| 【発明の名称】 |
アブラナ科植物の花芽誘導方法及びアブラナ科植物の花芽誘導装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】氏原 史郎
【氏名】藤安 健太郎
【氏名】大杉 實
【氏名】渡辺 修治
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| 【要約】 |
【課題】一年を通してアブラナ科植物の花芽形成を十分に促進することが可能なアブラナ科植物の花芽誘導方法及び花芽誘導装置を提供すること。
【解決手段】外部からの光を遮断した育苗室において、アブラナ科植物の苗に半導体光源から放射される波長400〜500nmの青色光と、半導体光源から放射される波長600〜700nmの赤色光とを含む人工光を断続的に照射し、人工光を照射している時の育苗室内の温度を13〜20℃とし、人工光を照射していない時の育苗室内の温度を3〜7℃とすることを特徴とするアブラナ科植物の花芽誘導方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部からの光を遮断した育苗室において、アブラナ科植物の苗に半導体光源から放射される波長400〜500nmの青色光と、半導体光源から放射される波長600〜700nmの赤色光とを含む人工光を断続的に照射し、 前記人工光を照射している時の前記育苗室内の温度を13〜20℃とし、前記人工光を照射していない時の前記育苗室内の温度を3〜7℃とすることを特徴とするアブラナ科植物の花芽誘導方法。 【請求項2】 前記人工光は、前記青色光及び前記赤色光のみからなることを特徴とする請求項1記載のアブラナ科植物の花芽誘導方法。 【請求項3】 前記人工光を1日当たり連続して8〜10時間、前記苗に照射することを特徴とする請求項1又は2記載のアブラナ科植物の花芽誘導方法。 【請求項4】 前記苗を、本葉1〜2枚が出た状態で前記育苗室内に入れ、前記苗への前記人工光の断続的な照射を、少なくとも10日間以上行うことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のアブラナ科植物の花芽誘導方法。 【請求項5】 アブラナ科植物の花芽形成を促進するための花芽誘導装置であって、 外部からの光を遮断した育苗室と、 前記育苗室内に設置され、半導体光源から放射される波長400〜500nmの青色光、及び、半導体光源から放射される波長600〜700nmの赤色光を含む人工光を前記苗に断続的に照射するための光照射手段と、 前記人工光を照射している時の前記育苗室内の温度を13〜20℃とし、前記人工光を照射していない時の前記育苗室内の温度を3〜7℃とするための温度制御手段と、 を備えることを特徴とするアブラナ科植物の花芽誘導装置。 【請求項6】 前記人工光は、前記青色光及び前記赤色光のみからなることを特徴とする請求項5記載のアブラナ科植物の花芽誘導装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、アブラナ科植物の花芽形成を促進するための花芽誘導方法及び花芽誘導装置に関する。 【背景技術】 【0002】 アブラナ科植物には、大根、白菜、キャベツ、カブ、チンゲンサイ等の多くの野菜が含まれる。これらのアブラナ科植物は、一般的に、低温で花芽が形成され、その後の長日・高温の条件下で抽苔(とう立ち)が促進される。そして、花芽形成や抽苔は商品価値を決定付けるため、特にアブラナ科植物の花芽形成が起こりやすい冬から春どりの栽培においては、徹底した温湿度管理及び肥培管理が行われ、花芽形成及び抽苔を回避しつつ通年栽培が行われている。 【0003】 しかしながら、近年、チンゲンサイ等のアブラナ科植物の花芽は栄養があって大変おいしいことが証明されており、食材の一つとして注目されつつある。また、種子を採取する場合にも、花芽を形成させて抽苔を起こさせる必要がある。これらのことから、上述した花芽形成及び抽苔を回避しつつ栽培する方法とは別に、一年を通してアブラナ科植物に花芽を形成させる方法の開発が要求されている。 【0004】 また、従来から植物の苗に人工光を照射する栽培方法が検討されている。このような技術として、下記特許文献1には、生育中の植物に対して特定の出力波長と特定の光量子束密度を有する青色光からなる人工光を照射する植物の栽培方法が記載されており、かかる方法により植物の花芽形成を促進することが記載されている。 