| 【発明の名称】 |
電子レンジとポリエチレン袋を用いた低コスト植物無菌培養システム |
| 【発明者】 |
【氏名】数馬 俊晴
【氏名】岩本 祐佳
【氏名】下野 和彦
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| 【要約】 |
【課題】電子レンジとポリエチレン袋を用い、吊り下げて培養することにより、低コストで植物を無菌培養する方法を得る。
【解決手段】市販の家庭用電子レンジにより滅菌した培地を、培養容器として市販のポリエチレン袋に分注し、植物体を植え付け後に密封して無菌的に培養することが可能である。また、吊り下げて培養することが可能であるため培養スペースを立体的に利用できることから頗る低コストで培養植物を得ることが可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 市販の電子レンジを用いて植物培養用培地を滅菌する方法 【請求項2】 植物培養容器として市販のポリエチレン袋を用いる方法 【請求項3】 培養容器を吊り下げて植物を無菌培養する方法
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【発明の詳細な説明】【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は植物を無菌的に培養する方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の植物無菌培養では、培地の滅菌は、120℃で15分間行うため、滅菌のため高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)を必要とし、ガラス容器等耐熱性のある容器や高圧滅菌に耐える樹脂容器を用いて培養することが必要である。また、培養容器は、ガラス容器等の成形されたものであるため、床面や棚面に置く必要がある。 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 植物体を無菌的に培養するためには、植物の生育に必要な栄養分を含んだ培地を滅菌して、かつ細菌や菌類などの雑菌が増殖しないようにガラス製等の密閉できる容器の中に充填することが必要である。 【0004】 このように作成した培養容器の中に無菌植物体を植え付けたり、消毒した種子を無菌播種し、蛍光灯や空調機で環境制御された室内で培養することにより、短期間に効率的に植物を培養・育成することが可能となる。 【発明が解決しようとする手段】 【0005】 本発明では、培地の滅菌に電子レンジを用いる。電子レンジは市販の家庭用でも利用できる。培地1リットル当たり、電子レンジの加熱時間は500w以上の機種の強加熱で18〜25分間加熱することにより、ほぼ完全に滅菌が可能である。 【0006】 滅菌した培地を無菌条件下でポリエチレン袋に分注する。分注後は口を2回折りたたみ輪ゴムで縛り、その後は室内に置く。培地を分注したポリ袋は培地が固化するまで、静置する。 【0007】 ポリ袋への植物の植え付けはクリーンベンチなど無菌操作ができる装置下で行う。ポリ袋の口を開け、通常のガラス容器での操作と同じように植物体を植え付ける。植え付け後は、ポリ袋の口を5mm幅で2回折りたたみ、10cmの長さのビニール被覆針金(クイックタイなど)で巻き付けて縛る。このとき吊り下げるため、ビニール被覆針金の端3〜4cmをポリ袋に巻かずに残しておく(図2)。 【0008】 吊り下げる方法は、吊り下げて培養する場所に12番程度の太さのビニール被覆針金等を張り、これにポリ袋の端から出たビニール被覆針金を巻付ける(図3)。 培養環境は従来のガラス容器等での培養に準じる。 【発明実施の形態】 【0009】 図1に示すように、培地を作製し、電子レンジで滅菌し、無菌条件下でポリ袋に分注し、無菌植物を植え付け、培養室内で吊り下げて培養する。 【実施例】 【0010】 次に実施例により本発明の詳細を説明するが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。 実施例1 2003年8月10日にMS培地(植物無菌培養用の代表的培地)1リットルを市販の電子レンジ(550W)で20分間加熱殺菌し、クリーンベンチ内で滅菌したピペットを用い、市販の6号ポリエチレンビニール袋(厚さ0.03mm、幅100mm、長さ210mm)に30CCづつ分注した。分注後に袋の口を二重に折りたたみ輪ゴムで縛った後、室内に移し培地が固化するまで静置した。