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【発明の名称】 樹木への昇降装置
【発明者】 【氏名】松村 輝一

【要約】 【課題】この発明は、安全で負担が少ない枝打ち作業を、簡易な構成で実現できる樹木への昇降装置を提供することを目的とする。

【解決手段】上記の課題を解決するために、本発明に係る樹木への昇降装置1は、作業者を載せるための作業台2と、この作業台2を樹木に支持する支持手段5と、作業台2および支持手段5を樹木に沿って昇降させるための昇降手段17と、昇降手段17を駆動するための駆動手段18を備え、作業者が人力を使うことなく木の上に移動させることができるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者を載せるための作業台と、この作業台を樹木に支持する支持手段と、作業台および支持手段を樹木に沿って昇降させるための昇降手段と、昇降手段を駆動するための駆動手段を有する樹木への昇降装置。
【請求項2】
前記支持手段が、樹木を挟み込むように設けられた樹木を押圧するための複数のガイドローラと、ガイドローラ間の距離を変えるエアシリンダよりなるものである請求項1に記載の樹木への昇降装置。
【請求項3】
前記昇降手段が、爪付きローラを有するものである請求項1に記載の樹木への昇降装置。
【請求項4】
地面を走行するための車輪を有する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の樹木への昇降装置。





【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、枝打ち作業などのために樹木へ作業者が上るための昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
林業において、植林された樹木の枝打ちを定期的に行うことは、品質の高い木材を得るために重要である。これまで、作業者が安全ロープとスパイクを用いて木に上ってチェーンソーや手斧によって枝打していた。この作業は熟練を要するものであるとともに負担が大きいものである。近年、これらの作業に従事する作業者は高齢化しており、枝打ち作業は危険で負担の大きいものとなりつつある。
【0003】
そこで、枝打ち作業を自動化するために、自動化された枝打用ロボットに関する技術がいくつか提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3等)。また、垂直な支柱を設け、この支柱に沿って昇降可能な作業台を設けて、作業員を昇降させる技術も提案されている(特許文献4、特許文献5等)。
【特許文献1】特開2000−125677号公報
【特許文献2】特開2002−315453号公報
【特許文献3】特開平10−191811号公報
【特許文献4】特開平10−323131号公報
【特許文献5】特開平10−52182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力によって樹木に上り、安全ロープ等で安全を確保しながら木の上で枝打ち作業するこれまでの方法は安全性に限界があり、また、高齢化している作業者には負担の大きいものであった。一方、自動化された枝打ちロボットは、装置が複雑かつ大型となり、高価であるとともに森林での取り扱いが不便である。また、樹木の枝の張り方は樹木1本ごとに異なっており、予めプログラムされた操作で全ての樹木に対応することはできない。遠隔操作を行っても、木の上で作業者が作業するように自由自在に装置を操作することはできない。結局、完全に自動化された枝打ちロボットの実用化には時間がかかると思われる。
【0005】
枝打ち作業の全てを自動化機械で行うことよりも、作業者を安全に木の上に運び、枝を切る作業は作業者の手作業にゆだねる方が実用に適している。しかし、特許文献4、特許文献5等に記載されているような垂直な支柱を使う方法では、やはり装置が大規模になり移動や取り扱いに不便である。また、植林される場所の多くは斜面であり、このような垂直な支柱を安定に設置することは困難である。
【0006】
この発明は、安全で負担が少ない枝打ち作業を、簡易な構成で実現できる樹木への昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る樹木への昇降装置は、作業者を載せるための作業台と、この作業台を樹木に支持する支持手段と、作業台および支持手段を樹木に沿って昇降させるための昇降手段と、昇降手段を駆動するための駆動手段を有するものである。支持手段を、樹木を挟み込むように設けられた樹木を押圧するための複数のガイドローラと、ガイドローラ間の距離を変えるエアシリンダよりなるものとしてもよい。また、昇降手段を爪付きローラを有するものとしてもよい。さらに、地面を走行するための車輪を設けても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る樹木への昇降装置は、駆動手段を有する昇降手段によって作業者を昇降させるので、枝打ち作業等における樹木への昇降作業が安全かつ容易になるという効果を有する。簡易な構成であるため、装置は小型となり、森林においても取り扱いやすいという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図1は樹木への昇降装置を示す正面図であり、図2は同平面図である。樹木への昇降装置1は作業者を載せるための作業台2を有する。作業台2は、作業者が腰掛けるための座部3と安全柵4を有し、作業者は図1において右向いた状態、つまり樹木Xの方を向いた状態で座部3に腰掛ける。作業台2は、作業者を安全かつ作業がしやすい状態で保持できるものであれば良く、作業者を立位で載せるようなものでも良い。
【0010】
支持手段5は、樹木Xを抱きかかえるような状態で昇降装置1を樹木Xに対して支持するものである。図3は、支持手段5の詳細を示す正面図であり、図4は同平面図である。ビーム6には2基のガイドローラ7が設けられている。ビーム6の左右両端部はそれぞれ接続部材8によってエアシリンダ9に接続されている。ビーム6とエアシリンダ9は回転自在に接続されており、またボルト(図示省略)等によって着脱可能に固定されており、必要に応じて接続を解除することができる。また、昇降装置1の本体部でビーム6のガイドローラ7と対向した位置にも樹木Xに接触するためのガイドローラ10が設けられている。このビーム6、エアシリンダ9、ガイドローラ7、10の組合せは上下に2組設けられている。
