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【発明の名称】 長芋類の育成容器
【発明者】 【氏名】渡邉 健司
【住所又は居所】福岡県北九州市門司区新門司1−9−6 カースル株式会社内

【氏名】宇都宮 ▲高▼志
【住所又は居所】福岡県北九州市門司区新門司1−9−6 カースル株式会社内

【要約】 【課題】狭い設置スペースでも簡便に長芋類を栽培し、給水の頻度が低減し、種芋や新芋が水抜き孔から出にくく、保管が容易な長芋類を育成可能な長芋類の育成容器を提供する。

【解決手段】容器本体11の底部の中央部に隆起部12を設け、自然薯20をとぐろを巻くように育成するので、設置スペースに制約がある場所でも自然薯20を簡便に栽培できる。しかも、とぐろを巻いた自然薯20はコンパクトなので、カットせずまるごと収納箱などに保管できる。また、容器本体11の水抜き孔14が隆起部12の頂上部にあるので、環状の育成空間aは容器本体11の水溜め部を兼ねて、給水の頻度が低減できるとともに、種芋や成長した芋が水抜き孔14から外部に出にくい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部が形成され、長芋類と土とが収納される容器本体と、
該容器本体の底部に一体形成され、該容器本体の内側に向かって隆起することにより、該容器本体の底部内に長芋類を育成する環状の育成空間を画成する隆起部とを備え、
前記隆起部の頂上部には、前記長芋類の外部への逃げ出しを防止するとともに、前記容器本体内に供給された水を排水する水抜き孔が形成された長芋類の育成容器。
【請求項2】
上面に開口部が形成されるとともに底部に排水孔が形成され、長芋類と土とが収納される容器本体と、
該容器本体の底部に着脱自在に設けられ、該容器本体の内側に向かって隆起することにより、該容器本体の底部内に長芋類を育成する環状の育成空間を画成する隆起部とを備え、
前記隆起部の頂上部には、前記長芋類の外部への逃げ出しを防止するとともに、前記容器本体内に供給された水を、前記排水孔を通して排水する水抜き孔が形成された長芋類の育成容器。
【請求項3】
上面に開口部が形成され、長芋類と土とが収納される容器本体と、
該容器本体の底部に横置きされ、起伏を繰り返す波の各伏部で長芋類をそれれ育成可能な芋育成用波板とを備え、
前記容器本体の底部には、前記長芋類の外部への逃げ出しを防止するとともに、前記容器本体内に供給された水を排水する水抜き孔が形成された長芋類の育成容器。
【請求項4】
前記芋育成用波板は上下に複数枚積層され、
隣接した芋育成用波板同士は波長方向が交差した状態で積層され、上層の芋育成用波板は下層の芋育成用波板より短尺となった請求項3に記載の長芋類の育成容器。
【請求項5】
前記容器本体の開口部には、透明または半透明の筒状カバーが連通され、
該筒状カバーには、土およびまたは肥料の投入口が形成された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の長芋類の育成容器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は長芋類(長芋、山芋、自然薯、その他の長尺型根菜類)の育成容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長芋類の栽培箱として、特許文献1に記載されたものが知られている。
すなわち、特許文献1の長芋類の栽培箱は、断熱材からなり、底部の一端に開口部を有する横長な箱体と、水抜き孔が形成されて、箱体を閉鎖する横長な蓋材とを備えている。箱体内には培土材を投入し、開口部側に種芋を植えて育土材を被せた後、箱体の開口部を蓋材により閉じる。このとき、蓋材は粘着テープにより密閉される。
組み立て後の箱体は、上下反転して種芋側を上に向け、傾斜台により傾斜配置する。この状態のまま所定期間栽培すると、育土材の中に新芋が横長に成長していく。
【特許文献1】特開平11−18563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような特許文献1の長芋類の栽培箱にあっては、以下に示す課題があった。
