| 【発明の名称】 |
草利用不耕耘マルチ栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】田中 晟雅
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| 【要約】 |
【課題】農作物の栽培に関する従来技術は、生産者の立場からは、労働負荷や、生産経費が多いなどの問題があり、消費者の立場からは、化学物質を使用した食物を摂取することによる健康への悪影響が懸念されている。また、大気や地下水の汚染、生産資材による廃棄物などの環境問題も指摘されている。
【解決手段】畑を1・2年生雑草や牧草で被った後、これらを草刈り機で地際から刈り払い、耕耘せずに黒ポリマルチや紙マルチで被覆し、充電ドリルなどで穴を開けて畑作物や野菜の種苗を播種又は植え付ける。無肥料、無農薬、無潅水で生育させ、通路に生育する雑草がマルチ内に侵入した場合のみ刈り払いを行って収穫物を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自然に近い状態で畑作物や野菜を育て、収穫することを特徴とする栽培方法で、畑を1・2年生雑草や牧草で被った後、これらを草刈り機で地際から刈り払い、耕耘せずに黒ポリマルチや紙マルチで被覆し、充電ドリルなどで穴を開けて農作物の種苗を植える。無肥料、無農薬、無潅水で生育させ、通路の雑草がマルチ内に侵入した場合のみ刈り払いを行って収穫物を得る。 【請求項2】 前記の発明は、施肥、防除、潅水などの作業がないため省力的であり、農機具としては、草刈り機、充電ドリル、スコップがあればよく、資材としては黒マルチまたはロール・ケント紙や新聞紙などの紙以外は使わないため低コストであり、肥料や農薬を使わないため環境負荷の小さいことを特徴とする請求項1記載の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、畑作物や野菜の栽培方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来の畑作物や野菜における一般的な栽培方法(以下、このような栽培を標準栽培という)は、図2に示すように、栽培前の準備として、土壌病害の発生する場合には土壌消毒を行い、元肥として化学肥料を施用し、トラクターや耕運機で耕耘し、雑草の発生が予想される場合には、マルチを張ってから播種または苗などを植え付ける。生育中に雑草が発生した場合には除草剤を散布し、追肥、潅水、病害虫防除などを行って収穫する。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、以上の従来技術(標準栽培)によれば、連作に伴う難病害虫の発生や地力の低下、資材費などの生産経費の増加などから、収益性の低下する傾向にある。 また、化学肥料や農薬を多用した畑作物や野菜を摂取することによる健康への悪影響、大気や地下水の汚染、資材などの廃棄物処理や、環境汚染などの問題もある。 【0004】 そこで、自然に近い状態の農産物を省力的かつ低コストで栽培し、同時に環境負荷の小さい栽培方法を発明して、生産拡大をはかることを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 以上の課題を解決するために、第一発明は、自然に近い状態で畑作物や野菜を育て、収穫することを特徴とする栽培方法で、畑を1・2年生雑草や牧草で被った後、これらを草刈り機で地際から刈り払い、耕耘せずに黒ポリマルチや紙マルチで被覆し、充電ドリルなどで穴を開けて畑作物や野菜の種苗を植える。無肥料、無農薬、無潅水で生育させ、通路の雑草がマルチ内に侵入した場合のみ刈り払いを行って収穫物を得る。 【0006】 第二発明は、自然に近い状態で畑作物や野菜を育て、収穫することを特徴とする栽培方法で、畑を1・2年生雑草や牧草で被った後、これらを草刈り機で地際から刈り払い、耕耘せずに黒ポリマルチや紙マルチで被覆し、充電ドリルなどで穴を開けて畑作物や野菜の種苗を植える。無肥料、無農薬、無潅水で生育させ、通路の雑草がマルチ内に侵入した場合のみ刈り払いを行って収穫物を得る。以上の第一発明に以下を加える。 施肥、防除、潅水などの作業を行わないため省力的であり、農機具としては、草刈り機、充電ドリル、スコップがあれば良く、資材としては黒ポリマルチまたはロール・ケント紙や新聞紙などの紙以外は使わないため低コストであり、肥料や農薬を使わないため環境負荷の小さいことを特徴とする。 【発明の効果】 【0007】 第一発明によれば、畑に雑草を生育させることで、有機物が供給され、根成孔隙の発達、小動物・センチュウ・微生物などの棲息により、土壌物理性が改善され、バランス良く肥料成分などが産みだされる。 【0008】 草を利用して畑作物や野菜の栽培に適した畑にし、草刈りの後に、耕耘せずに、黒ポリマルチや紙マルチで被覆し、畑作物や野菜の種子を播いたり、苗などを植えれば、好適な環境に支えられ、無農薬、無潅水で育ち、かつ、省力、低コストで栽培できる。通路に雑草を生育させることで、天敵が棲息し、病害虫の発生が抑制されるので、無農薬で栽培できる。 収穫物に関しては、化学合成物を吸収していないため、食感が良く、風味の強いものが得られ、健康志向の今日的課題を解決できる栽培方法といえる。 