| 【発明の名称】 |
コケ稚苗の生産方法及びコケマットの生産方法並びにコケ稚苗 |
| 【発明者】 |
【氏名】村瀬 治比古
【氏名】井上 幸一
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| 【要約】 |
【課題】人工的な制御環境下で高速大量のコケ稚苗を生産することができ、緑化植物と
【解決手段】養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 養液中でコケ類を生育させることを特徴とする、コケ稚苗の生産方法。 【請求項2】 養液中で、コケ類の配偶体の周囲に再生芽を繁殖させる、請求項1記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項3】 養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200(μmolm−2s−1)以下の各範囲内で、酸素を含む気体を断続的にコケ類の配偶体に接触させながら生育させる、コケ稚苗の生産方法。 【請求項4】 養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度(PPFD)200(μmolm−2s−1)以下の各範囲内で、曝気攪拌しながら生育させる、コケ稚苗の生産方法。 【請求項5】 24時間またはそれ以下の時間の周期で明暗期を繰り返して、コケ類を生育させる、請求項3又は4記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項6】 前記養液の肥料濃度が0〜1.0(mS/cm)である、請求項3乃至5のいずれかの項に記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項7】 前記養液が植物ホルモンを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項8】 前記植物ホルモンが、少なくともジベレリン、サイトカイ二ン、オーキシンのうちの一つを含むことを特徴とする請求項7に記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項9】 前記稚苗がセン類のコケ植物である請求項1乃至8のいずれかの項に記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項10】 前記コケ植物がスナゴケである請求項9記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項11】 緑化用コケとして用いられる請求項1乃至10のいずれかに記載のコケ稚苗の生産方法。 【請求項12】 請求項1〜10のいずれかの項に記載の生産方法で得られたコケ稚苗を、植物工場環境でコケマット支持体に移し養生する、緑化コケ植物の生産方法。 【請求項13】 少なくとも一面に開口部を有するマット支持体にコケを保持した状態で養液中でコケを養生させることを特徴とするコケマットの生産方法。 【請求項14】 光をマット面の法線方向から照射して少なくとも一面に開口部を有するマット支持体にコケを保持した状態で養液中でコケを養生させることを特徴とするコケマットの生産方法。 【請求項15】 コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖したコケ稚苗。 【請求項16】 繁殖した前記再生芽の先端の包絡面が紡錘状をした請求項11記載のコケ稚苗。 【請求項17】 配偶体の周囲に繁殖方向性を持った再生芽を有するコケ稚苗。 【請求項18】 緑化用コケとして用いられる請求項13乃至15のいずれかの項に記載のコケ稚苗。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、コケ、特に緑化植物用として好適なコケ稚苗を大量高速に栽培することができるコケ稚苗の生産方法及び施工に便利なようにコケをマット状にしたコケマットの生産方法並びにコケ稚苗に関する。 