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【発明の名称】 剪定鋏
【発明者】 【氏名】田中 亨

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の刃体を軸支し、軸支位置よりも基方の柄の開閉操作によって軸支位置よりも先方の刃体の刃縁で木の枝などを切断する剪定鋏において、一方の刃体の外側面に上縁が滑り止め機能を有する滑り止め片を固定し、滑り止め片の上縁を、該滑り止め片を固定した刃体の刃縁よりも上方に突出させたことを特徴とする剪定鋏。
【請求項2】
滑り止め片を刃体に対して着脱自在とし、刃体の刃縁からの突出寸法を調節可能としたことを特徴とする請求項1記載の剪定鋏。
【請求項3】
滑り止め片の上縁が鋸歯形状である請求項1又は2記載の剪定鋏。
【請求項4】
滑り止め片に形成した鋸歯形状の先端が、先方から基方に向けた傾斜方向に突出する請求項3記載の剪定鋏。
【請求項5】
刃体の刃縁全長のうち、刃縁の基部にのみ滑り止め片を設けてなる請求項1ないし4のいずれかに記載の剪定鋸。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、主として樹木の剪定、枝打ちなどに使用する剪定鋏の構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一対の刃体で被切断物を切断する剪定鋏は、主として樹木の剪定などに使用するものであるが、太い枝などを切断する場合に、被切断物である枝と刃体との間に滑りを生じ、被切断物が先方に逃げてしまい、能率的に切断作業を行えないことがあった。このような現象を防止するため、剪定鋏には受け刃となる刃体を凹弧状に湾曲させ、被切断物を抱き込むような形状としたものが広く知られている。
また、被切断物が先方に逃げないように保持させるために、一方の刃体の上縁に凹凸を形成することが試みられている。このような試みは、例えば特許文献1の図1や図2に記載されている。
【特許文献1】特開昭47−1945
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記、従来の剪定鋏のうち、一対の刃体の一方の刃体を凹弧状に湾曲させた剪定鋏では、直線的な刃体のものに比較すると滑りにくいものであるが、剪定作業によっては滑り易い場合がある。すなわち、太くて切断に大きな力が必要なものでは、刃体を大きく開いて被切断物を挟まなければならず、一対の刃体の開き角度が大きくなるほど、被切断物を前方に押し出す大きな合力が発生するため滑り易くなる。特に、大きな切断力を得ようと、刃体の基方部分に被切断物を挟むことになり、刃体の開き角度の関係から、被切断物を先方に押し出す大きな合力が作用する。
【0004】
特許文献1に記載された発明のように、一方の刃体の上縁そのものに凹凸を形成する場合は、その製造が困難であるとともに凹凸形状が比較的単純な形状に実質的に制限され、最も効果的な滑り止め形状、特に複雑で鋭利な鋸歯状といった加工を行うことが困難である。また、枝などを切断する際に、凹凸形状の受け刃と直線的な切り刃によって剪断作用を行うため、鋭利に切断されたきれいな切断面、あるいは鋭利な切れ味を実現することが出来なかった。
このような、従来技術の欠点に鑑み、本発明は太い枝や硬くて切断に大きな力が必要な枝などを剪定する場合であっても、被切断物を滑らせずに確実に保持し、切り刃本来のきれいな切り口、切れ味で剪定することができる剪定鋏を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、一対の刃体1,2を支持軸3によって軸支し、軸支位置よりも基方の柄4,5の開閉操作によって軸支位置よりも先方の刃体の刃縁1a,2aで木の枝などを切断する剪定鋏において、一方の刃体1の外側面に上縁が滑り止め機能を有する滑り止め片7を固定する。そして、滑り止め片7の上縁を、固定した刃体1の刃縁1aよりも上方に突出させる。
【0006】
滑り止め片7は、刃体1,2に対して溶接などの手段で分離不可能な状態に固定するものであってもよいが、ビス9止めなどの固定手段によって着脱自在とすることができる。 この際、例えば滑り止め片7に形成する取り付け孔10を長孔とするなど、滑り止め片7上縁の、刃体1の刃縁1aからの突出寸法を調節可能とするのが好ましい。また、滑り止め片7上縁の形状は、例えば鋸歯形状8とし、鋸歯形状の先端が先方から基方に向けた傾斜方向に突出するするように形成することができる。