すなわち、横長な箱体を使用して新芋を育成するため、マンションのベランダや台所などでは、スペース的な制約で長芋類を栽培できないことが多々あった。また、複数本の新芋を1つの横長な箱体内で育成する場合、成長途中で新芋同士が絡み合うおそれがあった。
さらに、水抜き孔は、蓋体の壁板に穿たれただけであった。そのため、傾斜状態の箱体内に散水すると、水が育土材や培土材を浸透し、短時間で水抜き孔から排水されていた。そのため、頻繁に給水する必要があった。しかも、小さい種芋や成長した新芋が、水抜き孔から外部に出るおそれもあった。
さらにまた、栽培された長芋類は長尺であるため、小さい収納箱などでは、1本まるごと保管することはできなかった。そのため、長芋類は1本物を数本に短くカットしなければならず、手間がかかるとともに、切り口から灰汁が出て長芋類の傷みがはやまっていた。
【0004】
この発明は、狭い設置スペースでも簡便に長芋類を栽培することができ、また給水の頻度を低減させることができるとともに、小さい種芋や新芋が水抜き孔から外部に出にくく、しかも保管が容易な形状を有する長芋類を育成可能な長芋類の育成容器を提供することを目的としている。
この発明は、長芋類の育成容器の部品点数を削減し、低コスト化を図ることができる長芋類の育成容器を提供することを目的としている。
この発明は、隆起部の損傷時に、容器本体ごとではなく隆起部だけの交換が可能な長芋類の育成容器を提供することを目的としいる。
この発明は、複数本の長芋類を同時に育成することができる長芋類の育成容器を提供することを目的としている。
この発明は、積層された複数の芋育成用波板の伏部内で、多数本の長芋類を成長に支障なく同時に栽培することができる長芋類の育成容器を提供することを目的としている。
この発明は、はっぱの光合成に支障がなく、周辺への落ち葉の飛散を防止し、かつ長芋類の育成中、土や肥料を容器本体内に適宜補充することができる長芋類の育成容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、上面に開口部が形成され、長芋類と土とが収納される容器本体と、該容器本体の底部に一体形成され、該容器本体の内側に向かって隆起することにより、該容器本体の底部内に長芋類を育成する環状の育成空間を画成する隆起部とを備え、前記隆起部の頂上部には、前記長芋類の外部への逃げ出しを防止するとともに、前記容器本体内に供給された水を排水する水抜き孔が形成された長芋類の育成容器である。
【0006】
請求項1の発明によれば、容器本体の底部に隆起部を一体形成したので、容器本体の底部内に長芋類を育成する環状の育成空間が画成される。そのため、長芋類は環状の育成空間で、隆起部を中心にしてとぐろを巻くように育成される。これにより、例えば台所、ベランダ、駐車場などの設置スペースに制約がある場所でも長芋類を、従来のように組み立てた箱体を上下反転し、その後、傾斜台により傾斜配置する従来容器に比べて簡便に栽培することができる。しかも、とぐろを巻いた長芋類は短くカットすることなく、1本まるごと、例えば収納箱などに収納することができる。
また、容器本体の水抜き孔は隆起部の頂上部に形成されている。そのため、環状の育成空間は容器本体の水溜め部を兼ねる。その結果、給水の頻度が低減されるとともに、小さい種芋や成長した芋が水抜き孔から外部に出にくい。
【0007】
長芋類とは、長芋、山芋、自然薯、長尺根菜類を含むものである。
容器本体および隆起部の素材は任意である。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABSなどの合成樹脂を採用することができる。その他、ステンレス、硬質アルミニウムなど耐蝕性を有する各種の金属、各種の陶磁器、各種の木材などを採用することができる。
容器本体は、長芋類の育成容器の収納スペースを小さくするため、縦長な容器である方が好ましい。縦長な容器とは、水平方向の最大長さよりも垂直方向の長さ(高さ)が長い容器のことである。
【0008】
容器本体の形状としては、例えば平面視して円形、楕円形、三角形以上の多角形などを採用することができる。その他、任意の形状でもよい。
容器本体の容量は限定されない。例えば、主婦が取り扱いやすい2〜50リットルが好ましい。