【特許文献1】特開2001−258389号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら、上記特許文献1に記載された栽培方法は、主に花卉園芸植物、果菜類、果樹類、穀物の花芽形成の促進を目的とした栽培方法であるため、葉菜類、根菜類或いは花菜類に属し、冬の低温条件及び長日条件で花芽が形成されるアブラナ科植物に上記の栽培方法を適用しても、一年を通して花芽形成を十分に促進することは困難であった。 【0006】 本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、一年を通してアブラナ科植物の花芽形成を十分に促進することが可能なアブラナ科植物の花芽誘導方法及び花芽誘導装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アブラナ科植物の苗に特定の温度条件下で特定の人工光を照射することにより、一年を通してアブラナ科植物の花芽形成が十分に促進されることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】 すなわち、本発明は、外部からの光を遮断した育苗室において、アブラナ科植物の苗に半導体光源から放射される波長400〜500nmの青色光と、半導体光源から放射される波長600〜700nmの赤色光とを含む人工光を断続的に照射し、人工光を照射している時の育苗室内の温度を13〜20℃とし、人工光を照射していない時の育苗室内の温度を3〜7℃とすることを特徴とするアブラナ科植物の花芽誘導方法を提供する。 【0009】 ここで、上記赤色光は、他の波長の光に比べてアブラナ科植物の光合成への寄与が極めて高い光であり、苗は効率的に光合成を行うことができるものと考えられる。また、上記青色光は、赤色光に次いでアブラナ科植物の光合成への寄与が高いとともに、植物の姿を形づくる上で重要な光であると考えられる。なお、これら青色光及び赤色光のアブラナ科植物への寄与は、アブラナ科植物の光受容体に起因するものと考えられる。 【0010】 そして、このような青色光及び赤色光を含む人工光をアブラナ科植物の苗に断続的に照射するとともに、人工光を照射している時の温度を相対的に高温な上述の範囲とし、照射していない時の温度を相対的に低温な上述の範囲とする。これにより、人工光の照射時は、アブラナ科植物の苗の成長を促すのに最適な環境となり、人工光の非照射時は、アブラナ科植物の苗の花芽分化を促進するのに最適な環境となり、これを繰り返すことで、アブラナ科植物の苗の健全な成長及び花芽形成を十分に且つ確実に促進することができる。なお、苗を健全に成長させることで、より短期間でより多くの花芽を形成させることができる。また、一年を通して一定の環境下でアブラナ科植物の苗の育成を行うことができるため、育成時期によらず、一年を通して花芽形成を十分に促進することができる。 【0011】 また、上述したアブラナ科植物の花芽誘導方法において、上記人工光は、上記青色光及び上記赤色光のみからなることが好ましい。 【0012】 このような人工光を用いることによって、アブラナ科植物の苗の健全な成長と花芽形成とを十分に且つ確実に促進することができる。そして、青色光及び赤色光のみを用いるため、更に他の光を用いた場合と比較して各々の苗に均一に光を照射することができるとともに、コスト的にも有利であり、効率的に苗の育成を行うことができる。 【0013】 更に、上述したアブラナ科植物の花芽誘導方法において、上記人工光を1日当たり連続して8〜10時間、苗に照射することが好ましい。 【0014】 人工光の照射時間が8時間未満では、照射時間が上記範囲内である場合と比較して、苗の成長速度が低下する傾向にあり、人工光の照射時間が10時間を超えると、照射時間が上記範囲内である場合と比較して、花芽が形成される時期が遅くなる傾向にある。 【0015】 また更に、上述したアブラナ科植物の花芽誘導方法において、苗を、本葉1〜2枚が出た状態で育苗室内に入れ、苗への人工光の断続的な照射を、少なくとも10日間以上行うことが好ましい。 【0016】 苗に本葉が出る前に苗を育苗室に入れて人工光の照射を開始すると、苗は十分な光合成を行うことができず、成長速度が低下してしまい、上記のように苗を育成した場合と比較して、最終的に花芽が形成される時期が遅くなる傾向にある。一方、本葉の枚数が2枚を超えた後で人工光の照射を開始すると、花芽が形成される前に形成される本葉の数が多くなり、上記のように苗を育成した場合と比較して、最終的に花芽が形成される時期が遅くなる傾向にある。そして、苗に本葉1〜2枚が出た状態で人工光の照射を開始するとともに、少なくとも10日間以上人工光の照射を行うことにより、より短期間でより多くの花芽を形成させることができる傾向がある。 