【背景技術】 【0002】 通常、コケ類は主に園芸素材として人為的に自然環境下で栽培されている。それはコケ類に対する需要が比較的小規模であり、自然環境下での栽培で十分需要が対応できているからである。現在の技術では生育が遅いため2〜3年の長い期間をかけて生産されている。 コケは特殊な生育環境を好むため栽培地として利用できるわずかな場所で栽培されている。従って、従来は、コケの生産過程で一部は造園用生ゴケとして、また一部は裁断乾燥してコケ種として出荷されているにすぎない。 【0003】 一方緑化植物として、建物の屋上、壁面、道路側壁、河川の護岸面等にはコケをマット状にしたコケマットを被覆、固定して施工されることが行われつつある。コケは緑化植物として、気候変動に強く、土壌が無くても育つため、重量が軽く、メンテナンスが殆ど不要であるため好ましい。コケマットとは所謂芝生マットのようにコケが群生したマット状のものであって、通常施工等の取り扱い上通常40〜60cm角の略正方形状にコケが絡まりマットの上面にコケの芽(穂状のもの)が伸び揃ったものをいう。通常コケマットは樹脂繊維を編んだネットや、樹脂糸状体を絡ませて包絡面が板状体にした物や、射出成形等で作られた樹脂製の枠体またはその組み合わせ等にてなる支持体にコケ稚苗を入れ、その後コケの増殖、コケ長を伸長させる養生という工程を経て製造される。 【0004】 コケマットを製造するには大量のコケが必要であるが、コケの生産技術は未だ確立されていないのが実情である。特に、乾燥にも強く、ビルの壁面など無機質基板でも育つスナゴケは、その意味では緑化植物として好適であるが、自然環境では生育速度がきわめて遅い為、大量栽培が必要な緑化植物として用いることは容易でなかった。 【0005】 従来、緑化植物としてコケ類を用いる技術が提案されている(特許文献1)。同特許文献1には、野山等に自生するコケの自生種から配偶体を採取して、これを多次栽培する方法、或いはコケ植物の細胞を増殖させる培地を用いて培養する方法などが提案されている(同特許文献 第4頁第7欄第29行〜同頁第8欄第20行)。 【0006】 【特許文献1】特許2863987号 【0007】 しかし、これらの技術はいずれも手間も時間もかかるもので、人工的な制御環境の下で高速大量にコケを生産する技術を必ずしも提供するものではない。 またコケ稚苗ができたとしても施工に便利なコケマットにするにはコケ稚苗をマット支持体中で増殖させマットの片面方向に伸張させる養生が必要である。自然環境下あるいは、屋根等のある制御環境下にて適宜散水してコケの生育を早める環境下でマット体を養生する。この養生に数月から数年かかるため、コケを緑化に用いる上でこの点もネックとなっていた。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本発明の課題は、人工的な制御環境下で高速大量のコケ稚苗を生産することができ、特に緑化植物として好適なスナゴケ等のコケ稚苗の生産方法を提供すること及びそのコケマットを短時間で生産する方法を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0009】 上記課題を鋭意検討した結果、コケの生育環境を自然環境に求めず、養液中でコケ類の稚苗を生育させたところ、元来液中では枯化し死滅するものと考えていたコケ類の配偶体の周囲に再生芽(側芽)が高速大量に繁殖するという予期せぬ現象を見出し、本知見を基に本発明を完成した。 【0010】 本発明は、養液中でコケ類の稚苗を生育させることを特徴とするコケ稚苗の生産方法、及び養液中でコケマットを生産するコケマットの生産方法である。すなわち、本発明は、養液中でコケ類の生育を制御するコケの生産方法である。 【0011】 コケの稚苗の生育は特に、養液中で、温度0〜60℃、光合成有効光量子束密度200(μmolm−2s−1)以下の各範囲内で生育させることが望ましい。 また、養液中で曝気攪拌など、酸素を含む気体(例えば空気など)を断続的にコケ類の配偶体に接触させながら生育させることが好ましい。