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【発明の名称】 植物栽培用容器及びこれを用いる植物栽培方法
【発明者】 【氏名】河野 通郎
【住所又は居所】徳島県美馬郡脇町大字北庄562−1 株式会社河野メリクロン内

【要約】 【課題】本発明は、植物の栽培時において容器の保湿性がよく、かつ植物の地上茎部分(葉、茎)が光を受けやすく、根の部分は受光が阻止されてその生長が妨げられないような、植物の生育に好適な植物栽培用容器及びこれを用いる植物の栽培方法を提供することを目的とする。

【解決手段】植物栽培用容器としては、容器壁の上部を透明壁、他の部分を不透明壁にしたことを特徴とする容器であればよいが、前記不透明壁は、容器底から1/4〜3/4の高さまで形成されているのが好ましい。また、栽培方法としては、前記植物栽培用容器を用い、不透明壁の部分に植物の根の部分を配置すればよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器壁の上部を透明壁、他の部分を不透明壁にしたことを特徴とする植物栽培用容器。
【請求項2】
前記不透明壁が、容器底から全容器高さの1/4〜3/4の高さまで形成されていることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用容器。
【請求項3】
前記容器を蘭科植物の水耕栽培若しくはバーク栽培に用いることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培用容器。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の植物栽培用容器を用い、不透明壁の部分に植物の根の部分を配置する植物の栽培方法。
【請求項5】
蘭科植物を、マイナスイオン水を用いて栽培する請求項4記載の植物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の生育に好適な植物栽培用容器及びこれを用いる植物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培用の容器の多くは不透明であって、容器壁からの光の進入を遮断する。そのため土壌が少なく、培地(土壌やバーク等)が容器の入口からかなり下に存在する場合は、そこに植えられた植物の苗は容器中に深く入りこみ容器壁に覆われるのでその生育過程において日照不足となり、一方、培地が多くて容器入り口付近にまで存在する場合は植物の苗は容器からはみ出し、日照は充分得られるものの苗付近の保湿が悪くなるので、苗の生育に好ましくない環境となる。したがって、容器に対する培地の充填量の調整は困難であり、経験に依存することから、容器栽培に失敗する例も多かった。また、植物栽培用の透明容器も存在するがその場合は植物の根に太陽光が当たり、根の発育が阻害される。なお、水耗栽培においても、不透明容器では植物の根が配置される水が少ないと、同様に日照不足となり、透明容器では太陽光による根の発育への悪影響はより深刻となる。
【0003】
また、蘭科の植物は播種後発芽した苗やバイオテクノロジーにより植物の分裂組織を無菌的に増殖して得られた苗を栽培用容器に入れて栽培するが、栽培方法として最近普及している水耗栽培を実施すると、水の鮮度が大きく影響し、鮮度不足による根腐れを発生しやすいため、プールのような大きな設備を備える必要がある一方、このようなプール栽培では水性菌等の発生による苗の大規模発病のおそれがある。したがって、蘭科植物の苗の栽培においても、ポリポット、プラスチックポット、ジフィーポット等の容器を使用し、根を水苔に包んで栽培する水苔栽培が行なわれており、この場合も、不透明容器よる上記日照不足や保湿性不良、透明容器よる根の発育不良の問題が発生する。
【0004】
なお、本発明に関連する容器としては、水耗栽培用プランターが開示されているが(例えば、特許文献1参照)、単に水位の調整に関する考案であり、本発明に係る容器のように、植物の生育環境を整えるものではない。
【特許文献1】登録実用新案第3025167号公報(第1図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、植物の栽培時において容器の保湿性がよく、かつ植物の地上茎部分(葉、茎)が光を受けやすく、根の部分は受光が阻止されてその生長が妨げられないような、植物の生育に好適な植物栽培用容器及びこれを用いる植物の栽培方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために鋭意研究した結果、植物栽培用容器の一部を透明壁とし他の部分を光を通さない不透明壁とし、不透明壁部分(不透明壁にて囲まれた容器内部を意味する。以下同じ)に植物の根が、透明壁部分(透明壁で囲まれた容器内部を意味する。以下、同じ。)にそれ以外の葉、茎が配置されるようにすれば、植物が良好に生育することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明のうち第1の発明は、容器壁の上部を透明壁、他の部分を不透明壁にしたことを特徴とする植物栽培用容器である。
