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【発明の名称】 水底敷設用シート及びシートの水底敷設方法
【発明者】 【氏名】伊豫田 紀子
【住所又は居所】栃木県那須郡西那須野町四区町1534−1 五洋建設株式会社技術研究所内

【氏名】中瀬 浩太
【住所又は居所】東京都文京区後楽二丁目2番8号 五洋建設株式会社内

【要約】 【課題】水底に敷設の際に潜水作業や重機による作業を必要とせずにシート材を水底の目標場所に落下させ敷設できる水底敷設用シート及びシートの水底敷設方法を提供する。

【解決手段】この水底敷設用シート10は、水底に敷設されるシート材1の複数箇所に可撓性のフラッグ2を取り付けシート材を水中に落下させるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底に敷設されるシート材の複数箇所に可撓性のフラッグを取り付け前記シート材を水中で落下させるように構成したことを特徴とする水底敷設用シート。
【請求項2】
前記フラッグが生分解性材料から構成されたことを特徴とする請求項1に記載の水底敷設用シート。
【請求項3】
前記シート材がフレーム材から構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のシートの水底敷設用シート。
【請求項4】
水底に敷設すべきシート材の複数箇所に可撓性のフラッグを取り付け前記シート材を水中で落下させることで水底に敷設することを特徴とするシートの水底敷設方法。
【請求項5】
前記フラッグが生分解性材料から構成され、前記フラッグが前記シート材の水底設置後の所定期間の経過後に分解されることを特徴とする請求項4に記載のシートの水底敷設方法。
【請求項6】
前記シート材がフレーム材から構成されたことを特徴とする請求項4または5に記載のシートの水底敷設方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水底に敷設される水底敷設用シート及びシートの水底敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アマモ場造成シートなどのシートを海底に敷設する際には、潜水作業や重機による作業が必要である。下記特許文献1は、変形可能な浮力体を取り付けた水中敷設シート及び敷設方法を開示し、敷設域で浮力体の浮力を除去することで沈降可能となり、大規模なシートの敷設に適している。しかし、本工法では、シートに浮力を持たし、敷設時に浮力をなくす、の2段階の作業を要するため、小乃至中規模なシート敷設作業の場合、作業規模と比較して大きな労力を必要とし、コスト高につながる。
【0003】
また、下記特許文献2は、播種シートを周囲に巻いた状態に保持するとともに、海底面上で回転することにより上記シート部材を拡げた状態に敷設する回転体を具備してなる敷設装置を用いて播種シートを敷設する播種シート設置方法を開示し、大規模なシートの敷設が可能であるが、設置に重機が必要であり、手間と工期がかかる。
【特許文献1】特開2002−115235公報
【特許文献2】特開平l0−42626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、水底に敷設の際に潜水作業や重機による作業を必要とせずにシート材を水底の目標場所に落下させ敷設できる水底敷設用シート及びシートの水底敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による水底敷設用シートは、水底に敷設されるシート材の複数箇所に可撓性のフラッグを取り付け前記シート材を水中で落下させるように構成したことを特徴とする。
【0006】
この水底敷設用シートによれば、フラッグをシート材の複数箇所に取り付けることで、平面状のシート材を水中で自由落下により水底の目標場所に簡単に落下させることができる。
【0007】
上記水底敷設用シートにおいて前記フラッグが生分解性材料から構成されることが好ましい。これにより、シート材を水底に敷設した後には不要なフラッグを自然に処理することができる。
【0008】
本発明によるシートの水底敷設方法は、水底に敷設すべきシート材の複数箇所に可撓性のフラッグを取り付け前記シート材を水中で落下させることで水底に敷設することを特徴とする。
【0009】
このシートの水底敷設方法によれば、フラッグをシート材の複数箇所に取り付けることで、平面状のシート材を水中で自由落下により水底の目標場所に簡単に落下させることができ、水底にシート材を簡単に敷設できる。
【0010】