隆起部の形状は限定されない。例えば、円錐形状、角錐形状、半球形状などでもよいし、三角形以上の多角形状でもよい。要は、容器本体の底部内に、長芋類を育成する環状の育成空間を画成可能な形状および大きさであればよい。
隆起部の高さは3〜10cmである。3cm未満では、成長中の長芋類が隆起部を簡単いよじ登り、水抜き孔から抜け出そうとする。また、10cmを超えると環状の育成空間が深すぎて、環状の育成空間に多量の水が溜まり、長芋類が根腐れするおそれがある。
【0009】
水抜き孔の大きさは、長芋類の種芋や成長中の新芋などが外部に出ないサイズでなければならない。できれば、長芋類の種も出ない大きさが良い。具体的には、一般的な種芋が5〜10mmであることから5mm未満である。5mmを超えると芋類が水抜き孔から逃げ出すおそれがある。水抜き孔の好ましい直径は2〜5mmである。この範囲であれば、水抜き孔が目詰まりを起こし難く、芋類が水抜き孔から逃げ出し難い。水抜き孔には、通水用の隙間をあけて蓋を被せてもよい。
水抜き孔の形状は任意である。例えば平面視して円形、楕円形、三角形以上の多角形などでもよい。水抜き孔の形成数は任意である。
水抜き孔が形成される隆起部の頂上部は、平坦面でもよいし、屈曲面または湾曲面でもよい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上面に開口部が形成されるとともに底部に排水孔が形成され、長芋類と土とが収納される容器本体と、該容器本体の底部に着脱自在に設けられ、該容器本体の内側に向かって隆起することにより、該容器本体の底部内に長芋類を育成する環状の育成空間を画成する隆起部とを備え、前記隆起部の頂上部には、前記長芋類の外部への逃げ出しを防止するとともに、前記容器本体内に供給された水を、前記排水孔を通して排水する水抜き孔が形成された長芋類の育成容器である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、容器本体の底部に隆起部を配置することで、容器本体の底部内に長芋類を育成する環状の育成空間が画成される。そのため、長芋類は隆起部を中心にして、環状の育成空間でとぐろを巻くように育成される。これにより、例えば台所、ベランダ、駐車場などの設置スペースに制約を有した場所でも長芋類を簡便に栽培することができる。しかも、得られた長芋類は短くカットすることなく、1本まるごと収納箱などに入れて保存することができる。
また、容器本体の水抜き孔は隆起部の頂上部に形成されているので、環状の育成空間は容器本体の水溜め部を兼ねる。その結果、給水の頻度が低減されるとともに、小さい種芋や成長した芋が水抜き孔から外部に出にくくなる。
【0012】
さらに、隆起部を容器本体と別体としたので、隆起部が損傷した場合、コスト高となる容器本体ごとの交換ではなく、隆起部だけの交換が可能になる。また、何らかの原因により容器本体の底部に穴が開いたとしても、その穴は隆起部によって上方から被われている。これにより、長芋類の育成に何ら支障はない。
隆起部は、容器本体の底部の上面(内面)に対して、単に載置しただけでもよい。その他、フックによる掛止状態、凹凸部による嵌合状態、紐やベルトなどによる締結状態、ねじ構造による螺合状態などで配置されてもよい。要は、隆起部が容器本体に着脱自在であればよい。
【0013】
請求項3に記載の発明は、上面に開口部が形成され、長芋類と土とが収納される容器本体と、該容器本体の底部に横置きされ、起伏を繰り返す波の各伏部で長芋類をそれれ育成可能な芋育成用波板とを備え、前記容器本体の底部には、前記長芋類の外部への逃げ出しを防止するとともに、前記容器本体内に供給された水を排水する水抜き孔が形成された長芋類の育成容器である。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、容器本体の底部に芋育成用波板を横置きし、例えば芋育成用波板の各伏部に種芋をそれぞれ配置することにより、複数本の長芋類を同時に育成することができる。すなわち、各長芋類は対応する伏部内において、各伏部の長さ方向にそれぞれ成長する。その結果、多数本の長芋類を、前記従来手段に比べて簡便に栽培することができる。