【0008】
本発明において、不透明壁は、その壁部分が光を通さないように形成されていればよく、例えば、透明容器壁の一部を、光を通さない黒色ペイントを塗布したり又は黒色フィルムによる被覆を行なうことによって達成される。もちろん、当該壁自体を不透明壁(例えば、黒色フィルム壁、黒色プラスチック壁、陶器壁等)にしてもよい。
【0009】
また、このような容器は、上部が透明で他の部分が不透明になるように構成されていればよいので、例えば二重容器を用いて、透明容器と不透明容器との組合せで上記構成(上部が透明で他の部分が不透明)が達成されていてもよい。
【0010】
本発明のうち第2の発明は、前記不透明壁が、容器底から全容器高さの1/4〜3/4の高さまで形成されていることを特徴とする前記第1発明記載の植物栽培用容器である。3/4を超えると、透明壁部分の容積が小さくて日照不足や保湿性不良を招くおそれがあり、1/4未満であると不透明壁部分の容積が小さくて、根の発育環境不良を招くおそれがあるからである。
【0011】
なお、不透明壁の高さは、好ましくは、全容器高さの1/3〜2/3であり、より好ましくは、ほぼ1/2である。
【0012】
本発明のうち第3の発明は、前記容器を蘭科植物の水耕栽培若しくはバーク栽培に用いることを特徴とする前記第1発明又は第2発明記載の植物栽培用容器である。ここで、水耗栽培とは、土を使わず、水(多くは肥料の水溶液)で植物を育てる栽培方式をいい、バーク栽培とは土を使わず、バーク(樹皮)を用いる栽培方式をいう。前記容器は水苔栽培に用いることもできるが、水苔栽培は根を水苔で包むため手間がかかるばかりか、根を傷めやすいので、本発明の如く水耕栽培、バーク栽培に用いるのがより好ましい。
【0013】
本発明のうち第4の発明は、第1,第2又は第3発明記載の植物栽培用容器を用い、不透明壁部分に植物の根の部分を配置する植物の栽培方法である。不透明壁部分に土壌、バーク等を単体又は主体としたコンポスト或いは水を入れ、そこに植物の根を配置し、地上茎の部分は透明壁部分に配置するようにして栽培する。
【0014】
本発明のうち第5の発明は、蘭科植物を、マイナスイオン水を用いて栽培する第4発明記載の植物の栽培方法である。マイナスイオン水は、欄科植物への雑菌の進入を防ぐと考えられ、本発明に係る容器の下記効果と相俟ってその発育を良好にする効果がある。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明に係る植物栽培用容器又は植物の栽培方法によれば、透明壁の存在により、水分の蒸発が抑制されかつ光透過が確保されると共に、不透明壁の存在により光の進入が防止されて根の発育が阻害されないので、植物の生育に良好な湿度環境、光環境が提供される。その結果、従来の鉢等の容器を使用した場合に比べ、植物の生育が良好となる。すなわち、例えば、植物は、従来の容器を使用すると苗がしおれることが多いが、本容器を使用すると苗はほとんどが元気にみずみずしく育つ。
(2)本発明に係る容器又は植物の栽培方法によれば、予め植物の種類に応じて、その植物の根の部分を配置する不透明部分の高さを明示することができるので、その植物に対し育成経験のない素人でも培地や水の充填量を誤ることなく充填できるメリットがある。
(3)本発明に係る容器は、蘭、観葉植物、サボテン、多肉植物、花、野菜、苔等の栽培に好適であり、また根の発育が観察しやすいので教材として利用できる。更には、本発明に係る容器をプラスチック容器にした場合には、安価で、持ち運びに便利であり、カブトムシなどの昆虫や小魚の飼育、鉛筆立てなどの小物入れとしても利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための形態は次の通りであるが、これらは本発明を実施するための形態の一例に過ぎず、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明に係る植物栽培用容器の斜視図であり、内側の容器1が黒のポリプロピレン製容器で、外側の容器2はポリスチレン製の透明容器である。この容器は、図1に示す通り、二重容器になっているが、全体としての容器は、その下半分が黒の内容器1のために、不透明壁になり、その上半分は透明の外容器2のため、光を通す透明壁となっている。二重容器の個々の容器は、金型を用いる通常の射出成型、圧縮成型等により容易に得られる。図2は図1の容器の正面図であり、図3はこの容器に植物の苗(一株)を入れた状態の正面図を示す。
【0018】
図4は、本発明に係る他の実施の形態の容器骨格を示すものであり、かかる容器骨格(プラスチック製)は通常の射出成型によって容易に得られる。この骨格の上半分に透明フィルムを巻き、下半分に黒のフィルムを巻き、それぞれを前記容器骨格に接着すれば、本発明に係る容器(図5)が容易に得られる。勿論、容器全体を若しくは上半分を透明フィルムで巻き、その後容器の下半分を黒フィルムで巻く、或いは容器下半分を黒フィルムで巻いた後、容器全体を若しくは上半分を透明フィルムで巻く等の形態も考えられる。
【0019】