特に、養液中で曝気攪拌しながら稚苗を生育させると、養液中でコケ稚苗か攪拌されながら生育するため、光及び重力の影響を一定方向に固定せずに360度方向から自由に与えることができるため、配偶体の周囲に再生芽を繁殖させることができ、緑化用として好適なコケ稚苗を得ることができる。これにより、例えば、繁殖した前記再生芽の先端の包絡面が紡錘状をした緑化用として好適なコケ稚苗を生産することができる。 【0012】 また、養液中で一定方向にコケ稚苗を固定しながら生育させることもでき、配偶体の周囲に繁殖方向性を持った再生芽を有するコケ稚苗を栽培することも可能である。このように、養液中でコケ稚苗を生育させることから、養液中でのコケ稚苗の位置を制御することができ、緑化用途などの各種用途に適した繁殖形状をコケ稚苗に与えることができる。 また、24時間またはそれ以下の時間の周期で明暗期を繰り返して、コケ類の稚苗を生育させることが好ましく、養液の肥料濃度も電気伝導度(mS/cm)で0〜1.0の様に低濃度の下で生育させることが好ましい。 【0013】 更に少なくとも一面に開口部を有するマット支持体に上記コケ稚苗またはコケの配偶体を保持した状態で養液中にて上記と同様にコケ稚病を生育させることができ、加えて養液中でマット支持体の開口部から伸びでたコケの芽をマット体の法線方向に生育させることによりコケマットの養生を短期間に行うことができる。 【発明の効果】 【0014】 これにより、野山等に自生するコケの自生種などから配偶体を採取し、これを例えば養液が貯蔵されたタンクに投入して生育させると、コケ類の配偶体の周囲に再生芽が高速大量に繁殖し増殖することから、高速大量のコケ稚苗を生産することができる。そしてこのコケ稚苗を制御環境下で養生することにより、緑化に適したコケの群落を提供することができる。 更にコケマット体を養液中で養生することにより、施工に便利なコケマットを簡易に短期間に生産することができる。 コケの配偶体の周囲に再生芽が繁殖した特異な形態のコケ稚苗が得られる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 本発明に使用されるコケとしては特に限定されないが、有菌又は無菌を問わないが、養液中で生育させて配偶体の周囲に再生芽が繁殖するコケ類であればいずれも使用できる。例えば、セン類やタイ類、中でもセン類のコケ植物が好ましい。例えば、セン類においては、スナゴケ、ハイスナゴケ、エゾスナゴケ、シモフリゴケ、クロカワキゴケ、キスナゴケ、ヒメスナゴケ、ミヤマスナゴケ、ナガエノスナゴケ、チョウセンスナゴケ、マルバナスナゴケ等のシモフリゴケ属(Rhacomitrium Bird.)、トヤマシノブゴケ、ヒメシノブゴケ、オオシノブゴケ、コバノエゾシノブゴケ、エゾシノブゴケ、アオシノブゴケ、チャボシノブゴケ等のシノブゴケ属(Thuidium B.S.G)、コウヤノマンネングサ、フロウソウ等のコウヤノマンネングサ属(Climacium Web.et Mohr)、カモジゴケ、シッポゴケ、オオシッポゴケ、チャシッポゴケ、チシマシッポゴケ、アオシッポゴケ、ナミシッポゴケ、ナガシッポゴケ、ヒメカモジゴケ、コカモジゴケ、タカネカモジゴケ、フジシッポゴケ、カギカモジゴケ、ナスシッポゴケ等のシッポゴケ属(Dicranum Hedw.)、ハイゴケ、オオベニハイゴケ、ヒメハイゴケ、チチブハイゴケ、フジハイゴケ、ハイヒバゴケ、イトハイゴケ、キノウエノコハイゴケ、キノウエノハイゴケ、ミヤマチリメンゴケ、ハイサワラゴケモドキ、タチヒラゴケモドキ、エゾハイゴケ等のハイゴケ属(Hypnum Hedw.)、ヒノキゴケ、ヒロハヒノキゴケ、ハリヒノキゴケ等のヒノキゴケ属(Rhizogonium Brid.)等を用いることができる。 【0016】 タイ類においては、ツクシウロコゴケ、ウロコゴケ、オオウロコゴケ、トサカゴケモドキ、マルバソコマメゴケ、アマノウロコゴケ等のウロコゴケ属(Heteroscyphus Schiffn. )、クラマゴケモドキ、カハルクラマゴケモドキ、トサクラマゴケモドキ、ヒメクラマゴケモドキ、ヤマトクラマゴケモドキ、ナガバクラマゴケモドキ、オオクラマゴケモドキ、ニスビキカヤゴケ、ケクラマゴケモドキ、ホソクラマゴケモドキ等のクラマゴケモドキ属(Porella.L)、ヤマトムチゴケ、ヨシナガムチゴケ、フォウリィムチゴケ、エゾムチゴケ、タマゴバムチゴケ、フタバムチゴケ、サケバムチゴケ、ヤマムチゴケ、ムチゴケ、コムチゴケ、マエバラムチゴケ等のムチゴケ属(Bazzania S.Gray )等に属するコケ類を用いることができる。 