上記シートの水底敷設方法において前記フラッグが生分解性材料から構成され、前記フラッグが前記シート材の水底設置後の所定期間の経過後に分解されるようにすることが好ましい。これにより、シートを水底に敷設した後には不要なフラッグを自然に処理することができる。例えば、フラッグに固着性底生動物や海藻が着生しシートの機能に対しフラッグが悪影響を及ぼすことを防止でき、また、船舶の航行の際に引っかかり敷設したシート材ごと消失するようなおそれを回避できる。
【0011】
また、前記シート材はフレーム材から構成されてもよい。この場合、フレーム材は全体としてある程度の剛性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水底敷設用シート及びシートの水底敷設方法によれば、水底に敷設の際に潜水作業や重機による作業等を必要とせずに簡単にシート材を水底の目標場所に落下させ敷設できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による水底敷設用シートを概略的に示す斜視図である。
【0014】
図1に示すように、水底敷設用シート10は、水底に敷設されるシート材料からなる正方形状または長方形状のシート材1と、シート材1の内側の四隅に取り付け部材3を介して取り付けられ帯状に延びた可撓性のあるリボン状のフラッグ2と、を備える。
【0015】
フラッグ2は更に数箇所に取り付けてもよい。また、水中を自由落下するためのシート材1の自重が不足する場合は、シート材1の適当な位置に例えば石等の錘を設置し、自由落下を助長することが好ましい。
【0016】
フラッグ2は、水中で数週間程度で分解する生分解性樹脂等の生分解性材料から形成することが好ましく、例えば、ポリエステル、ポリウレタン(エステル型ポリウレタン)、ポリアミド(ポリアミノ酸を含む)、ポリビニルアルコール、酸化処理したポリオレフィン、澱粉/汎用高分子ブレンド系、澱粉/ポリビニルアルコールブレンド系、澱粉−自動酸化剤−バインダ樹脂の混合物を配合したポリオレフィン、セルロースアセテート、ポリエステルカーボネート等を用いることができ、これらから水中で分解される速度等を考慮して適宜選択できるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
図1の水底敷設用シート10をシート材1の敷設対象である例えば海域で海中に投入すると、シート材1はその自重で海水による浮力と抵抗力に抗して海中を鉛直方向下方Vに自由落下するが、この落下の間に可撓性のリボン状のフラッグ2が海中で揺れながらシート材1の自由落下を制動することで、シート材1の横方向(鉛直方向下方Vに対し直交する方向)への動きを制限する。これにより、シート材1は自由落下により海底の目標場所に近い位置に落下させることができるので、シート材1を目標の海底に簡単に敷設できる。
【0018】
また、シート材1の海底への設置後、フラッグ2がその場に永久的に残っていると、固着性底生動物や海藻が着生し、例えばシート材1が海底におけるアマモ場造成のためのものであるとき、フラッグがアマモの生育を阻害する可能性があり、また、船舶の航行の際に引っかかり、設置したシート材ごと消失する可能性もあるが、フラッグ2は、水中で数週間程度で分解する生分解性材料からなるので、かかる問題点を解消できる。
【0019】
また、従来、アマモ場造成シートなどの水底でのシートの敷設では、潜水作業や重機による作業が必要であり、また浮力体を設置したシートでは目標地に着底できなかったのに対し、図1の水底敷設用シート10によれば、水中に投入するだけで自由落下により手間がかからずに目標に近い位置に着底させることができる。
【0020】
次に、図1の水底敷設用シート10の応用例としてアマモ場造成用シートについて図2を参照して説明する。図2はアマモ場造成用シートを概略的に示す斜視図である。
【0021】
図2のアマモ場造成用シート20は、比較的広いシート材11と、シート材11のシート面に縦横にそれぞれほぼ一定間隔で配置された複数のポット部12と、シート材11の内側の四隅に取り付け部材3を介して取り付けられ帯状に延びた可撓性のあるリボン状のフラッグ2と、を備える。フラッグ2は更に数箇所に取り付けてもよい。
【0022】
各ポット部12は、シート材11の上面に開口し下方に突き出るように凹状に形成され有底に構成されている。
【0023】
ポット部12内に、アマモ種子を入れて粘性土などに固化材を混合して粒状化させたアマモ種子入り粒状化物30と、粘性土などに固化材を混合して粒状化させた泥粒状化物31と、粒状の栄養剤32とをアマモ育成用材料として詰め込んでいる。
【0024】
シート材11及びポット部12を構成する材料として通水性の比較的高いものを用い、例えば、天然素材からなるヤシガラマットやヤシ繊維製の植生マット等を用いることで、海底設置後にシート20の下の底生生物の生息を可能にする。具体的には、ファイバーマット(日研化成株式会社)、古紙リサイクルによる緑化用マット(石川県創造化開発協同組合)、ケナフ湿床材(ダイニック株式会社)、ロックウールマット等がある。