また、容器本体の底部には、長芋類の外部への逃げ出しを防ぐ水抜き孔が形成されている。そのため、小さい種芋や成長した芋が水抜き孔から外部に出にくくなる。
【0015】
芋育成用波板の素材は限定されない。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABSなどの合成樹脂を採用することができる。その他、ステンレス、硬質アルミニウムなど耐蝕性を有する各種の金属、各種の陶磁器、各種の木材などを採用することができる。
芋育成用波板の大きさ(広さ)、芋育成用波板の波の高さ(高低差)は限定されない。
芋育成用波板が容器本体の底部で横置きされるとは、芋育成用波板の波長方向(波の起伏の連続方向)を容器本体の底面に沿わせて(底面の接線方向と波長方向とが平行)、芋育成用波板を容器本体の底部に配置することをいう。
芋育成用波板の使用枚数は限定されない。また、複数枚の芋育成用波板を使用する場合、芋育成用波板は厚さ方向に重ねてもよいし、平面的に並べてもよい。
水抜き孔は、長芋類(種芋を含む)の外部への逃げ出しを防止できるサイズであればよい。水抜き孔の形状は問わない。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記芋育成用波板は上下に複数枚積層され、隣接した芋育成用波板同士は波長方向が交差した状態で積層され、上層の芋育成用波板は下層の芋育成用波板より短尺となった請求項3に記載の長芋類の育成容器である。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、複数枚の芋育成用波板を、下層より上層の方が短尺で、しかも隣接した芋育成用波板同士の間では波長方向を交差させて積層している。そのため、下層の比較的長尺な芋育成用波板の各伏部で成長した長芋類は、比較的短尺な上層の芋育成用波板と容器本体の側板との隙間から上方に延び、芽が出る。また、上層の芋育成用波板の各伏部で成長した長芋類は、そのまま上方に延びて芽が出る。
このように、上下配置された芋育成用波板を、下層のものより上層のものの方を短尺とし、かつ隣接した芋育成用波板同士は、互いの波長方向を交差させるように積層したので、各層の芋育成用波板の伏部を利用し、多数本の長芋類を同時に栽培することができる。
【0018】
芋育成用波板の積層枚数は限定されない。2枚以上であればよい。隣接した芋育成用波板同士は波長方向が交差した状態で積層される。交差角度は限定されない。例えば、上下に隣接する芋育成用波板同士が直交配置となる90°でもよい。要は、芋育成用波板の積層時や土中への埋設時などにおいて、上下配置された芋育成用波板の起伏が、簡単に重なり合わない交差角度での積層であればよい。
上層の芋育成用波板と下層の芋育成用波板との長さの差は限定されない。下層の芋育成用波板により成長した長芋類の芽が、地面に向かって延びる隙間が形成されればよい。具体的には、数mm〜数十cmである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記容器本体の開口部には、透明または半透明の筒状カバーが連通され、該筒状カバーには、土およびまたは肥料の投入口が形成された請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の長芋類の育成容器である。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、容器本体の開口部が透明または半透明の筒状カバーにより被われているので、長芋類の葉っぱの光合成に支障がなく、かつ落ち葉の周辺への飛散を防止することができる。また、育成途中、筒状カバーの投入口を介して、生ゴミなどの肥料や土などを容器本体内に適宜補充することができる。
【0021】
筒状カバーは光合成用の光が透るように透明でもよいし、半透明でもよい。
筒状カバーとしては、例えば容器本体の開口部に立設された支柱に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの各種の合成樹脂フィルムや各種の布帛(織布、不織布、編布)を展張したものでよい。支柱の素材としては、例えば各種の合成樹脂、竹、鉄筋などを採用することができる。他の筒状カバーとしては、例えば各種の合成樹脂板からなる円筒体や角筒体などでもよい。