【0017】 特に、スナゴケ、ハイスナゴケ、エゾスナゴケなどのスナゴケ(Rhacomitrium Canescens)は、ビルなどの緑化に好適である。このコケは、成長のための土壌も肥料も不要とすることができ、例えばビルの壁面に過剰な負担をかけず、非常に乾燥した状況で生存することができる。自然環境では生育速度がきわめて遅いが、本発明では大量高速でこの種の稚苗も栽培可能である。 【0018】 養液中で生育させる原料コケ(元種苗)は野山等に自生するコケの自生種や市販種などから配偶体、特に茎葉体の形態を持つ配偶体を採取することによって得られる。 【0019】 養液の温度は、0〜60℃、好ましくは5〜50℃、更に好ましくは15〜25℃である。養液の温度が0℃未満であると、養液が凍るため好ましくない。60℃を超えると、微生物等の繁殖がし易くなり、コケの成長が遅延するため好ましくない。 【0020】 養液の肥料濃度は、電気伝導度(mS/cm)で0〜1.0、好ましくは0〜0.2であり、低濃度又は肥料を含まない養液が好ましい。肥料としては通常の肥料(例えばハイポネックス)を用いることができる。肥料濃度が1.0(mS/cm)を超えると、肥料としては濃すぎる為、コケ稚苗の成長が遅延し易くなるため好ましくない。 【0021】 養液には植物ホルモンを含むことが好ましい。植物ホルモンにはエチレン、アブシジン酸、オーキシン(インドール酢酸)、サイトカイ二ン(ゼアチン)、ジベレリン(ジベレリン酸)等が上げられるが、植物成長ホルモンが好ましく、中でもオーキシン、サイトカイ二ン、ジベレリンが好ましい。成長促進効果が大きいためジベレリンが最も好ましい。これらは単独で用いられてもよく混合及び/又は併用して用いられてもよい。植物成長ホルモン濃度は、濃いと生理障害を起こすため通常の園芸用に用いる濃度より千倍程度薄くした0.01〜0.2ppmが好ましく、より好ましくは0.1ppmである。 【0022】 コケの生育には光が必要である。光は自然光でも人工光でもよく光源は特に限られないが、光合成でき、成長を阻害しない波長域の成分を有することが必要である。人工環境下で育成させる場合には、通常の白熱灯、蛍光灯、水銀灯、LED等を用いることができるが、低エネルギーコスト、熱制御の容易さ、メンテナンスの容易さからLEDが好ましく、中でも赤、橙色光を発光するLEDが好ましい。LEDはコケ培養装置に組み込む時は二次元アレー状に配列されたものを用いれば、コンパクトになる。したがって送気管に連結した平型バブラーを有し養液およびコケの配偶体を入れた培養容器と、LEDアレイとを併せ有するものを単位とし同単位を立体的に多数重ねて構成することが容易となる。LEDアレイは低電力量で廃熱も少なく長寿命のため好ましい。 【0023】 光合成有効光量子束密度(PPFD)は200(μmolm−2s−1)以下、特に光合成有効光量子束密度(PPFD)が50(μmolm−2s−1)以下が好ましく更に好ましくは光補償点以上であって20〜30(μmolm−2s−1)である。光量子束密度が高いと、コケ稚苗の成長が遅延し易くなるため好ましくない。なお、養液中でコケ稚苗を生育させる場合は、明暗期を繰り返して調光することが好ましい。特に、24時間またはそれ以下の時間の周期で明暗期を繰り返して生育させることが好ましい。一定周期で明暗期を繰り返すことにより、光合成と代謝のバランスが確保されるため好ましい。従って、例えば最初は12時間ごと、一定期間後6時間ごとにするなど、明暗期のサイクル時間を稚苗の生育に応じて制御することによって、再生芽の繁殖量乃至速度等を制御することができる。 【0024】 光刺激により再生芽が生じる再生芽の方向は重力、光の方向、酸素濃度等の影響を受ける。側芽の成長方向は向光性を有する。