【0025】
また、シート材11及びポット部12はアセチルロース等の生分解性樹脂からなる生分解性シートから構成してもよい。シート材11及びポット部12を天然素材からなるヤシガラマット等や生分解性シートから構成することで、海底で分解されるまでの間にアマモの根の張る基盤の一部となる。
【0026】
図2のアマモ場造成用シート20をアマモ場の造成対象である沿岸域等の海域に運搬し海中に投入することで、アマモ場造成用シート20は海中を鉛直方向下方Vに自由落下し、図1と同様にフラッグ2が海中で揺れながらシート材11の自由落下を制動してシート材11の横方向への動きを制限する。これにより、ポット部12の付いたシート材11を海底の目標場所に落下させ着底させることができ、シート材11を潜水作業や重機による作業なしに簡単に目標地点に設置できる。これにより、アマモ場の造成対象の海底に敷設されたシート材11に付属の複数のポット部12でアマモ育成用材料のアマモ種子を発芽させ育成することでアマモ場を造成できる。また、1シートを設置するのに掛かる時間は短く、大規模のアマモ場造成にも対応できる。
【0027】
また、シート材11の自由落下のための自重が不足する場合には、アマモ育成用材料を詰め込んだ複数のポット部12に砂や礫を加えて自重を増やすことが好ましい。
【0028】
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、図1の水底敷設用シート10の応用例としてアマモ場造成用シートを説明したが、本発明は、これに限定されずに、海底または河川や湖沼の水底にシート材を設置するのに好適であり、例えば、底質安定シートの敷設等に適用できる。
【0029】
また、フラッグに関し、シートを目標地点にバランスを崩すことなく設置させるために、フラッグの形状はリボン状が望ましく、フラッグの本数や各フラッグの幅や長さは適宜設定できるが、リボン形状に限定されずに、シートサイズや設置する海域環境によってはブイのような形状に変えることができる。
【0030】
また、図1のシート材としては、上述のような海底・水底におけるアマモ場造成や底質安定等の各種目的に応じて選択された各種のシート材料であってよいことは勿論である。
【0031】
また、図2のアマモ場造成用シート20におけるシート材11及びポット部12を構成する材料は通水性の高いものや生分解性材料に限定されずに、他のシート材料であってもよいことは勿論である。
【0032】
また、アマモ場造成用シート20は、図2では平面体であるシート材11から構成したが、図3のような網目状のフレーム材21から構成してもよく、フレーム材21の四隅に同様にリボン状のフラッグ2を取り付ける。フレーム材21は全体として、水中を降下する際に、ほほ平面状態を保つことができる程度に剛性があればよく、網目状の交点にポット部12を配置し固定する。また、ポット部12を網目状の空間内に配置し固定してもよい。また、フレーム部材21を外枠21aから構成し、外枠21aの内側をネットにより構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態による水底敷設用シートを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の水底敷設用シートを応用したアマモ場造成用シートを概略的に示す斜視図である。
【図3】網目状のフレーム材から構成した図2と同様のアマモ場造成用シートを概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 シート材
2 フラッグ
10 水底敷設用シート
11 シート材
12 ポット部
20 アマモ場造成用シート
21 フレーム材
V 鉛直方向下方

【出願人】 【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
【住所又は居所】東京都文京区後楽2丁目2番8号
【出願日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【代理人】 【識別番号】100107272
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 敬二郎

【識別番号】100109140
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 研一

【公開番号】 特開2005−261290(P2005−261290A)
【公開日】 平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願番号】 特願2004−77909(P2004−77909)