ポリ袋培地の滅菌状況を確認するため、植物を移植しないで培地のみで3週間後に調査したところ、240袋すべてで細菌および菌類による汚染は確認されなかった。さらに6か月間放置しても細菌および菌類による汚染はなかった。 【0011】 実施例2 電子レンジの培地加熱時間と雑菌汚染の関係を調査するため、加熱時間を10、15、18、20および25分間と変えて調査したところ、25分間加熱で完全に滅菌できたが、18分間以上加熱することにより実用的な滅菌が可能であった(表1)。 【0012】 実施例3 培地に使用する水を蒸留水と水道水を用い菌汚染状況を調査した結果、使用する水の種類の違いが雑菌汚染に対する影響は認められなかった(表2)。 【0013】 実施例4 培養コストを試算したところ、ポリ袋1袋当たりの経費は約5円であり、従来のガラス培養容器培養の1瓶155円に比べて、約30分の1のコストであった。 【0014】 実施例5 2003年10月15日にMS培地(植物無菌培養用の代表的培地)1リットルを市販の電子レンジ(500W)で20分間加熱殺菌し、クリーンベンチ内で滅菌したピペットを用い、市販の6号ポリエチレンビニール袋に30ccづつ分注した。分注後に袋の口を二重に折りたたみ輪ゴムで縛った後、培養室内に移し培地が固化するまで放冷した。ポリ袋培地の滅菌状況を確認するため、植物を移植しないで培地のみで3週間後に調査したところ、159袋中2袋で細菌による汚染が確認された。菌類による汚染はなかった。 さらに4か月間放置しても細菌および菌類による汚染はなかった。 【0015】 実施例6 実施例2と同様な方法で2003年12月10日にポリ袋培地を155袋作成し、3週間後に調査したところ、2袋で細菌による汚染が確認された。菌類による汚染はなかった。 作成したポリ袋培地にユリ鱗片、ユリ実生苗、サギソウ実生苗およびエビネ実生苗を植え付けて、苗の生育状況を調査した結果、従来のオートクレーブ滅菌、瓶培養に比較して生育は劣らなかった(表3)。また吊り下げ方式培養は従来の床置き静置培養に比べて劣らなかった(表4)。 【発明の効果】 【0016】 本発明は、以上説明したように培地の滅菌は市販の家庭用電子レンジを用いることが可能であるため、高圧蒸気滅菌器のような滅菌用の高価な専用の機器が不必要となる。また、培養容器として市販の安価なポリエチレン袋を利用できる。さらに培養期間中に吊り下げ方式で培養できることから培養施設の空間利用効率が高まる。培養苗を出荷する場合、培養容器がガラス瓶に比較して軽量で嵩張らない、容器を回収する必要がないなど出荷経費も安くおさえることができるため、生産した培養苗を遠距離輸送、例えば輸出するような場合は頗る有利である。 上述したように本法は、従来一般的に行われている培養システムに比較して著しいコスト低減が可能な簡易植物培養システムである。本法を用いることにより、一般国民が無菌培養を手軽に行えるとともに、我が国で育成した優秀な品種の無菌培養苗を輸出する際のコスト低減が図られるなど、我が国の種苗産業の発展にも貢献できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 培養システムの流れ図である。 【図2】 ポリ袋を用いた培養の模式およびビニール被覆針金を用いたポリ袋の口の閉じ方および吊り下げ加工法を示したものである。 【図3】 ポリ袋の吊り下げ培養法を示したものである。 【表1】 電子レンジの培地加熱時間と雑菌汚染の関係を示したものである。 【表2】 培地に使用する水の種類の違いが電子レンジ加熱による滅菌に及ぼす影響を示したものである。 【表3】 ポリ袋培養と瓶培養の培養植物の生育を示したものである。 【表4】 ポリ袋を用いた吊り下げ培養と床置き静置培養の培養植物の生育を示したものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592029256 【氏名又は名称】福井県
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| 【出願日】 |
平成16年3月6日(2004.3.6) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−245424(P2005−245424A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月15日(2005.9.15) |
| 【出願番号】 |
特願2004−109495(P2004−109495) |
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