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【発明の名称】 二段式植物栽培容器
【発明者】 【氏名】鈴木 親久
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社エース農業研究所内

【氏名】岩瀬 圭子
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業所内

【氏名】加藤 淑子
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区岩塚町大池2番地 三菱化学エムケーブイ株式会社名古屋事業所内

【氏名】千葉 久子
【住所又は居所】東京都港区芝四丁目1番23号 三菱化学エムケーブイ株式会社内

【要約】 【課題】コンパクトで持ち運びも可能で、頻繁に水やりを行わなくとも簡単に植物体や気象に合った適量の給水をおこなうことができ、かつ植物体の根グサレ等の心配がなく植物体の成長を促進する栽培容器を提供する。

【解決手段】培地を充填するための上段容器と植物栽培用の液肥を貯留するための下段容器から構成される二段式植物栽培容器であって、上段容器は、下面の少なくとも70%以上が防根透水シートで構成されており、下段容器は、内側下部に液肥を一定水位以下に保持するための液溜部を有しており、上段容器の下面と、下段容器の下部の液溜部の間に、空気層が存する構成を有し、毛細管現象により吸水機能を有する吸水体が下段容器の液溜部と上段容器の防根透水シートに接する態様で設けられてなり、吸水体と防根透水シートとの接触面積合計が防根透水シート面積の10〜90%であることを特徴とする、二段式植物栽培容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地を充填するための上段容器と植物栽培用の液肥を貯留するための下段容器から構成される二段式植物栽培容器であって、
上段容器は、上面に開口部を有し、下面の少なくとも70%以上が防根透水シートで構成されており、
下段容器は、上面に開口部を有し、内側下部に液肥を一定水位以下に保持するための液溜部を有しており、
上段容器を下段容器の上に設置、又は上段容器を下段容器の内側上部に設置した際に、上段容器の下面と、下段容器の下部の液溜部の間に、空気層が存する構成を有し、
かつ、毛細管現象により吸水機能を有する吸水体が、上記設置の際に、下段容器の液溜部と、上段容器の防根透水シートに接する態様で設けられてなり、吸水体と防根透水シートとの接触面積合計が防根透水シート面積の10〜90%であることを特徴とする、二段式植物栽培容器。
【請求項2】
下段容器の液溜部へ大気圧と水圧とのバランスを利用して一定した水位まで水を供給するための給水部を、容器内側に、又は下段容器に接続可能な外付容器として有することを特徴とする請求項1記載の二段式植物栽培容器。
【請求項3】
該吸水体が、下段容器側に予め設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二段式植物栽培容器。
【請求項4】
該吸水体が、上段容器側に予め設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二段式植物栽培容器。
【請求項5】
下段容器自体が、上下方向に連結可能で、下面が容器内側内面側に折畳み可能な容器な複数容器で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の二段式植物容器。
【請求項6】
液を一定水位以下に保持する液溜部を有する貯水槽の上又は貯水槽の内側上部に設置するための上段型植物栽培容器であって、
該上段型容器は、培地を充填するための容器であって、上面に開口部を有し、下面の少なくとも70%以上が防根透水シートで構成されており、
該上段型容器を貯水槽の上に設置、又は貯水槽の内側上部に設置した際に、該上段型容器の下面と、貯水槽の液溜部の間に、空気層が存する構成を有し、