【0017】 本発明はまた、アブラナ科植物の花芽形成を促進するための花芽誘導装置であって、外部からの光を遮断した育苗室と、育苗室内に設置され、半導体光源から放射される波長400〜500nmの青色光、及び、半導体光源から放射される波長600〜700nmの赤色光を含む人工光を苗に断続的に照射するための光照射手段と、人工光を照射している時の育苗室内の温度を13〜20℃とし、人工光を照射していない時の育苗室内の温度を3〜7℃とするための温度制御手段と、を備えることを特徴とするアブラナ科植物の花芽誘導装置を提供する。 【0018】 かかる装置によれば、一年を通してアブラナ科植物の苗の健全な成長及び花芽形成を十分に且つ確実に促進することができる。 【0019】 また、上記アブラナ科植物の花芽誘導装置において、上記人工光は、上記青色光及び上記赤色光のみからなることが好ましい。 【0020】 このような人工光を照射する光照射手段を備えることによって、アブラナ科植物の苗の健全な成長と花芽形成とを十分に且つ確実に促進することができる。そして、光照射手段が青色光及び赤色光のみを照射するためのものであるため、更に他の光を用いた場合と比較して各々の苗に均一に光を照射することができるとともに、コスト的にも有利であり、効率的に苗の育成を行うことができる。 【発明の効果】 【0021】 本発明によれば、一年を通してアブラナ科植物の苗の健全な成長及び花芽形成を十分に且つ確実に促進することが可能なアブラナ科植物の花芽誘導方法及びアブラナ科植物の花芽誘導装置を提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0022】 以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。 【0023】 図1は、本発明のアブラナ科植物の花芽誘導装置の好適な一実施形態を示す構成図である。図1に示すように、花芽誘導装置10は、外部からの光を遮断した育苗室12と、育苗室12内に設置された光照射手段14と、電源制御手段16と、育苗室12内の温度を制御するための温度制御手段18と、育苗室12内の温度を検出するための温度検出手段20と、を備えている。そして、育苗室12内に、アブラナ科植物の苗22を育成するための育苗槽24が配置される。以下、花芽誘導装置10を構成する各構成要素について説明する。 【0024】 育苗室12は、太陽光等の外部からの光を遮断した状態でアブラナ科植物22の苗を育成するための部屋であり、内部の温度を、設定した温度に一定に保つことが可能なチャンバーや恒温槽等を用いることができる。 【0025】 光照射手段14は、苗22に、半導体光源から放射される波長400〜500nmの青色光、及び、半導体光源から放射される波長600〜700nmの赤色光を含む人工光を断続的に照射するためのものである。ここで、アブラナ科植物の健全な成長をより十分に促進する観点から、青色光の波長は450〜490nmであることが好ましく、赤色光の波長は640〜680nmであることが好ましい。 【0026】 このような半導体光源を備えた光照射手段14は、苗22のそれぞれに対して十分に均一に青色光及び赤色光を照射可能な構成を有していることが好ましく、例えば、光照射手段14は、図2に示すように半導体光源32が基板30上に格子状に配置された構成を有している。ここで、半導体光源32において、青色を発する光源(以下、「青色光源」という)及び赤色光を発する光源(以下、「赤色光源」という)の配置構成は、例えば、青色光源と赤色光源とが1つ1つ交互に配置された構成や、列又は行ごとに交互に配置された構成となっており、これにより、苗22のそれぞれに対して十分に均一に青色光及び赤色光が照射される構成となっている。 【0027】 また、青色光源と赤色光源との数の比は特に制限されないが、苗22の健全な成長及び花芽形成を十分に促進するために、青色光源の数:赤色光源の数を10:90〜50:50とすることが好ましい。なお、青色光源と赤色光源との数が同数でない場合の配置は、苗22のそれぞれに対して可能な限り均一に青色光及び赤色光が照射されるような配置とすればよい。例えば、青色光源の数が20個、赤色光源の数が80個の場合、図3に示すような青色光源34及び赤色光源36の配置が挙げられる。 【0028】 上記半導体光源32としては、単色性及び発光効率に優れた半導体レーザや発光ダイオード(LED)等が用いられる。ここで、半導体光源32の形状は特に限定されず、砲弾型のものであってもチップ型のものであってもよく、また、LED等の素子そのものであってもよい。