容器本体の開口部に筒状カバーが連通されるとは、容器本体の内部空間と筒状カバーの内部空間とが連続した状態で、容器本体と筒状カバーとが結合されていることをいう。
投入口の形状、大きさは限定されない。また、筒状カバー上における形成位置も限定されない。投入口には、肥料や土が投入されない通常時に、投入口を閉じる蓋体を設けてもよい。
投入口から投入されるのは、土だけでもよいし、肥料だけでもよい。また、土と肥料との両方でもよい。
肥料は限定されない。例えば、家庭から出る生ゴミなどでもよい。
【発明の効果】
【0022】
請求項1または請求項2に記載の発明によれば、容器本体の底部に隆起部を設けたので、長芋類は環状の育成空間でとぐろを巻くように育成される。そのため、設置スペースに制約を有する場所でも長芋類を、従来のような組み立てた箱体を上下反転し、その後、傾斜台により傾斜配置するものに比べて簡便に栽培することができる。しかも、栽培された長芋類はとぐろを巻いてコンパクトであるので、1本まるごと収納箱などに保管することができる。
また、容器本体の水抜き孔が隆起部の頂上部に形成されているので、環状の育成空間は容器本体の水溜め部を兼ねることになる。そのため、給水の頻度が低減されるとともに、小さい種芋や成長した芋が水抜き孔から外部に出にくい。
【0023】
特に、請求項1に記載の発明によれば、隆起部を容器本体と一体としたので、長芋類の育成容器の部品点数を削減し、低コスト化を図ることができる。また、請求項2に記載の発明によれば、隆起部を容器本体と別体としたので、隆起部が損傷した場合、容器本体ごとの交換ではなく、安価な隆起部だけの交換が可能となる。また、容器本体の底部に穴が開いた場合でも、これは隆起部により上方から被われているため、長芋類の育成に何ら支障はない。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、容器本体の底部に芋育成用波板を横置きし、例えば芋育成用波板の各伏部に種芋をそれぞれ配置することで、複数本の長芋類を同時に育成することができる。
また、容器本体の底部に、長芋類の外部への逃げ出しを防止する水抜き孔を形成したので、種芋や成長した芋が水抜き孔から外部に出にくい。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、上下配置された芋育成用波板を、下層のものより上層のものの方を短尺とし、隣接した芋育成用波板同士は、互いの波長方向を交差させた状態で積層したので、各層の芋育成用波板の伏部内で、多数本の長芋類を同時に栽培することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、容器本体の開口部を透明または半透明の筒状カバーにより被うように構成したので、葉っぱの光合成に支障がなく、かつ落ち葉の周辺への飛散を防止することができる。また、育成途中、筒状カバーの投入口を介して、土や肥料などを容器本体内に適宜補充することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0028】
図1〜図3において、10はこの発明の実施例1に係る長芋類の育成容器で、この長芋類の育成容器10は、上面に開口部が形成され、自然薯(長芋類)20と土21とが収納される容器本体11と、容器本体11の底部の中央部に一体形成され、容器本体11の内側に向かって隆起することで、容器本体11の底部内に自然薯20を育成する環状の育成空間aを画成するための隆起部12と、容器本体11の開口部に連通された筒状カバー13とを備えている。
【0029】
容器本体11は、容量30リットルのポリ塩化ビニル製の上方に向かって徐々に拡径化した円筒容器で、容器本体11の底板には、その中心部を中心にして、なだらかな山形状に隆起した隆起部12が一体的に形成されている。隆起部12の高さは5cmである。この高さであれば、成長中の自然薯20が環状の育成空間aから逃げ出さないとともに、環状の育成空間aに溜まった水で自然薯20が根腐れを起こしにくい。隆起部12の頂上部は平坦である。この平坦部には、自然薯20の外部への逃げ出しを防止するとともに、容器本体11内に供給された水を排水する多数の水抜き孔14が、容器本体11の中心軸を中心にして放射状に配列されている。各水抜き孔14の直径は、自然薯20の種芋(直径約5mm)が抜け出ない3mmである。