かつ、毛細管現象により吸水機能を有する吸水体が、貯水槽の液溜部と、該上段型容器の防根透水シートに接する態様で設けられてなり、吸水体と防根透水シートとの接触面積合計が防根透水シート面積の10〜90%であることを特徴とする、上段型植物栽培容器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を育てるための植物栽培容器に関し、詳しくは、コンパクトで持ち運びも可能で、頻繁に水やりを行わなくとも簡単に植物体や気象に合った適量の給水をおこなうことができ、かつ植物体の根グサレ等の心配がなく植物体の成長を促進することができる二段式の底面給水式植物栽培容器に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、野菜や花卉などの植物を、家庭のベランダやマンション屋上、学校などの屋内外で栽培するために、培地を入れた容器で植物を育てるいわゆるプランター植物栽培が多く行われている。
これらプランター植物栽培において、植物栽培の成功可否の鍵は、植物への水遣りと日光照射の環境制御にある。
通常、プランター植物容器に水遣りする方法は、培地の上面から供給する方法であるが、植物が消費する水の量は、日中の温度や日差しの程度、植物の種類、成長度合いによって異なるため、水遣りの量を適量とするのは難しい。
また、植物への給水作業はことのほか面倒で頻繁に行う必要があり、特に学校の夏休み中や、長期の旅行留守中に、プランター植物への給水作業をいかに行うかが一つの課題である。
また、長期水遣りを目的として、植木鉢を水入りの受け皿の上に戴置する、いわゆる腰水栽培方法や、ヨーロッパで普及している底面潅水式プランター栽培(培地の一部が底面の水に浸水する。根が伸長すれば、底面の水を直接吸収する)方法が知られているが、これらの方法では、特に高温多湿となる日本では植物に根グサレが発生しやすく、植物の成長を阻害しやすいという問題があった。そのため本出願人は先に先願として、特殊な底面給水方式による植物栽培容器について出願を行っている(特許文献1)。この栽培容器によれば植物根の根グサレを発生せずに良好な植物栽培が行えるという利点がある。
ただし、このようなプランター容器を用いて家庭や学校で簡易なプランター栽培を試みる場合に、植物の種類や季節の変化、栽培植物の成長度合いによって、たとえば冬場には日当たりの良い場所へ移動する等、日光照射の環境を制御する必要がある。しかし底面に水を溜めたプランターの場合、培地と水の重さがあいまって簡単に設置移動することができないという点も、学校や家庭での普及促進の点からみた問題の一つであった。
【特許文献1】特願2002−199838号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明は、コンパクトで持ち運びも可能な簡易な二段式の容器を用いて、頻繁に水遣りを行わなくとも簡単に給水をすることができ、かつ、その給水量が植物体や気象に合った必要量の給水量であり、かつ植物体の根グサレ等の心配がない植物栽培容器を提供することを目的とする。更にトイレの貯水タンク等の既に一定の水が供給される貯水槽の上に置いて簡便に、植物栽培を行うことが可能な上段型容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)培地を充填するための上段容器と植物栽培用の液肥を貯留するための下段容器から構成される二段式植物栽培容器であって、
上段容器は、上面に開口部を有し、下面の少なくとも70%以上が防根透水シートで構成されており、
下段容器は、上面に開口部を有し、内側下部に液肥を一定水位以下に保持するための液溜部を有しており、
上段容器を下段容器の上に設置、又は上段容器を下段容器の内側上部に設置した際に、上段容器の下面と、下段容器の下部の液溜部の間に、空気層が存する構成を有し、
かつ、毛細管現象により吸水機能を有する吸水体が、上記設置の際に、下段容器の液溜部と、上段容器の防根透水シートに接する態様で設けられてなり、吸水体と防根透水シートとの接触面積合計が防根透水シート面積の10〜90%であることを特徴とする、二段式植物栽培容器。
(2)下段容器の液溜部へ大気圧と水圧とのバランスを利用して一定した水位まで水を供給するための給水部を、容器内側に、又は下段容器に接続可能な外付容器として有することを特徴とする(1)記載の二段式植物栽培容器。