【0011】
図5は支持手段5の圧空源回路を示す説明図である。図5(a)に示すようにこの例では、エア供給源として足踏みポンプ11が設けられている。エア供給源としては、これ以外に電動式の圧縮ポンプ等も使用できる。この足踏みポンプ11に逆止弁12を介してレシーブタンク13が接続されている。レシーブタンク13は、レシーブタンク13内の圧力を表示するエア表示灯14および制御弁15と接続されており、制御弁15より切替器16を通して上下それぞれのエアシリンダ9に圧空を供給できるようになっている(図5(b))。
【0012】
樹木を抱え込むように上下のビーム6を取り付け、切替器16によって空気を遮断した上で、足踏みポンプ11を踏んでレシーブタンク13へ空気を供給する。十分な空気がレシーブタンク13へ供給されことがエア表示灯14によって示されたら足踏みポンプ11を踏むのをやめる。逆止弁12が設けられているので、レシーブタンク13内の空気が逆行することはない。この状態で、切替器16を切り替えるとレシーブタンク13内の空気はエアシリンダ9に供給される。これによって、レシーブタンク13はビーム6を引っ張る。こうして、ガイドローラ7、10は樹木に押し付けられ、支持手段5は作業台2を樹木に対して支持する。支持手段5は回転自在なガイドローラ7、10を介して支持するので、このように支持された状態でも昇降装置1が樹木に対して上下運動することは可能である。また、樹木の太さは高さによって変わるが、制御弁17によってエアシリンダ9内の気圧は一定になっており、ガイドローラ7、10は一定の力で樹木へ押し付けられる。
【0013】
樹木への昇降装置1は、作業台2および支持手段5を樹木に沿って昇降させるための昇降手段17を有する。図6は昇降手段17の詳細を示す正面図であり、図7は図6のA−A矢視図である。本例では昇降手段17を駆動するための駆動手段18としてエンジンを用いているが、電動モータを使用してもよい。駆動手段18はベルト19および切替ギア20を介して、爪付きローラ21に接続されている。また、切替ギア20には切替レバー22が設けられており、駆動力の接続・切断および爪付きローラ21の回転方向の正逆切替えが行えるようになっている。
【0014】
エアシリンダ9へ空気を送り、樹木への昇降装置1を樹木に支持すると、爪付きローラ21の爪が樹木の表面にくい込む。爪付きローラ21の爪は下方向へ力がかかったときに強くくい込むように設けられている。駆動手段18を作動させ、爪付きローラ21が図1、図6において時計方向に回転するように切替ギア20を接続すると、爪付きローラ21が樹木の表面に食い込みながら昇降装置1を上昇させる。こうして、作業者は作業台2に座った状態で、力を使うことなく必要な高さまで上がることができる。必要な高さまで上ったら、駆動手段18を停止するか切替レバー22の操作で駆動力を切断することによって上昇を停止させ、作業者は枝打ち作業を行う。
【0015】
本例では、樹木への昇降装置1の上部に工具入れバスケット23が設けられており、チェーンソーや手斧など枝打ちに必要な道具を入れることができるようになっていて、これらの道具を使って枝打ちを行う。この作業は作業者の人力によって行われるが、作業者が各状態に最も適した作業を判断・選択して行うので、自動化された装置に比べて、柔軟に作業が行われる。樹木への昇降装置1は支持手段5および爪付きローラ21によって支持されているので、作業者は両手を自由に使って、しかも安全に作業が行える。
【0016】
枝打ち作業が終われば、再度駆動手段18を爪付きローラ21に接続して次の作業を行う高さまで移動する。1本の樹木の枝打ちを全て終えたら、切替レバー22を操作して爪付きローラ21を逆転させる。樹木への昇降装置1は下降し、作業者は力を使うことなく地上に降りることができる。
【0017】
接続部材8を開放しビーム6を開いて、枝打ちを終えた樹木から昇降装置1を取り外す。ついで、別の樹木へ昇降装置1を移動させるが、地面を走行するための車輪24が設けられているので、移動は容易である。装置全体も小型であり、傾斜し狭い場所で取り扱いやすい。さらに、本例では、車輪24はベルト25によって切替ギア20に接続されており、駆動手段18によって駆動できるようになっている。
【0018】
以上、森林の樹木の枝打ち作業を例に説明を行ったが、この発明に係る樹木への昇降装置の適用はこれに限定されない。公園や庭の樹木の剪定作業などにも適用できる。はしごや脚立では届かないような高さでも、この発明の樹木への昇降装置を使用すれば、安全で楽に作業を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明は、作業者を安全に木に上らせることができるもので、負担が少なく安全な枝打ち作業が行える林業用の昇降装置として利用できる。また、公園や庭の樹木の剪定作業のためや昇降装置としても利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】樹木への昇降装置を示す正面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】支持手段の詳細を示す正面図である。
【図4】同平面図である。
【図5】支持手段の圧空回路を示す説明図である
【図6】昇降手段の詳細を示す正面図である。
【図7】図6のA−A矢視図である。
【符号の説明】
【0021】
1.樹木への昇降装置
2.作業台
5.支持手段
6.ビーム
7.ガイドローラ
9.エアシリンダ
10.ガイドローラ
17.昇降手段
18.駆動源
21.爪付きローラ
24.車輪


【出願人】 【識別番号】504094903
【氏名又は名称】有限会社マツムラ
【出願日】 平成16年3月10日(2004.3.10)
【代理人】 【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理

【公開番号】 特開2005−253346(P2005−253346A)
【公開日】 平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願番号】 特願2004−68182(P2004−68182)