【0030】
筒状カバー13は、上方に向かって徐々に先細り化した筒体で、容器本体11と略同じ長さを有する。筒状カバー13は、支持枠15と、支持枠15を外方から被うカバーシート16とを有している。支持枠15はポリプロピレン製で、筒状カバー13の周方向に向かって90°配置された4本の細長い支柱15aと、各支柱15aの先端が一括して連結された連結リング15bとを有している。
カバーシート16は、半透明なポリエチレンフィルムからなる。カバーシート16の下部の一部分には、土21や肥料を補充する矩形状の投入口17が形成されている。投入口17を通して、土21、水、肥料などを補給したり、容器本体11内の様子を外部から観察する。投入口17は、暖簾タイプのシート蓋18により外方から開閉自在に塞がれている。シート蓋18は、カバーシート16と同じ素材からなる。筒状カバー13は、不必要であれば取り外してもよい。
【0031】
次に、この発明の実施例1に係る長芋類の育成容器10による自然薯20の育成方法を説明する。
容器本体11内に所定量の土21を入れ、長芋の種芋を土21の中に埋める。土21は畑で使用されているものを採用している。その他、植木鉢などに残った園芸用の土などでもよい。容器本体11に所要量の土21が投入されるため、長芋類の育成容器10としてはかなりの重量となる。これにより、長芋類の育成容器10の転倒がなくなり、容器として安定する。このとき、土21の中に家庭の生ゴミなどを入れてもよい。この場合の生ゴミは土21で覆う。すなわち、長芋類の育成容器10は、生ゴミを肥料とした生ゴミ処理装置としても活用することができる。そして、土21に生ゴミなどを混ぜ合わせて堆肥を造り、これを使用してもよい。その際、前述しように隆起部12の各水抜き孔14は直径3mmで、種芋より小さい。そのため、水抜き孔14を通って種芋(成長中の新芋も同じ)が外に出るおそれはない。
その後、容器本体11の開口部上に筒状カバー13を被せる。これにより、葉っぱの光合成に支障がなく、かつ殊に秋季において、落ち葉の周辺への飛散を防止することができる。しかも、筒状カバー13の内部空気の保温性および保湿性高まり、土中の温度を自然薯20の育成に適した温度および湿度に保持しやすい。筒状カバー13は、上方に向かって先細り形状となっている。そのため、開口部の存在により容器本体11内の通気性は良好となるが、ごみや埃は容器本体11に侵入しにくい。
【0032】
また、容器本体11の底板には、末広がりの山形状を有する隆起部12が、容器本体11の内側に突出した状態で一体形成されている。これにより、容器本体11の底部の外周部には水溜め部を兼ねた環状の育成空間aが画成される。その結果、たっぷりと給水しておけば、長期間給水しなくても長芋が枯れることはない。これにより、一定期間内における給水回数を減らすことができる。隆起部12の高さは5cmである。そのため、多量の給水に対しても根腐れが生じるおそれはほとんどない。すなわち、過剰な水は水抜き孔14の上縁からオーバーフローし、外部に排出される。このとき、容器本体11の底に図示しないトレイを配置しておけば、台所など、室内での自然薯20の育成に何ら支障はない。
【0033】
また、カバーシート16の下部の一部分には、矩形状の投入口17が形成されている。暖簾状のシート蓋18を持ち上げ、投入口17を通して、土21、水、肥料(落ち葉、枯れ葉、生ゴミを原料の一部とした堆肥を含む)などを補給したり、容器本体11内の様子を外部から観察することができる。
長芋類の育成容器10の設置場所を変更する際には、容器本体11の開口部の周縁を持ち、この長芋類の育成容器10を簡単に持ち運べる。
【0034】
また、種芋が植え付けられ、自然薯20が成長してツル20aが伸びた場合には、土中にツル巻棒19をそれぞれ差し立て、その後、これらのツル巻棒19にツル20aを巻き付ければよい。これにより、自然薯20のツル20aが容器本体11の外に飛び出すのを防ぐことができる。このとき、ツル巻棒19の先端部が筒状カバー13の上側の開口部から突出しないようにした方が好ましい。これは、自然薯20を屋内で栽培するときに問題となる、落ち葉の周辺への飛散を防げなくなるからである。