(3)該吸水体が、下段容器側に予め設置されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の二段式植物栽培容器。
(4)該吸水体が、上段容器側に予め設置されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の二段式植物容器。
(5)下段容器自体が、上下方向に連結可能で、下面が容器内側内面側に折畳み可能な複数容器で構成されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二段式植物容器。
(6)液溜部を有する貯水槽の上又は貯水槽の内側上部に設置するための上段型植物栽培容器であって、
該上段型容器は、培地を充填するための容器であって、上面に開口部を有し、下面の少なくとも70%以上が防根透水シートで構成されており、
該上段型容器を貯水槽の上に設置、又は貯水槽の内側上部に設置した際に、該上段型容器の下面と、貯水槽の液溜部の間に、空気層が存する構成を有し、
かつ、毛細管現象により吸水機能を有する吸水体が、貯水槽の液溜部と、該上段型容器の防根透水シートに接する態様で設けられてなり、吸水体と防根透水シートとの接触面積合計が防根透水シート面積の10〜90%であることを特徴とする、上段型植物栽培容器。
【発明の効果】
【0005】
本発明の二段式植物栽培容器によれば、以下のような種々の利点が得られる。従って家庭や学校における簡便な植物栽培や、特に夏場や長期の留守時の給水に適している。
1)培地と共に液肥の貯留を必要とする底面給水式栽培容器において、培地の部分と液肥貯留部分を分離可能であるので、プランター位置の移動や、培地の入れ替え、液肥の入れ替え等を簡便に行うことができる。
2)頻繁に水遣りを行わず一定期間放置しておいても、10日に一回程度の水の補給で植物栽培が可能である。
3)培地と液溜の間には空気層が常に存在するので、作物の根腐れの発生を抑えることができる。また、培地や根が直接液に浸からずに、植物根に直接十分な液を継続的に常に、吸水体の毛管現象により適宜供給できるので、植物体そのものの成長が極めて良好となる。
4)植物体に対する水の給水が、一定量ではなく、植物体や気象に合った植物体の必要量に応じた量であるため、水遣りによる植物栽培の失敗がない。
5)液溜及び給水用タンク内の水や液肥の種類や量は、作物の種類や生育ステージに応じて簡単に変更調節可能である。特に折畳み積重ね式の下段容器を用いれば、多量の液肥貯留への変更が簡単に可能である。また、水位ゲージや給水タンクの目盛により、水や液肥の消費量も一目で把握可能である。
6)給水を上面から培地を経由して行うのではなく培地の下面から行うので、土中の養分の溶出が少ない。また常に新鮮な水と空気の供給が可能であり病害が発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明するが、これら形態に限られるわけではない。
図1、図2、図3は、本発明の一例の栽培容器を示す図であり、図1A、B、Cは本発明の植物栽培容器の上段容器、図2A,B,Cは下段容器を示し、Aは上面図、Bは長手方向の側面図、Cは幅方向の側面図を示す。図3は、それら上段容器と下段容器の斜視図を示す。
図4は、本発明の他の一例である下段容器が積重ね可能な栽培容器を示す図であり、図5は、その栽培容器に用いる樹脂袋を説明する図、図6は、その栽培容器に用いる下段容器を説明する図である。図7は、幅広の下段容器を用いる場合の例を説明する図である。
【0007】
<植物栽培容器>
本発明の二段式植物栽培容器は、基本的に上段容器1と下段容器3から構成される二段式の植物栽培容器である。上段容器1は少なくとも、その中に培地を充填するための容器であり、下段容器3は少なくとも、その中に植物栽培用の液肥を貯留するための容器である。
本発明の上段容器1と下段容器3の組み合わせ方としては、上段容器を下段容器の上に設置(2段がさねタイプ)して使用する態様と、図1に示すように、上段容器を下段容器の内側上部に設置(内蔵タイプ)して使用する態様の2通りがあるが、いずれの態様で組み合わせてもよい。
また、その上段容器と下段容器は、必ずしも同一底面形状を有する必要もなく、上段容器より底面積が大きい下段容器を組み合わせて使用してもよい。