なお、チップ型の場合には、半導体光源32をより密集させて基板30上に配置することができるという利点があり、LED等の素子そのものを用いた場合(例えば、LED素子配置型のLEDアレイを光照射手段14とした場合)には、半導体光源32をより密集させて基板30上に配置することができるとともに、チップ型のものよりも指向性の影響を低減することができ、理想的な光照射を行うことができるという利点がある。これらの半導体光源を用いることにより、光照射時の熱の発生を十分に低減することができるため、光源に起因した苗22の高温障害の発生を防止することができるとともに、苗22と半導体光源との距離を十分に短くすることが可能であり、更に育苗室12内の温度管理も容易となる。 【0029】 また、光照射手段14は、苗22の健全な成長及び花芽形成を阻害しない範囲であれば、赤色光源及び青色光源以外の光源を備えていても良い。 【0030】 電源制御手段16は、光照射手段14のオンオフ制御や供給電力の制御等を行うためのものであり、これにより、人工光の断続的な照射が行われる。 【0031】 温度制御手段18は、光照射手段14により苗22に人工光を照射している時の育苗室12内の温度を13〜20℃とし、人工光を照射していない時の育苗室12内の温度を3〜7℃とするためのものである。なお、花芽を短期間でより確実に形成させる観点から、温度制御手段18は、人工光を照射している時の育苗室12内の温度を13〜18℃とするためのものであることが好ましい。温度制御手段16は、育苗室12内の温度が上記範囲内で設定された温度となるように、温度センサ等の温度検出手段20で検出される育苗室12内の温度に応じて、育苗室12内に配置された加熱・冷却器(図示せず)を制御して温度調節を行う。 【0032】 育苗槽24は、アブラナ科植物の苗22を育苗するためのものであり、例えば、育苗パレット等の容器に培土を入れて灌水が施された状態となっている。 【0033】 次に、本発明のアブラナ科植物の花芽誘導方法を、上述した構成を有するアブラナ科植物の花芽誘導装置10を用いて行う場合について説明する。なお、以下の説明では、アブラナ科植物がチンゲンサイである場合について説明する。 【0034】 まず、育苗槽24にチンゲンサイの種を播種し、通常の環境下で自然栽培する。このとき、光源は特に制限されず、太陽光のほか、ランプや半導体光源等を適宜使用することができる。また、灌水や施肥等も通常と同様の条件で行う。そして、チンゲンサイの種が発芽して、本葉が数枚(1〜3枚程度)出るまで自然栽培を行う。 【0035】 次に、上記のように育成した苗22を、育苗槽24とともに花芽誘導装置10の育苗室12内に入れ、光照射手段14により人工光の照射を行う。ここで、育苗室12内は太陽光等の外部からの光が遮断されており、半導体光源から放射される波長400〜500nm(好ましくは450〜490nm)の青色光と、半導体光源から放射される波長600〜700nm(好ましくは640〜680nm)の赤色光とを含む人工光を苗22に断続的に照射する。なお、苗22を育苗室12内に入れて人工光の照射を開始する時期は、花芽をより短期間で形成させる観点から、苗22に本葉1〜2枚が出た後とすることが好ましい。 【0036】 ここで、人工光は上記青色光及び上記赤色光のみからなることが好ましい。また、人工光の照射は、1日当たり連続して8〜10時間行うことが好ましく、このような周期で断続的に人工光を照射することにより、チンゲンサイの苗22の健全な成長及び花芽形成をより十分に促進することができる。 【0037】 また、人工光の光強度は、育苗室12内で育成を開始した時の苗22の上面における光合成有効光量子束密度(PPFD)が50〜60μmol・m−2・s−1となるように調節することが好ましい。これにより、チンゲンサイの健全な成長及び花芽形成をより十分に促進することができる。なお、光強度は、育苗室12内での苗22の育成開始時から終了時まで一定としてもよく、苗22の上面におけるPPFDが常に一定となるように、苗22の成長に合わせて調節してもよい。 【0038】 また、育苗室12内の温度は、温度制御手段18により、人工光を照射している時の育苗室12内の温度を13〜20℃とし、人工光を照射していない時の育苗室12内の温度を3〜7℃とする。なお、花芽を短期間でより確実に形成させる観点から、人工光を照射している時の育苗室12内の温度を13〜18℃とすることが好ましい。 