自然薯20の収穫時には、筒状カバー13を取り外した後、容器本体11を横倒しにすれば、自然薯20を簡単に収穫することができる。
【0035】
このように、容器本体11の底部の中央部に隆起部12を設けたので、自然薯20は環状の育成空間aでとぐろを巻くように育成される。そのため、設置スペースに制約を有する場所でも自然薯20を、従来手段である組み立てた箱体を上下反転し、その後、傾斜台により傾斜配置するものに比べて、簡便に栽培することができる。しかも、栽培された自然薯20はとぐろを巻くことでコンパクトになるため、1本の自然薯20をカットすることなく、そのまま収納箱などに保管することができる。また、隆起部12を容器本体11と一体形成したので、取り扱いが容易で、長芋類の育成容器10の部品点数を削減し、低コスト化が図れる。
【0036】
次に、図4を参照して、この発明の実施例2に係る長芋類の育成容器を説明する。
図4に示すように、この発明の実施例2に係る長芋類の育成容器10Aは、平面視して正方形の角筒容器である容器本体11Aと、角筒形状を有する半透明なポリエチレン製の筒状カバー13Aとを有している。
容器本体11の底板の中央部には、実施例1の隆起部12より小型で、かつ円錐台形状を有する隆起部12Aが一体形成されている。また、筒状カバー13Aの一側板の下端部には、投入口17が形成されている。投入口17には、ポリエチレン製の半透明なプレート蓋18Aが設けられている。
その他の構成、作用、効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
【0037】
次に、図5を参照して、この発明の実施例3に係る長芋類の育成容器を説明する。
図5に示すように、この発明の実施例3に係る長芋類の育成容器10Bは、全長にわたって開口面積が一定の両端が開口された円筒体である容器本体11Bと、容器本体11Bが立設された平面視して円形の受け皿30と、角筒形状を有する半透明な筒状カバー13Bとを有している。
受け皿30はポリプロピレン製で、その底板の中央部には、実施例1の隆起部12と同形状の隆起部12Bが一体形成されている。また、ポリエチレン製の筒状カバー13Bの周側板の下部には、投入口17が形成されている。投入口17には、ポリエチレン製で、筒状カバー13Bと同じ曲率半径を有する半透明な円弧形状のプレート蓋18Bが設けられている。
その他の構成、作用、効果は、実施例1から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
【0038】
次に、図6および図7を参照して、この発明の実施例4に係る長芋類の育成容器を説明する。
図6および図7に示すように、この発明の実施例4に係る長芋類の育成容器10Cは、上面に開口部が形成されるとともに底部の中央部に排水孔11aが形成され、自然薯20と土21とが収納される容器本体11Cと、容器本体11Cの底部の中央部に着脱自在に設けられ、容器本体11Cの内側に向かって隆起することにより、容器本体11Cの底部内に自然薯20を育成する環状の育成空間aを画成する隆起部12Cとを備えている。
容器本体11Cは、上方に向かって徐々に拡径化した円筒容器である。容器本体11Cの底板の外周部には、環状の凸条ガイド11bが一体形成されている。この凸条ガイド11bの内周縁をガイドにして、隆起部12Cが容器本体11Cの底板上に嵌脱自在に載置される。実施例4では、容器本体11Cの開口部上に筒状カバー13が連通されていない。
自然薯20の栽培に際して、例えば自然薯20のツル20aの成長に伴い、土21の上にツル巻棒19を突き立てる。その後、容器本体11Cの開口部上に筒状カバー13を連通させてもよい。
【0039】
このように、隆起部12Cを容器本体11Cと別体としたので、隆起部11Cが損傷した場合、容器本体11Cごとの交換ではなく、隆起部12Cだけの安価な交換が可能となる。また、容器本体11Cの底部の中央部に穴が開いた場合でも、その穴は隆起部11Cにより上方から被われているため、自然薯20の育成に何ら支障はない。