なお、滑り止め片7は、刃体1の刃縁1a全長にわたって設けるものであってもよいが、刃体1の刃縁1a全長のうち、刃縁1aの基部にのみ設けるものであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の本発明剪定鋏によれば、太枝などを剪定する際、一方の刃体1外側面において、刃体1の上縁1aから突出している滑り止め片7の上縁に被切断物Aが当接し、滑らないように保持した状態で、一対の刃体1,2の鋭利な刃縁1a,2a部分で切断作用を行うため、確実かつきれいな切り口で切断作業を行うことができる。そして、滑り止め片7は、滑り止め片7として好ましい任意の材質のものを用い、滑り止め片7としてより好ましい形状に加工して用いることができる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、滑り止め片7を刃体1に対して着脱自在とすることによって、滑り止め片7の摩滅などに対して新しいものと容易に交換することができるとともに、被切断物Aの種類や作業者の好みに応じて、より好ましい滑り止め片7を使い分けることができる。また、一つの滑り止め片7を使用する場合であっても、使用の状況に応じて、あるいは作業者の好みに応じて、滑り止め片7上縁の刃体1刃縁1aからの突出寸法を調節して使用することができる。
【0009】
滑り止め片7の具体的な形状として、請求項3記載のように滑り止め片7の上縁を鋸歯形状8とすると、比較的薄い板材を利用し、剪定作業における滑り止めとして効果的なものを比較的容易に実現することができる。その際、請求項4に記載のように、滑り止め片7に形成する鋸歯形状8の先端8aが、先方から基方に向けた傾斜方向に突出するようにしておくと、被切断物Aの滑り止めとしてより効果的である。刃体1の刃縁1a全長のうち、刃縁1aの基部にのみ滑り止め片7を設けた請求項5記載の発明によれば、小さな滑り止め片7によって大きな効果を得ることができ、本発明を安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る剪定鋏の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて説明する。
図1は剪定鋏の刃体部分を受け刃となる刃体側から見た背面図、図2は図1と同じ部分を切れ刃となる刃体側から見た正面図、図3は切断状況を示す刃体部分の背面図、図4は図3のIV−IV線断面図である。
【0011】
剪定鋏には、片手で操作するものや、刈り込み鋏と通称される両手で操作するものなどがある。図1ないし図4は、本発明を両手で操作する刈り込み鋏に応用した実施形態を示すものである。この剪定鋏は、一対の刃体、すなわち受け刃となる刃体1と、切り刃となる刃体2を支持軸3によって軸支し、開閉自在としたものであって、受け刃である刃体1の刃縁1aと、切り刃である刃体2の刃縁2aによって被切断物Aを剪断作用によって切断する。刃体1,2の基方にはそれぞれ柄4,5が固定してあり、この柄4,5の基端部分を持って刃体1,2を開閉させる。刃体1の基部には、開閉操作を円滑に行わせるためのストッパー6が装着してある。
【0012】
受け刃となる刃体1の外側面には、滑り止め7を溶接や接着などの固定手段で着脱できない状態に固定している。刃体1の外表面に固定した滑り止め片7は、刃体1の刃縁1aの曲線に沿った湾曲形状に形成し、湾曲の内側縁を鋸歯形状8に形成している。内側縁を鋸歯形状8に形成した滑り止め片7は、少なくとも鋸歯形状8の先端8aが、刃縁1aよりも突出する位置に固定している。すなわち、図示実施形態においては鋸歯形状8が、滑り止め機能を発揮するものであるが、滑り止め機能を有するものであれば、別の形状であってもよい。また、滑り止め片7の全部もしくは一部を、ゴム材あるいは粗面仕上げのように滑りにくい材質や仕上げ状態に形成することもできる。ゴム材のように滑りにくく、比較的柔軟な材質で滑り止め片を形成する場合は、被切断物Aを傷付ける可能性を少なくすることができる。
【0013】
図示実施形態の滑り止め片7は、図3に示すように、内側縁に形成する鋸歯形状8の先端8aが、刃体1の先方から基方に向く形状に形成している。そして、図2からも理解できるように、少なくとも鋸歯形状8の先端が、刃体1の刃縁1aよりも突出するように固定している。
したがって、被切断物Aを一対の刃体の刃縁1a、2aで切断する場合は、図4に示すように刃体1の外側面において滑り止め片7の鋸歯形状8先端8aが、被切断物Aに食い込んでしっかりと保持し、鋭利な切り刃である刃体2の刃縁2aと、受け刃である刃体1の刃縁1aとの剪断作用によって被切断物Aが切断される。被切断物Aは、刃体1に固定された滑り止め片7の鋸歯形状8によって滑りが防止されるものであるため、鋸歯形状8の先端8aが被切断物Aの表面に食い込む。したがって、被切断物Aが、少しの傷も嫌うものである場合は、受け刃である刃体1が切り取られる部分に当接するように使用するのが好ましい。
【0014】
刃体1と刃体2で被切断物Aを挟んで切断力を加えた場合、刃体2によって被切断物Aに作用する力F1は、刃縁2aと直交する方向の力である。同時に、反力として刃体1によって被切断物Aに作用する力F2は、刃体1の刃縁1aと直交する方向の力である。そして、力F1とF2は、その方向が異なるため、合成力として被切断物Aを外方に押し出す合力F3が発生する。
【0015】