【0039】 本発明の花芽誘導方法において、上述した人工光の照射を行う期間については特に制限されないが、苗22に本葉が更に数枚出るまで(本葉の枚数が合計で2〜5枚程度となるまで)行うことが好ましい。また、具体的な日数としては、育苗室12内に苗22を入れた時の苗令や、育苗室12内の設定温度等によっても異なるが、苗22を育苗室12内に入れてから10日間以上行うことが好ましく、20〜30日間行うことが好ましい。 【0040】 また、花芽誘導装置10を用いた苗22の育成中、灌水や施肥等は通常のチンゲンサイの苗の育成時と同様の条件で行う。 【0041】 このように花芽誘導装置10を用いて苗22を育成した後、苗22の定植を行い、通常の環境下で自然栽培する。このときの光源としても特に制限されず、太陽光のほか、ランプや半導体光源等を適宜使用することができる。また、灌水や施肥等も通常と同様の条件で行う。 【0042】 以上説明した花芽誘導方法によりアブラナ科植物の苗22を育成することにより、苗22を健全に成長させることができるとともに、一年を通して花芽を確実に形成することができる。 【0043】 そして、食用として花芽を必要とする場合には、チンゲンサイが十分に生育し、花芽の形成及び抽苔を確認した後に収穫する。一方、種子を必要とする場合には、花芽の形成及び抽苔を確認し、花芽が開花し、更に種子ができた後に種子を採取する。 【実施例】 【0044】 以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 【0045】 [実施例1及び比較例1〜4] 育苗パレット(10穴×20列)に培土を入れ、チンゲンサイの種(品種:早生華京)を各穴に播種した後に、十分な灌水を行った。なお、播種は自然栽培した場合でも花芽が形成される時期となる11月末(日中の気温:8〜10℃)に行った。 【0046】 そして、種が発芽した後、本葉1〜3枚が出るまでの約1週間、太陽光を光源として自然栽培した。このときの灌水や施肥等の条件は、通常のチンゲンサイの苗を育成する際の条件と同様とした。この段階まで苗を育成した育苗パレットを、実施例1及び比較例1〜4用に5つ用意した。 【0047】 次に、上記のように育成した苗について、本葉2〜5枚が出るまでの30日間、実施例1及び比較例1〜4のそれぞれについて以下の条件で育苗を行った。なお、灌水や施肥等の条件は、通常のチンゲンサイの苗を育成する際の条件と同様とした。 【0048】 (1)実施例1 まず、上記の育苗パレットを外部の光が遮断されたチャンバー内に移した。次に、中心波長470nmの青色光を発する砲弾型の青色LED(商品名:NSPB500、日亜化学工業社製、照射角:30°、光度:2.4cd)20個と、中心波長660nmの赤色光を発する砲弾型の赤色LED(商品名:HLMP−C025、ヒューレットパッカード社製、照射角:25°、光度:1cd)80個とを図3に示すように基板上に配置し、これを防水性の透明プラスチックカバーで覆った構成を有するLEDアレイを用意した。このLEDアレイを、苗の上面からの距離が約10cmの位置に、育苗パレットと平行となるように配置した。 【0049】 この状態で、LEDアレイにより青色光及び赤色光からなる人工光を苗に照射した。なお、人工光の照射時間は、1日当たり8時から17時までの9時間照射し、それ以外の15時間は照射しないこととした。また、チャンバー内の温度は、人工光の照射時は15℃とし、非照射時は5℃とした。また、人工光の照射時の光強度は、苗の上面でのPPFDが約54μmol・m−2・s−1(照度:1000lx)となるように調節し、LEDアレイに印加する電圧を24V、電流を0.3Aとした。 【0050】 (2)比較例1 本葉1〜2枚が出るまでの自然栽培と同様の条件で、太陽光を光源として自然栽培を行った。なお、育苗時の平均気温は、日中(8:00〜17:00)で約10℃、夜間(17:00〜8:00)で約4℃であった。 【0051】 (3)比較例2 LEDアレイとして、中心波長660nmの赤色光を発する砲弾型の赤色LED(商品名:HLMP−C025、ヒューレットパッカード社製、照射角:25°、光度:1cd)100個を備えるものを使用した以外は実施例1と同様の条件で育苗を行った。 【0052】 (4)比較例3 LEDアレイとして、中心波長660nmの赤色光を発するチップ型の赤色LED(商品名:TLOH1100、東芝社製、照射角:180°、光度:0.27cd)84個を備えるものを使用した以外は実施例1と同様の条件で育苗を行った。 【0053】 (5)比較例4 LEDアレイとして、中心波長470nmの青色光を発するチップ型の青色LED(商品名:NSCB310、日亜化学工業社製、照射角:180°、光度:0.63cd)84個を備えるものを使用した以外は実施例1と同様の条件で育苗を行った。 【0054】 以上のように実施例1及び比較例1〜4のそれぞれについて育苗条件を変えた日を1日目とし、経過日数30日目までの苗の生育状態(苗の高さ及び本葉の枚数)を観察した。苗の高さ[mm]の測定結果を表1に、本葉の枚数[枚]の計数結果を表2にそれぞれ示す。ここで、苗の高さ及び本葉の枚数は、任意に選択した苗5株の平均値である。また、図4は実施例1及び比較例1〜4の苗における経過日数と苗の高さとの関係を示すグラフである。 【0055】 【表1】