【0009】 第二発明によれば、第一発明の記載に加え、自然に近い農産物を省力的、かつ、低コストで生産できる。このため、農機具を購入すると不経済な小規模栽培への導入が容易である。また、風雨による表土の流亡、地下水汚染、地球温暖化など環境保全対策としても有用であることを特徴とする。 【発明の実施するための最良の形態】 【00010】 I 草利用不耕耘マルチ栽培の概要 この発明の一実施形態を図1に示す。草利用不耕耘マルチ栽培は、畑を1・2年生雑草(カラスノエンドウ、ナズナ、ハコベ、メヒシバ、ホトケノザなど)または牧草(イタリアンライグラス、クリムソンクローバ、ヘアリーベッチ、レンゲなど)で被覆した状態にし、草刈り機を使って地際の直近より刈り払い作業を行い、通路に残渣を集めて、耕耘せずに黒ポリマルチまたは紙マルチを張り(3か月以上にわたり畑作物や野菜近傍の雑草の発生を抑えるためには黒ポリマルチが有効であり、それ以内の場合には紙マルチで抑えられる。紙マルチはやがて土壌に吸収されるので、廃棄物はほとんどでない利点がある。)、通路の土壌をスコップなどでマルチ上の所々に被せる。 【00011】 その後に充電ドリルなどを使って穴を開け、播種または苗などを植え、雑草がマルチ上に侵入してきたら、草刈り機で刈り払い、雑草の繁茂を抑える。その後の作業はほとんどせずに収穫物を得る。 【00012】 収穫時にマルチの破損が少ない場合には、再度、マルチ上に穴を開け、播種または苗などを植えて収穫物を得る。収穫時にマルチが破損した場合には、マルチをかたずけ、1・2年生雑草または牧草を被覆した状態にしてから刈り払って植える。 【00013】 草利用不耕耘マルチ栽培の斜視図を図3に示した。床にはマルチ1を張ってから、マルチの飛散を防ぐため、通路の土壌をスコップなどでマルチ上の所々2に被せる。マルチの上から充電ドリルなどで穴を開け、そこへ苗3などを植える。通路はしだいに雑草4が繁茂してくる。地表及び地中には小動物5が多数棲息し、糞や死骸は肥料化する。地中には畑作物や野菜と雑草の根群6が混在する。雑草の根は枯れれば根成孔隙となり、通気性が良くなる。 すなわち、草を床や通路に生育させることで、肥料や農薬と同じような効果が生まれるので、無肥料、無農薬での栽培を可能にし、また、土壌物理性が良好になるので無潅水で収穫物を得ることができる。これらの技術を総称して草利用不耕耘マルチ栽培方法とした。 【00014】 標準栽培の斜視図を図4に示したが、トラクターで耕耘し、マルチ7を張り、苗8などを植える。通路9は裸地状態になるので、手取り除草のできない場合には、除草剤を散布する。土中20〜30cmの層にはトラクターの耕耘による耕盤10が形成され、通気性や排水性が低下する。このため、耕盤層へ畑作物や野菜の根が達すると根腐れがおこりやすい。すなわち、草利用不耕耘マルチ栽培とは畑の状態が異なる。 【00015】 II 草利用不耕耘マルチ栽培の実施例 以下に、ジャガイモとダイコンの草利用不耕耘マルチ栽培の実施形態を具体的に例示する。 【00016】 (1)ジャガイモ栽培における草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の作期と月別・作業別労働時間(10aあたり) 草利用不耕耘マルチ栽培における作期と月別・作業別労働時間を図5−aに示した。2月上中旬に雑草の刈り払いをして、マルチ張りを行い、2月下旬に種イモを定植する。3月下旬には萌芽が始まり、その後の気温の上昇に伴い、生育はおう盛になり、6月中旬から収穫ができる。 標準栽培(図5−b)では、耕耘、土壌消毒・ガス抜き、元肥施用、整地・畦立て、除草剤散布、防除などの作業を行った後に収穫物を得るので、標準栽培とは異なる。 【00017】 10aあたりにおいて、調整・選別や、出荷にかかる時間を除いた作業時間は、草利用不耕耘マルチ栽培では土壌消毒・ガス抜き、除草剤散布、防除などの作業がないため70時間であり、標準栽培が82時間であるため、省力的である。 【00018】 草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の作期と生産経費を図6に示した。草利用不耕耘マルチ栽培では肥料費、薬剤費、光熱動力費、大農具費、小農具費、施設費が不要のため約13万円であり、標準栽培の約22万円より低コストで栽培できる。 【00019】 (2)ダイコン栽培における草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の作期と月別・作業別労働時間(10aあたり) 草利用不耕耘マルチ栽培における作期と月別・作業別労働時間を図7−aに示した。7月中旬に雑草の刈り払いをし、マルチ張りを行い、7月下旬〜8月下旬に直播する(草利用不耕耘マルチ栽培は夏期の乾燥に強いので、7月下旬から播種が可能である。)。子葉が展開したら間引きを行い、10月下旬〜12月中旬に収穫する。 標準栽培(図7−b)では、耕耘、元肥施用、整地・畦立てなどの播種準備をし、9月上旬に播種する。防除作業を行い、11月上旬〜下旬に収穫するので、標準栽培とは異なる。 【00020】 10aあたりにおいて、調整・出荷にかかる時間を除いた作業時間は、草利用不耕耘マルチ栽培では中耕・培土、防除、除草の作業がなどの作業がないため、56.5時間であり、標準栽培の84.5時間より省力的である。 