被切断物Aを外方に押し出す合力F3は、被切断物に接する刃体1,2の刃縁1a,2aの角度の違いに起因するものであるから、刃体1,2を大きく開くほど、また刃縁の回動中心に近づくほど大きくなる。すなわち、被切断物Aを外方に押し出す合力F3は、刃体1,2を大きく開いて、力が入り易いように刃縁のなるべく基部で太い枝を切断しようとする場合に、より大きな力として作用する。したがって、刃縁1aからの鋸刃形状の突出寸法は、前記被切断物を押し出す合力F3を支持することができる突出寸法であるとともに、鋸歯形状8の先端8aが被切断物をしっかりと受け止めるように、滑り止め片7に形成する鋸歯形状8の先端8aは、先方から基方に向けた傾斜方向に突出するようにしておくのが、より好ましい。また、先端8aの刃縁1aからの突出寸法を、基方部分において大きく突出させ、先方に向けて突出寸法が小さくなるものであってもよい。
【0016】
滑り止め片7は、図1ないし図4に示すように、刃体1の外側面に分離不可能な状態に固定するものであってもよいが、図5に示すように、ビス9,9によって着脱自在としておくと、必要に応じて滑り止め片7を異なった形状のものと交換することができる。この場合、ビス9による取り付け位置が一致するものであれば、全く別形状の滑り止め片7を取り付けて使用することができる。また、図6に示すように、例えば滑り止め片7に形成する取り付け孔10を長孔とするなど、滑り止め片7上縁の、刃体1の刃縁1aからの突出寸法を調節可能としておくと、作業者の好みや被切断物の種類などに応じて、最も適した突出寸法に調節して利用することができる。
【0017】
剪定鋏として、図1に示す実施形態では、受け刃となる刃体1を湾曲させているが、図7に示すように、直線的な刃体の剪定鋏に応用することができること、勿論である。特に直線的な刃体の剪定鋏では、図8に示すように被切断物Aを先方に押し出す力F3が大きく滑りやすいものであるが、本発明に係る滑り止め片7を配置することによって、確実な剪定を行うことが可能となる。
【0018】
滑り止め片7は、必ずしも刃縁1aの全長にわたって配置する必要はない、先にも述べたように、被切断物Aを先方に押し出す合力F3は刃体1,2の基部での切断作業時に大きな力として作用し、被切断物Aが滑るという現象が顕著に現れる。この点に鑑み、図7に示す実施形態では、刃体1の基部にのみ全体として比較的小さな滑り止め片7を設けている。図7、図8に示す実施形態では、一対の刃体1,2のうち、一方の刃体1の基部にのみ滑り止め片7を固定している。
【0019】
図7、図8に示す実施形態に示すものでは、被切断物Aが滑り易い部分での切断作業時に、効果的に被切断物Aの滑りを防止することができる。すなわち、小さな滑り止め片7によって大きな効果を得ることができる。滑り止め片7を固定する部分は、安定良く固定するために平面としている。すなわち、刃体1の滑り止め片7を固定する部分は刃体1の肉厚であって、その内側縁が刃縁となっている。そして、刃体1の滑り止め片7よりも先方の部分には鋭利な刃縁を形成することによって、より鋭利な切れ味を実現している。
なお、図示実施形態では、いずれも柄の形状について詳述していない。図面では、一対の柄を両手で操作する刈り込み鋏の状態を例示しているが、このようなものに限らず、片手で握って操作をする通常の剪定鋏の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は剪定鋏の刃体部分を受け刃となる刃体側から見た背面図、
【図2】図2は図1と同じ部分を切れ刃となる刃体側から見た正面図、
【図3】図3は切断状況を示す刃体部分の背面図、
【図4】図4は図3のIV−IV線断面図、
【図5】ビス止め式の滑り止め片を使用する実施形態の刃体の一部分の背面図、
【図6】図5のVI−VI線断面図、
【図7】別の実施形態を示す剪定鋏の、刃体部分を受け刃となる刃体側から見た背面図
【図8】図8は図7の実施形態に係る剪定鋏によって被切断物を切断する状態を示す背面図。
【符号の説明】
【0021】
1,2…刃体、 1a、1b…刃縁、 3…支持軸、 4,5…柄、 6…ストッパー、 7…滑り止め片、 8…鋸歯形状、 8a…先端、 9…ビス、 10…取り付け孔。
【出願人】 【識別番号】599097902
【氏名又は名称】金星大島工業株式会社
【出願日】 平成16年3月10日(2004.3.10)
【代理人】 【識別番号】100103654
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦

【識別番号】100087996
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 進

【識別番号】100118522
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦

【公開番号】 特開2005−253329(P2005−253329A)
【公開日】 平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願番号】 特願2004−67083(P2004−67083)