その他の構成、作用、効果は実施例1から推測可能な範囲であるので、説明を省略する。
【0040】
次に、図8を参照して、この発明の実施例5に係る長芋類の育成容器を説明する。
図8に示すように、この発明の実施例5に係る長芋類の育成容器10Dは、上面に開口部が形成され、自然薯20と土21とが収納される容器本体11Aと、容器本体11Aの底部に横置きされ、波の各伏部40a,41aで自然薯20をそれぞれ育成可能な2枚の芋育成用波板40,41とを備えている。
容器本体11Aは角筒容器で、その底部には、自然薯20の外部への逃げ出しを防止するとともに、容器本体11A内に供給された水を排水する水抜き孔11cが形成されている。2枚の芋育成用波板40,41同士は、波長方向が直交した状態で上下に積層されている。上層の芋育成用波板40は、下層の芋育成用波板41より50mmだけ波長方向の長さが短い。
【0041】
自然薯20の栽培時には、容器本体11Aの底部に2枚の芋育成用波板40,41を横置き状態で積層する。その際、両芋育成用波板40,41の各伏部40a,41aには、種芋をそれぞれ配置する。これにより、多数本の自然薯20を同時に育成することができる。
また、容器本体11Aの底部に、自然薯20の外部への脱出を防止する水抜き孔11cを形成したので、成長した芋などが水抜き孔11cから外部に出にくい。
さらに、上下配置された芋育成用波板40,41を、下層のものより上層のものの方を短尺とし、隣接した芋育成用波板40,41同士を、互いの波長方向を交差させて積層したので、各伏部40a,41a内で多数本の自然薯20を同時に栽培することができる。
自然薯20を長期にわたって栽培すると、上層の芋育成用波板40の各伏部40aで成長した自然薯20は、下層の芋育成用波板41に回り込み、略直角に屈曲して対応する伏部41aに沿って成長する。よって、収穫された自然薯20は、ちょうど人間が正座したときのような形状となる。また、この自然薯20は土が少ない下層の芋育成用波板41側に回り込むため、収穫時には芋の表面から簡単に土を払うことができる。
その他の構成、作用、効果は、実施例2から推測可能な範囲であるので説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施例1に係る長芋類の育成容器の斜視図である。
【図2】この発明の実施例1に係る長芋類の育成容器の使用状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例1に係る長芋類の育成容器の使用状態を示す縦断面図である。
【図4】この発明の実施例2に係る長芋類の育成容器の斜視図である。
【図5】この発明の実施例3に係る長芋類の育成容器の斜視図である。
【図6】この発明の実施例4に係る長芋類の育成容器を示す斜視図である。
【図7】この発明の実施例4に係る長芋類の育成容器の要部を示す拡大断面図である。
【図8】この発明の実施例5に係る長芋類の育成容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10,10A〜10D 長芋類の育成容器、
11,11A〜11C 容器本体、
11a 排水孔、
12,12A〜12C 隆起部、
13,13A,13B 筒状カバー、
14,11c 水抜き孔、
17 投入口、
20 自然薯(長芋類)、
21 土、
40,41 芋育成用波板、
a 環状の育成空間。
【出願人】 【識別番号】396003319
【氏名又は名称】カースル株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市門司区新門司1−9−6
【出願日】 平成16年3月5日(2004.3.5)
【代理人】 【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎

【公開番号】 特開2005−245364(P2005−245364A)
【公開日】 平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願番号】 特願2004−63164(P2004−63164)