養液中で浮遊状態にあるコケ配偶体に360度方向から照光すれば再生芽はあらゆる方向に生じる。このため繁殖した前記再生芽の先端の包絡面が紡錘状をしたコケ稚苗が生じる。一方再生芽の成長方向を光の照射方向により制御することもできるため、コケマットの設計に当たり側芽を伸ばしたい方向から照射すれば、光の入射方向に再生芽が成長する。 【0025】 コケマット支持体にコケ配偶体を充填し、配偶体の自由運動を禁じた状態で養液中で生育させる場合はコケマット支持体の開口面に対し垂直方向から光照射すれば開口部に向けて再生芽が生じる。その状態で養液外に取り出し、更にコケマット支持体の開口面に対し垂直方向から光照射するようにして養生することにより、マット開口部からいわゆるコケの穂がマット面に垂直に揃い伸びたコケマットを生産することができる。 【0026】 一方コケマット支持体にコケ配偶体を充填し、配偶体の自由運動を禁じた状態で養液中で生育させる場合はコケマット支持体の開口面に対し垂直方向から光照射すれば開口部に向けて再生芽が生じる。そのまま養液中で培養を続けることによりマット開口部から再生芽の先端が、いわゆるコケの穂状にマット面に垂直に揃い伸びたコケマットを一挙に生産することができる。 【0027】 また、本発明の方法は、養液中で曝気攪拌など酸素を含む気体を断続的にコケ類の配偶体に接触させ攪拌しながら生育させることが重要である。これにより、元来液中においては枯化又は死滅する再生芽が繁殖し、増殖する。空気などの気体をバブリングして攪拌する方法は曝気攪拌に限定されないが、曝気攪拌が簡便な方法として好ましい。 【0028】 なお、本発明の方法を実施するための装置は、恒温、恒光で環境調整するため完全制御型が好ましく、大量生産に好適な植物工場の前段階を構成することが可能である。したがって、上記方法で得られたコケ稚苗を、植物工場環境でコケマット用媒体に移し養生すれば、大量の配偶体から繁殖し増殖した大量の再生芽が植物工場の制御環境下、特にコンピューター制御下でさらに生育し、大量のコケ群落を生産することができることから、一連の緑化コケ植物の生産工場としてシステム化することができる。 【実施例1】 【0029】 大阪府和泉市の山から採取した野生のスナゴケの一部(茎葉体を有する配偶体)を切断 してコケ片(15mm)をサンプルとし、これら25gを500ミリリットルの培養タンクに入れ、蛍光灯による光合成有効光量子束密度(PPFD)50(μmolm−2s−1)、12時間明暗期、養液温度15℃、肥料濃度0.2(mS/cm)のハイポネックスという完全制御の環境下で、空気をバブリングして攪拌し、稚苗を栽培した。 【0030】 図1はコケ片の栽培開始0日の画像を示す図であり、図2は図1を線図として示した図、 図3同栽培7日目の画像を示す図、図4は図3を線図として示した図であり、図5は栽培 21日目の画像を示す図であり、図6は図5を線図として示した図、図7は同栽培50日 目の画像を示す図、図8は図7を線図として示した図である。画像図はいずれもコケ片を デジタル写真撮影し、それをコンピューター上で画像処理して約3倍に拡大した状態を示 している。 【0031】 図1(図2)に示す様に、栽培0日ではスナゴケの配偶体1には茎葉体4だけが葉柄3 の周囲にあるが、図5(図6)及び図7(図8)に示す様に、栽培21日から50日には 配偶体1の周囲に複数乃至多数の再生芽2が明らかに繁殖し増殖している。再生芽2は枯化又は休眠した葉柄3から繁殖しているものと考えられる。これにより、かかる方法によれば、コケの配偶体1の全周に再生芽2が繁殖した緑化植物に適したコケ稚苗が提供できる。 上記環境条件でコケ稚苗のそれぞれ生育速度は3週間でそれぞれ約5mmであった。これは自然環境で生育速度の約8倍に相当する。 【0032】 また植物工場の前工程として稚苗生産を構成する場合、上記の様な生産方法を採用すると、例えば、栽培量は培養タンクの容量に比例する設計を採用できることから、5リットルタンクで0.25m2分の稚苗を育てることができる。 