なお、以下の本発明の説明では、長方形のプランター容器例を用いて説明するが、円形や正方形、台形等種々の形状のプランター容器形状を採用することができる。また容器の材質は、公知の種々のプランター材質を採用することができ、例えばプラスチック製、木質製、陶製などが挙げられるが、軽量化のためにはプラスチックが好ましい。
【0008】
<上段容器>
本発明の上段容器1は、中に培地を充填するための容器であり、上面に植物栽培を行うための開口部を有し、下面は、少なくともその下面の面積の70%以上が防根透水シート2で構成されてなることを特徴とする。更に好ましくは下面の少なくとも85〜100%(面積)が防根透水シートで構成されていると良い。
防根透水シートとは、植物根の通過を防ぐが水の通過は可能なシートであり、通気性もあるが、培地粒子の通過は防ぐシートである。
具体的には、根が通過せず水が通過する程度の微細な孔が空いたシートをいい、適宜、防根透水シートとして市販の薄地の織布又は不織布又は孔空けシート等から任意に使用することができる。例えば空隙の大きさは直径100μm以下のもの、更には直径50μm以下のものが好ましいが、植物種によって根の太さも異なるため、植物種によってはこれより大きなものでもよい。但し、培地中の土粒子が該空隙からこぼれない程度の空隙未満である必要はある。防根透水シートの厚みとしては、0.01mm〜5mmの範囲、好ましくは0.03mm〜1mmのものが挙げられる。
防根透水シートの材質としては、例えばポリエステル、ポリビニルアルコール、ナイロン等が挙げられるが、本発明の一つの好ましい態様としては、例えばポリ乳酸系、サクシネート系、カプロラクトン系、脂肪族芳香族共重合系などの生分解性の防根透水シート、好ましくは生分解性ポリエステル製の防根透水シートを用いることが挙げられる。このような生分解性の樹脂を用いれば、そのまま分解促進環境下に放置して廃棄することも可能となる。
本発明では、このように下面が防根透水シートで構成された上段容器に培地を充填し植物を栽培することが一つの特徴であり、この特徴により、植物根が下段容器の液溜に侵入することを防ぎ、後述する吸水布との接触面から液肥を培地に供給することが可能となる。また、後述するように下段容器と上段容器の間に形成される空気層から新鮮な空気を、防根透水シートを通過して植物根に供給することが可能となる。これらの構成を採用することにより本発明の容器は、液肥を常時供給する底面給水タイプの植物容器であっても植物根グサレを生じることがない。
具体的な上段容器の作成方法としては、上面と底面に開口を有する容器の底面に防根透水シートを接着等の方法により一体とする形式でもよいし、又は防根透水シートを着脱可能に嵌め込む形式や、防根透水シートを単に敷く形式であってもよい。嵌め込み形式や、敷く形式の方が、防根透水シートを頻繁に取り替え可能とできるので好ましい。
培地充填後の、防根透水シートの破れや下段容器へのたわみを防止するために、防根透水シートの下面に更に粗目の防風ネットや、補強筋を配してもよい。
【0009】
<下段容器>
本発明の下段容器3は、上面が開放された開口部を有する容器であって、内側下部には、植物栽培用の液肥を一定水位H以下で貯留するための液溜部を有する容器である。
具体的に液肥を一定水位以下に貯留するための構成としては、下段容器側面の一定位置(底面からの距離H)にオーバーフロー穴6を設けるか、後述する給水部の水供給口位置を調節して一定水位を調節する構成が挙げられる。好ましくは、給水部の水供給口位置で調整することが好ましい。ただし、多量の降雨時に容器上面から流入する雨水により、培地が浸水しないように、オーバーフロー穴6は少なくとも、上段容器を設置した際の、上段容器の下面より下位に設ける必要がある。また、下段容器側面の最下部には、栽培終了後などに液肥を排出するための廃液穴7を設けておき、通常はその穴を閉じて使用する。
更に本発明の一つの特徴は、上段容器を下段容器の上に設置(二段重ねタイプ)、又は上段容器を下段容器の内側上部に設置(嵌め込みタイプ)した際に、上段容器の下面と、上記液溜部3aとの間に、必ず空気層3bが存する構成である点が挙げられる。すなわち、設置した際の上段容器の底面が、一定水位Hより高い位置にあることを必須とする。本発明ではこの空気層から、防根透水シートを通じて、培地(植物の根)に十分な空気が付与されることにより、植物の根グサレが防止され、植物の成長も飛躍的に向上する。