【0056】 【表2】
【0057】 また、図5(a)は、実施例1の30日目の苗の組織を示す図であり、図5(b)は、図5(a)において示された苗の線図である。図6(a)は、比較例1の30日目の苗の組織を示す図であり、図6(b)は、図6(a)において示された苗の線図である。図7(a)は、比較例2の30日目の苗の組織を示す図であり、図7(b)は、図7(a)において示された苗の線図である。図8(a)は、比較例3の30日目の苗の組織を示す図であり、図8(b)は、図8(a)において示された苗の線図である。図9(a)は、比較例4の30日目の苗の組織を示す図であり、図9(b)は、図9(a)において示された苗の線図である。 【0058】 表1〜2及び図5〜9に示した結果から明らかなように、実施例1の苗は、比較例1の苗とよく似た成長を示しつつ、茎の太さや葉の大きさが比較例1の苗の2倍ほどあり、葉は濃緑が強く、健全に成長していることが確認された。比較例2の苗は、全体が黄緑で本葉が出ないくらいに弱々しくモヤシ状であることが確認された。比較例3の苗は、極端に成長が悪く、茎も細く葉も小さくモヤシ状であることが確認され、その後の定植が不可能な状態であった。比較例4の苗は、徒長が著しくて茎が細くモヤシ状であり、葉の大きさも実施例1と比べて非常に小さいことが確認された。 【0059】 次に、上記のように育苗した実施例1及び比較例1〜2、4の苗を定植(定植間隔:30cm×15cm)し、収穫が可能な程度に成長するまでの約2ヶ月間、太陽光を光源として自然栽培した。なお、灌水や施肥等の条件は、通常のチンゲンサイの栽培条件と同様とした。 【0060】 この栽培期間中、外観を観察することにより、実施例1のチンゲンサイで最も早く花芽が確認され(定植後52日目)、次いで、比較例1(定植後59日目)、比較例2(定植後62日目)、比較例4(定植後65日目)の順で花芽が確認された。また、収穫直前のチンゲンサイの高さ[cm]を表3に示す。ここで、チンゲンサイの高さは、任意に選択したチンゲンサイ5株の平均値である。 【0061】 【表3】
【0062】 以上のように、実施例1のチンゲンサイは、比較例1〜4のものと比べて成長がよく、花芽が最も早く確認された。 【0063】 [実施例2〜3及び比較例5] 育苗パレット(10穴×20列)に培土を入れ、十分な灌水を施した後に、チンゲンサイの種(品種:早生華京)を各穴に播種した。なお、播種は、自然栽培した場合には、通常、花芽が形成されない3月末(日中の気温:18〜23℃)に行った。 【0064】 そして、種が発芽した後、本葉1〜2枚が出るまでの約1週間、太陽光を光源として自然栽培した。このときの灌水や施肥等の条件は、通常のチンゲンサイの苗を育成する際の条件と同様とした。この段階まで苗を育成した育苗パレットを、実施例2〜3及び比較例5用に3つ用意した。 【0065】 次に、上記のように育成した苗について、本葉2〜5枚が出るまでの34日間、実施例2〜3及び比較例5のそれぞれについて以下の条件で育苗を行った。なお、灌水や施肥等の条件は、通常のチンゲンサイの苗を育成する際の条件と同様とした。 【0066】 (1)実施例2 実施例1と同様の条件で育苗を行った。 【0067】 (2)実施例3 実施例1と同様の条件で育苗を行った。 【0068】 (3)比較例5 比較例1と同様の条件で育苗を行った。なお、育苗時の平均気温は、日中(8:00〜17:00)で約20℃、夜間(17:00〜8:00)で約8℃であった。 【0069】 以上のように実施例2〜3及び比較例5のそれぞれについて育苗条件を変えた日を1日目とし、経過日数34日目までの苗の生育状態(苗の高さ及び本葉の枚数)を観察した。苗の高さ[mm]の測定結果を表4に、本葉の枚数[枚]の計数結果を表5にそれぞれ示す。ここで、苗の高さ及び本葉の枚数は、任意に選択した苗5株の平均値である。また、図10は実施例2〜3及び比較例5の苗における経過日数と苗の高さとの関係を示すグラフである。 【0070】 【表4】
