】 【識別番号】399122147
【氏名又は名称】旭硝子グリーンテック株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区飯田橋二丁目11番10号
【出願日】 平成16年3月24日(2004.3.24)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂

【公開番号】 特開2005−269963(P2005−269963A)
【公開日】 平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願番号】 特願2004−86591(P2004−86591)