好ましくは空気層3bの高さ(D)は、培地高さ(C)に対し、D/C=0.1〜1.0倍の高さである構成、更に好ましくはD/C=0.2〜0.8倍であるとよい。一方、液溜の高さ(H)は、培地高さ(C)に対し、H/C=0.3以上、好ましくは0.4以上であるとよい。
【0010】
<吸水体>
更に、本発明のもう一つの特徴は、毛細管現象による吸水機能を有する吸水体4が、上段容器と下段容器を設置した際に、下段容器の液溜め部と、上段容器の防根透水シートに接する態様で設けられてなり、吸水体と防根透水シートとの接触面積合計が防根透水シート面積の10〜90%であることにある。
この吸水体4の毛細管現象により、液溜3aの水が常に培地に供給されることにより、十分な植物体への水供給が可能となり、しかも培地や植物の乾きに応じた適量の水供給が可能である。また、後述する給水部の設置により、植物の消費により液溜の水量が減少する都度、給水部から新鮮な水が供給される。
本発明における吸水体4としては水(液肥)を毛細管現象により吸い上げる作用を有するものであればよく、例えば天然繊維や合成繊維などで作られた不織布や織布などの布や紐が挙げられる。
本発明の更なる特徴は、該吸水体4が、防根透水シート2に部分的に接するように設けられている点である。すなわち防根透水シート2全面に吸水体4が接していてはいけない。防根透水シート全面に吸水体が接すると、水を含んだ吸水体により空気層からの通気性が遮断されてしまい、本発明による良好な植物栽培結果を得ることができないからである。吸水体と防根透水シートの接触面積(合計)B(m2)が、防根透水シートの面積A(m2)に対してB/A=10%〜90%の面積比、更に好ましくは20%〜80%の面積比で接するように設けると、空気層からの空気量のバランスと吸水体から液肥の供給バランスが良いためか、良好な植物栽培結果が得られる。
【0011】
<吸水体の設置態様>
本発明の上記吸水体は、上段容器と下段容器を組み合わせて設置した際に、吸水体が、下段容器の液溜部と、上段容器の防根透水シートに接する態様で設けられていることを特徴とする。
具体的な設置態様としては、吸水体を下段容器側に予め設置する態様と、上段容器側に予め設置する態様が挙げられる。
【0012】
<下段容器側に予め設置する態様の具体的構造>
吸水体を下段容器側に設置する態様の具体的な下段容器の構造としては、(1)図2に示すように、表面に空気と水の流通孔を有しその高さが液溜の水位(H)以上ある、網管のような有孔中空体5aを1以上、下段容器3の底に設置し、有孔中空体5aの少なくとも一部外表面に吸水体4を被せて、吸水体の一部は上段容器の防根透水シート2の下面に接し、一部は液溜3aに接する構造、(2)上段容器の設置時に上段容器の下面となる位置に金網などの有孔支持体5bを設置し、その金網の一部に切り込みを入れるなどして吸水体4を一部は有孔支持体の上面に被せて防根透水シートの下面に接するようにし、他の一部は液溜3aに接するように垂らす構造、(3)その高さが液溜の水位(H)以上ある、複数の凸構造体5cを下段容器の底に形成し(好ましくは凸構造体を下段容器と一体に成形し)、吸水体をその凸構造体5cの少なくとも一部に被せて、培地と液溜に接する構造などが挙げられる。
有孔中空体5aの断面形状は円形に限らず四角形状、逆U字形状、逆角溝形等種々の形状を採用できる。凸構造体5cの形状も、横断面で見た場合に長方形状、台形状、V字状等種々の形状を採用できるが常に凸構造体の間に一定の空間が存在すれば形状や高さが一定である必要はない。本発明でいう有孔中空体5aと有孔支持体5bの孔とは、いわゆるメッシュ状物に設けられた孔(丸や四角)だけでなく、すのこ状物に設けられた線状の空間など任意形状の空間も意味するものである。1mm〜3cmの直径又は角の孔が好ましい。
また有孔中空体5a、有孔支持体5b、凸構造体5cの材質は、プラスチック製、木製、金網製、陶製、発泡スチロール製など種々挙げられるが、耐水性、培地を支持するための強度を有し、かつなるべく軽量のものを用いると良い。なお、プランター容器自体の材質も同様である。