【0071】 【表5】
【0072】 実施例2〜3及び比較例5の苗は、いずれも健全に成長していることが確認された。但し、葉の色は、実施例2〜3の苗の方が比較例5の苗よりも濃緑が強く良好であった。 【0073】 次に、上記のように育苗した実施例2〜3及び比較例5の苗を定植(定植間隔:30cm×15cm)し、収穫が可能な程度に成長するまでの22日間、太陽光のもとで自然栽培した。なお、灌水や施肥等の条件は、通常のチンゲンサイの栽培条件と同様とした。 【0074】 この栽培期間中、外観を観察することにより、実施例2及び3の株では定植してから15日目に花芽が確認されたが、比較例5の株では22日目になっても花芽が確認されなかった。 【0075】 図11(a)は、実施例2の定植から22日目のチンゲンサイの株を縦割りにしたものの組織を示す図であり、図11(b)は、図11(a)において示されたチンゲンサイの株の線図である。また、図12(a)は、比較例5の定植から22日目のチンゲンサイの株を縦割りにしたものの組織を示す図であり、図12(b)は、図12(a)において示されたチンゲンサイの株の線図である。 【0076】 図11に示した結果から明らかなように、実施例2のチンゲンサイには花芽が形成されており、抽苔していることが確認された。一方、比較例5のチンゲンサイには花芽が形成されていないことが確認された。 【0077】 以上、実施例及び比較例を用いて説明したように、本発明のアブラナ科植物の花芽誘導方法によれば、苗を健全に成長させることができるとともに、季節によらず花芽を確実に形成することが可能である。 【図面の簡単な説明】 【0078】 【図1】本発明のアブラナ科植物の花芽誘導装置の好適な一実施形態を示す構成図である。 【図2】花芽誘導装置10における光照射手段14の一例を示す模式図である。 【図3】光照射手段14における青色光源34及び赤色光源36の配置の一例を示す模式図である。 【図4】実施例1及び比較例1〜4の苗における経過日数と苗の高さとの関係を示すグラフである。 【図5】(a)は、実施例1の30日目の苗の組織を示す図であり、(b)は、(a)において表された苗の線図である。 【図6】(a)は、比較例1の30日目の苗の組織を示す図であり、(b)は、(a)において表された苗の線図である。 【図7】(a)は、比較例2の30日目の苗の組織を示す図であり、(b)は、(a)において表された苗の線図である。 【図8】(a)は、比較例3の30日目の苗の組織を示す図であり、(b)は、(a)において表された苗の線図である。 【図9】(a)は、比較例4の30日目の苗の組織を示す図であり、(b)は、(a)において表された苗の線図である。 【図10】実施例2〜3及び比較例5の苗における経過日数と苗の高さとの関係を示すグラフである。 【図11】(a)は、実施例2の定植から22日目のチンゲンサイの株を縦割りにしたものの組織を示す図であり、(b)は、(a)において表されたチンゲンサイの株の線図である。 【図12】(a)は、比較例5の定植から22日目のチンゲンサイの株を縦割りにしたものの組織を示す図であり、(b)は、(a)において表されたチンゲンサイの株の線図である。 【符号の説明】 【0079】 10…花芽誘導装置、12…育苗室、14…光照射手段、16…電源制御手段、18…温度制御手段、20…温度センサ、22…苗、24…育苗槽、30…基板、32…半導体光源、34…青色光源、36…赤色光源。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592154488 【氏名又は名称】やまと興業株式会社
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| 【出願日】 |
平成16年2月2日(2004.2.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100089978 【弁理士】 【氏名又は名称】塩田 辰也
【識別番号】100092657 【弁理士】 【氏名又は名称】寺崎 史朗
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| 【公開番号】 |
特開2005−211052(P2005−211052A) |
| 【公開日】 |
平成17年8月11日(2005.8.11) |
| 【出願番号】 |
特願2004−25851(P2004−25851) |
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