【実施例2】 【0033】 ポリエチレン製繊維で立体構造状に織ったコケマット支持体である縦5cm横5cm厚さ1.5cmのコケマット用ポリオレフィン立体ネット5に実施例1と同じコケ片(平均15mm長)1を密に充填してコケ片同士を相互に移動を束縛した状態にし、直方体状の立体構造を有する筐体6を形成した。同様にして作製したもう1個の筐体6と合わせ計2個の筐体をハイポネックス1000倍養液7を充満した透明な培養容器8中に上記筐体を筐体の側面が鉛直になるよう浸漬して培養容器8中の透気隔壁9上に固定した。送気管10から空気を圧送し、送気管に取り付けられた平面型バブラー(商品名「エアストーン」図示せず)から筐体6に向けて空気が十分送り込まれるように気泡11を発生させ、バブリングにより養液を攪拌し,培養容器の正面から12時間毎に断続的にポリオレフィン立体ネット5にコケ片を充填した面の被照射面がPPFD50μmolm−2s−1となるよう光を照射し液温を15℃に保ち培養を続けた。コケの生長はコケ単独で養液培養した実施例1とほぼ同様で,3週間で平均約5mmであった。これは自然環境下の生育速度の約8倍に相当する。 【実施例3】 【0034】 実施例2の筐体1個を培養開始時点から3週間後に培養容器から取り出しコンクリート上に置き、通常の養生と同様に水を時々散布し、日光が上から当たる様にして養生しコケマットを得た。 【実施例4】 【0035】 残った1個の筐体を更に5週間培養を継続した。光の照射されたネット面の開口部からコケの再生芽の先端が5mm伸びだしたコケマットが作製された。 【実施例5】 【0036】 養液にジベレリンを0.1ppm濃度にて添加した以外は実施例1と同様にして稚苗を栽培した。コケ稚苗のそれぞれ生育速度は1週間でそれぞれ約5mmであった。 【産業上の利用可能性】 【0037】 本発明の方法によれば、人工的な制御環境下で高速大量のコケ稚苗を生産することができるため、稚苗栽培設備を含むコケ育成用植物工場システムを構築することができる。更にコケマットを高速大量に製造できるので、屋上、屋根、壁面緑化などの建設、環境関連分野に対して、コケ植物を緑化植物としてはじめて実用化することができる。なお、本生産方法によって得られたコケ稚苗は、緑化植物用途に限らず、園芸用、造園用、薬用等など各種用途に適用できる。 【図面の簡単な説明】 【0038】 【図1】コケ片の栽培開始0日の画像を示す図である。 【図2】図1を線図として示した図である。 【図3】同栽培7日目の画像を示す図である。 【図4】図3を線図として示した図である。 【図5】同栽培21日目の画像を示す図である。 【図6】図5を線図として示した図である。 【図7】同栽培50日目の画像を示す図である。 【図8】図7を線図として示した図である。 【図9】実施例2の培養状態を表す模式図である。 【符号の説明】 【0039】 1 配偶体 2 再生芽 3 葉柄 4 茎葉体 5 立体ネット 6 筐体 7 養液 8 培養容器 9 透気隔壁 10 送気管 11 気泡
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| 【出願人】 |
【識別番号】801000061 【氏名又は名称】財団法人大阪産業振興機構
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| 【出願日】 |
平成16年7月26日(2004.7.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100122828 【弁理士】 【氏名又は名称】角谷 哲生
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| 【公開番号】 |
特開2005−253456(P2005−253456A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月22日(2005.9.22) |
| 【出願番号】 |
特願2004−217231(P2004−217231) |
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