【0013】
<吸水体を上段容器側に予め設置する態様>
一方、吸水体を上段容器側に予め設置する具体的な構造としては、図4に示すように、防根透水シートの下面に金網等の有孔支持体を固定すると共に、該金網に切目を入れて、リボン状の吸水体の一部が防根透水シートの下面に接し、他の一部が下方に垂れ下がる態様にする構造などが挙げられる。
【0014】
<給水部による一定水位供給構造>
本発明の二段式プランター容器の更に好ましい態様としては、下段容器の液溜部の一定水位まで、常に水を供給するための給水部を有することが挙げられる。
特に好ましくは、その給水が、大気圧と水圧のバランスを利用した、いわゆる鵜水飲み原理を応用した構造を有しているものが挙げられるが、その他、フロートとフロートに連動した閉弁との組み合わせ構造等を使用してもよい。
大気圧と水圧のバランスを利用したいわゆる鵜水飲み原理を応用した構造の具体例は、大きく2つの態様の構成が採用される。
その1の態様は、a)着脱可能な給水用タンク10を受ける受け部をプランター容器の内部に設置するか、又は外部に接続(外付け)して、水を供給する構成であり、b)他の1態様は、プランター容器の内部に設けた給水部自体を密閉可能なタンクとする構成である。
【0015】
<給水用タンクを用いる態様>
着脱可能な給水用タンクとしては、取り外した際には、補給用の水(本発明では、植物栽培に必要な液肥を含む意味で用いる。)を入れることが出来て、かつ、プランター容器の給水部、即ち受け部に設置したときには、下段容器の一定位置(水位)まで水を流出し、水位が減った場合には、その量に応じて水を補給して一定水位を保持できる構造であれば、任意に採用される。即ち一定位置のみに水の流出口がある密閉容器である。例えば、飲料用ペットボトル等の空容器を利用して、ペットボトルを少し加工して利用してもよいし、又は水ストッパー付きキャップを嵌めて利用することができる。
具体的にはたとえば、(1)ペットボトルのように口部のみに流出入口を有する密閉容器を口部が下になるように倒立させて、開放した口部を底から一定位置上になるように固定する構造や、(2)密閉した給水用タンクの側面の一定位置に水流出用の穴を形成し、倒立した構造が挙げられる。
これらの構造によれば、流出した水の水位が、開放口部の位置や穴の上位置に達すると、大気圧と水圧の均衡が保たれて水の流出が停止し、水位が下がると、水が流出されるため、プランター下段容器の一定位置まで水を供給することが可能となる。
また、(1)の応用として、(3)給水用タンクを倒立させて受け部に設置するまでの間に、開放口部や穴から流出する水を防止するために、給水用タンクの口部に、水ストッパーを設けておき、水補給後、口部を単に下に向けただけでは水が流れ出ないが、口部を植物栽培部の受け部にセットすると、受け部の中央部に設置された棒状等のストッパー解除体の作用により、水ストッパーが外れて、液が給水用タンクから流れ出る構造としたものでもよい。特に、給水用タンクの口部に嵌めるキャップに該水ストッパーを設けておくことが好ましい。
なお、給水用タンクとして、ペットボトルのように透明な材質のものを用いると、水の残量が簡易に判り、かつ太陽光により水の殺菌効果も期待できる。一方、給水用タンクを遮光部材で形成し、又はペットボトル等の透明材質のものを遮光部材で被覆し、部分的に透明な水位確認用窓を設けるものを用いると、青藻の発生を抑制することができるので好ましい。
図1、2には具体的な構造として、上段容器と下段容器の内側に給水タンクの設置枠8を設け、その上段容器上部には蓋9を設置し、設置枠8の中には、給水タンク10を収容することができる構造を示している。給水タンク10は、上と下の2箇所に給水口があり、上の給水口は通常は密閉して使用するが、長期旅行時など、給水日数を延長したい場合には、上の給水口を上に重ねる2つ目の給水タンクの下の給水口と密閉して、2倍の高さの給水タンクとすることも可能である。この給水タンク内の水量は、好ましくは、液溜部の容量の1/2以上あることが好ましい。
【0016】
<給水部自体が給水タンクとなる態様>
プランター容器の給水部自体が給水タンクとなる構造としては、プランター容器の給水部に密閉可能な蓋を設けてなり、給水部と下段容器の間の連通水路を密閉遮断可能な遮断材を有する構造である。