【00021】 草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の生産経費を図8に示した。草利用不耕耘マルチ栽培では肥料費、薬剤費、大農具費、小農具費、施設費、水利費が不要のため約10万円であり、標準栽培の約23万円より低コストで栽培できる。 【00022】 III 草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培における収量(10aあたり)と外観・食感 図9には草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培における収穫物の10aあたりの収量と、外観及び食感を示したが、草利用不耕耘マルチ栽培は、標準栽培に比べて、収量は少なくなる。また、収穫物の形や大きさが不揃いになり、食害痕も見られるが、畑作物や野菜の風味は増し、食感は良好になる。 【00023】 「実施形態の効果」 この実施形態によれば、1・2年生雑草や牧草により畑を覆うことで、生物相はバランス良く保たれ、雑草の堆肥化や、土壌微生物の排泄物や死骸などは肥料源となる。土壌物理性についても、ミミズ、センチュウなどの小動物の生活によって土壌の団粒構造が良くなり、根成孔隙によって通気性や排水が良好になる。通路には雑草を生やすため、天敵、小動物、微生物などが棲息するので、病害虫の発生は少ない。 【00024】 このため、人的に操作しなくても畑作物や野菜の生育に好適な環境が整い、肥料を施用せず、農薬や除草剤を使用せずに畑作物や野菜が収穫でき、しかも、省力・省機械・低コストで実現できる。栽培方法は単純で明快なため、普及は容易である。 【00025】 現在のところ、有機農産物の供給量は少なく、かつ、価格も高い。本技術が普及すれば、消費者は無農薬で現状よりも自然に近い畑作物や野菜が入手できるようになる。 草利用不耕耘マルチ栽培は大気や地下水を汚染するものは黒ポリマルチ以外はほとんどない。不耕耘のため保水能力も増すので洪水対策にもなり、環境保全効果も高い。 【00026】 「他の実施形態」 図1の実施形態では、農機具としては、草刈り機、充電ドリル、スコップがあれば良く、資材としては黒マルチまたはロール・ケント紙のみの資材としたが、草刈りにハンマーナイフモアなどを、マルチ張りにマルチャーなどの農機具を導入しても良い。マルチは栽培の特徴に応じ、種類を変えても良い。 また、トラクターなどで耕耘し、牧草を播種し、ハンマーナイフモアなどで刈り払ってマルチャーで被覆し、栽培する方法でも良い。 【図面の簡単な説明】 【00027】 【図1】草利用不耕耘マルチ栽培の概略図である。 【図2】標準栽培の概略図である。 【図3】草利用不耕耘マルチ栽培の斜視図である。 【図4】標準栽培の斜視図である。 【00028】 【図5】ジャガイモ栽培における草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の作期と月別・作業別労働時間(10aあたり)である。 【図6】ジャガイモ栽培における草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の生産経費(10aあたり)である。 【図7】ダイコン栽培における草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の作期と月別・作業別労働時間(10aあたり)である。 【図8】ダイコン栽培における草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培の生産経費(10aあたり)である。 【図9】草利用不耕耘マルチ栽培と標準栽培における収量(10aあたり)と外観・食感である。 【符号の説明】 【00029】 1 黒ポリマルチや紙マルチ 2 マルチの飛散を防ぐために被せた土壌 3 生育途中の畑作物や野菜 4 刈り払った雑草残渣や生育する雑草 5 地表及び地中に棲息する小動物 6 地中には畑作物や野菜の根群と雑草の根群が混在 【00030】 7 トラクターで敷設したポリマルチ 8 生育途中の畑作物や野菜 9 通路 10トラクターの踏圧によってできた耕盤層
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| 【出願人】 |
【識別番号】502146376 【氏名又は名称】田中 晟雅
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| 【出願日】 |
平成16年2月25日(2004.2.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2005−237360(P2005−237360A) |
| 【公開日】 |
平成17年9月8日(2005.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願2004−85720(P2004−85720) |
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