二重容器(例えば、図1)にすると、単独容器(例えば、図5)に比べ、互いに分離できるので、植物苗の種類や生長に応じ、時折風に当てることが必要であれば、内側容器を取り出して容易にその苗を風を当てることができるし、内側容器を他の容器へ移し替えることが必要であれば、それも容易に実施できるメリットを有す。
【0020】
本発明に係る栽培方法は、図1に示す二重容器の内容器1を満たす程度に、土壌栽培の場合は土壌を、水耕栽培の場合は水を、バーク栽培の場合はバークを入れ、これに植物苗の根の部分を図3に示す如く埋め込み、栽培するとよい。そうすれば、苗の葉の部分には透明容器2の上部の透明壁2aから太陽光が充分照射され、与えられた水はこの透明壁2によって、横方向へ拡散する蒸発を防ぐことができるので、保湿状態がよくなり、また根の部分には不透明壁1aによって光の進入が阻止されるので、根は通常の鉢栽培と同様に順調に成長する。従って、本発明に係る栽培方法によれば、透明壁の存在しない通常の鉢栽培と比較して、植物の生育が良好となる。
【0021】
例えば、メリクロンフラスコ内から取り出されたシンビジュウムの苗(バイオテクノロジーによりシンビジュウムの分裂組織を無菌的に増殖して得られた苗であり、苗の丈は10cm程度である。)を用い、黒容器1(容積:約0.5リットル)のみを用いた場合(通常の鉢栽培に相当)と本発明に係る二重容器(透明容器2の容積:約1リットル、黒の内容器1の容積:約0.5リットル)を用いた場合とを、水耕栽培又はバーク栽培を実施して比較した。栽培条件は次の通りであり、黒容器1のみ用いた場合(比較例)と二重容器を用いた場合(実施例)は、容器の相違を除いて、同一条件にて栽培した。
【0022】
水耕栽培:マイナスイオン水(元気の水、株式会社日本鉱泉研究所製)を満たした状態で、200個の黒容器1のそれぞれに前記シンビジュウムの苗20本を入れ、無肥料で1日に1回水を足しながら2〜3ヶ月間栽培した。この場合、200個の黒容器1のうち半分の100個は単独容器で栽培し(比較例)、残り半分の100個は透明容器2の中に入れ二重容器として栽培した(実施例)。二重容器の場合は透明容器2の側壁の黒容器の高さ位置に孔を開け、黒容器からあふれた水はその孔から外に排出するようにし、黒容器単独の場合と同じ水位の高さに揃えるようにした。これらの容器はガラス温室内に入れ、温度、湿度を調整し、日中の温度は25℃、夜間の温度は22℃、湿度は日中及び夜間を通して80%とした。また、光は全て自然光照射とした。
【0023】
バーク栽培:バーク(シンビジュウム用バーク、東洋電化工業株式会社製)を満たした状態で、200個の黒容器1のそれぞれにシンビジュウムの苗20本を植え、水は1日に1回たっぷり与え、液肥(ハイポネックス、ハイポネックスジャパン社製)は7日〜10日に1回与えながら2〜3ヶ月間栽培した。この場合も、200個の黒容器1のうち半分の100個は単独容器で栽培し(比較例)、残り半分の100個は透明容器2の中に入れ二重容器として栽培した(実施例)。これらの容器は、ガラス温室内に入れ、温度、湿度、光が水耕栽培の場合と同一条件になるように調整して栽培した。
【0024】
その結果、比較例の場合は、水耕栽培、バーク栽培のいずれも、苗の20〜30%の葉がしおれ又発根がスムーズでなく苗が不揃いとなって商品価値が大きく低下若しくは喪失したが、実施例の場合は、水耕栽培、バーク栽培のいずれも、苗の95〜100%が元気で苗の大きさも揃い、商品価値が高かった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】は、本発明に係る一つの実施の形態の植物栽培用容器の斜視図である。
【図2】は、図1の容器の正面図である。
【図3】は、図1の容器に植物の苗(一株)を入れた状態の正面図である。
【図4】は、本発明に係る他の実施の形態の容器の骨格を示す斜視図である。
【図5】は、本発明に係る他の実施の形態の容器を示す斜視図であり、この容器は、図4の容器骨格の上半分に透明フィルムを巻き、下半分に黒のフィルムを巻き、それぞれを該容器骨格に接着したものである。
【符号の説明】
【0026】
1 黒の内容器
1a 黒の不透明壁
2 透明の外容器
2a 透明壁
3 透明フィルム
4 黒のフィルム
【出願人】 【識別番号】593129216
【氏名又は名称】株式会社河野メリクロン
【住所又は居所】徳島県美馬市脇町大字北庄562番地の1
【出願日】 平成16年2月10日(2004.2.10)
【代理人】 【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫

【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三

【識別番号】100106873
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 誠司

【公開番号】 特開2005−224113(P2005−224113A)
【公開日】 平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願番号】 特願2004−33384(P2004−33384)