【0017】
<折畳み積重ね式下段容器を用いる態様>
更に本発明の応用態様の一つとして、図4に示すように、下段容器自体を、上下方向に連結可能な複数容器で構成することが挙げられる。
この構成にすれば、通常時は一つの下段容器を用い、長期不在時には、複数の下段容器を積み上げて、数倍の水量を下段容器に貯蔵する、等必要に応じて貯水量を変化することが可能である。
更に好ましくは、各々の下段容器を、折畳み積重ね可能な構成とし、内部に防水のための樹脂袋3cを内蔵する構造が挙げられる。
この樹脂袋3cは、防水性能と柔軟性を有する材質であれば特に限定されず、好ましくは図5に示すように、下段容器を1段から多段の積重ねに変更する場合も、上下方向の高さが自由に調節可能である樹脂袋3cが挙げられる。該樹脂袋3cには、下段容器のオーバーフロー穴に通すためのオーバーフローチューブと、下段容器の廃水穴に通すための廃水チューブ(常時は止水するためのキャップ付き)が具備されている。
一方、折畳み積重ね可能な下段容器の構成としては、図6に示すように、底の部分が折畳み時には壁面内側に収納可能な構成が好ましく挙げられる。多段積重ね時には、最下段の容器以外は、底面を折畳んで積重ねる。この折畳み構成であれば、簡単に、下段容器全体の高さを調整することができる。また、該折畳式の容器は、不使用時には、底の部分を折畳むと共に側面も折畳むことが可能であり、板状になり収納や持ち運びも簡単になるという利点がある。
【0018】
<幅広下段容器を用いる態様>
更に本発明の応用態様の一つとして、底面積が上段容器の底面積より幅広である下段容器を用いる態様が上げられる。特に好ましくは、図7に示すように、通常の下段容器の外側に、更にオプションとしての幅広の下段容器3’を重ねて、植物栽培容器を構成することが挙げられる。オプションの下段容器を重ねる場合には、通常の下段容器の廃液穴7を開放すればよい。
このように幅広の下段容器を用いると、長期留守時などや、夏場日中など、植物栽培に必要な水量が多い場合に対応することが可能である。
例えばオプションとしての幅広の下段容器は、子供用プールのような構成、即ち、使用時に空気を導入して側壁を立ち上げる構成をとることにより、不使用時には空気を抜いてコンパクトに折畳み収容することが可能となる。
【0019】
<下段容器の代わりに、別の貯水槽を利用するための上段型植物栽培容器>
本発明の別の態様としては、上述した二段式容器の上段の容器のみを実質用いる上段型植物栽培容器が上げられる。すなわち下段容器の代わりに、トイレの貯水タンクや、水槽、公園や公共施設に見られる噴水や水盤モニュメントなどの一定の水が貯留される貯水槽を用いて、貯水槽の上に上段型容器を置いて簡単に植物栽培を行うことが可能となる。
該上段型容器としては、具体的には図4に示すように、上段型容器に吸水体が予め設置された容器を用いればよい。すなわち上段容器の下面の防根透水シートの下面に、リボン状の吸水体が、一部分は防根透水シートに接し、他の一部分が、下方に垂れ下がり貯水槽の液溜部に接するように固定した容器を用いればよい。
また、この上段型容器の下面と、貯水槽の液溜部の間に、空気層が存する構成を必須とするために、上段型容器の設置位置が調整できると好ましい。
このような上段型容器を用いれば、既存の貯水槽を用いて植物栽培が可能であるので、植物栽培用の水を人手により常に供給管理する手間が省けると共に、トイレや水槽の上、公園の噴水など、通常は植物栽培を行わない場所でも、簡易に植物栽培が可能となるので好ましい。
【0020】
<本発明容器を使用する栽培方法に用いる他の材料>
本発明の植物栽培容器を用いて栽培する際に用いる培地としては、通常の有機栽培用の土を用いてもよいし、ロックウールやピートモスやヤシガラなどの無機又は有機繊維材料を用いてもよい。必要に応じて他の物質や肥料等を添加したものを用いることができる。
また本発明の液肥としては、水単独でもよいし、水に栽培植物に応じて必要な栄養肥料を添加した液肥を用いてもよい。本発明ではそれらを全て含む意味で液肥という。本発明の植物栽培容器では、通常のプランター栽培が上面から水を供給するのとは異なり、水は培地の底面から供給されるため、培地の成分が流出しにくく、かつ水は常に清潔である。また、都度水遣りを行う栽培方法では、液肥の成分調整は面倒であるが、本発明では、液肥の混合割合を予め調整した水を給水用タンクに入れてセットするだけなので、植物種やその成長度合いに応じた液肥の調整が簡単に出来て好ましい。
【実施例】
【0021】
図1〜図3に示した容器に準じた容器によって、植物栽培実験を行った結果を示す。
上段容器は、その下面の約100%が防根透水シートで構成されたもので、約11リッター(高さ10cm)の培地が容れられる。下段容器の底には、表面に微細な楕円孔が多数設けられた、3本の円柱状のコルゲート管(中央部高さ8.3cm、両外側高さ7cm)が設置され、中央の1本のコルゲート管のみに吸水布が被せられており、該吸水布は液溜と防根透水シートに接する態様で設けられている。従って防根透水シートの面積に対して、該吸水布と接触している面積は、約35〜40%となる。液溜めの高さは5cmとしたため、空気層は約3cmの高さ確保される。
下段容器の下部には約6リットルの液溜めが可能であり、給水タンクとして2リットルのペットボトルが2本セット可能となっている。
この容器による植物栽培中の全体の重量は、培地や水の重量も含めて20kgを超えるが、上段容器、下段容器に分離し、更に下段容器内の給水タンクを除去し、液溜め水を一時的に除去すると、容器の移動が簡単に可能となる。
一方、比較例として、同様の容器であるが防根透水シート及び吸水布がなく、直接、植物の根が下方の液溜めの水中に達して栽培する方法(底面潅水式栽培容器)の容器も用意した。
夏の8月初めから10月初めまでの2ヶ月間、上記プランターにキュウリを2株植え、栽培性と水の消費度合いを確認した。その結果、約1ヶ月後から、比較例のプランターより本願発明のプランターでの植物の生育が大きくなり、最終収穫量は、比較例が35(果数:2株合計)に比べて、本願発明では59(果数)と、優れた効果を示した。栽培中の植物が吸収した水量も、比較例が93.6Lであるのに比べ、本願発明では152.5Lであり、植物に充分な液肥が供給されたことが確認された。
また、栽培終了後、両者の培地裏を調べると、比較例では、根が液溜に伸長していたため解体には根を切断する必要があり、容器底にはアオミドロやゴミがたまり、汚かった。
一方、本発明の容器では、根が防根透水シートで遮断されているので簡単に培地分離ができ、容器底も比較的きれいであった。また培地裏の植物根の成長度合いも極めて良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の容器の一例を示す奥行きを示す縦断面図
【図2】本発明の容器の一例を示す幅方向を示す縦断面図
【図3】本発明の容器の一例を示す斜視図
【図4】本発明の折畳み積重ね式下段容器を用いた一例を示す図
【図5】本発明の折畳み積重ね式下段容器に用いる樹脂袋の例を示す図
【図6】本発明の折畳み積層式下段容器の折畳み例を示す図
【図7】本発明のオプション幅広下段容器の使用例を示す図
【符号の説明】
【0023】
1・・上段容器、2・・防根透水シート、3・・下段容器、3’・・オプション幅広下段容器、3a・・液溜、3b・・空気層、4・・吸水体、5・・支持体、5a・・有孔中空体、5b・・有孔支持体、5c・・凸部構造体、6・・オーバーフロー穴、6a・・オーバーフローチューブ、7・・廃液穴、8・・ボトル設置枠、9・・蓋、10・・給水容器、11・・ホース差込穴、12・・水位ゲージ、13・・水位ゲージ穴、14・・支柱・トンネル穴
【出願人】 【識別番号】000176774
【氏名又は名称】三菱化学エムケーブイ株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝四丁目1番23号
【出願日】 平成16年2月24日(2004.2.24)
【代理人】 【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司

【公開番号】 特開2005−237213(P2005−237213A)
【公開日】 平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願番号】 特願2004−48049(P2004−48049)